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  • ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 がわかる

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ
    • ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?
    • ④品質監査で質疑されること

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    次の事項は,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため,組織は,これらを明確にしなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者
    b) 品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項 組織は,これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し,レビューしなければならない。

    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    ●「利害関係者」って何?誰?がわかることと
    ●「利害関係者のニーズ及び期待」って何?と
    ●「利害関係者のニーズ及び期待の理解」ってどうやって理解するの?が
    自分の言葉で説明できることです。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 ISO9001 2015 4.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 具体例:顧客、エンドユーザー、パートナー、銀行、従業員、地域団体、競合組織、などなど
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    5.2密接に関連する利害関係者 ●関連するニーズ・期待を満たすよう要求すること
    ●組織の持続的成功を強化する機会を提供できること

    あなたの事業活動における利害関係者と、どんな点において、利益・損害を受けるかを広く考えることが大事です。

    ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ

    利害関係者とは?

    利害関係者は、ステークホルダーという言い方もします。経営者ならよく使う言葉です。

    利害関係者(ステークホルダー)はあなたの仕事に直接、間接的に関わる相手すべて

    利害関係者を書き出してみる

    ●あなたの仕事に直接、間接的に関わる相手すべてを書けばOKですが、
    ●直接的に関わる相手
    ●間接的に関わる相手

    がいます。

    直接的な利害関係者

    ●調達元
    ●あなた
    ●あなたがいる自社の部課の人、関係部門
    ●顧客
    ●エンドユーザー
    などですね。

    間接的な利害関係者

    直接会うことはないが、関わる相手や、ルールなどです。

    ●銀行、株主
    ●法的機関
    ●ISOなどの標準規格
    ●近隣住民
    などですね。

    あなたにとっての利害関係者(ステークホルダー)をまとめると下図のようになるでしょう。もちろん、あなたの立場によって、利害関係者は変わってきます。

    利害関係者

    ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?

    相手はわかりましたね。では、相手は何を求めているのか? それを理解するとはどういうことかを考えます。

    利害関係者のニーズ及び期待

    あなたから見て、いろいろな角度をもった利害関係者がいます。
    彼らはあなたに何を求めて、期待しているでしょうか?

    直接的な利害関係者と、間接的な利害関係者に分けて分析します。

    直接的な利害関係者

    ●具体的なアウトプット(製品出荷、工事完了など)ですね。
    相手から求められたことを完遂すればよいのです。直接お金のやり取りある相手なので、成果と報酬から考えたら、すぐわかることです。

    関接的な利害関係者

    特に、求められてはいないが、当然対応するよね!、当然守るよね!という内容が該当します。

    ●法的ルールを遵守
    ●安全、環境を第1に考えた業務
    ●近隣住民に不安を与えない仕事
    などですね。

    間接的な利害関係者だから、関係ない!としても、新聞、テレビ、SNSなどで抗議が出ると、あなたの仕事に悪影響が出ます。

    直接見ていないから、逆に注意して仕事しましょう。

    数年経過すれば、それまで常識だったことが非常識になることがしばしばあります。毎年、“ニーズや期待”、“機会とリスク”の変化に注目しましょう。

    例えば、
    ●コロナ禍だった2020年~2022年と、現在2025年を比較すると、比較的コロナ禍前の状況に戻りつつあること
    ●報道側のコンプライアンスがさらに厳しくなり、数年前まで放送できたことができないこともしばしば

    ●今後、どういう方向に求められるか? 当たり前とされる考えもどのように変わっていくかをよく肌で感じる必要があります。

    ニーズ及び期待を理解するにはどうするの?

    あなたの利害関係者のニーズ及び期待は何となく把握しました。しかし、これも明記した文書があって初めて、ニーズ及び期待を理解するとなります。どんな文書や取り決めが必要かを考えましょう。

    また、利害関係者を直接的、間接的に分けて考えます。

    直接的な利害関係者

    ●顧客要求事項文書(Q,C,D)
    ●要求仕様書
    ●契約書
    ●基本設計図
    など、何をいつまでに、どのレベルでアウトプットするかが書かれた仕様書類ですね。

    上流工程の品質の作りこみが最重要。ここで、利害関係者のニーズ及び期待をよく理解する必要があります。よく相手と仕様を作りこむことが、下流工程の出戻りややり直しの低減につながります。
    それまで当たり前だった通例も、時には変えていく、変えるように求められていきます。

    ニーズと期待をおさえつつ、その変化を読み取ることが大切です。

    関接的な利害関係者

    ●標準規格
    ●法令
    ●認可
    ●免許
    ●当たり前とされる基本行動(近所に迷惑かけない、ごみは所定の場所に捨てるとか)
    など、ルールは暗記ではなく、自分の言葉で説明できることや、高い倫理観が必要です。

    仕様書に書いていないけど、当たり前の品質が要求されます。普段の業務の中で身に着けておく必要があります。
    仕様書に書いていないけど、やるべきことは何かに気が付く嗅覚と経験が求められます。
    あなたから見る利害関係者は、自分から「私はあなたの利害関係者」とは言いませんし、気がついてもいません。当然互いに思っていることや要求するものは表面的には伝えていても根幹部分は互いに知りません。だから、考えて想定していく必要があります。
    あなたにとってよりよい利害関係者を探していく必要もあります。あなたも周囲も変化していかければ、パートナー関係がなくなることもあります。

    ニーズ・期待の変化をどうやって感じ取ればよいか?

    このブログは2022/1/26に書いて、2025/8/29に内容を見直しています。約4年経過し、QCプラネッツも経験や周囲の環境が変化しています。数年経過すれば、たくさんの当たり前が変化しますが、日々の変化は微々たるものなので、気が付きません。

    ほとんど変化を感じない日々
    長期的には変化するわけだから、
    どうやって変化に気がつけばよいか?

    それは、いくつか解があります。

    ●自分自身の環境を変化させること
    ●「あれっ?」という違和感を周囲が反対・否定しても大事にすること

    です。

    たとえ、同じ業務であってもやり方を変えてみるとか、一緒に仕事するメンバーが変えてみるものよし。
    変化する状況を自ら作り、変化を感じましょう。

    長年同じ職場にいると、気が付きにくくなります。それこそ、リスクです。

    ④品質監査で質疑されること

    他の要求事項とまとめて質疑されるが、利害関係者と、ニーズ及び期待、理解すべき内容は必ず質疑で確認される

    「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」単独で質疑されることはあまりありません。
    利害関係者については、

