「ワイブル確率紙がよくわからない」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その2)
- ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない(その1)
- ➁確率紙は順序統計量から入るもの(その1)
- ➂確率紙の考え方がわかる(その1)
- ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
- ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に)
- ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる!
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ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)で解説した通り、4つの流れで解けば、確率紙を使わなくても解ける!




では、実際に解いてみましょう!
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➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
まず、順序統計量
確率分布によらず、データを大きさ順に並べると順序統計量として扱ってOK!
メジアンランク法やミーンランク法で、順序統計量に沿って確率Pを求めます。

下ごしらえは順序統計量でできる
確率分布は一切関係ない!
指数分布のプロット化
指数分布の式を用意します。
\(R(t)=exp^{-λt}\)
直線型に変換します!


両辺、logを取ると
\(log R(t)\)=\(-λt\)
マイナスを消します。
\(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \(λt\)
よって、
\(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \(λt\)
で、
\(Y=log{\frac{1}{R(t)}}\),\(t=X\)とおくと、
\(Y=λt\)
という原点を通る直線にプロットすることができます。
【重要】変数の対応を確認!
式がいろいろ出てきたので、変数の対応を図で確認しましょう。

F(t)はメジアンランク法やミーンランク法から求めて、
R(t)=1-F(t)の関係からR(t)が計算できます。
確率分布の式を直線型に変換したので、それに対応して計算します。
昭和の時代は、計算機が無かったから、ワイブル確率紙が必須だった。
でも、今はExcel、関数電卓、スマホからlogの計算が楽勝にできる!
だから、ワイブル確率紙の使い方より、ワイブル分布の定数の導出方法や理論を理解する方が大事なんです!
例題で確認
データを用意します。
10個のデータを指数分布の確率紙にプロットせよ。
1.1、0.2、2.1、0.5、3.4、2.5、2.8、0.8、0.4、1.6
小さい順に並べて、メジアンランク法から確率を導出
データを並び替えると、
0.2、0.4、0.5、0.8、1.1、1.6、2.1、2.5、2.8、3.4
です。
これをメジアンランク法で確率を計算しましょう。(メジアンランク法でもミーンランク法でもOKですが、)
| i |
データ |
F (メジアンランク法) F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\) |
| 1 |
0.2 |
0.067 |
| 2 |
0.4 |
0.163 |
| 3 |
0.5 |
0.26 |
| 4 |
0.8 |
0.356 |
| 5 |
1.1 |
0.452 |
| 6 |
1.6 |
0.548 |
| 7 |
2.1 |
0.644 |
| 8 |
2.5 |
0.74 |
| 9 |
2.8 |
0.837 |
| 10 |
3.4 |
0.933 |
これは図でいうと、

変数を対応させて直線プロットを描く
変数の関係は、
●変数の関係は、
・\(R(t)=1-F(t)\)
・\(X=t=(data)\)
・\(Y=log(\frac{1}{R(t)})= log(\frac{1}{1-F(t)})\)
計算結果を表にまとめると、
| i |
data |
F |
R=1-F |
X |
Y |
| 1 |
0.2 |
0.067 |
0.933 |
0.2 |
0.07 |
| 2 |
0.4 |
0.163 |
0.837 |
0.4 |
0.179 |
| 3 |
0.5 |
0.26 |
0.74 |
0.5 |
0.301 |
| 4 |
0.8 |
0.356 |
0.644 |
0.8 |
0.44 |
| 5 |
1.1 |
0.452 |
0.548 |
1.1 |
0.601 |
| 6 |
1.6 |
0.548 |
0.452 |
1.6 |
0.794 |
| 7 |
2.1 |
0.644 |
0.356 |
2.1 |
1.034 |
| 8 |
2.5 |
0.74 |
0.26 |
2.5 |
1.349 |
| 9 |
2.8 |
0.837 |
0.163 |
2.8 |
1.811 |
| 10 |
3.4 |
0.933 |
0.067 |
3.4 |
2.699 |
データをプロットします。指数分布の場合は、原点を通る直線ですね。

指数分布にあてはめよう
図より、
Y=0.6389xなので、λ=0.6389となります。
よって、指数分布は\(y=exp^{-0.6389t}\)
となります。(マイナスがあるのを注意しましょう。)
理論がわかれば、簡単なグラフから確率分布のパラメータが求めることがわかりましたね!ワイブル分布も同様に解けます!
➄ワイブル分布をワイブル確率紙で考える
まず、順序統計量
確率分布によらず、データを大きさ順に並べると順序統計量として扱ってOK!
メジアンランク法やミーンランク法で、順序統計量に沿って確率Pを求めます。

下ごしらえは順序統計量でできる
確率分布は一切関係ない!
ワイブル分布のプロット化
ワイブル分布の式を用意します。
\(R(t)\)=\(exp(-(\frac{t}{η})^m )\)
直線型に変換します!


