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  • JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で下限規格値が既知の抜取方式

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で下限規格値が既知の抜取方式

    「計量抜取検査(標準偏差未知) (JISZ9004)がよくわからない」、「サンプル数n,合格判定係数kはどうやって求めるの?」、「標準偏差既知(JISZ9003)と何が違う?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で下限規格値が既知の抜取方式

    関連記事に、上限規格値が既知の抜取方式もあります。ほぼ内容であることが理解できればOKです。

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とOC曲線について解説します。OC曲線を描いて、標準偏差が既知と未知の違いを比較しました。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で下限規格値が既知の抜取方式

    • ①サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ②演習問題
    • ③OC曲線を描く
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    本物の「抜取検査」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ①サンプル数nと合格判定係数kを導出

    標準偏差が未知の場合において、サンプル数n、合格判定係数kの導出は、関連記事にまとめております。

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論
    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説します。JISZ9004の理論が理解できます。

    標準偏差が未知の場合、未知をどう定義するかがポイントになります。

    JISZ9004の定義方法と、QCプラネッツ独自の定義方法を使って、それぞれサンプル数n、合格判定係数kを導出しています。

    本記事は、結果だけ扱います。

    JISZ9004の定義方法の場合

    JISZ9004の定義方式
    ●n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))
    ●k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    標準偏差が既知の場合との違い
    ●nは\((1+\frac{k’^2}{2}\))が追加される
    ●k’はkと同じ式

    標準偏差が未知の場合は、k’分だけサンプル数が増加するわけです。

    QCプラネッツ独自の定義方法の場合

    QCプラネッツ独自の定義方法の場合
    ●n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2\))
    ●k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    標準偏差が既知の場合との違い
    ●nは\( (1+k’^2 m^2\))が追加される
    ●k’はkと同じ式

    標準偏差が未知の場合は、k’とm分だけサンプル数が増加するわけです。変数mは標準偏差sとσの比ですが、実際はいくらになるかわかりません。mをいくらか仮定し、抜取検査の結果にどうように影響を与えるかを考えるヒントになります。

    ②演習問題

    実際の例を見ながら、理解を深めていきます。

    【問】p0=1%,α=0.05,p1=10%,β=0.10を満足する抜取方式を以下のそれぞれについて考えよ。
    (1) 標準偏差σが既知の場合
    (2) 標準偏差σが未知の場合

    単なる公式代入ですが、標準偏差σが既知・未知でどの程度違うのかを計算しましょう。

    合格判定係数kとk’

    ●k’=k=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    \(\frac{1.282×2.326+1.645×1.282}{1.645 + 1.282}\)
    =1.739

    標準偏差が既知、未知どの場合も同じ結果になります。

    サンプル数n

    ●標準偏差σが既知の場合
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    =\((\frac{1.645+1.282}{2.326-1.282})^2\)
    =7.845≒8

    ●標準偏差σが未知の場合(JISZ9004の計算方法)
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))
    =\((\frac{1.645+1.282}{2.326-1.282})^2 (1+\frac{1.739^2}{2}\))
    =19.71≒20

    ●標準偏差σが未知の場合(自己流の計算方法)
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2\))
    =\((\frac{1.645+1.282}{2.326-1.282})^2 (1+1.739^2 m^2\))
    mの変数となります。

    mを変化させた場合のサンプル数nの変化をグラフします。

    計量抜取検査

    m=0.7くらいで、JISZ9004の導出方法と自己流の導出方法による
    サンプル数nが一致します。統計量sは標準偏差σの0.7倍くらいとすれば、
    JISZ9004の導出方法と自己流の導出方法のどちらでもサンプル数nは等しいと
    いえますね。

    演習問題の解答

    k=1.739でしたから,
    サンプル数nに対して、\(\bar{x}\),sを求めて
    \(\bar{x}\)-1.739s ≥ L ならば、ロットは合格
    \(\bar{x}\)-1.739s < L ならば、ロットは不合格
    となります。

    ③OC曲線を描く

    上の例題について、OC曲線を描いて比較しましょう。

    OC曲線を描くための準備

    L(p)の作り方

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    なお、OC曲線を描くために、k,β,p1の関係式を再度書きます。
    (i)標準偏差が既知の場合
    (ii)標準偏差が未知でJISZ9004の導出の場合
    (iii)標準偏差が未知で自己流の導出の場合

    標準偏差が既知の場合のOC曲線を描く準備については、関連記事で解説しています。

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    標準偏差が未知の場合のOC曲線を描く準備については、関連記事で解説しています。

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論
    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説します。JISZ9004の理論が理解できます。

    k,Kp1とKβの関係式を作る

    それぞれの場合について関係式を作ります。関連記事に解説しています。
    k’をkに戻します。
    (i) k=\(K_{p1}\)+\(K_{β} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    (ii) \(K_{p1}\)= k+\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2}{2(n-1)}}\)
    (iii) \(K_{p1}\)= k+\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2 m^2}{n}}\)

    p1⇒p, β⇒L(p)に変えて一般化し、KL(p)についての式に変形します。
    (i) (k-\(K_{p1}\))\(\sqrt{n}\)=\(K_{L(p)}\)
    (ii) (k-\(K_{p1}\)) 1/\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2}{2(n-1)}}\)= \(K_{L(p)}\)
    (iii) (k-\(K_{p1}\))1/\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2 m^2}{n}}\)= \(K_{L(p)}\)

    n,k,pを入力して、\(K_{L(p)}\)からL(p)を計算します。PとL(p)の関係をOC曲線に描きます。

    上の例題をもとにOC曲線を描きます。

    OC曲線のデータ表

    (i)標準偏差が既知の場合

    p Kp k-Kp \(K_{L(P)}\) L(p)
    0.001 3.09 -1.35 -3.78 1
    0.05 1.64 0.09 0.26 0.4
    0.1 1.28 0.46 1.28 0.1
    0.15 1.04 0.7 1.97 0.02
    0.2 0.84 0.9 2.51 0.01

    (ii)標準偏差が未知でJISZ9004の導出の場合

    p Kp k-Kp \(K_{L(P)}\) L(p)
    0.001 3.09 -1.35 -3.72 1
    0.05 1.64 0.09 0.26 0.4
    0.1 1.28 0.46 1.26 0.1
    0.15 1.04 0.7 1.94 0.03
    0.2 0.84 0.9 2.47 0.01

    (iii)標準偏差が未知で自己流の導出の場合(m=1の計算結果)

    p Kp k-Kp \(K_{L(P)}\) L(p)
    0.001 3.09 -1.35 -3.78 1
    0.05 1.64 0.09 0.26 0.4
    0.1 1.28 0.46 1.28 0.1
    0.15 1.04 0.7 1.97 0.02
    0.2 0.84 0.9 2.51 0.01

    結果をグラフにまとめます。

    OC曲線

    3つの場合のOC曲線はほぼ一致しました。あら、不思議ですね。

    まとめ

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で下限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説しました。

    • ①サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ②演習問題
    • ③OC曲線を描く

  • JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限規格値が既知の抜取方式

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限規格値が既知の抜取方式

    「計量抜取検査(標準偏差未知) (JISZ9004)がよくわからない」、「サンプル数n,合格判定係数kはどうやって求めるの?」、「標準偏差既知(JISZ9003)と何が違う?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限規格値が既知の抜取方式

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限規格値が既知の抜取方式

    • ①サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ②演習問題
    • ③OC曲線を描く
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    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ①サンプル数nと合格判定係数kを導出

    標準偏差が未知の場合において、サンプル数n、合格判定係数kの導出は、関連記事にまとめております。

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論
    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説します。JISZ9004の理論が理解できます。

    標準偏差が未知の場合、未知をどう定義するかがポイントになります。

    JISZ9004の定義方法と、QCプラネッツ独自の定義方法を使って、それぞれサンプル数n、合格判定係数kを導出しています。

    本記事は、結果だけ扱います。

    JISZ9004の定義方法の場合

    JISZ9004の定義方式
    ●n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))
    ●k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    標準偏差が既知の場合との違い
    ●nは\((1+\frac{k’^2}{2}\))が追加される
    ●k’はkと同じ式

    標準偏差が未知の場合は、k’分だけサンプル数が増加するわけです。

    QCプラネッツ独自の定義方法の場合

    QCプラネッツ独自の定義方法の場合
    ●n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2\))
    ●k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    標準偏差が既知の場合との違い
    ●nは\( (1+k’^2 m^2\))が追加される
    ●k’はkと同じ式

    標準偏差が未知の場合は、k’とm分だけサンプル数が増加するわけです。変数mは標準偏差sとσの比ですが、実際はいくらになるかわかりません。mをいくらか仮定し、抜取検査の結果にどうように影響を与えるかを考えるヒントになります。

