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  • ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001要求事項

    7.1 資源
    7.1.1 一般 組織は,品質マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 既存の内部資源の実現能力及び制約
    b) 外部提供者から取得する必要があるもの
    7.1.2 人々 組織は,品質マネジメントシステムの効果的な実施,並びにそのプロセスの運用及び管理のために必要な人々を明確にし,提供しなければならない。
    7.1.3 インフラストラクチャ 組織は,プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 インフラストラクチャには,次の事項が含まれ得る。
    a) 建物及び関連するユーティリティ
    b) 設備。これにはハードウェア及びソフトウェアを含む。
    c) 輸送のための資源
    d) 情報通信技術
    7.1.4 プロセスの運用に関する環境 組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
    a) 社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)
    b) 心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア)
    c) 物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)
    これらの要因は,提供する製品及びサービスによって,大いに異なり得る。
    7.1.5 監視及び測定のための資源
    7.1.5.1 一般 要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
    a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
    b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。 組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
    7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
    a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
    b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
    c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。 測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
    7.1.6 組織の知識 組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。 この知識を維持し,必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。 変化するニーズ及び傾向に取り組む場合,組織は,現在の知識を考慮し,必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。
    注記1 組織の知識は,組織に固有な知識であり,それは一般的に経験によって得られる。それは,組織の目標を達成するために使用し,共有する情報である。 注記2 組織の知識は,次の事項に基づいたものであり得る。
    a) 内部の知識源(例えば,知的財産,経験から得た知識,成功プロジェクト及び失敗から学んだ教訓,文書化していない知識及び経験の取得及び共有,プロセス,製品及びサービスにおける改善の結果)
    b) 外部の知識源(例えば,標準,学界,会議,顧客又は外部の提供者からの知識収集)

    資源の要求事項が長いですが、わかりやすく明快に解説します!

    JISハンドブックの解説

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.1 資源 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.1 資源 JIS Q9001 7.1 の補足
    わかった感じにはなる。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9 資源のマネジメント さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    自分の言葉では説明できないはず

    なので、結論は、

    自分の言葉で明確に説明できればOK!

    ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する

    経営資源で考えると分かりやすい!

    経営学から入るとわかりやすい

    経営学では、経営の資源をよく

    ヒト・モノ・カネ

    の3つにまとめることがあります。
    品質管理では「カネ」は対象外なので、

    ヒト・モノ

    の2つの資源に着目します。

    資源と言っても、「金銀」、「ダイヤモンド」、「石油」などの鉱山資源ではありません。経営資源のことです。初めて「資源」と聞くと、前者を想像しがちです。

    ヒト

    ヒトの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    一昔前なら、KKD(気合、根性、度胸)で「24時間戦えますか?」というCMがあり、
    それが日本の強さとか言っていましたが、今はそんな環境には人は行きたいと思いません。

    人が自ら成長したい、そうエンパワーメントする環境が必須な時代です。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.6 組織の知識 a) 内部の知識源、b) 外部の知識源
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    に該当する
    ことがわかります。

    モノ

    モノの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。人が働いて、高い業務成果を出すには、何が必要かを考えましょう。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    建屋がないと、仕事になりませんよね。建屋の設備がないと困りますよね。PC,機械、計測器がないと仕事できませんよね。当たり前じゃん!なのですが、その当たり前なモノが十分あるか?十分機能を果たしているか?が重要です。

    照明が暗い、空調がなければ、人への影響が出て、よい仕事ができませんし、熱中症などの事故、感染症の問題など、その職場の問題がいっぱい発生するから、モノの資源をしっかりおさえておくことは重要なのです。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.3 インフラストラクチャ
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    ③7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 機械、測定器の校正管理
    に該当する
    ことがわかります。

    7.1 資源は、当たり前の環境が当たり前あるか?をチェックする要求事項なのです。

    ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

    経営の資源「ヒト・モノ」を良くしていけばいいとすぐわかりますよね。個別にみていきましょう。

    7.1 資源を良くして品質・経営を高めることが重要で、
    資源の現状と、資源を高める活動をしているかを品質監査でもチェックします。

    ヒト

    ヒトは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●人の数:採用強化が必須ですが、会社の評価が高くないと良い人財が来ません。
    ●各人の能力:将来の力量向上につながる業務を、メンターをつけて育成できるチーム体制が必要です。
    ●働きやすさ:時短勤務、フレックス、最新のシステム導入、残業時間低減による生産性向上などの体制構築が必要です。
    ●メンタルヘルス、多様性:労働環境・労働時間の適正化、産業医などのサポート体制が必要です

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    モノ

    モノは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●施設:利便性高い立地。最新の施設など。
    床がすべりやすく、段差があるとか、雨漏りするとかはNG。労働災害につながります。
    ●設備:照明・空調・圧迫感のない職場、風通しの良い職場作り。
    ●機械、計測器:校正管理ができていることや、メンテナンスが適正であること。機械が壊れたまま稼働すると大事故につながります。
    ●情報通信:PCの使いやすさとか、サイバーセキュリティ対策など

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    品質監査で「資源」を監査

    監査員として、「7.1資源」を監査する場合、どんな質問をしたらよいか?考えましょう。いい勉強になります。

    先ほどから
    ●ヒト:人数、力量、働きやすさ、労働衛生
    ●モノ:施設、設備、機械、情報通信
    を資源として考えてきましたので、これらが十分あるか、十分機能しているかを質疑すればよいです
    質疑内容の例

    ★ヒトについて、
    ●組織内の人数は十分か? 人的リソースにおける課題を挙げよ。
    ●力量向上に必要なリソースは何か?いくつか挙げよ。
    ●平均残業時間はどれくらいか? 半減するにはどうすればよいか提示せよ。
    ●職場の人のメンタルケアをカバーしているか?
    ★モノについて、
    ●職場内は働きやすい環境か?職場における不満を挙げよ。
    ●労働生産性を向上させるために、どんな工夫をしているか?
    ●事業の今後の変革に対応して、どんなリソースが必要か?
    ●セキュリティ対策は何をしているか?

    など、質疑すると、

    ●事業の成長に必要なリソースの明確化
    ●現状のリソースの課題とその解決策

    が見えてきます。

    資源は確かに固定費であり削減対象であるが、
    同時に収益の源泉でもある。
    資源戦略をしっかり整えることが事業成長に必須

    資源のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.1 資源をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。
  • ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    7.5 文書化した情報
    7.5.1 一般 組織の品質マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
    a) この規格が要求する文書化した情報
    b) 品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報
    注記 品質マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によって,それぞれの組織で異なる場合がある。
    − 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
    − プロセス及びその相互作用の複雑さ
    − 人々の力量
    .
    7.5.2 作成及び更新
    文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
    a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
    b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
    c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
    .
    7.5.3 文書化した情報の管理
    7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にするために,管理しなければならない。
    a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
    b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。
    7.5.3.2 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければならない。
    a) 配付,アクセス,検索及び利用
    b) 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
    c) 変更の管理(例えば,版の管理)
    d) 保持及び廃棄
    品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は,必要に応じて識別し,管理しなければならない。
    適合の証拠として保持する文書化した情報は,意図しない改変から保護しなければならない。

    注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。

    JISハンドブックの解説

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_5_文書化した情報 ISO9001 2015 7.5
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_5_文書化した情報 JIS Q9001 7.5の補足
    詳細に書いている。
    **

    上表の「**」の中身ですが、

    1. 情報の「維持・保持」、「情報の程度の指定はしていないこと」
    2. 情報の「作成・更新に識別、レビュー・承認を要求」
    3. 情報は「必要なときに適切な媒体で入手可能であること」

    が大事と記載されています。

    「文書化した情報」で実務上、おさえるべきポイントは3つあります。これは実務・品質監査(内部監査、認証の外部審査)の経験からわかったことです。共有しますね。

    1. 「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    2. 必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    3. 「文書化した情報」が十分に保護されていること

    それぞれ解説していきます。

    ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない

    「文書化した情報」の「情報」がポイント

    「文書化した情報」の「情報」がポイントで、情報の手段は問われません。

    紙(アナログ)でも、電子(デジタル)でも構わない
    .
    電子サーバのフォルダーにファイル一式そろっていればいい
    ありのままを審査で見せてほしい思いがあり、文書管理から文書化した情報とISO自体更新された。

    ひと昔前の、ISO9001だと、紙をファイリングして、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように求められていました。また、ISO9001 監査のために、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように、準備していました。でも、これは三現主義に反しますよね。

    ISOのための無駄な紙ファイリングは全くしなくよくなりました!

    電子ファイル一式そろえていけばOKです。これは実務上、業務で必ずデータが最新に更新されるので、ISOのための文書を作る必要が一切ありません。

    「文書化された情報」に要求事項が変わり、適合性より有効性を監査するよう、ISO9001 2015版から変わったので、文書の管理が楽になりました。また、ありのままをチェックする方が、受審側の課題を見つけやすくなります。

    では、なぜISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったかを解説します。

    なぜ、ISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったか?

