月: 2021年12月

  • 【まとめ】抜取検査(1回抜取)の基礎がわかる

    【まとめ】抜取検査(1回抜取)の基礎がわかる

    「抜取検査がわからない」、「OC曲線、AQLとか難しそう」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】抜取検査(1回抜取)の基礎がわかる
    • ①検査の種類を理解する
    • ②抜取検査はOC曲線で考える
    • ③抜取検査とOC曲線で理解しておくべきこと
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    本物の「抜取検査」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    抜取検査の初歩ですが、とても重要です。なぜなら、この記事の内容が抜取検査のベースだからです。

    関連記事をご紹介します。

    抜取検査(1回抜取)の関連記事









    ①検査の種類を理解する

    抜取検査の前に、検査とは何で、どんな検査があるかを理解しましょう。抜取検査の特性や適用場面が理解できます。最初に確認してほしい関連記事です。

    全数検査と抜取検査と無検査の違いがわかる
    抜取検査を学ぶ前に、無検査、全数検査、抜取検査の違いを理解しましょう。それぞれの検査の用途が答えられ、また、検査の違いを不良率とコストの観点からまとめました。さらに臨界不良率の導出も説明します。抜取検査の序章を理解しましょう。

    ②抜取検査はOC曲線で考える

    抜取検査はOC曲線で考える。
    これが、抜取検査で最も重要です。抜取検査の関連記事のすべてにOC曲線が出てきます。

    OC曲線の描き方を解説した関連記事です。ロット合格率の立式、OC曲線で重要な値の読み方を理解しましょう。

    抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える
    抜取検査はすべて、OC曲線をベースに考えていきます。OC曲線を構成する二項分布の導出や式の意味、OC曲線の描き方や描くために必要な制約条件について解説します。教科書では表面的な理解しかできない本当のOC曲線の意味がわかるようになり、自分で抜取検査が設計・計画できるようになります。

    ぜひ、OC曲線の描くプログラムを活用ください。このプログラムがあれば、サンプル数nと合格判定数cを入れるだけでOC曲線が一瞬で描けます。OC曲線をいっぱい描かないと抜取検査の全容が理解できません。関連記事からプログラムを活用しましょう。二項分布も苦手なポアソン分布もあります。

    OC曲線(二項分布、ポアソン分布)を描こう
    抜取検査はすべて、OC曲線をベースに考えます。OC曲線をすぐ描けるようプログラムを用意しました。二項分布、ポアソン分布両方のOC曲線を実際に描いて感触を確かめましょう。

    OC曲線をマスターするには、二項分布、ポアソン分布、超幾何分布を理解する必要があります。3つの確率分布関数についてわかりやすく解説しています。ポアソン分布は、抜取検査とOC曲線に慣れると理解は早まります。

    OC曲線を作る超幾何分布、二項分布、ポアソン分布をマスターする
    抜取検査はすべて、OC曲線をベースに考えます。OC曲線を構成する3つの確率分布は超幾何分布、二項分布、ポアソン分布です。それぞれの分布の関係を理解し、不良率または不良個数からOC曲線が描けるようになりましょう。

    抜取検査の要である、OC曲線と描くプログラムが入手できたところまで来ました。

    ③抜取検査とOC曲線で理解しておくべきこと

    抜取検査でよく使う表や変数について、関連記事で解説します。

    抜取検査の最も基本である、計数規準型一回抜取検査の抜取表を解説します。単に抜取表の読み方だけ理解して終わるのではなく、抜取表の値を導出する過程を解説します。自分で計算できてはじめて、抜取表が習得できます。

    【重要】計数規準型一回抜取検査表(JISZ9002)はOC曲線から作れる
    計数規準型一回抜取検査表(JISZ9002)は自分で作れることを知っていますか?検査表の見方を覚えるのではなく、検査表を自分で作ることで抜取検査の理論を理解することが重要です。抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    その他、たくさんの抜取検査を解説しますが、すべて抜取表の中の値を実際に計算していきます。

    合格品質水準(AQL)は抜取検査の重要な変数です。JISや教科書も詳しくAQLの定義が解説しています。しかし、実際にどの値がAQLかがはっきり書いていません。関連記事でAQLの定義について、白黒はっきりさせました。

    【簡単】AQL(合格品質水準)がすぐわかる
    AQL(合格品質水準)はOC曲線上でどの値なのかが説明できますか?JISや教科書の説明ではよくわからないはずです。本記事では、AQLの定義をわかりやすく解説します。調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    主抜取表のAQLと不良率の間隔がある一定の倍数になっています。これは何か?「標準数」です。なじみのない標準数について解説します。

    【重要】抜取検査に欠かせない標準数がわかる
    規準型抜取検査や調整型抜取検査の抜取表の範囲や区分はどのように決めているかご存じですか?本記事は、抜取表の範囲や区分や、抜取表を自分で作る方法を解説します。抜取表の作り方が知りたい方は必見です。

    抜取検査に慣れると、目にするのが抜取検査設計補助表です。この表と値の精度が高いので驚きました。計算機が未発達な時代でも近似式を使って正確な値を求める昔の先輩方に脱帽です。JIS規格の値とExcelから計算した値を比較しました。

    JISの表は魔法の表ではなく、自分で計算して確かめる習慣をつけましょう。

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)はすごい!
    抜取検査にある抜取検査設計補助表の式やサンプル数の求め方を説明できますか?本記事では、サンプル数を導出する近似式とExcelを使ってOC曲線からサンプル数を導出する方法の2つを解説します。抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    検査の誤りによるOC曲線に与える影響を解説します。検査対象以外で検査ミスがある場合のOC曲線に与える影響を考えます。実務向きな関連記事です。

    【重要】検査の誤りがOC曲線へ与える影響がわかる
    抜取検査のOC曲線は通常、試料の不良率pだけ考えて作ります。しかし、検査のミスの影響も調べたい場合もOC曲線で評価したいはずです。本記事は、試料の不良率以外の不良を含んだ場合のOC曲線への影響について解説します。