    ②演習問題

    実際の例を見ながら、理解を深めていきます。

    【問】p0=1%,α=0.05,p1=10%,β=0.10を満足する抜取方式を以下のそれぞれについて考えよ。
    (1) 標準偏差σが既知の場合
    (2) 標準偏差σが未知の場合

    単なる公式代入ですが、標準偏差σが既知・未知でどの程度違うのかを計算しましょう。

    合格判定係数kとk’

    ●k’=k=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    \(\frac{1.282×2.326+1.645×1.282}{1.645 + 1.282}\)
    =1.739

    標準偏差が既知、未知どの場合も同じ結果になります。

    サンプル数n

    ●標準偏差σが既知の場合
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    =\((\frac{1.645+1.282}{2.326-1.282})^2\)
    =7.845≒8

    ●標準偏差σが未知の場合(JISZ9004の計算方法)
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))
    =\((\frac{1.645+1.282}{2.326-1.282})^2 (1+\frac{1.739^2}{2}\))
    =19.71≒20

    ●標準偏差σが未知の場合(自己流の計算方法)
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2\))
    =\((\frac{1.645+1.282}{2.326-1.282})^2 (1+1.739^2 m^2\))
    mの変数となります。

    mを変化させた場合のサンプル数nの変化をグラフします。

    計量抜取検査

    m=0.7くらいで、JISZ9004の導出方法と自己流の導出方法による
    サンプル数nが一致します。統計量sは標準偏差σの0.7倍くらいとすれば、
    JISZ9004の導出方法と自己流の導出方法のどちらでもサンプル数nは等しいと
    いえますね。

    演習問題の解答

    k=1.739でしたから,
    サンプル数nに対して、\(\bar{x}\),sを求めて
    \(\bar{x}\)+1.739s ≤ U ならば、ロットは合格
    \(\bar{x}\)+1.739s > U ならば、ロットは不合格
    となります。

    ③OC曲線を描く

    上の例題について、OC曲線を描いて比較しましょう。

    OC曲線を描くための準備

    L(p)の作り方

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    なお、OC曲線を描くために、k,β,p1の関係式を再度書きます。
    (i)標準偏差が既知の場合
    (ii)標準偏差が未知でJISZ9004の導出の場合
    (iii)標準偏差が未知で自己流の導出の場合

    標準偏差が既知の場合のOC曲線を描く準備については、関連記事で解説しています。

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    標準偏差が未知の場合のOC曲線を描く準備については、関連記事で解説しています。

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    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説します。JISZ9004の理論が理解できます。

    k,Kp1とKβの関係式を作る

    それぞれの場合について関係式を作ります。関連記事に解説しています。
    k’をkに戻します。
    (i) k=\(K_{p1}\)+\(K_{β} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    (ii) \(K_{p1}\)= k+\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2}{2(n-1)}}\)
    (iii) \(K_{p1}\)= k+\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2 m^2}{n}}\)

    p1⇒p, β⇒L(p)に変えて一般化し、KL(p)についての式に変形します。
    (i) (k-\(K_{p1}\))\(\sqrt{n}\)=\(K_{L(p)}\)
    (ii) (k-\(K_{p1}\)) 1/\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2}{2(n-1)}}\)= \(K_{L(p)}\)
    (iii) (k-\(K_{p1}\))1/\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k^2 m^2}{n}}\)= \(K_{L(p)}\)

    n,k,pを入力して、\(K_{L(p)}\)からL(p)を計算します。PとL(p)の関係をOC曲線に描きます。

    上の例題をもとにOC曲線を描きます。

    OC曲線のデータ表

    (i)標準偏差が既知の場合

    p Kp k-Kp \(K_{L(P)}\) L(p)
    0.001 3.09 -1.35 -3.78 1
    0.05 1.64 0.09 0.26 0.4
    0.1 1.28 0.46 1.28 0.1
    0.15 1.04 0.7 1.97 0.02
    0.2 0.84 0.9 2.51 0.01

    (ii)標準偏差が未知でJISZ9004の導出の場合

    p Kp k-Kp \(K_{L(P)}\) L(p)
    0.001 3.09 -1.35 -3.72 1
    0.05 1.64 0.09 0.26 0.4
    0.1 1.28 0.46 1.26 0.1
    0.15 1.04 0.7 1.94 0.03
    0.2 0.84 0.9 2.47 0.01

    (iii)標準偏差が未知で自己流の導出の場合(m=1の計算結果)

    p Kp k-Kp \(K_{L(P)}\) L(p)
    0.001 3.09 -1.35 -3.78 1
    0.05 1.64 0.09 0.26 0.4
    0.1 1.28 0.46 1.28 0.1
    0.15 1.04 0.7 1.97 0.02
    0.2 0.84 0.9 2.51 0.01

    結果をグラフにまとめます。

    OC曲線

    3つの場合のOC曲線はほぼ一致しました。あら、不思議ですね。

    まとめ

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説しました。

    • ①サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ②演習問題
    • ③OC曲線を描く

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限規格値が既知の抜取方式

  • JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論

    「計量抜取検査(標準偏差未知) (JISZ9004)がよくわからない」、「サンプル数n,合格判定係数kはどうやって求めるの?」、「標準偏差既知(JISZ9003)と何が違う?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論がわかる

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上下限規格値が既知の抜取方式の理論がわかる

    • ①上限規格値Uと合否判定基準
    • ②上限規格値の分散の仮定方法(JISと自己流)
    • ③サンプル数n,合格判定係数kの導出(JISZ9004準拠)
    • ④サンプル数n,合格判定係数kの導出(自己流)
    • ⑤下限規格値Lが既知の場合のn,kの導出
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    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
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    ①上限規格値Uと合否判定基準

    標準偏差が既知(σ)の場合の関係式

    ●ロットの平均値\(\bar{x}\)
    ●上限規格値U
    ●上限合格判定値\(X_U\)
    ●合格判定係数k
    を使います。

    上限合格判定値\(X_U\)=U-kσ
    として、
    ●ロットの平均値\(\bar{x}\) ≤ \(X_U\)=U-kσ ならばロットは合格
    ●ロットの平均値\(\bar{x}\) > \(X_U\)=U-kσ ならばロットは不合格
    つまり、
    ●\(\bar{x}\) +kσ ≤ Uならばロットは合格
    ●\(\bar{x}\) +kσ > Uならばロットは不合格
    とします。

    標準偏差が未知(s)の場合の関係式

    σ⇒s
    k⇒k’に
    に書き換えます。

    ●\(\bar{x}\) +k’s ≤ Uならばロットは合格
    ●\(\bar{x}\) +k’s > Uならばロットは不合格
    とします。

    ●\(\bar{x}\) +k’s ≥ Uならばロットは合格
    ●\(\bar{x}\) +k’s < Uならばロットは不合格
    とします。

    ②上限規格値の分散の仮定方法(JISと自己流)

    \(\bar{x}\) +k’sの分散を求める

    ここで、変数xは、正規分布N(μ,\(σ^2\))に従うとすると、
    ロットの平均値\(\bar{x}\)は、正規分布N(μ,\(\frac{σ^2}{n}\))に従います。

    \(\bar{x}\) +k’sの分散において、
    統計量sの分散の仮定の仕方が2通りあります。

    JISZ9004に準拠する場合

    統計量sにおいて、n>5のとき、sの分布は正規分布N(σ,\(\frac{σ^2}{2(n-1)}\))に近似できる

    なぜこう近似できるかは、よくわかりませんが、この仮定でJISは規定しています。理由がわかる方、教えてください

    JISZ9004に準拠する場合をまとめると、

    \(\bar{x}\) +k’sは、正規分布N(μ+k’σ, \(\frac{σ^2}{n}\)+\(\frac{k’^2 σ^2}{2(n-1)}\))に従う。

    自己流の場合

    JISZ9004の仮定の仕方がよくわからない(納得いかない)ので、QCプラネッツは自己流で仮定します。

    統計量sが正規分布に従うのはOK。平均σもOK。ただし分散はいくらになるかわからないので変数mを設定して、正規分布N(σ,\(\frac{m^2 σ^2}{n}\))に従うと仮定する。

    統計量sの分散は \(σ^2/n\)の\(m^2\)倍と置くことにします。
    この方が理解しやすいと考えます。

    よって、

    \(\bar{x}\) +k’sは、正規分布N(μ+k’σ, \(\frac{σ^2}{n}\)+\(\frac{k’^2 m^2 σ^2}{n}\))に従う(mは自由な変数)。

    JISZ9004の方法と自己流でサンプル数nと合格判定係数k’を導出します。

    ③サンプル数n,合格判定係数kの導出(JISZ9004準拠)

