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  • ISO9001 2015 品質マネジメントの原則がわかる

    ISO9001 2015 品質マネジメントの原則がわかる

    「品質マネジメントの原則ってなぜ7原則もあるのか?がわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 品質マネジメントの原則がわかる
    • ①品質マネジメントの原則とは
    • ②なぜ、7原則なのか?
    • ③品質マネジメントの原則を自分で考える

    本記事の最も伝えたいこと

    品質マネジメントの原則はよく試験で出ます!
    でも、丸暗記するな!
    原則の意味を理解しよう!
    自分の組織に必要な品質マネジメントの原理を考えよう!
    品質管理は「哲学」です。
    用語を暗記しても意味が無い。
    自分で考えて、自分なりに説明できて品質管理が身につくのです。
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    ①品質マネジメントの原則とは

    品質マネジメントの7原則

    7原則ありますが、列挙します。

    1. 顧客重視
    2. リーダーシップ
    3. 人々の積極的参加
    4. プロセスアプローチ
    5. 改善
    6. 客観的事実に基づく意思決定
    7. 関係性管理

    よく試験に出ます! 暗記せず、何でこの7つなの?と疑問に思って考えましょう。

    各用語の解説

    ●「顧客重視」

    「顧客満足」もよくISO9001では出て来ます。品質の最終目的は
    ・顧客満足
    ・収益向上
    ・社会的責任
    ・自己実現
    ・未来のため
    など、いろいろあります。

    品質の目的の1つが「顧客重視」、「顧客満足」です。

    ●「リーダーシップ」

    ●「リーダーシップ」は、すぐわかる用語ですね。関連記事にも解説しています。

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    「リーダ」=「経営者」、「管理者」の場合にありますが、
    「リーダシップ」はどなたでも自主的に動いて欲しいという思いがあります。

    「リーダ」でなくても「リーダシップ」は必要!

    ●「人々の積極的参加」

    「リーダシップ」にあるように、
    「リーダ」でなくても「リーダシップ」は必要!です。,

    自分の業務だけではなく、組織全体を俯瞰して積極的に活動してほしいという思いがあります。

    ●「プロセスアプローチ」

    「プロセスアプローチ?」って何?

    非常にわかりにくい用語です。関連記事に解説しています。一言で言うと「全体最適化」です。

    ISO9001 2015 0.3 プロセスアプローチがわかる
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    ●「改善」

    改善、PDCAとよく聞きますね。

    改善のポイントは、一気に改善せずに
    少しずつ、継続して改善すると、元の状態に戻ることなく
    良い状態が維持できること

    これを「継続的改善」といいます。関連記事にも解説しています。

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    ●「客観的事実に基づく意思決定」

    経験、勘、権力ではなく、客観的データに基づいて意思決定しましょう。

    ●「関係性管理」

    「関係性管理?」って何?

    非常にわかりにくい用語です。関連記事に解説しています。一言で言うと「相手とうまく付き合っていこう!」という意味です。

    ISO9001 2015 関係性管理がわかる
    ISO9001 2015 関係性管理をわかりやすく解説します。「関係性管理」って何?どういう意味か?をわかりやすく解説します。丸暗記せず、言葉の意味から品質活動すべきポイントを解説します。ISO9001 に関わる方は必読です。

    7原則を一通り解説しました。
    ここで疑問に感じたらOK

    1. なぜ7原則もあるのか?
    2. なぜ、上の7つが原則になるのか?
    3. 自分で原則を考えたらダメのなのか?
    疑問に浮かぶのは、「考える力がある」証拠です。
    これらの疑問を解説します!

    ②なぜ、7原則なのか?

    まず、品質を作りこむには何が必要かを考える

    下図を使って、あなたが所属する組織全体において、品質の良い製品及びサービスを提供するために、何が必要かを考えましょう。

    品質マネジメントの原則

    ●縦方向は、組織内
    TOP(経営陣),MIDDLE(管理職),BOTTOM(担当者)から構成される1組織とします。

    ●横方向は、組織間
    上流工程から下流工程の各工程にある組織間を考えます。

    ●最後は各単位での品質活動
    各工程にある各組織内の担当者ごとの品質活動を考えます。

    品質を作りこむには?

    品質マネジメントの原則

    図から考えると、次の式が作れそうです。
    (全体の品質)=(各単位での品質活動)×(1組織内の品質活動)×(組織間全体)

    図では、1単位×縦×横のイメージです。

    では、
    ●(各単位での品質活動)
    ●(1組織内の品質活動)
    ●(組織間全体)
    それぞれに該当する品質マネジメントの原則を考えましょう。

    品質の作りこみ方 品質マネジメントの原則
    (各単位での品質活動) 改善
    客観的事実に基づく意思決定
    (1組織内の品質活動 リーダーシップ
    人々の積極的参加
    (組織間全体) プロセスアプローチ
    関係性管理
    顧客重視

    7原則がどの3つの枠に入るかは、人によって異なる箇所もあるでしょう。しかし、大事なのは、

    自分で考えた「品質を作りこむための必要な3項目」に
    品質マネジメントの7原則が入ったこと

    7原則を暗記しなくても、
    ●(各単位での品質活動)
    ●(1組織内の品質活動)
    ●(組織間全体)
    ごとに品質を作りこむために必要なことを考えたらよいと、理解すれば、品質マネジメントの原則は自分で作れます。

    ③品質マネジメントの原則を自分で考える

    品質マネジメントの原則は自分で作っていい

    ISO9001の品質マネジメントの7原則は厳守!
    変更、追加はダメ!

    では、ありません。

    品質マネジメントの原則は自分で作っていい

    もちろん、ISO9001認証審査のために7原則は含めておいてください。

    何も考えずに、7原則に従って、丸暗記はせず、意味を理解して使いましょう。

    自組織で必要な原則があれば加えてもよい

    品質マネジメントの原則以外に、自組織で必要なものを考えてみましょう。

    例えば、

    1. ITスキル(リモートワーク、DX)
    2. 力量向上
    3. 正直であること
    4. など

    ●ITスキルはコロナ禍のリモートワーク対応や、DXの事業化が背景にあります。

    ●力量向上は、個人の能力向上が事業課題として重い場合は追加してもいいでしょう。

    ●正直は、品質不正などで反省が強く必要な場合追加してもいいでしょう。

    自分で作った品質マネジメントの原則は
    時期、期間、内容、効果などを組織内で評価していろいろアレンジしてもよいでしょう。

    品質マネジメントの原則の考え方を、マッピングを使って紹介しました。自分で原則を考えて組織の品質向上に役立てれば幸いです。

    まとめ

    ISO9001 2015 品質マネジメントの原則 をわかりやすく解説しました。

    • ①品質マネジメントの原則とは
    • ②なぜ、7原則なのか?
    • ③品質マネジメントの原則を自分で考える

  • ISO9001 2015 関係性管理がわかる

    ISO9001 2015 関係性管理がわかる

    「関係性管理って何かわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    「関係」を「管理」(関係管理)なら、周囲と良い関係を維持すればよいとわかる
    でも「関係性管理」って何?「関係管理」とどう違うの?
    ISOはどう定義しているの?

    わかりやすく解説します。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 関係性管理がわかる
    • ①ISO「関係性管理」の説明
    • ②「関係管理」ではなくなぜ「関係管理」なのか?
    • ③「関係性管理」できるために必要なこと
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    ①ISO「関係性管理」の説明

    ISO9000に説明があります。ISO9001が主役ですが、ISO9001を読んでもよくわからない時は、ISO9000シリーズも読みましょう。補足説明があります。

    ISO9000 2.3.7 関係性管理
    2.3.7.1 説明
     持続的成功のために、組織は、例えば提供者のような、密接に関連する利害関係者との関係をマネジメントする。
    2.3.7.2 根拠
     密接に関連する利害関係者は、組織のパフォーマンスに影響を与える。持続的成功は、組織のパフォーマンスに対する利害関係者の影響を最適化するようにすべての利害関係者との関係をマネジメントすると達成しやすくなる。提供者及びパートナとのネットワークにおける関係性管理は特に重要である。
    2.3.7.3 主な便益
     あり得る主な便益を、次に示す。
    -それぞれの利害関係者に関連する機会及び制約に対応することを通じた、組織及びその密接に関連する利害関係者のパフォーマンス向上
    -利害関係者の目標及び価値観に関する共通理解
    -資源及び力量の共有、並びに品質関連のリスクの管理による、利害関係者のための価値を想像する実現能力の向上
    -製品及びサービスの安定した流れを提供する、よく管理されたサプライチェーン
    2.3.7.4 取り得る行動
     取り得る行動を次に示す。
    -密接に関連する利害関係者(例えば、提供者、パートナ、顧客、投資者、従業員、社会全体)及びそれらの組織との関係を明確にする。
    -マネジメントする必要のある利害関係者との関係性を明確にし、優先順位をつける。
    -短期的な利益と長期的な考慮とのバランスがとれた関係を構築する。
    -情報、専門的知識及び資源を、密接に関連する利害関係者との間で収集し、共有する。
    -改善の取組みを強化するために、適切に、パフォーマンスを測定し、利害関係者に対してフィードバックを行う。
    -提供者、パートナ及びその他の利害関係者と協力して開発及び改善活動を行う。
    -提供者及びパートナによる改善及び達成を推奨し、認める。

    意外と簡単でした。一言でまとめると、

    自分の組織は、関連する相手と良好な関係を維持しましょう。

    これがISOが定義する「関係性管理」です。

    言葉の定義をよく考えよう!

    良い関係を維持・管理するなら、「関係管理」でいいじゃん!となりませんか?

    ISOは英語だし、「relationship management」を厳密に和訳したから「関係性管理」となったの!!と言われそうですが

    言葉の定義をよく見ると、

    「関係」と「関係性」は若干意味合いが変わります。
    「関係管理」(ISOの言う関係性管理ですけど)と、「関係性管理」は少し意味合いが変わるはずです。

    なぜ、言葉の定義にこだわるかというと

    ISO、QMS用語は最初意味を考えずに暗記するが、
    時間が経過すると、理解が深まり、言葉の定義から意味を解釈するようになるから

    ●最初は、
    「関係管理も関係性管理もどっちでもいいよ! 業務できたらいいから」
    な感じです。

    ●でも、品質管理担当など、ある程度QMSに関わるようになる頃は、考える力がついているので
    「関係性管理」って何?
    「関係」を「管理」って何?
    「関係性管理」 の「性」は何でついているの?

    と考えるようになります。

    ISOを読んだり、自分で言葉の意味や定義を考えるようになるはずです。

    「関係管理」(ISOの言う関係性管理)と、「関係性管理」の違いを考えてみましょう
    わかりにくい用語は似たような用語の意味を比較すると理解が深まります。

    ②「関係管理」ではなくなぜ「関係管理」なのか?

