【QC検定®3級】二項分布がわかる
「QC検定®3級でよく出る、二項分布がわからない」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
高校数学の確率からゆっくり復習していきましょう。
大丈夫です!
- ⓪(QC検定®3級共通)QC勉強方法がわかる
- ①高校数学の確率を復習しよう
- ②高校数学の二項定理を復習しよう
- ③二項分布の式に慣れよう
⓪(QC検定®3級共通)QC勉強方法がわかる
QCプラネッツでは、QC検定®3級受験者、および品質管理初心者の方に、馴染みにくい品質管理用語や概念をわかりやすく解説します。
QC検定®3級共通として、まず、勉強方法を読んでください。
【QC検定®3級】勉強方法がわかる QC検定®3級受験や品質管理を初めてのあなたへ、勉強方法を解説します。直前の丸暗記の合否だけではなく、品質管理を得意・好きになれる方法をわかりやすく解説します。試験合格、品質管理の理解を深めたい方は必見です。 |
考えて活かせる品質管理を伝授します。
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。
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その大変さが外から見えないので、モチベーション維持が大変。
でも、その頑張りが品質を作りこむ仕組みやルールが醸成につながっている!
①高校数学の確率を復習しよう
復習問題
●大学入学共通テスト(旧センター試験)レベルです。解けないと焦るレベルですから安心してください。
●どうせ、がらがら回すから一等賞狙いたいですよね。景品のティッシュもらってもうれしくないですよね。
さて、確率をさっと計算できますか?
\( {}_{5}C_2 (5/100)^2 (1-5/100)^3\) =0.021=2.1% (少ない!)
とさっと書けましたか?
・組み合わせのC
・当たりが2回出る確率
・外れが3回出る確率
の積ですね。これは高校1年レベルです。
2%だから、あまり当たりが期待できませんね。では、もう一問!
●2回以上なので、2回、3回、4回、5回の確率をそれぞれ足せばよいです。式は書けますか?
\( \sum_{r=2}^{5} {}_5C_r (5/100)^r (1-5/100)^{(5-r)}\) =0.23=2.3% (2回当たる確率と変わらない!)
せっかくなので、当たりの回数と確率を表にします。
回数 | 確率 |
0 | 0.773 |
1 | 0.204 |
2 | 0.021 |
3 | 0.001 |
4 | 2.97e-5 |
5 | 3.13e-7 |
計 | 1 |
0回の確率が77%なので、ほとんど当たらないことがわかります。残念ですけど。
この2例で式が書けたら、実は、二項分布はマスターできます! 二項分布に入りましょう。
復習問題の式を一般化する
先ほどの、2回以上の確率の式を再掲します。これを一般化しましょう。
\( \sum_{r=2}^{5} {}_{5}C_r (5/100)^r (1-5/100)^{(5-r)}\)
・5⇒n
・5/100⇒確率p
・2回以上⇒0回以上
に変えると一般化します。文字だらけで数学に苦手な人はしんどいかもしれませんが、数字を文字に変えただけです。過剰にビビる必要はありません。
\( \sum_{r=0}^{n} {}_{n}C_r (p)^r (1-p)^{(n-r)}\)
これが二項分布の式です。がらがら抽選会の確率問題から作れるんです!
②高校数学の二項定理を復習しよう
●さて、一旦話を変えます。高校数学で出て来る「二項」は
「二項分布」と「二項定理」です。
「二項分布」はがらがら抽選会の確率問題から作れました!
次は「二項定理」を復習しましょう。
(x+y)のn乗の展開式
(x+y)の2乗,3乗の展開式
いきなりn乗はしんどいので、2乗、3乗してから、一般化のnに変えましょう。
●2乗
\((x+y)^2\)=\(x^2+2xy+y^2\) (中3レベル)
\((x+y)^3\)=\(x^3+3x^2y+3xy^2+y^3\) (高1レベル)
3乗の式をよく観察しますね。
\((x+y)^3\)=\({}_3C_0 x^{(3-0)}y^0\)+\({}_3C_1 x^{(3-1)}y^1\)+\({}_3C_2x^{(3-2)}y^2\)+\({}_3C_3 x^{(3-3)}y^3\)
ちょっと無理矢理感ありますが、(右辺)の4つの項は同じ式で書けて、値が変化しているだけであることがわかります。
3乗の式を整理すると、
\((x+y)^3\)=\({}_3C_0 x^{(3-0)}y^0\)+\({}_3C_1 x^{(3-1)}y^1\)+\({}_3C_2x^{(3-2)}y^2\)+\({}_3C_3 x^{(3-3)}y^3\)
=\(\sum_{r=0}^{3} {}_3C_r x^r y^{(3-r)}\)
と書けますね。r=0,1,2,3と変えて和にすると(右辺)の4つの式になります。
展開式を一般化する
●3乗をnに変えましょう。
・\((x+y)^3\)=\(\sum_{r=0}^{3} {}_3C_r x^r y^{(3-r)}\)
・\((x+y)^n\)=\(\sum_{r=0}^{n} {}_nC_r x^r y^{(n-r9}\)
とすると二項定理の公式ができますね。
二項分布の式に変形する
2つの「二項分布」の式ができました。
●\( \sum_{r=0}^{n} {}_{n}C_r (p)^r (1-p)^{(n-r)}\)
●\((x+y)^n\)=\(\sum_{r=0}^{n} {}_nC_r x^r y^{(n-r)}\)
同じ式で、見た目が違うことがわかりますか?
