母平均差の区間推定の導出がわかる
「母平均差の区間推定の導出はどうやればいいの?」、「新たに採取するデータを含める場合の推定区間はどう導出すればいいの?」など、疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
母平均差の区間推定
(平均差)±t(φe,α)\(\sqrt{\frac{V_e}{n_e}}\)
\(\frac{1}{n_e}\)=\(\frac{1}{n_1}\)+\(\frac{1}{n_2}\)となる理由
新たに採取するデータを含めた場合の区間推定
(平均)±t(φe,α)\(\sqrt{\frac{V_e}{n_e}}\)
\(\frac{1}{n_e}\)=1+\(\frac{1}{n_1}\)となる理由
を解説します。
母平均差などの区間推定の導出がわかる
- ➀区間推定の有効繰返し数neが変化する理由
- ②繰返し有り無しの二元配置実験の場合
- ③分割法の場合
記事の信頼性
記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。
➀区間推定の有効繰返し数neが変化する理由
母平均差の場合
一元配置実験を使って解説します。
データの構造式を書きます。
xij=μ+αi+ εij
次に因子Aについて、2つの母平均差を立式します。
μ(Ai)-μ(Ai’)
=(μ+αi+εi・)-(μ+αi’+εi’・)
=(αi-αi’)+(εi・-εi’・)
と変形します。
次に分散を求めましょう。
V(μ(Ai)-μ(Ai’))
=V((αi-αi’)+(εi・-εi’・))
=V(εi・-εi’・)
= V(εi・)+V(εi’・)
と分解できます。
この分散の中の項で分解できる性質があるため、有効繰返し数neの式が変化するのです。
V(εi・)=\(\frac{V_e}{n_a}\)
V(εi’・)=\(\frac{V_e}{n_a’}\)
V=\(\frac{V_e}{n_a}\)+\(\frac{V_e}{n_a’}\)
=(\(\frac{1}{n_a}\)+\(\frac{1}{n_a’}\))\(V_e\)
よって、
\(\frac{1}{n_e}\)=\(\frac{1}{n_a}\)+\(\frac{1}{n_a’}\)
が成り立ちます。
なお、一元配置実験の場合はa=a’なので、
\(\frac{1}{n_e}\)=\(\frac{2}{n_a}\)
となります。
公式暗記せずに、理解すれば、機械的に書き出せますね。
新たにデータ取得する場合
一元配置実験を使って解説します。
データの構造式を書きます。
xij=μ+αi+ εij
新たにr個からなるデータを追加します。
新たなデータによって変化するかどうかを確かめるために、差をとります。
μ(Ai)-μ(Ai’)
=(μ+αi+εi・)-(μ+αi’+εi’・)
=(αi-αi’)+(εi・-εi’・)
と変形します。母平均差と同じ考え方です。
次に分散を求めましょう。
V(μ(Ai)-μ(Ai’))
=V((αi-αi’)+(εi・-εi’・))
=V(εi・-εi’・)
= V(εi・)+V(εi’・)
と分解できます。
この分散の中の項で分解できる性質があるため、有効繰返し数neの式が変化するのです。
V(εi・)=\(\frac{V_e}{n_a}\)
V(εi’・)=\(\frac{V_e}{n_r}\)
V=\(\frac{V_e}{n_a}\)+\(\frac{V_e}{n_r}\)
=(\(\frac{1}{n_a}\)+\(\frac{1}{n_r}\))\(V_e\)
よって、
\(\frac{1}{n_e}\)=\(\frac{1}{n_a}\)+\(\frac{1}{n_r}\)
が成り立ちます。
aは元のデータの自由度、rは新たに取得したデータの自由度とします。
なお、よく教科書ではVe/neを大きくして推定区間を広くみたいため、
\(\frac{1}{n_r}\)の\(n_r\)を1とすることが多いです。
\(\frac{1}{n_e}\)=1+\(\frac{1}{n_a}\)
としています。
公式暗記せずに、理解すれば、機械的に書き出せますね。
②繰返し有り無しの二元配置実験の場合
ここでは、組合せABの推定区間を考えます。
繰返し無しの二元配置実験の場合
データの構造式を書きます。
xij=μ+αi+βj+εij
組合せABの平均値を導出します。関連記事【簡単】データの構造式から母平均の点推定が導出できるに、導出方法を解説しています。
μ(AiBj)=μ+\(α_i\)+\(β_j\)
=\(\bar{\bar{x}}\)+(\(\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}}\))+(\(\bar{x_{・j}}-\bar{\bar{x}}\))
=\(\bar{x_{i・}}\)+\(\bar{x_{・j}}\)-\(\bar{\bar{x}}\)
母平均差について式を作ります。
μ(AiBj)-μ(Ai’Bj’)
