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分散分析表の値を綺麗にするデータのつくり方

実験計画法

「分散分析すると平方和などが割り切れず計算がしづらい」、「分散分析するときに平方和が整数になるデータのつくり方はあるの?」、「エクセルで分散分析表を作ったけど、正しいかどうかチェックしたいけど、割り切れない値だとチェックしにくい」など、困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

分散分析表の値を綺麗にするデータのつくり方

分散分析表の値を綺麗にするデータのつくり方

  • ➀データのつくり方を伝授します
  • ②一元配置実験のデータのつくり方
  • ③二元配置実験のデータのつくり方

記事の信頼性

記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。

➀データのつくり方を伝授します

簡単に作れる方法です

データのつくり方のポイント

  1. データの構造式の通りに数字を入れる
  2. ただし、各効果において、和が0になるように注意する
  3. 各効果の平方和の総和が全体の平方和になることを確認する

②一元配置実験のデータのつくり方

(i) データの構造式の通りに数字を入れる

データの構造式は、
xij=μ+ αiij
ですから、μとαとεを整数値として代入すればOKです。

(ii) 各効果において、和が0になるように注意する

それぞれの効果においては、和が0になる性質があります。
α: \(\sum_{i=1}^{a} α_i\)=0
ε: \(\sum_{i=1}^{a} ε_ij\)=0

いま、因子A水準3、繰返し数4の一元配置を用意します。
上の式をみると
【縦方向】α123=0
【横方向】ε11121314=0
【横方向】ε21222324=0
【横方向】ε31323334=0
という制約条件が入ります。

実際にデータを作ってみましょう。

data
A1 9 2 8 5
A2 13 6 15 10
A3 14 15 9 14
=
μ
A1 10 10 10 10
A2 10 10 10 10
A3 10 10 10 10
+
αi
A1 -4 -4 -4 -4
A2 1 1 1 1
A3 3 3 3 3
0
+
εij
A1 3 -4 2 -1 0
A2 2 -5 4 -1 0
A3 1 2 -4 1 0

確かに、黄色枠部を見ると、
【縦方向】α123=0
【横方向】ε11121314=0
【横方向】ε21222324=0
【横方向】ε31323334=0
となっていますね。

(iii)各効果の平方和の総和が全体の平方和になることを確認する

平方和の分解についての話になるので、関連記事で確認してください。

一元配置実験において、それぞれのデータを2乗した和がxijのそれぞれの2乗和に一致するかどうかを確認しましょう。一致しなければ、主効果と残差の各値のどれかが間違っています。

data
A1 81 4 64 25
A2 169 36 225 100
A3 196 225 81 196 1402
=
μ
A1 100 100 100 100
A2 100 100 100 100
A3 100 100 100 100 1200
+
αi
A1 16 16 16 16
A2 1 1 1 1
A3 9 9 9 9 104
+
εij
A1 9 16 4 1
A2 4 25 16 1
A3 1 4 16 1 98

平方和は、
1402-1200=104+98
より総和が一致します。

平方和が一致します。よって、分散分析をまとめます。

S φ V F
A 104 2 52 4.78
e 98 9 10.89
T 202 11

分散分析の平方和はすべて整数で綺麗にまとめられました。分散分析は試験問題を作る時、平方和の計算をなるべく減らすように整数になるように注意しますが、データ値の決め方が難しいので、本記事にまとめました。

以下、多元配置実験に応用していきますが、基本的な考え方は同じです。違うのは効果の和が0になる条件が増える点です。

③二元配置実験のデータのつくり方

(i) データの構造式の通りに数字を入れる

データの構造式は、
xijk=μ+ αij+(αβ) ijijk
ですから、μ,α, β,( αβ),εを整数値として代入すればOKです。

(ii) 各効果において、和が0になるように注意する

それぞれの効果においては、和が0になる性質があります。二元配置実験になるとやや複雑になります。
【縦方向】α: \(\sum_{i=1}^{a} α_i\)=0
【横方向】β: \(\sum_{j=1}^{b} β_j\)=0
(αβ): \(\sum_{i=1}^{a} (αβ)_{ij}\)=0, \(\sum_{j=1}^{b} (αβ)_{ij}\)=0
(【縦方向】と【横方向】がある)
ε: \(\sum_{k=1}^{c} ε_ijk\)=0

いま、因子A水準3、因子B水準4、繰返し数2の二元配置を用意します。
上の式をみると
【縦方向】
α123=0
【横方向】
β1234=0
(αβ) ij
【横方向】
(αβ) 11+(αβ) 12+…+(αβ) 14=0
(αβ) 21+(αβ) 22+…+(αβ) 24=0
(αβ) 31+(αβ) 32+…+(αβ) 34=0
【縦方向】
(αβ) 11+(αβ) 21+(αβ) 31=0

