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一様分布のメジアンランク法がよくわかる

信頼性工学

「メジアンランク法が解析したいけど、計算ができない」、と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

一様分布のメジアンランク法がよくわかる
  • ①確率Fは順序統計量から求める
  • ➁メジアンランク法を実際に解いてみる
  • ➂一様分布でメジアンランク法を実際に解いてみる
  • ➃プログラムを使って一様分布のメジアンランクを計算
確率紙を学ぶには、順序統計量を理解しておく必要があります。

①確率Fは順序統計量から求める

何で、小さい順にデータを並べるの?

正規確率紙やワイブル確率紙を使う場合、データを大きさ順に並び替えますよね!

何で、データを大きさ順に並び替える必要があるか説明できますか?

順序統計量の性質を活用するため

答えは

データを大きさ順に並び替える理由は、順序統計量の性質を活用するため

ところが、

教科書などは、確率分布がメインで、
「確率紙はデータを大きさ順に並び替えます(順序統計量という)」
くらいの一言で、
「\(F=\frac{i-0.3}{n+0.4}\)を使う」
といきなり式が出て来ますよね!
何じゃこりゃ!
順序統計量って何?
でも試験には出題されないから、無視してワイブル確率紙を勉強しよう!となりがち

ちゃんと勉強すると、順序統計量の壁にぶちあたります。

順序統計量を復習しながら確率紙を理解しましょう。

順序統計量の復習

順序統計量を使って、確率を算出する式を使います。この解説は関連記事にありますので、ご確認ください。

順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

式を理解する重要なポイント

データ\(t_1\),\(t_2\),…\(t_i\),…\(t_n\)は大きさ順に並んでいるとします。
(ここで、何で? とツッコんでください! 順序統計量だな!と読みましょう!)

\(t_1\) < \(t_2\) < \(t_i\) < … < \(t_n\)
の各母集団が下図のように分布しているとして、

メジアンランク法

\(F_i\)が\(F\)~\(F+dF\)の間を取る確率を\(g(F)dF\)とすると、

\(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)

式が難解なので、イメージを解説すると、

順序統計量

の左、真ん中、右の確率を掛け算した式となります。詳細は関連記事に書いています。

順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

\(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
の式が、メジアンランク法やミーンランク法の出発点です!
順序統計量はムズイからパスしたい!
試験やテストなら無視でもいいけど、
実務で活用するなら順序統計量の学びは必須です。
QC(品質管理)の数理は結構、順序統計量が出て来ます。

➁メジアンランク法を実際に解いてみる

メジアンランク法とは

関連記事にまとめていますので、ご確認ください。

メジアンランク法がよくわかる
メジアンランク法は説明できますか? 本記事では順序統計量をベースにメジアンランク法をわかりやすく解説し、実際に解析しながら、公式の理解が深める事ができます。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

メジアンランク法のポイント

  1. 順序統計量がベースであること
  2. 確率P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
  3. 上の式は解析的に解けないので、
    \(F=\frac{i-0.3}{n+0.4}\)を使う

でも、

公式の鵜呑み、暗記はNG!
自分で導出できない公式は使うな!

ひょっとしたら、公式が間違っているかもしれませんよね!

一様分布を使って解析するぞ!

という気合で、一様分布に限定ですが、
P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
を解いてみます。

➂一様分布でメジアンランク法を実際に解いてみる

順序統計量の期待値の計算を応用する

実は、よくみると、
P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
は順序統計量の期待値の式と同じです。

順序統計量は一様分布と指数分布の期待値は手計算でできますが、他の分布関数はキツかったです。

順序統計量の期待値の計算は関連記事にあります。QCプラネッツここまで攻めます!

●一様分布

順序統計量の考え方がよくわかる
順序統計量を説明できますか? 本記事では難解な順序統計量をわかりやすく解説します。整式を使い、期待値が順序に従い増加することを視覚的に理解できます。順序統計量を理解したい方は必見です。

●指数分布

順序統計量(指数関数)がよくわかる
順序統計量が説明できますか? 本記事は指数分布の場合における順序統計量の期待値と分散を丁寧に導出します。順序統計量や統計学を学ぶ人は必読です。

一様分布でメジアンランク法を実際に解いてみる

では、一様分布の式をFに代入しましょう。

不完全ベータ関数の壁にぶちあたる!

