投稿者: QCプラネッツ

  • 直列系のアベイラビリティがよくわかる

    直列系のアベイラビリティがよくわかる

    「直列系のアベイラビリティがよくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    直列系のアベイラビリティがよくわかる
    • ①アベイラビリティ
    • ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂定常状態の直列系のアベイラビリティAを導出
    • ➃直列系のアベイラビリティA(t)を計算
    • ➄直列系のメリットをアベイラビリティから考える
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    ①アベイラビリティとは

    アベイラビリティとは

    信頼度を高めるには、
    「故障しないこと」以外に、
    「修理が短時間で終わること」も重要ですね。

    動作状態(アップタイムU)と休止状態(ダウンタイムD)の比を取ったものが
    「アベイラビリティ」です。

    アベイラビリティA = \(\frac{アップタイムU}{アップタイムU+ダウンタイムD}\)

    信頼性工学

    アベイラビリティは公式暗記で済ませるな!

    結局、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    になりますが、暗記より導出が大事!

    それと、

    アベイラビリティAは時間\(t\)の関数であるが、
    A(t⇒∞)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    ばかり試験や教科書しか出ないので、みんなこれを丸暗記して簡単と思ってしまう!

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。

    アベイラビリティを公式暗記するリスク

    単純な系なら、
    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    でいいのですが、直列系、並列系と応用になると、式が複雑化し、式が理解できなくなります。

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。導出方法がわかれば、どんな系でもアベイラビリティは導出できます。

    アベイラビリティの基本は、関連記事で解説しています。ご確認ください。

    【必読】アベイラビリティがよくわかる
    QCでよく出るアベイラビリティを公式暗記だけで終わっていませんか?本記事では、アベイラビリティの定義や導出を丁寧に解説! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題

    本記事では、次の例題を使って、直列系のアベイラビリティを解説します。

    1. 直列系のアベイラビリティA(t)をきちっと解く
    2. 直列系のアベイラビリティがいくらになるかを解く
    3. 直列系のメリットをアベイラビリティから理解する

    なお、わかりやすくするため、指数分布について解説します。

    直列系のアベイラビリティを考える例題

    下図のようなn個の同じ要素からなる直列系において、故障した要素を修理しつつ系を稼働させる場合の信頼度(確率)P(t)とアベイラビリティA(t)を求めたい。
     下図のシャント線図で、各状態を定義する。
    ●\(S_0\):故障しない(故障数0)の場合、またその確率を\(P_0\)とする。
    ●\(S_i\)(\(i=1,…,n\)):要素\(i\)が故障の場合、またその確率を\(P_i\)とする。
    直列系では、ある要素\(i\)が故障の場合、その修理中他の要素は停止させるとする。
    当然、\(P_0+P_1+…+P_n=1\)である。
    さらに、故障率\(λ_i\)、修理率\(μ_i\)を下図のシャント線図のように定義する。
    (1) 連立微分方程式を作れ
    (2) 定常状態(t⇒∞)における、各状態の確率\(P_i\)とアベイラビリティ\(A\)を計算せよ。
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=…=P_i(0)=…=P_n(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (4) 直列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    信頼性工学

    信頼性工学

    ちょっと長~~い問題文になったけど、重要なので1つ1つやっていきましょう。

    各問は以下でそれぞれ解説します。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
      ⇒(1)を解説
    • ➂定常状態の直列系のアベイラビリティAを導出
      ⇒(2)を解説
    • ➃直列系のアベイラビリティA(t)を計算
      ⇒(3)を解説
    • ➄直列系のメリットをアベイラビリティから考える
      ⇒(4)を解説

    信頼性工学は以下の3点の流れで解いていきます。QCプラネッツの全記事共通です。

    1. シャント線図、微分方程式の導出
    2. ラプラス変換の基本
    3. MTTF,MTBF,MTTRの導出方法
    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)
    要素が非独立な場合の信頼度は計算できますか?単純に掛け算ではできず、微分方程式から計算する必要があります。本記事では、難解な非独立系の信頼度をわかりやすく解説します。信頼性工学を学びたい方は必読です。

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
    MTTF,MTBF,MTTRの違いは説明できますか?公式暗記に頼らず自力で導出できますか?本記事では暗記に頼ることなく導出できるよう丁寧に解説します。信頼性工学は自力で導出すると理解度が一気に増します。必読です!

