三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析・区間推定が解ける【必見】
「三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析や期待値の導出が複雑でわからない、解けない」、「分散分析表から調べたい効果の区間推定の導出方法がわからない」など、三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析の解法がわからず、期待値の式など暗記で片付けていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析や期待値の導出
- ①三元配置実験(繰り返し有り)のデータの構造式が書ける
- ②三元配置実験(繰り返し有り)の平方和の分解の式が書ける
- ③三元配置実験(繰り返し有り)の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
- ④三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析ができる
- ⑤三元配置実験(繰り返し有り)の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
- ⑥三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析を導出できる演習問題
記事の信頼性
記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。本サイトは、4因子繰返し有りの分散分析まで解説します。本サイトは必見です。
実験計画法の肝なので、必読です!
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①三元配置実験(繰り返し有り)のデータの構造式が書ける
データの構造式
3因子の完全配置実験のデータの構造式からスタートします。機械的に書けますね。
三元配置実験のデータの構造式
xijkl=μ+αi+βj+γk
+ (αβ) ij+(αγ) ik+(βγ) jk
+(αβγ) ijk+ eijkl
各平均値をデータの構造式で作る
α、β、γは母数因子なので、1つの添え字についての合計がすべて0となります。
\(\sum_{i=1}^{a} α_i\)=0
\(\sum_{j=1}^{b} β_j\)=0
\(\sum_{k=1}^{c} γ_k\)=0
\(\sum_{i=1}^{a}(αβ)_{ij}\)=0, \(\sum_{j=1}^{b}(αβ)_{ij}\)=0
\(\sum_{i=1}^{a}(αγ)_{ik}\)=0, \(\sum_{k=1}^{c}(αγ)_{ik}\)=0
\(\sum_{j=1}^{b}(βγ)_{jk}\)=0, \(\sum_{k=1}^{c}(βγ)_{jk}\)=0
\(\sum_{i=1}^{a}(αβγ)_{ijk}\)=0, \(\sum_{j=1}^{b}(αβγ)_{ijk}\)=0, \(\sum_{k=1}^{c}(αβγ)_{ijk}\)=0
この関係が、平方和の分解にて
(x+y)2=x2+ y2, xy=0
を満たします。
なお、母数因子ではない変量因子の場合は上の式が0ではない値になります。
平均値の式の代表例
データの構造式
xijkl=μ+αi+βj+γk
+ (αβ) ij+(αγ) ik+(βγ) jk
+(αβγ) ijk+ eijkl
\(\bar{x_{i・・・}}\)=μ+\(α_i\)+\(\bar{e_{i・・・}}\)
\(\bar{x_{・j・・}}\)=μ+\(β_j\)+\(\bar{e_{・j・・}}\)
\(\bar{x_{・・k・}}\)=μ+\(γ_k\)+\(\bar{e_{・・k・}}\)
\(\bar{x_{ij・・}}\)=μ+\(α_i\)+\(β_j\)+\((αβ)_{ij}\)+\(\bar{e_{ij・・}}\)
\(\bar{x_{i・k・}}\)=μ+\(α_i\)+\(γ_k\)+\((αγ)_{ik}\)+\(\bar{e_{i・k・}}\)
\(\bar{x_{・jk・}}\)=μ+\(β_j\)+\(γ_k\)+\((βγ)_{jk}\)+\(\bar{e_{・jk・}}\)
\(\bar{x_{ijk・}}\)=μ+\(α_i\)+\(β_j\)+\(γ_k\)+\((αβ)_{ij}\)+\((αγ)_{ik}\)+\((βγ)_{jk}\)+\((αβγ)_{ijk}\)+\(\bar{e_{ijk・}}\)
\(\bar{\bar{x}}\)=μ+\(\bar{\bar{e}}\)
②三元配置実験(繰り返し有り)の平方和の分解の式が書ける
データの構造式を変形
式を書くと見づらいので、表にまとめます。分散分析はデータの構造式が複雑になると表で整理するのがオススメです。
SA | SB | SC | SA×B | SA×C | SB×C | SA×B×C | Se | |
\(x_{ijkl}\) | 1 | |||||||
\(\bar{x_{i・・・}}\) | 1 | -1 | -1 | 1 | ||||
\(\bar{x_{・j・・}}\) | 1 | -1 | -1 | 1 | ||||
\(\bar{x_{・・k・}}\) | 1 | -1 | -1 | 1 | ||||
\(\bar{x_{ij・・}}\) | 1 | -1 | ||||||
\(\bar{x_{i・k・}}\) | 1 | -1 | ||||||
\(\bar{x_{・jk・}}\) | 1 | -1 | ||||||
\(\bar{x_{ijk・}}\) | 1 | -1 | ||||||
\(\bar{\bar{x}}\) | -1 | -1 | -1 | 1 | 1 | 1 | -1 |
表から各平方和の導出式が簡単にでますね。SC、SA×B×C,Seを例に挙げます。
\(S_C\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\( (\bar{x_{・・k・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