    ①では、

    1. ISOの「関係性管理」は意味から考えると「関係管理」でよい
    2. relationship managementを素直に和訳したから

    では、日本語の意味をよく考えて、「関係管理」と「関係管理」の違いを考えます。

    「関係」と「関係」は意味合いが異なる

    よく「性」をつける言葉を使って意味の違いを確認しましょう。

    1. 「安全」と「安全性」
    2. 「可能」と「可能性」
    3. 「関係」と「関係性」

    「安全」と「可能」を例に持ってくると、

    ●「安全」は安全そのもので、安全か逆の危険かの0,1判定。
    ●「安全性」は安全の程度も含む。「安全性が高い」、「安全性が低い」

    同様に、

    ●「可能」は可能そのもので、可能か逆の不可能かの0,1判定。
    ●「可能性」は可能の程度も含む。「可能性が高い」、「可能性が低い」

    図で確認しましょう。

    関係性管理

    ●「性」が加わると、程度・度合いの範囲を意味に含めることができますね。

    では、「関係」と「関係性」は?

    ●「関係」は関係そのもので、関係の有無の0,1判定。
    ●「関係性」は可能の程度も含む。「関係性が高い」、「関係性が低い」

    つまり、

    ●「関係」:今付き合っている相手(利害関係者)との関係
    ●「関係性」:今は付き合いが少ない相手も関係構築しようという意味が含まれる

    図にしましょう。

    関係性管理

    「関係」管理を自主的にとる

    「関係性」の言葉の定義をそのまま読み取ると、
    ●今付き合っている相手も
    ●これから付き合いかもしれない相手も
    良好な関係を維持しようという意味が出て来ます。

    ●ISOの「関係性管理」は今付き合っている相手だけで十分。
    ●自主的に「関係性管理」として今もこれから付き合う相手にも視野を広げることと良いでしょう。

    ③「関係性管理」できるために必要なこと

    2軸で考えましょう。

    1. 社内、社外
    2. 今関わっている相手、これから関わる相手

    事業戦略変更により、「関係性管理」が必要になる

    既存事業が永久に続くなら、新たな相手との関係は不要でしょう。しかし、事業収益の悪化や新技術導入によって事業戦略が変わることは頻繁にあります。

    新たな戦略、施策次第では、付き合う相手(利害関係者)を変えていく必要があります。

    付き合う相手が変わらざるを得ない状況を、逆にチャンスととらえるのが「関係性管理」。

    社内の「関係性管理」

    特に、新規事業の挑戦やビジネスコンテストなどを実施すると、社内に、意外な特技やスキルを持った人が登場することがあります。これも、今まで付き合ったことのない相手ですよね。

    CFT(クロスファンクションチーム)やプロジェクトチームを組んで臨時に開発検討することがあります。これも、社内で新たな関係を構築する上で大事な「関係性管理」ですね。

    今関わっている相手、これから関わる相手

    ●ISOの「関係性管理」の指示通り、今関わる利害関係者との良好な関係を維持します。品質マネジメントシステムを組織で機能させ、顧客満足、品質向上、社会的責任を果たすことが大事です。

    これは、今までどおり真面目に業務遂行すればOKですね。

    ●さらに、新規事業、新技術、事業戦略変更の波に乗って、新たな関係を構築する必要もあります。

    自組織にブランド力があれば、周囲から声がかかりやすいですが、逆の場合は、自分の今の業務範囲にこだわらず、軽いフットワークで外との交流を図っていく必要があります。

    ●現行関わっている相手との良好な関係を維持・管理

    ●これから関わり得る相手との関係構築を継続・管理
    するのが
    「関係性管理」。

    ISOの「関係性管理」から拡大解釈しましたが、言葉そのもの定義をじっくり考えると、
    ISOの「関係性管理」は「関係管理」
    「関係性管理」は「関係管理」より広義にとらえるべき
    と考えて解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 関係性管理 をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO「関係性管理」の説明
    • ②「関係管理」ではなくなぜ「関係管理」なのか?
    • ③「関係性管理」できるために必要なこと

  • ISO9001 2015 0.3.3 リスクがわかる

    ISO9001 2015 0.3.3 リスクがわかる

    「リスクと機会って何か?わからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 0.3.3 リスクがわかる
    • ①「リスク」とは?
    • ②「リスク」と「機会」の関係
    • ③「リスク」と「機会」なら「リスク」を第1にISOは考える
    「リスクと機会」をよく使います。
    ●リスクは、良くない事が起こること
    ●機会は、良い事が起こること
    でしょう!
    厳密に言うと違います!
    なので、解説しますね。
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①「リスク」とは?

    よく使う「リスク」

    「トラブルが起こるリスクがあります。」
    「大きな災害が発生するリスクがあります。」
    などよく使いますよね。

    「リスク」=危険性、ヤバさ
    という認識が強いでしょう。

    「リスク」とは、危機・危険が不確定であるが発生しうるときに、よく使います。

    ISOで使う「リスク」の定義

    リスク(ISO900 3.7.9)とは
     不確かさの影響
      期待から好ましい方向に乖離すること(⇒機会)と
      期待から好ましくない方向に乖離することを含む

    「リスク」の類似語を使って、意味を比較してみましょう。

    「リスク」と「ハザード」の違い

    「ハザード」は「ハザードマップ」とかに使います。「リスク」ほどは使用頻度は少ないですね。

    「リスク」と「ハザード」はどう違うのでしょうか?

    「ハザード」は、悪い状況のみに使います。
    「リスク」は実は、不確定さだけ意味するので、良いことも、悪いことも起こりうる場合に使います。

    金融、薬でも「リスク」は使うが「ハザード」は使わない

    「くすり」を逆に読むと「りすく」です。

    でも、薬は「良くなる可能性があるから」飲むんですよね。ひょっとしたら、副作用で「悪い結果になる可能性」もありますけど。

    金融もそうです。
    今日の1万円は
    為替、インフレなどで明日1.1万円の価値になるかもしれないし、
    明日9千円の価値になるかもしれない
    というリスクがあります。

    薬は「ハザード」なら、飲みますか? 体が悪くなる可能性しかないものは薬ではありませんよね。

    ●「リスク」は良い・悪い可能性両方を含む
    ●「ハザード」は悪い可能性のみ

    では、「リスク」と「機会」はどんな関係であるべきでしょう?

    ②「リスク」と「機会」の関係

    「リスク」と「機会」は対義語としてよく使われる

    ●リスク⇒「良くない、悪い可能性」
    ●機会⇒「良い可能性」
    とよく使いますね。

    図のように、対義語としてよく使われます。

    リスクと機会

    「リスク」と「機会」は関連し合う関係

    しかし、「リスク」はISOの定義によると、

    リスク(ISO900 3.7.9)とは
     不確かさの影響
      期待から好ましい方向に乖離すること(⇒機会)と
      期待から好ましくない方向に乖離することを含む

    で、「リスク」の一部、良い可能性が「機会」としてとらえています。

    「機会」は「リスク」の一部

    図にすると下図のイメージです。

    リスクと機会

    わかりにくいので、事例を挙げて考えましょう。

    リスクと関連し合う機会の事例

    次の例を考えます。

    排ガス規制が厳しい社会になってきた。自動車メーカにとっての「リスク」と「機会」を挙げよ。

    排ガス規制が厳しくなると、
    ・ガソリン車のイメージが悪くなり売れなくなる
    ・ガソリン車の技術開発が難しくなるため、値段が上がり売れなくなる
    などは、自動車メーカにとっては、「好ましくない不確定さ」ですね。

    一方で、排ガス規制が厳しくなると、
    ・ハイブリッド車、EVが普及し市場拡大のチャンス
    などは、自動車メーカにとっては、「好ましい不確定さ」で「機会」ですね。

    例を挙げて、リスクと機会の関係を整理します。

    リスクと機会

    「リスク」と「機会」は「ピンチ」と「チャンス」と混同しがち

    よくスポーツ観戦すると、「ピンチ」と「チャンス」をよく使います。
    「ピンチ」と「チャンス」は対義語ですね。

    ●「リスク」≒「ピンチ」
    ●「機会」=「チャンス」
    と認識しやすいから、
    「リスク」と「機会」を対義語として頻繁に活用します。

    ③「リスク」と「機会」なら「リスク」を第1にISOは考える

    「リスク」を第1に考える

    「リスク」の一部に「機会」が含まれることを解説しました。

    ISOは「リスク」を第1に考えます。

    「リスク」と「機会」の1セットではなく、ISOは「リスク」をメインに抽出し、品質マネジメントシステムに活動や施策を落とし込んでいきます。

    「リスク」と「機会」なら「リスク」が先に来る

    無意識に「リスク」と「機会」を1セットで考えますが、よく見たら、「リスク」が先に来ていますね。

    「リスク」と「機会」なら「リスク」が先に来ます。

    実用上は、「リスク」と「機会」1セットで良い

    本記事では、「リスク」と「機会」の厳密な関係を解説しましたが、実用上は、「リスク」と「機会」1セットでOKです。でも、厳密な意味を知っておいてください。

    本記事の結論

    「リスク」と「機会」は1セットだから
    対義語のように使ってもOK
    でも、「リスク」と「機会」は関連し合う関係
    であることを知っておいてください。

    まとめ

    ISO9001 2015 0.3 プロセスアプローチ をわかりやすく解説しました。

    • ①「リスク」とは?
    • ②「リスク」と「機会」の関係
    • ③「リスク」と「機会」なら「リスク」を第1にISOは考える

  • ISO9001 2015 0.3 プロセスアプローチがわかる

    ISO9001 2015 0.3 プロセスアプローチがわかる

    「プロセスアプローチって何?、言葉の意味がわからない」、「プロセスアプローチって何をしたらよいかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 0.3 プロセスアプローチがわかる
    • ①要求事項を見る
    • ②「プロセスアプローチ」は言葉がおかしい
    • ③「プロセスアプローチ」とは全体最適化
    • ④目標への活動は全体最適化を考えること
    プロセスアプローチは重要な用語。
    でも言葉の意味がわからないし、理解できない。
    何をしたらよいかイメージがつかない。
    プロセスアプローチって何なん?
    ISO,品質の人に聞いても、意味不明だし

    わかりやすく解説します。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項

    ISO9001要求事項

    0.3 プロセスアプローチ
    0.3.1 一般
    この規格は,顧客要求事項を満たすことによって顧客満足を向上させるために,品質マネジメントシステムを構築し,実施し,その品質マネジメントシステムの有効性を改善する際に,プロセスアプローチを採用することを促進する。プロセスアプローチの採用に不可欠と考えられる特定の要求事項を4.4に規定している。 システムとして相互に関連するプロセスを理解し,マネジメントすることは,組織が効果的かつ効率的に意図した結果を達成する上で役立つ。組織は,このアプローチによって,システムのプロセス間の相互関係及び相互依存性を管理することができ,それによって,組織の全体的なパフォーマンスを向上させることができる。 プロセスアプローチは,組織の品質方針及び戦略的な方向性に従って意図した結果を達成するために,プロセス及びその相互作用を体系的に定義し,マネジメントすることに関わる。PDCAサイクル(0.3.2参照)を,機会の利用及び望ましくない結果の防止を目指すリスクに基づく考え方(0.3.3参照)に全体的な焦点を当てて用いることで,プロセス及びシステム全体をマネジメントすることができる。 品質マネジメントシステムでプロセスアプローチを適用すると,次の事項が可能になる。
    a) 要求事項の理解及びその一貫した充足
    b) 付加価値の点からの,プロセスの検討
    c) 効果的なプロセスパフォーマンスの達成
    d) データ及び情報の評価に基づく,プロセスの改善
    結局、プロセスアプローチって何なん?