    上限規格値Uの立式

    JISの方法でn,kを導出します。

    モデル図からUの関係式を導出します。

    計量抜取検査

    U=\(μ_0\)+k’σ+\(K_α\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    U=\(μ_1\)+k’σ-\(K_β\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    と導出できます。

    変数\(K_{p0}\)と\(K_{p1}\)の導出

    変数\(K_{p0}\)と\(K_{p1}\)は図より、
    \(K_{p0}\)=\(\frac{U-μ_0}{σ}\)
    \(K_{p1}\)=\(\frac{U-μ_1}{σ}\)
    となります。

    U=\(μ_0\)+k’σ+\(K_α\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    U=\(μ_1\)+k’σ-\(K_β\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    を変形して

    U-\(μ_0\)=σ(k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\))
    U-\(μ_1\)=σ(k’-\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\))
    とします。

    \(K_{p0}\)=,\(K_{p1}\)=の式に変形します。

    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    \(K_{p1}\)= k’-\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    となります。

    合格判定係数k’の導出

    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    \(K_{p1}\)= k’-\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    の\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)に注目して変形します。

    \(\frac{K_{p0}-k’}{K_α}\)=\(\frac{k’-K_{p1}}{K_β}\)
    となり、k’の式に変形します。

    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    となり、標準偏差既知の場合と同じ式になります。

    標準偏差が既知の場合の合格判定係数kの導出については、関連記事で確認ください。

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    サンプル数nの導出

    近似します。n-1≒nとして変形します。ちょっと強引?
    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    をn-1≒nとして
    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2n}}\)
    にして変形します。うーん強引ですけど。

    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\frac{1}{\sqrt{n}}\)\(\sqrt{1+\frac{k’^2}{2}}\)
    \(\sqrt{n}\)(\(K_{p0}-k’\))=\(K_α\)\(\sqrt{1+\frac{k’^2}{2}}\)

    n=\((\frac{K_α}{K_{p0}-k’})^2(1+\frac{k’^2}{2}\))
    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)を代入して、

    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))
    となります。
    \((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)は標準偏差既知の場合もありましたが、
    それに、\((1+\frac{k’^2}{2}\))が追加される形になります。

    サンプル数n、合格判定係数k’の導出のまとめ

    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)は標準偏差既知の場合と同じ式
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))は標準偏差既知の場合から\((1+\frac{k’^2}{2}\))が追加された式
    になる。

    ④サンプル数n,合格判定係数kの導出(自己流)

    JISZ9004の導出方法
    U=\(μ_0\)+k’σ+\(K_α\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    U=\(μ_1\)+k’σ-\(K_β\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2}{2(n-1)}}\)
    を、自己流の導出方法
    U=\(μ_0\)+k’σ+\(K_α\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    U=\(μ_1\)+k’σ-\(K_β\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    に変形します。

    変数\(K_{p0}\)と\(K_{p1}\)の導出

    JISZ9004の導出方法と同じで、
    \(K_{p0}\)=\(\frac{U-μ_0}{σ}\)
    \(K_{p1}\)=\(\frac{U-μ_1}{σ}\)
    となります。

    U=\(μ_0\)+k’σ+\(K_α\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    U=\(μ_1\)+k’σ-\(K_β\)σ\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    を変形して

    U-\(μ_0\)=σ(k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\))
    U-\(μ_1\)=σ(k’-\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\))
    とします。

    \(K_{p0}\)=,\(K_{p1}\)=の式に変形します。

    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    \(K_{p1}\)= k’-\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    となります。

    合格判定係数k’の導出

    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    \(K_{p1}\)= k’-\(K_β\)\(\sqrt{\frac{1}{n}+\frac{k’^2 m^2}{n}}\)
    の\(\sqrt{\frac{k’^2 m^2}{n}}\)に注目して変形します。

    \(\frac{K_{p0}-k’}{K_α}\)=\(\frac{k’-K_{p1}}{K_β}\)
    となり、k’の式に変形します。

    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)
    となり、標準偏差既知の場合でも、JISZ9004の方法でも同じ式になります。

    サンプル数nの導出

    \(K_{p0}\)= k’+\(K_α\)\(\frac{1}{\sqrt{n}}\)\(\sqrt{1+k’^2 m^2}\)
    \(\sqrt{n}\)(\(K_{p0}-k’\))=\(K_α\)\(\sqrt{1+k’^2 m^2}\)

    n=\((\frac{K_α}{K_{p0}-k’})^2(1+k’^2 m^2\))
    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)を代入して、

    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2)\)
    となります。
    \((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)は標準偏差既知の場合もありましたが、
    それに、\((1+k’^2 m^2\))が追加される形になります。

    サンプル数n、合格判定係数k’の導出のまとめ

    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)は標準偏差既知の場合およびJISZ9004の導出方法と同じ式
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2\))は標準偏差既知の場合から\((1+k’^2 m^2\))が追加された式
    になる。

    ⑤下限規格値Lが既知の場合のn,kの導出

    下限規格値Lが既知の場合も、上限規格値Uが既知の場合と同様に導出できます。

    結果だけまとめます。

    サンプル数n,合格判定係数kの導出(JISZ9004準拠)

    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)は標準偏差既知の場合と同じ式
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+\frac{k’^2}{2}\))は標準偏差既知の場合から\((1+\frac{k’^2}{2}\))が追加された式
    になる。

    サンプル数n,合格判定係数kの導出(自己流)

    k’=\(\frac{K_β K_{p0}+K_α K_{p1}}{K_α + K_β}\)は標準偏差既知の場合およびJISZ9004の導出方法と同じ式
    n=\((\frac{K_α+K_β}{K_{p0}-K_{p1}})^2 (1+k’^2 m^2\))は標準偏差既知の場合から\((1+k’^2 m^2\))が追加された式
    になる。

    まとめ

    JISZ9004計量抜取検査(標準偏差未知)で上限限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数kの導出方法とその理論について解説しました。

    • ①上限規格値Uと合否判定基準
    • ②上限規格値の分散の仮定方法(JISと自己流)
    • ③サンプル数n,合格判定係数kの導出(JISZ9004準拠)
    • ④サンプル数n,合格判定係数kの導出(自己流)
    • ⑤下限規格値Lが既知の場合のn,kの導出

  • JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限合格判定値が既知の抜取方式

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限合格判定値が既知の抜取方式

    「計量抜取検査(標準偏差既知) (JISZ9003)がよくわからない」、「合格判定値と規格値の違いで求め方がどう変わるのかがわからない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限合格判定値が既知の抜取方式

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限合格判定値が既知の抜取方式

    • ①上限合格判定値についての関係式を導出
    • ②上限合格判定値と上限規格値の導出方法の違い
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

    下限規格値については、関連記事で確認ください。

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式について解説します。 サンプル数n、下限合格判定値の関係式の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

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    ①上限合格判定値についての関係式を導出

    関係式を導出するためのモデル図を作成

    次のような計量抜取検査を考えます。

    あるロットが正規分布に従っている。上限合格判定値\(\bar{X_U}\)でロットの合否を判断する。
    ● 上限合格判定値\(\bar{X_U}\)未満のロットは合格
    ● 上限合格判定値\(\bar{X_U}\)以上のロットは不合格
    とする。前者はできるだけ合格させたいが、後者はできるだけ不合格にさせたいような抜取検査を考えたい。

    モデル図を下図のように作ります。
    このモデル図がしっかり作りこむことが意外と重要です。よく眺めてください。

    計量抜取検査

    できるだけ合格させたいp0はα=0.05(生産者危険)
    できるだけ不合格にさせたいp1はβ=0.1(消費者危険)
    の確率になるような抜取方式を検討します。

    関係式を導出

    モデル図から次の式が導かれます。見たらわかりますね。
    計量抜取検査の理論は、モデル図から式を導出します

    ①\(σ_{\bar{x}}\)=\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

    ②上限合格判定値\(\bar{X_U}\)の関係式を作ります。
    ここから
    ・\(μ_0\)=\(\bar{X_U}\)-\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(μ_1\)=\(\bar{X_U}\)+\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    サンプル数nの導出

    式変形します。
    \(μ_1\)-\(μ_0\)=\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)+\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    よって、
    n=\((\frac{K_α+K_β}{μ_1-μ_0})^2 σ^2\)

    下限合格判定値が与えられた場合と同じ式になります。

    上限合格判定値\(\bar{X_U}\)の導出

    \(\bar{X_U}\)=\(μ_0\)+\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    =\(μ_0\)+\(K_{α} \frac{μ_1-μ_0}{ K_{α}+ K_{β}}\)
    =\(\frac{ K_{β}μ_0+ K_{α}μ_1}{ K_{α}+ K_{β}}\)