    検査は品質の要。
    最も基本で重要な1回抜取方式の抜取検査を
    マスターしましょう

    まとめ

    抜取検査(1回抜取)の基礎について解説しました。

    • ①検査の種類を理解する
    • ②抜取検査はOC曲線で考える
    • ③抜取検査とOC曲線で理解しておくべきこと

    抜取検査(1回抜取)の関連記事









  • 【まとめ】調整型抜取検査がわかる

    【まとめ】調整型抜取検査がわかる

    「調整型抜取検査がわからない」、「調整型抜取検査の資料や本が少なく勉強できない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】調整型抜取検査がわかる
    • ①調整型抜取検査もOC曲線描けばすべてわかる
    • ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の基準がわかる
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表の作り方がわかる
    • ④調整型抜取検査は自分で考えて設計できる

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    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    調整型抜取検査は
    ①検査基準と検査水準を決めて
    ②抜取回数と合格判定数をJIS規格表から求めたらOK!
    ですが、
    調整型抜取検査の理論は説明できますか?
    JIS規格の使い方の勉強より、
    抜取検査の理論が説明できることが重要です。
    なぜなら、品質を決める検査は、必ず顧客から説明責任が求められます。

    なので、QCプラネッツでは、JISでも教科書にも書いていない、抜取検査の理論をしっかり解説します。

    調整型抜取検査についての関連記事を紹介します。併せて読んでください。個別に内容紹介をしていきます。

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    ①調整型抜取検査もOC曲線描けばすべてわかる

    OC曲線は抜取検査の根幹です。

    すべての抜取検査は、OC曲線で設計できます。

    ●計数抜取検査、
    ●計量抜取検査、
    ●選別型抜取検査、
    ●逐次抜取検査、
    ●調整型抜取検査
    すべて共通です。

    品質統計は難しいので、
    必ず1つの考えたや式で
    すべてのパターンが理解できるように、
    まとめることが重要です。

    ●実験計画法なら、データの構造式ですべてわかること
    ●抜取検査なら、OC曲線ですべてわかること
    が重要です。なぜなら、理解しやすいからです。

    OC曲線から調整型抜取検査を考える方法

    OC曲線から調整型抜取検査に必要な値が求められます。
    合格品質水準AQL,サンプル数n,合格判定個数Ac
    これに、検査のきびしさ、検査水準が加わるだけです。

    OC曲線は抜取検査の母です。

    OC曲線

    OC曲線から
    ●第1種の誤りとなる不良率p0=AQL(合格品質水準)
    ●第2種の誤りとなる不良率p1がわかります。
    ●また曲線を構成する、サンプル数n,合格判定個数Acもわかります。

    ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の基準がわかる

    OC曲線から必要なデータが読めたら、検査のきびしさを考えましょう。

    最初に、OC曲線から、なみ検査の主抜取表が作れることを関連記事で解説します。

    OC曲線(二項分布とポアソン分布)を使って、合格品質水準AQLが0~1000における、合格判定個数Acと合格品質水準AQLの関係を解説しました。主抜取表を作る過程は是非知っておいてください。魔法の表でもなく、あなたも作ることができます。

    調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表の作り方がわかる
    調整型抜取検査の抜取表のAc,Reの値の求め方やAQLが100以上のAc,Reの求め方について説明できますか?本記事では、OC曲線を描きながら調整型抜取検査の重要な値の導出方法を解説します。主抜取表を自分で作れるくらいマスターしたい方は必見です。

    自分で作ると、主抜取表が身近な存在になります。

    調整型抜取検査の主抜取表を見ると、サンプル数nとAQLの値の間隔がある一定の法則であることや、合格判定個数Ac,不合格判定個数Reが主抜取表の対角線上に同じ値となり、きれいにまとまっていることがわかります。これ、なぜそうなるのか?を次の関連記事で解説しています。

    調整型抜取検査のなみ検査の主抜取表がわかる
    調整型抜取検査の主抜取表にあるAQL,サンプルサイズの値や合格判定数Ac,不合格判定数Reの値の 決まり方は知っていますか?本記事では、主抜取表の値をOC曲線から導出し、自力で主抜取表が 作れることを解説します。調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    以上の2つの関連記事から、なみ検査の場合の主抜取表の作り方が理解できます。

    どこにも主抜取表の作り方が書いていないので、研究して調べたら自分でも作れることがわかりました。

    ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表の作り方がわかる

    なみ検査で、主抜取表が理解できたら、検査のきびしさの定義を理解しましょう。ゆるい検査、きつい検査もまとめてマスターできます。

    OC曲線を使って、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いの定義を明らかにし、3つの検査共通の合格品質水準AQLが何であるかもはっきりさせました。調整型抜取検査でわからないことはすべてOC曲線が解決してくれます。

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる
    調整型抜取検査のなみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いを説明できますか?本記事ではJISの抜取表に頼らずに、自分で考えて調整型抜取検査を設計できるように解説しました。調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    1回抜取検査だけでは物足りないので、2回抜取検査についても、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表をOC曲線から求めた結果を解説しています。手計算ではきびしく、Excelなどの解析ツールが必須です。

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる
    調整型抜取検査のなみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いを説明できますか?本記事ではJISの抜取表に頼らずに、自分で考えて二回抜取方式の調整型抜取検査を設計できるように解説しました。調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ここまで、来れば、JIS規格が定義する、なみ検査、ゆるい検査、きびしい検査がマスターできます。

    しかし、1つ問題があります。

    検査は品質の要。
    品質に問題があれば、顧客から説明責任が問われる。
    「JISどおり検査した」では顧客は納得しない。
    検査は品質の要。
    JIS規格を参考にしながら
    自分で考えて検査して、その結果を説明できることが重要。

    検査は、顧客への説明責任を負います。
    自分で考えて抜取検査を設計することが重要です。
    これについても、関連記事で詳しく解説します。

    実務に活かせることが重要。
    お勉強だけでは通用しません。

    ④調整型抜取検査は自分で考えて設計できる

    検査の選択する考え方をまとめました。基本はJIS,教科書ですが、あなたが担当する製品やシステム、顧客要求に合わせて抜取検査を実施することが重要です。関連記事で詳しく解説します。

    調整型抜取検査の本質がわかる
    調整型抜取検査では、AQL、検査水準、検査のきびしさなどを選びますが、 この抜取検査が何をやっているのかが、論理的に説明できますか? 本記事では、調整型抜取検査の理論が説明できる力がつくように解説しています。 調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    検査のきびしさの切替え方法は、JISにあります。しかし、このルールの根拠は数学的に解けませんし、
    あなたが担当する製品やシステム、顧客要求によって、切替え方法は変わります。よく吟味すべきであることを関連記事で詳しく解説します。