    連立微分方程式を作る

    シャント線図を見ながら、微分方程式を作ります。

    信頼性工学

    ●直列系のシャント線図は理解が難しいです。
    直列系なので、どれか1つが故障すると、すべてが動作停止となるため、
    1:動作中
    2:停止中
    の2つしかありません。だから、左が\(S_0\)、右が\(S_i\)となります。
    なお、どの要素で故障するかわからないので、右の状態が\(i=1,2,…,n\)と縦に並列しています。

    ●微分方程式は下のようになります。

    ●微分方程式((1)の答え)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\( (\sum_{i=1}^{n}λ_i) P_0(t)\)+\(\sum_{i=1}^{n} μ_i P_i(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_0(t)\) ―\(μ_1 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_2 P_0(t)\) ―\(μ_2 P_2(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_n(t)}{dt} \)=\(λ_n P_0(t)\) ―\(μ_n P_n(t)\)
    また、当然ですけど、全確率の和は1なので
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    初期条件は決まっている

    ●初期条件
    \(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),…,\(P_n (0)=0\)です。

    では、微分方程式をラプラス変換して解いてみましょう。

    ➂定常状態の直列系のアベイラビリティAを導出

    定常状態とは、t⇒∞で、確率の変化が0の場合です。つまり、(1)の微分方程式でいうと
    \(\displaystyle \frac{dP_i(t)}{dt} \)=0 (\(i\)=0,1,…,n)です。

    よって計算できます。

    ●微分方程式から
    0=―\( (\sum_{i=1}^{n}λ_i) P_0(t)\)+\(\sum_{i=1}^{n} μ_i P_i(t)\)
    0=\(λ_1 P_0(t)\) ―\(μ_1 P_1(t)\)
    0=\(λ_2 P_0(t)\) ―\(μ_2 P_2(t)\)

    0=\(λ_n P_0(t)\) ―\(μ_n P_n(t)\)
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    解くと、
    ●\(P_i\)=\(\frac{λ_i}{μ_i} P_0\) (\(i=1,2,…,n\))
    ●\(P_0+P_1+…+P_2=1\)
    から、

    \(P_0+(\sum_{i=1}^{n})\frac{λ_i}{μ_i})P_0=1\)
    よって、

    \(P_0\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)
    \(P_i\)=\(\frac{\frac{λ_i}{μ_i}}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\) (\(i=1,2,…,n\))
    となります。

    また、アベイラビリティ\(A\)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、
    \(A\)=\(P_0\)と定義できす。

    よって、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(A\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)

    (2)もできました。

    ➃直列系のアベイラビリティA(t)を計算

    問いを再掲

    もう一度、問と微分方程式に戻ります。

    問(再掲)
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=…=P_i(0)=…=P_n(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    ●微分方程式(再掲)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\( (\sum_{i=1}^{n}λ_i) P_0(t)\)+\(\sum_{i=1}^{n} μ_i P_i(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_0(t)\) ―\(μ_1 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_2 P_0(t)\) ―\(μ_2 P_2(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_n(t)}{dt} \)=\(λ_n P_0(t)\) ―\(μ_n P_n(t)\)
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    で、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)としてよいので、微分方程式は
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\( nλ P_0(t)\)+\( μ\sum_{i=1}^{n} P_i(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_2(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_n(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_n(t)\)
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    ラプラス変換して解析

    ラプラス変換すると微分方程式は、
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\( nλ P_0\)+\( μ\sum_{i=1}^{n} P_i\)
    ●\(sP_1 \)=\(λP_0\) ―\(μP_1\)

    ●\(sP_i \)=\(λP_0\) ―\(μP_i\)

    ●\(sP_2 \)=\(λP_0\) ―\(μP_n\)

    また、\( \sum_{i=1}^{n} P_i\)=\(1-P_0\)を使うと、\(P_0\)が簡単に計算できます。
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\( nλ P_0\)+\( μ\sum_{i=1}^{n} P_i\)
    \(sP_0 -1\)=―\( nλ P_0\)+\( μ(1-P_0)\)
    \(P_0\)=\(\frac{μ+1}{s+nλ+μ}\)

    そして、\(P_i\)は
    ●\(sP_i \)=\(\frac{λ}{s+μ}P_0\)
    =\(\frac{λ(μ+1)}{(s+μ)( s+nλ+μ)}\)

    まとめると、
    ●\(P_0\)=\(\frac{μ+1}{s+nλ+μ}\)
    ●\(sP_i \)=\(\frac{λ(μ+1)}{(s+μ)( s+nλ+μ)}\)

    逆ラプラス変換する

    ラプラス変換を逆に戻すポイントは
    \(\frac{1}{(s+a)(s+b)}\)= \(\frac{A}{s+a}+\frac{B}{s+b}\)
    と分母の積を分解することです。

    よって、
    ●\(sP_i \)=\(\frac{λ(μ+1)}{(s+μ)( s+nλ+μ)}\)
    =\(\frac{μ+1}{n} \frac{1}{s+μ}\)―\(\frac{μ+1}{n} \frac{1}{s+nλ+μ}\)