両辺、logを取ると
\(log R(t)\)=\( -(\frac{t}{η})^m \)
マイナスを消します。
\(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \( (\frac{t}{η})^m \)
もう1回対数logをとります。
\(loglog{\frac{1}{R(t)}}\)= \( m(logt -logη)\)
よって、
\(loglog{\frac{1}{R(t)}}\)= \( m(logt -logη)\)<
で、
\(Y= loglog{\frac{1}{R(t)}}\),\( logt =X\)、\( n=-mlogη\)とおくと、
\(Y=mX+n\)
という直線にプロットすることができます。
【重要】変数の対応を確認!
式がいろいろ出てきたので、変数の対応を図で確認しましょう。

F(t)はメジアンランク法やミーンランク法から求めて、
R(t)=1-F(t)の関係からR(t)が計算できます。
確率分布の式を直線型に変換したので、それに対応して計算します。
昭和の時代は、計算機が無かったから、ワイブル確率紙が必須だった。
でも、今はExcel、関数電卓、スマホからlogの計算が楽勝にできる!
だから、ワイブル確率紙の使い方より、ワイブル分布の定数の導出方法や理論を理解する方が大事なんです!
例題で確認
データを用意します。
10個のデータを指数分布の確率紙にプロットせよ。
1.1、0.2、2.1、0.5、3.4、2.5、2.8、0.8、0.4、1.6
小さい順に並べて、メジアンランク法から確率を導出
データを並び替えると、
0.2、0.4、0.5、0.8、1.1、1.6、2.1、2.5、2.8、3.4
です。
これをメジアンランク法で確率を計算しましょう。(メジアンランク法でもミーンランク法でもOKですが、)
| i |
データ |
F (メジアンランク法) F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\) |
| 1 |
0.2 |
0.067 |
| 2 |
0.4 |
0.163 |
| 3 |
0.5 |
0.26 |
| 4 |
0.8 |
0.356 |
| 5 |
1.1 |
0.452 |
| 6 |
1.6 |
0.548 |
| 7 |
2.1 |
0.644 |
| 8 |
2.5 |
0.74 |
| 9 |
2.8 |
0.837 |
| 10 |
3.4 |
0.933 |
●この表は、指数分布の例と同じです。
不信頼度はメジアンランク法かミーンランク法で求めるので、
確率分布によらず、同じ結果であることが大事です。
変数を対応させて直線プロットを描く
変数の関係は、
●変数の関係は、
・\(R(t)=1-F(t)\)
・\(X=log t=log(data)\)
・\(Y=log(log(\frac{1}{R(t)}))= log(log(\frac{1}{1-F(t)}))\)
・\(m\)は直線の傾き
・\(n=mlogη\)から\(η\)を算出
ちょっと、換算式が複雑ですが、ここが大事で、ワイブル確率紙が何をやっている紙なのかを理解するポイントです。理解するポイントがわかれば、別に、ワイブル確率紙を使わなくても、簡単なグラフで直線にできます!
計算結果を表にまとめると、
| i |
data |
F |
R=1-F |
X(=log(data)) |
Y(=ln(ln(1/R)) |
| 1 |
0.2 |
0.067 |
0.933 |
-1.61 |
-2.664 |
| 2 |
0.4 |
0.163 |
0.837 |
-0.916 |
-1.723 |
| 3 |
0.5 |
0.26 |
0.74 |
-0.693 |
-1.202 |
| 4 |
0.8 |
0.356 |
0.644 |
-0.223 |
-0.822 |
| 5 |
1.1 |
0.452 |
0.548 |
0.095 |
-0.509 |
| 6 |
1.6 |
0.548 |
0.452 |
0.47 |
-0.23 |
| 7 |
2.1 |
0.644 |
0.356 |
0.742 |
0.033 |
| 8 |
2.5 |
0.74 |
0.26 |
0.916 |
0.299 |
| 9 |
2.8 |
0.837 |
0.163 |
1.03 |
0.594 |
| 10 |
3.4 |
0.933 |
0.067 |
1.224 |
0.993 |
データをプロットします。ワイブル分布の場合は、y=mx+nの直線ですね。

指数分布にあてはめよう
図より、
Y=1.1695x-0.6441なので、
・\(m\)=1.1695
・\(n=mlogη\)=0.6441 より、\(η\)=1.734
ワイブル分布は
\(R(t)=exp(-(\frac{t}{1.734})^1.1695)\)
理論がわかれば、簡単なグラフから確率分布のパラメータが求めることがわかりましたね!ワイブル分布も同様に解けます!
ワイブル確率紙を使った結果と比較
ワイブル確率紙を使った結果を、簡単なグラフにすると、下図のようになり、

上の計算結果と比較すると、
・\(m\)=1.2(1.1695と近い結果)
・\(η\)=1.5(1.734と近い結果)
両者とも、ほぼ同じ値が算出できたことがわかります!
途中の計算が嫌なら、ワイブル確率紙を使えばいいけど、
理論を理解して自分で計算できるなら、慣れるまで時間がかかるワイブル確率紙を使わなくてもいい
ワイブル確率紙も自力でも使えるようになれば完璧ですね!
まとめ
「ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その2)」を解説しました。
- ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない(その1)
- ➁確率紙は順序統計量から入るもの(その1)
- ➂確率紙の考え方がわかる(その1)
- ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
- ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に)
- ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる!
信頼性工学