    検査のきびしさの切替え方法はJISに頼るな!(調整型抜取検査)
    調整型抜取検査の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」の切替え基準が説明できますか? 本記事では、JISZ9015にある検査を切り替える方法と実務での注意点について解説します。 調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

     

    検査水準(特別検査水準、通常検査水準)とロットサイズとサンプル数の関係もJISに規定されています。しかし、そのまま使うべきかどうかは、あなたが担当する製品やシステム、顧客要求を考慮するべきです。よく考えて、抜取検査を設計してほしいことを、関連記事で詳しく解説します。

    調整型抜取検査の検査水準がわかる
    調整型抜取検査の検査水準の使い方は知っているけど、水準の規準は何か説明できますか?本記事では、検査水準の中身を解説し、JIS規格の活用と、自分で抜取検査を設計するポイントを解説します。 調整型抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    検査は品質の要。
    その抜取検査の理論が非常にわかりにくい!
    わかりにくい理由は抜取検査規格の歴史にあります。

    QCプラネッツは自分で研究して、仮説を立てながら、抜取検査の理論をほぼ解明しました。その結果は、すべてOC曲線で抜取検査は設計できることです。

    調整型抜取検査の関連記事をぜひご覧ください。

    まとめ

    調整型抜取検査について解説しました。自分で設計できるレベルになっていますよ。

    • ①調整型抜取検査もOC曲線描けばすべてわかる
    • ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の基準がわかる
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表の作り方がわかる
    • ④調整型抜取検査は自分で考えて設計できる

    調整型抜取検査の関連記事







  • 抜取検査設計補助表(JISZ9002)はすごい!

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)はすごい!

    「抜取検査設計補助表の式や係数はどうやって求めているのかわからない」、「本当に正しい式なの?」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)に頼るな!(OC曲線で考える)

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)に頼るな!(OC曲線で考える)

    • ①抜取検査設計補助表の導出式の意味はわからない
    • ②自力でサンプル数n、合格判定数cは計算できる!
    • ③計算機がない時代でも精度良い値を作れるのはすごい!

    ●You tube動画でも確認ください。

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    本物の「抜取検査」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ①抜取検査設計補助表の導出式の意味はわからない

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)

    試験に頻出である抜取検査設計補助表を解説します。

    ロット合格率L(p)=1-α(第1種の誤りα)なpをp0
    ロット合格率L(p)=β(第2種の誤りβ)なpをp1
    として、
    比 p1/p0の値が大きすぎる場合、小さすぎる場合に抜取検査設計補助表を使いますね。

    OC曲線

    抜取検査設計補助表のモデル式

    サンプル数n,合格判定数c、係数\(a_0\),\(a_1\)を使って、
    \(n=\frac{a_0}{p_0}+\frac{a_1}{p_1}\)
    と計算でき、係数\(a_0\),\(a_1\)が表の通りとなっています。

    \(p_1/p_0\) c \(n=\frac{a_0}{p_0}+\frac{a_1}{p_1}\)
    17以上 0 2.56/\(p_0\)+115/\(p_1\)
    16~7.9 1 17.8/\(p_0\)+194/\(p_1\)
    7.8~5.6 2 40.9/\(p_0\)+266/\(p_1\)
    5.5~4.4 3 68.3/\(p_0\)+334/\(p_1\)
    4.3~3.6 4 98.5/\(p_0\)+400/\(p_1\)
    3.5~2.8 6 164/\(p_0\)+527/\(p_1\)
    2.7~2.3 10 308/\(p_0\)+770/\(p_1\)
    2.2~2.0 15 502/\(p_0\)+1065/\(p_1\)
    1.99~1.86 20 704/\(p_0\)+1350/\(p_1\)

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)のここがわからない

    古書や論文を調査しましたが、次の2点がわかりません。

    • サンプル数nのモデル式がわからない。なぜ、p1,p0の逆数の和なのかがわからない
    • 係数の求め方が分からない。どうやって値が決まったのかわからない

    もし、知っている方は教えてください。どの文献見ても、式と値の引用だけで、式の導出は書いていません。

    ②自力でサンプル数n、合格判定数cは計算できる!

    抜取検査設計補助表を使わないとしたら、どうするか?

    自分でOC曲線を描いて、(n,c)を求めたらOKです。

    OC曲線の描き方については、関連記事があります。Excel VBAでOC曲線が作れます。

    ③計算機がない時代でも精度良い値を作れるのはすごい!

    計算機がない時代でも精度良い値を作れるのはすごい

    今は、Excelで簡単に計算ができるからJIS規格表はそれほど必要ない。
    けど、計算機がほとんど無かった1950年代から精度が高い抜取検査設計補助表がある。

    計算機がないのに、精度が出せる!
    昔の先輩方はすごいと思いませんか?

    計算機がない時代は、近似式を駆使して、値を取りに行っていました。
    しかし、今は計算機(Excel)があるので、値自体の価値は下がり、むしろ、理論・理由・本質を理解する方が重要になります。
    計算機がない時代の方が、抜取検査の良書は多い。
    時代が進み、現在は値の求め方より、抜取検査の理論や考えが重要になっている。
    しかし、抜取検査の理論や考えを解説した良書が無いのが現状

    なので、QCプラネッツは研究して理論を解説しています。

    では、どれくらい精度がよいか調べてみましょう。

    抜取検査設計補助表とExcelの値の比較

    抜取検査設計補助表を再掲します。

    抜取検査設計補助表のモデル式

    サンプル数n,合格判定数c、係数\(a_0\),\(a_1\)を使って、
    \(n=\frac{a_0}{p_0}+\frac{a_1}{p_1}\)
    と計算でき、係数\(a_0\),\(a_1\)が表の通りとなっています。

    \(p_1/p_0\) c \(n=\frac{a_0}{p_0}+\frac{a_1}{p_1}\)
    17以上 0 2.56/\(p_0\)+115/\(p_1\)
    16~7.9 1 17.8/\(p_0\)+194/\(p_1\)
    7.8~5.6 2 40.9/\(p_0\)+266/\(p_1\)
    5.5~4.4 3 68.3/\(p_0\)+334/\(p_1\)
    4.3~3.6 4 98.5/\(p_0\)+400/\(p_1\)
    3.5~2.8 6 164/\(p_0\)+527/\(p_1\)
    2.7~2.3 10 308/\(p_0\)+770/\(p_1\)
    2.2~2.0 15 502/\(p_0\)+1065/\(p_1\)
    1.99~1.86 20 704/\(p_0\)+1350/\(p_1\)