不完全ベータ関数の積分は手計算が激ムズ

関連記事にあるように、プログラムを使う方がベターです。

不完全ベータ関数が計算できる
不完全ベータ関数を解説します。積分区間[0,z]では積分を手計算するのは大変なので、簡単に計算できるプログラムを紹介します。ベータ関数の違いと不完全ベータ関数の計算をわかりやすく解説! 信頼性工学のメジアンランク法にも活かせる大事な記事です!

➃プログラムを使って一様分布のメジアンランクを計算

二項定理を使って、プログラムの式を作る!

上の不完全ベータ関数の関連記事に詳細解説していますので、ここではエッセンスだけ解説します。

手を動かして導出過程を確認すると理解度は一気に上がります。

P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)

二項定理から
\((1-F)^{n-i}\)=\(\sum_{r=0}^{n-i} {}_{n-i}C_r 1^r (-x)^{n-i-r}\)

これを積分式に代入します。ちょっと難しいけど、頑張りましょう。

P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}\sum_{r=0}^{n-i} {}_{n-i}C_r 1^r (-x)^{n-i-r}dF\)

計算すると、(ここは自力で確認してみてください。)

P=\(\sum_{r=0}^{n-i} n× {}_{n-1} C_{i-1} × {}_{n-i} C_{r} (-1)^{n-i-r} \frac{1}{n-r}{\tilde{F}}^{n-r} \)

プログラムの紹介


P=\(\sum_{r=0}^{n-i} n× {}_{n-1} C_{i-1} × {}_{n-i} C_{r} (-1)^{n-i-r} \frac{1}{n-r}{\tilde{F}}^{n-r} \)
をプログラム化します。
関連記事と同様にExcel VBAで書きます。

1. Sub gam()
2. gok = 0
3.
4. For i1 = 1 To 10 ‘n
5. Cells(i1 + 3, 2) = i1
6. For j1 = 1 To i1 ‘i
7. Cells(3, j1 + 2) = j1
8. gok = 0 ‘初期化
9. For k1 = 0 To i1 – j1 ‘r
10. gok = gok + i1 * WorksheetFunction.Combin(i1 – 1, j1 – 1)
* WorksheetFunction.Combin(i1 – j1, k1)
* ((-1) ^ (i1 – j1 – k1))
/ (i1 – k1) * (Cells(1, 2) ^ (i1 – k1))
11. Next k1
12. Cells(i1 + 3, j1 + 2) = gok
13. Next j1
14. Next i1
15. End Sub

解析結果

計算結果は下図のようになります。なお、不完全ベータ関数において、\({\tilde{F}}\)=0.5としています。

n/i 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1 1/2
2 3/4 1/4
3 7/8 4/8 1/8
4 15/16 11/16 5/16 1/16
5 31/32 26/32 16/32 6/32 1/32
6 63/64 57/64 42/64 22/64 7/64 1/64
7 127/128 120/128 99/128 64/128 29/128 8/128 1/128
8 255/256 247/256 219/256 163/256 93/256 37/256 9/256 1/256
9 511/512 502/512 466/512 382/512 256/512 130/512 46/512 10/512 1/512
10 1023/1024 1013/1024 968/1024 848/1024 638/1024 386/1024 176/1024 56/1024 11/1024 1/1024

よく見ると、

●\(i=1\)のとき、F=\(1-(\frac{1}{2})^n\)
●\(i=n\)のとき、F=\( (\frac{1}{2})^n\)
黄色、緑色枠からわかります。

でも、

メジアンランク法では、
●i=1のとき、\(\tilde{F}^{n}\)=1-\((\frac{1}{2})^{1/n}\)
●i=nのとき、\(\tilde{F}\)=\((\frac{1}{2})^{1/n}\)
と比較すると、乗数がビミョウに合っていませんね。
自分で計算すると、一致する・しないの知見が得られますし、
自力で計算すると、メジアンランク法の理解が一気に高まります。

一様分布の場合は、自力で計算できますが、他の分布の場合は複雑なので、教科書などが提示している式を活用してもよいです。でも、完全に正しいと鵜呑みしないよう注意してください。

まとめ

「一様分布のメジアンランク法がよくわかる」を解説しました。

  • ①確率Fは順序統計量から求める
  • ➁メジアンランク法を実際に解いてみる
  • ➂プログラムを使って一様分布のメジアンランクを計算


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