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【必読】管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する

管理図

「工程改善すると管理図がどう変化するかわからない」、「どんな変数を変化させると管理図が変わるかわからない」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【必読】管理図でばらつき低減効果が確認できる
実験計画法を使って分散分析と、成分分解します。
管理図も変数毎に層別して、成分の変化による管理図の変化を見ていきます。
実験計画法と管理図を使った応用事例です。良い演習問題です。

本記事の結論

①管理限界外があれば、ばらつき低減する。

②ばらつき低減すると工程安定と判断できる。

③ばらつき低減によって、管理限界の幅が狭くなる。

④また、管理限界外な点が発生する。

⑤さらにばらつきを低減、…

⑥、と継続的改善すれば、ばらつきのない理想な工程に近づく

管理図と分散分析からわかる。

本記事のテーマ

【必読】管理図でばらつき低減効果が確認できる
  • ①データの成分分解、分散分析と層別した管理図を作成
  • ②成分ごとのばらつき低減と管理図の関係を確認
  • ③ばらつき低減すると管理限界が厳しくなりさらに改善へ

記事の信頼性

記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

●You tube動画でも解説しているので、確認ください。

①データの成分分解、分散分析と層別した管理図を作成

実験計画法(三元配置実験)のデータを用意

例題

ある製品の工程では、A工程(2工程)、B機械(3台)、C製造日(10日間)の3つの変数で管理している。この3つの特性から、製品特性Xを測定した結果を下表にまとめた。
A1 A2 A1 A2
C1 B1 16 18 C6 B1 16 18
B2 18 20 B2 18 20
B3 19 15 B3 19 15
C2 B1 7 23 C7 B1 7 23
B2 20 38 B2 20 38
B3 23 25 B3 23 25
C3 B1 20 24 C8 B1 20 24
B2 30 30 B2 30 30
B3 27 17 B3 27 17
C4 B1 2 18 C9 B1 2 18
B2 14 26 B2 14 26
B3 19 15 B3 19 15
C5 B1 20 22 C10 B1 20 22
B2 24 30 B2 24 30
B3 21 19 B3 21 19

実験計画法(三元配置実験)のデータの構造式と分散分析を導出

さて、問題です。

(1)製品の特性を\(x_{ijk}\)、主効果\(α_i\)(A),\(β_j\)(B),\(γ_k\)(C)、全交互作用効果と残差をつけてデータの構造式を求めよ。
(2)分散分析せよ。

実験計画法については、関連記事にまとめています。

究める!実験計画法
QCプラネッツが解説する究める実験計画法。多くの教科書がある中、勉強してもどうしても分からない、苦労している難解な箇所をすべて解説します。多元配置実験、乱塊法、分割法、直交表などなど多くの手法を個別に公式暗記せず、データの構造式をみればすべて導出できる新しい実験計画法を解説します。

データの構造式

さっと、書けるように実験計画法もマスターしてください。

\(x_{ijk}\)=μ+\(α_{i}\)+\(β_{j}\)+\(γ_{k}\)+\((αβ)_{ij}\)+\((αγ)_{ik}\)+\((βγ)_{jk}\)+\(x_{ijk}\)+\(ε_{ijk}\)

3因子のデータの構造式では、平均+主効果+2因子交互作用+残差(3因子交互作用と交絡)となりますね。

分散分析

データの構造式から平方和の分解、平方和の計算、分散分析の計算は大丈夫でしょうか?不安でしたら、関連記事で復習しましょう。
3因子の完全配置実験なので、必ず計算して分散分析してくださいね。いい練習になりますよ。
S φ V F F0
A 240 1 240 12.27 4.41
B 520 2 260 13.3 3.55
C 696 9 77.33 3.95 2.46
A×B 520 2 260 13.3 3.55
A×C 408 9 45.33 2.32 2.46
B×C 296 18 16.44 0.84 2.22
e 352 18 19.56 1
T 3032 59