    確率\(R_i(t)\)と\(A(t)\)を解析

    逆ラプラス変換すると

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)
    ●\(P_i (t)\)=\( \frac{μ+1}{n} e^{-μt}\)―\( \frac{μ+1}{n} e^{-(nλ+μ)t}\)

    計算は正しいですが、\(P_0 (t)\)=1でなく、\(μ+1\)とずれます。これは今後課題解決します!
    とにかく、解き方は並列系と同じ流れで解けることを理解しましょう。

    アベイラビリティA(t)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、
    \(A\)=\(P_0\)と定義できす。

    よって、アベイラビリティA(t)は
    \(A(t)\)= \(P_0 (t)\)=\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)

    (3)の答えをまとめると、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)
    ●\(P_i (t)\)=\( \frac{μ+1}{n} e^{-μt}\)―\( \frac{μ+1}{n} e^{-(nλ+μ)t}\)
    ◎\(A(t)\) =\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)

    できましたね。

    ➃直列系のメリットをアベイラビリティから考える

    問を再掲します。計算した確率とアベイラビリティの時刻tにおける極限値を考えます。

    【問を再掲】
    (4) 直列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    直列系をアベイラビリティから考える

    (2)の解で定常状態のアベイラビリティ\(A\)は

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(A\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)

    見やすくするために、\(λ_i\)=\(λ\)、\(μ_i\)=\(μ\)とおくと、
    ●\(A\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)
    =\(\frac{1}{1+n \frac{λ}{μ} }\)
    となり、

    要素の個数nを増やすと
    アベイラビリティAは低下します。

    直列系ですから、1つでも故障すると全体が動作できません。それだけ、故障リスクが増大するため、アベイラビリティが低下することとつながっていますね。

    直列系のメリットよりかは、デメリットがアベイラビリティからもよく理解できました。

    まとめ

    「直列系のアベイラビリティがよくわかる」を解説しました。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂直列系のアベイラビリティA(t)を導出
    • ➃直列系のアベイラビリティA(∞)を計算
    • ➄直列系のメリットをアベイラビリティから考える

  • 並列系のアベイラビリティがよくわかる

    並列系のアベイラビリティがよくわかる

    「並列系のアベイラビリティがよくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    並列系のアベイラビリティがよくわかる
    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算
    • ➄並列系のメリットをアベイラビリティから考える
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    ①アベイラビリティとは

    アベイラビリティとは

    信頼度を高めるには、
    「故障しないこと」以外に、
    「修理が短時間で終わること」も重要ですね。

    動作状態(アップタイムU)と休止状態(ダウンタイムD)の比を取ったものが
    「アベイラビリティ」です。

    アベイラビリティA = \(\frac{アップタイムU}{アップタイムU+ダウンタイムD}\)

    信頼性工学

    アベイラビリティは公式暗記で済ませるな!

    結局、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    になりますが、暗記より導出が大事!

    それと、

    アベイラビリティAは時間\(t\)の関数であるが、
    A(t⇒∞)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    ばかり試験や教科書しか出ないので、みんなこれを丸暗記して簡単と思ってしまう!

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。

    アベイラビリティを公式暗記するリスク

    単純な系なら、
    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    でいいのですが、並列系、直列系と応用になると、式が複雑化し、式が理解できなくなります。

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。導出方法がわかれば、どんな系でもアベイラビリティは導出できます。

    アベイラビリティの基本は、関連記事で解説しています。ご確認ください。

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    ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題

    本記事では、次の例題を使って、並列系のアベイラビリティを解説します。

    1. 並列系のアベイラビリティA(t)をきちっと解く
    2. 並列系のアベイラビリティがいくらになるかを解く
    3. 並列系のメリットをアベイラビリティから理解する

    なお、わかりやすくするため、指数分布について解説します。

    並列系のアベイラビリティを考える例題

    下図のような2個の同じ要素からなる並列系において、故障した要素を修理しつつ系を稼働させる場合の信頼度(確率)P(t)とアベイラビリティA(t)を求めたい。
     下図のシャント線図で、各状態を定義する。
    ●\(S_0\):故障しない(故障数0)の場合、またその確率を\(P_0\)とする。
    ●\(S_1\):故障が1個(故障数1)の場合、またその確率を\(P_1\)とする。
    ●\(S_2\):すべて故障する(故障数2)の場合、またその確率を\(P_2\)とする。
    当然、\(P_0+P_1+P_2=1\)である。
    さらに、故障率\(λ_i\)、修理率\(μ_i\)を下図のシャント線図のように定義する。
    (1) 連立微分方程式を作れ
    (2) 定常状態(t⇒∞)における、各状態の確率\(P_i\)とアベイラビリティ\(A\)を計算せよ。
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=P_2(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (4) (3)の結果をt⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (5) 並列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    信頼性工学