    ISO9001 2008版からISO9001 2015版の大きな変更点は次の通りです。これは品質管理業務する中で、肌で感じたことです。

    1. 適合性より有効性をしっかり監査するようになったこと
    2. 品質から経営を意識した品質監査に変化したこと

    「適合性より有効性をしっかり監査」は、ISO9001 2008版からISO9001 2015版へ大きく変更した背景につながります。それは、優良なISO認証企業から相次いで品質不正が発覚したことです。

    ISO品質監査で優良な評価を受けた企業がなぜ、品質不正をしているか?そしてなぜ、監査で不正が見抜けないのか?と思いませんか?

    実態がわかる状態でなければいけないし、かつての紙・ハンコ文化から
    電子化、生成AIの活用などIT技術の進化にも品質活動は適応していかなければなりません。

    ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態

    素早く文書が出せるのは重要ですよ!

    要求事項に書いていますが、これ結構重要です。

    普段から、必要な文書が、素早く入手できることが業務改善につながりますし、品質監査のときに、「●●文書見せてください」と言われて、もたつくと「改善してください」と減点対象になります。

    「必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態」になるように、紙・電子サーバの整理をしておいてください。

    文書整理って意外と難しい

    ここで1つ留意したいのが、

    電子管理化が進むが情報管理の構成は完璧であることよりも、その組織のメンバーが使いやすいこと

    部・課単位で電子サーバや共有フォルダーをみんなで使うと、それぞれ価値観が異なるので、フォルダーやファイルの整理方針が立てにくいです。

    なので、理想的な整理は追求しなくてもよいです。ある程度、整理がうまくできていなくてもOKです。人間は意外と臨機応変に対応できるので、頭で記憶しておけば、ここにファイルがあると認識します。

    組織にが必要な情報がすぐ手に入り、目標に向かうべき行動がすぐにとれることが大事です。文書の管理はその手段にすぎませんよね。

    ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

    保持と維持の違い

    次の例題で、「保持」と「維持」どちらを使うか考えてください。

    (i)社内規定を「●●」する
    (ii)試験成績書を「●●」する
    ●●には、「保持」と「維持」どちらが入るか?
    「維持」と「保持」
    よく似た言葉であるが、
    意図が全く違うので、
    確実に区別して使いこなせるようにしましょう。

    保持

    「保持」とは、「編集してはいけないこと」
    変えてはいけない文書は「保持」です。

    ●承認された文書⇒責任者の承認後、内容が変わってはいけません。
    ●試験成績書⇒内容が変わると改ざんになりますね。

    維持

    維持とは、「編集して最新の状態を保つこと」
    常に最新であるべき文書は「維持」です。

    ●社内規定⇒常に最新であるべきです。
    ●工程図⇒⇒常に最新であるべきです。

    よって、上の例題の答えは

    (i)社内規定を「維持」する
    (ii)試験成績書を「保持」

    ISO9001 2015の要求事項では、
    ●保持が28か所、
    ●維持が23か所
    出て来ます。

    維持、保持、保持、維持、維持、維持、保持、…となると
    訳が分からなくなりますよね。

    「保持」とは、「編集してはいけないこと」
    変えてはいけない文書は「保持」です。

    【注意】電子管理の情報保持について

    最近、コロナ禍もあり、リモートワークが進んでいます。デジタル化・リモート化自体はとても良い事ですが、電子管理の情報保持について1点注意があります。

    電子管理ツールが未熟で、例えばofficeソフト(Excel,Word,PPT)を
    編集可能のまま保持しようとする場合が多い。

    これでは、承認後のデータが書き換え可能になっています。なので、承認後は書き換え不可になる仕組みが必要です。

    実際は、ここまで品質監査で見られたことはありませんが、電子化しても情報が保持していない場合が多いでしょう。

    しかし、保持できないから電子から紙に戻すことだけは絶対避けてください。時代遅れはビジネスにとってリスクです。

    維持・保持を見落とすケースを紹介します。

    1例を紹介します。同じ例ではありませんが、QCプラネッツの職場でも起こり、すぐ修正するよう指示した事例です。何が問題なのか?を考えてみましょう。

    【例題】

    あるメーカの製造部では、製品の検査員の育成をしている。
    最近中途で入社してきた技術者を検査員として育成してきた。
    検査員は2段階あり、①検査の責任者である主任検査員と、
    ②検査担当する検査員がある。力量向上につれて②→①と昇格する。

    中途入社のAさんは②の検査員をある一定経験し、6月初旬では
    ルール上は①の主任監督員に今すぐ昇格してもよい状態であった。
    なお、検査員一覧表は毎年5月に1回チェックして管理している。

    ある検査が6月中旬にあり、月末に検査が完了した。
    その際、検査報告書には主任監査員にAさんの名前で承認されていた。

    このことは検査部門の上司は把握しておらず、検査報告書を見て初めて見た。

    (問)本件において、「文書化した情報」の管理の面からの問題点を指摘せよ。

    【解説】

    「維持」と「保持」の両方ができていないことがわかりますか?
    ●維持: Aさんがいつ、だれが評価して主任検査員としたのか? 仮にAさんが急遽主任検査員としてもよいと組織が決めたとして、名簿の更新がされていない。
    ●保持:本来主任検査員としてISO上認められていない状態でAさんが主任検査員として承認しデータ保持されたこと

    本件、不適合に近い、よくない事例です。

    こういうのは、経験がない者や
    組織の一部の者だけで決めてしまうことでしくじる失敗です。

    どう改善すればよいか?

    ①維持:Aさんを主任検査員としたければ、組織で正式に昇格させる場を設け、議事録を残し、名簿を更新すること。
    ②保持:一旦試験成績書を無効とし、①の名簿を整理した上で再度Aさんが承認するか、もしくはすでに主任検査員に承認するかを決めて実行する。

    いかがでしょうか?

    文書化した情報
    維持・保持
    が機能している・していないは組織の差としてはっきり表出化します。

    「文書化した情報」のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.5 文書化した情報をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

  • ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【しっかり考えよう!】
    • ④力量管理の評価の仕方

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO要求事項、JISハンドブックを読んでみましょう。

    ISO9001要求事項(通説)

    7.2 力量
    組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
    b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
    c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
    d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
    注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。

    「力量」と慣れていない用語を詳しく解説していますが、難しいですね。でも、この記事を読めば、力量はすぐ理解できます!

    ●ISO9001 やJISでは力量の要求事項(やらないといけないこと)は詳しく書いていますが、

    1. 力量ってそもそも何?
    2. 力量をなぜ管理しないといけないの?

    を、理解しておく必要があります。組織の人によっては力量の定義がばらばらなため、うまく力量管理できていないケースがよくあります。

    力量を明快に理解し、
    個人、組織力を高め
    目標達成に向かいましょう!

    JISハンドブックの解説

    ハンドブックの解説を読んでみましょう。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.2 力量 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.2 力量 JIS Q9001 7.2の補足
    力量があると何ができるか?どんな力量が必要かを考えるヒントがある。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9.2.4 人々の力量 人々の力量向上を促すヒントがある。
    力量の定義をISO,JISハンドブックから見ましたが、今度は自分の言葉で明確に説明できるようにしましょう。

    ●力量の明快な定義を解説します。

    ②力量とは「その場ですぐできる力」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●簡単に力量がわかる解説をします。

    力量とは
    「その場ですぐできる力」
    であり、
    知っている、習った、理解できるは力量ではない

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    力量の例

    ●学校の勉強で例えます。例えば、こんな問題

    ●次の方程式を解きなさい。
    \(3x+2=8\)

    ○力量がある⇒上の方程式が解ける!
    ×力量が無い⇒教科書見ながらなら解ける!
    ×力量が無い⇒習った!
    ×力量が無い⇒知っている!
    ×力量が無い⇒わからない!

    ですから、

    品質監査で、力量があるかを監査したければ、
    「その場で、○○の業務をやってください」
    と指示して、その場でちゃんとできるかを診ればよい
    のです。

    ●仕事の力量も勉強の例と同じです。
    ●設計の力量がある⇒その場で設計できる、設計図が書ける
    ●加工の力量がある⇒加工場で実際に加工ができる

    その場ですぐできる力が力量です。

    ●次にどんな力量があるのか?どんな力量が求められて、それを管理(力量管理)すべきかを解説します。

    力量管理は、一度は自分で考えて作りましょう。考えて作れば、ISO,JIS見なくても完璧に理解できます!

    ③力量管理項目の考え方【しっかり考えよう!】

    自分で力量管理を考えることが重要

    ●次の問いを考えてください。

    あなたの業務、部門、組織で必要な力量はどんなスキルですか?
    (i)どんなスキルが必要か?
    (ii)なぜそのスキルが必要なのか?