    のところで、まとめて質疑されます。

    主に質問される内容

    1. マネージメントレビューのインプット情報を監査しつつ、各年度の環境の変化を質問し、さらに、あなたが管轄する事業・部門・職場における周囲の利害関係者との関わりや彼らが求める要求の変化が何かを聞いてくる。
    2. あなたの事業、ビジネスにおいて、一般的に求められる要求品質をベースにあなたが関わるパートナをいくつか挙げて、彼らに求めることや求められることを聞いてくる。
    3. 自前で事業せず、パートナーとの連携や購買が多くかかわるであろう。なぜ、自前ではないのか?利害関係者と関わることのメリットやデメリットは何か、それを解決するすべがどんなものがあり、どのように評価、PDCAを回しているか?を聞かれる。
    利害関係者そのものを聞くよりは、あなたの事業全体から求められるゴールに達成するために利害関係者とどのように付き合っている・いくのかと複合的に質疑されます。

    ニーズ及び期待、理解は、業務プロセスにて、具体的な業務内容を監査するときに、利害関係者が求めることやあなたに期待していることを確認します。そのインプット情報をもとに、業務プロセスによって要求されるアウトプットかどうかを審査します。

    品質監査で直接4.2を聞かれないが、他の要求事項と混ぜて質疑されます。意外と簡単ではないため、日ごろから利害関係者があなたに何を求めているかを考えて必要があります。

    利害関係者のニーズ及び期待の理解を十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ
    • ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?
  • ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解 がわかる

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解 がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ
    • ③内部の課題と外部の課題の事例
    • ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    4.1 組織及びその状況の理解
    4.1 組織及びその状況の理解
    組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。 組織は,これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し,レビューしなければならない。
    注記1 課題には,検討の対象となる,好ましい要因又は状態,及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。
    注記2 外部の状況の理解は,国際,国内,地方又は地域を問わず,法令,技術,競争,市場,文化,社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になり得る。
    注記3 内部の状況の理解は,組織の価値観,文化,知識及びパフォーマンスに関する課題を検討することによって容易になり得る。

    4.1 組織及びその状況の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    外部の課題
    内部の課題
    網羅的に抽出できるかどうか!

    です。後で解説します。

    JISハンドブックの解説

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.1 組織及びその状況の理解 ISO9001 2015 4.1
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.1 組織及びその状況の理解 (*)

    上表の(*)の中身は

    ●外部環境の事例
    (経済的要因、社会的要因、政治的要因、技術的要因、市場要因、規制上要因)
    ●内部環境の事例
    (組織全体のパフォーマンス、インフラ、人々、工程能力、ガバナンスなど)
    ●利害関係者の例
    (顧客、ビジネスパートナー、地域団体など)
    外部の環境
    内部の環境
    に含まれるものはどうやって出てきたのか?
    やみくもに暗記しても頭に入っていかない!

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。そうなると理論を知る必要があります。ISO,JISに書いている外部の課題や内部の課題の項目はどこから来ているのか?を本記事で解説します。

    外部の環境
    内部の環境
    に含まれるものは
    マーケテイング用語から来ていると考えるとわかりやすい!

    ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ

    技術屋でも品質屋でもマーケテイングは必須

    4.1 組織及びその状況の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    外部の課題
    内部の課題
    網羅的に抽出できるかどうか!

    実は、外部の課題、内部の課題はマーケテイング用語なので、ISO9001に多くの関わる技術屋にとって、馴染みのない用語です。なので、何を課題としてよいか?が理論として体系化しないままに、ISOやJISに書いている内容をそのまま自分の仕事に当てはめていることがほとんどです。

    外部の課題内部の課題
    理解できるように、マーケテイング分野を解説します。

    品質、技術とマーケティングは縁遠いと思われがちですが、品質の目的は経営や収益です。経営や収益のために、各部門で果たすべき役割があり、マーケティングをうまく活用しましょう。。

    内部の課題と外部の課題を理解するためのマーケテイングアイテム

    3つ紹介します。

    1. 3C分析
    2. 5F(Five Force)分析
    3. SWOT分析

    他にも分析手法がたくさんありますが、この3つあれば十分です。

    マーケティング手法が習得すれば
    あなたの業界だけでなく
    他の業界も
    品質課題を見抜くことができる!

    3C分析

    外部の課題を考えるときに活用します。

    ●3つのCはそれぞれ次の通りです。

    1. Customer(顧客のニーズ、市場規模、市場動向)
    2. Competitor(競合他社、競争の厳しさ)
    3. Company(自社の強み、弱み)

    3C分析

    まず、
    ●Customerで、市場規模が拡充か縮小か、市場動向を調べ、顧客のニーズを確認します。
    ●Competitorで、競合他社の強さ、数、競争の厳しさを確認します。
    ●Companyは自社がそこで戦っていける強み、弱みを分析します。

    外部の課題は、外なので、コントールが効かないものです。市場、競合、疫病、景気、法改正などの要因がCustomer、Competitor、Companyに対して、どう影響を与えるかを考えます。

    考えた結果を上の図に当てはめると、綺麗に整理ができます。そこから、自社の戦略が見えてきます。

    3C分析は規模を変えてそれぞれ分析てみましょう。
    (i) 3C分析通り、市場、競合、自社
    (ii) 組織単位で、全部門、所属以外の部門、自部門
    (iii) 集団単位で、チーム、自分以外の人、自分
    さまざまなレベルで3C分析を活用して、自分をとりまく環境課題を見ることが大事です。

    5F(Five Force)分析

    外部の課題については3C分析だけでも十分ですが、さらに、新規参入、代替による脅威が気になる場合は5F分析も必要です。

    例えば、IT業界のように新製品や代替品が次々に出て来る業界は5F分析は必須です。

    5F分析

    まず、

    1. 中心の「業界の脅威」にあなたの自社がいます。
    2. 横のラインを見ます。「売り手の脅威」と「買い手の脅威」を見ます。
      ★売り手は、調達元です。本来は、売り手はあなたとって顧客ですが、強気なところもあります。
      ★買い手はあなたにとっての顧客です。顧客の強弱は容易に想像がつきますね。
    3. 次に、縦のラインを見ます
    4. 「新規参入」がたくさんあるかどうかを確認します。参入が多いと競争激化します。
    5. さらに「代替品」の脅威も見ましょう。今まで、自社の製品が売れていたのに、他で代替されると自社の市場自体が無くなるリスクがあります。ガラケーからスマホに代わり、ガラケーが一瞬で廃れたのが良い事例です。

    横、縦のラインを見て、自社が入る業界の競争がどれくらい厳しいかを確認しましょう。

    3C分析と5F分析すると、
    競争のきつさが明確になり、どこから脅威が出るかもわかります。
    その分析結果を外部の課題として抽出すればよいのです。

    次に、内部の課題を確認しましょう。

    SWOT分析

    内部の課題を抽出する分析方法がSWOT分析です。

    SWOT分析

    SWOTとは、

    1. S(Strength):自社の強み(内部の強み)
    2. W(Weakness):自社の弱み(内部の弱み)
    3. O(Opportunity):自社のチャンス・機会(外部からのチャンス)
    4. T(Threat):自社の脅威(外部からの脅威)

    をそれぞれ分析します。

    SとWについては、内部の強み・弱みを分析します。社内のことなので、コントロール可能な領域なので、経営陣に説明して、強み、弱みの課題を解消しましょう。

    ③内部の課題と外部の課題の事例

    マーケテイング分析手法の3C,5F,SWOT分析をさっと解説しました。では、具体例を挙げて練習しましょう。

    各分析において、別々の業界を例に分析例を解説します。なるべく、多業種の例を挙げてみましょう。何でも分析ができるからです。

    あなたの仕事を取り巻く環境において、3C分析、5F分析、SWOT分析をやってみてください。正解不正解はありません、思考訓練です!