(αβ) 14+(αβ) 24+(αβ) 34=0
εijk
ε111112=0

ε341342=0
という制約条件が入ります。実際にやってみるとわかりますが、αβはデータが入れにくいです。

実際にデータを作ってみましょう。

xijk B1 B2 B3 B4
A1 14 12 15 23
8 20 11 25
A2 12 18 23 19
16 12 21 23
A3 25 27 22 30
27 25 28 24
=
μ B1 B2 B3 B4
A1 20 20 20 20
20 20 20 20
A2 20 20 20 20
20 20 20 20
A3 20 20 20 20
20 20 20 20
+
αi B1 B2 B3 B4
A1 -4 -4 -4 -4
-4 -4 -4 -4
A2 -2 -2 -2 -2
-2 -2 -2 -2
A3 6 6 6 6
6 6 6 6
0 0 0 0
+
βj B1 B2 B3 B4
A1 -3 -1 0 4 0
-3 -1 0 4
A2 -3 -1 0 4 0
-3 -1 0 4
A3 -3 -1 0 4 0
-3 -1 0 4
+
αiβj B1 B2 B3 B4
A1 -2 1 -3 4 0
-2 1 -3 4
A2 -1 -2 4 -1 0
-1 -2 4 -1
A3 3 1 -1 -3 0
3 1 -1 -3
0 0 0 0
+
εijk B1 B2 B3 B4
A1 3 -4 2 -1
-3 4 -2 1
A2 -2 3 1 -2
2 -3 -1 2
A3 -1 1 -3 3
1 -1 3 -3

確かに、黄色枠部を見ると、
【縦方向】α: \(\sum_{i=1}^{a} α_i\)=0
【横方向】β: \(\sum_{j=1}^{b} β_j\)=0
(αβ): \(\sum_{i=1}^{a} (αβ)_{ij}\)=0, \(\sum_{j=1}^{b} (αβ)_{ij}\)=0
(【縦方向】と【横方向】あり)
ε: \(\sum_{k=1}^{c} ε_ijk\)=0
となっていますね。

(iii)各効果の平方和の総和が全体の平方和になることを確認する

平方和の分解についての話になるので、関連記事で確認してください。

二元配置実験において、それぞれのデータを2乗した和がxijのそれぞれの2乗和に一致するかどうかを確認しましょう。一致しなければ、主効果と残差の各値のどれかが間違っています。

xijk B1 B2 B3 B4
A1 196 144 225 529
64 400 121 625
A2 144 324 529 361
256 144 441 529
A3 625 729 484 900
729 625 784 576 10484
=
μ B1 B2 B3 B4
A1 400 400 400 400
400 400 400 400
A2 400 400 400 400
400 400 400 400
A3 400 400 400 400
400 400 400 400 9600
+
αi B1 B2 B3 B4
A1 16 16 16 16
16 16 16 16
A2 4 4 4 4
4 4 4 4
A3 36 36 36 36
36 36 36 36 448
+
βj B1 B2 B3 B4
A1 9 1 0 16
9 1 0 16
A2 9 1 0 16
9 1 0 16
A3 9 1 0 16
9 1 0 16 156
+
αβij B1 B2 B3 B4
A1 4 1 9 16
4 1 9 16
A2 1 4 16 1
1 4 16 1
A3 9 1 1 9
9 1 1 9 144
+
εijk B1 B2 B3 B4
A1 9 16 4 1
9 16 4 1
A2 4 9 1 4
4 9 1 4
A3 1 1 9 9
1 1 9 9 136

平方和は、
10484-9600=448+156+144+136
より総和が一致します。

平方和が一致します。よって、分散分析をまとめます。

S φ V F
A 448 3 149.33 4.39
B 156 4 39 1.15
A×B 144 12 12
e 136 4 34
T 884 23

分散分析の平方和はすべて整数で綺麗にまとめられました。分散分析は試験問題を作る時、平方和の計算をなるべく減らすように整数になるように注意しますが、データ値の決め方が難しいので、本記事にまとめました。

簡単そうに書いてある、分散分析の結果も、一手間かけていることがわかるとうれしいです。なお、QCプラネッツでは平方和は整数にして見やすい分散分析表を作っています。毎回データを設計してアップしています。

まとめ

分散分析表の値を綺麗にするデータのつくり方を解説しました。

  • ➀データのつくり方を伝授します
  • ②一元配置実験のデータのつくり方
  • ③二元配置実験のデータのつくり方


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