【必読】管理図の第1種の誤りと第2種の誤り(検出力)がわかる
「第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の関係がわからない」、「工程変化によって管理図から不良確率を求める方法がわからない」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①工程が変化した場合に注意する
- ②第1種の誤りと管理図の関係
- ③第2種の誤り&検出力と管理図の関係
- ④誤りと検出力を計算する演習問題
記事の信頼性
記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。
●You tube動画でも解説しています。ご覧ください。
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。
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①工程が変化した場合に注意する
2点注意しましょう。
- 工程平均がシフトした場合
- 工程ばらつきが変化(特に増大)した場合
工程変化によって、管理限界を超える不良が増大する点に注意すればOKです。図で理解しましょう。
工程平均がシフトした場合
工程ばらつきが増大した場合
②第1種の誤りと管理図の関係
第1種の誤り(生産者危険)とは?
復習になりますが、検定と推定や抜取検査でも出て来るので、再度確認しましょう。
関連記事でも確認しましょう。
抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える
工程は異常がないのに、管理図で異常点が発見され、異常と誤判断する確率
第1種の誤り(生産者危険)と管理図について
図で説明します。
図のとおり、工程自体は安定で問題ないのですが、わずかな確率でも管理限界外な点をとることがあります。管理図で異常となったからとして、すぐに工程を見直すのではなく、そのデータの確からしさを吟味する必要があります。
なお、管理限界を3σとする正規分布で仮定する場合、第1種の誤りとなる確率は0.26%(Kp=3のとき、p=0.13%)です。
③第2種の誤りと管理図の関係
第2種の誤り(消費者危険)とは?
復習になりますが、検定と推定や抜取検査でも出て来るので、再度確認しましょう。
関連記事でも確認しましょう。
抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える
工程に異常(改善が必要)なのに、管理図で異常がみられず、正常と誤判断する確率
第2種の誤り(消費者危険)と管理図について
図で説明します。
図のとおり、工程自体は問題なのですが、管理図でチェックして異常でないことがわかります。異常を検知できないリスクとなります。
図の注意点
教科書では、
●管理限界外の領域を検出力1-β
●管理限界内の領域を第2種の誤り(消費者危険)(β)
としています。
しかし、第2種の誤り(消費者危険)(β)や検出力(1-β)は検定と推定、抜取検査などにも出る概念で、それらと整合性を取ると逆になると考えます。
母平均の検定における棄却域をグラフで描くと、
管理限界外:第2種の誤り(消費者危険)(β)
管理限界内:検出力(1-β)
です。
どちらか正解かではなく、どちらを正にするかはよく考える必要があります。
④誤りと検出力を計算する演習問題
以下の問いを例に解いてみましょう。QC検定®1級の頻出問題なので、必読です。
- 工程平均μが変化した場合の管理限界外となる確率の計算
- 工程ばらつきσが変化した場合の管理限界外となる確率の計算
- 工程変化した場合の検出力の計算
例題
(1)工程が変化しない場合、第1種の誤りとなる確率はいくらか。
(2)工程平均が0.4σ大きくなった場合、管理図で管理限界線を超える(異常となる)確率と、検出力はそれぞれいくらか。
(3)工程ばらつきがσ⇒1.2σと大きくなった場合、管理図で管理限界線を超える(異常となる)確率と、検出力はそれぞれいくらか。
例題の解説
●(1)
上下の管理限界線を超える確率を求めます。
平均を中心とした対称性がある分布なので、
上側の確率の2倍でよいです。
上側の確率はKp=3の時の確率です。
正規分布表でKp=3のときは、p=0.13%です。
よって、答えは0.26%です。
●(2)
検定統計量Kp=\(\frac{\bar{x}-μ}{σ/\sqrt{n}}\)を考えます。
もともと3σで管理限界を設けていますので、
Kp=3,\(\bar{x}\)=UCLまたはLCL,μは平均として、
検定統計量Kp=3=\(\frac{\bar{x}-μ}{σ/\sqrt{n}}\)が成り立っています。
そこに、工程平均が0.4σ大きくなったので、式を追加します。
検定統計量Kp’=\(\frac{\bar{x}-(μ+0.4σ)}{σ/\sqrt{n}}\)
=\(\frac{\bar{x}-(μ)}{σ/\sqrt{n}}\)-\(\frac{0.4σ}{σ/\sqrt{n}}\)
となり、
Kp’=\(\frac{\bar{x}-(μ)}{σ/\sqrt{n}}\)-0.4\(\sqrt{n}\)
=3-0.4\(\sqrt{6}\)
=2.02となります。
この式はQC検定®1級攻略に必須な式です。
工程が上側にシフトしたので、下側の確率は0として無視します。
Kp=2.02となる確率は正規分布表からP=0.0217(2.1%)⇒第2種の誤り。
検出力は1-β=1-0.0217=0.9783(97.8%)
●(3)
(2)と同様に
検定統計量Kp=3=\(\frac{\bar{x}-μ}{σ/\sqrt{n}}\)が成り立っています。
そこに、工程ばらつきが1.2倍大きくなったので、式を追加します。
検定統計量Kp’=\(\frac{\bar{x}-(μ)}{1.2σ/\sqrt{n}}\)
=Kp/1.2=3/1.2
=2.5となります。
異常確率は管理限界の上下の両側を求めます。
Kp=2.5となる確率は正規分布表からP=0.0062(0.62%)
確率は2倍してP=0.0124(1.24%))⇒第2種の誤り。
検出力は1-β=1-0.0124=0.99876(99.9%)
まとめ
管理図における第1種の誤りと第2種の誤りについて、解説しました。
- ①工程が変化した場合に注意する
- ②第1種の誤りと管理図の関係
- ③第2種の誤り&検出力と管理図の関係
- ④誤りと検出力を計算する演習問題
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