    1. 3C分析:品質管理プロ(QCプラネッツ本人)
    2. 5F分析:携帯電話(ガラケー全盛期)
    3. SWOT分析:製造業

    3C分析の事例紹介

    私自身を3C分析します。品質管理のブログを書き始めた経緯に、3C分析をやって、「勝てる!」と確信したからです。

    ●品質管理に関わる人がたくさんいる。
    ●技術を究めたいが、いつ事業撤退になるかわからない不安がある一方、品質管理はどの企業にもある。
    ●ライバルはシニア層が多く、時間が経てば継承されて自分が優位に立てる。
    ●品質は「技術×経験」というが、本当は、「技術×経営」です。経営がわからない技術屋が多く、それが人生経験に代用されているのです。MBAで経営が分かれば若くても品質管理はできます。

    なので、QCプラネッツを作ると決意しました。

    3C分析の図にすると、こんな感じです。

    3C分析

    3つのCとも勝てる点に整合していれば強いという分析結果になりますが、1つでも整合しない点があれば、そこが弱みとなり、抽出すべき課題があると気づくことができます。

    5F分析

    ちょっと古い内容ですが、ガラケーの全盛期の外部環境について分析します。競争が激化する中、いつのまにかスマホに代わってしまいましたね。

    5F分析の「横のライン」

    ●業界の脅威は国内メーカ各社の厳しい競争がありました。どの電機メーカも携帯が出ていました。

    ●売り手の脅威ですが、半導体業界はエンドユーザに届く最終製品より、材料・製造機械の方が収益性は高く、強気です。なので、売り手に圧力をかけて値下げすることは難しかったです。

    ●買い手の脅威は、携帯をエンドユーザに渡す側で、半国営企業ですから、相手も強気ですね。

    5F分析の横のラインはどれも厳しい競争とわかります。

    5F分析の「縦のライン」

    ●新規参入の脅威ですが、携帯電話は海外勢も強く、参入障壁や制約がなかったため、競争が激化しました。

    ●代替品ですが、ガラケーが厳しい競争の中、スマホや登場し、世界を変えてしまいました。

    厳しい競争に生き抜こうとした携帯メーカの各社はスマホという新しいものによって、撤退していきました。近い業界にいたので、強く印象に残っています。

    5F分析の結果を図にすると次のようになります。

    5F分析

    SWOT分析

    製造業によくある、内部環境の分析をしてみましょう。内部の課題や内部環境だけを分析するフレームワークはないため、内外同時に分析するSWOT分析を使います。

    例えば下図のような分析になります。

    SWOT分析

    SWOTとは、
    ●S(Strength):自社の強み(内部の強み)
    ●W(Weakness):自社の弱み(内部の弱み)
    ●O(Opportunity):自社のチャンス・機会(外部からのチャンス)
    ●T(Threat):自社の脅威(外部からの脅威)
    をそれぞれ分析する中で
    特に、内部環境についての強みと弱みを列挙しましょう。

    内部の課題ですから、
    ●人的リソースに課題はないか?
    ●資源に課題はないか?
    ●今は問題ないが、そのうち問題が顕在化することはないか?
    を技術、営業、企画、管理などの各部門から課題を出してみましょう。

    事例を挙げて分析方法を解説しました。

    分析して終わり!ではなく、
    ●課題・リスクを解決する施策
    ●チャンス・機会をものにする施策
    を考える必要があります。

    課題を洗い出し、それをどうするかを品質監査の始めの方で必ず質疑されます。

    ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?

    品質監査(内部監査や外部審査)でよく質疑される流れを解説します。

    監査する側は、決まった質疑をするのではなく、対象とする部門や組織の経営課題を抽出してからそれを解決するための施策や実績などを深く掘り下げて質疑していきます。

    最初の経営課題を抽出するために4.1の要求事項が質疑されます。

    質疑の流れ

    1. 製品分野、売上、収益について確認
    2. 事業継続に対するリスク・機会を確認
    3. リスク・機会の要因についてさらに質疑

    「事業継続に対するリスク・機会を確認」になったら、事前に「内部の課題」、「外部の課題」を
    3C分析,5F分析,SWOT分析を使って抽出した結果を監査員に回答しましょう。

    リスク・機会を与える要因が、
    ●組織体制
    ●目標の見直し
    ●コミュニケーション
    ●人的資源
    ●社内の仕組み
    などであれば、さらに個々のテーマを掘り下げながら、監査が続いていきます。

    しっかり分析して、それを解決する道筋を力強く説明できるように日々考えることが重要です。

    外部の課題と内部の課題を考える方法が十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ
    • ③内部の課題と外部の課題の事例
    • ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?
  • ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    「ISO9001 7.1 資源って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    7.1 資源
    7.1.1 一般 組織は,品質マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 既存の内部資源の実現能力及び制約
    b) 外部提供者から取得する必要があるもの
    7.1.2 人々 組織は,品質マネジメントシステムの効果的な実施,並びにそのプロセスの運用及び管理のために必要な人々を明確にし,提供しなければならない。
    7.1.3 インフラストラクチャ 組織は,プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 インフラストラクチャには,次の事項が含まれ得る。
    a) 建物及び関連するユーティリティ
    b) 設備。これにはハードウェア及びソフトウェアを含む。
    c) 輸送のための資源
    d) 情報通信技術
    7.1.4 プロセスの運用に関する環境 組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
    a) 社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)
    b) 心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア)
    c) 物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)
    これらの要因は,提供する製品及びサービスによって,大いに異なり得る。
    7.1.5 監視及び測定のための資源
    7.1.5.1 一般 要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
    a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
    b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。 組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
    7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
    a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
    b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
    c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。 測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
    7.1.6 組織の知識 組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。 この知識を維持し,必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。 変化するニーズ及び傾向に取り組む場合,組織は,現在の知識を考慮し,必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。
    注記1 組織の知識は,組織に固有な知識であり,それは一般的に経験によって得られる。それは,組織の目標を達成するために使用し,共有する情報である。 注記2 組織の知識は,次の事項に基づいたものであり得る。
    a) 内部の知識源(例えば,知的財産,経験から得た知識,成功プロジェクト及び失敗から学んだ教訓,文書化していない知識及び経験の取得及び共有,プロセス,製品及びサービスにおける改善の結果)
    b) 外部の知識源(例えば,標準,学界,会議,顧客又は外部の提供者からの知識収集)

    長い! 関越トンネルくらい長い! そして、頭の中に入ってこない! ですよね!
    品質管理の勉強が足らないとかではなく、頭に入らない!と思うのが正しいです。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    でも難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●品質管理業務をやってわかるのは、自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、大丈夫!