    Excelで計算するOC曲線も再掲します。

    OC曲線

    では、個々のcの値に対して、Excelと抜取検査設計補助表のそれぞれから求めたサンプル数nを比較します。

    c=0の場合

    ●近似式 2.56/\(p_0\)+115/\(p_1\)

    n(Excel) 20 50 100 500 1000
    c 0 0 0 0 0
    p0 0.26 0.1 0.05 0.01 0.01
    p1 10.88 4.5 2.28 0.47 0.24
    p1/p0 42.42 43.87 42.97 34.28 27.3
    n'(近似式) 20.56 50.5 98.81 435.69 767.13

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。
    n=500,1000の場合はちょっとずれていますね。

    c=1の場合

    ●近似式 17.8/\(p_0\)+194/\(p_1\)

    n(Excel) 20 50 100 500 600
    c 1 1 1 1 1
    p0 1.81 0.71 0.35 0.06 0.04
    p1 18.1 7.56 3.83 0.78 0.65
    p1/p0 10.02 10.57 10.83 13.93 15.67
    n'(近似式) 20.57 50.57 100.84 567.34 725

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。
    n=500,600の場合はちょっとずれていますね。

    c=2の場合

    ●近似式 40.9/\(p_0\)+266/\(p_1\)

    n(Excel) 20 50 100 500 900
    c 2 2 2 2 2
    p0 4.22 1.65 0.82 0.15 0.08
    p1 24.48 10.3 5.24 1.06 0.59
    p1/p0 5.8 6.22 6.37 6.9 7.42
    n'(近似式) 20.57 50.56 100.6 515.06 961.07

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。
    n=900の場合はちょっとずれていますね。

    c=3の場合

    ●近似式 68.3/\(p_0\)+334/\(p_1\)

    n(Excel) 20 50 100 500 1000
    c 3 3 3 3 3
    p0 7.14 2.78 1.38 0.27 0.13
    p1 30.42 12.88 6.56 1.33 0.67
    p1/p0 4.26 4.63 4.76 5 5.38
    n'(近似式) 20.55 50.52 100.54 506.16 1042.47

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。

    c=4の場合

    ●近似式 98.5/\(p_0\)+400/\(p_1\)

    n(Excel) 20 50 100 500 1000
    c 4 4 4 4 4
    p0 10.41 4.02 1.99 0.39 0.19
    p1 36.07 15.36 7.84 1.59 0.8
    p1/p0 3.47 3.82 3.94 4.05 4.09
    n'(近似式) 20.55 50.53 100.55 501.55 1006.39

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。

    c=6の場合

    ●近似式 164/\(p_0\)+527/\(p_1\)

    n(Excel) 20 50 100 500 1000
    c 6 6 6 6 6
    p0 17.73 6.76 3.33 0.65 0.32
    p1 46.73 20.11 10.29 2.1 1.06
    p1/p0 2.64 2.98 3.09 3.21 3.28
    n'(近似式) 20.53 50.47 100.44 502.17 1008.73

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。

    c=10の場合

    ●近似式 308/\(p_0\)+770/\(p_1\)

    n(Excel) 100 500 1000 1500 2000
    c 10 10 10 10 10
    p0 6.29 1.23 0.61 0.41 0.31
    p1 14.99 3.07 1.54 1.03 0.78
    p1/p0 2.38 2.48 2.51 2.53 2.54
    n'(近似式) 100.32 500.48 1001.28 1501.82 2000.61

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。

    c=15の場合

    ●近似式 502/\(p_0\)+1065/\(p_1\)

    n(Excel) 100 500 1000 1500 2000
    c 15 15 15 15 15
    p0 10.3 2.02 1 0.66 0.5
    p1 20.61 4.23 2.13 1.42 1.07
    p1/p0 2 2.1 2.11 2.15 2.13
    n'(近似式) 100.4 500.64 1000.67 1508.83 1996.61

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。

    c=20の場合

    ●近似式 704/\(p_0\)+1350/\(p_1\)

    n(Excel) 500 1000 1500 2000 2500
    c 20 20 20 20 20
    p0 2.83 1.41 0.93 0.7 0.55
    p1 5.37 2.7 1.8 1.36 1.08
    p1/p0 1.9 1.91 1.93 1.93 1.97
    n'(近似式) 500.14 1000.29 1505.15 1996.41 2523.37

    Excelから求めたサンプル数nと
    抜取検査設計補助表から求めたサンプル数n’はほぼ一致します。

    計算機がほとんど無かった1950年代から精度が高い抜取検査設計補助表があるのはすごいことですね。

    公式や解法の暗記だけではなく、実際に計算して比較することが重要です。

    まとめ

    抜取検査設計補助表(JISZ9002)の式の意味がわからないけど、ExcelからOC曲線を描くと、抜取検査設計補助表の精度が高く、すごい表であることを解説しました。

    • ①抜取検査設計補助表の導出式の意味はわからない
    • ②自力でサンプル数n、合格判定数cは計算できる!
    • ③計算機がない時代でも精度良い値を作れるのはすごい!

  • 検査のきびしさの切替え方法はJISに頼るな!(調整型抜取検査)

    検査のきびしさの切替え方法はJISに頼るな!(調整型抜取検査)

    「調整型抜取検査の切替えルールの理由がわからない」「どんな検査でもJISの切替えルールに準拠すればOKなの?」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    調整型抜取検査の検査切替え方がわかる
    • ①JISの切替えルールの規準の理論はわからない
    • ②切替えルールは検査対象に合わせて考えるべき

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tubeでも解説しています。ご確認ください。

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    ①JISの切替えルールの規準の理論はわからない

    JISZ9015を読むと、検査のきびしさ(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の切替え方法が下図のように書いています。

    切替えルール

    試験にも頻出です。検査回数と不良品の数でどのタイミングで検査のきびしさを切り替えるかを勉強する必要があります。

    ところが、よく考えると、この検査のきびしさの切替える基準の根拠がどこから決まっているのか?疑問に思うはずです。

    切替えスコアが30以上なら、ゆるい検査でよい。
    ⇒30ってどこから決まっているの?

    連続5ロット以内に2ロットが不合格ならきつい検査に切り替える。
    ⇒5ロットと2ロットはどこから求めた値なのか?