    なお、サンプル数nと、合格判定値の式は
    下限合格判定値が与えられた場合と同じ式になります。

    ②上限合格判定値と上限規格値の導出方法の違い

    上限規格値の場合

    ●サンプル数n=n\((K_{α}, K_{β}, K_{p0}, K_{p1})\)
    ●合格判定係数k=k\((K_{α}, K_{β}, K_{p0}, K_{p1})\)
    を導出

    上限合格判定値の場合

    ●サンプル数n=n\((K_{α}, K_{β}, μ_0,μ_1,σ\))
    ●上限合格判定値\(\bar{X_U}\)=\((K_{α}, K_{β}, μ_0,μ_1 \))
    を導出

    サンプル数nを表現する変数が変わることと
    合格判定係数kではなく、直接上限合格判定値を使うこと

    の2点の違いがあります。

    ③演習問題

    サンプル数nと上限合格判定値\(\bar{X_U}\)を使って、計量抜取検査のOC曲線が描けます。その前に演習問題を出して考えましょう。

    【演習問題】
    あるスナック菓子のロットの平均値が150g以上ある場合は、できるだけ合格させたいが、152g以下の平均値をもつロットはできるだけ不合格にしたい。ただし、ロットの標準偏差は5gとわかっている。このとき、第1種の誤りであるα=0.05,第2種の誤りであるβ=0.10とした場合の抜取方式を決めよ。

    うん、難しそう。。。でも1つずつ見ていきましょう。

    まず、検査は抜取検査をやろうとしていますね。

    次に、扱う変数は厚さという計量値を検査しようとしていますね。
    最後に、上限合格判定値が決まっていますね。

    サンプル数nと上限合格判定値\(\bar{X_U}\)を導出した公式から求めましょう。

    まず、確率から\(K_{α}\)、\(K_{β}\)
    がわかります。正規分布表を活用します。

    \(K_{α}\)=1.645 (α=0.05のときのK値)
    \(K_{β}\)=1.282(β=0.10のときのK値)

    正規分布表に苦手意識があれば関連記事で復習しましょう。

    【簡単】正規分布は怖くない!正規分布表や確率計算の求め方がすぐわかる
    「正規分布とは何か?」、「正規分布の難解な式が理解できない」、「正規分布表の意味がわからない」など困っていませんか?本記事では、教科書やwebサイトより正規分布の基本やポイントをわかりやすく解説します。最も重要な正規分布を理解したい方は必見です。

    サンプル数nは
    n=\((\frac{K_α+K_β}{μ_0-μ_1})^2 σ^2\)
    =\((\frac{1.645+1.282}{152-150})^2 5^2\)
    =54

    \(\bar{X_U}\)
    =\(\frac{ K_{β}μ_0+ K_{α}μ_1}{ K_{α}+ K_{β}}\)
    =\(\frac{ 1.282×150+ 1.645×152}{ 1.645+ 1.282}\)
    =151.12

    まとめると
    (n, \(\bar{X_U}\))=(54,151.12)の値で、
    平均値が151.12g以上ならロット合格、未満ならロット不合格
    となります。

    ④OC曲線を描く

    上の演習問題の結果をOC曲線で描きます。

    OC曲線を描くための準備

    なお、OC曲線を描くために、の関係式を再度書きます。
    ・\(μ_1\)=\(\bar{X_U}\)+\(K_{β} σ/\sqrt{n}\)

    ここで、\(μ_1\),βを一般化して、
    \(μ_1\)⇒μ
    β⇒L(μ)
    に変えます。慣れないとここの変化は無理矢理感がありますけど。

    μ=\(\bar{X_U}\)+\(K_{ L(μ)} σ/\sqrt{n}\)
    \(\frac{μ_\bar{X_U}}{σ} \sqrt{n}\)=\(K_{ L(μ)}\)

    \(\frac{μ_\bar{X_U}}{σ} \sqrt{n}\)=\(K_{ L(μ)}\)

    L(p)の作り方

    1. μを変数として値を振る。
    2. \(\frac{μ-\bar{X_U}}{σ} \sqrt{n}\)を計算する。
    3. μとL(μ)の関係からOC曲線を描く。

    では、実際にやってみましょう。表にまとめます。

    μ μ-\(\bar{X_U}\) \(\frac{μ-\bar{X_L}}{σ}\) \(\frac{μ-\bar{X_L}}{σ} \sqrt{n}\) L(μ)
    149 -2.12 -0.424 -3.116 0.999
    149.5 -1.62 -0.324 -2.381 0.991
    150 -1.12 -0.224 -1.646 0.95
    150.5 -0.62 -0.124 -0.911 0.819
    151 -0.12 -0.024 -0.176 0.57
    151.5 0.38 0.076 0.558 0.288
    152 0.88 0.176 1.293 0.098
    152.5 1.38 0.276 2.028 0.021
    153 1.88 0.376 2.763 0.003

    ここで、表の計算式をExcelの式を使って表現しています。
    L(p)=1- (NORM.DIST(\(K_{L(p)}\)の値,0,1,TRUE))

    OC曲線を描く

    OC曲線です。計数抜取検査と似たような曲線になります。

    計量抜取検査

    計量抜取検査は式変形が多いですが、慣れましょう。

    まとめ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限合格判定値が既知の抜取方式について、解説しました。

    • ①上限合格判定値についての関係式を導出
    • ②上限合格判定値と上限規格値の導出方法の違い
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

  • JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式

    「計量抜取検査(標準偏差既知) (JISZ9003)がよくわからない」、「合格判定値と規格値の違いで求め方がどう変わるのかがわからない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式

    • ①下限合格判定値についての関係式を導出
    • ②下限合格判定値と下限規格値の導出方法の違い
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

    上限規格値については、関連記事で確認ください。

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    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式について解説します。 サンプル数n、下限合格判定値の関係式の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

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    ①下限合格判定値についての関係式を導出

    関係式を導出するためのモデル図を作成

    次のような計量抜取検査を考えます。

    あるロットが正規分布に従っている。下限合格判定値\(\bar{X_L}\)でロットの合否を判断する。
    ● 下限合格判定値\(\bar{X_L}\)以上のロットは合格
    ● 下限合格判定値\(\bar{X_L}\)以下のロットは不合格
    とする。前者はできるだけ合格させたいが、後者はできるだけ不合格にさせたいような抜取検査を考えたい。

    モデル図を下図のように作ります。
    このモデル図がしっかり作りこむことが意外と重要です。よく眺めてください。

    計量抜取検査

    できるだけ合格させたいp0はα=0.05(生産者危険)
    できるだけ不合格にさせたいp1はβ=0.1(消費者危険)
    の確率になるような抜取方式を検討します。

    関係式を導出

    モデル図から次の式が導かれます。見たらわかりますね。
    計量抜取検査の理論は、モデル図から式を導出します

    ①\(σ_{\bar{x}}\)=\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

    ②下限合格判定値\(\bar{X_L}\)の関係式を作ります。
    ・\(μ_0\)=\(\bar{X_L}\)+\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(μ_1\)=\(\bar{X_L}\)-\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    サンプル数nの導出

    式変形します。
    \(μ_0\)-\(μ_1\)=\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)+\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    よって、
    n=\((\frac{K_α+K_β}{μ_0-μ_1})^2 σ^2\)

    下限合格判定値\(\bar{X_L}\)の導出

    \(\bar{X_L}\)=\(μ_0\)-\(K_{α} σ_{\bar{x}}\)
    =\(μ_0\)-\(K_{α} \frac{μ_0-μ_1}{ K_{α}+ K_{β}}\)
    =\(\frac{ K_{β} μ_0+ K_{α} μ_1}{ K_{α}+ K_{β}}\)

    なお、サンプル数nと、合格判定値の式は
    下限の場合も上限の場合も同じ式になります。

    ②下限合格判定値と下限規格値の導出方法の違い

    下限規格値の場合

    ●サンプル数n=n\((K_{α}, K_{β}, K_{p0}, K_{p1})\)
    ●合格判定係数k=k\((K_{α}, K_{β}, K_{p0}, K_{p1})\)
    を導出

    下限合格判定値の場合

    ●サンプル数n=n\((K_{α}, K_{β}, μ_0,μ_1,σ\))
    ●下限合格判定値\(\bar{X_L}\)=\((K_{α}, K_{β}, μ_0,μ_1 \))
    を導出