    ●資源を明快に解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.1 資源 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.1 資源 JIS Q9001 7.1 の補足
    わかった感じにはなる。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9 資源のマネジメント さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    自分の言葉では説明できないはず

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。
    自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、大丈夫!

    ●資源を明快に解説します。

    ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●資源を明快に解説します。

    経営学から入るとわかりやすい

    経営学では、経営の資源をよく

    ヒト・モノ・カネ

    の3つにまとめることがあります。
    品質管理では「カネ」は対象外なので、

    ヒト・モノ

    の2つの資源に着目します。

    資源と言っても、「金銀」、「ダイヤモンド」、「石油」などの鉱山資源ではありません。経営資源のことです。初めて「資源」と聞くと、前者を想像しがちです。

    ヒト

    ヒトの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    一昔前なら、KKD(気合、根性、度胸)で「24時間戦えますか?」というCMがあり、
    それが日本の強さとか言っていましたが、今はそんな環境には人は行きたいと思いません。

    人が自ら成長したい、そうエンパワーメントする環境が必須な時代です。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.6 組織の知識 a) 内部の知識源、b) 外部の知識源
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    に該当する
    ことがわかります。

    モノ

    モノの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。人が働いて、高い業務成果を出すには、何が必要かを考えましょう。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    建屋がないと、仕事になりませんよね。建屋の設備がないと困りますよね。PC,機械、計測器がないと仕事できませんよね。当たり前じゃん!なのですが、その当たり前なモノが十分あるか?十分機能を果たしているか?が重要です。

    照明が暗い、空調がなければ、人への影響が出て、よい仕事ができませんし、熱中症などの事故、感染症の問題など、その職場の問題がいっぱい発生するから、モノの資源をしっかりおさえておくことは重要なのです。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.3 インフラストラクチャ
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    ③7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 機械、測定器の校正管理
    に該当する
    ことがわかります。

    7.1 資源は、当たり前の環境が当たり前あるか?をチェックする要求事項なのです。

    ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

    経営の資源「ヒト・モノ」を良くしていけばいいとすぐわかりますよね。個別にみていきましょう。

    7.1 資源を良くして品質・経営を高めることが重要で、
    資源の現状と、資源を高める活動をしているかを品質監査でもチェックします。

    ヒト

    ヒトは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●人の数:採用強化が必須ですが、会社の評価が高くないと良い人財が来ません。
    ●各人の能力:将来の力量向上につながる業務を、メンターをつけて育成できるチーム体制が必要です。
    ●働きやすさ:時短勤務、フレックス、最新のシステム導入、残業時間低減による生産性向上などの体制構築が必要です。
    ●メンタルヘルス、多様性:労働環境・労働時間の適正化、産業医などのサポート体制が必要です

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    モノ

    モノは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●施設:利便性高い立地。最新の施設など。
    床がすべりやすく、段差があるとか、雨漏りするとかはNG。労働災害につながります。
    ●設備:照明・空調・圧迫感のない職場、風通しの良い職場作り。
    ●機械、計測器:校正管理ができていることや、メンテナンスが適正であること。機械が壊れたまま稼働すると大事故につながります。
    ●情報通信:PCの使いやすさとか、サイバーセキュリティ対策など

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    品質監査で「資源」を監査

    監査員として、「7.1資源」を監査する場合、どんな質問をしたらよいか?考えましょう。いい勉強になります。

    先ほどから
    ●ヒト:人数、力量、働きやすさ、労働衛生
    ●モノ:施設、設備、機械、情報通信
    を資源として考えてきましたので、これらが十分あるか、十分機能しているかを質疑すればよいです

    質疑内容の例

    ★ヒトについて、
    ●組織内の人数は十分か? 人的リソースにおける課題を挙げよ。
    ●力量向上に必要なリソースは何か?いくつか挙げよ。
    ●平均残業時間はどれくらいか? 半減するにはどうすればよいか提示せよ。
    ●職場の人のメンタルケアをカバーしているか?

    ★モノについて、
    ●職場内は働きやすい環境か?職場における不満を挙げよ。
    ●労働生産性を向上させるために、どんな工夫をしているか?
    ●事業の今後の変革に対応して、どんなリソースが必要か?
    ●セキュリティ対策は何をしているか?

    など、質疑すると、
    ●事業の成長に必要なリソースの明確化
    ●現状のリソースの課題とその解決策
    が見えてきます。

    資源は確かに固定費であり削減対象であるが、
    同時に収益の源泉でもある。
    資源戦略をしっかり整えることが事業成長に必須

    資源のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.1 資源をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

  • ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    7.5 文書化した情報
    7.5.1 一般 組織の品質マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
    a) この規格が要求する文書化した情報
    b) 品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報
    注記 品質マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によって,それぞれの組織で異なる場合がある。
    − 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
    − プロセス及びその相互作用の複雑さ
    − 人々の力量
    .
    7.5.2 作成及び更新
    文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
    a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
    b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
    c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
    .
    7.5.3 文書化した情報の管理
    7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にするために,管理しなければならない。
    a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
    b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。
    7.5.3.2 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければならない。
    a) 配付,アクセス,検索及び利用
    b) 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
    c) 変更の管理(例えば,版の管理)
    d) 保持及び廃棄
    品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は,必要に応じて識別し,管理しなければならない。
    適合の証拠として保持する文書化した情報は,意図しない改変から保護しなければならない。

    注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。

    JISハンドブックの解説

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_5_文書化した情報 ISO9001 2015 7.5
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_5_文書化した情報 JIS Q9001 7.5の補足
    詳細に書いている。
    **

    上表の「**」の中身ですが、

    1. 情報の「維持・保持」、「情報の程度の指定はしていないこと」
    2. 情報の「作成・更新に識別、レビュー・承認を要求」
    3. 情報は「必要なときに適切な媒体で入手可能であること」

    が大事と記載されています。

    「文書化した情報」で実務上、おさえるべきポイントは3つあります。これは実務・品質監査(内部監査、認証の外部審査)の経験からわかったことです。共有しますね。

    1. 「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    2. 必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    3. 「文書化した情報」が十分に保護されていること

    それぞれ解説していきます。

    ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない

    「文書化した情報」の「情報」がポイント

    「文書化した情報」の「情報」がポイントで、情報の手段は問われません。

    紙(アナログ)でも、電子(デジタル)でも構わない
    .
    電子サーバのフォルダーにファイル一式そろっていればいい
    ありのままを審査で見せてほしい思いがあり、文書管理から文書化した情報とISO自体更新された。

    ひと昔前の、ISO9001だと、紙をファイリングして、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように求められていました。また、ISO9001 監査のために、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように、準備していました。でも、これは三現主義に反しますよね。

    ISOのための無駄な紙ファイリングは全くしなくよくなりました!

