【まとめ2】データの構造式さえあれば実験計画法がマスターできる
「実験計画法がよくわからない」、「実験計画法の勉強が挫折しないためのおさえておくべきポイントはどこ」など、疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
最初におさえておきたいポイント
- ➀データの構造式は簡単に作れる
- ②平方和の分解や分散分析ができるのはデータの構造式があるから
- ③自由度、分散の期待値はデータの構造式から導出できる
- ④母平均の点推定、推定区間の有効反復数もデータの構造式から
- ⑤データの構造式の各項を並べたのが直交表
- ⑥データの構造式で表現できない実験はどこかおかしい
記事の信頼性
記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。
実験計画法を研究し、乱塊法、分割法、ラテン方格法、多水準法、擬水準法、直交表、・・・とさまざまな手法に関係なく、1つの解法で、全部の手法が導出できる方法がないかを考えました。
その結果、教科書には目立たないデータの構造式を追えばよいとわかりました。
QCプラネッツでは、実験計画法については多くの手法にとらわれずに、データの構造式から記事を始めています。データの構造式さえわかれば実験計画法はマスターできます。それを多くの手法を解きながら実感してください。
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➀データの構造式は簡単に作れる
実験計画法は多くの手法がありますが、身構える必要はありません。すべてデータの構造式が変化しただけです。
3因子を例に、完全配置実験から乱塊法→分割法と機械的に変形します。
●完全配置実験
xijk=μ+αi+βj+γk
+(αβ)ij+(αγ)ik+(βγ)jk+εijk
ここに、γkを反復因子と定義すると乱塊法のデータの構造式になります。
xijk=μ+γk+αi+βj
+(αβ)ij+(αγ)ik+(βγ)jk+εijk
項を入れ換えただけです。
次に、(αγ)ikを残差εに変えると分割法になります。
xijk=μ+γk+αi+ε(1)ik
+βj+(αβ)ij+(αγ)+(βγ)jk+ε(2)ijk
分割法+乱塊法が入った難しい式ですが、完全配置実験のデータの構造式を一部変えた程度にすぎません。
簡単にデータの構造式が書けます!
②平方和の分解や分散分析ができるのはデータの構造式があるから
下の記事にて詳細に解説しています。
データ値=平均+主効果+交互作用+残り
の一次式で表現したのがデータの構造式です。
データ値の総和と、平均の総和は同じですから、主効果、交互作用、残りの和は0です。
この性質が平方和の分解を可能にしています。
平方和の分解とは、
(x+y+z+・・・)2=x2+ y2+ z2+・・・
xy=0,xz=0,・・・=0
と互いの積がすべて0になり、2乗項だけが残る特徴があります。
平方和の分解について、関連記事があります。ご覧ください。
二元配置実験(交互作用有り)の平方和の分解ができる【初心者必見】 実験計画法で、平方和の分解や主効果・交互作用・残差の各値の計算ができないとか、主効果、交互作用、残差の和が0になる理由がわからないなど困っていませんか?本記事は、二元配置実験を例に、データの分解を解説し、主効果・交互作用・残差の値や平方和の分解を解説します。実験計画法を学び始めたあなたは必見です。 |
③自由度、分散の期待値はデータの構造式から導出できる
関連記事で確認しましょう。
【簡単】データの構造式で実験計画法がわかる 実験計画法が難しい、多元配置実験、乱塊法、分割法、などたくさんの手法を学ぶのが大変など困っていませんか?本記事では、データの構造式さえ理解すれば実験計画法がすぐマスタできるように、わかりやすく解説します。早く実験計画法をマスターした方は必見です。 |
④データの構造式から母平均の点推定や区間推定の有効反復数が導出できる
下の記事にて詳細に解説しています。
【簡単】データの構造式から母平均の点推定が導出できる 実験計画法が難しい、分散分析した後、最適条件の母平均の点推定を求める式が、実験によって変わるため、公式暗記に困っていませんか?本記事では、データの構造式さえ理解すれば、すべての実験において、母平均の点推定値を求める式が導出できます。早く実験計画法をマスターした方は必見です。 |
田口の式、伊奈の式は暗記より、式の意味を考えましょう。式の意味を考えるとデータの構造式が重要であるとわかるはずです。
【重要】データの構造式から有効反復数が導出できる 実験計画法が難しく、分散分析した後、最適条件の母平均の点推定から有効反復数の導出方法がわからず、田口の式や伊奈の式を丸暗記していませんか?本記事では、データの構造式さえ理解すれば、すべての実験において、母平均の点推定値から有効反復数が導出できますことを解説します。早く実験計画法をマスターした方は必見です。 |
⑤データの構造式の各項を配列したのが直交表
例に直交表L8を上げます。2水準系のL8は3因子から構成され、そのデータの構造式は、
xijk=μ+①αi+②βj+③γk
+④(αβ)ij+⑤(αγ)ik+⑥(βγ)jk+⑦εijk
①~⑦を列に割り当てたのが直交表L8です。ですから、直交表はデータの構造式から作られています。よって、以下に注意が必要です。
- 多因子割当は交絡が前提で、データの構造式は簡易的な記述でしのぐ
- 実験回数が減らせるのは多因子を交絡して割り当てるから
- 直交表とデータの構造式を切り離して考えてはいけない
これがわかると、直交表に何でもかんでも割り当てる発想は良くないことがわかります。関連記事にも紹介しています。,
多くの因子を直交表に割り当てると分散の期待値が導出できない 実験計画法で、多くの因子を直交表に割り当てた場合、分散の期待値はどのように計算するか知っていますか?本記事では、多くの因子を直交表に割り当てた場合、分散の期待値の計算方法を解説します。直交表の使い方をマスターした方は必見です。 |
⑥データの構造式で表現できない実験はどこか間違っている
以上より、実験計画法は、データの構造式がベースにあります。トリッキーな実験計画や直交表の割当をしてもデータの構造式が立てられなければ、その実験は間違っていると考えてよいです。
データの構造式を軸に考えるようになると、実験の作り方、データのとり方、調べた因子の効果の度合いを予測することができるようになります。
実験計画法は、分散分析の計算などの複雑な計算のイメージが強いですが、本来はデータの構造式から実験を考えていくことが大切です。
まとめ
実験計画法の肝であるデータの構造式についてまとめました。個々の関連記事を読みながらデータの構造式の重要性を理解していただければうれしいです。
- ➀データの構造式は簡単に作れる
- ②平方和の分解や分散分析ができるのはデータの構造式があるから
- ③自由度、分散の期待値はデータの構造式から導出できる
- ④母平均の点推定、推定区間の有効反復数もデータの構造式から
- ⑤データの構造式の各項を並べたのが直交表
- ⑥データの構造式で表現できない実験はどこかおかしい
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