=(\(\bar{x_{i・}}\)+\(\bar{x_{・j}}\)-\(\bar{\bar{x}}\))-(\(\bar{x_{i’・}}\)+\(\bar{x_{・j’}}\)-\(\bar{\bar{x}}\))
=(\(\bar{x_{i・}}-\bar{x_{i’・}}\))+(\(\bar{x_{・j}}\)-\(\bar{x_{・j’}}\))
=\((α_i-α_i’)\)+ \((β_j-β_j’)\)+ \((\bar{ε_{i・}}-\bar{ε_{i’・}})\)+ \((\bar{ε_{・j}}-\bar{ε_{・j’}})\)
分散を求めます。
V(μ(AiBj)-μ(Ai’Bj’))
=V(\((\bar{ε_{i・}}-\bar{ε_{i’・}})\)+ \((\bar{ε_{・j}}-\bar{ε_{・j’}})\)
=V(\(\bar{ε_{i・}}\))+ V(\(\bar{ε_{i’・}}\))+ V(\(\bar{ε_{・j}}\))+ V(\(\bar{ε_{・j’}}\))
=\(\frac{2}{b}V_e\)+\(\frac{2}{a}V_e\)
となります。
よって、推定区間は
\((α_i-α_i’)\)+ \((β_j-β_j’)\)±t(\(φ_e\),α)\(\sqrt{(\frac{2}{b}+\frac{2}{a})V_e}\)
となります。
繰返し有りの二元配置実験の場合
データの構造式を書きます。
xijk=μ+αi+βj+αβij+εijk
組合せABの平均値を導出します。
μ(AiBj)=μ+\(α_i\)+\(β_j\)+\((αβ)_{ij}\)
=\(\bar{\bar{x}}\)+(\(\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})\)+(\(\bar{x_{・j}}-\bar{\bar{x}}\))+(\(\bar{x_{ij・}}-\bar{x_{i‥}}-\bar{x_{・j・}}+\bar{\bar{x}}\))
=\(\bar{x_{ij・}}\)
母平均差について式を作ります。
μ(AiBj)-μ(Ai’Bj’)
=\(\bar{x_{ij・}}\)-\(\bar{x_{i’j’・}}\)
=\((αβ)_{ij}-(αβ)_{i’j’}\)+\((\bar{ε_{ij・}}-\bar{ε_{i’j’・}})\)
分散を求めます。
V(μ(AiBj)-μ(Ai’Bj’))
=V(\((\bar{ε_{ij・}}-\bar{ε_{i’j’・}})\))
=\(\frac{2}{c}V_e\)
となります。
よって、推定区間は
\((αβ)_{ij}-(αβ)_{i’j’})\)±t(\(φ_e\),α)\(\sqrt{\frac{2}{c}V_e}\)
となります。
同じABでも、交互作用の有無によって式が変わるのがわかります。
③分割法の場合
同様に算出します。
データの構造式を書きます。
xijk=μ+γk+αi+ε(1)ik
+βj+αβij+ε(2)ijk
組合せABの平均値を導出します。
μ(AiBj)=μ+\(α_i\)+\(β_j\)+\((αβ)_{ij}\)
=\(\bar{\bar{x}}\)+(\(\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})\)+(\(\bar{x_{・j}}-\bar{\bar{x}})\)+(\(\bar{x_{ij・}}-\bar{x_{i‥}}-\bar{x_{・j・}}+\bar{\bar{x}}\))
=\(\bar{x_{ij・}}\)
母平均差について式を作ります。
μ(AiBj)-μ(Ai’Bj’)
=\(\bar{x_{ij・}}\)-\(\bar{x_{i’j’・}}\)
=\((αβ)_{ij}-(αβ)_{i’j’}\)+\((\bar{ε_{(1)i・}}-\bar{ε_{(1)i’・}})\)+\((\bar{ε_{(2)ij・}}-\bar{ε_{(2)i’j’・}})\)
分割法なので、残差の種類が複数になるのがわかります。
分散を求めます。
V(μ(AiBj)-μ(Ai’Bj’))
=V(\((\bar{ε_{(1)i・}}-\bar{ε_{(1)i’・}})\)+\((\bar{ε_{(2)ij・}}-\bar{ε_{(2)i’j’・}})\)
=\(\frac{2}{c}V_{e(1)}+ \frac{2}{c}V_{e(2)}\)
となります。
よって、推定区間は
\((αβ)_{ij}-(αβ)_{i’j’})\)±t(\(φ_e\),α)\(\sqrt{(\frac{2}{c}V_{e(1)}+ \frac{2}{c}V_{e(2)}}\)
となります。
まとめ
母平均差などの区間推定の導出について解説しました。
- ➀区間推定の有効繰返し数neが変化する理由
- ②繰返し有り無しの二元配置実験の場合
- ③分割法の場合
- ④直交表の場合
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