品質監査の評価を活かす方法がわかる
「品質監査の評価の書き方のポイントがわからない」、「被監査側に評価結果をどうやってフィードバックさせたらよいかがわからない」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)、第三者監査(外部審査)共通のテーマです。
- ①監査員が書く評価のコツ
- ②被監査側に改善を促すコツ
- ③事務局が評価を活かすコツ
①監査員が書く評価のコツ
監査側は「結果のwhat」だけ書く
意外と教えてくれないコツです。
良い評価なら、結果だけ書くのは理解しやすいです。例えば、「○○の活動が良く、高く評価できる」とか書きましょう。
一方、改善が必要な評価の場合は、親心なのか、結果と対策まで丁寧に書こうとしがちです。結果だけ書きましょう。
●報告書を見ると、淡々書いているので、冷たい感じがしますが、これが監査員が書く評価のコツなのです。
評価の書き方の良い例、悪い例
評価の書き方の悪い例
丁寧でわかりやすいですが、「なので、文書を電子化してサーバ管理してアクセスしやすくするよう改善してください。」は対策例なので、書かないでください。
評価の書き方の良い例
これで十分です。
なぜ、この淡々とした報告内容の方が、良いのかをこれから解説します。
②被監査側に改善を促すコツ
評価に書いていない「対策のhow」は被監査部門が考える
自ら考えた方が良い理由を挙げます。
- 自分で考えて改善施策を講じるから
- 監査員が考える改善方法以外の方法も考えるから
- 改善すること以上に、改善のプロセスが重要だから
自分で考えて改善施策を講じるから
先ほどの例を見ましょう。
だと、電子化して、サーバにファイルを置けばOKとなります。確かに、紙の文書保管が煩雑な課題は解決しますが、監査を受けた部門にとって、何が改善されたのかがわかりません。単に、監査員の指示に従っただけです。
自分で考えて行動しないと、その意味を理解しないままになり、結局、改善前の元の悪い状態に戻ります。
となると、どんな不備があるのか?なぜ不備なのか?不備をどう改善すればよいか?を考え始めます。
相手に考えさせるきっかけを作るのが、改善の第一歩なのです。
頭を使って改善する・しないの差で組織の改善効果は全く違います。
監査員が考える改善方法以外の方法も考えるから
●対策まで書かれると、その通りやって終わりです。
●しかし、対策は自分で考えさせると、
★どんな不備があるのか?⇒紙の枚数が多い問題? ファイリングが問題? 文書種類が多い?
★なぜ不備なのか?⇒ファイル保管方法が甘い? 上司のチェックが甘い?
★不備をどう改善すればよいか?⇒電子化の前に文書種類の整理、文書の中身の整理、文書チェック方法の整理、誰と改善すればよいか?
などと、単に監査員が指摘した電子化以外の施策も考えようとしていますね。
また、改善策を見て、評価したくなるポイントは、
- 自部門と自分たちと関わるメンバーでできる改善策を考えてくれる
- 主要メンバーで集まって一定時間協議して共有できている
- 自分たちで考えた施策結果をしっかりまとめてくる
改善する方は、面倒くさいですが、1人でやらずにメンバーと一緒にやるのが効果的ですね。
改善すること以上に、改善のプロセスが重要だから
ISO9001を含め、品質管理は、結果以上にプロセスが重要です。
改善を挑戦して、
●うまく効果が出ても
●うまく効果が出なくても
どちらでもかまいません。
結果の良し悪しは重要ではない
改善は仕組で改善する
改善の取組を解説しましたが、改善は仕組で改善することも大事です。
例えば、チェック漏れがあり、改善するよう指示を受けたとしましょう。改善例の良い例と悪い例を挙げます。なぜ良いのか?、悪いのか?説明できますか?