    サンプル数nを表現する変数が変わることと
    合格判定係数kではなく、直接下限合格判定値を使うこと

    の2点の違いがあります。

    ③演習問題

    サンプル数nと下限合格判定値\(\bar{X_L}\)を使って、計量抜取検査のOC曲線が描けます。その前に演習問題を出して考えましょう。

    【演習問題】
    あるスナック菓子のロットの平均値が120g以上ある場合は、できるだけ合格させたいが、118g以下の平均値をもつロットはできるだけ不合格にしたい。ただし、ロットの標準偏差は1gとわかっている。このとき、第1種の誤りであるα=0.05,第2種の誤りであるβ=0.10とした場合の抜取方式を決めよ。

    うん、難しそう。。。でも1つずつ見ていきましょう。

    まず、検査は抜取検査をやろうとしていますね。

    次に、扱う変数は厚さという計量値を検査しようとしていますね。
    最後に、下限合格判定値が決まっていますね。

    サンプル数nと下限合格判定値\(\bar{X_L}\)を導出した公式から求めましょう。

    まず、確率から\(K_{α}\)、\(K_{β}\)
    がわかります。正規分布表を活用します。

    \(K_{α}\)=1.645 (α=0.05のときのK値)
    \(K_{β}\)=1.282(β=0.10のときのK値)

    正規分布表に苦手意識があれば関連記事で復習しましょう。

    【簡単】正規分布は怖くない!正規分布表や確率計算の求め方がすぐわかる
    「正規分布とは何か?」、「正規分布の難解な式が理解できない」、「正規分布表の意味がわからない」など困っていませんか?本記事では、教科書やwebサイトより正規分布の基本やポイントをわかりやすく解説します。最も重要な正規分布を理解したい方は必見です。

    サンプル数nは
    n=\((\frac{K_α+K_β}{μ_0-μ_1})^2 σ^2\)
    =\((\frac{1.645+1.282}{120-118})^2 1^2\)
    =3

    n=3かあ、少なすぎますが、数学的は正しいので仕方がありません。

    \(\bar{X_L}\)
    =\(\frac{ K_{β}μ_0+ K_{α}μ_1}{ K_{α}+ K_{β}}\)
    =\(\frac{ 1.282×120+ 1.645×118}{ 1.645+ 1.282}\)
    =118.88

    まとめると
    (n, \(\bar{X_L}\))=(3,118.88)の値で、
    平均値が118.88g以上ならロット合格、未満ならロット不合格
    となります。

    ④OC曲線を描く

    上の演習問題の結果をOC曲線で描きます。

    OC曲線を描くための準備

    なお、OC曲線を描くために、の関係式を再度書きます。
    ・\(μ_1\)=\(\bar{X_L}\)-\(K_{β} σ/\sqrt{n}\)

    ここで、\(μ_1\),βを一般化して、
    \(μ_1\)⇒μ
    β⇒L(μ)
    に変えます。慣れないとここの変化は無理矢理感がありますけど。

    μ=\(\bar{X_L}\)-\(K_{ L(μ)} σ/\sqrt{n}\)
    \(\frac{μ_\bar{X_L}}{σ} \sqrt{n}\)=\(K_{ L(μ)}\)

    OC曲線を作る式
    \(\frac{μ_\bar{X_L}}{σ} \sqrt{n}\)=\(K_{ L(μ)}\)

    L(p)の作り方

    1. μを変数として値を振る。
    2. \(\frac{μ-\bar{X_L}}{σ} \sqrt{n}\)を計算する。
    3. μとL(μ)の関係からOC曲線を描く。

    では、実際にやってみましょう。表にまとめます。

    μ μ-\(\bar{X_L}\) \(\frac{μ-\bar{X_L}}{σ}\) \(\frac{μ-\bar{X_L}}{σ} \sqrt{n}\) L(μ)
    117 -1.88 -1.88 -3.256 0.001
    117.5 -1.38 -1.38 -2.39 0.008
    118 -0.88 -0.88 -1.524 0.064
    118.5 -0.38 -0.38 -0.658 0.255
    119 0.12 0.12 0.208 0.582
    119.5 0.62 0.62 1.074 0.859
    120 1.12 1.12 1.94 0.974
    120.5 1.62 1.62 2.806 0.997
    121 2.12 2.12 3.672 1

    ここで、表の計算式をExcelの式を使って表現しています。
    L(p)= (NORM.DIST(\(K_{L(p)}\)の値,0,1,TRUE))

    OC曲線を描く

    OC曲線です。計数抜取検査と似たような曲線になります。

    OC曲線

    普段、右下がりのOC曲線ですが、今回は逆の右上がりの曲線になりました。
    右上がりなOC曲線もたまに見かけるので、知っておいてください。

    計量抜取検査は式変形が多いですが、慣れましょう。

    まとめ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限合格判定値が既知の抜取方式について、解説しました。

    • ①下限合格判定値についての関係式を導出
    • ②下限合格判定値と下限規格値の導出方法の違い
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

  • JISZ9003計量規準型一回抜取検査の抜取表にあるn,kが計算できる

    JISZ9003計量規準型一回抜取検査の抜取表にあるn,kが計算できる

    「計量規準型一回抜取検査の抜取表のn,kの求め方がわからない」、「JIS規格だから絶対的なもの」などと思っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9003計量規準型一回抜取検査の抜取表にあるn,kが計算できる

    JISZ9003計量規準型一回抜取検査の抜取表にあるn,kが計算できる

    • ①不良率p0,p1とサンプル数n,合格判定係数kの関係
    • ②サンプル数n,合格判定係数kを計算結果とJISの抜取表を比較
    • ③計量抜取検査のサンプル数nは少ない
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    ①不良率p0,p1とサンプル数n,合格判定係数kの関係

    前提条件

    標準偏差がσで既知であり、正規分布に従っていることです。

    不良率p0,p1とサンプル数n,合格判定係数kの導出については、関連記事にあります。
    上限規格値または下限規格値のいづれにしても、
    抜取形式やOC曲線に必要な変数の式は同じです。

    上限規格値SUが既知の場合

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    下限規格値SLが既知の場合

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、下限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    k=\(\frac{K_{p0}K_{β}+K_{p1}K_{α}}{ K_{α}+K_{β}}\)

    不良率p0,p1がわかると、
    正規分布表を使って、\(K_{p0}\), \(K_{p1}\)を求めます。

    同様に、α、βも
    正規分布表を使って、\(K_{α}\), \(K_{β}\)を求めます。

    ②サンプル数n,合格判定係数kを計算結果とJISの抜取表を比較

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)の付表2
    「p0(%),p1(%)をもとにして試料の大きさnと合格判定値を計算するための係数kを求める表」
    にあるいくつかの場合について、
    自分で計算した結果とJISの抜取表の結果を比較します。

    比較結果を下表のとおりです。

    入力 計算 結果 JIS
    p0(代表値) p1(代表値) \(K_{p0}\) \(K_{p1}\) n k n k
    0.005 0.0315 2.576 1.859 16.675 2.173 17 2.17
    0.008 0.05 2.409 1.645 14.669 1.979 15 1.98
    0.016 0.1 2.144 1.282 11.502 1.659 12 1.66
    0.025 0.1 1.96 1.282 18.607 1.579 19 1.58
    0.0315 0.125 1.859 1.15 17.044 1.461 17 1.46

    α=0.05,β=0.10と
    \(K_α\)=1.645, \(K_β\)=1.282は
    どの条件も同じ値です。

    (n,k)の値を比較する(赤枠と黄色枠)とぴったり一致します。

    これで、自力で(n,k)が計算できますね。 
    計算式から導出できることは、
    理論が理解できている証拠です。

    計量抜取検査の抜取表にある(n,k)の導出は、シンプルです。

    ③計量抜取検査のサンプル数nは少ない

    抜取表を眺めると、サンプル数nの最大値は46と100個以下。

    サンプル数がこんなにも少なくても大丈夫なのでしょうか?
    数学的に正しいと証明されて導出されていますので、大丈夫ですが、
    感覚的に少ないですね。

    計数値抜取表の方はサンプル数が数千個レベルまであるから
    計量抜取検査のサンプル数の少なさには心配します。

    これは、
    \(σ_{\bar{x}}\)=σ/\(\sqrt{n}\)
    と置いたからです。でも、数学的に正しいので仕方がありません。

    サンプル数nを数百か数千にしておきたい場合は、
    \(σ_{\bar{x}}\)=σ/\(\sqrt{n}\)
    の式を意図的に変えて、実用的な式にするなどしてもよいかもしれません。

    計量抜取検査の試験問題でサンプル数n=20とか出た場合、
    試験合格にはそれでよいが、
    実際の検査になったらn=20の少なさで良いかは
    一回は疑うべきと考えましょう。

    数学的に正しくても、感覚的に変!なことも時々あります。
    その場合は、仮定条件を疑って、実用的に変えてみることも大事です。

    まとめ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)でJISの抜取表のサンプル数nと合格判定係数kの導出方法について解説しました。