    連続5ロットが合格ならなみ検査に切り替える。
    ⇒連続、5ロットの根拠は?

    JISだから全部正しいですが、
    鵜呑みせず、値や判断基準の理由を考えることが重要です。

    わからないことをまとめると、次の2つです。

    切替える基準のここがわからない!

    1. 基準を決める値や数式がわからない。
    2. 実際の検査は対象によって切替え基準はばらばらなはず。1つの規格に従うのは無理がある

    QCプラネッツでは、研究中ですが、知っている方は教えてください。

    ②切替えルールは検査対象に合わせて考えるべき

    検査結果で最も重要なことは、

    不良品や事故を許容範囲外で出ないよう社内で検査すること。
    それは、JIS規格どおり検査することではなく、自分たちで抜取検査を設計すること。

    検査結果は顧客が評価する

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    にあるように、品質は顧客が満足する期待値です。

    顧客要求レベルを上回る結果を出すように検査を設計しなければなりません。

    抜取検査が調整型だからとして、JISZ9015の切替え基準そのまま準拠しても、顧客は満足しない可能性もあります。

    検査対象ごとに要求される検査を考えるのが重要

    全数検査なら、不良は確実に見つかりますが、大量の製品の場合は抜取検査にならざるを得ません。顧客要求を満たすために、どんな調整型抜取検査を考えるべきか?

    自分でゼロベースで考えてみましょう。

    以下は、QCプラネッツの1つの考え方を紹介します。

    検査のきびしさを自分で定義

    次のように2つだけでよいと考えます。
    ●なみ検査: 顧客要求レベルを満たすきびしさ
    ●きつい検査:初期流動管理の場合、不良品が見つかりトラブル発生した場合

    ゆるい検査は、不要としてもよいでしょう。ゆるくしてよい理由が無いからです。ゆるい検査は手抜き検査であってはなりません。

    ゆるい検査のきびしさを入れたい場合

    検査のきびしさを3段階にしたければ、次のように考えます。
    ●ゆるい検査:顧客要求レベルを満たすきびしさ
    ●なみ検査: 重要顧客の要求レベルを満たすきびしさ
    ●きつい検査:初期流動管理の場合、不良品が見つかりトラブル発生した場合

    ●ゆるい検査≡なみ検査
    ●なみ検査≡ちょっときびしい検査
    ●きつい検査≡最悪の条件以上に厳しくした場合の検査
    と、なみ検査ときつい検査がきびしくした条件にした方がよいでしょう。

    切替え基準も自分で定義

    なみ検査、きつい検査のみで考えた場合に話を戻します。
    ●なみ検査: 顧客要求レベルを満たすきびしさ
    ●きつい検査:初期流動管理の場合、不良品が見つかりトラブル発生した場合

    なみ検査ときつい検査を切り替える条件とタイミングは、
    担当部門や経営陣との調整で決めるべきで、JIS規格のような値で決めるものではない。

    新しい製品を出荷するときは、
    きつい検査で始めるでしょう。

    その後、
    ●ある一定期間(半年、年のスパンですが)経過して、製造工程が安定、成熟した場合
    ●納品後、目立ったトラブルや不良が出ていないことが確認した場合
    の条件がそろったら、きつい検査⇒なみの検査へ切り替えてもOKでしょう。

    ただし、工場のある部門だけの判断ではなく、営業、技術、工場と顧客との調整で決める必要があります。

    不良確率が一定以下だからといって、きつい検査からなみ検査に一方的に変えても、NGとなる場合があります。関係者間の調整が重要となります。

    抜取検査では、検査しない製品の不良はそのまま外部に流れてしまいます。そのリスク評価と不良・事故発生の対応も関係者間で調整しておく必要があります。

    検査の切替えは、JIS規格の方法で機械的に変わるものではなく、多くの関係者間の調整が必要となります。

    品質を決める検査だけに、慎重に考える必要があります。

    検査は品質を決める要。
    トラブルがあると説明責任が問われます。
    なぜ、そのような検査をしたかを技術的に説明できるように
    抜取検査を勉強する必要があります。

    まとめ

    検査のきびしさ(調整型抜取検査)を切り替える方法について解説しました。

    • ①JISの切替えルールの規準の理論はわからない
    • ②切替えルールは検査対象に合わせて考えるべき

  • 調整型抜取検査の検査水準がわかる

    調整型抜取検査の検査水準がわかる

    「調整型抜取検査の検査水準がなぜ7つに分かれるのかがわからない」、「ロットの大きさごとにサンプルサイズが決まっている理由がわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    調整型抜取検査の検査水準の背景が理解できる
    • ①検査水準の根拠がわからないことがわかる
    • ②調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由
    • ③規格に頼らず、自力で抜取検査を設計すべき

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①検査水準の根拠がわからないことがわかる

    調整型抜取検査で、サンプルサイズを決めるために、必須な表が、検査水準表です。

    4つの特別検査水準(S-1,S-2,S-3,S-4)と通常検査水準(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)の7つに区分され、
    ロットサイズごとにサンプルサイズ(文字)が決まっています。

    ロットサイズ 特別検査水準 通常検査水準
    S-1 S-2 S-3 S-4
    2~8 A A A A A A B
    9~15 A A A A A B C
    16~25 A A B B B C D
    26~50 A B B C C D E
    51~90 B B C C C E F
    91~150 B B C D D F G
    151~280 B C D E E G H
    281~500 B C D E F H J
    501~1200 C C E F G J K
    1201~3200 C D E G H K L
    3201~10000 C D F G J L M
    10001~35000 C D F H K M N
    35001~150000 D E G J L N P
    150001~500000 D E G J M P Q
    500001以上 D E H K N Q R

    でも、この表に対して、いろいろ疑問に思いませんか?

    1. なぜ、4つの特別検査水準と3つの通常検査水準があるのか?
    2. 各検査水準の定義があいまい
    3. 「何も制約がなければ、通常検査水準Ⅱを使うこと」ってなぜ?
    4. 水準ごとのサンプルサイズが若干変わる根拠は何?
    5. ロットサイズとサンプルサイズの比は妥当なのか?