    ②プロセスアプローチは言葉がおかしい

    理解しにくい理由は言葉がおかしい

    まず、アプローチは「近づける」で、プロセスはインプットとアウトプットへ「近づける」と同じ用語なんです。

    変な用語を、専門用語のように解釈するから、さらにわからなくなります。

    変な言葉なので、自分なりにわかりやすい別の用語を使えばよいです。
    相手に伝えて品質を向上するのが目的だから。言葉の定義は所詮、手段にすぎない

    せっかくなので、3つ考えてみましょう。

    1. アプローチって何?
    2. プロセスって何?
    3. プロセスをアプローチって何?

    アプローチって何?

    そもそも、「アプローチ」は、目的語が必要ですよね。
    ○○を「アプローチ」
    (ゴルフのように、カップへアプローチとか言います)

    また、目的語の○○はゴールを意味する言葉が入りやすいですよね。

    ●顧客へアプローチする(顧客ターゲットがゴール)
    ●ゴルフの、カップへアプローチ(勝つことがゴール)

    プロセスアプローチ

    じゃー、
    ●プロセスのアプローチ(ん! 何がゴールなんだ!)

    プロセスのアプローチ(ん! 何がゴールなんだ!)
    まだ、よくわからない

    プロセスって何?

    プロセスは、関連記事で解説したように、

    プロセスは、インプットをアウトプットに変換(アプローチ)するもの

    プロセスアプローチ

    プロセスは工程だけでなく、広い意味でとらえる

    ある意味、プロセスもアプローチするものなんです。

    「プロセス」=「アプローチ」だから
    プロセスアプローチは
    ●アプローチをアプローチする?
    ●プロセスをプロセスする?
    さらに、わけがわからなくなってしまった!

    プロセスをアプローチって何?

    そろそろ、プロセスアプローチと言う変な用語は、概念だけ理解して、別の用語に変えましょう。

    「あるプロセス」を「あるプロセス」へアプローチすると考えると
    「イケてない現状のプロセス」を
    「イケてる理想のプロセス」へ
    「アプローチ」する

    となる

    プロセスアプローチ

    「プロセスアプローチ」が理解しやすいはずです。

    ③プロセスアプローチとは全体最適化

    プロセスアプローチは、「イケてない現状のプロセス」を「イケてる理想のプロセス」へ「アプローチ」すると解釈しました。

    品質活動すると、プロセスアプローチの意味はもう少し味付けが必要です。

    品質目標達成するためのプロセスアプローチ

    品質目標を達成するために、「イケてない現状のプロセス」を「イケてる理想のプロセス」へ「アプローチ」する必要があります。

    大事なのは、

    品質目標達成のためには、全体最適化が必須
    プロセスアプローチは「全体最適」の意味合いが強くなる

    つまり、組織全体を最適化した状態が「イケてる理想のプロセス」の集まりとなるのです。

    組織で運用する品質マネジメントシステムは
    組織全体をよくするため、つまり、組織全体を最適化するためにある。

    部分最適ではダメで、全体最適を考えるように、各プロセスを改善していく必要があります。

    ④品質目標は全体最適化を考えること

    ここで、プロセスアプローチの例を挙げます。

    歩留まりが70%で良品が出ず困っている。
    歩留まりを99%に向上するように、品質目標を掲げて活動してほしい。

    と、トップから指示が下りました。

    部分最適と全体最適の結果の違いを見てみましょう。

    品質目標を部分最適化しても効果が出ない

    プロセスアプローチ

    プロセスアプローチの概念「全体最適にアプローチする」が無いと、各部門は、自分たちの領域内で最適化(ベストをつくす)します。

    これ自体は良い事ですが、ある部門の最適化と別の部門の最適化が必ずしもつながるわけではありません。

    上図のように、
    ●受注・仕様では、顧客要求事項の確実な伝達を達成した。
    ●設計・開発では、設計精度を飛躍的に向上させた。
    それぞれいい感じですが、
    設計・開発しにくい顧客要求事項があれば、歩留まりは向上しませんよね。

    上図のように、
    ●設計・開発では、設計精度を飛躍的に向上させた。
    ●製造では、ポカミス防止に成功した。
    それぞれいい感じですが、
    製造しにくい設計図なら、歩留まりは向上しませんよね。

    部分最適しても、全体で結果が出ないのは、やってても意味が無い。
    全体で良い結果になるように品質マネジメントシステムは要求してきます。

    品質目標を達成するために全体最適を狙う

    品質目標を達成するために、全体を俯瞰してから各部門がやるべき施策を考えると、下図のように変化します。

    プロセスアプローチ

    1. 歩留まり低下する原因を全体で考える
    2. 仮に力量ばらつきが原因と決めたら、力量ばらつき低減策を全体で講じる
    3. 各部門へ最適化が伝播するので、全体最適化できる

    たしかに、各部門の施策がかわりましたよね。

    部分最適 全体最適
    受注・仕様 顧客要求事項の
    確実な伝達
    顧客要求提案
    設計・開発 設計精度向上 作業標準
    自動設計
    購買 部材検査厳格化 製品知識強化
    製造 ポカミス防止 作業標準化
    技量継承

    ●受注・仕様は、顧客要求の伝達から、力量ばらつき低減のために要求提案に変わり、
    ●設計・開発は、精度向上から、力量を考慮した標準化や自動化に変わり、
    ●購買は、検査から力量向上のための製品知識強化に変わり、
    ●製造は、ミス防止から、力量向上のための標準化、技量継承に変わりました。

    ばらばらに動くのではなく、1つの課題を全体で解決した方が確かに目標達成できるとわかります。全体最適化へアプローチするのがプロセスアプローチです。

    プロセスアプローチが理解できましたね!

    ⑤プロセスアプローチができる組織になるには

    プロセスアプローチができる組織になるには、何が必要なのか?

    3点あります。

    1. 各部門へ指示するトップの本気とトップへの尊敬
    2. 各部門間の密な情報共有
    3. 仕組みづくりより、日々の業務の積み重ね

    各部門へ指示するトップの本気とトップへの尊敬

    全体最適化するためには、関係部門の関係者が自発的に行動する必要があります。それを後押しする上の姿勢が必要です。

    担当に丸投げ、任せっきりなると、部門間に壁が生まれ、部分最適に陥りやすくなります。

    全部門を横断した会議、情報収集や、トップからのメッセージを定期的に出していくことが重要です。

    仕組みだけ作っても、有機的に動きません。ドライブするためのリーダシップが求められます。

    各部門間の密な情報共有

    営業は営業、設計は設計、製造は工場と切り分けるのではなく、レビューや顧客打合せ対応にて、それぞれの担当者が同席して随時情報共有する必要があります。

    技術的な課題、工程の課題があり、それが仕様を変えることで解決するならば、顧客へ仕様提案することができます。上流⇒下流の流れに限らず、全組織が目標達成するためのネックとなる箇所をともに解決することが重要です。

    受注の打合せに、設計・製造担当者を同席させたり、製造の検査に営業を立ち会わせるなど、常に1つの目標に対してバラで活動しないことが重要です。

    担当者どうしの課題が見えることでそれぞれの課題を解決する策を見つけ出すようになり、全体最適につながります。

    仕組みづくりより、日々の業務の積み重ね

    すぐれた仕組みを作りこむのも大事ですが、仕組みだけで自動的に品質を作りこむことはできません。

    泥臭いですが、人々が積極的に参加して、自分たちのアウトプットが最大になるように日々業務をこなすことが大事です。

    自分の業務範囲だけで考えずに、担当業務が製品全体のどこに影響を受けるかを意識して取り組んでいきましょう。

    プロセスアプローチを機能させる秘訣は、仕組みではなく、泥臭いけど、全体を意識して行動する人々にかかっています。

    まとめ

    ISO9001 2015 0.3 プロセスアプローチ をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②プロセスアプローチは言葉がおかしい
    • ③プロセスアプローチとは全体最適化
    • ④品質目標は全体最適化を考えること
    • ⑤プロセスアプローチができる組織になるには

  • ISO9001 2015 10.2 不適合及び是正処置がわかる

    ISO9001 2015 10.2 不適合及び是正処置がわかる

    「不適合及び是正処置って何をしたらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 10.2 不適合及び是正処置がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②不適合とは何か?
    • ③是正処置とは何か?
    • ④不適合から是正処置の流れは組織力にかかっている

    不適合、是正処置は10.2以外の要求事項にもあります。関連記事を紹介します。

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理をわかりやすく解説します。不適合発生時の対応、是正処置の仕方、品質不正防止へのポイントについて実務経験を交えながら解説しますISO9001 に関わる方は必読です。

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    ①要求事項

    ISO9001要求事項

    10.2 不適合及び是正処置
    10.2.1 苦情から生じたものを含め,不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
    1) その不適合を管理し,修正するための処置をとる。
    2) その不適合によって起こった結果に対処する。
    b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によって,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
    1) その不適合をレビューし,分析する。
    2) その不適合の原因を明確にする。
    3) 類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。
    c) 必要な処置を実施する。
    d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。
    e) 必要な場合には,計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更新する。
    f) 必要な場合には,品質マネジメントシステムの変更を行う。
    是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。
    10.2.2 組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
    a) 不適合の性質及びそれに対してとったあらゆる処置
    b) 是正処置の結果

    シンプルにまとめると次になります。

    10.2 不適合及び是正処置
    10.2.1組織がやるべきこと。
    a) 不適合の管理と修正処置
    b) 不適合の原因の除去と再発防止・未然防止
    1) レビューと分析、原因の明確。
    2) 類似の不適合の可能性を明確。
    c) 必要な処置を実施。
    d) 是正処置の有効性をレビュー。
    e) 必要に応じてリスク及び機会、品質マネジメントシステムを変更。
    10.2.2 文書化した情報を保持
    a) 不適合と処置
    b) 是正処置の結果

    要するに、次の5点をやりましょう。これはISO9001要求事項でなくても、考えたらわかる内容です。考えたらわかる内容を要求事項にしています。

    1. 不適合の原因追及
    2. 不適合の処置
    3. 不適合の再発防止、未然防止
    4. 水平展開
    5. 文書に保持

    ②不適合とは何か?

    適合と不適合

    適合しているか?適合していないか?