    ●品質管理は手段ではなく、目的を考えることが重要です。
    何のために力量が必要なのか? それは、部門、組織が目指す目標(収益、幸せ、公共の福祉とか)を達成するからですよね。

    あなたの属する場が目指す目標とそれを達成するために、人々がどうなればよいかを考えれば、何を磨く、習得するべきかがわかるはずです。

    力量管理表の作り方

    力量管理項目の考え方は、意外と難しいですが、抽象度、粒度はあなた好みでOKです。部門・祖式がそれで納得するものでOKです。特に、力量管理項目を考える指針や制約を考えなくてよいです。

    そうなると、
    ●抽象度の高い力量管理表
    ●具象度の高い力量管理表
    など、たくさん作ることができます。

    本記事では、両パターンを提示します。

    力量管理項目の例1(抽象度が高い力量管理表)

    ●抽象的に考えるのが好きな人や、抱える部門・組織の規模が数十人と多い場合は、抽象度が高い力量管理表になる傾向が高いでしょう。

    ●例えば、このような管理項目が考えられます。

    ●力量管理表の管理項目
    ①業界の知識、業務の知識・経験
    ②顧客などの対外折衝・交渉力
    ③コミュニケーション
    ④チームをまとめる力
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界)
     (担当する規模によって力量難易度が変わるのが明確なもの)
     例: 小規模システム導入(入社2,3年目でもできる仕事)
        中規模システム導入(入社5~8年目でないとできない仕事)
        大規模システム導入(熟練かつ資格がないとできない仕事)
    ⑥安全・品質・環境(製造業向け)
    ⑦自己学習能力・資格取得
    など

    職場でよく見かける項目になったでしょう。
    力量項目を埋めるのが目的ではなく、あなたの部門・組織の目標を達成ために、何が必要かを考えて項目化しましょう。

    そして、
    客観的かつ定量化できる項目が大事です。誰が評価しても同じ結果になるような力量管理をしましょう。

    数年前ですと、
    ●ITスキル(コロナ禍)
    ●AI・DXスキル
    ●健康管理(シニア層が多い組織)
    も力量項目が挙げられます。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    力量管理項目の例1(具象度が高い力量管理表)

    一方で、小規模な部門・組織や具体的に考える方を好む場合は、具体的な作業を力量管理項目に入れてもOKです。

    例として、私のQCプラネッツに必要な力量管理項目を考えたので、紹介します。

    ●力量管理表の管理項目
    ①WordPressが使いこなせる
    ②ブログの内容・記事の構成ができる
    ③ブログを書くための高い専門性(品質管理、統計など)がある
    ④SNS(Twitter,LINE,note,Youtube,Instagram)ができる
    ⑤商品が作れる
    ⑥SNSを使って集客・商品販売ができる
    ⑦プロジェクトマネジメントができる
    特に今は要らないとする(苦手なので)
    ×対外コミュニケーションがある
    ×顧客対応
    など

    あなたも、目指すことややりたいことを実現するには、どんな力量が必要かを考えて、その力量が十分あるかを確認するとよいでしょう。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    ④力量管理の評価の仕方

    評価方法・基準・レベルは自由に設定してよいです。ただし、社内の品質内部監査やISO9001認証機関による外部審査では力量管理の評価はよく質疑されます。

    例えば、次のような力量管理表を管理していたとします。

    Aさん Bさん Cさん Dさん
    スキル/入社年数 15 10 6 2
    ①業界の知識、業務の知識・経験 S S A C
    ②顧客などの対外折衝・交渉力 S S B C
    ③プレゼンテーション S A A B
    ④プロジェクトマネジメント S A C B
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界) S S A B

    ●評価基準
    S:指導ができる
    A:自分でできる
    B:指導されたらできる
    C:指導が必須

    ●質疑されるポイントをまとめます。

    1. 力量管理項目の妥当性(あなたの部門のリスク・機会・品質目標に沿っているか?)
    2. 評価基準S,A,B,Cの妥当性
    3. 例えば評価Sの人が何ができるか具体的に教えてほしい
    4. 4人のうち、今年度は誰にどんなスキルアップをさせるのか?(教育計画)
    5. オールSのAさんは頭打ちになっているが、次何を目指すのか?
    監査でつっこまれるからではなく、
    部門・組織の目標達成のために上の5つの質疑に対する
    あなたの答えをしっかり持つことが重要です。
    正解・不正解はありません。
    自分の言葉で力量管理項目が説明できることが重要です。

    まとめると、

    ●力量管理項目は目標・目的から考える
    ●力量管理の項目は常に見直す
    ●部下の育成に何が必要かをよく考える
    ●ベテランは次何をするかを考える

    力量と力量管理のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.2 力量をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【しっかり考えよう!】
    • ④力量管理の評価の仕方

  • ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    10.3 継続的改善
    組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性継続的に改善しなければならない。 組織は,継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために,分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

    確かにその通りなのですが、難しい書き方をしています。
    継続的改善を自分のものにするために理解するポイントを伝授します!

    ●気にすべき内容は、次の2点です。

    1. 「継続的に改善」を自分なりの解釈を見つけること
    2. 継続的改善の目的や意義を意識して考えること

    JISハンドブックの解説

    JISハンドブックも見ていきましょう。継続的改善について説明した箇所がいくつかあります。一緒に見てみましょう。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針
    4. JIS Q9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善 継続的改善の手順及び技法の指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    10.3 継続的改善 ISO9001 2015 10.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    10.3 継続的改善 JIS Q9001 10.3の補足
    改善の方法を列挙。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    11改善 改善だけでなく、学習・革新と範囲を広げた解説
    JIS Q9024 マネジメントシステムの
    パフォーマンス改善
    継続的改善の手順及び技法の指針
    全部 改善方法・効果方法を解説。

    以上から、

    JISの内容は一読しよう!
    あなた自身、あなたをとりまく環境・組織が抱える課題を見つけ、
    どのように解決、改善していくかを自分なりに考えよう!
    改善施策をした後、要求事項を読み返すと、理解度が増しますね。
    不適合事象があり、今すぐ改善すべきことがあればそれほど悩むものではないが、成熟しておりこれ以上何をやったか良いかわからない状況で改善策を考える苦悩もある。

    スタートアップの段階では、日々改善要求がありますが、
    成熟した環境では改善施策が思いつかず、悩むことがあり、結局何も成長しない自分がいたりします。

    ここから、「継続的」に「改善」することを自分なりに解釈して理解する方法を解説します。

    ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なぜなら、目標達成させる手段だからです。でも、その品質管理を抽象化すると難しくなります。

    ●簡単に継続的改善がわかる解説をします。

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    なぜ、ちょっとずつなのか?

    ①ちょっとずつが最重要です。その理由は

    1. 急な改善しても、ストレスや嫌な印象しかなく、継続できない。
    2. 急な改善しても、その改善がストップしたら、元の状態やむしろ改善前より悪い状況まで落ち込むリスクがある。
    3. 組織全員では急な改善活動は無理。

    いきなり、大きな目標を立てて改善すると無理が生じます。そんなしんどい改善はしたくありませんし、改善の監視が終わると、二度とやらない!となり、逆効果すらなります。

    ですからちょっとずつ負荷をかけて、負荷がかかっても問題なければ、もう少し負荷をかけていく感じで行くのが良いです。

    負荷をかけてもしんどくない状態、それが当たり前の状態になれば、過去から改善できた状態ができたことになります。これを長期的に続けるのが、継続的改善のポイントです。

    継続的改善

    継続的改善は
    手を伸ばせば何とか届くところを日々頑張るように組織を導くこと。
    手を伸ばせば届くので、不可能ではないが、しんどい。
    ちょっとしんどいから成長する。
    それを継続することが大事です。
    でも、しんどいね。。。
    継続的改善は
    皆しんどい。
    だからやり切った者が勝つ!

    勝負、受験も似たようなものです。

    継続的改善を促す品質管理技術者は
    組織メンバーのお手本となるよう、
    自ら率先してしんどい道に進むべき。
    ・・・
    でも、それができる品質管理技術者は少ない。しんどいから。

    自分に甘いのはわかります。辛かったらQCプラネッツに問い合わせしてください。一緒に頑張りましょう! 応援します!

    ③わかりやすい継続的改善の例

    継続的改善をわかりやすく解説しました。私生活にも継続的改善例があります。

    1. ダイエット1年で15kg減量
    2. 難しい資格試験合格
    3. 組織改革(品質改善、コスト削減成功)
    4. などなど(皆さんもご自身の事例を挙げましょう)

    どれも、すぐに目標達成したものばかりですが、時間をかけた方が、元の状態に戻ることはありませんよね。

    ダイエットの例で解説しましょう。私も1年で15kgを落とした経験があり、それから10年経過しますが、いまだにもとの肥満状態に戻らず体重を維持しています。

    継続的改善 ~ダイエットの例)

    よく広告で見かけませんか?