    信頼性工学

    ちょっと長~~い問題文になったけど、重要なので1つ1つやっていきましょう。

    各問は以下でそれぞれ解説します。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
      ⇒(1)を解説
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
      ⇒(2)を解説
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算
      ⇒(3)を解説
    • ➄並列系のメリットをアベイラビリティから考える
      ⇒(4)(5)を解説

    信頼性工学は以下の3点の流れで解いていきます。QCプラネッツの全記事共通です。

    1. シャント線図、微分方程式の導出
    2. ラプラス変換の基本
    3. MTTF,MTBF,MTTRの導出方法
    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

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    要素が非独立な場合の信頼度は計算できますか?単純に掛け算ではできず、微分方程式から計算する必要があります。本記事では、難解な非独立系の信頼度をわかりやすく解説します。信頼性工学を学びたい方は必読です。

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    連立微分方程式を作る

    シャント線図を見ながら、微分方程式を作ります。

    信頼性工学

    ●微分方程式は下のようになります。

    ●微分方程式((1)の答え)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)+\(μ_1 P_2(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\) ―\(μ_1 P_2(t)\)

    初期条件は決まっている

    ●初期条件
    \(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),\(P_2 (0)=0\)です。

    では、微分方程式をラプラス変換して解いてみましょう。

    ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出

    定常状態とは、t⇒∞で、確率の変化が0の場合です。つまり、(1)の微分方程式でいうと
    \(\displaystyle \frac{dP_i(t)}{dt} \)=0 (\(i\)=0,1,2)です。

    よって計算できます。

    ●微分方程式から
    0=―\(λ_0 P_0\)+\(μ_0 P_1\)
    0=\(λ_0 P_0\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1\)+\(μ_1 P_2\)
    0=\(λ_1 P_1\) ―\(μ_1 P_2\)
    \(P_0+P_1+P_2=1\)

    解くと、
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_0}{μ_0} P_0\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_1}{μ_1} P_1\)
    ●\(P_0+P_1+P_2=1\)
    から、

    また、アベイラビリティ\(A\)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、すべて故障する\(P_2\)以外の確率がアベイラビリティと定義できす。
    \(P_0+P_1+P_2=1\)から
    \(A=P_0+P_1=1-P_2\)と定義できます。

    よって、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(P_0\)=\(\frac{μ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_0 λ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(A\)=\(\frac{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1 }{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)

    (2)もできました。

    ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算

    問いを再掲

    もう一度、問と微分方程式に戻ります。

    問(再掲)
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=P_2(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    微分方程式(再掲)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)+\(μ_1 P_2(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\) ―\(μ_1 P_2(t)\)
    ●初期条件:\(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),\(P_2 (0)=0\)

    で、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)としてよいので、微分方程式は
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ P_0(t)\)+\( λ P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ P_0(t)\) ―\((2λ)P_1(t)\)+\( λ P_2(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ P_1(t)\) ―\(λ P_2(t)\)

    ラプラス変換して解析

    ラプラス変換すると微分方程式は、
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\(λ P_0\)+\( λ P_1\)
    ●\(sP_1 \)=\(λ P_0\) ―\(2λP_1\)+\( λ P_2\)
    ●\(sP_2 \)=\(λ P_1\) ―\(λ P_2\)

    3つの両辺を足すと
    \(P_0 +P_1 +P_2 \)=\(\frac{1}{s}\)

    ここから計算が大変。。。でも頑張って解いた結果なので読んで欲しいし、是非解いてみてください。良い計算練習になります!

    ●\(P_1\)=\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ}{s+λ}P_1\)
    と変形して、
    \(P_0 +P_1 +P_2 \)=\(\frac{1}{s}\)
    に代入すると、\(P_0\)が求まります。

    \(P_0\)を計算

    \(P_0\)+\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)+\(\frac{λ}{s+λ} \frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)=\(\frac{1}{s}\)
    よって、
    \(P_0\)=\(\frac{1}{s+3λ}(1+\frac{λ}{s+λ}+\frac{λ}{s})\)

    ラプラス変換を逆に戻すポイントは
    \(\frac{1}{(s+a)(s+b)}\)= \(\frac{A}{s+a}+\frac{B}{s+b}\)
    と分母の積を分解することです。

    よって、
    \(P_0\)=\(\frac{1}{s+3λ}(1+\frac{λ}{s+λ}+\frac{λ}{s})\)
    \(P_0\)=\(\frac{1}{6} \frac{1}{ s+3λ}\)+\(\frac{1}{2} \frac{1}{ s+λ}\)+\(\frac{1}{3} \frac{1}{ s }\)