●悪い改善例: チェックをしっかりやる。チェックを2人体制とする。
●良い改善例:チェック漏れがあるとその文書ファイルは保存できなくする
上の悪い例では、チェックが漏れる確率が下がるが、0にはならない。つまり、チェック漏れが再発します。再発は改善したとは言えませんよね。
一方、良い例は、チェック漏れがあるとその文書ファイルは保存できない仕組みなので、チェックが無いとファイルが完成しません。
別の仕組みにして、作業自体不要とするか、
どちらかです。
実務経験上、よく先輩がやるイケてない改善例を紹介します。それは、
ルール・規定に書くのは大事ですが、普段誰も見ないものなので、気が付きません。やはり実務で使うものに直接改善の仕組みや仕掛けを入れた方が良いです。
③事務局が評価を活かすコツ
事務局は「結果のwhat」を「対策のhow」に考える手助けをする
これをやる理由を挙げます。意外と事務局の補佐が必要です。
- 監査員の文章が理解できない
- 改善指摘内容がいろいろ解釈できて、方向性を示さないと動けない
- 改善の指摘内容が正しく相手に伝わらない場合がある
特に外部審査で起こります。認証機関の審査員の報告書がこれに該当します。難しく・抽象的に・あいまいに書くし、審査員は自組織を知らないので、言葉の使い方や意味が自組織には理解しにくい文章が多々あります。
同じ日本語でも、被監査側や理解できる内容に表現を書き換えてあげる必要があります。
抽象的に・あいまいに書くと、いろいろ解釈ができてしまいます。その被監査側にとって、ふさわしい改善策となるように解説してあげてください。
例えば、「力量が不十分」と書かれたとします。確かに、「結果のwhat」としては悪くありませんが、これをもらった側は「どうすればよいか?」と困ります。事務局は、被監査側を観察して、力量の何が不十分かくらいは提示してあげた方がよいでしょう。
対策がとりやすいよう、手を差し伸べてあげる必要があります。
内部監査も外部審査も、監査員はみんな文章が下手です。技術屋は文章が苦手な人が多いです。
品質が堅苦しいイメージがあるからでしょうけど、難しく書こうとしがちです。シンプルに伝わる文書でOKです。
監査して、ヌケモレがある箇所、不十分な箇所を直接書くのがよいでしょう。
例:受領印の日付と責任者が妥当ではない文書がありました。
例:目的、インプット、アウトプットが不十分な会議をしている議事録がいくつかありました。
受領印の日付と責任者が妥当ではない⇒責任と権限、組織体制の見直しや、日々の業務のコミュニケーションが疎になる可能性があるので、改善してもらいましょう。
目的、インプット、アウトプットが不十分な会議⇒会議議事録のフォーマットの見直しや、開催者の力量向上が必要となるので、改善してもらいましょう。
監査して、気づいた点を直接書くとよいですね。
被監査側とのつながりを強化
改善期間では、被監査側の品質担当の人(課長職が多い)からの問い合わせがあります。品質担当とライン部門との連携を強めるチャンスです。
解説するポイントは、
- 難解なISO用語ではなく、わかりやすい用語で解説
- その部門がよく使う用語を使って解説
- 傾聴に徹し、自論を押し付けない
ISO用語はNGです。「力量」とか、「継続的改善」とか使わないでください。相手が思考停止になります。
・「力量」⇒「担当者ができる仕事」
・「継続的改善」⇒「ちょっとずつ改善」
などに言い換えましょう。
相手がよく使う言葉を使うポイントは、その職場に行くか、多くから耳で会話のやりとりを聞いておくのがよいですね。人間関係やコミュニケーション、性格とかが分かっていると、連携やすいです。
傾聴に徹しましょう。相手が改善するためなので、改善を促せばよいです。自論や正解がわかっていても、その部門が出す解を優先します。
よい活動なら横展開
全部門から改善施策とその結果が集まってきます。良い事例は横展開しましょう。また、悪い事例でも他部門に起こり得るものも情報共有しましょう。
わかりやすい言葉で伝えることが重要です。
相手に考えさせること
相手が作った解を実現するようサポートすること
まとめ
品質監査の評価を活かす方法をわかりやすく解説しました。
- ①監査員が書く評価のコツ
- ②被監査側に改善を促すコツ
- ③事務局が評価を活かすコツ
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119