    3か月で10kg減量

    結構キツイし、そのストレスでリバウンドする人も多いです。

    ダイエットは大変です。それは、1kg落とすのに9,000kcal(脂肪1g 9kcalで計算)と落とす必要があるからです。

    1ヶ月で1kg落とすだけでも大変!でも「たった1kgかあ」と落胆しますよね。

    でも、-1kg=-9,000kgで 1ヶ月で達成するには1日-300kcalが必須です。これは、1食のうち半分減らし、運動習慣をつけないと継続できません。

    「無理」とするか、「ちょっとおかず減らして、ちょっと運動すればいいんでしょう!」となるかが、
    継続的改善の第一歩ですね。

    ポイントは,

    1. ちょっとしんどいけど、できそうな目標から始める
    2. しんどいけど、1ヶ月は続ける
    3. 徐々に、ダイエットの習慣を身に着ける
    4. 継続できる自分をほめる!
    5. しんどくないなら、もう少しダイエット対策を増やす
    6. すぐに結果を求めず、半年、1年くらい続ける

    私は、これで1年で15kg落ちていきました。食事、運動、生活習慣を少しずつ変えていけば、時間はかかりますが、目標達成できます。

    ④業務の継続的改善方法

    ここまで読めば、部門、組織、業務での継続的改善は何をしたらよいかが見えてくるはずです。

    私が、よく組織に依頼・サポートしている内容をまとめます。

    1. 目指したい高い目標は何か?
    2. 現状と目標の差(ギャップ)を明確化する
    3. ギャップを埋める期間を数年の視野で見るよう指示する
    4. 今できる改善策を立ててもらう
    5. すぐには結果が出ないことを伝えつつ、良くなった効果を評価する
    6. 改善策が部門に浸透してきたら、次の改善策を指示する
    7. ライン部門と一緒に走る姿勢を品質管理部門が見せる
    8. サポートする自分も継続的改善する
    9. 継続的改善を頑張る相手をしっかりサポートする
    10. なあなあにして途中棄権がないよう、配慮する
    11. すぐには結果は出ない。結果が出ても褒めてもらえないことを知っておく
    12. 自分を信じ、皆を信じる
    13. とにかく、ちょっとずつでいいから続けるようエンパワーメントする

    ポイントは、

    継続的改善は
    ①ちょっとずつでいいから
    ②手を伸ばせば届く改善を
    ③継続すること

    これが継続的改善につながるのです。

    仕事でもプライベートでも使える
    継続的改善
    テクニックを是非手に入れてください。
    何でもできるようになりますね!

    まとめ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

  • 管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    「管理図の良書が無い」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図の良書を紹介するけどQCプラネッツを読む方がベター

    結論

    ●管理図の良書自体少ない。
    ●理論を詳しくまとめたものは古すぎる
    ●QCプラネッツの記事を読んだ方がベター
    理論が詳しい本ほど古いです。
    でも古いため、読んでで「なぜ?」と思う内容も多いです。
    なので、QCプラネッツが今、必要とされる管理図の使い方や理論をまとめました。
    一応、数少ない良書を紹介します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①良書のご紹介と解説

    良書一覧

    【1】管理図法―品質管理教程 (1962年) 【評価:◎】
    【評価理由】管理図の使い方、事例、理論が最も詳しい。1962年、1986年版があるが、理論多めの1962年の方がベター。

    【2】新編統計数値表 河出書房 1952 【評価:〇】
    【評価理由】R管理図のd2,d3の導出過程を最も詳しく書いている。しかし、それでも導出の途中経過がわからない。その他多くの統計の数理が紹介されている。

    【3】1回で合格!QC検定®2級テキスト&問題集【評価:〇】
    【評価理由】使い方は理解できる。入門書としては良い。

    【4】【新レベル表対応版】QC検定®受検テキスト1級 (品質管理検定集中講座[1])【評価:〇】
    【評価理由】群内、群間変動、工程異常ルールなど管理図全体を網羅している。試験対策には必須。でも理論はわからない。QC検定®1級で管理図を使った問題が一番苦労するはず。

    【5】管理図の作り方と活用 (新版QC入門講座) 日本規格協会【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    【6】管理図活用の基本と応用 管理図を見直そう 日本規格協会 1986【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②良書だけでは不十分

    関連記事、でまとめましたが、管理図の理論や本質が教科書では十分わかりません。次の問いは教科書に十分書いていません。

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?

    これらを研究することで、管理図の理論・本質が理解できるようになります。

    すべてQCプラネッツの記事に書いていますので、関連記事にて確認ください。

  • 【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める

    【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める

    「管理図は簡単!公式暗記で管理限界求めるだけ!でも、管理図の理論や本質は全く分からない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める
    • ①管理図を究めるのは難しい
    • ②管理図を究める道
    • ③管理図を究める関連記事の紹介

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①管理図を究めるのは難しい

    管理図の本質を確認する問い

    管理図の理論は実はとても難しい

    【あなたに問います】管理図について次の問いが答えられますか?

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?
    10. 実験計画法、検定・推定、χ2乗分布などと管理図を組み合わせた応用事例が解けますか?
    11. 「X-Rs管理図」、「\(\bar{x_s}-Rs\)管理図」、「減点数の管理図」、「カイ2乗管理図」などの管理図は知っていますか?

    管理図の本質をまとめるQCプラネッツの熱い思い

    上の問いが答えられないのは、管理図の作り方だけしか勉強していない証拠です。管理図の理論や特性を知らずに、手法だけ解けても、意味はありません。
    QC検定®では、3級、2級は公式代入だけでOK
    1級は群内、群間分散まで出題してくる。
    でも、群内、群間分散の問題が良くないため、正解が導き出せにくいし、解説読んでも理解できない。
    つまり、ほとんどの人が管理図の本質を理解していないまま、管理図を使ったり、試験問題を出したりしているのではないか?古書も含めて日本中にあるすべての管理図に関する書物を読み直して、管理図の本質をまとめる必要がある!

    という思いで、管理図の本質にQCプラネッツが迫ります!

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②管理図を究める道

    本記事を併せて28記事をまとめました。管理図の本質をここまで書いたサイトや教科書は、無いでしょう。なお、管理図の教科書には載っていない内容ばかり解説しています。必読!です。

    管理図の究め方

    次の8つに分類できます。上から読んでいけば本質に迫れるようにまとめています。また、各分類に属す関連記事を紹介します。

    1. 管理図の導入
    2. 管理図係数表を導出
    3. 群内・群間変動を分割
    4. 工程異常判定ルールを考える
    5. 検出力を管理図で考える
    6. 管理図以外の単元と組み合わせた応用事例
    7. 特殊な管理図
    8. 管理図に関する良書

    ③管理図を究める関連記事の紹介

    (1)管理図の導入

    ここでは、3記事を紹介します。

    ●管理図の種類を特定する頻出問題を紹介します。試験対策用です。これだけやれば大丈夫なレベルになります。

    【必読】管理図の種類を特定する36問
    各データをどんな管理図で管理すればよいか?答えられますか? 本記事では36問用意しました。十分な演習問題を解いて力をつけましょう。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「管理図=シューハート管理図」と思い込んでいませんか?管理図は本来自分で考えるものです。試験勉強に染まると、シューハート管理図に突っ込んでいってしまいます。

    【注意】管理図はシューハートの管理図だけではない
    管理図を勉強すると、管理限界、UCL、LCL、管理図の種類、郡内変動と群間変動、σの推定値などを身に着けます。しかし、シューハート管理図ばかり教科書やQC検定®に取り上げられるため、自分で考える管理図を意識しようとしません。シューハート管理図のデメリットをよく知って、自分で管理図を設計できるようになりましょう。

    ●「管理図は使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったときに、読んでください。管理図の使い方の注意点をまとめました。

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事
    管理図は使えない、役に立たない、使い道がないと思っていませんか?そう思う原因とその対応策について解説しました。管理図の使い方や実務でうまく活用うるポイントをまとめました。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (2)管理図係数表を導出

    ここでは、7記事を紹介します。そろそろ表や数値を使うだけの勉強は卒業しましょう。数値や式は導出して理解するのが最も重要ですよ。

    ●計量値管理図の係数値の変数の導出をまとめました。変な式が多く、導出が困難な印象を受けますね。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●計数値管理図の係数表一覧を作りました。JISのハンドブックまで戻らなくてもすぐ見えるようにしました。

    【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する
    シューハートの管理図の中心・管理限界公式と、係数表をまとめました。大学の試験やQC検定®対策に活用ください。1つの表で全パターンを見やすくまとめました。

    ●s管理図の係数c4と管理限界の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、正規分布の関係から完璧に導出できます。

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる
    s管理図の管理限界を求めるc4と管理限界値の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、標準偏差の関係式を使って、意外と簡単に係数c4が導出できます。さらに、標準偏差と不偏標準偏差によって、若干式が異なる点も詳しく解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●R管理図の係数d2,d3の導出を解説します。これは、完璧な導出ができなかったのですが、わかったところまで解説します。こんな難解すぎて正しいかどうかわからない係数は使いたくないですね。また、範囲R自体が「絶対値」という不自然な値だから導出が難しいのです。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「管理図係数値はnが6以上でないと使えない」を暗記ではなく、理由が説明できるようになってください。係数が負だからです。計算して確認したら、説明できるようになるはずです。

    管理図係数値でnが6以上でないと使えない係数がある理由がわかる
    計量値管理図の管理限界を求める係数で「-」となるものがあります。この理由が説明できますか? 本記事では「-」となる理由を解説します。管理図をマスターする上で必読な記事です。

    ●管理図の群内データ数nを∞に持って行ったら管理図はどうなるか?考えてみましょう。nの極限値をみることで、nと係数値の関係が妥当なのか?チェックできるからです。

    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がわかる
    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がいくらになるかわかりますか? 本記事では、管理図の係数値のnによる変化を理解して、扱う管理図の特性を理解できるように解説しています。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●計量値管理図は2種類、計数値管理図は1種類管理図があります。種類が違い理由は説明できますか?計数値管理図にR管理図やs管理図が必要なケースを考えてみてください。いい勉強になります。