分散分析表から、
主効果A,B,C,交互作用A×Bが有意であるとわかりますね。

層別した管理図を作成

では、分散分析したデータを各変数A,B,Cについて層別し、\(\bar{X}\)-R管理図に描いてみましょう。

Aについて

管理図

Bについて

管理図

Cについて

管理図

A,Bは特徴的なパターンはありませんが、Cはぎざぎざで、管理限界外の点が見られます。

分散分析の結果が有意な因子を管理図で調べると工程NGな点が見られました。

②成分ごとのばらつき低減と管理図の関係を確認

変数Cについて、工程異常があるので、Cのばらつきを低減することから始めましょう。

Cのばらつきを低減した場合

データの構造式を見ましょう。
\(x_{ijk}\)=μ+\(α_{i}\)+\(β_{j}\)+\(γ_{k}\)+\((αβ)_{ij}\)+\((αγ)_{ik}\)+\((βγ)_{jk}\)+\(ε_{ijk}\)
Cに関する項は、\(γ_{k}\),\((αγ)_{ik}\),\(ε_{ijk}\)(≡\((αβγ)_{ijk}\))ですね。

\(γ_{k}\),\((αγ)_{ik}\),\(ε_{ijk}\)(≡\((αβγ)_{ijk}\))の変動を1/4倍にしましょう。つまり、平方和\(S_C\),\(S_{A×C}\),\(S_{B×C}\),\(S_{e}\)を2乗の1/16倍にします。

分散分析の変化

変化前 S φ V F F0
A 240 1 240 12.27 4.41
B 520 2 260 13.3 3.55
C 696 9 77.33 3.95 2.46
A×B 520 2 260 13.3 3.55
A×C 408 9 45.33 2.32 2.46
B×C 296 18 16.44 0.84 2.22
e 352 18 19.56 1
T 3032 59
変化後 S φ V F F0
A 240 1 240 196.36 4.41
B 520 2 260 212.73 3.55
C 43.5 9 4.83 3.95 2.46
A×B 520 2 260 212.73 3.55
A×C 25.5 9 2.83 2.32 2.46
B×C 18.5 18 1.03 0.84 2.22
e 22 18 1.22 1
T 1389.5 59

平方和\(S_C\),\(S_{A×C}\),\(S_{B×C}\),\(S_{e}\)が1/16倍になりましたね。

管理図の変化

●Cに関して\(\bar{X}\)-R管理図を描きましょう。確かにばらつきが低減した分、管理限界内に入っていることがわかります。

●\(\bar{X}\)管理図の変化(Cについて)

Xbar管理図

●R管理図の変化(Cについて)

R管理図

Cについて、ばらつきを1/4に低減すると、\(\bar{X}\)管理図も、R管理図もばらつきが収まり管理限界内に入ることが分かります。

なお、A,Bについては、それほどの大きな変化はありません。

さらにA,Bのばらつきも低減した場合

残りの効果についてもばらつきを1/4倍に低減しましょう。

分散分析の変化

変化前 S φ V F F0
A 240 1 240 12.27 4.41
B 520 2 260 13.3 3.55
C 696 9 77.33 3.95 2.46
A×B 520 2 260 13.3 3.55
A×C 408 9 45.33 2.32 2.46
B×C 296 18 16.44 0.84 2.22
e 352 18 19.56 1
T 3032 59
変化後 S φ V F F0
A 15 1 15 12.27 4.41
B 32.5 2 16.25 13.3 3.55
C 43.5 9 4.83 3.95 2.46
A×B 32.5 2 16.25 13.3 3.55
A×C 25.5 9 2.83 2.32 2.46
B×C 18.5 18 1.03 0.84 2.22
e 22 18 1.22 1
T 189.5 59

変化前後で、全高価の平方和が1/16に変化しました。

では、分散分析したデータを各変数A,B,Cについて層別し、\(\bar{X}\)-R管理図に描いてみましょう。

Aについて

●\(\bar{X}\)管理図

Xbar管理図

●R管理図

R管理図

Bについて

●\(\bar{X}\)管理図

Xbar管理図

●R管理図

R管理図

Cについて

●\(\bar{X}\)管理図

Xbar管理図

●R管理図

R管理図
ばらつきは大幅に低減されましたが、管理限界の幅も狭まり、工程不良が再度出現しました。これを何度も繰り返すと、ばらつきのない安定した理想とする工程に近づきます。

演習問題

上のデータを分散分析、\(\bar{X}\)-R管理図を作成し、ばらつき低減と管理図の変化を確認せよ。

是非解いてみてください。本記事の結果と一致すればOKです。

まとめ

管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する方法を解説しました。

  • ①データの成分分解、分散分析と層別した管理図を作成
  • ②成分ごとのばらつき低減と管理図の関係を確認
  • ③ばらつき低減すると管理限界が厳しくなりさらに改善へ


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