    \(P_1\)を計算

    \(P_1\)=\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)
    =\(\frac{(s+λ)P_0}{λ} -\frac{1}{λ}\)
    =\(\frac{(s+λ)}{λ}\)(\(\frac{1}{6} \frac{1}{s+3λ}\)+\(\frac{1}{2} \frac{1}{ s+λ}\)+\(\frac{1}{3} \frac{1}{ s }))\) -\(\frac{1}{λ}\)
    よって、
    \(P_1\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{3(s+3λ)}\)

    \(P_2\)を計算

    \(P_2\)=\(\frac{λ}{s+λ}P_1\)
    =\(\frac{λ}{s+λ}\)(\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{3(s+3λ)}\))
    \(P_2\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{2} \frac{1}{s+λ}\)+\(\frac{1}{6} \frac{1}{s+3λ}\)

    まとめると、

    ●\(P_0\)=\(\frac{1}{6} \frac{1}{ s+3λ}\)+\(\frac{1}{2} \frac{1}{ s+λ}\)+\(\frac{1}{3} \frac{1}{ s }\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{3(s+3λ)}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{2} \frac{1}{s+λ}\)+\(\frac{1}{6} \frac{1}{s+3λ}\)

    確率\(R_i(t)\)と\(A(t)\)を解析

    逆ラプラス変換すると

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{3} e^{-3λt}\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)

    ちなみに、\(P_0 (t)\)+ \(P_1 (t)\)+ \(P_2 (t)\)=1となっていますね。

    アベイラビリティA(t)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、すべて故障する\(P_2\)以外の確率がアベイラビリティと定義できす。
    \(P_0+P_1+P_2=1\)から
    \(A=P_0+P_1=1-P_2\)と定義できます。

    よって、アベイラビリティA(t)は
    \(A(t)\)= \(P_0 (t)\)+ \(P_1 (t)\)
    \(A(t)\)=\(\frac{2}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)-\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)

    (3)の答えをまとめると、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{3} e^{-3λt}\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)
    ◎\(A(t)\)=\(\frac{2}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)-\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)

    できましたね。

    グラフに描くとこんな感じになります。

    信頼性工学

    確率は1/3で、アベイラビリティは2/3に収束しているのがよくわかりますね。

    ➃並列系のメリットをアベイラビリティから考える

    問を再掲します。計算した確率とアベイラビリティの時刻tにおける極限値を考えます。

    【問を再掲】
    (4) (3)の結果をt⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (5) 並列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    (4)は(2)の結果に一致する!

    問(3)の極限値を計算すると、グラフからも明らかのように、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{3} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{1}{3}\)
    ◎\(A(t)\)=\(\frac{2}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)-\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{2}{3}\)

    にそれぞれ、収束します。

    ちなみに、定常状態で計算した確率とアベイラビリティを再掲すると、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(P_0\)=\(\frac{μ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_0 λ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(A\)=\(\frac{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1 }{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)

    で、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)と代入すると、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(P_0\)=\(\frac{λ^2}{λ^2+λ^2+λ^2}\)=\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{1}{3}\)
    ●\(A\)=\(\frac{2}{3}\)

    となり、

    \(P_i (t)\),\(A(t)\)から極限値を求めた結果と、定常状態から求めた結果が一致しました!計算よく頑張った!

    (5)の並列系のメリットとは?

    アベイラビリティは\(\frac{2}{3}\)に収束しました。

    もし、並列系でなく、故障率λ=修理率μなら、アベイラビリティはいくらになりますか? 
    単純に\(\frac{1}{2}\)ですよね。

    並列系にするとアベイラビリティは向上する。今回の例では、1/2から2/3に向上するのがわかる

    これ、結構大事な考察結果です。並列系するメリットがアベイラビリティからもわかるわけです。

    並列系のアベイラビリティはこれだけやれば十分!

    まとめ

    「並列系のアベイラビリティがよくわかる」を解説しました。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂並列系のアベイラビリティA(t)を導出
    • ➃並列系のアベイラビリティA(∞)を計算
    • ➄並列系のメリットをアベイラビリティから考える

  • 【必読】アベイラビリティがよくわかる

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    「アベイラビリティがよくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    アベイラビリティがよくわかる
    • ①アベイラビリティとは
    • ➁アベイラビリティの導出
    • ➂アベイラビリティの注意点
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    ①アベイラビリティとは

    アベイラビリティとは

    信頼度を高めるには、
    「故障しないこと」以外に、
    「修理が短時間で終わること」も重要ですね。

    動作状態(アップタイムU)と休止状態(ダウンタイムD)の比を取ったものが
    「アベイラビリティ」です。

    アベイラビリティA = \(\frac{アップタイムU}{アップタイムU+ダウンタイムD}\)

    信頼性工学

    アベイラビリティは公式暗記で済ませるな!