    【本記事限定】計数値データにR管理図やs管理図が必要な場合がある
    管理図では、計量値データは2種類の管理図、計数値データは1種類の管理図と教科書ではよく書いていますが、本当でしょうか?本記事では、計数値データでも2種類の管理図が必要な場合を解説します。教科書丸暗記せず自分で考える習慣が重要です。

    (3)群内・群間変動を分割

    ここでは、2記事を紹介します。

    ●群内変動、群間変動の分割公式を導出します。公式暗記せず、導出が理解を早めます。

    【必読】管理図の分散σ(x)とσ(xbar)の違いがわかる(群内変動と群間変動)
    管理図において、群内変動と群間変動の分散の導出方法がわかりますか? 本記事では、Xbarの分散公式とXの分散公式の違いや、公式の導出方法を平方和、実験計画法を活用して導出します。単なる公式の丸暗記に頼らず自力導出できることが重要です。

    ●QC検定®1級対策用です。1級の群内変動、群間変動の分割問題は良問ではありませんが、試験合格が目的なので、それに対応した演習問題を紹介します。

    【必読】計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる
    R管理図から群内変動と群間変動の分散が推定できますか?本記事では、群内変動と群間変動の分散を導出する方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方、QC検定®1級合格したい方は必見です。

    (4)工程異常判定ルールを考える

    ここでは、2記事を紹介します。連、傾向など8つの異常判定ルールがJISにあります。しかし、なぜ、それらが異常と言えるのか?理由を説明できますか?本来は、工程管理対象の特徴に合わせて異常判定を設定すべきです。

    ●異常ルールはJISに頼る前に、自分で考える必要があります。異常判定条件の考え方をまとめました。

    【重要】管理図の異常判定ルールは自分で設計すべき(JISに頼るな!)
    管理図の異常判定ルールは8種類ありますが、各々のルールである理由を説明できますか?本記事では、JISでも、自力でも異常判定ルールを考えるヒントを解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「工程が管理状態であり、σ=0」とよく教科書に書いています。この状態を管理図で表現するとどうなるか?を解説しました。理想的な管理状態を管理図で見ておくことは重要です。

    管理図で「工程が管理状態である」がわかる
    管理図にて、「工程が管理状態である」とはどんな図になるのか?説明できますか? 本記事では、暗記に頼らず、データの分散から管理状態を想定したデータを考え、そのデータの管理図を作成する流れを解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (5)検出力を管理図で考える

    ここでは、2記事を紹介します。管理限界は基本的には正規分布の±3σの点です。ここから第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を確認することができます。

    ●管理図で第1種の誤りと第2種の誤り、検出力の関係と求め方を解説します。

    【必読】管理図の第1種の誤りと第2種の誤り(検出力)がわかる
    管理図において、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力の関係について説明できますか?本記事では、管理図から、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を求める方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現することができます。抜取検査の主役であるOC曲線が管理図でも出て来ます!

    工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現できる
    管理図の管理限界と工程管理の検出力の関係が説明できますか?本記事では正規分布を活用して、工程管理の変化による検出力の影響を解説します。管理図とOC曲線と正規分布を使った応用事例です。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (6)管理図以外の単元と組み合わせた応用事例

    ここでは、6記事を紹介します。

    ●R管理図で範囲Rの平均差の検定できることを解説します。平均差の検定はt分布を使いますが、正規分布でも検定ができることも解説します。

    R管理図で範囲Rの平均差の検定ができる
    R管理図を用いて、母平均差の検定について解説します。t分布を使った検定方法と、古書にあるF検定を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●u管理図の欠点数の差の検定を解説します。正規分布、管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例を解説します。

    u管理図の欠点数の差の検定ができる
    u管理図を用いて、欠点数の差の検定について解説します。正規分布を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●管理図の平均値Xbarの差の検定を解説します。差の検定はt分布を使いますが、正規分布でも使えることを解説します。

    管理図の平均値Xbarの差の検定ができる
    Xbar管理図を用いて、母平均差の検定について解説します。t分布を使った検定方法と、古書にある正規分布と管理図係数を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●2つのデータを組み合わせた場合の管理図を考えます。分散の加法性と管理限界の関係性を解説します。

    2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)
    2つのデータを和、差して合成したデータを管理図に入れるとき、何に注意すればよいか説明できますか? 本記事では、確率分布に従うデータの合成後の管理図の作り方について解説します。管理限界と3σの関係、データ合成後の検出力の影響などがわかります。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●p管理図から不良率の差を検定します。管理図、正規分布、χ2乗分布を組み合わせた応用事例を解説します。

    p管理図の不良率の差の検定ができる
    p管理図を用いて、不良率の差の検定について解説します。正規分布を使った検定方法と、χ2乗分布を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●工程管理を改善すると管理図のグラフは変化します。それ同時に、各因子・効果の変動がどの程度変化するかを実験計画法・分散分析を使って数値化します。管理図と実験計画法を使った応用事例を解説します。

    【必読】管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する
    データのばらつき低減効果と管理図の変化について解説します。管理図と実験計画法(三元配置実験)を使った応用問題として本記事を読むと理解が深まります。管理図と実験計画法をマスターしたい方は必見です。

    ここまで読めば、かなり管理図の応用力がつきますね。

    (7)特殊な管理図

    ここでは、4記事を紹介します。

    ●X-Rs管理図を解説します。QC検定®1級では、過去に1回だけ出題されるくらいのレアですが、データが1つしかない場合の範囲Rをどう計算するかが注目ポイントです。

    【必読】X-Rs管理図が作れる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべ

    ●移動平均と移動範囲の管理図を解説します。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる
    移動平均と移動範囲の管理図を解説します。特殊な管理図ですが、Xbar-R管理図との違い、xs-Rs管理図の描き方を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●減点数の管理図の作り方を解説します。p管理図やnp管理図のように「不良」、「良」の2択ではなく、3択以上の複数の選択がある場合に活用する管理図です。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)
    欠点数を管理する場合、複数の区分で評価することが多いです。その場合、ポアソン分布と、分散の加法性を使いながら、管理図を作る方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「χ2乗管理図」って聞いたことがありますか?あるんです!np管理図やp管理図のように、「不良」、「良」の2択ではなく、3つ以上の選択がある場合、まとめて工程管理図を作る場合に考えたのがカイ2乗管理図です。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    カイ2乗管理図がわかる
    カイ2乗管理図があるのをご存じですか?pn管理図やp管理図のように、「不良」、「良」の2択ではなく、3つ以上の選択がある場合、まとめて工程管理図を作る場合に考えらたのがカイ2乗管理図です。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (8)管理図に関する良書

    良書を紹介します。

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)
    管理図に関する良書を紹介します。ですが、良書が少ない、少なぎる。近年の教科書は管理図の描き方しか解説しておらず、係数の値の導出、群内・群間分散の導出などを詳しく解説した書物がありません。そこで、QCプラネッツでは、管理図の理論や本質をしっかり解説しています。

    以上、(1)~(8)の計27記事を紹介しました。これを全部理解すれば、日本で最も管理図が詳しいレベルにすぐ到達できます。必読です!公式暗記で済ませる管理図からさよならしてください。

    まとめ

    管理図の究め方について解説しました。

    • ①管理図を究めるのは難しい
    • ②管理図を究める道
    • ③管理図を究める関連記事の紹介

  • カイ2乗管理図がわかる

    カイ2乗管理図がわかる

    「カイ2乗管理図って何?」と困っていませんか? マニアックすぎて困ってない? でもあるんです!紹介しますね。

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    カイ2乗管理図がわかる
    カイ2乗管理図なんて聞いたことが無い!

    と思いますが、あることはあります。折角なので解説します!必見ですよ!

    • ①カイ2乗管理図とは
    • ②カイ2乗管理図の描き方
    • ③カイ2乗管理図のメリット、デメリット

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    ①カイ2乗管理図とは

    カイ2乗管理図がなぜ必要?

    元々はp管理図やnp管理図で不良品、良品を管理しますが、「良か不良か」の2択しかありません。

    中には、2択以上の複数選択をした管理図を作りたいニーズもあるでしょう。これをかなえるために作られたのが、カイ2乗管理図です。

    カイ2乗管理図の数理

    いろいろ疑問に思うでしょう。1つずつ解説します。

    疑問1:カイ2乗の式使うの?
    疑問2:中心、管理限界のCL,LCL,UCLはどう決めるの?

    カイ2乗の式使うの?

    適合性の検定のようにカイ2乗式を使います。

    次の式を使います。
    ●\(χ^2\)=\(\sum \frac{(実測値―期待値)^2}{期待値}\)

    具体的に4つの階級がある場合は、
    ●\(χ^2\)=\(\frac{(r_A-\bar{r_A})^2}{\bar{r_A}}\)+\(\frac{(r_B-\bar{r_B})^2}{\bar{r_B}}\)
    +\(\frac{(r_C-\bar{r_C})^2}{\bar{r_C}}\)+\(\frac{(r_D-\bar{r_D})^2}{\bar{r_D}}\)
    となります。

    中心、管理限界のCL,LCL,UCLはどう決めるの?

