QCプラネッツ 品質のプロフェッショナルを育成するサイト

サタースウェイトの等価自由度が導出できる【本記事限定】

実験計画法

「サタースウェイトの等価自由度の導出が難解でわからない、解けない」、「サタースウェイトの等価自由度の式の意味がわからない」など、意味もわからず、サタースウェイトの等価自由度の式を暗記で片付けていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

サタースウェイトの等価自由度の導出ができる

サタースウェイトの等価自由度の導出

  • ①サタースウェイトの等価自由度がなぜ必要かがわかる
  • ②サタースウェイトの等価自由度の導出を解説

記事の信頼性

記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。サタースウェイトの等価自由度の導出過程を一切端折らず解説しますので必読です。

①サタースウェイトの等価自由度がなぜ必要かがわかる

サタースウェイトの等価自由度

標本分散V1, V2,…, Vk(それぞれの自由度φ1, φ2,…, φk)は互いに独立で、c1, c2,…, ckを定数とするとき、
\(\widehat{V}\)=\(c_1 V_1\)+\(c_1 2_2\)+…\(c_k V_k\)
のように合成された分散\(\widehat{V}\)の自由度を\(φ^*\)(等価自由度)とするとき、等価自由度φ*を次式から求める。
\(φ^*\)=\(\frac{(c_1 V_1+c_2 V_2+…+ c_k V_k)^2}{\frac{(c_1 V_1)^2}{φ_1}+\frac{(c_2 V_2)^2}{φ_2}+…+\frac{(c_k V_k)^2}{φ_k}}\)

サタースウェイトの等価自由度が必要な場合

サタースウェイトの等価自由度が必要な理由

区間推定で分散が複数ある場合に等価自由度が必要になる

区間推定は、下の式で算出します。

$$ \bar{μ}±t(φ_e,α)\sqrt{\frac{V_e}{n_e}}$$

区間推定のポイント

  1. ルートの中は、誤差eの分散から個数を割ったものが入る
  2. 誤差eの自由度φeである。
  3. Veが複数項である場合、サタースウェイトの式から自由度を導出

Veが複数項ある場合に、サタースウェイトの等価自由度が必要になります。

Veが複数項ある場合

  1. 分割法で、残差eが複数ある場合
  2. 乱塊法の反復因子Rのような変量因子を含む場合

サタースウェイトの等価自由度の値

整数ではないことがほとんど

サタースウェイトの等価自由度をφ*と表記しますと、
φ*=12.21とか小数をふくみます。
t分布表には自由度は整数のみなので、
φ=12,13のt分布の値を読み取り
t(12)②サタースウェイトの等価自由度の導出を解説

教科書や他のwebサイトから、最も詳細な解説をしているのが、「入門 実験計画法 / 永田靖」P353にあります。

でも、一部の導出過程が端折っているので、そこがわからない!と困るはずです。

本サイトは、途中過程を端折らず解説します。

サタースウェイトの等価自由度

\(φ^*\)=\(\frac{(c_1 V_1+c_2 V_2+…+ c_k V_k)^2}{\frac{(c_1 V_1)^2}{φ_1}+\frac{(c_2 V_2)^2}{φ_2}+…+\frac{(c_k V_k)^2}{φ_k}}\)
を導出します。
2段階で導出します。

  1. χ2分布の公式を活用した変形
  2. χ2分布の期待値と分散の公式を活用した変形

分布の公式を活用した変形

分散を扱っているので、χ2分布の式を使います。
χ2分布は、平方和S、分散σ2を使うと
χ2=\(\frac{S}{σ^2}\)
となります。
χ2分布が不安な方は、関連記事も確認してください。