    結局、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    になりますが、暗記より導出が大事!

    それと、

    アベイラビリティAは時間\(t\)の関数であるが、
    A(t⇒∞)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    ばかり試験や教科書しか出ないので、みんなこれを丸暗記して簡単と思ってしまう!

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。

    アベイラビリティを公式暗記するリスク

    単純な系なら、
    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    でいいのですが、並列系、直列系と応用になると、式が複雑化し、式が理解できなくなります。

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。導出方法がわかれば、どんな系でもアベイラビリティは導出できます。

    ➁アベイラビリティの導出

    公式暗記で点数稼ぎは短期的には効果がありますが、本質を理解していないのでマズイ!

    1つの系で2つの初期条件の場合から、時間の関数であるアベイラビリティA(t)を作ってみましょう。3つの流れで進めていきます。

    1. 基礎要素からモデル式を作る
    2. 2つの初期条件でそれぞれアベイラビリティを計算
    3. アベイラビリティA(t)をA(t⇒∞)にするとどうなるか?

    なお、わかりすくするため、指数分布について解説します。

    また、次の3つの関連記事で導出の基本を解説しています。確認ください。

    1. シャント線図、微分方程式の導出
    2. ラプラス変換の基本
    3. MTTF,MTBF,MTTRの導出方法
    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

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    (i) 基礎要素からモデル式を作る

    次のような修理を伴う要素を考えます。シャント線図を描きます。

    信頼性工学

    \(S_0\)は正常状態、\(S_1\)は故障状態、λは故障率、μは修理率とします。
    ある時刻tにおいて、系が正常状態\(S_0\)、故障状態\(S_1\)である確率を\(P_0(t)\),\(P_1(t)\)とすると、次の微分方程式が作れます。

    微分方程式の作り方は上の関連記事で解説しています。

    ●モデル式
    \(P_0 (t+Δ)\)= \(P_0 (t)\)―\(P_0(t)λΔt\)+\(P_1(t)μΔt\)
    \(P_1 (t+Δ)\)= \(P_1 (t)\)+\(P_0(t)λΔt\)―\(P_1(t)μΔt\)
    から

    ●微分方程式
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λP_0(t)\)+\(μP_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_1(t)\)

    (ii) 2つの初期条件でそれぞれアベイラビリティを計算

    2つの初期条件とは、

    ●初期条件
    (A) 時刻t=0で系は正常状態⇒\(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\)の場合
    (B) 時刻t=0で系は故障状態⇒\(P_0 (0)=0\),\(P_1 (0)=1\)の場合

    では、微分方程式をラプラス変換して解いてみましょう。

    (A) 時刻t=0で系は正常状態の場合

    ラプラス変換すると
    \(sP_0 -P(0)\)=\(―λP_0 +μP_1\)
    \(sP_1 -P(1)\)=\(λP_0 ―μP_1\)
    となります。

    初期条件を代入して、
    \(sP_0 -1\)=\(―λP_0 +μP_1\)
    \(sP_1\)=\(λP_0 ―μP_1\)

    この連立方程式を解くと、
    ●\( P_0\)=\(\frac{s+μ}{s(s+μ+λ)}\)
    =\(\frac{μ}{μ+λ} \frac{1}{s}\)+\(\frac{λ}{μ+λ} \frac{1}{s+μ+λ}\)
    ●\( P_1\)=\(\frac{λ}{s(s+μ+λ)}\)
    =\(\frac{λ}{μ+λ} \frac{1}{s}\)―\(\frac{λ}{μ+λ} \frac{1}{s+μ+λ}\)

    ラプラス変換から元に戻すと、
    ●\( P_0(t)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)+\(\frac{λ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)
    ●\( P_1\)=\(\frac{λ}{μ+λ} \)―\(\frac{λ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)

    次に、アベイラビリティ\(A(t)\)を考えます。

    アベイラビリティ\(A(t)\)は、時刻tにて稼働状態である確率なので、
    \(A(t)\)= \( P_0(t)\)となります。よって、
    \(A(t)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)+\(\frac{λ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)

    (B) 時刻t=0で系は故障状態の場合

    同様にラプラス変換すると
    \(sP_0 -P(0)\)=\(―λP_0 +μP_1\)
    \(sP_1 -P(1)\)=\(λP_0 ―μP_1\)
    となります。

    初期条件を代入して、
    \(sP_0 \)=\(―λP_0 +μP_1\)
    \(sP_1-1\)=\(λP_0 ―μP_1\)