    • ①不良率p0,p1とサンプル数n,合格判定係数kの関係
    • ②サンプル数n,合格判定係数kを計算結果とJISの抜取表を比較
    • ③計量抜取検査のサンプル数nは少ない

  • 計量抜取検査でOC曲線のサンプル数と合格判定個数の関係がわかる

    計量抜取検査でOC曲線のサンプル数と合格判定個数の関係がわかる

    計量抜取検査でOC曲線のサンプル数と合格判定個数の関係がわかる

    「計量抜取検査のOC曲線の描き方がわからない」、「サンプル数n,合格判定係数kの値を変えるとOC曲線はどう変わるの?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    計量抜取検査でOC曲線のサンプル数と合格判定個数の関係がわかる

    計量抜取検査でOC曲線のサンプル数と合格判定個数の関係がわかる

    • ①計量抜取検査のOC曲線を描く
    • ②サンプル数nとOC曲線の関係
    • ③合格判定係数kとOC曲線の関係
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    ①計量抜取検査のOC曲線を描く

    計量抜取検査からOC曲線を描く流れを理解する

    詳細は関連記事にあります。
    上限規格値または下限規格値のいづれにしても、
    抜取形式やOC曲線に必要な変数の式は同じです。

    上限規格値SUが既知の場合

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    下限規格値SLが既知の場合

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、下限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    計量抜取検査のOC曲線を描くために必要な変数

    サンプル数nと、合格判定係数kです。
    ただし、標準偏差σが既知の場合です。

    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    k=\(\frac{K_{p0}K_{β}+K_{p1}K_{α}}{ K_{α}+K_{β}}\)

    ここで、\(K_{α}\)、\(K_{β}\)、\(K_{p0}\)、\(K_{p1}\)は、
    確率α、β、p0,p1に相当するK値を正規分布から読み取ります。

    計量抜取検査のOC曲線を描く準備

    関連記事にもありますように、次の順番でOC曲線を描きます。

    L(p)の作り方

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    実際に関連記事で具体事例を挙げてOC曲線を描いています。確認ください。

    上限規格値SUが既知の場合

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    下限規格値SLが既知の場合

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、下限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ②サンプル数nとOC曲線の関係

    OC曲線が描ける条件がそろいました。
    サンプル数nをいろいろ変えてみましょう。

    ●条件1: n=10
    ●条件2: n=50
    ●条件3: n=500
    Kはすべて1.5で同一とします。

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    3つのOC曲線を描くと次のグラフになります。

    OC曲線

    nが大きくなると、不良率が小さい場合はL(p)は高いが、急峻にL(p)が低下する

    面白いですね。

    次はkを振ってみましょう。

    ③合格判定係数kとOC曲線の関係

    次は、合格判定係数kをいろいろ変えてみましょう。

    ●条件1: k=1.0
    ●条件2: k=1.5
    ●条件3: k=2.0
    nはすべて100で同一とします。

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    3つのOC曲線を描くと次のグラフになります。

    OC曲線

    kが大きくなると、L(p)が少しの不良率pに対しても急峻に低下する

    面白いですね。

    L(p)の導出式

    (k-Kp)\(\sqrt{n}\)=\(K_{L(P)}\)
    n,kを変えると\(K_{L(P)}\)とL(p)の変化につながります。

    式から理論的にn,kの変化の影響を見てもよいですが、
    本記事ではOC曲線を視覚的に見て理解できるようにしました。

    まとめ

    計量抜取検査のOC曲線を作る変数、サンプル数nと合格判定係数k。このn,kを変えるとOC曲線がどのように変化するかを解説しました。

    • ①計量抜取検査のOC曲線を描く
    • ②サンプル数nとOC曲線の関係
    • ③合格判定係数kとOC曲線の関係

  • JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式

    「計量抜取検査(標準偏差既知) (JISZ9003)がよくわからない」、「サンプル数n,合格判定係数kはどうやって求めるの?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式がわかる

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式がわかる

    • ①上限規格値と合格判定値についての関係式を導出
    • ②サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

    下限規格値については、関連記事で確認ください。

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、下限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

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    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ①上限規格値と合格判定値についての関係式を導出

    関係式を導出するためのモデル図を作成

    次のような計量抜取検査を考えます。

    あるロットが正規分布に従っている。上限規格値U以下である確率はpとする。この確率pについて、
    ● p ≤ p0の不良率をもつロットは合格
    ● p > p1の不良率をもつロットは不合格
    とする。前者はできるだけ合格させたいが、後者はできるだけ不合格にさせたいような抜取検査を考えたい。

    モデル図を下図のように作ります。
    このモデル図がしっかり作りこむことが意外と重要です。よく眺めてください。

    計量抜取検査

    できるだけ合格させたいp0はα=0.05(生産者危険)
    できるだけ不合格にさせたいp1はβ=0.1(消費者危険)
    の確率になるような抜取方式を検討します。

    関係式を導出

    モデル図から次の式が導かれます。見たらわかりますね。
    計量抜取検査の理論は、モデル図から式を導出します

    ①\(σ_{\bar{x}}\)=\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

    ②上限規格値Lの関係式を作ります。
    ●\(μ_0\)=U-\(K_{p0}σ\)
    ●\(μ_1\)=U-\(K_{p1}σ\)

    ③合格判定値\(\bar{X_U}\)の関係式を作ります。
    ●μを使う場合
    ・\(\bar{X_U}\)=\(μ_0\)+\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(\bar{X_U}\)=\(μ_1\)-\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    ●Uを使う場合
    ・\(\bar{X_U}\)=U-\(K_{p0}σ\)+\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(\bar{X_U}\)=U-\(K_{p1}σ\)-\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    ②サンプル数nと合格判定係数kを導出

    関係式からサンプル数nと合格判定係数kを導出します。

    サンプル数nを導出

    ただし、わかっている値で表現します。
    わかっている値は
    \(K_{α}\)
    \(K_{β}\)
    \(K_{p0}\)
    \(K_{p1}\)
    です。

    ●Uを使う場合
    ・\(\bar{X_U}\)=U-\(K_{p0}σ\)+\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(\bar{X_U}\)=U-\(K_{p1}σ\)-\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)
    の2式を引きます。

    0=0-\(K_{p0}σ\)+\(K_{p1}σ\)+\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)+\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)
    (\(K_{p0}-K_{p1}\))σ=(\(K_{α}+K_{β}\))\(σ_{\bar{x}}\)

    この式に、\(σ_{\bar{x}}\)=\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)を代入します。
    (\(K_{p0}-K_{p1}\))σ=(\(K_{α}+K_{β}\))\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)
    両辺をσで割って,2乗します。
    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)

    上限、下限規格値どちらも、サンプル数nは同じ式ができます。

    合格判定係数kを導出

    初登場のkですが、
    ・\(\bar{X_U}\)=U-kσ
    と置きます。

    \(\bar{X_U}\)は
    ・\(\bar{X_U}\)=U-\(K_{p0}σ\)+\(K_{α} σ_{\bar{x}}\)
    = U-\(K_{p0}σ\)+\(K_{α} \frac{σ}{\sqrt{n}}\)
    ですから、
    k=\(K_{p0}\)-\(K_{α} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    です。

    なお、OC曲線を描くために、β,p1を使った関係式も導出します。
    ・\(\bar{X_U}\)=U-\(K_{p1}σ\)-\(K_{β} σ_{\bar{x}}\)
    = U-\(K_{p1}σ\)-\(K_{β} \frac{σ}{\sqrt{n}}\)
    ですから、
    k=\(K_{p1}\)+\(K_{β} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    です。

    nは先ほど導出しました、
    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    を、
    \(\sqrt{n}\)=\(\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}}\)
    とします。

    k=\(K_{p0}\)-\(K_{α} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    =\(K_{p0}\)-\(K_{α} \frac{ K_{p0}-K_{p1}}{ K_{α}+K_{β}}\)
    よって、
    k=\(\frac{K_{p0}K_{β}+K_{p1}K_{α}}{ K_{α}+K_{β}}\)
    となります。

    ③演習問題

    不良率p0,p1と上で求めた、サンプル数nと合格判定係数kを使って、計量抜取検査のOC曲線が描けます。その前に演習問題を出して考えましょう。

    【演習問題】
     あるプラスチック板の厚さの上限規格値が1.6mmとする。厚さが1.6mm超過のものが1%以下のロットはなるべく検査で合格させたいが、3%以上もあるロットはなるべく検査で不合格としたい。厚さの値は標準偏差σ=0.3mmの正規分布に従うとする。このとき、第1種の誤りであるα=0.002,第2種の誤りであるβ=0.10とした場合の抜取方式を決めよ。