    つっこみどころ満載です。学校の試験や資格試験では、素直に表を使って合格しましょう。でも、それじゃ、抜取検査がわかるとは十分言えません。

    JIS・教科書・論文を調査しても、検査水準の各々気になる点がわかる根拠が明記していません。
    では、使い方だけ暗記して使えばよいのか?
    NGです!
    検査は検査の妥当性を証明することが最重要なので、使う値や表は確実に納得して説明できるようにすべきです。

    なぜ、JIS・教科書・論文を調査しても、わからないのかを次に解説します。

    ②調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由

    調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由

    調整型抜取検査の規格は米軍規格を直輸入した版の改良版
    自分たちで考えて標準化する前に、強制的に規格導入となった。
    1950年以前の米軍規格に関する知見が少ない。
    これが、調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由です。

    QCプラネッツは知見が少ないため、抜取検査の理論のすべてを理解はできていません。その代わり、自分で仮説を立てて、論理に矛盾がない説明をしっかりブログで解説しています。

    調整型抜取検査の歴史

    品質管理の歴史と重なりますが、簡単に紹介します。

    抜取検査の歴史

    1. 1945年まで日米が戦争
    2. 終戦後は米国が日本を統治するが、対戦相手だった日本を発展させる気は全くなかった
    3. どころが、1950年に、朝鮮戦争(冷戦)が勃発してしまった。
    4. 戦場に近い供給元が必要になった米国が日本を製造拠点に選択。
    5. ところが、当時の日本は品質管理レベルが低かった。
    6. 品質の悪い供給品では戦争に勝てないため、急遽デミングらを来日させた。
    7. 米国の秘伝のタレである品質管理や標準化・規格を日本企業に従わせた。
    8. 戦敗国は戦勝国に反発するのが常である。他国のテロ活動がその例。
    9. しかし、実際に、失業者が多く、経済がどん底だった日本は、供給品を爆買してくれる米国にうまく対応した。
    10. 明日を生き抜くだけで精一杯な日本と、冷戦に勝ちたい米国の利害関係がうまく一致した。
    11. 多くの品質管理や標準化の概念が日本に伝わり、日本企業の品質レベルが上がった。

    よくある教科書では、
    ●日米友好のために、デミング博士が来日、
    ●日本の品質レベルが向上し、経済発展
    と優しめに書いています。正しいけど、そんな理由で、簡単に変革が起こるかは疑問です。

    もともと対戦国に対して、米国の秘伝のタレである「科学管理」、「品質管理」を教えるはずがありません。でも、「そうは言っていられない緊急事態が起きた」ため、早く日本に品質管理を教えなければならなくなった。とするのが自然です。

    また、日本側も、焦土化された相手の要求に簡単には乗りません。本来は反発活動が増えて荒れるはずです。しかし、経済が冷え切っており、失業者が多い暗い時代に、突如爆買いする相手がいれば、ハングリー精神で、何でも吸収しますよね。生活が楽になるなら、何でも頑張る状況だったのです。

    冷戦が日本の品質管理を高めるきっかけであったはずです。

    その後、日本は戦後復興・経済発展して落ち着いてくると、
    「いろいろ米国から伝わったものって、本当に正しいの? ルールの背景や理由が知りたい」
    と本質的な研究が深まるようになります。

    調整型抜取検査は、
    1940年代に米軍規格としてスタートし、
    1950年にMIL-STD-105Aが日本に直輸入されます。

    その後、しばらく米軍の規格の改定が進み、
    1971年に日本規格であるJISZ9015 1971が制定されます。

    日本人が考えて作った規格ではなく、米国のものを改良した規格であるため、規格の背景や理由を調べてもなかなか知見が得られないのが現状です。
    品質管理は技術に親和性が高いですが、意外と世界史・地政学も関係していきます。なぜなら、ルールづくりをするのが品質管理や標準化です。ルールづくりは国家間の思惑が入ってきます。

    品質管理は世界史・地政学、経済・経営など幅広く俯瞰するとさらに面白さが広がります。

    ③規格に頼らず、自力で抜取検査を設計すべき

    調整型抜取検査に話を戻します。,

    調べてもわからないで終わらせずに、自分で考えて抜取検査を設計しましょう。JIS通り検査するより、検査内容を技術的に説明できることが重要です。

    自分で抜取検査を設計する

    抜取検査の設計ポイント

    1. OC曲線で抜取検査を設計するのが大前提
    2. 検査対象の消費者危険、生産者危険を品質コストや経営の影響から設定する
    3. 消費者危険、生産者危険の2点を通るOC曲線を描く
    4. OC曲線を決定するサンプル数nと合格判定数cを決める

    この基本ができていれば、抜取検査は、検査対象の許容不良率から設計できるので、説明責任が十分果たせます。数値を早く求めるときに、JISの規格表を活用すればよいのです。

    サンプル数はOC曲線を見ながら決める

    消費者危険、生産者危険の2点を通るOC曲線は複数描ける。
    そのうちのサンプル数nが最小のものを選ぶとよい。

    サンプル数nと合格判定数cが異なっていても、OC曲線がぴったりであれば、合否判定基準は同じなので、サンプル数nを小さい方を選んでも、合否結果は同じです。

    検査コストも考慮すれば、サンプル数nは小さくしたいですよね。

    実際に近いOC曲線を描いてみましょう。
    ●n=50,c=2
    ●n=200,c=11
    ●n=2000,c=125

    OC曲線

    不良率の軸を拡大しているので、3本はややずれてはいますが、不良率1%,2%前後は許容範囲とすれば、
    サンプル数をn=2000からn=50と1/40にサンプル数を減らしても
    合否判定結果精度は変わらないといえます。

    このように、OC曲線カーブと不良率を見て、検査コストも考慮しながら、サンプル数を決定してもよいです。

    検査設計が面倒ならJISの検査水準表を見ればOKですが、
    値を決める理由を説明できるなることも重要です。

    まとめ

    調整型抜取検査の検査水準と、自分で抜取検査を設計することの重要さを解説しました。

    • ①検査水準の根拠がわからないことがわかる
    • ②調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由
    • ③規格に頼らず、自力で抜取検査を設計すべき

  • なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる

    「1回抜取方式でも難しいのに、2回抜取はもっとわからない!」「2回抜取方式(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の主抜取表の作り方がわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる
    • ①2回抜取方式のOC曲線がわかる
    • ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも確認ください

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    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ①2回抜取方式のOC曲線がわかる

    2回抜取方式に慣れましょう!