    この連立方程式を解くと、
    ●\( P_0\)=\(\frac{μ}{s(s+μ+λ)}\)
    =\(\frac{μ}{μ+λ} \frac{1}{s}\)―\(\frac{μ}{μ+λ} \frac{1}{s+μ+λ}\)
    ●\( P_1\)=\(\frac{s+λ}{s(s+μ+λ)}\)
    =\(\frac{λ}{μ+λ} \frac{1}{s}\)+\(\frac{μ}{μ+λ} \frac{1}{s+μ+λ}\)

    ラプラス変換から元に戻すと、
    ●\( P_0(t)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)―\(\frac{μ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)
    ●\( P_1\)=\(\frac{λ}{μ+λ} \)+\(\frac{μ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)

    次に、アベイラビリティ\(A(t)\)を考えます。

    アベイラビリティ\(A(t)\)は、時刻tにて稼働状態である確率なので、
    \(A(t)\)= \( P_0(t)\)となります。よって、
    \(A(t)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)―\(\frac{μ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)

    (iii) アベイラビリティA(t)をA(t⇒∞)にするとどうなるか?

    (ii)で2通りのアベイラビリティを計算しました。

    アベイラビリティ\(A(t)\)は、時刻tにて稼働状態である確率なので、
    (i)\(A(t)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)+\(\frac{λ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)
    (ii)\(A(t)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)―\(\frac{μ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)

    グラフを描いてみましょう。

    信頼性工学

    時刻t=0の状態は0,1と異なりますが、時間が経過すると1点に収束しているのがわかります。しかも、
    \(A(t⇒∞)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)+\(\frac{λ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)⇒\(\frac{μ}{μ+λ}\)
    \(A(t⇒∞)\)= \(\frac{μ}{μ+λ}\)―\(\frac{μ}{μ+λ} e^{-(μ+λ)t}\)⇒\(\frac{μ}{μ+λ}\)
    と、 \(\frac{μ}{μ+λ}\)に収束していますね。

    しかも、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\) \(\frac{μ}{μ+λ}\)
    と公式と一致しています。

    だから、結果だけ公式暗記してもよいですが、
    応用を利かすために導出方法も理解しておきましょう。

    ➂アベイラビリティの注意点

    アベイラビリティは万能ではなく、次の注意点が必要です。

    アベイラビリティは同じでも、
    故障のしやすさ、しにくさは区別できない。

    例をあげます。

    信頼性工学

    アップとダウンの時間比は同じでも、
    故障頻度は測れない

    短期間で故障が頻発しても、復旧が速いと、アベイラビリティは高いと判断する場合があります。

    指標は万能ではないので、よく吟味して評価しましょう。

    まとめ

    「アベイラビリティがよくわかる」を解説しました。

    • ①アベイラビリティとは
    • ➁アベイラビリティの導出
    • ➂アベイラビリティの注意点

  • 【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる

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    本記事のテーマ

    MTTF、MTBFとMTTRが導出できる
    • ①MTTF,MTBFとMTTR
    • ➁MTTF,MTBFの導出ができる
    • ➂MTTRの導出ができる
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    ①MTTF,MTBFとMTTR

    MTTF,MTBFとMTTRとは

    3兄弟、「MTTF,MTBFとMTTR」。

    でも、どれがどれだったっけ?で試験でよく間違える3兄弟。

    略語 用語 公式
    MTTF Mean Time To Failure 非修理系 \(\frac{1}{λ}\)
    MTBF Mean Time Between Failure 修理系 \(\frac{1}{λ}\)
    MTTR Mean Time To Repair 修理系 \(\frac{1}{μ}\)

    と表にまとめて、区別して暗記していませんか?

    公式暗記せず導出できるようになろう!

    試験対策の公式暗記から
    ちゃんと自力で導出できた方がいい!
    試験は力量を測るもの。
    楽して公式暗記しても中身が分かっていないと
    高得点取っても意味がない

    本記事では、3兄弟「MTTF,MTBFとMTTR」を導出します。

    MTTF,MTBF と
    MTTR
    全く同じ流れで導出できます。
    流れ MTTF,MTBF MTTR
    (1) 微分方程式を作る 微分方程式を作る
    (2) R(t)の導出 G(t)の導出
    (3) MTTF,MTBFを計算する MTTRを計算する