    うん、難しそう。。。でも1つずつ見ていきましょう。

    まず、検査は抜取検査をやろうとしていますね。

    次に、扱う変数は厚さという計量値を検査しようとしていますね。
    最後に、上限規格値が決まっていますね。

    サンプル数nと、合格判定係数kを導出した公式から求めましょう。

    まず、確率から\(K_{α}\)、\(K_{β}\)、\(K_{p0}\)、\(K_{p1}\)
    がわかります。正規分布表を活用します。

    \(K_{α}\)=2.878 (α=0.002のときのK値)
    \(K_{β}\)=1.282(β=0.10のときのK値)

    \(K_{p0}\)=2.326(p0=0.01のときのK値)
    \(K_{p1}\)=1.881(p1=0.03のときのK値)

    正規分布表に苦手意識があれば関連記事で復習しましょう。

    【簡単】正規分布は怖くない!正規分布表や確率計算の求め方がすぐわかる
    「正規分布とは何か?」、「正規分布の難解な式が理解できない」、「正規分布表の意味がわからない」など困っていませんか?本記事では、教科書やwebサイトより正規分布の基本やポイントをわかりやすく解説します。最も重要な正規分布を理解したい方は必見です。

    サンプル数nは
    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    = n=\((\frac{2.878+1.282}{2.326-1.881})^2\)
    =85.3≒86
    と計算できます。

    合格判定係数kは
    k=\(\frac{K_{p0}K_{β}+K_{p1}K_{α}}{ K_{α}+K_{β}}\)
    =\(\frac{2.326×1.282+1.881×2.878}{ 2.878+1.282}\)
    =2.02

    ちなみに、上限合格判定値\(\bar{X_U}\)は、
    \(\bar{X_U}\)=U-kσ
    =1.6-2.02×0.3=0.995

    まとめると
    (n,k)=(86,2.02)の値で、
    平均値が0.995mm以下ならロット合格、超過ならロット不合格
    となります。

    ④OC曲線を描く

    上の演習問題の結果をOC曲線で描きます。

    OC曲線を描くための準備

    なお、OC曲線を描くために、k,β,p1の関係式を再度書きます。
    k=\(K_{p1}\)+\(K_{β} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    変形して
    (k-\(K_{p1}\))\(\sqrt{n}\)=\(K_{β}\)

    ここで、p1,βを一般化して、
    p1⇒p
    β⇒L(p)
    に変えます。慣れないとここの変化は無理矢理感がありますけど。

    (k-\(K_{p}\))\(\sqrt{n}\)=\(K_{L(p)}\)

    L(p)の作り方

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。/li>
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    では、実際にやってみましょう。表にまとめます。

    p Kp k-Kp (k-Kp)\(\sqrt{n}\)=K_{L(P)}\) L(p)
    0.01 2.33 -0.31 -2.84 1
    0.015 2.17 -0.15 -1.39 0.92
    0.02 2.05 -0.03 -0.31 0.62
    0.025 1.96 0.06 0.56 0.29
    0.03 1.88 0.14 1.29 0.1
    0.035 1.81 0.21 1.93 0.03
    0.04 1.75 0.27 2.5 0.01
    0.045 1.7 0.32 3.01 0
    0.05 1.64 0.38 3.48 0

    ここで、表の計算式をExcelの式を使って表現しています。
    Kp=ABS(NORM.INV(pの値,0,1))
    L(p)=1-(NORM.DIST(\(K_{L(p)}\)の値,0,1,TRUE))

    OC曲線を描く

    OC曲線です。計数抜取検査と似たような曲線になります。

    OC曲線

    計量抜取検査は式変形が多いですが、慣れましょう。

    まとめ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説しました。

    • ①上限規格値と合格判定値についての関係式を導出
    • ②サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

  • JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式

    「計量抜取検査(標準偏差既知) (JISZ9003)がよくわからない」、「サンプル数n,合格判定係数kはどうやって求めるの?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式がわかる

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式がわかる

    • ①下限規格値と合格判定値についての関係式を導出
    • ②サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

    上限規格値については、関連記事で確認ください。

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式
    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で上限規格値が既知の抜取方式について解説します。サンプル数n、合格判定個数k、上限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説します。計量抜取検査をマスターしたい方は必見です。

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    ①下限規格値と合格判定値についての関係式を導出

    関係式を導出するためのモデル図を作成

    次のような計量抜取検査を考えます。

    あるロットが正規分布に従っている。下限規格値L以下である確率はpとする。この確率pについて、
    ● p ≤ p0の不良率をもつロットは合格
    ● p > p1の不良率をもつロットは不合格
    とする。前者はできるだけ合格させたいが、後者はできるだけ不合格にさせたいような抜取検査を考えたい。

    モデル図を下図のように作ります。
    このモデル図がしっかり作りこむことが意外と重要です。よく眺めてください。

    計量抜取検査

    できるだけ合格させたいp0はα=0.05(生産者危険)
    できるだけ不合格にさせたいp1はβ=0.1(消費者危険)
    の確率になるような抜取方式を検討します。

    関係式を導出

    モデル図から次の式が導かれます。見たらわかりますね。
    計量抜取検査の理論は、モデル図から式を導出します

    ①\(σ_{\bar{x}}\)=\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

    ②下限規格値Lの関係式を作ります。
    ●\(μ_0\)=L+\(K_{p0}σ\)
    ●\(μ_1\)=L+\(K_{p1}σ\)

    ③合格判定値\(\bar{X_L}\)の関係式を作ります。
    ●μを使う場合
    ・\(\bar{X_L}\)=\(μ_0\)-\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(\bar{X_L}\)=\(μ_1\)+\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    ●Lを使う場合
    ・\(\bar{X_L}\)=L+\(K_{p0}σ\)-\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)
    ・\(\bar{X_L}\)=L+\(K_{p1}σ\)+\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)

    ②サンプル数nと合格判定係数kを導出

    関係式からサンプル数nと合格判定係数kを導出します。

    サンプル数nを導出

    ただし、わかっている値で表現します。
    わかっている値は
    \(K_{α}\)
    \(K_{β}\)
    \(K_{p0}\)
    \(K_{p1}\)
    です。

    ●Lを使う場合
    ・\(\bar{X_L}\)=L+\(K_{p0}σ\)-\(K_{α} σ_{\bar{x}}\)
    ・\(\bar{X_L}\)=L+\(K_{p1}σ\)+\(K_{β} σ_{\bar{x}}\)
    の2式を引きます。

    0=0+\(K_{p0}σ\)-\(K_{p1}σ\)-\(K_{α}σ_{\bar{x}}\)-\(K_{β}σ_{\bar{x}}\)
    (\(K_{p0}-K_{p1}\))σ=(\(K_{α}+K_{β}\))\(σ_{\bar{x}}\)

    この式に、\(σ_{\bar{x}}\)=\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)を代入します。
    (\(K_{p0}-K_{p1}\))σ=(\(K_{α}+K_{β}\))\(\frac{σ}{\sqrt{n}}\)
    両辺をσで割って,2乗します。
    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)

    合格判定係数kを導出

    初登場のkですが、
    ・\(\bar{X_L}\)=L+kσ
    と置きます。

    \(\bar{X_L}\)は
    ・\(\bar{X_L}\)=L+\(K_{p0}σ\)-\(K_{α} σ_{\bar{x}}\)
    = L+\(K_{p0}σ\)-\(K_{α} \frac{σ}{\sqrt{n}}\)
    ですから、
    k=\(K_{p0}\)-\(K_{α} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    です。

    なお、OC曲線を描くために、β,p1を使った関係式も導出します。
    ・\(\bar{X_L}\)=L+\(K_{p1}σ\)+\(K_{β} σ_{\bar{x}}\)
    = L+\(K_{p1}σ\)+\(K_{β} \frac{σ}{\sqrt{n}}\)
    ですから、
    k=\(K_{p1}\)+\(K_{β} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    です。

    nは先ほど導出しました、
    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    を、
    \(\sqrt{n}\)=\(\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}}\)
    とします。

    k=\(K_{p0}\)-\(K_{α} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    =\(K_{p0}\)-\(K_{α} \frac{ K_{p0}-K_{p1}}{ K_{α}+K_{β}}\)
    よって、
    k=\(\frac{K_{p0}K_{β}+K_{p1}K_{α}}{ K_{α}+K_{β}}\)
    となります。

