検出力ができる(母平均の検定)
「母平均の検定における、検出力の問題が解けない」などと困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- ①検出力とは
- ➁演習問題1
- ➂演習問題2
- ➃演習問題3
しっかり演習しましょう!
①検出力とは
関連記事で確認ください。まずは、基礎をおさえましょう。
【初心者必見!】検出力がわかる(母平均の検定) 検出力は自力で導出できますか?本記事では、母平均の検定における検出力をわかりやすく解説します。検出力の導出方法や、検出力の性質をグラフを活用して理解できます。検出力は抜取検査の基礎でもあるので、確実に理解しておきましょう。 |
➁演習問題1
問題
(1) n=16のデータとする。向上後の母平均が62とする。この時、検定統計量が棄却域に入る確率を求めよ。
(2) 向上後の母平均が64の場合、検出力を0.95にするために必要なサンプル数は最低いくらか。
解法
問題文から、「母平均の検出力」の問題とわかりますね。
(1)の解法
検定棄却域\(u\)は両側検定として正規分布表から1.645です。
別の式で書くと、
\(\frac{u-u_0}{σ/\sqrt{n}}\)=\(\frac{u-60}{4/\sqrt{16}}\)=1.645
より
\(u\)=61.645となります。
母平均62が棄却域に入る確率は、
\(\frac{u-u_0}{σ/\sqrt{n}}\)=\(\frac{62-61.645}{4/\sqrt{16}}\)=0.355
0.355となる確率は正規分布表からP=0.3594 より、
求めたい確率1-P=1-0.3594=0.64
となります。
(2)の解法
母平均の検定の検出力の式を使います。
\(\frac{u-u_0}{σ/\sqrt{n}}\)=\(K_α+K_β\)から
\(\frac{64-60}{4/\sqrt{n}}\)=1.645+1.645
\(\sqrt{n}\)=3.29から\(n\)=11
となります。
➂演習問題2
問題
帰無仮説:H0:\(μ_0\) =\(μ_1\)
対立仮説:H1:\(μ_0\) > \(μ_1\)
(1) 新製造方法による\(n\)個の製品をランダムに抽出し、その製品の強度の平均値を\(\bar{x}\)とする。この検定の統計量\(u_0\)を\(\bar{x}\), \(μ_0\),\(σ\),\(n\)で表せ。また、有意水準\(α\)と\(u_0\)、\(K_α\)で表せ。ただし、\(K_α\)は標準正規分布の上側100P%点とする。
(2) また、\(u=\frac{\bar{x}-μ_0}{σ/\sqrt{n}}\)とする。\(u_0\)と\(u\)の関係式を作れ。また、この検出力\(1-β\)とすると、\(1-β\)はどこの確率に相当するかを示せ。
(3) \(K_α\)と\(K_β\)の関係式を作れ。
(4) 有意水準\(α\)=0.05のもとで、\(μ\)=51.0の場合に、検出力\(1―β\)が0.90でH0を棄却するために必要なサンプル数\(n\)を求めよ。
解法
母平均の検定の検出力の関係式を導出しながら解く問題です。公式暗記だけだと、この問題はむしろ解きにくいはずです。しっかり練習しましょう。
(1)の解法
●\(\frac{μ-x}{σ/\sqrt{n}}\)=\(K_α\)
●\(α\)=Pr{\(u_0\) ≥ \(K_α\)}
(2)の解法
●\(\frac{x-μ_0}{σ/\sqrt{n}}\)=\(K_β\)
●\(1-β\)=Pr{\(u\) ≥ \(K_α-\frac{μ-μ_0}{σ/\sqrt{n}}\)}
(3)の解法
●\(\frac{μ-μ_0}{σ/\sqrt{n}}\)=\(K_α\)+\(K_β\)
(4)の解法
●\(\frac{μ-μ_0}{σ/\sqrt{n}}\)=\(\frac{51.0-50.0}{1/\sqrt{n}}\)=1.645+1.282
\(\sqrt{n}\)=2.927より、\(n\)=8.42⇒9となります。
➃演習問題3
問題
(1) \(μ_1\)が30.0のままの場合、検出力1―βはいくらになるか。
(2) \(μ_1\)が60.0などの極端に離れた場合、検出力1―βはいくらになるか。
(3) \(μ_1\)が30.9,31,31.3,31.8の場合における検出力1―βを求め、検出力曲線(縦軸は検出力1―β、横軸は (\(μ_1\)-\(μ_0\))/σ)をプロットせよ。
(4) サンプル数を増加すると検出力曲線はどう変化するか。
解法
検出力曲線がプロットできる大事な問題です。
(1)の解法
●\(K_β\)=(30-30)/(2.0/\(\sqrt{16}\))-1.645=-1.645
正規分布表からβ=0.95
よって、検出力1-β=0.05
(2)の解法
1となります。
(3)の解法
同じ計算を繰り返していきます。
●\(K_β\)=(30.9-30)/(2.0/\(\sqrt{16}\))-1.645=0.155
●\(K_β\)=(31-30)/(2.0/\(\sqrt{16}\))-1.645=0.355
●\(K_β\)=(31.3-30)/(2.0/\(\sqrt{16}\))-1.645=0.955
●\(K_β\)=(31.8-0)/(2.0/\(\sqrt{16}\))-1.645=1.955
\(K_β\)から正規分布表を使って確率βを求めて、検出力1―βを計算します。結果を表にまとめます。
\(μ_1\) | (\(μ_1\)-\(μ_0\))/σ | \(K_β\) | β | 検出力1-β |
30.9 | 0.45 | 0.155 | 0.438 | 0.562 |
31 | 0.5 | 0.355 | 0.361 | 0.639 |
31.3 | 0.65 | 0.955 | 0.169 | 0.831 |
31.8 | 0.9 | 1.955 | 0.025 | 0.975 |
プロットすると、下図になります。
(4)の解法
関連記事にもあるように、サンプル数を増やすと検出力は上がります。実際に試してみてください。
以上、母平均の検定における検出力の演習問題を解説しました。
まとめ
「検出力ができる(母平均の検定)」を解説しました。
- ①検出力とは
- ➁演習問題1
- ➂演習問題2
- ➃演習問題3
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