    OC曲線の式、描き方がわかれば、マスターできます。

    2回抜取方式については、関連記事があります。ご確認ください。



    2回抜取方式のOC曲線の式や描き方がわかり、2回抜取方式の合格判定数まで関連記事で解説しています。本記事は、関連記事を応用して、調整型抜取検査(2回抜取方式)の主抜取表について解説します。

    2回抜取方式の重要な基礎知識を確認

    2回抜取方式の二項分布、ポアソン分布のOC曲線、
    ●調整型抜取検査(1回抜取方式)の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」の違い

    の2つを基本して、本記事を解説します。

    基本をまとめます。詳細は関連記事で解説しています。

    【1】二項分布

    ●OC曲線の式
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ac1} {}_{n1} C_r p^r (1-p)^{n1-r}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( {}_{n1} C_r p^r (1-p)^{n1-r}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} {}_{n2} C_s p^s (1-p)^{n2-s}\)}

    ●OC曲線
    2回抜取方式

    1回抜取方式のOC曲線と似た曲線になります。

    ●関連記事

    も確認ください。

    【2】二項分布

    ●OC曲線の式
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ ac1} exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} exp(-λ_2)\frac{λ_2^r}{r!}\)}
    (ここで、λ=npとします。)

    ●OC曲線
    2回抜取方式

    1回抜取方式のOC曲線と似た曲線になります。

    ●関連記事

    も確認ください。

    ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる

    【3】なみ検査、ゆるい検査、きつい検査

    ●OC曲線の式
    p⇒mpに変えて ゆるさ、きつさを調整(m=\(10^{0.2}\) :標準数)
    ★二項分布、ポアソン分布の p、λに ゆるさ、きつさの調整値mが加わります。

    ●OC曲線の式(二項分布)
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ac1} {}_{n1} C_r pm^r (1-pm)^{n1-r}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( {}_{n1} C_r pm^r (1-pm)^{n1-r}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} {}_{n2} C_s pm^s (1-pm)^{n2-s}\)}
    (調整値mが p⇒pmとして入っているところだけわかればOKです)

    ●OC曲線の式(ポアソン分布)
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ ac1} exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} exp(-λ_2)\frac{λ_2^r}{r!}\)}
    (ここで、λ=npmとします。)
    (調整値mが p⇒pmとして入っているところだけわかればOKです)

    かなり、難しい式です。数値はExcelで計算するのが現実的です。

    1回抜取方式の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」では、調整値を使ってそれぞれの検査の合格判定個数Acを導出します。

    ●関連記事

    も確認ください。

    ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

    なみ検査(二回抜取方式)の主抜取表を作る

    自力で、2回抜取検査のOC曲線を描いて、第1種の誤りである確率1-αの不良率p0をAQLとして導出します。

    自分で求めたAQLの値と、JISZ9015-1 付表3-Aの「なみ検査の2回抜取方式(主抜取表)」のAQLの値を比較します。

    AQLを導出

    関連記事

    にプログラムがあります。二項分布を使って計算します。

    y1 y2 y3 y4 y5
    n1 20 20 20 20 20
    ac1 1 2 3 5 7
    re1 3 5 6 9 11
    n2 20 20 20 20 20
    ac2 4 6 9 12 18
    re2 5 7 10 13 19
    P0 (L(p)=1-α) 3.99 8.42 12.99 20.77 32.41
    AQL(JISZ9015) 4 6.5 10 15 25

    黄色が自力で計算した結果で、
    水色がJISの値です。

    やや、自力で計算した結果がJISの値からずれてはいますが、AQLの範囲内に入っているので、OC曲線から合格判定個数を求めてもOKであるとわかります。

    ゆるい検査、きつい検査(二回抜取方式)の主抜取表を作る

    ●OC曲線の式
    p⇒mpに変えて ゆるさ、きつさを調整(m=\(10^{0.2}\) :標準数)します。

    y1 y2 y3 y4 y5
    n1 20 20 20 20 20
    ac1 1 2 3 5 7
    re1 3 5 6 9 11
    n2 20 20 20 20 20
    ac2 4 6 9 12 18
    re2 5 7 10 13 19
    ゆるい検査 P0 (L(p)=1-α) 6.32 13.35 20.58 32.91 51.36
    AQL(JISZ9015) 6.5 10 15 25 40
    なみ検査 P0 (L(p)=1-α) 3.99 8.42 12.99 20.77 32.41
    AQL(JISZ9015) 4 6.5 10 15 25
    きつい検査 P0 (L(p)=1-α) 2.51 5.31 8.19 13.1 20.45
    AQL(JISZ9015) 2.5 4 6.5 10 15

    自力でOC曲線から求めたAQLと、JISの抜取表を比較すると、2点がわかります。

    (i) やや、自力で計算した結果がJISの値からずれてはいますが、AQLの範囲内に入っているので、OC曲線から合格判定個数を求めてもOKである
    (ii)なみ検査、ゆるい検査、きつい検査において、AQLの値がAQLの枠1つずつずれている

    OC曲線か抜取表を作っても、JISの抜取表に大体一致することがわかります。

    JISの抜取表は魔法の表ではなく、自分で作ることができます!

    まとめ

    調整型抜取検査(2回方式)の主抜取表(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の作り方について解説しました。

    • ①2回抜取方式のOC曲線がわかる
    • ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

  • なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる

    「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表のAc,Reの値の求め方がわからない」、「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる
    • ①なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ②ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査を選ぶ時の注意点

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも解説しています。

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    ①なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる

    結論

    JISZ9015-1では、AQL(合格品質水準)とサンプル数nを標準数\(10^{0.2}\)=1.58倍ずつずらしたものと定義。

    1つずつずらしたものと定義しただけです。どんな抜取検査でも、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いはJISの定義と同一にする必要はありません。

    主抜取表で比較

    0.65 1 1.5 2.5 4 6.5 10
    検査 サイズ Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re
    ゆるい 20 1,2 2,3 3,4 4,5 6,7
    なみ 20 1,2 2,3 3,4 5,6
    きつい 20 1,2 2,3 3,4
    ゆるい 32 1,2 2,3 3,4 4,5 6,7 8,9
    なみ 32 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8
    きつい 32 1,2 2,3 3,4 5,6
    ゆるい 50 1,2 2,3 3,4 4,5 6,7 8,9 10,11
    なみ 50 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8 10,11
    きつい 50 1,2 2,3 3,4 5,6 8,9
    ゆるい 80 2,3 3,4 4,5 6,7 8,9 10,11
    なみ 80 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8 10,11 14,15
    きつい 80 1,2 2,3 3,4 5,6 8,9 12,13