    適合の可否は、意外とあいまいな感じを受けます。

    法令違反!ダメ!までは強く言わないからです。

    つまり、

    ●あるべき方向に、合っていないなら、合わせるべき
    ●そうしないと、今後トラブルや損失が出うる
    ●また、あるべき方向自体を見直してもよい

    適合、不適合の判断と対応は、自由度が高いので、わかりにくいです

    法令遵守なら、絶対決まった通り守れ!ですが、ISOの適合性は、対応策の自由度が高いのです。

    不適合の事例

    わかりやすい事例とわかりにくい事例を挙げます。

    わかりやすい事例

    実際にトラブルが発生したもの

    ●納入後の製品及びサービスのトラブル
    ●各プロセスで発生したトラブルや事故
    など

    わかりにくい事例

    これからトラブルが発生しうるもの

    ●品質マネジメントシステムに不備が見られる場合
    ●未承認の文書が運用
    ●力量不足な担当者が作業

    ●品質目標と実績が整合していない場合
    ●目標と作業が整合していない場合
    など

    トラブル発生していないわりに、細かく監査され、修正指示されるのが面倒です。しかし、ここを放置すると今後どんなリスクが発生するかわかりません。将来のリスクを想像することが重要です。

    不適合は発生してからでは遅い!

    ●トラブル発生は氷山の一角

    是正処置

    見えているトラブルは、ごく一部で、まだ顕在化していない、潜在リスクが水面下にいっぱい潜んでいます。

    不適合発生前に、潜在リスクを想像して事前につぶしておく必要があります。ミスさせない組織の空気づくりなどが重要です。

    では、不適合が発生してしまったら、どう対処するかを次に解説します。

    ③是正処置とは何か?

    3つの是正処置があります。

    1. 応急処置
    2. 恒久処置
    3. 予防処置(水平展開)

    怪我の対処と同じように考えれば、すぐにわかります。

    関連記事にも解説していますので、こちらも確認ください。

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理をわかりやすく解説します。不適合発生時の対応、是正処置の仕方、品質不正防止へのポイントについて実務経験を交えながら解説しますISO9001 に関わる方は必読です。

    応急処置

    怪我したら、ばんそうこうつけるのと同じように、
    不適合、トラブル、事故を停止させます。

    ・停電事故なら、復電
    ・装置損壊したら、仮装置で復旧
    ・システムダウンしたら、再起動や部分運用で復旧
    など、顧客が通常運用に困らない最低限の動作を復活させることが重要です。

    保守担当が、現場へ急行してすぐ対応しましょう。時間が速いほど、顧客からの評価や信頼が高まるチャンスです。

    恒久処置

    応急処置が終わったら、不適合の真因調査、再発防止・未然防止策を講じて、恒久処置に入ります。二度と同じ不適合を起こさせないことを顧客に説明し、了承を得られた後に恒久処置を対応します。

    応急処置から数カ月後、くらい後になる場合もあります。

    ●恒久処置は時間の速さより、精度の高さが要求される
    ●恒久処置は担当者だけでなく、組織内で共有して十分伝達・理解できた時点からでもよい
    ●急がば回れが重要

    予防処置(水平展開)

    ISO9001 2008まであった用語ですが、2015年版からは無くなりました。しかし、予防処置(水平展開)はピンチをチャンスに変える重要な伝達なので、確実に実施しましょう。

    起きた不適合は不運だったではなく、
    一般化すると他組織でも起こりうるリスクが浮かび上がります。
    情報展開によって未然に防ぎましょう。

    トラブル・不適合の未然防止は、みんな喜ばしいことですから。

    ④不適合から是正処置の流れは組織力にかかっている

    関連記事にも解説していますので、こちらも確認ください。

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理をわかりやすく解説します。不適合発生時の対応、是正処置の仕方、品質不正防止へのポイントについて実務経験を交えながら解説しますISO9001 に関わる方は必読です。

    重要なのは、4点です。

    1. 報告のスピード
    2. 冷静に対処
    3. 組織で内省
    4. できることから改善

    不適合時は報告のスピードが重要

    重要なのは、3点です。

    1. 普段から報告しやすい空気を組織で作る
    2. 事実だけでいいから迅速に現場から情報を吸い上げる
    3. 電子システムなどで、管理職以上へ一斉情報発信できるとベター

    特に、3点目の「電子システムなどで、管理職以上へ一斉情報発信できる」と、速く伝わる以上に、組織内の不正や隠ぺい防止につながります。トラブった!どうしよう!ではなく、報告用電子システムに
    機械的に入力して発信しましょう。

    情報を関係者で共有した方が、処置対策も講じやすいし、品質不正防止も効果があります。

    冷静に対処

    リスクのないプロセスはありません。上長は冷静に担当者をなだめつつ、的確な指示と情報の吸い上げをしてください。不適合・トラブル経験は上長の方が多いから、冷静にできるでしょう。

    逆に、優秀すぎて、トラブル経験の少ない上長の場合は、要注意です。激高せず、冷静にお願いします。

    悪い報告ほど、「ありがとうを伝えよう!」

    組織で内省すること

    応急処置後になりますが、担当者に叱って、なぜ不適合起こした?と責めないでください。

    不適合の真因を見えるところから深堀すると、品質マネジメントシステムの不備や基本動作の徹底の不備などに必ず行きます。深い分析をすると組織運用方法に課題が見つかるからです。組織で内省しましょう。

    是正は精神論ではなく、仕組化して再発防止しましょう。

    ●仕組化とは、例えば、
    ・不適合するプロセス自体を変えてしまう
    (二度とそのプロセスは使わないので不適合が発生しない)
    ・チェックを設ける
    (複数の人間でチェックする)
    ・規定やルール、文書にミスしないよう注意書きを追加
    (ルールに従えば、不適合はしない)
    などの対策を講じましょう。

    仕組化して再発防止できたら、仕組が醸成するまで一定期間待ちましょう

    組織内で、講じた対策が、運用できるまでには数カ月はかかるはずです。一定期間見て、運用できているか(有効性)を確認しましょう。

    対策打って、すぐできると言われても監査する側は信じません。

    できることから改善

    関連記事にも解説している、継続的改善がポイントです。

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる
    ISO9001 2015 10.3 継続的改善を説明できますか? 本記事では、品質監査に必須な継続的改善をわかりやすく解説します。ISO9001 に関わる方は必読です。

    できることから、ちょっとずつ改善する!

    上層部への報告で、「でかいことやって評価されよう!」はNGです。
    組織内でできることから少しずつでよいので改善しましょう。

    改善がストレスなら、みんな辞めてしまい、改善できないから

    不適合⇒是正処置⇒改善⇒不適合⇒…と何度も繰り返しますが、繰り返しながら組織の品質マネジメントシステムのレベルを少しずつ上げていってください。

    ピンチはチャンスです!

    以上、「不適合及び是正処置」をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 10.2 不適合及び是正処置 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②不適合とは何か?
    • ③是正処置とは何か?
    • ④不適合から是正処置の流れは組織力にかかっている

  • ISO9001 2015 9_3 マネジメントレビューがわかる

    ISO9001 2015 9_3 マネジメントレビューがわかる

    「マネジメントレビューって何をしたらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 9_3 マネジメントレビューがわかる
    • ①要求事項
    • ②マネジメントレビューのインプット
    • ③マネジメントレビューのアウトプット
    マネジメントレビューのポイントと、実態(本音)を書きます。「期末に品質管理部門ってこんな仕事してんの?」と知って欲しいからです。
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    ①要求事項

    ISO9001要求事項

    9.3 マネジメントレビュー
    9.3.1 一般
    トップマネジメントは,組織の品質マネジメントシステムが,引き続き,適切,妥当かつ有効で更に組織の戦略的な方向性と一致していることを確実にするために,あらかじめ定めた間隔で,品質マネジメントシステムをレビューしなければならない。
    9.3.2 マネジメントレビューへのインプット
    マネジメントレビューは,次の事項を考慮して計画し,実施しなければならない。
    a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況
    b) 品質マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化
    c) 次に示す傾向を含めた,品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に関する情報
    1) 顧客満足及び密接に関連する利害関係者からのフィードバック
    2) 品質目標が満たされている程度
    3) プロセスのパフォーマンス,並びに製品及びサービスの適合
    4) 不適合及び是正処置
    5) 監視及び測定の結果
    6) 監査結果
    7) 外部提供者のパフォーマンス
    d) 資源の妥当性
    e) リスク及び機会への取組みの有効性(6.1参照)
    f) 改善の機会
    9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット マネジメントレビューからのアウトプットには,次の事項に関する決定及び処置を含めなければならない。
    a) 改善の機会
    b) 品質マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性
    c) 資源の必要性
    組織は,マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。

    マネジメントレビュー

    実際レビューに関わると、気になるのが次の4点

    1. 誰に報告するのか?
    2. 開催頻度は?
    3. どうやって報告するのか?
    4. いろいろ指示事項が来たらどうするのか?

    個別に回答すると、
    ●報告の相手は、経営陣(社長、事業部長など)
    ●開催頻度は、半期か年に1回程度
    ●品質部門の長が今年度の指示事項や品質活動を報告(インプット)
    ●指示事項は、経営陣がその場で指示した内容をまとめて次年度の活動に盛り込む

    品質マネジメントシステムは、トップマネジメントから始まって、トップマネジメントに終わる。トップへ返すのがマネジメントレビュー

    実際やると、形式的な儀式に近いものでもあります。経営陣は品質は最後の砦として重要言っていますが、多忙ですので。

    経営陣の気質に合わせて、あまり怒らせない報告にするのも大事ですね。これは品質部門長の腕次第ですが。。。

    ②マネジメントレビューのインプット

    インプットはISO9001 要求事項どおりまとめる

    形式的な儀式としてやってもよいですが、ISO9001認証審査(外部審査)で、「ISO9001 2015 9.3要求事項どおりまとめろ」と改善の指示が出ましたので、要求事項どおりまとめるとよいでしょう。

    本心は、あまりつっこまれないように、シンプルな報告にしたいですが。

    インプット情報の作り方と実態(本音)

    要求事項にはインプットを以下のように書くように指示されますが、何を書きましょうかね?

    a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況
    b) 品質マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化
    c) 次に示す傾向を含めた,品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に関する情報
    1) 顧客満足及び密接に関連する利害関係者からのフィードバック
    2) 品質目標が満たされている程度
    3) プロセスのパフォーマンス,並びに製品及びサービスの適合
    4) 不適合及び是正処置
    5) 監視及び測定の結果
    6) 監査結果
    7) 外部提供者のパフォーマンス
    d) 資源の妥当性
    e) リスク及び機会への取組みの有効性(6.1参照)
    f) 改善の機会

