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分散分析の比較(完全配置実験とラテン方格法と直交表)【必見】

実験計画法

「直交表やラテン方格法で実験回数が減らせるけど、分散分析の精度は問題ないの?」「直交表やラテン方格法を活用しても大丈夫なの?」など、直交表やラテン方格法を使うときに、疑問に思ったことありませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

分散分析の比較(完全配置実験とラテン方格法と直交表)

完全配置実験とラテン方格法と直交表

  • ➀分散分析の比較(完全配置実験とラテン方格法と直交表)
  • ②直交表の配列方法の1つがラテン方格法
  • ③多水準の分散分析は手間だからラテン方格法と直交表が使いたい

記事の信頼性

記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。本記事は、どこに書いていない、私が研究して見つけた本記事限定の内容です。直交表がより詳しくわかる重要な記事なので、読んでください!

関連記事に、があり、完全配置実験とラテン方格法の比較を解説しました。本記事は、さらに直交表の3者を比較します。

さっそく見ていきましょう。

➀分散分析の比較(完全配置実験とラテン方格法と直交表)

比較しやすい3水準3因子(A,B,C)を事例に挙げます。

  • (i)完全配置実験は3×3×3=27回
  • (ii)ラテン方格法は3×3=9回
  • (iii)直交表はL9(34)より9回

データを用意します。

データの準備(完全配置実験とラテン方格法と直交表)

完全配置実験

完全配置実験
No A B C データ
1 1 1 1 10
2 1 1 2 3
3 1 1 3 6
4 1 2 1 11
5 1 2 2 12
6 1 2 3 9
7 1 3 1 19
8 1 3 2 14
9 1 3 3 8
10 2 1 1 17
11 2 1 2 12
12 2 1 3 13
13 2 2 1 13
14 2 2 2 10
15 2 2 3 16
16 2 3 1 17
17 2 3 2 14
18 2 3 3 17
19 3 1 1 15
20 3 1 2 15
21 3 1 3 10
22 3 2 1 16
23 3 2 2 19
24 3 2 3 12
25 3 3 1 19
26 3 3 2 19
27 3 3 3 14

ラテン方格法

ラテン方格法
No No A B C データ
1 1 1 1 1 10
5 2 1 2 2 12
9 3 1 3 3 8
11 4 2 1 2 12
15 5 2 2 3 16
16 6 2 3 1 17
21 7 3 1 3 10
22 8 3 2 1 16
26 9 3 3 2 19

橙色部が同じ実験Noを意味します。

直交表

次に直交表です。因子Cは交互作用A×B、A×2Bの2列のうち、A×Bの方に割り当てます。

直交表 L9(34)
No A B C e データ
1 1 1 1 1 10
2 1 2 2 2 12
3 1 3 3 3 8
4 2 1 2 3 12
5 2 2 3 1 16
6 2 3 1 2 17
7 3 1 3 2 10
8 3 2 1 3 16
9 3 3 2 1 19
a a a
b b 2b

完全配置実験27回のうち、一部9回分をラテン方格法と直交表のデータとしています。なお、9回のデータについては、ラテン方格法と直交表は同じです。

分散分析の比較(完全配置実験とラテン方格法と直交表)

完全配置実験

完全配置実験
平方和S 自由度 平均平方 F F0
A 136.22 2 68.11 8.59 3.49
B 89.56 2 44.77 5.64 3.49
C 57.56 2 28.78 3.62 3.49
e 158.67 20 7.93
T 442 26

ラテン方格法

ラテン方格法
平方和S 自由度 平均平方 F F0
A 50 2 25 3.15 3.49
B 32 2 16 2.01 3.49
C 18 2 9 1.13 3.49
e 14 2 7
T 114 8

直交表

ラテン方格法
平方和S 自由度 平均平方 F F0
A 50 2 25 3.15 3.49
B 32 2 16 2.01 3.49
C 18 2 9 1.13 3.49
e 14 2 7
T 114 8

ラテン方格法と直交表の分散分析の結果が一致

しました。ラテン方格法と直交表の割当てが一致したためです。一致する場合としない場合があります。今回は直交表に因子Cを交互作用A×Bに配置させた結果、ラテン方格法の分散分析と一致しました。

分散分析の比較

●完全配置実験では、どの因子も有意性ありとわかった。
●一方、ラテン方格法と直交表では有意性がない因子が出た

結果に違いが出るときがあるので、精度は実験回数をおとした分だけ下がると思っていた方がよいです。それでも、実験が手間で大変な場合は実験回数を減らすことを優先します。

②直交表の配列方法の1つがラテン方格法

下表を見ると、確かに、ラテン方格法と直交表の各因子の割当てが同じです。また、直交表にて、因子Cと誤差eを入れ替えると、ラテン方格法と直交表の分散分析の結果は変わります。具体的には、因子Cの平方和と誤差eの平方和が入れ替わります。

ラテン方格法 直交表L9(34)
No A B C A B C e データ
1 1 1 1 1 1 1 1 10
2 1 2 2 1 2 2 2 12
3 1 3 3 1 3 3 3 8
4 2 1 2 2 1 2 3 12
5 2 2 3 2 2 3 1 16
6 2 3 1 2 3 1 2 17
7 3 1 3 3 1 3 2 10
8 3 2 1 3 2 1 3 16
9 3 3 2 3 3 2 1 19

直交表はいろいろな交互作用の組み合わせがあるので、
ラテン方格法の割当て方法は直交表の割当ての1つに含まれると言えます。

③多水準の分散分析は手間だからラテン方格法と直交表が使いたい

3水準3因子は27回だからまだ、完全配置実験でもできそう。
でも、4水準、5水準と増えると指数関数的に実験回数が増える。
まずは実験回数を減らしたラテン方格法や直交表を活用する。

水準数3、因子数3の場合は 3^3=27回
水準数4、因子数4の場合は 4^4=256回
水準数5、因子数5の場合は 5^5=3125回
水準数6、因子数6の場合は 6^6=46656回

ちょっと厳しいですよね。

一方、ラテン方格法、直交表を使うと
水準数3、因子数3の場合は 9回
水準数4、因子数4の場合は 16回
水準数5、因子数5の場合は 25回
水準数6、因子数6の場合は 36回

と100回以内で実験が済みます。分散分析の結果は全パターン実験した場合よりは精度がよくありませんが、実験回数が数千、数万に比べれば現実的です。

精度をとるか? 手間をとるか?
調査目的によって使い分ければよいです。

まとめ

分散分析を使って完全配置実験とラテン方格法と直交表を比較しました。

  • ➀分散分析の比較(完全配置実験とラテン方格法と直交表)
  • ②直交表の配列方法の1つがラテン方格法
  • ③多水準の分散分析は手間だからラテン方格法と直交表が使いたい


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