    カイ2乗分布の
    ●0.5点がCL、
    ●1-0.0027点がLCL、
    ●0.0027点をUCL
    とします。
    0.0027は正規分布の3σの点です。

    χ2乗分布と確率について下図のとおりです。

    カイ2乗分布

    χ2乗分布表にて、自由度と確率点をみれば、χ2の値がわかります。
    ただし、0.0027点や、1-0.0027点はχ2乗分布表では読み取れません。

    Excelの関数を使って導出します。
    ●CHISQ.INV.RT(確率,自由度)で計算してくれます。
    確率が1-0.0027で自由度が3の場合は、
    ●CHISQ.INV.RT(1-0.0027, 3)=0.047
    となります。ほぼ0ですね。

    まとめると、

    カイ2乗分布の
    ●CL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.5, 自由度)の値
    ●LCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(1-0.0027, 自由度)の値
    ●UCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.0027, 自由度)の値
    とします。
    0.0027は正規分布の3σの点です。

    ②カイ2乗管理図の描き方

    データの用意

    カイ2乗管理図と比較のためのpn管理図を作成します。

    データは次の表のとおりです。

    1級 2級 3級 χ2
    1 174 10 16 0.89
    2 173 8 19 0.5
    3 175 9 16 1.05
    4 170 14 16 2.4
    5 174 6 20 1.69
    6 173 6 21 1.7
    7 164 11 25 1.56
    8 169 13 18 1.11
    9 165 15 20 2.65
    10 163 8 29 4.74
    合計 1700 100 200 2000
    平均 170 10 20 200

    作る管理図

    ●4つの管理図を作ります。

    ●1級だけのnp管理図
    ●2級だけのnp管理図
    ●3級だけのnp管理図
    ●1級、2級、3級をまとめたカイ2乗管理図

    np管理図を作る

    ●1級だけのnp管理図
    ●2級だけのnp管理図
    ●3級だけのnp管理図

    ●必要な値をそれぞれ求めます。表にまとめます。

    1級 2級 3級
    平方和S 186 92 160
    分散V 20.67 10.22 17.78
    標準偏差s 4.54 3.2 4.21
    平均CL 170 10 20
    LCL 156.38 0.40 7.37
    UCL 183.62 19.6 32.63

    ●np管理図を描きましょう。

    np管理図(1級)

    np管理図

    np管理図(2級)

    np管理図

    np管理図(3級)

    np管理図

    カイ2乗管理図を作る

    ●1級、2級、3級をまとめたカイ2乗管理図

    必要な値を求める。

    ●必要な値をそれぞれ求めます。表にまとめます。

    まず、自由度は 1級、2級,3級の3つから1つ引いた、2です。
    自由度2のカイ2乗分布を考えます。

    ●次に、データから各群のχ2を計算します。
    例えば、群1の場合、
    データが、174,10,16で、
    それぞれの平均が170,10,20
    です。

    ●\(χ^2\)=\(\frac{(r_A-\bar{r_A})^2}{\bar{r_A}}\)+\(\frac{(r_B-\bar{r_B})^2}{\bar{r_B}}\)
    +\(\frac{(r_C-\bar{r_C})^2}{\bar{r_C}}\)
    =\(\frac{(174-170)^2}{170}\)+\(\frac{(10-10)^2}{10}\)+\(\frac{(16-20)^2}{20}\)
    =0.89
    となります。
    同様に群1から群10まで計算します。

    ●自由度2のχ2乗分布からLCL,CL,UCLを求めます。
    ◎LCL=CHISQ.INV.RT(1-0.0027,2)=0.0054
    ◎CL=CHISQ.INV.RT(0.5,2)=1.38
    ◎UCL=CHISQ.INV.RT(0.0027,2)=11.83
    となります。

    ●結果を下表にまとめます。

    χ2 LCL CL UCL
    1 0.89 0.01 1.39 11.83
    2 0.5 0.01 1.39 11.83
    3 1.05 0.01 1.39 11.83
    4 2.4 0.01 1.39 11.83
    5 1.69 0.01 1.39 11.83
    6 1.7 0.01 1.39 11.83
    7 1.56 0.01 1.39 11.83
    8 1.11 0.01 1.39 11.83
    9 2.65 0.01 1.39 11.83
    10 4.74 0.01 1.39 11.83

    ●カイ2乗管理図を描きましょう。

    カイ2乗管理図

    np管理図とカイ2乗管理図を比較してどちらも工程異常はないことがわかりました。np管

    ③カイ2乗管理図のメリット、デメリット

    カイ2乗管理図のメリット

    複合条件をまとめたデータで管理図が作れること。

    くらいでしょうか?

    カイ2乗管理図のデメリット

    (i)カイ2乗管理図のLCL,CL,UCLの定義の妥当性が怪しい。つまり、
    ●CL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.5, 自由度)の値
    ●LCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(1-0.0027, 自由度)の値
    ●UCL⇒Excel でCHISQ.INV.RT(0.0027, 自由度)の値
    は妥当なのか?よく吟味する必要があります。
    (ii)個別に作ったnp管理図で十分となると、カイ2乗管理図の出番はなさそう。

    以上から、デメリットの方が多いため、有名にならないマニアックな管理図になってしまったかもしれません。

    カイ2乗管理図からχ2乗分布、適合性の検定、pn管理図を複合した応用事例として勉強できたので、カイ2乗管理図を学ぶ価値はあります!

    まとめ

    カイ2乗管理図について、解説しました。

    • ①カイ2乗管理図とは
    • ②カイ2乗管理図の描き方
    • ③カイ2乗管理図のメリット、デメリット

  • 移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる

    移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる

    「移動平均と移動範囲の管理図って何?」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\)管理図)がわかる
    • ①移動平均と移動範囲のデータのとり方
    • ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}- R_s\)管理図)の描き方
    • ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\)管理図)は相当マニアックですが、こんな管理図も考え出されているので、知っておいて損はありません。
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    ①移動平均と移動範囲のデータのとり方

    基本は、平均と範囲なので、代表的な\(\bar{X}\)-R管理図さえあればOK。それの特別版な管理図である\(\bar{x_s}-R_s\)管理図をお楽しみください。

    平均移動とは?平均範囲とは?

    ●平均移動⇒次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けした場合の平均値
    ●平均範囲⇒次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けした場合の範囲

    言葉にすると非常にわかりにくいので下表で説明します。

    ●まず、データを用意します。Noごとに1つのデータxを測定します。

    No データx
    1 15
    2 20
    3 24
    4 23
    5 15
    6 18
    7 11
    8 12
    9 19
    10 14

    ●次に、群分けの方法ですが、
    次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けとあります。
    n=3とすると、
    ●3個ずつ順にずらすので、
    (i)1群目:1個目、2個目、3個目のデータ
    (ii)2群目:2個目、3個目、4個目のデータ
    (iii)3群目:3個目、4個目、5個目のデータ

    と区分けしていくことです。

    すると、次の表に変形できますね。

    No データx 群分け(n=3)
    1 15 1
    2 20 1 2
    3 24 1 2 3
    4 23 2 3
    5 15 3
    6 18
    7 11
    8 12 8
    9 19 8
    10 14 8

    移動平均と移動範囲のデータのとり方

    データを群内、群間の2軸にまとめ直します

    データx
    1 15 20 24
    2 20 24 23
    3 24 23 15
    8 12 19 14

    上表の横方向のデータの作り方が、\(\bar{X}\)-R管理図と異なります。

    ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\))理図)の描き方

    \(\bar{x_s}-R_s\)管理図の注意点

    \(\bar{x_s}-R_s\)管理図自体は、\(\bar{X}\)-R管理図と同じ描き方です。

    管理限界は
    ●\(\bar{x_s}\)管理図: \(\bar{\bar{x}}±A_2 \bar{R_s}\)
    (\(\bar{\bar{x}}\)は群分けする前の全データの平均。重複するデータは無い点に注意)
    ●\(R_s\)管理図: \(D_3 \bar{R_s}\),\(D_4 \bar{R_s}\)
    と\(\bar{X}\)-R管理図と同じ

    \(\bar{x_s}-R_s\)管理図の描き方

    元のデータを再掲します。

    データx
    1 15 20 24
    2 20 24 23
    3 24 23 15
    8 12 19 14

    この表に、\(\bar{x_s}\)、\(\bar{\bar{x}}\)、\(R_s\)を追加します。

    データx \(\bar{x_s}\) \(\bar{\bar{x}}\) \(R_s\)
    1 15 20 24 19.67 17.1 9
    2 20 24 23 22.33 17.1 4
    3 24 23 15 20.67 17.1 9
    4 23 15 18 18.67 17.1 8
    5 15 18 11 14.67 17.1 7
    6 18 11 12 13.67 17.1 7
    7 11 12 19 14 17.1 8
    8 12 19 14 15 17.1 7

    ここで、\(\bar{x_s}\)、\(\bar{\bar{x}}\)、\(R_s\)の計算方法を解説します。
    ●第1群の\(\bar{x_s}\)=(15+20+24)/3=19.67
    (他の群も同様に計算)
    ●\(\bar{\bar{x}}\)=(15+20+24+23+15+18+11+12+19+14)/10=17.1
    (群分けしない。データが重複しないため)
    ●第1群の\(R_s\)=(24-15)=9
    (他の群も同様に計算)
    また、
    ●\(\bar{R_s}\)=全群の\(R_s\)の平均
    =7.375