    1つずつ見ましょう。ポイントは、●要求事項に対する具体的な活動、●インプット情報に書いておきたいことの2点です。

    a) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況

    ●具体的な活動:経営陣からのアウトプット(指示事項)に対する結果

    ●入れるべき情報:ちゃんとやったよ!と報告したい。「できませんでした」はQMS的にも上を怒らせる意味でもまずい!。できないなら、できない正当な理由(コロナ感染が想定以上にひどかった、とか、大地震が来たとか、大型台風で工場が停電したとか、コントールが効かない理由が望ましい)を入れる。

    ここはパワポ1枚ですが、作る方はレビュー直前まで胃が痛いですね。自信持って報告するネタが無いのが常なので(笑)

    毎年同じ事業活動していたら、そんなに変わらんし、そんな大きな変革に結果なんて出てこないよ!ですよね。

    b) 品質マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題の変化

    ●外部の課題、内部の課題については、関連記事で、解説しています。

    ●マネジメントレビューにおける、外部及び内部の課題変化に注目します。

    外部及び内部の課題は
    ●外部の課題:自分たちでコントロールできない課題
    (3C,5F,SWOT分析)
    ●内部の課題:自分の組織内でコントロールできる課題
    (SWOT分析)

    で、注意が必要なのが、変化なので、

    前年度、今年度、次年度で、
    外部の課題、内部課題に変化があるものに限定

    結構難しいので、事例を挙げます。

    ●外部の課題の変化の事例
    ・法改正、規格改訂が間近にあるもの
    ・コロナ禍の影響
    など
    ●内部の課題の変化の事例
    ・コロナ禍による納入製品のQCDの影響
    ・高齢化による大量退職者
    ・DXによるデジタル人材の強化
    など

    事例に挙げた、外部の課題、内部課題に変化に対して、品質マネジメントシステムをどう回したのかをまとめて、トップへ報告します。

    外部の課題、内部課題に変化を明確にしておかないと、マネジメントレビューの構成がブレるので、要注意です。

    外部の課題、内部課題に変化の特定は、マネジメントレビューのとりまとめができる人に任せましょう。皆で決めるとブレます。

    c) 次に示す傾向を含めた,品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に関する情報

    ここは、いろいろな組織内の品質活動結果を入れていけばOKです。

    1) 顧客満足及び密接に関連する利害関係者からのフィードバック
    顧客満足度が分かる指標(アンケート、苦情など)をもとにまとめましょう。

    2) 品質目標が満たされている程度
    品質目標については、関連記事で、解説しています。

    各組織、部門の品質目標、計画、実績をまとめて評価しましょう。

    3) プロセスのパフォーマンス,並びに製品及びサービスの適合
    4) 不適合及び是正処置
    5) 監視及び測定の結果
    6) 監査結果

    4つまとめてよいです。品質目標の中に、計画・実績・評価をいれて管理すれば、1枚の品質目標に結果評価ができます。

    7) 外部提供者のパフォーマンス
    購買、外注の実績評価とか、第2者監査の実施結果を評価します。

    cの内容は、四半期や半期ごとに実績値を入れて常に準備しておくと報告資料を早くまとめる事ができます。分担も可能な内容ですね。

    d) 資源の妥当性

    うーん。これが一番悩ましいですね

    資源の妥当性って何や?
    妥当かを調べる資源って何がある?
    どうやって妥当性を評価する?
    上層部に報告できるネタがあるか?

    毎年悩みます。

    ★資源は、「ヒト、モノ」なので、
    ●ヒト:人数、力量、年齢構成、数年後の構成などからネタを持ってくる
    ●モノ:施設、設備、環境などから課題となりそうなネタを持ってくる

    ★妥当性はどうやって見るか?
    定性、定量評価があるデータがあるもの、あるいは普段とっていないが、マネジメントレビューのために別途データを作る(作れる)もので何とかまとめたい

    資源の妥当性を評価する際、十分解決できているなら、報告する必要はないし、
    課題なら、あまり見せたくないものが多く、それをうまく報告できるネタがなかなか見つからない。

    個人的には、この「資源の妥当性」を外してほしいです。

    e) リスク及び機会への取組みの有効性 と f) 改善の機会

    これは、内部監査や外部審査などの、審査の結果で改善を指摘された内容をまとめればよいです。内容、改善終息する日、横展開の必要性をまとめればOKですね。

    マネジメントレビューをしっかり作りこむと、結構大変なんです。所詮、社内資料と会議なんですけどね。

    あと、この資料頑張って作ると、作成者は平社員でも報告したくなるんですよね。資料に愛着があるので、でも、ここでキツイ現実をお伝えします。

    マネジメントレビュー内容のような、重要な報告事項は、
    すでに経営陣やトップは知っているし、情報が別ルートから来ている。

    逆に「知らんかった!」だと、それは重要な情報が上に上がらないので、組織としてはヤバいですよね。

    知っていることをあえて、資料作って報告するマネジメントレビューって必要なのか?ISO9001認証のためにやっている感じがします。

    レビュー資料作成の実態

    マネジメントレビューをしっかり作りこむと結構大変なことを伝えました。
    当然、
    ●時間がかかるし、
    ●担当者がたくさん必要
    ●あーでもない、こーでもない、誤字脱字まで見て来る管理職だと永久に終わらない
    ●所詮社内資料なのに、人件費がかかりすぎる資料 経営陣は知らんのかな?

    社内の雰囲気や空気によって手間がかかりすぎたり、できる管理職なら、うまく対応してコンパクトにまとめる場合もあります。

    ③マネジメントレビューのアウトプット

    資料作成でみんな疲れている

    疲れ切って作った資料で報告当日を迎えます。資料作成担当としても同席しますが、「疲れたから、あとはどうにでもなれ~」と他人事です。

    トップがまともな人ならいいのですが、単に威張っているだけの人なら困りますね。トップの言葉はそれほど気にせずさらっと聞き流してよいですが、議事録を書いておく必要があるので、3点だけはしっかり聞いておきましょう。

    マネジメントレビューでしっかり聞いておくべきところ

    レビューの7割は聞かなくてもOKです。ただし、以下だけはしっかり聞いておきましょう。

    a) 改善の機会⇒改善すべき点、もっと良くしろ!と指示された場合
    b) 品質マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性⇒根本的に品質のやり方を変えたいと言われない限り、変更する場合はありません。
    c) 資源の必要性⇒リソース増強やシステム導入の話ですが、品質の報告なので、これもあまり指示されません。

    基本は、a) 改善の機会 だけ意識してレビューを聞いておきましょう。
    ●その年に起きた大きなトラブルの再発防止、未然防止の策とか
    ●品質に大きな問題が無かった場合は、評価分析結果のさらなる調査とか
    ●次年度の品質改善や品質コスト低減につながる新たな策を考えるとか
    などの指示が大体きます。

    マネジメントレビューを体験してわかること

    たった1,2時間のレビューですが、とても準備が大変です。体験してわかることをお伝えします。

    1. 資料はインプットが目的。品質部門が期内で頑張ったことを発表するのではない。
    2. 本来は発表者が発表資料を作るべき
    3. トップが指示しやすいようシンプルにまとめる
    4. トップへ報告する部門長の力量が問われる
    5. トップの指示が最も重要。インプット資料作成で疲弊させてはならない
    6. トップが的確に指示できるよう、重要ポイントをインプットする。資料はてんこ盛りにしないこと
    7. マネジメントレビューにかかる時間、費用を考慮し、費用対効果で価値を出すこと

    マネジメントレビューの実態を読んでいただきましたが、マネジメントレビュー以外の「あるある」がいっぱいあったと思います。

    以上、「マネジメントレビュー」をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 9_3 マネジメントレビュー をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項
    • ②マネジメントレビューのインプット
    • ③マネジメントレビューのアウトプット
    • ④マネジメントレビューの実状

  • ISO9001 2015 9.1 監視,測定,分析及び評価

    ISO9001 2015 9.1 監視,測定,分析及び評価

    「監視,測定,分析及び評価って何をしたらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 9.1 監視,測定,分析及び評価
    • ①わかりにくい要求事項
    • ②9.1 監視,測定,分析及び評価の全体像
    • ③品質方針、品質目標と兼ねてよい
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    ①わかりにくい要求事項

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    9.1 監視,測定,分析及び評価
    9.1.1 一般
    組織は,次の事項を決定しなければならない。
    a) 監視及び測定が必要な対象
    b) 妥当な結果を確実にするために必要な,監視,測定,分析及び評価の方法
    c) 監視及び測定の実施時期
    d) 監視及び測定の結果の,分析及び評価の時期
    組織は,品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性を評価しなければならない。 組織は,この結果の証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
    9.1.2 顧客満足
    組織は,顧客のニーズ及び期待が満たされている程度について,顧客がどのように受け止めているかを監視しなければならない。組織は,この情報の入手,監視及びレビューの方法を決定しなければならない。
    注記 顧客の受け止め方の監視には,例えば,顧客調査,提供した製品及びサービスに関する顧客からのフィードバック,顧客との会合,市場シェアの分析,顧客からの賛辞,補償請求及びディーラ報告が含まれ得る。
    9.1.3 分析及び評価
    組織は,監視及び測定からの適切なデータ及び情報を分析し,評価しなければならない。 分析の結果は,次の事項を評価するために用いなければならない。
    a) 製品及びサービスの適合
    b) 顧客満足度
    c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性
    d) 計画が効果的に実施されたかどうか。
    e) リスク及び機会への取組みの有効性
    f) 外部提供者のパフォーマンス
    g) 品質マネジメントシステムの改善の必要性

    注記 データを分析する方法には,統計的手法が含まれ得る

    要求事項がわかりにくい理由

    2つ理由があります。

    1. 「9.1.1 一般」、「9.1.2 顧客満足」、「9.1.3 分析及び評価」と粒度が合っていない
    2. 目的と手段が混在して書かれている

    わかりやすく整理しましょう。

    ②9.1 監視,測定,分析及び評価の全体像

    わかりやすく整理するために、次の問いを考えます。

    1. 何を「監視,測定,分析及び評価」するのか?
    2. 何のために「監視,測定,分析及び評価」するのか?

    上の2つの問いを満たすために、必要な要素を追加してもOKです。

    何を「監視,測定,分析及び評価」するのか?

    まず、「監視,測定,分析及び評価」は目的語を必要とする言葉ですね。

    「○○を監視する」
    「○○を測定する」
    「○○を分析する」
    「○○を評価する」

    ○○に何を入れますか?

    目的対象の1つが「顧客満足」

    「顧客満足」は目的対象にすっと入りますね。

    「顧客満足」以外に目的対象は無いのか?

