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【必読】ワイブル分布の寿命計算なのにχ2乗分布を使う理由がよくわかる

信頼性工学

「ワイブル分布なのに、寿命計算の信頼区間はなんでχ2乗分布で計算するの?」、「しかもχ2乗分布で自由度がnでなく2nと変な値になるのはなんで?」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【必読】ワイブル分布の寿命計算なのにχ2乗分布を使う理由がよくわかる
  • ①MTBFの信頼区間はχ2乗分布から求める
  • ➁ワイブル分布、指数分布、ガンマ分布とχ2乗分布の関係
  • ➂ワイブル分布モデルなのに、信頼区間はχ2乗を使う理由
ワイブル分布の寿命計算で必須なので解説!

①MTBFの信頼区間はχ2乗分布から求める

MTBFの信頼区間の例題

【例題】
寿命分布が下式のワイブル分布に従う場合、
\(f(t)=\frac{α}{β} (\frac{t}{β})^{α-1} exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
(1)\(t^α\)は指数分布に従い、
(2)\(Z\)=\(t_1^α+ t_2^α+…+t_n^α\)
はガンマ分布に従うので、
(3)\(2Z\)は自由度2nのχ2乗分布に従う。
なんじゃこりゃ!

となるので、1つずつ解説します。

ワイブル分布の寿命計算で必須!

いっぱい分布関数が出てきたので整理しましょう。

  1. ワイブル分布⇒指数分布に直せる?
  2. 指数分布は和にするとガンマ分布にできる?
  3. ガンマ分布とχ2乗分布は同じになる場合がある?

ワイブル分布の確率密度関数が
\(f(t)=\frac{α}{β} (\frac{t}{β})^{α-1} exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
と複雑なので、解くのがしんどそうに見えますが、大丈夫!

実は、指数分布からχ2乗分布の流れは簡単

関連記事に解説しています。これは指数分布の寿命計算でχ2乗分布を使える理由を解説しています。まずご覧ください。

【必読】寿命計算の信頼区間にχ2乗分布を使う理由がよくわかる
指数分布に従う製品の寿命の信頼区間を計算するのに、何で自由度倍のχ2乗分布を使うか理由がわかりますか?本記事では理由を丁寧に解説します。単なる公式暗記ではなく、理由を理解することが大事です

つまり、図で説明すると、こうなります。

ワイブル分布

4つの分布の確率密度関数は全く形が違いますが、上図の青枠のように変形すると、関連記事のように

指数分布⇒ガンマ分布⇒χ2乗分布
までは変換できる!

あとは、

赤枠部の
ワイブル分布⇒指数分布
ができればOK!

やってみましょう。

➁ワイブル分布、指数分布、ガンマ分布とχ2乗分布の関係

【重要】ワイブル分布から指数分布への変換

本記事のメインディッシュです!

変数変換で使う関係式

ある変数を別の変数に変換しますが、同じ確率密度関数同士の変換なので、それぞれの積分値は同じ条件の確率となるため、積分は一致するという関係式を使います。

つまり
●変換前の関数と変換前の変数: \(f(t)\)と\(t\)
●変換後の関数と変換後の変数: \(g(u)\)と\(u\)
は積分
\( \displaystyle \int_{}^{} f(t)dt\)=\( \displaystyle \int_{}^{} g(u)du\)
なので、両辺を微分すると
\(f(t)dt\)=\(g(u)du\)となり、この関係式を使います。

ワイブル分布を指数分布へ変換!

ワイブル分布の確率密度関数を用意します。
\(f(t)=\frac{α}{β} (\frac{t}{β})^{α-1} exp(-(\frac{t}{β})^α)\)

ここで、\(t^α=u\)とおきます。つまり
●\(t=u^{1/α}\)
●\(\displaystyle \frac{dt}{du} \)=\(\frac{1}{α} u^{\frac{1}{α}-1}\)
となりますね。これも使います。

\(f(t)=\frac{α}{β} (\frac{t}{β})^{α-1} exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
=\(\frac{α}{β} (\frac{u^{1/α}}{β})^{α-1} exp(-(\frac{u^{1/α}}{β})^α)\)
=\(\frac{α}{β} (\frac{u^{1/α}}{β})^{α-1} exp(-(\frac{u}{β^α})\)

\(f(t)dt\)=\(g(u)du\)から
\(g(u)\)= \(f(t) \displaystyle \frac{dt}{du} \)
=\(\frac{α}{β} (\frac{u^{1/α}}{β})^{α-1} exp(-(\frac{u}{β^α}) \frac{1}{α} u^{\frac{1}{α}-1}\)
=\(\frac{1}{β^α} exp(-\frac{u}{β^α})\)
となり、\(g(u)\)は指数関数になりましたね。

ここでよく指数関数の定数λは
λ=\(\frac{1}{β^α}\)
ともいえます。

まとめると、u=\(t^α\)とする変数\(u\)は定数λ=\(\frac{1}{β^α}\)の指数分布関数に従う。

\(t^α\)は指数分布関数に従う
上の問い「(1)\(t^α\)は指数分布に従う」 が解けましたね!
ワイブル分布で\(t\)を\(t^α\)に変えると指数分布関数に従うことがわかりました。

指数分布⇒ガンマ分布への変換

関連記事を見ながら解説していきます。

ガンマ分布がよくわかる
ガンマ分布が導出できますか?本記事では、直接、関数の式を見るのは危険なガンマ分布を指数分布からわかりやすく導出し、期待値・分散も途中過程を端折らず解説します。信頼性工学で必須なガンマ分布なので、必読な記事です。

指数分布関数の変数\(t_i\)について、
\(T\)=\(t_1 + t_2 + … + t_n\)はガンマ分布に従います。

これは畳み込み積分と数学的帰納法で証明できます!関連記事に書いています。

今回、指数分布に従う変数は、\(t_i^α\)なので、同様に書くと、上の問いのように

(2)\(Z\)=\(t_1^α+ t_2^α+…+t_n^α\)
はガンマ分布に従う

ガンマ分布⇒χ2乗分布への変換

関連記事にもあるように、ガンマ分布の従う変数\(t\)について

●\(t\)を\(2t\)に
●\(n\)を\(2n\)に
変えると、
ガンマ分布の確率密度関数と
χ2乗分布の確率密度関数が
同じ形になる!
でしたね。

同様に考えると、上の問いの

(3)\(Z\)は\(2Z\)は自由度2nのχ2乗分布に従う。

➂ワイブル分布モデルなのに、信頼区間はχ2乗を使う理由

まとめ

問を再掲してまとめると、

【例題】
寿命分布が下式のワイブル分布に従う場合、
\(f(t)=\frac{α}{β} (\frac{t}{β})^{α-1} exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
(1)\(t^α\)は指数分布に従い、
(2)\(Z\)=\(t_1^α+ t_2^α+…+t_n^α\)
はガンマ分布に従うので、
(3)\(2Z\)は自由度2nのχ2乗分布に従う。

が解けましたし、図でも理解できます。

ワイブル分布
ワイブル分布の寿命計算で使いますので、理解しておきましょう。

まとめ

「【必読】ワイブル分布の寿命計算なのにχ2乗分布を使う理由がよくわかる」を解説しました。

  • ①MTBFの信頼区間はχ2乗分布から求める
  • ➁ワイブル分布、指数分布、ガンマ分布とχ2乗分布の関係
  • ➂ワイブル分布モデルなのに、信頼区間はχ2乗を使う理由


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