ISO9001 2015 関係性管理がわかる
「関係性管理って何かわからない」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
ISOはどう定義しているの?
わかりやすく解説します。
本記事のテーマ
- ①ISO「関係性管理」の説明
- ②「関係管理」ではなくなぜ「関係性管理」なのか?
- ③「関係性管理」できるために必要なこと
①ISO「関係性管理」の説明
ISO9000に説明があります。ISO9001が主役ですが、ISO9001を読んでもよくわからない時は、ISO9000シリーズも読みましょう。補足説明があります。
2.3.7.1 説明
持続的成功のために、組織は、例えば提供者のような、密接に関連する利害関係者との関係をマネジメントする。
2.3.7.2 根拠
密接に関連する利害関係者は、組織のパフォーマンスに影響を与える。持続的成功は、組織のパフォーマンスに対する利害関係者の影響を最適化するようにすべての利害関係者との関係をマネジメントすると達成しやすくなる。提供者及びパートナとのネットワークにおける関係性管理は特に重要である。
2.3.7.3 主な便益
あり得る主な便益を、次に示す。
-それぞれの利害関係者に関連する機会及び制約に対応することを通じた、組織及びその密接に関連する利害関係者のパフォーマンス向上
-利害関係者の目標及び価値観に関する共通理解
-資源及び力量の共有、並びに品質関連のリスクの管理による、利害関係者のための価値を想像する実現能力の向上
-製品及びサービスの安定した流れを提供する、よく管理されたサプライチェーン
2.3.7.4 取り得る行動
取り得る行動を次に示す。
-密接に関連する利害関係者(例えば、提供者、パートナ、顧客、投資者、従業員、社会全体)及びそれらの組織との関係を明確にする。
-マネジメントする必要のある利害関係者との関係性を明確にし、優先順位をつける。
-短期的な利益と長期的な考慮とのバランスがとれた関係を構築する。
-情報、専門的知識及び資源を、密接に関連する利害関係者との間で収集し、共有する。
-改善の取組みを強化するために、適切に、パフォーマンスを測定し、利害関係者に対してフィードバックを行う。
-提供者、パートナ及びその他の利害関係者と協力して開発及び改善活動を行う。
-提供者及びパートナによる改善及び達成を推奨し、認める。
意外と簡単でした。一言でまとめると、
これがISOが定義する「関係性管理」です。
言葉の定義をよく考えよう!
良い関係を維持・管理するなら、「関係管理」でいいじゃん!となりませんか?
言葉の定義をよく見ると、
「関係管理」(ISOの言う関係性管理ですけど)と、「関係性管理」は少し意味合いが変わるはずです。
なぜ、言葉の定義にこだわるかというと
時間が経過すると、理解が深まり、言葉の定義から意味を解釈するようになるから
●最初は、
「関係管理も関係性管理もどっちでもいいよ! 業務できたらいいから」
な感じです。
●でも、品質管理担当など、ある程度QMSに関わるようになる頃は、考える力がついているので
「関係性管理」って何?
「関係」を「管理」って何?
「関係性管理」 の「性」は何でついているの?
と考えるようになります。
ISOを読んだり、自分で言葉の意味や定義を考えるようになるはずです。
②「関係管理」ではなくなぜ「関係性管理」なのか?
①では、
- ISOの「関係性管理」は意味から考えると「関係管理」でよい
- relationship managementを素直に和訳したから
では、日本語の意味をよく考えて、「関係管理」と「関係性管理」の違いを考えます。
「関係」と「関係性」は意味合いが異なる
よく「性」をつける言葉を使って意味の違いを確認しましょう。
- 「安全」と「安全性」
- 「可能」と「可能性」
- 「関係」と「関係性」
「安全」と「可能」を例に持ってくると、
●「安全性」は安全の程度も含む。「安全性が高い」、「安全性が低い」
同様に、
●「可能性」は可能の程度も含む。「可能性が高い」、「可能性が低い」
図で確認しましょう。
では、「関係」と「関係性」は?
●「関係性」は可能の程度も含む。「関係性が高い」、「関係性が低い」
つまり、
●「関係性」:今は付き合いが少ない相手も関係構築しようという意味が含まれる
図にしましょう。
「関係性」管理を自主的にとる
「関係性」の言葉の定義をそのまま読み取ると、
●今付き合っている相手も
●これから付き合いかもしれない相手も
良好な関係を維持しようという意味が出て来ます。
●自主的に「関係性管理」として今もこれから付き合う相手にも視野を広げることと良いでしょう。
③「関係性管理」できるために必要なこと
2軸で考えましょう。
- 社内、社外
- 今関わっている相手、これから関わる相手
事業戦略変更により、「関係性管理」が必要になる
既存事業が永久に続くなら、新たな相手との関係は不要でしょう。しかし、事業収益の悪化や新技術導入によって事業戦略が変わることは頻繁にあります。
新たな戦略、施策次第では、付き合う相手(利害関係者)を変えていく必要があります。
社内の「関係性管理」
特に、新規事業の挑戦やビジネスコンテストなどを実施すると、社内に、意外な特技やスキルを持った人が登場することがあります。これも、今まで付き合ったことのない相手ですよね。
CFT(クロスファンクションチーム)やプロジェクトチームを組んで臨時に開発検討することがあります。これも、社内で新たな関係を構築する上で大事な「関係性管理」ですね。
今関わっている相手、これから関わる相手
●ISOの「関係性管理」の指示通り、今関わる利害関係者との良好な関係を維持します。品質マネジメントシステムを組織で機能させ、顧客満足、品質向上、社会的責任を果たすことが大事です。
これは、今までどおり真面目に業務遂行すればOKですね。
●さらに、新規事業、新技術、事業戦略変更の波に乗って、新たな関係を構築する必要もあります。
自組織にブランド力があれば、周囲から声がかかりやすいですが、逆の場合は、自分の今の業務範囲にこだわらず、軽いフットワークで外との交流を図っていく必要があります。
と
●これから関わり得る相手との関係構築を継続・管理
するのが
「関係性管理」。
ISOの「関係性管理」から拡大解釈しましたが、言葉そのもの定義をじっくり考えると、
ISOの「関係性管理」は「関係管理」
「関係性管理」は「関係管理」より広義にとらえるべき
と考えて解説しました。
まとめ
ISO9001 2015 関係性管理 をわかりやすく解説しました。
- ①ISO「関係性管理」の説明
- ②「関係管理」ではなくなぜ「関係性管理」なのか?
- ③「関係性管理」できるために必要なこと
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