    \(\bar{x_s}\)管理図

    ●管理限界、LCL,UCLを計算します。
    ◎LCL=\(\bar{\bar{x}}-A_2 \bar{R_s}\)
    =17.1-1.023×7.375
    =9.56
    ◎UCL=\(\bar{\bar{x}}+A_2 \bar{R_s}\)
    =17.1+1.023×7.375
    =24.64

    \(\bar{x_s}\)管理図のデータを下表にまとめます。

    \(\bar{x_s}\) \(\bar{\bar{x}}\) LCL UCL
    1 19.67 17.1 9.56 24.64
    2 22.33 17.1 9.56 24.64
    3 20.67 17.1 9.56 24.64
    4 18.67 17.1 9.56 24.64
    5 14.67 17.1 9.56 24.64
    6 13.67 17.1 9.56 24.64
    7 14 17.1 9.56 24.64
    8 15 17.1 9.56 24.64

    グラフは下図になります。

    xs管理図

    \(R_s\)管理図

    ●管理限界、LCL,UCLを計算します。
    ◎LCL=無しというか0
    ◎UCL=\(D_4 \bar{R_s}\)
    =2.575×7.375
    =18.99

    \(\bar{x_s}管理図のデータを下表にまとめます。

    Rs \(\bar{R_s}\) LCL UCL
    1 9 7.375 0 18.99
    2 4 7.375 0 18.99
    3 9 7.375 0 18.99
    4 8 7.375 0 18.99
    5 7 7.375 0 18.99
    6 7 7.375 0 18.99
    7 8 7.375 0 18.99
    8 7 7.375 0 18.99

    グラフは下図になります。

    Rs管理図

    管理図が完成しましたね。

    ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

    \(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット

    どんなメリットがあるでしょうか?

    ●1回に1つしか出ないデータをX-R管理図のように表現できる。
    でもX管理図だけ描けばいいじゃんと突っ込まれるとその通り。
    ●横軸の区切る期間を工程、機械、材料の違いによって区切り方を分けてその平均の動きが見える。

    \(\bar{x_s}- R_s\)管理図のデメリット

    どんなデメリットがあるでしょうか?

    ●群内、群間分けができない。同じデータが他の群に重複するから。

    まとめると、私の感触では、\(\bar{X}\)-R管理図ほど便利なものではない気がします。でも、こういう管理図も考えられることを知っておいてください。

    まとめ

    移動平均と移動範囲の管理図\(\bar{x_s}- R_s\)について、解説しました。

    • ①移動平均と移動範囲のデータのとり方
    • ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}- R_s\)管理図)の描き方
    • ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

  • 減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)

    減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)

    「複数に区分された欠点数を評価する管理図が作れない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    複数に区分された欠点数を評価する管理図が作れる(ポアソン分布と分散の加法性の応用事例)
    • ①複数に区分された欠点数を評価したい場合
    • ②ポアソン分布と分散の加法性
    • ③複数に区分された欠点数を評価する管理図の作り方
    管理図とポアソン分布と分散の加法性をまぜた応用事例を解説します。
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    複数に区分された欠点数を評価したい場合

    減点数のデータ

    品質特性を調べるときに、「外観の傷などの欠点数」や「組立上の欠点」などを調べます。欠点の状態によって、いくつかの階級に分けて評価したい場合を考えます。

    階級分けして評価する例

    たとえば、

    1. 致命的欠点(使用不可、ユーザに悪影響)
    2. 重欠点(特性に欠陥があるが、修理可能)
    3. 軽欠点(動作に問題ないが、気になる程度)
    4. 微欠点(誤差範囲で問題無いレベル)

    難しいですね。関西弁で書くと、

    1. 絶対アカン!
    2. ヤバい!
    3. ちょっと気になるけど!
    4. それくらい勘弁してよ!

    などの、程度によって分けて評価することを考えます。基本的には、点数分けして区別するでしょう。

    階級 点数
    致命的欠点 100
    重欠点 50
    軽欠点 10
    微欠点 2

    ●合格点は70点以下とかにして、ある製品の欠点数が
    ◎致命的欠点は0つ
    ◎重欠点は1つ
    ◎軽欠点は1つ
    ◎微欠点は3つ
    あった場合、評価点数は、
    100×0+50×1+10×1+2×3=66点と70点以下のなので、出荷OKとするとか評価できますね。

    では、階級別に点数化された評価点を管理図で管理することを考えます。

    ポアソン分布と分散の加法性

    欠点数はポアソン分布を活用

    管理図は、3種類ありますね。

    変数 確率分布 管理図
    計量値 正規分布 X,R,s
    計数値 二項分布 np,p
    計数値 ポアソン分布 c,u

    本記事は、欠点数を扱うので、ポアソン分布をベースに考えます。

    階級別の欠点数はポアソン分布と分散の加法性を活用

    仮定条件を設定

    ●1つの製品に、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4種の欠点の階級を考え、それぞれの階級にある欠点数はそれぞれ別々に以下のポアソン分布に従うと仮定します。

    階級 評価点(A) 欠点数(B) 平均(C) 点数合計(A×B)

    (致命的欠点)
    \(p_1\)
    (例:100)点
    \(d_1\)
    (例:1個)
    \(m_1\) \(p_1 d_1\)
    (例:100×1=100点)

    (重欠点)
    \(p_2\)
    (例:50)点
    \(d_2\)
    (例:3個)
    \(m_2\) \(p_2 d_2\)
    (例:50×3=150点)

    (軽欠点)
    \(p_3\)
    (例:10)点
    \(d_3\)
    (例:5個)
    \(m_3\) \(p_3 d_3\)
    (例:10×5=50点)

    (微欠点)
    \(p_4\)
    (例:2)点
    \(d_4\)
    (例:10個)
    \(m_4\) \(p_4 d_4\)
    (例:2×10=20点)
    合計 合計 \(p_1 d_1+…+p_4 d_4\)
    (例:320点)

    ●上表の場合の製品の欠点数qは、
    q=\(p_1 d_1\)+\(p_2 d_2\)+\(p_3 d_3\)+\(p_4 d_4\)
    で具体例でいうと、
    q=100×1+50×3+10×5+2×10=320
    ですね。

    欠点数合計の期待値、分散を導出

    ●欠点数合計qの期待値と分散を考えます。

    ●欠点数合計qの期待値\(μ_q\)=E[q]は、
    \(μ_q\)=E[q]
    = \(p_1\)E[\(d_1\)]+ \(p_2\)E[\(d_2\)]+ \(p_3\)E[\(d_3\)]+ \(p_4\)E[\(d_4\)]
    =\(p_1\)\(m_1\)+ \(p_2\)\(m_2\)+ \(p_3\)\(m_3\)+ \(p_4\)\(d_4\)
    になります。
    欠点数dが変数になるので、E[\(d_i\)]⇒\(m_i\)と変形します。

    ●欠点数合計qの分散\(σ_q^2\)=V[q]は、
    \(σ_q^2\)=V[q]
    = \(p_1^2\)V[\(d_1\)]+ \(p_2^2\)V[\(d_2\)]+ \(p_3^2\)V[\(d_3\)]+ \(p_4^2\)V[\(d_4\)]
    =\(p_1^2\)\(m_1\)+ \(p_2^2\)\(m_2\)+ \(p_3^2\)\(m_3\)+ \(p_4^2\)\(d_4\)
    になります。

    ●期待値Eと分散Vの定義は、
    E=\(\sum_{i} x_i f(x_i)\)
    V=\(\sum_{i} x_i^2 f(x_i)\)
    ですね。この定義どおり、立式するので、
    期待値Eは\(p_i\)V[\(d_i\)]の和、
    分散Vは\(p_i^2\)V[\(d_i\)]の和、
    となります。

    ●ポアソン分布の期待値と分散は一致しますね。
    つまり、平均が\(m_i\)なら、
    期待値E =\(m_i\)V
    分散V=\(m_i\)
    と一致します。

    欠点数合計の期待値、分散は、
    ●期待値E=\(p_1\)\(m_1\)+ \(p_2\)\(m_2\)+ \(p_3\)\(m_3\)+ \(p_4\)\(d_4\)
    ●分散V=\(p_1^2\)\(m_1\)+ \(p_2^2\)\(m_2\)+ \(p_3^2\)\(m_3\)+ \(p_4^2\)\(d_4\)
    です。

    減点数の管理図を作成

    データ事例

    次のデータを管理図に描きます。

    ある製品の1年間のデータをまとめると下表のとおりになった。検査サンプル数は20,000である。また、サンプル数n=500単位の規模の管理図を作成し、品質管理したい。
    欠点の階級 減点評価\(p_i\) 欠点数\(d_i\) 積\(p_i d_i\) 積\(p_i^2 d_i\)
    100 235 23,500 2,350,000
    50 2,585 129,250 6,462,500
    10 7,126 71,260 712,600
    2 13,602 27,204 54,408
    合計 23,548 251,214 9,579,508

    管理図と管理限界の計算

    1サンプルあたりの欠点数で評価します。c管理図を作成します。

    まず、平均と管理限界を計算します。

    欠点数合計の期待値、分散を導出

    ●期待値Eは
    E=\(\sum_{i=1}^{4} p_i d_i\)/N
    =251,214/20000=12.56

    ●分散Vは、サンプル数n=500を考慮して、
    V=\(\sum_{i=1}^{4} \frac{p_i^2 d_i}{N}\)/n
    =9,579,508/(20,000×500)=0.958
    ●標準偏差σは
    σ=\(\sqrt{V}\)=0.979

    管理図を作成

    まとめると、

    平均12.56、管理限界3×0.979に入るc管理図を作成。

    ここで1つ問題があります。⇒管理図がまだ描けない!

