品質マニュアルがわかる
「品質マニュアルって何?」、「ISO9001 2015年版に品質マニュアルは必要なの?」と疑問に思っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
ISO9001 2015年版に品質マニュアルは不要です。
けど、毎年品質マニュアル更新するよう上司から指示が来る。
なんで??
●ベテランはISO9001 2008年版までの品質マニュアルを大事にする
●最近入った中堅はISO9001 2015年版しか知らないから、品質マニュアルの価値がわからない。
過去のお偉い文書である「品質マニュアル」について解説します。
QCプラネッツはISO9001 2015年版から実務しているので、品質マニュアル不要論側です。
- ①品質マニュアルとは
- ②ISO9001 2008年版までは最重要文書だった
- ③ISO9001 2015年版からは不要な文書
- ④品質マニュアルは自分で考えて作ってみよう
①品質マニュアルとは
品質マニュアルのあるべき定義
「品質マニュアル」の本質は次の定義だと考えます。この定義なら品質マニュアルが必要としてもよいでしょう。
あるべき品質マニュアルに必要な要素
組織が品質を作りこむためには、何が必要ですか?考えましょう。
- 組織(経営)の理念、戦略
- 経営者の考え
- 組織内の全員が守るべきルール(規程)と文書類
- 組織の体制
- 品質保証体系図(営業、技術各部門がやるべき業務フロー)
- QC工程図(各作業の工程図)
上の1から6をまとめた文書が「品質マニュアル」であると、本来こうあるべきです。
でも、実態はどうでしょうか?
実際は、ISO認証監査のための文書
実際は、
品質マニュアルのトップ文書からの転落ぶりをこれから解説します。
②ISO9001 2008年版までは最重要文書だった
ISO9001は文書の適合性をしっかり診ていた
●ISO9001 2008年版までは、文書の適合性を厳しく見ていたので、文書で品質監査を見ていました。だから、審査対象の組織のトップ文書として品質マニュアルが必須でした。
図を見ると、品質マニュアルは、
- 組織の品質の最上位文書
- ISO審査の組織の玄関口としての文書
なので、品質マニュアルがスタートして、各文書の整合性や適合性について、組織活動を質疑しながらチェックしていました。
ISOの要求事項に品質マニュアルが準拠するスタイル
ISO9001の認証は、
ですから、
1.ISO要求事項が最初に来て
2.ISO要求事項に準拠した品質マニュアルの内容
とするよう、厳しく要求されていました。
今でもISO認証審査員が、
「その組織活動は、ISO9001の要求事項の8.3.4に適合します」
とか言いますが、それは、
組織活動や文書がISO9001の要求事項に適合(従う)ようにしなければならかったからです。
ISO9001 2015年版以降から品質管理業務を担当すると、
「活動にわざわざ要求事項の番号当てはめて意味あるん?」
と思うでしょう。
ISO9001 2008年版までとISO9001 2015年版では全くとらえ方が違います。
●ISO9001 2015年版は、まずは、組織活動、次にISOの要求事項
考えたら、
ISO取得・継続のために活動しているのではないです。
ISO9001 2015年版の方が、組織が活動しやすくなっています。
組織や業種が違うのに、品質マニュアルだけはなぜか同じような文書になっている
取引先品質監査で他社を訪問する際、いつも思うのが、
大体、表紙と目次を見ると、みんあ同じですね。気持ち悪い。。。
●よくある表紙
●よくある目次
品質マニュアルはISO認証機関やコンサルに作らされたから
●似たり寄ったりな品質マニュアルである理由は、外から指示されたからです。
本来、品質マニュアルは組織の成功の秘訣をまとめたものです。しかし、実際は、ISO認証のために作った文書です。
③ISO9001 2015年版からは不要な文書
品質マニュアルが組織最上位文書で無くなった理由
●一方、ISO9001 2015年版は、文章の適合性以上に組織活動の有効性を審査するので、文書のチェックは過去ほど厳しくなく、情報であれば何でもよいと変わりました。
ISO9001 2015年版以降は、組織活動の有効性をしっかり審査するかわりに、文書の荒さがしをネチネチやらなくなりました。概念図をご覧ください。2008年版との違いがわかります。
●その背景は、ISO認証していても、品質不正する企業が後を絶たず、文書の適合性だけみても、本当に組織が有効に活動しているか疑問になったからです。
考えたら、
ISO取得・継続のために活動しているのではないです。
つまり、手段(ISO認証)が目的化している。
なので、
●ISO9001 2015年版は、まずは、組織活動、次にISOの要求事項
つまり、ISO認証は手段、組織の成功が目的。当然ですよね。
「文書化した情報」は奥深い
関連記事、ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかるでも解説したとおり、
●ISO9001 2008年版までは、「文書」を審査
●ISO9001 2015年版は、「情報」を審査
これは、大きな違いがあります。
前者は、文書という「手段」を審査していただけで、
後者は情報から「目的(組織活動や成功)」について審査します。
成功のための戦略・目標と
実際の活動が整合しているかを審査します。
「情報」が「文書化」されてもいいし、データベースでもいいわけです。
よって、品質マニュアルが必要ではなくなったわけです。
ISO9001 2015年版でも審査機関から品質マニュアル提出を求められる
毎年困るのが、
と審査機関から要求されます。
と突き返したいのですが、現実はそうではありません。この理由は、
- 審査員が2008年版から継続しているから、その名残
- 品質マニュアルは組織体制図、理念、ISO9001の要求事項と組織活動がわかる文書なので便利
「便利だから」という理由が強いですね。
●仕組上、品質マニュアルは不要ですが、
●運用上は、便利なので
品質マニュアルを毎年更新しています。
④品質マニュアルは自分で考えて作ってみよう
自分で考えて作る事は大事
●ISO認証のための品質マニュアルは不要になりましたが、ISO関係なく自組織の成功の秘訣をまとめた品質マニュアルは一度考えて作った方がよいでしょうね。
●品質マニュアルとは、何か? どうあるべきか?
●品質の作りこみに、何が必要か?
●組織に品質の重要さをどう醸成させたらよいか?
など、品質の本質を考える習慣がつきます。
品質は考えるから面白い!
新技術や新規事業展開する際に品質マニュアルの設計が必須
成熟産業なら、ほぼ無いですが、近年、DXやAIなどで既存事業が大きく変わる局面に来ています。
ほぼ、匠の技で培ってきた組織に、急にDXの波が来て、デジタル化する組織に変化したら、どうやって品質を担保しますか?品質を作りこむ方法をどう考えるか?など、問われます。
QCプラネッツでは、今後、品質マニュアルを自分で作る演習サイトを立ち上げる予定です。
まとめ
品質マニュアルについてわかりやすく解説しました。
- ①品質マニュアルとは
- ②ISO9001 2008年版までは最重要文書だった
- ③ISO9001 2015年版からは不要な文書
- ④品質マニュアルは自分で考えて作ってみよう
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