待機系の信頼性・故障率がよくわかる
「待機系の信頼度・故障率・MTTFの計算がわからない」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①要素の種類
- ➁待機系は並列系と比較するとよくわかる
- ➂待機系の平均寿命の計算
- ➃待機系はさらに種類がある
- ➄絶対解いて欲しい演習問題
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【QC検定®合格】「信頼性工学」問題集を販売します! ①QC検定®頻出問題、➁確率分布と順序統計量、➂各確率分布における故障率、➃点推定と区間推定、➄直列系、並列系、待機系、多数決系、⑥独立系と非独立系、⑦アベイラビリティ、⑧確率紙、⑨打切りデータ、⑩信頼性工学と抜取検査の組合せ、10章全54題。しっかり勉強しましょう。 |
①要素の種類
信頼性工学では、以下の4つの要素について、それぞれ信頼度、故障率、MTTFを計算します。
要素の種類
- 直列系
- 並列系
- 待機系
- 多数決系
よく見るのは、「直列系」と「並列系」ですが、4つとも解説します。
➁待機系は並列系と比較するとよくわかる
並列系を復習する
これは簡単ですよね。下図のように要素を並列に並べた系のことです。
待機系とは
基本は、並列系と同じ、機能を複数並列に並べるのですが、決定的に違う点があります。
並列機能が独立せず関係性があるのが待機系です。
つまり、
ブロック1も2も別々に動作していいのが並列系で、
あるブロック1が壊れたら直ちに並列する他のブロック2に切り替えるのが待機系です。
並列系と待機系は数式で書くと全く違うものになる
t=t1+t2と考える時は (右辺)側のt1,t2で考える。
直観的でわかりやすいし、馴染み深い。
t=t1+t2と考える時は(左辺)側のt1,t2で考える。
そのため、畳み込み積分で計算するから、一気に難しくなる。
並列系と待機系はイメージ図はほとんど同じですが、計算方法が全く違います。
➂待機系の平均寿命の計算
信頼度の確率密度関数\(f_s (t)\)
畳み込み積分で確率密度関数\(f_s (t)\)を求めます。
畳み込み積分については、関連記事で復習しましょう。
【まとめ】畳み込み積分がよくわかる 畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、 さらに一様分布、指数分布、正規分布、ポアソン分布、χ2乗分布を組み合わせた畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。 |
平均寿命の計算の例題
2個のブロックが待機系にあり、それぞれのブロックの故障率が指数分布に従うとします。
●\(f_1(t)\)=\(λ_1 e^{-λ_1 t}\)
●\(f_2(t)\)=\(λ_2 e^{-λ_2 t}\)
ここで、例題です。
(1)\(f_s (t)\)を計算せよ。
(2)MTTF=μ= \(\displaystyle \int_{0}^{∞}t f_s(t) dt\)を計算せよ。
積分すればできます!
平均寿命の計算の解法
\(f_s (t)\)の計算
\(f_s (t)\)= \(\displaystyle \int_{0}^{t} f_1(τ) f_2(t-τ)dτ \)
=\(λ_1 λ_2 \displaystyle \int_{0}^{t} e^{-λ_1 τ} e^{-λ_2 (t-τ)}dτ\)
=\(λ_1 λ_2 e^{-λ_2 t} \displaystyle \int_{0}^{t} e^{-(λ_1-λ_2 )τ}dτ\)
=\(\frac{λ_1 λ_2}{λ_1 -λ_2} e^{-λ_2 t} (1-e^{-(λ_1-λ_2)t}) \)
まとめると
\(f_s (t)\)= \(\frac{λ_1 λ_2}{λ_1 -λ_2} e^{-λ_2 t} (1-e^{-(λ_1-λ_2)t}) \)
できましたね!
平均寿命μの計算
μ= \(\displaystyle \int_{0}^{∞}t f_s(t) dt\)
=\(\frac{λ_1 λ_2}{λ_1 -λ_2} \displaystyle \int_{0}^{∞} t e^{-λ_2 t} (1-e^{-(λ_1-λ_2)t})dt \)
部分積分すると、
=\(\frac{λ_1 λ_2}{λ_1 -λ_2}\)
=\(( \left[ -\frac{1}{λ_2^2} e^{-λ_2 t}-\frac{1}{λ_2} t e^{-λ_2 t} \right]_0^∞ \)
+\( \left[ -\frac{1}{λ_1^2} e^{-λ_1 t}-\frac{1}{λ_1} t e^{-λ_1 t} \right]_0^∞ )\)
=\(\frac{λ_1 λ_2}{λ_1 -λ_2} (\frac{1}{λ_2^2 -λ_1^2 }) \)
=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}\)
まとめると、
平均寿命μ=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}\)
平均寿命を並列系と待機系で比較する
並列系の平均寿命は関連記事で計算しています。確認ください。
並列系の信頼性・故障率がよくわかる 並列系の信頼度、故障率、平均寿命は計算できますか。本記事では、わかりやすく解説しています。基本的な内容ですが、信頼度、確率密度関数、MTTFの導出式を理解して、待機系、多数決系の応用パターンも理解していきましょう。 |
結果を比較すると、下表になります。
– | 直列系 | 並列系 | 待機系 |
μ | \(\frac{1}{λ}\) | \(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}-\frac{1}{λ_1 + λ_2}\) | \(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}\) |
面白いですね。
➃待機系はさらに種類がある
- 熱予備
- 温予備
- 冷予備
それぞれの違いについては関連記事で解説していきます。
➄絶対解いて欲しい演習問題
確率密度関数と平均寿命を求める問題で、畳み込み積分、指数関数からガンマ分布が復習できる良問です。
要素数nで、どの要素の確率密度関数が、同一のλによる指数分布関数
\(f_i (t) = λe^{-λt}\)に従うとき、
(1)\(f_s (t)\)=\(\frac{λ^n t^{n-1}}{Γ(n)} e^{-λt}\)を示せ。
(2)MTTF=μ= \(\displaystyle \int_{0}^{∞}t f_s(t) dt\)=\(\frac{n}{λ})\)を確認せよ。
関連記事で解説しています。確認すると解けるはず。
ガンマ分布がよくわかる ガンマ分布が導出できますか?本記事では、直接、関数の式を見るのは危険なガンマ分布を指数分布からわかりやすく導出し、期待値・分散も途中過程を端折らず解説します。信頼性工学で必須なガンマ分布なので、必読な記事です。 |
まとめ
「待機系の信頼性・故障率がよくわかる」を解説しました。
- ①要素の種類
- ➁待機系は並列系と比較するとよくわかる
- ➂待機系の平均寿命の計算
- ➃待機系はさらに種類がある
- ➄絶対解いて欲しい演習問題
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