    「顧客満足」は売上向上のためですから、売上以外の理由を追加しましょう。

    ●売上向上⇒顧客満足とか
    ●原価低減⇒品質コスト(無償修理対応費用)低減とか、生産性向上とか
    ●事業停止リスク回避⇒法令遵守、モラル向上とか

    「監視,測定,分析及び評価」の目的対象が増えましたね。

    一旦、下表にまとめます。

    PLAN DO CHECK ACTION ACTION
    目的対象 目的の理由 監視 測定 分析 評価
    顧客満足 売上向上 「顧客満足」
    を監視
    「顧客満足」
    を測定
    「顧客満足」
    を分析
    「顧客満足」
    を評価
    品質コスト
    低減
    原価低減 「品質コスト
    低減」
    を監視
    「品質コスト
    低減」
    を測定
    「品質コスト
    低減」
    を分析
    「品質コスト
    低減」
    を評価
    生産性向上 原価低減 「生産性向上」
    を監視
    「生産性向上」
    を測定
    「生産性向上」
    を分析
    「生産性向上」
    を評価
    法令遵守 事業リスク回避 「法令遵守」
    を監視
    「法令遵守」
    を測定
    「法令遵守」
    を分析
    「法令遵守」
    を評価
    モラル向上 事業リスク回避 「モラル向上」
    を監視
    「モラル向上」
    を測定
    「モラル向上」
    を分析
    「モラル向上」
    を評価

    何のために「監視,測定,分析及び評価」するのか?

    目的対象がわかったら、さらに、目的の目的を考えましょう。

    「顧客満足」、「品質コスト低減」、…、「モラル向上」、は何のために活動するのか?

    この答えはいくつかあります。

    1. 事業収益向上
    2. 事業内の品質マネジメントシステム(QMS)の成果、有効性のため
    3. 社会貢献

    つまり、品質方針や品質目標に書く内容へ近づくことがわかりますね。

    組織の意義と
    意義を達成するための活動ができているかを
    「監視,測定,分析及び評価」するためです。

    ③品質方針、品質目標と兼ねてよい

    よって、「監視,測定,分析及び評価」は品質方針、品質目標と兼ねてよく、品質目標に「監視,測定,分析及び評価」を入れて1枚にまとめると、品質管理しやすいです。

    私の組織は実際に、品質目標に「監視,測定,分析及び評価」を入れて1枚にまとめています。

    所属している組織の品質関連の文書は、
    そのまま使う前に、
    文書の目的や意義を考えることが重要。

    品質目標に「監視,測定,分析及び評価」を入れて1枚にまとめていても、それがなぜなのか?を問うと品質管理の能力が向上します。

    手段は追うな!目的を考えよ!
    目的思考が重要です。

    品質目標の例

    品質方針、品質目標とその活動に対する「監視,測定,分析及び評価」を1枚にすると全体が俯瞰しやすく、課題の抽出など管理しやすくなります。

    品質目標

    上層部への報告や品質監査に役立つ

    品質方針、品質目標とその活動に対する「監視,測定,分析及び評価」を1枚にすると全体が俯瞰しやすいので、上層部への報告や次期の品質活動の指示、品質監査がスムーズにできるなどのメリットがあります。

    上位の品質方針、品質目標と整合がとれていること

    当然ですが、品質方針、品質目標と施策で互いに整合が取れていることと、「監視,測定,分析及び評価」すると品質方針、品質目標を達成できるようにしておく必要があります。

    「監視,測定,分析及び評価」といって、統計手法をガンガンいれて計算することよりも、目的である品質方針、品質目標の達成を意識してください。

    以上、「監視,測定,分析及び評価」をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 9.1 監視,測定,分析及び評価 をわかりやすく解説しました。

    • ①わかりにくい要求事項
    • ②9.1 監視,測定,分析及び評価の全体像
    • ③品質方針、品質目標と兼ねてよい

  • ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理

    「不適合やトラブルが発生したら何をしたらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
    • ①要求事項の簡略化
    • ②不適合発生前提で考えておくこと
    • ③不適合に対する迅速な対応ができる組織力
    • ④特別採用(トクサイ)の拡大解釈に注意
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.7 不適合なアウトプットの管理
    8.7.1 組織は,要求事項に適合しないアウトプットが誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために,それらを識別し,管理することを確実にしなければならない。 組織は,不適合の性質,並びにそれが製品及びサービスの適合に与える影響に基づいて,適切な処置をとらなければならない。これは,製品の引渡し後,サービスの提供中又は提供後に検出された,不適合な製品及びサービスにも適用されなければならない。 組織は,次の一つ以上の方法で,不適合なアウトプットを処理しなければならない。
    a) 修正
    b) 製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止
    c) 顧客への通知
    d) 特別採用による受入の正式な許可の取得 不適合なアウトプットに修正を施したときには,要求事項への適合を検証しなければならない。
    8.7.2 組織は,次の事項を満たす文書化した情報を保持しなければならない。
    a) 不適合が記載されている。
    b) とった処置が記載されている。
    c) 取得した特別採用が記載されている。
    d) 不適合に関する処置について決定する権限をもつ者を特定している。

    シンプルにまとめます。

    8.7 不適合なアウトプットの管理
    8.7.1 組織は,不適合の性質と与える影響について,適切な処置をとる。これは,製品の引渡し後も含む。
    a) 修正
    b) 製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止
    c) 顧客への通知
    d) 特別採用による受入の正式な許可の取得
    8.7.2 組織は,文書化した情報を保持する。
    a) 不適合を記載。
    b) とった処置を記載。
    c) 取得した特別採用を記載。
    d) 不適合処置を決定する権限者を特定。

    ②不適合発生前提で考えておくこと

    リスク前提で進めるのが現状

    不適合やトラブルは発生させたくはありませんよね。業務は気持ちよく終わりたいし、トラブル処置のための追加業務はダルイです。

    でも、

    リスクが無い仕事はありません。
    他人ができないからあなたが業務しているので、
    他人ができないリスクはあなたを常に狙っています!

    リスクは、組織力、経験、関係者との協力で極力減らせますが、0にはなりません。

    リスクに対して、対価が支払われているともいいます。

    不適合発生しても仕方がないと割り切ること

    トラブルは発生したら、パニックになるし、怒られるし、自分を責めようとなります

    真面目で一生懸命な人ほどそうです。

    ですが、

    リスクが無い仕事はありません。
    他人ができないからあなたが業務しているので、
    他人ができないリスクはあなたを常に狙っています!
    しゃーない!
    組織を頼りながら対処しよう
    と割り切ってください。

    トラブルは、

    あなた1人でどうにか対処しようと考えなくていいです。
    組織で対処します。割り切ってください。

    ③不適合に対する迅速な対応ができる組織力

    トラブルは組織で対処します。なぜなら、誰もトラブル対応したくないから。他人の業務を手助けする程度の気持ちとして淡々と冷静に判断するマインドが必要です。

    そうなると、日ごろの組織力がどれほど高いかどうかが問われます。

    現場担当者からの組織内への素早い報告

    日頃の信頼関係が必要

    担当者と組織管理者との日頃の信頼関係が必要になります。

    なんで!ミスってん!
    と怒らず
    「早急の連絡ありがとう!」
    と管理者は必ず褒めてあげてください。

    トラブル発生時に、「やばい!怒られる!」として隠すのが最悪です。上司に報告できるような関係が日常必要です。

    5W1Hを明確に報告

    落ち着いて、わかった状況を隠さずに5W1Hを組織に報告しましょう。

    担当者の考え、仮説はこの段階では不要です。現場、現物、現実をそのまま組織にインプットしましょう。

    管理職間の連携、応急処置

    管理職間の連携

    管理職間の連携が必須です。大きな組織の場合、情報共有できる電子システムがあるでしょう。その電子システムに入力すると、全社内の関係者に同時発信して情報をさらに共有できるでしょう。

    上司は、トラブル経験を経て出世しているわけですから、落ち着いて対処できるでしょうし、現場の担当者をなだめつつ解決方法を提案してあげてください。

    応急処置

    現場のトラブルに中で、応急処置ができるなら、担当者に指示します。図面や、対処できる他の担当者への現場派遣などの対応が必要になります。

    担当者が勝手に応急処置せず、必ず顧客の指示を受けてからにしましょう。
    良かれと思った行動が逆効果になり、かえって悪い結果になることもあります。

    臨機応変な対応が、逆効果になり、被害拡大や費用増加になることもあります。すぐ片づけたいですが、冷静に対処しましょう。

    恒久処置としての是正処置

    組織外関係者との調整

    ●応急処置ができたら、恒久処置・再発防止、未然防止などの策を組織内や顧客・関係者と協議して詰めていきます。

    被害の程度によっては、製品及びサービスのリリースの一旦禁止になる場合もあり、組織長が顧客へ説明し、リリース禁止の許可をもらう手続きも必要な場合もあります。

    組織内での是正処置

    ●組織内で実施することは、次の4つです。

    1. 不適合理由の真因分析
    2. 是正処置(恒久対策)による再発防止、未然防止
    3. 他組織内への情報展開

    不適合理由の真因分析

    原因の調査です。よく使う分析方法を2つ紹介します。

    1. 現在から過去に戻って原因分析(なぜなぜ分析など)
    2. 過去から現在に進むときにハマった罠を分析(失敗学など)

    ●なぜなぜ分析などでは、
    さらに深堀して真因追究するなかで、何が不足だったか?、何ができなかったか?を抽出します。顧客や組織内上層部などの相手に説明する(なだめる)ために、●●ができなかったと反省の念をこめるのがポイントです。

    ●一方、失敗学などでは、
    担当者が、正しいと思った行動が、実はミスだったという罠にどうはまったか?を再現するもので、担当者が自分事として理解するのに適しています。

    ●前者の「なぜなぜ分析」が有名ですが、よくある分析結果は、○○が不足なため網羅的に調べて準備しておく必要があるのような、「全部やります!」と書く文書が多く見えられます。

    ○○不足だから、全部事前に見ておくなんて、
    担当者はできないし、担当者は何をすればよいかわからない。
    森を見て木を見ず状態になります。

    ●後者の「失敗学」は有名ではありませんが、間違うのは仕方がない、正しいと思ったと一旦正当化すると、担当者がミスした経緯がはっきり見えます。ただし、顧客や組織内上層部などの相手に説明すると炎上するので、担当者向けの分析とした方がよいです。

    報告相手によって、調べたい原因によって分析手法を適用してください。

    是正処置(恒久対策)による再発防止、未然防止

    ポイントは、

    精神論ではなく、ミスしない仕組みを作ること

    今後は気合入れてミスしませんは確率論なので、不適合が再発します。そうしないように、チェック機構、文書などの明確化、承認フローへの追加で、人や機械でもいいので、ミスしないためのチェックを設ける事が重要です。

    組織内の規定や文書のフォーマットが細かく、複雑なのは過去それだけ不適合して再発しないための先輩からのメッセージなのです。

    他組織内への情報展開

    不適合は恥ずかしいと思わず、組織内の在り方を見直すチャンスでもあります。

    他の部門や組織でも同じ不適合に合わないためにも、情報展開しておきましょう。

    不適合の真因を一般化しておくと、他の組織も自分事として事前に警戒し、リスク回避につながります。

    不適合で1,000万円損失しても、各組織への情報展開によって未然に1億円の損失を防ぐことができれば、これは立派な投資でもあります。ピンチをチャンスに変えることが品質管理で重要です。