●x=p,y=1-pを入れると、(下の式)が(上の式)に変化しますね。
●\((x+y)^n\)
=\((p+(1-p))^n\)
=\(\sum_{r=0}^{n} {}_nC_r p^r (1-p)^{(n-r)}\)
=(上の式)
なお、 \((x+y)^n\)=\((p+(1-p))^n\)=\(1^n\)=1ですから、
(上の式)= \( \sum_{r=0}^{n} {}_{n}C_r (p)^r (1-p)^{(n-r)}\)=1
です。変な式の結果は1です。不思議です。
③二項分布の式に慣れよう
二項分布の式
●慣れてきましたか?二項分布の式!
1=\(\sum_{r=0}^{n} {}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}\)
二項分布を実際に作ると正規分布に近づくのがわかる
●では、二項分布について例題を使って実際に作ってみましょう。不思議なことに気が付きます。
サイコロを振って出る目をx軸に、その目が出る確率をy軸にして分布を図示したい。
(1)サイコロを1回振る場合
(2)サイコロを2回振る場合
(3)サイコロを4回振る場合
(4)サイコロを6回振る場合
●すべて同じ公式
\({}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}\)
を使います。
(1)サイコロを1回振る場合
●サイコロを1回振って、目が1,2,3,4,5,6それぞれ出る確率はすべて1/6ですよね。簡単!
分布をグラフにしましょう。
直線のグラフですね。
(2)サイコロを2回振る場合
●サイコロを2回振ると、出る目は2~12になります。また、サイコロの目の合計が例えば3ならば、(2,1)と(1,2)の2通りあったり、合計が4の場合は(1,3),(2,2),(3,1)となります。
目の合計とその確率を表にまとめます。
目の和 | 確率 |
2 | 1/36 |
3 | 2/36 |
4 | 3/36 |
5 | 4/36 |
6 | 5/36 |
7 | 6/36 |
8 | 5/36 |
9 | 4/36 |
10 | 3/36 |
11 | 2/36 |
12 | 1/36 |
グラフにすると下図になります。
折れ線のグラフで、真ん中をセンターに対称な図ですね。
(3)サイコロを4回振る場合
場合分けが増えて来るので、ここからはプログラムで計算させましょう。
目の和 | 確率 | 目の和 | 確率 |
4 | 1/1296 | 15 | 140/1296 |
5 | 4/1296 | 16 | 125/1296 |
6 | 10/1296 | 17 | 104/1296 |
7 | 20/1296 | 18 | 80/1296 |
8 | 35/1296 | 19 | 56/1296 |
9 | 56/1296 | 20 | 35/1296 |
10 | 80/1296 | 21 | 20/1296 |
11 | 104/1296 | 22 | 10/1296 |
12 | 125/1296 | 23 | 4/1296 |
13 | 140/1296 | 24 | 1/1296 |
14 | 146/1296 | – | – |
グラフは下図で、丸みを帯びてきます。
(4)サイコロを6回振る場合
場合分けが増えて来るので、ここからはプログラムで計算させましょう。
グラフは下図で、丸みを帯びてきます。
サイコロの目を増やしていくと、中心を軸に左右対称性のある、丸みを帯びた分布関数になることがわかりますね。実は正規分布に近づくことが、数学的にわかっています。
二項分布は抜取検査を支えている
抜取検査の理論はすべてOC曲線から作られる
抜取検査は、QCプラネッツが研究した結果、次のことが言えます。
OC曲線ですべて抜取検査が設計できる!
●関連記事に、魂込めてまとめました。必読ですが、ちょっと難しいです。QCレベルを上げてからでも構いません。大丈夫!QCプラネッツのブログはあなたの帰りを待っています!
究める!抜取検査 抜取検査は使い方だけ理解して終わっていませんか?実務で活用するには、抜取検査の理論の習得が必須です。本記事では、抜取検査全体の理論をわかりやすく解説します。品質にかかわる技術者は必読です。 |
抜取検査の理論はすべてOC曲線から作られる
抜取検査のOC曲線
●不良率pを変数とし、ロットの合格率をL(p)として描くのが、OC曲線です。その式は、
L(p)= \( \sum_{r=0}^{c} {}_{n}C_r (p)^r (1-p)^{(n-r)}\)
(右辺)見ると、二項分布の式
\( \sum_{r=0}^{n} {}_{n}C_r (p)^r (1-p)^{(n-r)}\)
のΣの上がn⇒cに変わっただけで、あと同じです。
二項分布は、正規分布より目立たないけど、抜取検査では主役
●確率分布関数は、正規分布に近づくので、正規分布さえ理解すればOKです。
一方で、二項分布は抜取検査の理論を支える式なので、二項分布は正規分布ほど確率分布関数としては目立ちませんが、抜取検査の方で大活躍します。
●なお、二項分布の
期待値、分散、正規分布近似
は重要な内容ですが、大学数学範囲なので、QC初級レベルを卒業したら勉強しましょう。
まとめ
【QC検定®3級】二項分布をわかりやすく解説しました。
- ⓪(QC検定®3級共通)QC勉強方法がわかる
- ①高校数学の確率を復習しよう
- ②高校数学の二項定理を復習しよう
- ③二項分布の式に慣れよう
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119