    電子ファイル一式そろえていけばOKです。これは実務上、業務で必ずデータが最新に更新されるので、ISOのための文書を作る必要が一切ありません。

    「文書化された情報」に要求事項が変わり、適合性より有効性を監査するよう、ISO9001 2015版から変わったので、文書の管理が楽になりました。また、ありのままをチェックする方が、受審側の課題を見つけやすくなります。

    では、なぜISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったかを解説します。

    なぜ、ISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったか?

    ISO9001 2008版からISO9001 2015版の大きな変更点は次の通りです。これは品質管理業務する中で、肌で感じたことです。

    1. 適合性より有効性をしっかり監査するようになったこと
    2. 品質から経営を意識した品質監査に変化したこと

    「適合性より有効性をしっかり監査」は、ISO9001 2008版からISO9001 2015版へ大きく変更した背景につながります。それは、優良なISO認証企業から相次いで品質不正が発覚したことです。

    ISO品質監査で優良な評価を受けた企業がなぜ、品質不正をしているか?そしてなぜ、監査で不正が見抜けないのか?と思いませんか?

    実態がわかる状態でなければいけないし、かつての紙・ハンコ文化から
    電子化、生成AIの活用などIT技術の進化にも品質活動は適応していかなければなりません。

    ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態

    素早く文書が出せるのは重要ですよ!

    要求事項に書いていますが、これ結構重要です。

    普段から、必要な文書が、素早く入手できることが業務改善につながりますし、品質監査のときに、「●●文書見せてください」と言われて、もたつくと「改善してください」と減点対象になります。

    「必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態」になるように、紙・電子サーバの整理をしておいてください。

    文書整理って意外と難しい

    ここで1つ留意したいのが、

    電子管理化が進むが情報管理の構成は完璧であることよりも、その組織のメンバーが使いやすいこと

    部・課単位で電子サーバや共有フォルダーをみんなで使うと、それぞれ価値観が異なるので、フォルダーやファイルの整理方針が立てにくいです。

    なので、理想的な整理は追求しなくてもよいです。ある程度、整理がうまくできていなくてもOKです。人間は意外と臨機応変に対応できるので、頭で記憶しておけば、ここにファイルがあると認識します。

    組織にが必要な情報がすぐ手に入り、目標に向かうべき行動がすぐにとれることが大事です。文書の管理はその手段にすぎませんよね。

    ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

    保持と維持の違い

    次の例題で、「保持」と「維持」どちらを使うか考えてください。

    (i)社内規定を「●●」する
    (ii)試験成績書を「●●」する
    ●●には、「保持」と「維持」どちらが入るか?
    「維持」と「保持」
    よく似た言葉であるが、
    意図が全く違うので、
    確実に区別して使いこなせるようにしましょう。

    保持

    「保持」とは、「編集してはいけないこと」
    変えてはいけない文書は「保持」です。

    ●承認された文書⇒責任者の承認後、内容が変わってはいけません。
    ●試験成績書⇒内容が変わると改ざんになりますね。

    維持

    維持とは、「編集して最新の状態を保つこと」
    常に最新であるべき文書は「維持」です。

    ●社内規定⇒常に最新であるべきです。
    ●工程図⇒⇒常に最新であるべきです。

    よって、上の例題の答えは

    (i)社内規定を「維持」する
    (ii)試験成績書を「保持」

    ISO9001 2015の要求事項では、
    ●保持が28か所、
    ●維持が23か所
    出て来ます。

    維持、保持、保持、維持、維持、維持、保持、…となると
    訳が分からなくなりますよね。

    「保持」とは、「編集してはいけないこと」
    変えてはいけない文書は「保持」です。

    【注意】電子管理の情報保持について

    最近、コロナ禍もあり、リモートワークが進んでいます。デジタル化・リモート化自体はとても良い事ですが、電子管理の情報保持について1点注意があります。

    電子管理ツールが未熟で、例えばofficeソフト(Excel,Word,PPT)を
    編集可能のまま保持しようとする場合が多い。

    これでは、承認後のデータが書き換え可能になっています。なので、承認後は書き換え不可になる仕組みが必要です。

    実際は、ここまで品質監査で見られたことはありませんが、電子化しても情報が保持していない場合が多いでしょう。

    しかし、保持できないから電子から紙に戻すことだけは絶対避けてください。時代遅れはビジネスにとってリスクです。

    維持・保持を見落とすケースを紹介します。

    1例を紹介します。同じ例ではありませんが、QCプラネッツの職場でも起こり、すぐ修正するよう指示した事例です。何が問題なのか?を考えてみましょう。

    【例題】

    あるメーカの製造部では、製品の検査員の育成をしている。
    最近中途で入社してきた技術者を検査員として育成してきた。
    検査員は2段階あり、①検査の責任者である主任検査員と、
    ②検査担当する検査員がある。力量向上につれて②→①と昇格する。

    中途入社のAさんは②の検査員をある一定経験し、6月初旬では
    ルール上は①の主任監督員に今すぐ昇格してもよい状態であった。
    なお、検査員一覧表は毎年5月に1回チェックして管理している。

    ある検査が6月中旬にあり、月末に検査が完了した。
    その際、検査報告書には主任監査員にAさんの名前で承認されていた。

    このことは検査部門の上司は把握しておらず、検査報告書を見て初めて見た。

    (問)本件において、「文書化した情報」の管理の面からの問題点を指摘せよ。

    【解説】

    「維持」と「保持」の両方ができていないことがわかりますか?
    ●維持: Aさんがいつ、だれが評価して主任検査員としたのか? 仮にAさんが急遽主任検査員としてもよいと組織が決めたとして、名簿の更新がされていない。
    ●保持:本来主任検査員としてISO上認められていない状態でAさんが主任検査員として承認しデータ保持されたこと

    本件、不適合に近い、よくない事例です。

    こういうのは、経験がない者や
    組織の一部の者だけで決めてしまうことでしくじる失敗です。

    どう改善すればよいか?

    ①維持:Aさんを主任検査員としたければ、組織で正式に昇格させる場を設け、議事録を残し、名簿を更新すること。
    ②保持:一旦試験成績書を無効とし、①の名簿を整理した上で再度Aさんが承認するか、もしくはすでに主任検査員に承認するかを決めて実行する。

    いかがでしょうか?

    文書化した情報
    維持・保持
    が機能している・していないは組織の差としてはっきり表出化します。

    「文書化した情報」のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.5 文書化した情報をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

  • ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【しっかり考えよう!】
    • ④力量管理の評価の仕方

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO要求事項、JISハンドブックを読んでみましょう。

    ISO9001要求事項(通説)

    7.2 力量
    組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
    b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
    c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
    d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
    注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。

    「力量」と慣れていない用語を詳しく解説していますが、難しいですね。でも、この記事を読めば、力量はすぐ理解できます!

