【初心者必見!】計数値の検定統計量が導出できる
「計数値の検定統計量の式が多すぎて暗記できない」などと困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- ①計数値の検定統計量のベースとなる式
- ➁母不適合品率の検定統計量を導出
- ➂母不適合品率差の検定統計量を導出
- ➃母不適合品率差の検定統計量の注意点
- ➄母不適合数の検定統計量を導出
- ⑥母不適合数差の検定統計量を導出
対象数 | 検定対象 | 統計量分布 | 検定統計量 |
1 | 母不適合品率 \(p\) |
二項分布 | \(u_0\)=\(\frac{p-p_0}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}\) |
2 | 母不適合品率差 \(p_A-p_B\) |
二項分布 | \(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}+\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}}\) |
1 | 母不適合数 λ |
ポアソン分布 | \(u_0\)=\(\frac{\hat{λ}-λ_0}{\sqrt{\frac{λ_0}{n}}}\) |
2 | 母不適合数差 \(λ_A-λ_B\) |
ポアソン分布 | \(u_0\)=\(\frac{λ_A-λ_B}{\sqrt{\frac{λ_A}{n_A}+\frac{λ_B}{n_B}}}\) |
①計数値の検定統計量のベースとなる式
標準正規分布がベース
標準正規分布に従うがベースとします。関連記事にあるように、
二項分布やポアソン分布は正規分布に近づく性質があります。
【初心者必見!】正規分布、二項分布、ポアソン分布が比較できる 正規分布、二項分布、ポアソン分布が比較できますか?本記事では、期待値、分散の値をそろえると、正規分布、二項分布、ポアソン分布はぴったりそろうことをわかりやすく解説します。3者がそろう条件をしっかり理解しましょう。初心者は必読です。 |
ベースとなる検定統計量は
です。この式くらいは暗記してもOKです。
ただし、1点注意なのは、サンプル数\(n\)の項は含まれていません。ここだけ注意しましょう。
二項分布の場合
二項分布の期待値と分散はそれぞれ
●E[\(k\)]=\(pn\) (\(k\)=\(pn\))
●V[\(k\)]=\(pn(1-p)\) (\(k\)=\(pn\))
です。この関係式を代入すれば二項分布の検定統計量が導出できます。
ポアソン分布の場合
ポアソン分布の期待値と分散はそれぞれ
●E[\(k\)]=\(λ\)
●V[\(k\)]=\(λ\)
です。この関係式を代入すればポアソン分布の検定統計量が導出できます。
➁母不適合品率の検定統計量を導出
前提条件
前提条件は、
- 母不適合品率
- 二項分布に従う(正規分布近似できる)
検定統計量を導出
検定統計量の出発点は、\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{σ}}\)
です。
二項分布の期待値と分散はそれぞれ
●E[\(k\)]=\(pn\) (\(k\)=\(pn\))
●V[\(k\)]=\(pn(1-p)\) (\(k\)=\(pn\))
ただし、1つ注意点があります。
●V[\(k\)]=\(pn(1-p)\)であるが、
必要なのは、
●E[\(p\)]と●V[\(p\)]
なので、\(k=pn\)から\(p=\frac{k}{n}\)と変形して、求めます。
●E[\(p\)]=E[\(\frac{k}{n}\)]=\(\frac{1}{n}\)E[\(k\)]=\(\frac{pn}{n}\)=\(p\)
●V[\(p\)]= V[\(\frac{k}{n}\)]=\(\frac{1}{n^2}\)V[\(k\)]
=\(\frac{pn(1-p)}{n^2}\)=\(\frac{p(1-p)}{n}\)
を使います。
この関係式を代入すれば二項分布の検定統計量が導出できます。
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ/n}\)の\(n\)を入れずに、
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ}\)を使います。
ここがややこしいですが、注意しましょう。
なので、この式を\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ}\)に代入します
●\(\bar{x}\)→\(p\)
●\(μ_0\)→\(p_0\)
●\(σ\)→\(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\)
を代入するので、
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ}\)
=\(\frac{p-p_0}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}\)
と導出できます。
●\(u_0\)=\(\frac{p-p_0}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}\)
となります。
➂母不適合品率差の検定統計量を導出
前提条件
前提条件は、
- 母不適合品率差
- 二項分布に従う(正規分布近似できる)
検定統計量を導出
検定統計量の出発点は、\(u_0\)=\(\frac{p-p_0}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}\)
です。
分散は加法性を使って
●V(A-B)=V(A)+V(B)= \(\frac{p_A (1-p_A)}{n_A}\)+\(\frac{p_B (1-p_B)}{n_B}\)
とします。
この関係式を代入すれば二項分布の検定統計量が導出できます。
なので、この式を\(u_0\)=\(\frac{p-p_0}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}\)に代入します
●\( p \)→\(p_A\)
●\( p_0\)→\(p_B\)
●\(σ\)→\(\sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}+\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}\)
を代入するので、
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ}\)
=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}+\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}}\)
と導出できます。
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}+\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}}\)
となります。
二項分布の検定統計量が導出できました!