\(S_{ A×B×C }\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((\bar{x_{ijk・}}-\bar{x_{ij・・}}-\bar{x_{i・k・}}-\bar{x_{・jk・}}\)\(\bar{x_{i・・・}}+\bar{x_{・j・・}}+\bar{x_{・・k・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
\( S_e\)= \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((x_{ijkl}-\bar{x_{ijk・}})^2\)
と書けますね。他の平方和も同様にΣΣΣΣΣ( )^2で計算できます。
③三元配置実験(繰り返し有り)の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
期待値については、関連記事確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】をご覧下さい。
本記事では因子C、残差eについて導出過程を詳しく見ていきます。
●因子A,Bについては、次の関連記事で導出過程を確認ください。
二元配置実験(繰り返し有り)の分散分析・区間推定が解ける【必見】 実験計画法の、二元配置実験(繰り返し有り)の分散分析、分散の期待値の導出、主効果・交互作用の区間推定の導出ができますか?公式暗記で済ませていませんか?本記事は、二元配置実験(繰り返し有り)の分散分析、分散の期待値の導出、区間推定の導出を解説します。分散分析、期待値の導出、区間推定をマスターしたい方は必見です。 |
主効果の分散の期待値の導出
E[\(S_C\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((\bar{x_{・・k・}}-\bar{\bar{x}})^2\)]
=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\( (γ_k+\bar{e_{・・k・}}-\bar{\bar{e}})^2\)]
=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((γ_k )^2\)]
+E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((\bar{e_{・・k・}}-\bar{\bar{e}})^2\)]
=\(abd(c-1)σ_C^2\) +\((c-1)(σ_e^2\))
主効果Cの自由度は(c-1)より、分散の期待値E[VC]が求まります。
E[\(V_C\)]=\(abdσ_C^2\) +\(σ_e^2\)
なお、分散の期待値を以下とします。
\( σ_C^2\)=E[\(\frac{\sum_{k=1}^{c}γ_k^2}{c-1}\)]
\(σ_e^2\)については解説集にあります。
交互作用の分散の期待値の導出
E[\(S_{ A×B×C }\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d} \)
\((\bar{x_{ijk・}}-\bar{x_{ij‥}}-\bar{x_{i・k・}}-\bar{x_{・jk・}}\)
+\(\bar{x_{i・・・}}+\bar{x_{・j・・}}+\bar{x_{・・k・}}-\bar{\bar{x}})^2\)]
= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\(((αβγ)_{ijk}+(\bar{e_{ijk・}}-\bar{e_{ij‥}}-\bar{e_{i・k・}}-\bar{e_{・jk・}}\)
+\(\bar{e_{i‥・}}-\bar{e_{・j‥}}-\bar{e_{・・k・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]
= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\(((αβγ)_{ijk}^2)\)]
+ E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((\bar{e_{ijk・}}-\bar{e_{ij‥}}-\bar{e_{i・k・}}-\bar{e_{・jk・}}\)
+\(\bar{e_{i‥・}}+\bar{e_{・j‥}}+\bar{e_{・・k・}}-\bar{\bar{e}}))^2\)]
第1項:
=dE[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\(((αβγ)_{ijk}^2)\)
=\(d(a-1)(b-1)(c-1)σ_{A×B×C}^2\)
第2項:
結論から言うと
eの添え字を見ると
ijk-ij-ik-jk+i+j+k-1が見えるので、i⇒a,j⇒b,k⇒cに変えます。
⇒abc-ab-ac-bc+a+b+c-1になるので、因数分解して
=\((a-1)(b-1)(c-1)σ_e^2\)
E[\(S_{A×B×C}\)]
=\(d(a-1)(b-1)(c-1)σ_{A×B×C}^2\)
+\((a-1)(b-1)(c-1)σ_e^2\)
交互作用A×B×Cの自由度は(a-1)(b-1)(c-1)より、分散の期待値E[VA×B×C]が求まります。
E[\(V_{A×B×C}\)]=\(dσ_{A×B×C}^2\)+\(σ_e^2\)
なお、分散の期待値を以下とします。
\( σ_{ A×B×C }^2\)=E[\(\frac{\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}(αβγ)_{ijk}^2}{(a-1)(b-1)(c-1)}\)]
\(σ_{e}^2\)については解説集にあります。
残差の分散の期待値の導出
E[\(S_e\)]= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((x_{ijkl}-\bar{ x_{ijk・}})^2\)]
= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)\((e_{ijkl}-\bar{ e_{ijk・}})^2\)]