    ●ISO9001 やJISでは力量の要求事項(やらないといけないこと)は詳しく書いていますが、

    1. 力量ってそもそも何?
    2. 力量をなぜ管理しないといけないの?

    を、理解しておく必要があります。組織の人によっては力量の定義がばらばらなため、うまく力量管理できていないケースがよくあります。

    力量を明快に理解し、
    個人、組織力を高め
    目標達成に向かいましょう!

    JISハンドブックの解説

    ハンドブックの解説を読んでみましょう。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.2 力量 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.2 力量 JIS Q9001 7.2の補足
    力量があると何ができるか?どんな力量が必要かを考えるヒントがある。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9.2.4 人々の力量 人々の力量向上を促すヒントがある。
    力量の定義をISO,JISハンドブックから見ましたが、今度は自分の言葉で明確に説明できるようにしましょう。

    ●力量の明快な定義を解説します。

    ②力量とは「その場ですぐできる力」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●簡単に力量がわかる解説をします。

    力量とは
    「その場ですぐできる力」
    であり、
    知っている、習った、理解できるは力量ではない

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    力量の例

    ●学校の勉強で例えます。例えば、こんな問題

    ●次の方程式を解きなさい。
    \(3x+2=8\)

    ○力量がある⇒上の方程式が解ける!
    ×力量が無い⇒教科書見ながらなら解ける!
    ×力量が無い⇒習った!
    ×力量が無い⇒知っている!
    ×力量が無い⇒わからない!

    ですから、

    品質監査で、力量があるかを監査したければ、
    「その場で、○○の業務をやってください」
    と指示して、その場でちゃんとできるかを診ればよい
    のです。

    ●仕事の力量も勉強の例と同じです。
    ●設計の力量がある⇒その場で設計できる、設計図が書ける
    ●加工の力量がある⇒加工場で実際に加工ができる

    その場ですぐできる力が力量です。

    ●次にどんな力量があるのか?どんな力量が求められて、それを管理(力量管理)すべきかを解説します。

    力量管理は、一度は自分で考えて作りましょう。考えて作れば、ISO,JIS見なくても完璧に理解できます!

    ③力量管理項目の考え方【しっかり考えよう!】

    自分で力量管理を考えることが重要

    ●次の問いを考えてください。

    あなたの業務、部門、組織で必要な力量はどんなスキルですか?
    (i)どんなスキルが必要か?
    (ii)なぜそのスキルが必要なのか?

    ●品質管理は手段ではなく、目的を考えることが重要です。
    何のために力量が必要なのか? それは、部門、組織が目指す目標(収益、幸せ、公共の福祉とか)を達成するからですよね。

    あなたの属する場が目指す目標とそれを達成するために、人々がどうなればよいかを考えれば、何を磨く、習得するべきかがわかるはずです。

    力量管理表の作り方

    力量管理項目の考え方は、意外と難しいですが、抽象度、粒度はあなた好みでOKです。部門・祖式がそれで納得するものでOKです。特に、力量管理項目を考える指針や制約を考えなくてよいです。

    そうなると、
    ●抽象度の高い力量管理表
    ●具象度の高い力量管理表
    など、たくさん作ることができます。

    本記事では、両パターンを提示します。

    力量管理項目の例1(抽象度が高い力量管理表)

    ●抽象的に考えるのが好きな人や、抱える部門・組織の規模が数十人と多い場合は、抽象度が高い力量管理表になる傾向が高いでしょう。

    ●例えば、このような管理項目が考えられます。

    ●力量管理表の管理項目
    ①業界の知識、業務の知識・経験
    ②顧客などの対外折衝・交渉力
    ③コミュニケーション
    ④チームをまとめる力
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界)
     (担当する規模によって力量難易度が変わるのが明確なもの)
     例: 小規模システム導入(入社2,3年目でもできる仕事)
        中規模システム導入(入社5~8年目でないとできない仕事)
        大規模システム導入(熟練かつ資格がないとできない仕事)
    ⑥安全・品質・環境(製造業向け)
    ⑦自己学習能力・資格取得
    など

    職場でよく見かける項目になったでしょう。
    力量項目を埋めるのが目的ではなく、あなたの部門・組織の目標を達成ために、何が必要かを考えて項目化しましょう。

    そして、
    客観的かつ定量化できる項目が大事です。誰が評価しても同じ結果になるような力量管理をしましょう。

    数年前ですと、
    ●ITスキル(コロナ禍)
    ●AI・DXスキル
    ●健康管理(シニア層が多い組織)
    も力量項目が挙げられます。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    力量管理項目の例1(具象度が高い力量管理表)

    一方で、小規模な部門・組織や具体的に考える方を好む場合は、具体的な作業を力量管理項目に入れてもOKです。

    例として、私のQCプラネッツに必要な力量管理項目を考えたので、紹介します。

    ●力量管理表の管理項目
    ①WordPressが使いこなせる
    ②ブログの内容・記事の構成ができる
    ③ブログを書くための高い専門性(品質管理、統計など)がある
    ④SNS(Twitter,LINE,note,Youtube,Instagram)ができる
    ⑤商品が作れる
    ⑥SNSを使って集客・商品販売ができる
    ⑦プロジェクトマネジメントができる
    特に今は要らないとする(苦手なので)
    ×対外コミュニケーションがある
    ×顧客対応
    など

    あなたも、目指すことややりたいことを実現するには、どんな力量が必要かを考えて、その力量が十分あるかを確認するとよいでしょう。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    ④力量管理の評価の仕方

    評価方法・基準・レベルは自由に設定してよいです。ただし、社内の品質内部監査やISO9001認証機関による外部審査では力量管理の評価はよく質疑されます。

    例えば、次のような力量管理表を管理していたとします。

    Aさん Bさん Cさん Dさん
    スキル/入社年数 15 10 6 2
    ①業界の知識、業務の知識・経験 S S A C
    ②顧客などの対外折衝・交渉力 S S B C
    ③プレゼンテーション S A A B
    ④プロジェクトマネジメント S A C B
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界) S S A B

    ●評価基準
    S:指導ができる
    A:自分でできる
    B:指導されたらできる
    C:指導が必須

    ●質疑されるポイントをまとめます。

    1. 力量管理項目の妥当性(あなたの部門のリスク・機会・品質目標に沿っているか?)
    2. 評価基準S,A,B,Cの妥当性
    3. 例えば評価Sの人が何ができるか具体的に教えてほしい
    4. 4人のうち、今年度は誰にどんなスキルアップをさせるのか?(教育計画)
    5. オールSのAさんは頭打ちになっているが、次何を目指すのか?
    監査でつっこまれるからではなく、
    部門・組織の目標達成のために上の5つの質疑に対する
    あなたの答えをしっかり持つことが重要です。
    正解・不正解はありません。
    自分の言葉で力量管理項目が説明できることが重要です。

    まとめると、

    ●力量管理項目は目標・目的から考える
    ●力量管理の項目は常に見直す
    ●部下の育成に何が必要かをよく考える
    ●ベテランは次何をするかを考える

    力量と力量管理のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.2 力量をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【しっかり考えよう!】
    • ④力量管理の評価の仕方

  • ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    ISO9001 2015の要求事項、JISのハンドブックを読みましょう。

    ISO9001要求事項

    10.3 継続的改善
    組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性継続的に改善しなければならない。 組織は,継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために,分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

    確かにその通りなのですが、難しい書き方をしています。
    継続的改善を自分のものにするために理解するポイントを伝授します!