    リスク回避による損害防止額が、品質管理部門の売上と言っても過言ではない。

    ④特別採用(トクサイ)の拡大解釈に注意

    顧客要求より厳しい社内規定

    不適合、トラブル回避のために顧客要求レベルより高いレベルを達成するように社内で規定します。

    しかし、超短納期やコストカット要求が厳しいなどで、社内規定レベルに届かない場合、例外的に特別採用として顧客要求レベルでも社内合格とする場合があります

    もちろん、顧客、自組織内の了承を得る事が前提です。

    品質不正の温床に注意

    しかし、トクサイが常態化したり、自組織の品質に過信して、顧客が困ってないなら少々社内規定以下でも大丈夫と勝手に判断すると、品質不正の温床につながります。

    トクサイの扱いは注意しましょう。人間は楽になる方へ進みたいからです。

    トクサイ

    図のように、最初は、顧客要求レベルより上になる社内規定レベルですが、トクサイに甘んじると徐々に社内の品質やモラルが低下します。一方、顧客要求レベルは時間が経つにつれて高まる方向になります。

    顧客要求レベルと社内品質レベルが同じになると、不適合や品質トラブルが一気にあふれ出し、隠しきれなくなります。

    よく、経営陣が記者会見で謝罪するシーンになってしまうので、注意しましょう。

    トクサイを常態化させない。
    社内の品質向上に必要な投資を実施すべき

    以上、不適合なアウトプットの管理について注意すべきポイントを解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②不適合発生前提で考えておくこと
    • ③不適合に対する迅速な対応ができる組織力
    • ④特別採用(トクサイ)の拡大解釈に注意

  • ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース

    ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース

    「製品及びサービスのリリースに何を注意したらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 製造及びサービス提供
    • ①要求事項の簡略化
    • ②引渡後も組織の責任は継続
    • ③引渡時にバグは残っていると思え!
    • ④引渡作業時の注意点
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.6 製品及びサービスのリリース
    組織は,製品及びサービスの要求事項を満たしていることを検証するために,適切な段階において,計画した取決めを実施しなければならない。 計画した取決めが問題なく完了するまでは,顧客への製品及びサービスのリリースを行ってはならない。ただし,当該の権限をもつ者が承認し,かつ,顧客が承認したとき(該当する場合には,必ず)は,この限りではない。 組織は,製品及びサービスのリリースについて文書化した情報を保持しなければならない。これには,次の事項を含まなければならない。
    a) 合否判定基準への適合の証拠
    b) リリースを正式に許可した人(又は人々)に対するトレーサビリティ

    わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.6 製品及びサービスのリリース
    組織は,製品及びサービスの要求事項を満たすを検証する。 問題なく完了するまでは,顧客へリリースをしてはならない。組織は,リリースについて文書化した情報を保持する。
    a) 合否判定基準への適合の証拠

    長いけど、すっきり整理できましたね。

    モノを造って、顧客に納めて、終了!とすっきり終わりたいですけど、
    ●リリース時の注意点
    ●リリース後の注意点
    を理解しておく必要があります。むしろ、リリース後からがスタートだ!という業種も多いでしょう。

    ②引渡後も組織の責任は継続

    基本、引渡後、一切関係ありませんとはならないことが多く、引渡後も顧客との関係を継続します。また、使用後に法令や規制の変更による対応も必要な場合があります。

    1. 組織の保守メンテナンス体制の構築
    2. 製品及びサービスのトレーサビリティ
    3. 法令、規制の変更による対応

    上の3点を組織で対応できるようにしましょう。

    組織の保守メンテナンス体制の構築

    例えば、関連会社を作って、関連会社に保守メンテを担当するよう体制を作ります。

    ●製品開発・製造部門
    ●保守メンテ部門
    と専門部門に分けると、業務効率がよいでしょう。

    ●保守メンテ部門が顧客から得た情報(苦情や追加注文)を共有し、リリース後の顧客との良好な関係を維持します。

    ●製品開発・製造部門
    ●保守メンテ部門
    と分けた際、注意なのが、顧客側に近い方が、力を持つことが多く、開発・製造の担当者より保守メンテの担当者の方が強気な態度になることがあります。

    担当者間の偏った力関係によって、顧客への対応が遅延しないよう注意が必要です。

    おそらく、担当者の特性が、
    ●開発・製造はおとなしい人が多く
    ●保守メンテは現場上がりのパワフルな人が多い
    組織も多いでしょう。お互いWin-Winな関係が重要です。

    製品及びサービスのトレーサビリティ

    保守メンテした製品及びサービスの番号、日時、改修内容を保持して、情報がいつでも追えるように整理しておく必要があります。

    保守メンテ依頼は忘れた頃にやってくる

    製品及びサービスによっては、15年ぶりに保守メンテするものもあります。その場合、図面が電子化されておらず、組織内の片隅にある紙ファイルにあるが、見つかるまでに時間を要し、非効率な業務になりかねません。

    将来のことは知らないし、担当しないから関係ない!とせず、少なくとも自分が担当した業務は電子化してまとめておきましょう。数年後の担当者が救われます。

    法令、規制の変更による対応

    近年はあまりありませんが、環境物質など、過去は使用OKなのに、急に禁止になるパターンです。ソフトウェアも、セキュリティー問題によって急に変えないといけないものもあるでしょう。

    この場合、ヌケモレは禁物なので、地味なわりに、結構苦労がかかる業務となります。

    1. 対応製品がどれかのリストアップ
    2. 関係者へのインプットと対応の促進
    3. 期限までの確実な対応

    特に関係者に対応してもらわないといけない場合が多いですが、あまりモチベーションが上がる業務ではないので、対応してもらうよううまく説明して促す必要があります。

    日頃から、組織内の関係者との良好な関係作りが必要です。

    忘れた頃にやってくる保守メンテ
    すぐ動けるように日頃から準備が必要!
    なので、ISO9001要求事項となっています

    「 ISO9001要求事項なら、仕方ない」とみんな動いてくれます。

    ③引渡時にバグは残っていると思え!

    工場でも現地でも動作試験はOKで引渡完了!と安堵しますが、バグは残っていると思っていた方がよいです。

    バグが出てもヘコまなくていい、自責の念は不要

    完璧に引渡まで業務完遂した!
    と思った後の、不適合が来ると
    結構、ヘコミます

    8,9年選手で1人前になってきた技術者ほど、ヘコミます。でも、組織はヘコミに付き合っているヒマはありません。だから、最初からバグは残っていると思っていた方が良いです。

    引渡後よくあるトラブル

    品質管理業務をしているとよく聞くトラブルがあります。

    1. 何らかのミスがあったが引渡時は問題なかった。しかし、数カ月後問題が顕在化した
    2. 数年後、改造が必要になり、改造したら予期した動作をしなかった。よく見ると最初から間違えていた。改造までは使っていなかったから問題になっていなかった。

    経験上、完璧な製品やサービスは作れません。顧客が満足する以上のレベルであって、完璧ではないのです。トラブル時は顧客が怒るのが、こわいし嫌ですけど、完璧な製品やサービスは世にはありません。

    バグはずっと残っていると思っていた方が気は楽
    不適合が起きたら、素直に謝って改善すればよいのです。

    ④引渡作業時の注意点

    引渡作業時のよくあるトラブル

    引渡時は気を抜かないよう注意しましょう。

    よくあるトラブルは、

    1. 作業手順が無く我流で作業して、ミスしてトラブル
    2. 作業手順があるのに我流で作業して、ミスしてトラブル
    3. 作業手順と実際が異なっていた。作業手順を見直さずにその場で作業して、ミスしてトラブル

    社内にトラブル連絡が来ると、「またか?」が多いです。

    引渡作業には、作業原則があり、厳守するよう指示されていますが、現状は守っている人とそうでない人がいて、ばらつきがあります。

    引渡作業の難しさ

    引渡作業の作業原則の徹底は基本ですが、現場は多くの人が同時に作業します。いつ、どこで、誰が、何を作業しているかを意識していないと、現場は訳がわからない状態になります。

    そういう難しい作業をしている意識が大切です。難しい作業と思えば、事前に準備や作業内容をしっかり読んでくるはずです。

    しかし、慣れや経験が作業手順と違う作業をしたり、時にミスすることもあります。

    遠い現場まで行く大変な作業なので、無事故、無トラブルで完遂してほしいです。

    作業手順の厳守もISOの要求事項ではあるが、
    現場作業の人へそれを理解してもらう努力がもっと必要。
    ISOだから、規則だから、では
    人はわかっていても行動しません。

    単にモノを顧客に渡すだけのプロセスですが、トラブルの種がたくさん潜んでいます。ISOの要求事項だけでは全然足りません。経験を組織に共有することがより重要です。

    以上、製品及びサービスのリリースで、業務を通じて注意すべきポイントを解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②引渡後も組織の責任は継続
    • ③引渡時にバグは残っていると思え!
    • ④引渡作業時の注意点

  • ISO9001 2015 8.5 製造及びサービス提供

    ISO9001 2015 8.5 製造及びサービス提供

    「製造及びサービス提供において、ISO9001要求事項の注意点って何かがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 製造及びサービス提供
    • ①要求事項の簡略化
    • ②製造初期は要求事項通りできない
    • ③ISOはOKでも製造現場の記録と実態は同じか?
    • ④識別とトレーサビリティは後々重要になる
    製造プロセスがISO9001 で一番要求されますが、基本通り製造すれば、ISO9001の要求事項を満たすレベルなります。
    製造プロセスは難しいし、ノウハウのかたまりなので、各組織が積み重ねた努力の結晶があります。努力の結晶は結局ISO9001の要求事項を満たしています。

    一般的な製造プロセスとISO9001の要求事項のポイントは他に任せて、
    本記事では、実際の製造プロセスで起こりうる「あるある」を解説します。

    品質監査は、製造プロセスは8.5の要求事項をチェックするけど、現場の実態はどうなのか?を一番監査員は気にしているのです。見えないところにいっぱいリスクが潜んでいるので、それを見つけたい!
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.5 製造及びサービス提供