➃母不適合品率差の検定統計量の注意点
実はよく使う公式に、
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}\)
ただし
・\(p_A\)=\(\frac{x_A}{n_A}\)
・\(p_B\)=\(\frac{x_B}{n_B}\)
・\(\bar{p}\)=\(\frac{x_A+x_B}{n_A+n_B}\)
ですが、よく確かめると
と
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}\)
は一致しません。
よく式を見ると、
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}+\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}}\)
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}\)
が一致させるには、
\(\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}\)=\(\bar{p}(1-\bar{p})\)
かつ
\(\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}\)=\(\bar{p}(1-\bar{p})\)
が必要ですが、
(左辺)はAまたはBのみ
(右辺)はA,B両方が含まれる値なので、
片方が実はない(0である)条件以外は結果は一致しません。
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}\)
ですが、自分で正しく導出してきた
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{p_A(1-p_A)}{n_A}+\frac{p_B(1-p_B)}{n_B}}}\)
と結果が一致しませんので、注意ください!
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{n_A}+\frac{1}{n_B})}}\)
は試験に出るから丸暗記とならないよう注意が必要です!
ちゃんと導出して理解してから
使いましょう!
➄母不適合数の検定統計量を導出
前提条件
前提条件は、
- 母不適合数
- ポアソン分布に従う(正規分布近似できる)
検定統計量を導出
検定統計量の出発点は、\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\frac{σ}{\sqrt{n}}}\)
です。
ポアソン分布の期待値と分散はそれぞれ
●E[\(λ\)]=\(λ\)
●V[\(λ\)]=\(λ\)です。
二項分布と違って、\(λ\)を直接代入します。
この関係式を代入すればポアソン分布の検定統計量が導出できます。
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\frac{σ}{\sqrt{n}}}\)を使います。
二項分布と違って、ここがややこしいですが、注意しましょう。
なので、この式を\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\frac{σ}{\sqrt{n}}}\)に代入します
●\(\bar{x}\)→\(λ\)
●\(μ_0\)→\(λ_0\)
●\(σ\)→\(\sqrt{\frac{λ_0}{n}}\)
を代入するので、
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ}\)
=\(\frac{λ-λ_0}{\sqrt{\frac{λ_0}{n}}}\)
と導出できます。
●\(u_0\)=\(\frac{λ-λ_0}{\sqrt{\frac{λ_0}{n}}}\)
となります。
⑥母不適合数差の検定統計量を導出
前提条件
前提条件は、
- 母不適合数差
- ポアソン分布に従う(正規分布近似できる)
検定統計量を導出
検定統計量の出発点は、\(u_0\)=\(\frac{λ-λ_0}{\sqrt{\frac{λ_0}{n}}}\)
です。
分散は加法性を使って
●V(A-B)=V(A)+V(B)= \(\frac{λ_A}{n_A}\)+ \(\frac{λ_B}{n_B}\)
とします。
この関係式を代入すればポアソン分布の検定統計量が導出できます。
なので、この式を\(u_0\)=\(\frac{p-p_0}{\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}}\)に代入します
●\( p \)→\(p_A\)
●\( p_0\)→\(p_B\)
●\(σ\)→\(\sqrt{\frac{λ_A}{n_A}+\frac{λ_B}{n_B}}\)
を代入するので、
\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{σ}\)
=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{λ_A}{n_A}+\frac{λ_B}{n_B}}}\)
と導出できます。
●\(u_0\)=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\frac{λ_A}{n_A}+\frac{λ_B}{n_B}}}\)
となります。
ポアソン分布の検定統計量が導出できました!
以上、よく使う検定統計量を導出しました。ちゃんと導出できるので、公式暗記に頼らず自力で導出できるようにしましょう。
まとめ
「【初心者必見!】計数値の検定統計量が導出できる」を解説しました。
- ①計数値の検定統計量のベースとなる式
- ➁母不適合品率の検定統計量を導出
- ➂母不適合品率差の検定統計量を導出
- ➃母不適合品率差の検定統計量の注意点
- ➄母不適合数の検定統計量を導出
- ⑥母不適合数差の検定統計量を導出
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119