    今、管理図の縦軸である平均と管理限界が出ましたが、横軸データがまだありません。どんなデータを用意すればいいか?

    ●例えば、月ごとの欠点数データを横軸にとって、管理すればよいでしょう。

    次のような月ごとの欠点数データを取ります。

    月ごとの欠点数A
    (サンプル数n=500あたり)
    1 11
    2 14
    3 13.5
    4 11.5
    5 10.8
    6 12.5
    7 13.4
    8 15.4
    9 14.5
    10 11.5
    11 12.5
    12 14.1

    このデータと、期待値と標準偏差を使って管理限界を入れた管理図を作成します。

    c管理図

    ポアソン分布と分散の加法性を活用して管理図を作る応用事例になります。

    まとめ

    ポアソン分布と分散の加法性を活用して管理図を作る方法を解説しました。

    • ①複数に区分された欠点数を評価したい場合
    • ②ポアソン分布と分散の加法性
    • ③複数に区分された欠点数を評価する管理図の作り方

  • 2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)

    2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)

    「2つのデータを管理図にするとき、何に注意すればよいかわからない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    2つのデータを管理図にするときの注意点
    • ①2つのデータの平均(期待値)と分散
    • ②分散の加法性と検出力のバランスに注意
    • ③計量値の管理図の注意点
    • ④計数値の管理図の注意点は無い
    管理図と分散の加法性、検出力をまぜた応用事例を解説します。
    教科書やサイトの内容をそのまま暗記せず、自分で考えてみよう。疑問がわけば、新発見につながる!

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    ①2つのデータの平均(期待値)と分散

    2つのデータのそれぞれの平均(期待値)と分散

    2つデータを用意します。それぞれ正規分布に従うと仮定します。
    ●データA: 平均E[\(x_A\)]=\(μ_A\)、分散V[\(x_A\)]=\(σ_A^2\)
    ●データB: 平均E[\(x_B\)]=\(μ_B\)、分散V[\(x_B\)]=\(σ_B^2\)

    2つのデータの和、差したデータを合成

    データA,Bをそれぞれ和、差すると、平均(期待値)と分散はいくらになるか?を考えます。分散の加法性を使えばよいですね。

    ●和A+Bの場合
    ◎平均E[\(x_A+x_B\)]= E[\(x_A\)]+ E[\(x_B\)]=\(μ_A\)+\(μ_B\)
    ◎分散V[\(x_A+x_B\)]= V[\(x_A\)]+ V[\(x_B\)]+2Cov(\(x_A\),\(x_B\))
    (Covは共分散)
    となります。公式どおりですね。

    ●差A-Bの場合
    ◎平均E[\(x_A-x_B\)]= E[\(x_A\)]- E[\(x_B\)]=\(μ_A\)-\(μ_B\)
    ◎分散V[\(x_A-x_B\)]= V[\(x_A\)]+V[\(x_B\)]-2Cov(\(x_A\),\(x_B\))
    (Covは共分散)
    となります。公式どおりですね。
    差の場合の分散はV[\(x_A\)]V[\(x_B\)]ではなく、V[\(x_A\)]+V[\(x_B\)]に注意が必要ですね。

    ●一般には定数a,bを使って以下のように表現できます。
    ◎平均E[\(ax_A±bx_B\)]= aE[\(x_A\)]±b E[\(x_B\)]=\(aμ_A\)±\(bμ_B\)
    ◎分散V[\(ax_A+bx_B\)]= \(a^2\)V[\(x_A\)]+\(b^2\) V[\(x_B\)]±2\(ab\)Cov(\(x_A\),\(x_B\))
    (Covは共分散)
    公式どおりですね。

    ●以下、共分散Covは無視して考えます。

    まとめると、
    ◎平均E[\(x_A±x_B\)]= E[\(x_A\)]±E[\(x_B\)]=\(μ_A\)±\(μ_B\)
    ◎分散V[\(x_A+x_B\)]=V[\(x_A\)]+V[\(x_B\)]

    データを合成すると、
    ●平均(期待値)はそのまま加減する
    ●分散はデータの加減によらず加算

    これがどう管理図に影響するか、考えてみましょう。

    ②分散の加法性と検出力のバランスに注意

    分散の加法性で注意すべきこと

    分散の加法性により、管理限界3σと管理図係数表の値がズレることに注意

    管理限界

    ●上図では、合成する前のデータは、管理限界3σと管理図係数表は一致するように管理図係数表の値は作られています。
    しかし、管理図係数表の値は、サンプル数nに変化する値となっているため、データの合成による分散の加法性は加味されません。

    もともと管理図に載せるデータは、合成データではなく、1つのデータを管理することを想定しています。

    まとめると、

    分散の加法性により、管理限界3σと管理図係数表の値がズレることに注意
    ●管理図係数表を使う、計量値の管理図は注意
    ●管理図係数表を使わず、σで管理限界を評価する計数値の管理図は特に問題ない
    となります。

    検出力の影響

    データを合成すると、管理限界3σの方が、管理図係数表の値より大きくなるため、管理限界に入る確率が低下します。逆をいえば、管理限界を超える確率が増えます。

    管理限界と検出力

    図のように、管理限界を超える部分が増えると赤色部がデータの一部しかかからないことがわかります。つまり、検出力が低下することがわかります。

    ③計量値の管理図の注意点

    ●計量値の管理図は、X管理図、R管理図、s管理図があります。それぞれ、管理限界は管理図係数表で決まっていますね。

    管理図係数表の値の導出方法は、関連記事にあります。ご確認ください。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    ここで、重要なのは、

    X管理図、R管理図、s管理図はそれぞれ正規分布、順序統計量、χ2乗分布を仮定。
    計数値はサンプル数n(自由度)の変数で導出されている。管理限界は3σに対応する値としているが、データの合成後のσ’までは考えられていない。

    つまり、データ合成前のデータだけ、管理図係数表の値が使えるわけです。

    データ合成後のσ’を使って計量値の管理図を使いたい場合

    データの合成後のσ’をベースに
    平均±3σ’を管理限界とする管理図を
    自分で定義して管理図を作ればよいです。

    JIS規格から離れて、自作の管理図になりますが、特に問題はありません。

    管理したい対象と、異常の定義は管理図を管理する人が決めればよいです。JIS規格を活用することもできますが、JISどおりやる義務はありません。

    ④計数値の管理図の注意点は無い

    二項分布、ポアソン分布の管理図の管理限界は標準偏差を使う

    計数値においては、二項分布、ポアソン分布を仮定した管理図を作成します。

    ●二項分布
    (i)pn管理図 平均μ=pn,標準偏差σ=\(\sqrt{np(1-p)}\)より
    管理限界 pn±3\(\sqrt{np(1-p)}\)=μ±3σ
    (ii)p管理図 平均μ=p,標準偏差σ=\(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\)より
    管理限界 p±3\(\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}\)=μ±3σ
    と平均±3σで管理限界が定義されている。

    ●二項分布の期待値Eと分散Vはそれぞれ、
    E=np
    V=np(1-p)
    ですね。

    ●ポアソン分布
    (i)c管理図 平均μ=c,標準偏差σ=cより
    管理限界 c±3\(\sqrt{c}\)=μ±3σ
    (ii)u管理図 平均μ=u,標準偏差σ=\(\sqrt{\frac{u}{n}}\)より
    管理限界 u±3\(\sqrt{\frac{u}{n}}\)=μ±3σ
    と平均±3σで管理限界が定義されている。

    ●ポアソンの期待値Eと分散Vはそれぞれ、
    E=c
    V=c
    ですね。ポアソン分布の確率密度関数は難しい式ですが、期待値と分散が同じとシンプルになるのが特徴的です。

    計数値の管理図の管理限界はデータ合成も活用できる

    ●計量値の場合は、管理限界を決める係数は、管理図係数表から決まっています。しかし、サンプル数nだけ変化する値なので、データの合成には対応していません。

    ●一方、計数値の場合は、管理限界は自分のデータの標準偏差σで決めるので、データ合成した場合は、データ合成後の標準偏差σを使えばよいです。

    まとめると、

    計量値の場合は、管理限界はJISの管理図係数表で決めるので、データ合成した場合は、
    管理図係数表の値ではなく、データ合成後の標準偏差σ’を使って管理限界を平均±3σ’と自分で定義する。
    計数値の場合は、管理限界は自分のデータの標準偏差σで決めるので、データ合成した場合は、データ合成後の標準偏差σ’を使えばよい

    データの状態や特徴によって、管理図や管理限界の作り方をよく考える必要があります。

    まとめ

    2つのデータを管理図にするときの注意点について解説しました。

    • ①2つのデータの平均(期待値)と分散
    • ②分散の加法性と検出力のバランスに注意
    • ③計量値の管理図の注意点
    • ④計数値の管理図の注意点は無い

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