    8.5.1 製造及びサービス提供の管理
    組織は,製造及びサービス提供を,管理された状態で実行しなければならない。 管理された状態には,次の事項のうち,該当するものについては,必ず,含めなければならない。
    a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。
    1) 製造する製品,提供するサービス,又は実施する活動の特性。
    2) 達成すべき結果
    b) 監視及び測定のための適切な資源を利用できるようにし,かつ,使用する。
    c) プロセス又はアウトプットの管理基準,並びに製品及びサービスの合否判定基準を満たしていることを検証するために,適切な段階で監視及び測定活動を実施する。
    d) プロセスの運用のための適切なインフラストラクチャ及び環境を使用する。
    e) 必要な適格性を含め,力量を備えた人々を任命する。
    f) 製造及びサービス提供のプロセスで結果として生じるアウトプットを,それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合には,製造及びサービス提供に関するプロセスの,計画した結果を達成する能力について,妥当性確認を行い,定期的に妥当性を再確認する。
    g) ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する。
    h) リリース,顧客への引渡し及び引渡し後の活動を実施する。
    8.5.2 識別及びトレーサビリティ
    製品及びサービスの適合を確実にするために必要な場合,組織は,アウトプットを識別するために,適切な手段を用いなければならない。 組織は,製造及びサービス提供の全過程において,監視及び測定の要求事項に関連して,アウトプットの状態を識別しなければならない。 トレーサビリティが要求事項となっている場合には,組織は,アウトプットについて一意の識別を管理し,トレーサビリティを可能とするために必要な文書化した情報を保持しなければならない。
    8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
    組織は,顧客又は外部提供者の所有物について,それが組織の管理下にある間,又は組織がそれを使用している間は,注意を払わなければならない。 組織は,使用するため又は製品及びサービスに組み込むために提供された顧客又は外部提供者の所有物の識別,検証及び保護・防護を実施しなければならない。 顧客若しくは外部提供者の所有物を紛失若しくは損傷した場合,又はその他これらが使用に適さないと判明した場合には,組織は,その旨を顧客又は外部提供者に報告し,発生した事柄について文書化した情報を保持しなければならない。 注記 顧客又は外部提供者の所有物には,材料,部品,道具,設備,施設,知的財産,個人情報などが含まれ得る。
    8.5.4 保存
    組織は,製造及びサービス提供を行う間,要求事項への適合を確実にするために必要な程度に,アウトプットを保存しなければならない。 注記 保存に関わる考慮事項には,識別,取扱い,汚染防止,包装,保管,伝送又は輸送,及び保護が含まれ得る。
    8.5.5 引渡し後の活動
    組織は,製品及びサービスに関連する引渡し後の活動に関する要求事項を満たさなければならない。 要求される引渡し後の活動の程度を決定するに当たって,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 法令・規制要求事項
    b) 製品及びサービスに関連して起こり得る望ましくない結果
    c) 製品及びサービスの性質,用途及び意図した耐用期間
    d) 顧客要求事項
    e) 顧客からのフィードバック
    注記 引渡し後の活動には,補償条項(warranty provisions),メンテナンスサービスのような契約義務,及びリサイクル又は最終廃棄のような付帯サービスの下での活動が含まれ得る。
    8.5.6 変更の管理
    組織は,製造又はサービス提供に関する変更を,要求事項への継続的な適合を確実にするために必要な程度まで,レビューし,管理しなければならない。 組織は,変更のレビューの結果,変更を正式に許可した人(又は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した,文書化した情報を保持しなければならない。

    長いし、難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.5 製造及びサービス提供
    8.5.1 製造及びサービス提供の管理
    a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。
    1) 製造及びサービス
    2) 達成すべき結果
    b) 監視及び測定のための適切な資源
    c) プロセス又はアウトプットの管理基準、適切な段階での監視及び測定。
    d) プロセスの運用のためのインフラストラクチャ及び環境。
    e) 力量を備えた人々を任命。
    f) プロセスの能力について定期的に妥当性を再確認。
    g) ヒューマンエラー防止の処置。
    h) リリース,顧客への引渡し及び引渡し後の活動。
    8.5.2 識別及びトレーサビリティ
    組織は,アウトプットの状態を識別する。 トレーサビリティが必要な場合は,文書化した情報を保持する。
    8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
    組織は,顧客又は外部提供者の所有物に注意(所有物の識別,検証及び保護・防護)を払う。
    顧客若しくは外部提供者の所有物を紛失・損傷や使用に適さない場合,顧客又は外部提供者に報告し,発生した事柄について文書化した情報を保持する。
    8.5.4 保存
    組織は,製造及びサービス提供を行う間,アウトプットを保存する。
    8.5.5 引渡し後の活動
    組織は,引渡し後の活動に関する要求事項を満たす。
    a) 法令・規制要求事項
    b) 起こり得る望ましくない結果
    c) 性質,用途及び耐用期間
    d) 顧客要求事項
    e) 顧客からのフィードバック
    8.5.6 変更の管理
    組織は,製造又はサービス提供に関する変更をレビューし,管理する。 組織は,変更のレビューの結果,変更を正式に許可した人(又は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した,文書化した情報を保持する。

    長いけど、すっきり整理できましたね。

    実際ある工場の製造現場を見ると、各製造工程の作業、人、情報を管理して進めているので、ISO9001要求事項を満たしているのは容易に想像がつきます。

    なので、工場に行っても見えない風景を考えながら、ISO9001要求事項を満たす製造プロセスを解説して行きます。

    ②製造初期は要求事項通りできない

    どんな工場や製造プロセスでも、最初からISO9001要求事項を満たして製造できるわけではありません。製造プロセスの成長段階を見る事で、ISO9001要求事項を満たす流れを理解しましょう。

    製造プロセスの立ち上げは3段階

    製造プロセスの立ち上げは3段階あります。

    1. 導入期(試行錯誤で良品が作れる)
    2. 成長期(良品を効率よく作る)
    3. 成熟期(本格的量産体制)

    導入期

    製造開始したばかりで立ち上げをするよう組織から命じられたとしましょう。立ち上げ当初の製造プロセスってどんなレベル感か、イメージしましょう。

    1. 人、機械、設備、カネが限られている
    2. 製造方法が流動的で、作業工に依存している
    3. 文書管理は甘い

    製造、アウトプットの評価、改善を繰り返すわけですから、ISO9001要求事項レベルには達していません。どんな工場でも、開設当初はこんなものです。

    製造立ち上げ開始から、ISO9001に準拠したものづくりはできない。試行錯誤して製造が成熟してから標準化プロセスに進むから。

    成長期

    最初は、製造なのか?実験なのか?わからなかったけど、良品が作れるプロセスを徐々に確立させていきます。良品ができると、今度は効率よく、うまく良品を量産できる工夫をする段階に入りますね。

    1. 作業者でうまいコツを共有
    2. うまい作り方を文書やマニュアル化していく
    3. 情報共有による組織力がアップ

    良品を量産できる段階になると、いよいよ本格的に製造開始となり、製造プロセスも成熟していくわけですね。

    成熟期

    ここまで来ると

    1. 顧客獲得のためのISO認証取得化
    2. 社内関係者の視察、監査が増加
    3. 社会的責任の増加

    が求められます。社内でも、製造プロセスへの投資も増えて責任ある量産体制に入っていきます。

    ●3段階を整理すると、下表になります。

    製造プロセス ISO9001 作業者のタイプ 設備
    導入期 試行錯誤 取得どころではない 開拓、挑戦心が強い 小規模
    成長期 効率化 取得へ進む いろいろなタイプ 中規模
    成熟期 量産体制 取得必須 素直、従順 大規模

    製造プロセスが時間経過と成熟度によって、戦略や作業者のタイプが変わっていくのがわかります。当初いたタイプから量産体制に入るタイプが変わります。

    属人性が強くても良かった立ち上げ当初から、誰が担当しても同質の製造になるように管理されていきます。

    素直で従順な人が増えていきますが、
    ●素直で従順な人なら、工程ばらつきを抑えやすいですが、
    ●何でも上の指示に従うのはよくありません。

    素直で従順 かつ 改善へモノ言う環境構築が管理者側に求められます。

    ③ISOはOKでも製造現場の記録と実態は同じか?

    品質監査して、書類や口頭試問はOKだけど、実態はどうなん?と疑問に思います。

    素直で従順 だけで 改善へモノ言う環境構築ができていないことが多いから。
    ISO9001要求事項や社内規定は必要だが、十分ではない。

    気になる点をいくつか挙げます。あなたの組織の製造プロセスは大丈夫でしょうか?

    1. 記録した情報と現場の空気は同じか?
    2. 素直でも意見が言える空気か?
    3. 同じ人が同じ業務を何年もやっていないか?
    4. 管理者の管理が行き届く現場か?
    5. キツイノルマが課せられていないか?
    6. 検査は資格を持った人が検査しているか?
    7. ゴミが落ちていないか?整理整頓できているか?

    実は、上の項目は、ISO9001要求事項はクリアーしていても、品質不正につながる温床のもとばかりなんです。

    三現主義とよく言います。現物、現場、現実を見ると実態がわかります。そして、その空気感や違和感が伝わってくると、何か嫌な予感がします。ISO9001要求事項を満たしていても、品質に傷がつく状況になっている可能性があります。

    ●モノが言える環境か?⇒改善機会があるか?
    ●担当者の異動は?⇒その人しかわからないと不正に走りやすい
    ●管理者は管理しているか?⇒社内政治や管理職会議に奔走しているのではないか?
    ●キツイノルマ⇒QCDのCDがキツイからQは下げても仕方がないという空気が生まれる。

    製造プロセスはISO9001認証が目的ではなく、要求された品質をユーザに届けること
    製造プロセスをISO9001で要求するが、そこが終点ではない。

    ④識別とトレーサビリティは後々重要になる

    識別とトレーサビリティとは、出荷番号、出荷後のその製品及びサービスに関する情報が常に追える状況にしていおくことです。

    識別とトレーサビリティは、忘れた頃にやってくる!

    具体的には、

    1. 出荷後、数年後に発生したトラブルを対処した情報
    2. 出荷後、数十年後に法令改正によって対応した情報

    前者は、QMS、ISO9001が多く、後者は、EMS,ISO14001が多いでしょう。

    出荷後、数年後に発生したトラブル

    ●出荷時にバグがあったけど、数年間はその機能は使っていなかった。その後、機能追加でその使っていない機能を使うと動作不良が発生した。ってよくありますよね。このとき、どのシステムのどの製品だっけ?

    数年前に出荷したものだったら、組織内に文書化した情報や当時の担当者がいる可能性が高いです。それでも、情報をかき集めるのが大変ですね。

    出荷後、数十年後に法令改正によって対応

    ●最近では、微量PCB汚染が1989年以前の製造した機器に混入の可能性が否定できない件がありました。30年以上稼働している設備に微量PCB汚染した部品がまだ、ある可能性があります。

    30年前となると、当時の担当者はいませんし、何で今頃?と思いながら対応せざるを得ません。

    過去担当者は気になりませんが、数年後経って、事象を対応する担当者へトレーサビリティが引き継がれていないと、泣きを見るハメになります。

    識別とトレーサビリティは、忘れた頃にやってくる!
    面倒ですが、今対応している製造及びサービスの提供プロセスはしっかり保持すると
    後任者が救われます。

    ISO9001 8.5.2はトレーサビリティせよって書いていますが、その理由はあなたもみんなも後々降ってくるリスクから守るためです。

    以上、製造及びサービス提供で、要求事項を満たしながら、さらに注意すべきポイントを解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.5 製造及びサービス提供 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②製造初期は要求事項通りできない
    • ③ISOはOKでも製造現場の記録と実態は同じか?
    • ④識別とトレーサビリティは後々重要になる

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