乱塊法(2因子)の分散分析・区間推定が解ける【必見】
「乱塊法って何なの?」、「乱塊法の分散分析や期待値の導出がわからない、解けない」、「分散分析表から調べたい効果の区間推定の導出方法がわからない」など、乱塊法の分散分析の解法がわからず、期待値の式など暗記で片付けていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
乱塊法(2因子)の分散分析や期待値の導出
- ➀乱塊法とは何かがわかる
- ②乱塊法(2因子)のデータの構造式が書ける
- ③乱塊法(2因子)の平方和の分解の式が書ける
- ④乱塊法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
- ⑤乱塊法の分散分析ができる
- ⑥乱塊法の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
- ⑦乱塊法(2因子)の分散分析を導出できる演習問題
記事の信頼性
記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。本記事は、どこに書いていない、私が研究して見つけた本記事限定の内容です。
実験計画法の肝なので、必読です!
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➀乱塊法とは何かがわかる
関連記事乱塊法(4因子)の分散分析・区間推定が解ける【必見】に解説しています。
ポイントは次の3つです。
- 英語をそのまま日本語にするから変な言葉(乱塊法)になる
- フィッシャーの農場の歴史や局所管理の内容は理解しなくても大丈夫
- データの構造式を理解すれば乱塊法は怖くない!
データの構造式から乱塊法を理解する
- 完全配置実験のデータの構造式を作る
- 一部の項を変形すれば乱塊法になる
完全配置実験のデータの構造式を乱塊法へ変形するプロセスが理解できれば十分です。
②乱塊法(2因子)のデータの構造式が書ける
データの構造式
2因子の完全配置実験のデータの構造式からスタートします。機械的に書けますね。
二元配置実験のデータの構造式
xijk=μ+αi+βj+(αβ) ij+eijk
次に、乱塊法に変形します。ここで、βjを反復因子としてブロック因子に定義します。因子Aは調べたい因子、Bは反復因子として区別します。
- 調べたい因子A:主効果と互いの交互作用を対象
- 反復因子B:主効果のみ
反復因子Bと因子Aとの交互作用に意味を持たないため、残差にプーリング
します。
まとめると、次の式変形を行います。
- βjをαiの前に持っていく
- (αβ) ijとeijkをeijに合併する。
(添字kを消去します。)
乱塊法(2因子)のデータの構造式
xij=μ+βj+αi+ eij
とすれば、乱塊法に変えることができます。
二元配置実験で交互作用を含まない場合のデータの構造式と同じですね。
各平均値をデータの構造式で作る
母数因子と変量因子の違い
関連記事【簡単】母数因子と変量因子の違いがすぐわかるにて、母数因子と変量因子を解説しました。
母数因子と変量因子
母数因数:α
変量因子:β、e
平均値
母数因数の平均は0。
変量因子の平均は0ではない。
平均値を式にする場合、添字のない文字項はすべて0にしますが、変量因子の場合は平均値をいれます。
平均値の式の代表例
データの構造式
xij=μ+βj+αi+ eij
\(\bar{x_{i・}}\)=μ+\(\bar{β}\)+\(α_i\)+\(\bar{e_{i・}}\)
\(\bar{x_{・j}}\)=μ+\(β_j\)+\(\bar{e_{・j}}\)
\(\bar{\bar{x}}\)=μ+\(\bar{β}\)+\(\bar{\bar{e}}\)
③乱塊法(2因子)の平方和の分解の式が書ける
データの構造式を変形
式を書くと見づらいので、表にまとめます。分散分析はデータの構造式が複雑になると表で整理するのがオススメです。
SA | SB | Se | |
\(x_{ij}\) | 1 | ||
\(\bar{x_{i・}}\) | 1 | -1 | |
\(\bar{x_{・j}}\) | 1 | -1 | |
\(\bar{\bar{x}}\) | -1 | -1 | 1 |
表から各平方和の導出式が簡単にでますね。SB ,Seを例に挙げます。
\(S_B\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\( (\bar{x_{・j}}-\bar{\bar{x}})^2\)
\(S_e\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}}-\bar{x_{・j}}+\bar{\bar{x}})^2\)
と書けますね。
④乱塊法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
期待値については、関連記事確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】をご覧下さい。
主効果の分散の期待値の導出
E[\(S_B\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\( (\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)]
=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\( (β_j+\bar{e_{・j}}-\bar{\bar{e}})^2\)]
=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((β_j )^2\)]
+E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((\bar{e_{・j}}-\bar{\bar{e}})^2\)]
=\(a(b-1)σ_B^2\) +\((b-1)(σ_e^2\))