    同じ色を見ると、対角線に1つずつずれているのがわかりますね。

    数式で比較

    OC曲線の式で、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いを比較します。
    詳細は関連記事に解説しています。

    検査のきびしさを変えても同じAQLにするために、ゆるい検査ときつい検査では、OC曲線の式を一部補正しています。

    補正変数mは、主抜取表のAQLの1列のずれを考慮して、標準数\(10^{0.2}\)を入れます。
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (なみ検査) (m=1)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (ゆるい検査) (m=\(10^{-0.2}\))
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (きつい検査) (m=\(10^{0.2}\))

    AQL

    AQL

    上の図では、
    ●なみ検査 (n,Ac)=(20,3)
    ●ゆるい検査 (n,Ac)=(13,3)
    ●きつい検査 (n,Ac)=(32,3)
    について、ゆるい検査ときつい検査の曲線を補正し、なみ検査 (n,Ac)=(20,3)のOC曲線に近づけて、AQL=6.5%と求めました。

    なお、サンプル数どおしを比較すると
    32/20=1.6≒\(10^{0.2}\)
    20/13=1.53≒\(10^{0.2}\)
    の関係があります。不思議ですが、そうなるように主抜取表を作ったのでしょう。すごいですね。

    ②ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

    ゆるい検査、きつい検査のOC曲線を定義

    もう一度書きますが、下の3つの式からOC曲線を描いて、合格判定個数を求めます。
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (なみ検査) (m=1)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (ゆるい検査) (m=\(10^{-0.2}\))
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (きつい検査) (m=\(10^{0.2}\))

    ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数を導出

    OC曲線を描いて合格判定個数を求めます。

    サンプル数n=20を固定し、合格判定個数c=Acを0から20まで変化させます。
    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査でそれぞれ
    c=Acを0から20まで変化させた場合のOC曲線を描きます。

    OC曲線

    AQLとAcの関係をまとめてみましょう。

    AQL 0.15 0.25 0.4 0.65 1 1.5 2.5 4 6.5 10 15 25 40 65 100
    ゆるい 0 1 1 1 1 2 2 3 4 6 8 12 16 20 20
    なみ 0 0 1 1 1 1 2 2 3 4 6 8 12 16 19
    きつい 0 0 0 1 1 1 1 2 2 3 4 6 8 12 16

    OC曲線からAcを導出して抜取表を作ると、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査では合格判定個数Acが1つずつずれていることがわかります。

    主抜取表の作り方がわかると、JISが提供する魔法の表ではなく、自力でも作れる身近な表になりますね。
    主抜取表の使い方を勉強して終わるのではなく、
    主抜取表をどのように作るのかを考えることが抜取検査をマスターする上で重要です

    ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査を選ぶ時の注意点

    あなたが抜取検査する対象の、「なみ、ゆるい、きつい」の定義と
    JISが定義する「なみ、ゆるい、きつい」の定義は一致しない
    点に注意が必要

    JISが定義する「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」

    JISには明記していない点が、わかりにくくしていますが、
    JISの定義は、AQLを1つずらしたもので定義しているようです。

    また、AQLは公比が標準数\(10^{0.2}\)=1.58の等比数列として、JISの主抜取表があります。

    あなたが抜取検査する対象の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」

    一方、あなたが検査する対象では、検査対象によって、「なみ、ゆるい、きつい」の程度が変わるはずです。

    次の3点に注意しましょう。

    1. 「なみ、ゆるい、きつい」の差はJISの定義(標準数\(10^{0.2}\)=1.58)と同じとは限らない
    2. あなたの「なみ検査」はJISの「なみ検査」と同じとは限らない
    3. JIS規格だからそのまま活用しても良いとは限らない
    JIS規格の表だから何でも正しいではなく
    あなたが実施したい抜取検査の合否判定基準や調整したい幅(ゆるさ、きつさ)を自分で考えることが重要です。

    あなたが抜取検査すべき「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」

    まとめると、

    1. あなたの「なみ検査」の合否判定基準を設計する
    2. あなたの抜取検査の調整の幅(ゆるさ、きつさ)を自分で定義して設計する
    3. JIS規格に合う検査条件ならJIS規格を活用する

    あなたの「なみ検査」の合否判定基準を設計する

    検査の合否判定基準を、製品出荷後の品質コストや経営リスクを考慮して、決める必要があります。そこから、消費者危険(p0,1-α)、生産者危険(p1,β)をいくらにすべきか?がわかります。

    消費者危険(p0,1-α)、生産者危険(p1,β)が決まると、そこを通るOC曲線を引くと、サンプル数n,合格判定個数cの候補がいくつか出てきます。(n,c)によって、同じ点を通るOC曲線が複数描けるからです。

    サンプル数n、合格判定個数cを1つに絞ります。

    あなたの抜取検査の調整の幅(ゆるさ、きつさ)を自分で定義して設計する

    調整型抜取検査を実施したいならば、調整の幅をJISの表を見る前に、自分で考える必要があります。

    出荷実績が少なく、初期流動管理が必要なら、最初は、きつい検査とし、半年経過して、品質に問題がなければ、なみ検査とするなど考えます。

    初期流動管理の場合の、製品不良率が、工程管理が成熟した場合の不良率と比較して、どの程度違うのか?を検討します。それをカバーできる、きつい条件を設定して、きつい検査と定義します。

    品質はどの工程でも、「なぜそうしたか?」を自分で説明できる責任があります。自分で考えて設計し、それがOKならそのままでも良く、NGなら改善していけばよいです。そして、自分で改善案を考えることができます。

    JISに頼ると、なぜかもわからず、検査し続けることになってしまいます。

    JIS規格は、調整の幅をAQLの公比(標準数)として、さまざまなサンプル数とAQLにおける合格判定個数を定義しています。ただ、どんな調整型抜取検査にするかは、あなたが考える必要があります。
    抜取検査対象となる製品で、JIS規格に従って検査したら、
    「なぜ、サンプル数n,合格判定個数Acを決めたのか?」と品質監査で聞かれて時に
    「JISどおりにやったから」としか回答できず、監査で不適合と言われる可能性があります。

    JISの調整型抜取検査の主抜取表を使う前に、抜取検査を自分で考える力を身につけましょう。

    まとめ

    調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の作り方について解説しました。

    • ①なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ②ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査を選ぶ時の注意点

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