【簡単】わかりやすく理解できるポアソン分布
「ポアソン分布の式がわからない」、 「ポアソン分布を使い方がイメージできない」などとポアソン分布は、二項分布や正規分布よりわかりくいですよね。
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
ポアソン分布を理解するポイント
- ➀ポアソン分布の式の覚え方
- ②ポアソン分布のわかりやすい導出
- ③ポアソン分布の活用例
本記事を読んでいるあなたは、平方和、確率分布関数など統計学の基礎をマスターしたいはずです。理解度アップのための必須な関連記事がありますので、関連記事も読んでください。
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さっそく見ていきましょう。
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➀ポアソン分布の式の覚え方
ポアソン分布の関数
$$ f(x)= e^{-λ}\frac{λ^x}{x!} $$
見た瞬間、「何じゃこりゃ?」ですね。
\( e^{-λ}\)と\(λ^x \)と\( x!\)とややこしい項ばかりですね。
式見てもグラフのイメージがつきません。
どうやってこの式ができたのか?イメージつきません
あなただけではありません。みんなイメージできません。
ポアソン分布の関数の覚え方
この式は何回使っても忘れます。忘れにくい方法があります
- (A)\( e^{-λ}\)と\(λ^x \)と\( x!\)の書く順番を決める
- (B)変数が変わったときに要注意
- (C)覚え方
(A)\( e^{-λ}\)と\(λ^x \)と\( x!\)の書く順番を決める
\( e^{-λ}\)→\(λ^x \)→\( x!\)としましょう。入れ替わると私も式がわからなくなります。
(B)変数が変わったときに要注意
本記事では、λ、xとしています。教科書によってはλ→m,x→kに変えていることがあります。要注意です。
(C)覚え方
下図のように、λ,xの変数を一箇所に集めれば、間違いなく公式暗記できます。
②ポアソン分布のわかりやすい導出
ポアソン分布の導出は、基本わかりにくいです。
2つ導出方法があります。概要を解説します。詳細はここを参照ください。
(B) モデルから方程式を立てて導出する。
(A)はいろいろな教科書やwebサイトでも紹介されています。
メリットは、計算過程がわかりやすいことです。
デメリットは、二項分布の極限がポアソン分布となり、分布の極限って何?と疑問に残ることです。
●二項分布からポアソン分布を導出します。
二項分布
P(X=k)=\( {}_nC_kp^k(1-p)^{n-k}\)
ここで、p=\(\frac{λ}{n}\)を代入します。
=\( {}_nC_k(\frac{λ}{n})^k(1-\frac{λ}{n})^{n-k}\)
=\( \frac{n(n-1)…(n-k+1)}{k!} (\frac{λ}{n})^k (1-\frac{λ}{n})^n (1-\frac{λ}{n})^{-k}\)
=\(\frac{λ^k}{k!}\)\(\frac{n(n-1)…(n-k+1)}{n・n…n}\)\((1-\frac{λ}{n})^{\frac{n}{λ}}\)\((1-\frac{λ}{n})^{-k}\)
n→∞に持っていくと
→ \(\frac{λ^k}{k!}・1・e^{-λ}\)=\(e^{-λ}\frac{λ^k}{k!}\)
となり、ポアソン分布型に変形できました。
でも、難しいですね。よく二項分布の極限値がポアソン分布だと気がつきますよね。
一方、(B)はレアです。
メリットは、モデルから方程式を立てて導出するので納得感がある。
デメリットは、計算過程が難しいことです。
本記事では(B)のレア版を解説します。詳細解説を見る前に概要を理解しましょう。何をやっているのかを先に理解してください。
ポアソン分布の導出
時刻0から時刻tまでに事象がn回起こる確率をPn(t)とします。
時刻tから微小時間Δに事象が1回起こる確率λΔとおきます。
時刻0から時刻t+Δまでに事象がn回起こる確率をPn(t+Δ)は、➀②の和になります。
➀時刻tまで事象がn-1回で、時刻t以降1回発生する確率 Pn-1(t)(λΔ)
②時刻tまで事象がn回で、時刻t以降0回発生する確率Pn(t)(1-λΔ)
Pn(t+Δ)= Pn-1(t)(λΔ)+ Pn(t)(1-λΔ)
と微分方程式が立てられます
式の各項を説明しましたが、一読では「何を言っているのかわからない」と思います。数回読むと慣れてきます。この方程式がポアソン分布のモデル式です。
Pn(t+Δ)= Pn-1(t)(λΔ)+ Pn(t)(1-λΔ)
を解けばPn(t)の関数形が得られます。
変形すると
(Pn(t+Δ)-Pn(t))/Δ=λ(-Pn(t)+Pn-1(t))
Δ→0にすると微分になりますから
\( \frac{d}{dt} Pn(t)\)= λ(-Pn(t)+Pn-1(t))
これを満たすPn(t)は
Pn(t)= \(e^{-λt}\frac{{λt}^n}{n!}\)
となり、ポアソン分布の関数になります。
(A)の二項分布の極限よりは、(B)のモデル式から導出する方が納得感はあります。ポアソン分布は難しいため、わかりやすく解説しても、この難しさです。
③ポアソン分布の活用例
具体例を見てみましょう。なお、期待値、分散の導出も重要ですが、詳細解説で説明するとして、ここでは、ポアソン分布を具体的な値を使って慣れる練習をしましょう。
二項分布とポアソン分布の比較
二項分布とポアソン分布は別物ですが、
割合の場合は二項分布、
個数の場合はポアソン分布、
を扱うだけで、上の問いはどちらの分布でも計算ができます。
●二項分布の場合
\( P_x={}_nC_x p^r (1-p)^{n-x}\)
=\(_{10}C_x (\frac{1}{20})^x (1-\frac{1}{20})^{10-x}\)
●ポアソン分布の場合
\(P_x= e^{-λ}\frac{λ^x}{x!}\)
=\( e^{-\frac{1}{20}}\)\(\frac{(\frac{1}{20})^x}{x!}\)
エクセルで計算した結果と、両者の結果を比較します。xが小さいとほぼ値は等しいですが、徐々に値がずれていくのがわかります。
ポアソン分布の正規分布近似
50⑤100とした場合、不良数がxである確率をPxとする。xとPxの関係をグラフにせよ。
不良個数と来たら、ポアソン分布の公式を書きましょう。
\(P_x= e^{-λ}\frac{λ^x}{x!}\)
λが必要になります。
λは不良数×抜取数÷全数とします。
λ:➀1②2③4④5⑤10となります。グラフは次のようになります。
ポアソン分布は、λが高くなるにつれて正規分布に近似できます。
二項分布もポアソン分布も最初から正規分布で計算してもそれほど結果は変わらないということになりますが、試験では各々の分布に関する問題が出ますので勉強しましょう。実務は正規分布で良いでしょうね。
まとめ
二項分布は確率分布の一種と見ずに、高校数学の確率の延長にあるものです。二項分布は、正規分布に近づく不思議な性質があります。また、抜取検査のOC曲線のベースにもなります。高校数学で書ける易しい分布であると理解できます。
- ➀ポアソン分布の式の覚え方
- ②ポアソン分布のわかりやすい導出
- ③ポアソン分布の活用例
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