平方和Sは不偏分散Vとその自由度φ=n-1を使って、
V=\(\frac{S}{n-1}\)=\(\frac{S}{φ}\)
より、
S=Vφ
と表現できます。

よって、
χ2=\(\frac{S}{σ^2}\)=\(\frac{ Vφ}{σ^2}\)
と表現できます。
左辺がχ2なので、右辺はχ2分布に従います。

\(\frac{ V_i φ_i}{σ_i^2}\)はχ2分布に従います。

分布の期待値と分散の公式を活用した変形

χ2分布(自由度k)の期待値と分散は
E[X]=k
V(X)=2k

という、χ2分布の性質を使います。

V(X)=2kから
X= \(\frac{ V_i φ_i}{σ_i^2}\)
K=\(φ_i \)
を代入します。
V(\(\frac{ V_i φ_i}{σ_i^2}\))=2\(φ_i \)
が成り立ちます。

また、分散において、定数項cは2乗にして外に出すことができます。
V(cX)=c2V(X)

V(\(\frac{ V_i φ_i}{σ_i^2}\))= \(\frac{φ_i ^2}{σ_i^4}\)V(\(V_i)\)=2\(φ_i\)
\(V(V_i)=\frac{2σ^4}{φ_i}\)

さらに、合成分散\(\widehat{V}\)の分散V(\(\widehat{V}\))を定義して、式変形します。無理矢理感がありますけど。
V(\(\widehat{V}\))=V(\(c_1 V_1\)+\(c_1 2_2\)+…\(c_k V_k\))
=\(c_1^2V(V_1)+ c_2^2V(V_2)+…+ c_k^2V(V_k)\)
=2(\(c_1^2\frac{σ_1^4}{φ_1}\)+\(c_2^2\frac{σ_2^4}{φ_2}\)+…+\(c_k^2\frac{σ_k^4}{φ_k}\))

ここで、合成分散\(\widehat{V}\)は自由度\(φ^*\)、分散\(σ_*^2\)を用いると、
\(\frac{\widehat{V}φ^*}{σ_*^2}\)はχ2分布に従います。

χ2分布の分散を用いると、
V(\(\frac{\widehat{V}φ^*}{σ_*^2}\))=\(\frac{φ^*2}{σ_*^4}V(V_i)\)=2\(φ^*\)
V(\(\widehat{V}\))=\(\frac{2σ_*^4}{φ^*}\)

よって、
\(\frac{2σ_*^4}{φ^*}\)=2(\(c_1^2\frac{σ_1^4}{φ_1}+ c_2^2\frac{σ_2^4}{φ_2}+…+ c_k^2\frac{σ_k^4}{φ_k}\))
が成り立ちます。

まとめると、
\(φ^*\)= (\(\frac{σ_*^4}{ c_1^2\frac{σ_1^4}{φ_1}+ c_2^2\frac{σ_2^4}{φ_2}+…+ c_k^2\frac{σ_k^4}{φ_k}}\))

なお、\(σ_1^2\),\(σ_2^2\),…,\(σ_k^2\),\(σ_*^2\)は未知数で、それぞれの推定量を\(\widehat{V_1}\),\(\widehat{V_2}\),…, \(\widehat{V_k}\),\(\widehat{V}\)として代入します。
\(φ^*\)= \(\frac{\widehat{V^2}}{c_1^2\frac{\widehat{V}_1^2}{φ_1}+ c_2^2\frac{\widehat{V}_2^2}{φ_2}+…+ c_k^2\frac{\widehat{V}_k^2}{φ_k}}\)
\(φ^*\)=\(\frac{c_1 \widehat{V}_1+c_2 \widehat{V}_2+…+c_k \widehat{V}_k}{\frac{(c_1 \widehat{V}_1)^2}{φ_1}+ \frac{(c_2 \widehat{V}_2)^2}{φ_2}+…+\frac{(c_k \widehat{V}_k)^2}{φ_k}}\)

と導出できました。力技で導出した感じですね。

まとめ

サタースウェイトの等価自由度を詳細に解説しました。

  • ①サタースウェイトの等価自由度がなぜ必要かがわかる
  • ②サタースウェイトの等価自由度の導出を解説


Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119

    Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 122
error: Content is protected !!