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品質工学,静特性の変動とSN比の注意点がわかる

ロバストパラメータ設計

「品質工学の静特性がよくわからない」などと困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

品質工学,静特性の変動とSN比の注意点がわかる

おさえておきたいポイント

  • ①静特性を解く目的を理解する
  • ➁静特性の全変動を導出
  • ➂静特性の変動の注意点
  • ➃SN比の注意点
品質工学
ロバストパラメータ設計
タグチメソッド
手法に溺れるな!
数式と理論で理解しよう!

品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッド
結局わからない!
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①静特性を解く目的を理解する

品質工学を解く目的を理解する

ちゃんと理解できていますか?

  1. 品質工学で何を解いているか?
  2. 実験計画法と品質工学の違いは何か?
  3. タグチメソッドを使って何とかく解を求めているだけかどうか?

ちゃんと、理解しましょう。

品質工学を解く目的は関連記事で紹介したとおり、

品質工学は目標値に近づけることが目的で、
実験計画法・回帰分析は誤差の評価や最小化をすることが目的

と、目的が違い、
●品質工学は、目標値との差分を見る
●実験計画法・回帰分析は平均値との差分を見る
全変動

ですね。分散分析するから品質工学と実験計画法・回帰分析の区別がつきにくいし、区別つかないなら品質工学は不要ですよね。

詳細は、関連記事で解説していますので、ご確認ください。

【初心者必見】品質工学で全変動と平方和の違いがわかる
品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドで、全変動、平方和などの2乗和の計算を区別して計算できていますか?本記事では品質工学の入り口である全変動と平方和の違いをわかりやすく解説します。ここがわからないと品質工学で何を解いているかさっぱりわからなくなりますので、必読です!

品質工学の静特性とは

まず、「静特性」と「動特性」の2種類がありますが、その違いは、

●静特性:システムの入力が固定され、出力に対する目標が一定
●動特性:入力の値に応じて出力の値が変化する

実は、品質工学領域の独特な表現方法で書いているだけで、実際は、

●静特性:実験計画法の多元配置実験とほぼ同じで
平均値ではなく、目標値で差分をところが、多元配置実験と異なる。
●動特性:回帰分析そのもの(単回帰分析、重回帰分析)

です。わざわざ別の言い方で「静特性」なり、「動特性」と使わなくてもいいんでしょうけど、品質工学を1つの学問として立ち上げたかったんでしょうね。

だから、今回解説する「静特性」は、

●静特性:実験計画法の多元配置実験とほぼ同じで
平均値ではなく、目標値で差分をところが、多元配置実験と異なる。

の点に意識して解説するし、
データの構造式がそうなっているから
ですね。

➁静特性の全変動を導出

静特性を表すデータの構造式を作る

品質工学の目的は、何度も言いますが、

品質工学は目標値に近づけることが目的で、
品質工学は、目標値との差分を見る!

静特性を図で表現すると下図になり、この図をもとにデータの構造式を作ります。

全変動

データの構造式は、

\((y_i-m)\)=\((\bar{y}-m)\)+\((y_i-\bar{y})\)

(全変動)=(平均変動)+(誤差分散(実は平方和))
と書けますね。

➂静特性の変動の注意点

教科書に書いてあるデータの構造式

教科書に出て来る式は、なぜか、

\(y_i\)=\(\bar{y}\)+\((y_i-\bar{y})\)
であり、目標値の\(m\)がありません。

実は、

目標値の\(m\)を省くところが、
品質工学の目的がぼやけてしまい、理解しにくくなる点なのです。

定義どおり立式しても目標値の項は省ける

じゃー、

目標値\(m\)を省いたデータの構造式
\(y_i\)=\(\bar{y}\)+\((y_i-\bar{y})\)
の式自体が間違っているんじゃないの?

と思いますよね。

実は、

静特性の目的を網羅した式
\((y_i-m)\)=\((\bar{y}-m)\)+\((y_i-\bar{y})\)
の2乗和を計算すると、
\(y_i\)=\(\bar{y}\)+\((y_i-\bar{y})\)
でもいいことが分かります。

また、シンプルだから教科書では、
\(y_i\)=\(\bar{y}\)+\((y_i-\bar{y})\)
のデータの構造式から解説しています。

シンプルとはいえ、肝心な目標値\(m\)を省くから
静特性は何を計算しているかがわかりにくくなる!
実験計画法、回帰分析、品質工学を1つずつちゃんと理解するには、2乗和の分解を解くスキルがとても大事です!

2乗和を計算して目標値\(m\)の項が不要か確かめよう!

では、2乗和を計算して、目標値\(m\)が不要になるか確かめましょう。

データの構造式

確かに計算結果みると、目標値\(m\)が不要になっているのがわかります。

➃SN比の注意点

SN比の定義

SN比は、有効成分と有害成分の比として、
SN比が大きいほど良いとする変数です。

データの構造式からは、
(全変動)\(S\)=(平均変動)\(S_m\)+(誤差分散=平方和)\(S_e\)
ですから、

(SN比)=\(\frac{S_m}{S_e}\)
となります。
なお、\(log_{10}\)を教科書では取りますが、
QCプラネッツは対数化に対しては重要な意味は感じません。
なぜなら、比という考えが大事だからです。

SNのSはいくらか?

データの構造式をよく見ると、
●元(定義通り):\((y_i-m)\)=\((\bar{y}-m)\)+\((y_i-\bar{y})\)
●簡略化: \((y_i)\)=\((\bar{y}\)+\((y_i-\bar{y})\)
であり、平均変動\(S_m\)を
\(S_m\)=\(\sum_{i=1}^{n}(\bar{y}-m)^2\)

\(S_m\)=\(\sum_{i=1}^{n}(\bar{y})^2\)
のどちらを取るべきか、迷いますよね。

QCプラネッツの考えは、


●品質工学の目的は目標値に近づける事だから、本来は、
\((y_i-m)\)=\((\bar{y}-m)\)+\((y_i-\bar{y})\)
から、
\(S_m\)=\(\sum_{i=1}^{n}(\bar{y}-m)^2\)
とすべき

ただし、


\(S_m\)=\(\sum_{i=1}^{n}(\bar{y}-m)^2\)
とすると、\(S_m\)の値が高くなり、SN比が高くなり、
過大評価になるので、調整の上、
\(y_i\)=\(\bar{y}\)+\((y_i-\bar{y})\)
から、\(S_m\)=\(\sum_{i=1}^{n}(\bar{y})^2\)
を使うことが多いのではないか?

教科書どおり解くと、品質工学の目的を見失うことが多々あります。
よく考えることが大事です。

まとめ

「品質工学,静特性の変動とSN比の注意点がわかる」を解説しました。

  • ①静特性を解く目的を理解する
  • ➁静特性の全変動を導出
  • ➂静特性の変動の注意点
  • ➃SN比の注意点


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