    ③演習問題

    不良率p0,p1と上で求めた、サンプル数nと合格判定係数kを使って、計量抜取検査のOC曲線が描けます。その前に演習問題を出して考えましょう。

    【演習問題】
     あるプラスチック板の厚さの下限規格値が3.3mmとする。厚さが3.3mm未満のものが1%以下のロットはなるべく検査で合格させたいが、5%以上もあるロットはなるべく検査で不合格としたい。厚さの値は標準偏差σ=0.2mmの正規分布に従うとする。このとき、第1種の誤りであるα=0.002,第2種の誤りであるβ=0.10とした場合の抜取方式を決めよ。

    うん、難しそう。。。でも1つずつ見ていきましょう。

    まず、検査は抜取検査をやろうとしていますね。

    次に、扱う変数は厚さという計量値を検査しようとしていますね。
    最後に、下限規格値が決まっていますね。

    サンプル数nと、合格判定係数kを導出した公式から求めましょう。

    まず、確率から\(K_{α}\)、\(K_{β}\)、\(K_{p0}\)、\(K_{p1}\)
    がわかります。正規分布表を活用します。

    \(K_{α}\)=2.878 (α=0.002のときのK値)
    \(K_{β}\)=1.282(β=0.10のときのK値)

    \(K_{p0}\)=2.326(p0=0.01のときのK値)
    \(K_{p1}\)=1.645(p1=0.05のときのK値)

    正規分布表に苦手意識があれば関連記事で復習しましょう。

    【簡単】正規分布は怖くない!正規分布表や確率計算の求め方がすぐわかる
    「正規分布とは何か?」、「正規分布の難解な式が理解できない」、「正規分布表の意味がわからない」など困っていませんか?本記事では、教科書やwebサイトより正規分布の基本やポイントをわかりやすく解説します。最も重要な正規分布を理解したい方は必見です。

    サンプル数nは
    n=\((\frac{K_{α}+K_{β}}{K_{p0}-K_{p1}})^2\)
    = n=\((\frac{2.878+1.282}{2.326-1.645})^2\)
    =37.3≒38
    と計算できます。

    合格判定係数kは
    k=\(\frac{K_{p0}K_{β}+K_{p1}K_{α}}{ K_{α}+K_{β}}\)
    =\(\frac{2.326×1.282+1.645×2.878}{ 2.878+1.282}\)
    =1.855

    ちなみに、下限合格判定値\(\bar{X_L}\)は、
    \(\bar{X_L}\)=L+kσ
    =3.3+1.855×0.2=3.67

    まとめると
    (n,k)=(38,1.86)の値で、
    平均値が3.67以上ならロット合格、未満ならロット不合格
    となります。

    ④OC曲線を描く

    上の演習問題の結果をOC曲線で描きます。

    OC曲線を描くための準備

    なお、OC曲線を描くために、k,β,p1の関係式を再度書きます。
    k=\(K_{p1}\)+\(K_{β} \frac{1}{\sqrt{n}}\)
    変形して
    (k-\(K_{p1}\))\(\sqrt{n}\)=\(K_{β}\)

    ここで、p1,βを一般化して、
    p1⇒p
    β⇒L(p)
    に変えます。慣れないとここの変化は無理矢理感がありますけど。

    (k-\(K_{p}\))\(\sqrt{n}\)=\(K_{L(p)}\)

    L(p)の作り方

    1. 不良率pを変数として0から値を振る。
    2. pから正規分布表を使って\(K_{p}\)に変換する。
    3. サンプル数n,合格判定係数kを代入し、\(K_{L(p)}\)を計算する。
    4. \(K_{L(p)}\)を満たす確率L(p)を求める。
    5. pとL(p)の関係からOC曲線を描く。

    では、実際にやってみましょう。表にまとめます。

    p Kp k-Kp (k-Kp)\(\sqrt{n}\)
    =\(K_{L(P)}\)
    L(p)
    0.01 2.33 -0.47 -2.91 1
    0.02 2.05 -0.2 -1.23 0.89
    0.03 1.88 -0.03 -0.16 0.56
    0.04 1.75 0.1 0.64 0.26
    0.05 1.64 0.21 1.3 0.1
    0.06 1.55 0.3 1.85 0.03
    0.07 1.48 0.38 2.34 0.01
    0.08 1.41 0.45 2.77 0

    ここで、表の計算式をExcelの式を使って表現しています。
    Kp=ABS(NORM.INV(pの値,0,1))
    L(p)=1-(NORM.DIST(\(K_{L(p)}\)の値,0,1,TRUE))

    OC曲線を描く

    OC曲線です。計数抜取検査と似たような曲線になります。

    OC曲線

    計量抜取検査は式変形が多いですが、慣れましょう。

    まとめ

    JISZ9003計量抜取検査(標準偏差既知)で下限規格値が既知の抜取方式について、サンプル数n、合格判定個数k、下限合格判定値の導出やOC曲線の描き方を解説しました。

    • ①下限規格値と合格判定値についての関係式を導出
    • ②サンプル数nと合格判定係数kを導出
    • ③演習問題
    • ④OC曲線を描く

  • 【まとめ】選別型抜取検査がわかる

    【まとめ】選別型抜取検査がわかる

    「選別型抜取検査がよくわからない」、「規準型抜取検査との違いがよくわからない」など、困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【重要】選別型抜取検査がわかる

    教科書で選別型抜取検査を読んでも、いまいちメリットがわかりません。
    また、AOQ,AOQLという変数も出てきて、調整型抜取検査のAQLと混同します。

    選別型抜取検査のメリットと特徴を本記事で明確に解説します。また、OC曲線・二項分布・ポアソン分布から数式を使って理論や背景を解説します。

    本記事は、選別型抜取検査のまとめ記事になります。本記事の内容をおさえておけばOKです。

    【重要】選別型抜取検査がわかる

    • ➀選別型抜取検査とは何か?メリットは?
    • ②選別型抜取検査の特徴(AOQと不良率pの関係)
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    ➀選別型抜取検査とは何か?メリットは?

    1. 規準型抜取検査より検査後の不良率を低減できること
    2. 規準型抜取検査より検査量は増える

    規準型抜取検査より検査後の不良率を低減できること

    平均出検品質(AOQ)が不良率pより小さくできること

    つまり、検査後の不良率であるAOQは、検査対象の不良率pより小さいため、検査後の不良率を低減することができます。

    その代わり、抜取検査から全数検査に切り替える手間が増えます。

    検査後の不良率を低減するための変数として、
    平均出検品質(AOQ)
    平均出検品質限界(AOQL)
    があります。

    詳細は、関連記事で解説しています。

    選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQがわかる
    選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQや平均出検品質限界(AOQL)が何かを説明できますか? 本記事では、選別型抜取検査の基本である平均出検品質AOQや平均出検品質限界(AOQL)をわかりやすく解説しました。選別型抜取検査の特徴を理解したい方は必見です。

    規準型抜取検査より検査量は増える

    検査後の不良率はp→pL(p)となるので低減できるが、
    不良があった時点で全数検査に切り替える分、平均検査量は増加する。

    平均検査量Iという変数を使って、選別型抜取検査の検査量を解いていきます。

    詳細は、関連記事で解説しています。

    選別型抜取検査(JISZ9015)の平均検査量がわかる
    選別型抜取検査(JISZ9015)の平均検査量と平均検査量を最小化する不良率との関係を説明できますか? 本記事では、選別型抜取検査の平均検査量と平均検査量を最小化する不良率との関係をわかりやすく解説します。選別型抜取検査の特徴を理解したい方は必見です。

    ②選別型抜取検査の特徴(AOQと不良率pの関係)

    平均出検品質AOQと平均出検品質限界AOQLについて、不良率pとの関係をプロットすることができます。

    また、そのプロットには、サンプル数nによってさまざまな曲線が描けます。サンプル数と検査後の不良率であるAOQの関係がわかります。

    ロット合格率L(p)は二項分布とポアソン分を使います。教科書は、ほぼ二項分布だけしか紹介していませんが、QCプラネッツではポアソン分布の場合も解説します。

    二項分布については、関連記事の解説を読んでください。

    平均出検品質AOQと抜取個数の関係がわかる(二項分布)
    二項分布について選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQと平均出検品限界質AOQLを解析的に導出します。教科書ではグラフだけ見せて終わることが多いですが、実際に式から導出します。選別型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ポアソン分布については、関連記事の解説を読んでください。

    平均出検品質AOQと抜取個数の関係がわかる(ポアソン分布)
    ポアソン分布について選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQと平均出検品限界質AOQLを解析的に導出します。教科書ではグラフだけ見せて終わることが多いですが、実際に式から導出します。選別型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    まとめ

    選別型抜取検査(JISZ9015)に必要なエッセンスを解説しました。

    • ➀選別型抜取検査とは何か?メリットは?
    • ②選別型抜取検査の特徴(AOQと不良率pの関係)

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