    ●気にすべき内容は、次の2点です。

    1. 「継続的に改善」を自分なりの解釈を見つけること
    2. 継続的改善の目的や意義を意識して考えること

    JISハンドブックの解説

    JISハンドブックも見ていきましょう。継続的改善について説明した箇所がいくつかあります。一緒に見てみましょう。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針
    4. JIS Q9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善 継続的改善の手順及び技法の指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    10.3 継続的改善 ISO9001 2015 10.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    10.3 継続的改善 JIS Q9001 10.3の補足
    改善の方法を列挙。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    11改善 改善だけでなく、学習・革新と範囲を広げた解説
    JIS Q9024 マネジメントシステムの
    パフォーマンス改善
    継続的改善の手順及び技法の指針
    全部 改善方法・効果方法を解説。

    以上から、

    JISの内容は一読しよう!
    あなた自身、あなたをとりまく環境・組織が抱える課題を見つけ、
    どのように解決、改善していくかを自分なりに考えよう!
    改善施策をした後、要求事項を読み返すと、理解度が増しますね。
    不適合事象があり、今すぐ改善すべきことがあればそれほど悩むものではないが、成熟しておりこれ以上何をやったか良いかわからない状況で改善策を考える苦悩もある。

    スタートアップの段階では、日々改善要求がありますが、
    成熟した環境では改善施策が思いつかず、悩むことがあり、結局何も成長しない自分がいたりします。

    ここから、「継続的」に「改善」することを自分なりに解釈して理解する方法を解説します。

    ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なぜなら、目標達成させる手段だからです。でも、その品質管理を抽象化すると難しくなります。

    ●簡単に継続的改善がわかる解説をします。

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    なぜ、ちょっとずつなのか?

    ①ちょっとずつが最重要です。その理由は

    1. 急な改善しても、ストレスや嫌な印象しかなく、継続できない。
    2. 急な改善しても、その改善がストップしたら、元の状態やむしろ改善前より悪い状況まで落ち込むリスクがある。
    3. 組織全員では急な改善活動は無理。

    いきなり、大きな目標を立てて改善すると無理が生じます。そんなしんどい改善はしたくありませんし、改善の監視が終わると、二度とやらない!となり、逆効果すらなります。

    ですからちょっとずつ負荷をかけて、負荷がかかっても問題なければ、もう少し負荷をかけていく感じで行くのが良いです。

    負荷をかけてもしんどくない状態、それが当たり前の状態になれば、過去から改善できた状態ができたことになります。これを長期的に続けるのが、継続的改善のポイントです。

    継続的改善

    継続的改善は
    手を伸ばせば何とか届くところを日々頑張るように組織を導くこと。
    手を伸ばせば届くので、不可能ではないが、しんどい。
    ちょっとしんどいから成長する。
    それを継続することが大事です。
    でも、しんどいね。。。
    継続的改善は
    皆しんどい。
    だからやり切った者が勝つ!

    勝負、受験も似たようなものです。

    継続的改善を促す品質管理技術者は
    組織メンバーのお手本となるよう、
    自ら率先してしんどい道に進むべき。
    ・・・
    でも、それができる品質管理技術者は少ない。しんどいから。

    自分に甘いのはわかります。辛かったらQCプラネッツに問い合わせしてください。一緒に頑張りましょう! 応援します!

    ③わかりやすい継続的改善の例

    継続的改善をわかりやすく解説しました。私生活にも継続的改善例があります。

    1. ダイエット1年で15kg減量
    2. 難しい資格試験合格
    3. 組織改革(品質改善、コスト削減成功)
    4. などなど(皆さんもご自身の事例を挙げましょう)

    どれも、すぐに目標達成したものばかりですが、時間をかけた方が、元の状態に戻ることはありませんよね。

    ダイエットの例で解説しましょう。私も1年で15kgを落とした経験があり、それから10年経過しますが、いまだにもとの肥満状態に戻らず体重を維持しています。

    継続的改善 ~ダイエットの例)

    よく広告で見かけませんか?

    3か月で10kg減量

    結構キツイし、そのストレスでリバウンドする人も多いです。

    ダイエットは大変です。それは、1kg落とすのに9,000kcal(脂肪1g 9kcalで計算)と落とす必要があるからです。

    1ヶ月で1kg落とすだけでも大変!でも「たった1kgかあ」と落胆しますよね。

    でも、-1kg=-9,000kgで 1ヶ月で達成するには1日-300kcalが必須です。これは、1食のうち半分減らし、運動習慣をつけないと継続できません。

    「無理」とするか、「ちょっとおかず減らして、ちょっと運動すればいいんでしょう!」となるかが、
    継続的改善の第一歩ですね。

    ポイントは,

    1. ちょっとしんどいけど、できそうな目標から始める
    2. しんどいけど、1ヶ月は続ける
    3. 徐々に、ダイエットの習慣を身に着ける
    4. 継続できる自分をほめる!
    5. しんどくないなら、もう少しダイエット対策を増やす
    6. すぐに結果を求めず、半年、1年くらい続ける

    私は、これで1年で15kg落ちていきました。食事、運動、生活習慣を少しずつ変えていけば、時間はかかりますが、目標達成できます。

    ④業務の継続的改善方法

    ここまで読めば、部門、組織、業務での継続的改善は何をしたらよいかが見えてくるはずです。

    私が、よく組織に依頼・サポートしている内容をまとめます。

    1. 目指したい高い目標は何か?
    2. 現状と目標の差(ギャップ)を明確化する
    3. ギャップを埋める期間を数年の視野で見るよう指示する
    4. 今できる改善策を立ててもらう
    5. すぐには結果が出ないことを伝えつつ、良くなった効果を評価する
    6. 改善策が部門に浸透してきたら、次の改善策を指示する
    7. ライン部門と一緒に走る姿勢を品質管理部門が見せる
    8. サポートする自分も継続的改善する
    9. 継続的改善を頑張る相手をしっかりサポートする
    10. なあなあにして途中棄権がないよう、配慮する
    11. すぐには結果は出ない。結果が出ても褒めてもらえないことを知っておく
    12. 自分を信じ、皆を信じる
    13. とにかく、ちょっとずつでいいから続けるようエンパワーメントする

    ポイントは、

    継続的改善は
    ①ちょっとずつでいいから
    ②手を伸ばせば届く改善を
    ③継続すること

    これが継続的改善につながるのです。

    仕事でもプライベートでも使える
    継続的改善
    テクニックを是非手に入れてください。
    何でもできるようになりますね!