主効果Bの自由度は(b-1)より、分散の期待値E[VB]が求まります。
E[\(V_B\)]=\(aσ_C^2\) +\(σ_e^2\)
なお、分散の期待値を以下とします。
\( σ_B^2\)=E[\(\frac{\sum_{j=1}^{b}β_j^2}{b-1}\)]
\(σ_e^2\)については解説集にあります。
残差の分散の期待値の導出
E[\(S_e\)]= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}}-\bar{x_{・j}}+\bar{\bar{e}})^2\)]
=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)\((e_{ij}-\bar{e_{i・}}-\bar{e_{・j}}+\bar{\bar{e}})^2\)]
=(ab-a-b+1)\(σ_e^2\)
=(a-1)(b-1) \(σ_e^2\)
E[\(S_e\)]=(a-1)(b-1)\(σ_e^2\)
(全計算過程は解説集にあります)
残差eの自由度は(a-1)(b-1)より、分散の期待値E[Ve]が求まります。自由度の計算結果は次の節で紹介します。計算は複雑ですが、自由度で割ると\(σ_e^2\)になることがわかります。
E[e]=\(σ_e^2\)
⑤乱塊法の分散分析ができる
自由度の計算
各主効果・交互作用の自由度の計算は簡単です。関連記事【簡単】データの構造式で実験計画法がわかる(必読)に解説しています。まとめると次の3つです。
- データの構造式を書く
- 主効果・交互作用の構造式にある添字から自由度を算出
- 自由度は表を活用すると簡単に求まる
自由度をまとめます。
SA | SB | Se | |
a | 1 | -1 | |
b | 1 | -1 | |
ab | 1 | ||
1 | -1 | -1 | 1 |
分散分析の結果
分散分析表を作ります。
φ | E[V] | |
A | a-1 | \(σe^2\)+b\(σ_A^2\) |
B | b-1 | \(σe^2\)+a\(σ_B^2\) |
e | (a-1)(b-1) | \(σe^2\) |
T | ab-1 | – |
⑥乱塊法の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
母平均の点推定の導出方法
有効繰返し数と区間推定の導出方法
区間推定は、下の式で算出します。
$$ \bar{μ}±t(φ_e,α)\sqrt{\frac{V_e}{n_e}}$$
区間推定のポイント
- ルートの中は、誤差eの分散から個数を割ったものが入る
- 誤差eの自由度φeである。
- Veが複数項である場合、サタースウェイトの式から自由度を導出
サタースウェイトの式については、ここを見てください。
主効果の点推定と区間推定の導出
分散の期待値から分散の推定値を導出
分散分析から、eの分散の推定値E[V]を導出します。
VB=\(σe^2\)+a\(σ_B^2\)
Ve=\(σe^2\)
よって、
\(\widehat{σ_B^2}\)= \(\frac{1}{a}\)( VB-Ve)
\(\widehat{σ_e^2}\)= Ve
主効果Aの点推定と区間推定
点推定: \(\widehat{μ}(A_i)=\bar{x_{i・}}\)=\(\widehat{μ+α_i}\)
=\(μ+\bar{β}+α_i +\bar{e_{i・}}\)
分散:\(\widehat{Var}(\widehat{μ}( A_i))\)
=V[μ+\(\bar{β} +\bar{e_{i・}}\)]
=V[\(\bar{β}\)]+V[\(\bar{e_{i・}}\)]
=\(\frac{\widehat{σ_B^2}}{b}\)+\(\frac{\widehat{σ_e^2}}{b}\)
Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。
主効果Bの点推定と区間推定
点推定: \(\widehat{μ}(B_j)=\bar{x_{・j}}\)=\(\widehat{μ+β_j}\)
=\(μ+\bar{r}+β_j +\bar{e_{・j}}\)
分散:\(\widehat{Var}(\widehat{μ}( B_j))\)
=V[μ+β_j +\bar{e_{・j}}\)]
=V[\(β_j \)]+V[\(\bar{e_{・j}}\)]
=\(\widehat{σ_B^2}\)+\(\frac{\widehat{σ_e^2}}{a}\)
Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。
Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。
一連の導出過程を解説しました。
⑦乱塊法(2因子)の分散分析を導出できる演習問題
本記事で扱ったデータの構造式において、以下の演習問題を解いてみましょう。詳細は解説集にあります。
xij=μ+βj+αi+ eij
因子A,Bの自由度はそれぞれa,bとする。
また因子Bは反復として変量因子として扱う。
(1)主効果、交互作用、残差eの自由度と分散の期待値を導出せよ。
(詳細は解説集にあります。)
まとめ
乱塊法(2因子)の分散分析の導出過程を詳細に解説しました。
- ➀乱塊法とは何かがわかる
- ②乱塊法(2因子)のデータの構造式が書ける
- ③乱塊法(2因子)の平方和の分解の式が書ける
- ④乱塊法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
- ⑤乱塊法の分散分析ができる
- ⑥乱塊法の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
- ⑦乱塊法(2因子)の分散分析を導出できる演習問題
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