=abc(d-1)\(σ_e^2\)
(結論を言うと同様に ijkl-ijkをabcdに直して、abcd-abcを因数分解します。)
E[\(S_e\)]= abc(d-1)\(σ_e^2\)
(全計算過程は解説集にあります)
残差eの自由度はabc(d-1)より、分散の期待値E[Ve]が求まります。自由度の計算結果は次の節で紹介します。計算は複雑ですが、自由度で割ると\(σ_e^2\)になることがわかります。
E[e]=\(σ_e^2\)
④三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析ができる
自由度の計算
各主効果・交互作用の自由度の計算は簡単です。関連記事【簡単】データの構造式で実験計画法がわかる(必読)に解説しています。まとめると次の3つです。
- データの構造式を書く
- 主効果・交互作用の構造式にある添字から自由度を算出
- 自由度は表を活用すると簡単に求まる
SA | SB | SC | SA×B | SA×C | SB×C | SA×B×C | Se | |
a | 1 | -1 | -1 | 1 | ||||
b | 1 | -1 | -1 | 1 | ||||
c | 1 | -1 | -1 | 1 | ||||
ab | 1 | -1 | ||||||
ac | 1 | -1 | ||||||
bc | 1 | -1 | ||||||
abc | 1 | -1 | ||||||
abcd | 1 | |||||||
1 | -1 | -1 | -1 | 1 | 1 | 1 | -1 |
分散分析の結果
分散分析表を作ります。
φ | E[V] | |
A | a-1 | \(σ_e^2\)+bcd\(σ_A^2\) |
B | b-1 | \(σ_e^2\)+acd\(σ_B^2\) |
C | c-1 | \(σ_e^2\)+abd\(σ_C^2\) |
A×B | (a-1)(b-1) | \(σ_e^2\)+cd\(σ_{A×B}^2\) |
A×C | (a-1)(c-1) | \(σ_e^2\)+bd\(σ_{A×C}^2\) |
B×C | (b-1)(c-1) | \(σ_e^2\)+ad\(σ_{B×C}^2\) |
A×B×C | (a-1)(b-1)(c-1) | \(σ_e^2\)+d\(σ_{A×B×C}^2\) |
e | abc(d-1) | \(σ_e^2\) |
T | abcd-1 | – |
⑤三元配置実験(繰り返し有り)の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
母平均の点推定の導出方法
有効繰返し数と区間推定の導出方法
区間推定は、下の式で算出します。
$$ \bar{μ}±t(φ_e,α)\sqrt{\frac{V_e}{n_e}}$$
区間推定のポイント
- ルートの中は、誤差eの分散から個数を割ったものが入る
- 誤差eの自由度φeである。
- Veが複数項である場合、サタースウェイトの式から自由度を導出
サタースウェイトの式については、ここを見てください。
主効果の点推定と区間推定の導出
分散の期待値から分散の推定値を導出
分散分析から、eの分散の推定値E[V]を導出します。
Ve=\(σ_e^2\)
よって、
\(\widehat{σ_e^2}\)= Ve
主効果の点推定と区間推定
点推定: \(\widehat{μ}(C_k)=\bar{x_{‥k・}}\)=\(\widehat{μ+γ_k}\)
=\(μ+\bar{e_{‥k・}}\)
分散:\(\widehat{Var}(\widehat{μ}(C_k))\)
=V[μ+\(\bar{e_{‥k・}}\)]
=V[\(\bar{e_{‥k・}}\)]
=\(\frac{\widehat{σ_e^2}}{abd}\)
Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。
交互作用の区間推定
点推定: \(\widehat{μ}(A_i B_j C_k)\)=\(\bar{x_{ijk・}}\)
=\(μ+α_i+β_j+γ_k+(αβγ)_{ijk}+\bar{e_{ijk・}}\)
分散:\(\widehat{Var}(\widehat{μ}(A_i B_j C_k))\)
=V[μ+\(α_i+β_j+γ_k+(αβγ)_{ijk}+\bar{e_{ijk・}}\)]
=V[\(\bar{e_{ijk・}}\)]
=\(\frac{\widehat{σ_e^2}}{d}\)
Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。
一連の導出過程を解説しました。
⑥三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析を導出できる演習問題
本記事で扱ったデータの構造式において、以下の演習問題を解いてみましょう。詳細は解説集にあります。
xijkl=μ+αi+βj+γk
+ (αβ) ij+(αγ) ik
+(αβγ) ijk+ eijkl
((βγ) jkをeijklmにプーリングした場合を考える。)
因子A,B,Cの自由度はそれぞれa,b,cとする。
(1)主効果、交互作用,残差eの自由度と分散の期待値を導出せよ。
(2)主効果,交互作用の点推定と区間推定を計算せよ。
(詳細は解説集にあります。)
まとめ
三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析の導出過程を詳細に解説しました。
- ①三元配置実験(繰り返し有り)のデータの構造式が書ける
- ②三元配置実験(繰り返し有り)の平方和の分解の式が書ける
- ③三元配置実験(繰り返し有り)の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
- ④三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析ができる
- ⑤三元配置実験(繰り返し有り)の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
- ⑥三元配置実験(繰り返し有り)の分散分析を導出できる演習問題
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119