    まとめ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

  • 5分でわかる品質用語

    5分でわかる品質用語

    「品質管理の用語がわかりにくい」、「QCD,関係性管理,継続的改善,ISO9001,プロセスアプローチなどの難解な品質用語がわからない」など、苦労していませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者向け】難解な品質管理用語が簡単にマスターできる【5分で理解できます】

    品質管理は概念が難しいわりに、何となくできるものですよね。なぜかわかりますか?

    それはすでに学生時代で習得しているからなのです。

    本記事を読めば、学生時代の思い出に浸りながら品質管理のベースが理解できます。

    • ➀品質,QCD,QCストーリ,PDAC(成績編)
    • ②理念,方針管理,全員の積極的参加(部活編)
    • ③品質管理の企業活動

    さっそく見ていきましょう。

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    ➀品質,QCD,QCストーリ,PDAC(成績編)

    品質、QCD、PDCA、QCストーリ、重点指向がわかる!

    品質とは何か?超わかりやすく説明したい!

    最初の問いです。

    品質とは何か説明できますか?

    では、品質(ひんしつ、クオリティ = quality)は、工場で生産された製品や、サービス業が提供するサービスの有する特性、もしくは属性をいう。と書いてます。

    こんな説明じゃ、わからない!

    品質管理の最初の「品質」の意味がわからないと、品質管理すべてが嫌いになってしまう!

    品質管理が難しく、距離を置かれる理由が、難しい説明なのです。
    ならば、簡単に説明できればよいのです!

    学校の悪い成績で怒られた思い出に品質管理用語が隠れている!

    学校の成績が悪かったら、親は怒りましたよね! なぜ怒るんでしょうか?

    それは、あなたの親があなたに「これくらい点数が取れる」と勝手に期待値を作るからです。
    期待値以上なら褒めて、以下なら怒るわけですね。

    ここに「品質」のエッセンスがあります。

    「品質」とは、「相手が満足する基準」

    自分ではなく相手の期待値を超えることが品質では重要なのです。

    次にQCDを考えましょう。学校の成績が悪かったら、向上するよう怒られましたよね。あなたは、向上するために
    「塾行かせて」、「参考書買って」、「来年まで待って」と
    親に相談すると、親は
    「良い成績を」、「お金使わずに」、「すぐ持って来い」と
    言って、かえって怒らてしまうオチが待っていますよね。

    このやりとりにQCDのエッセンスがあります

    QCDでは、高いQ(品質)を安いC(コスト)ですぐD(納期)達成することが求められる

    QCDを達成するには、ちょっとしんどい。絶対できない目標ではなく頑張れば届くからしんどい。
    でもライバルもみんな同じようにしんどいから、目標達成したら自分の強みになるわけですね

    次は成績向上作戦を考えましょう。ここに、QCストーリ、PDCA、重点指向のエッセンスがあります。
    やみくもに勉強しても成績は向上しません。作戦が必要ですよね。
    現状の把握、目標の設定、目標とのギャップを把握して、勉強対策を計画・実行して効果の確認ですね。
    そして、重要なところから取り掛かりますよね

    QCストーリは、現状の把握、目標の設定、目標達成に必要な行動を取ること。
    PDCAは行動の計画→実行→評価→次なる行動とサイクルを回すこと。
    重点指向は、重要な項目から優先的に行動をとること。

    学校の成績向上作戦は、「品質管理」そのものなのです。
    日々、真面目に働くあなたは学生時代に成績向上経験があるから、品質管理を知らなくても品質向上できるのです

    ②理念,方針管理,全員の積極的参加(部活編)

    個人プレーで得られない品質管理もある

    学校の勉強からある程度の品質管理が学べますが個人戦なので、チーム戦で得られる品質管理も必要になります。
    会社で普通に仕事ができるのは、学校の部活経験があるからです。部活を思い出しならが品質管理を見ましょう。

    弱いチームと強いチームの違い

    強い選手がいる/いない差ではなく、チーム運営の違いを見ましょう。表にまとめます。

    弱いチーム 強いチーム
    1 仲良しが集まる 同じ目標を目指す人が集まる
    2 目標は無い、あいまい 目標設定のメンバーへ周知
    3 毎日何となく練習している 毎日の練習内容・目的を理解
    4 だらだら雑談が多く、動きが遅い 必要な意思疎通と機敏な動き
    5 自己中心的で他責 自責をもってチーム貢献
    6 内省はしない 常に振り返り、成長を促す

    強いチームにするにはどうすればよいでしょうか?

    強いチーム・組織作りが大変なのですが、ここにもたくさんの品質管理の概念が詰まっています。上の表の強いチームの特徴とそれを実現するために必要な要素をまとめます。この要素こそが品質管理の概念です。

    特徴 対策
    1 同じ目標を目指す人が集まる 理念を掲示
    2 目標設定のメンバーへ周知 方針管理を掲示
    3 毎日の練習内容・目的を理解 日常管理の遂行
    4 必要な意思疎通と機敏な動き コミュニケーション
    5 自責をもってチーム貢献 リーダーシップ
    全員の積極的参加
    6 常に振り返り、成長を促す 継続的改善

    品質管理用語がたくさん表にあがりましたが、わかりやすいイメージが部活動にたくさんあることがわかりますね。
    部活の経験が社会人になって活きてくる理由がよくわかります。

    「1.理念」は「部員の意識向上、意思統一」や部員募集時に「こういう人に来てほしい、来て欲しくない」を明示して、部員のばらつきを抑える効果があります。

    「2.方針管理」は目標を明確に決めて、そこに向かう活動、工程をチームで決めることです。キャプテンや顧問が中心となって部員に展開します。

    「3.日常管理」は部員の日々の生活や練習を管理することです。

    「4.コミュニケーション」は会話だけではなく、部員間の意思疎通を図るもので、問題や懸案事項があればともに解決します。

    「5.リーダシップ、全員の積極的参加」は4のコミュニケーションが成り立って初めて部員自ら行動できる状態になります。やらされ感で行動するのではありません。

    「6.継続的改善」は少しずつ改善してレベルが上がっていくことです。

    すべて回れば相当強いチームになりますが、理想的な話でもあります。現実はいろいろな価値観をもつ部員間の衝突があったり、甘えによってうまくいかないものです。
    小さな成功を少しずつ勝ち取ることでチームの意識を向上できるようになれます。

    ③品質管理の企業活動

    品質管理の企業活動は 学校の成績編(個人戦)と部活編(チーム戦)の組み合わせでほぼ対応できます。詳しくはここで説明します。

    まとめ

    • ➀品質,QCD,QCストーリ,PDAC(成績編)
    • ②理念,方針管理,全員の積極的参加(部活編)
    • ③品質管理の企業活動

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