    上表の流れで解説していきます。

    ➁MTTF,MTBFの導出ができる

    微分方程式を作る

    故障の時間変化を下図のように考えます。

    MTTF,MTBF

    ●図から以下のように定義します。

    (i) \(R(t)\):時刻t以降で故障する確率、つまり、時刻tまでは故障しない確率
    (ii) 1-\(R(t)\):時刻tまでで故障する確率
    (iii) \(f(t)\):故障確率の確率密度関数で \(f(t)\)= -\(\displaystyle \frac{dR(t)}{dt} \)とする。
    (iv) \(f(t)dt\):微小時間\(dt\)の間で故障する確率(長方形の面積で求める)

    ここで、故障率\(λ(t)\)について、微小時間\(dt\)との積\(λ(t)dt\)を
    (微小時間の間で故障する面積)÷(時刻t以前で故障しない確率)
    で計算しましょう。

    時刻tまでは故障しなかったけど、微小時間\(dt\)経過したら、故障した確率が故障率\(λ(t)\)につながると考えます。

    式は次のようになります。
    \(λ(t)dt\)=\(\frac{f(t)dt}{R(t)}\)

    この微分方程式を解いていきます。

    R(t)の導出

    微分方程式\(λ(t)dt\)=\(\frac{f(t)dt}{R(t)}\)を解きます。

    変形すると
    \(λ(t)\)=\(\frac{f(t)}{R(t)}\)

    次に、
    \(f(t)\)= -\(\displaystyle \frac{dR(t)}{dt} \)
    を代入します。

    \(λ(t)\)=-\(\frac{dR(t)}{R(t)}・\frac{1}{dt}\)
    \(λ(t)dt\)=-\(\frac{dR(t)}{R(t)}\)

    両辺を積分すると、
    \( \displaystyle \int_{0}^{t} λ(t)dt \)=-\(logR\)
    \(R(t)\)=\(exp(-\displaystyle \int_{0}^{t} λ(t)dt)\)
    と解けました。

    MTTF,MTBFを計算する

    MTTFとMTBFは非修理系か修理系かの違いで、計算は同じです。

    MTTFとMTBF = \( \displaystyle \int_{0}^{∞} tf(t)dt \)ですね。

    指数分布の場合で計算する

    ここで、
    \(R(t)\)=\(exp(-λt)\)
    \(f(t)\)=\(λexp(-λt)\)
    とおきます。

    MTTFとMTBF = \( \displaystyle \int_{0}^{∞} tf(t)dt \)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{∞} λt exp(-λt)dt \)
    =\(λ\left[ -\frac{1}{λ} t exp^{-λt} -\frac{1}{λ^2} e^{-λt} \right]_{0}^{∞}\)
    =\(\frac{1}{λ}\)

    計算できましたね。

    全く同じ流れでMTTRも導出します。

    ➂MTTRの導出ができる

    微分方程式を作る

    故障の時間変化を下図のように考えます。

    MTTR

    ●図から以下のように定義します。

    (i) \(1-G(t)\):時刻t以降で修理完了する確率、つまり、時刻tまでは修理完了しない確率
    (ii) \(G(t)\):時刻tまでで修理完了確率
    (iii) \(g(t)\):修理確率の確率密度関数で \(g(t)\)= \(\displaystyle \frac{dG(t)}{dt} \)とする。
    (iv) \(g(t)dt\):微小時間\(dt\)の間で修理する確率(長方形の面積で求める)

    ここで、修理率\(μ(t)\)について、微小時間\(dt\)との積\(μ(t)dt\)を
    (微小時間の間で修理完了する面積)÷(時刻t以前で修理完成しない確率)
    で計算しましょう。

    時刻tまでは修理完了しなかったけど、微小時間\(dt\)経過したら、修理完了した確率が修理率\(μ(t)\)につながると考えます。

    式は次のようになります。
    \(μ(t)dt\)=\(\frac{g(t)dt}{1-G(t)}\)

    考え方は同じでも、故障と修理では若干式が変わります。変わった点だけ理解すればOKです。
    ●故障:\(λ(t)dt\)=\(\frac{f(t)dt}{R(t)}\)
    ●修理:\(μ(t)dt\)=\(\frac{g(t)dt}{1-G(t)}\)

    この微分方程式を解いていきます。

    G(t)の導出

    微分方程式\(μ(t)dt\)=\(\frac{g(t)dt}{1-G(t)}\)を解きます。

    変形すると
    \(μ(t)\)=\(\frac{g(t)}{1-G(t)}\)

    次に、
    \(g(t)\)= \(\displaystyle \frac{dG(t)}{dt} \)
    を代入します。

    \(μ(t)\)=-\(\frac{1}{G(t)-1}・\frac{dG}{dt}\)
    \(μ(t)dt\)=-\(\frac{dG(t)}{G(t)-1}\)

    両辺を積分すると、
    \( \displaystyle \int_{0}^{t} μ(t)dt \)=-\(log|G(t)-1|\)
    \(|G(t)-1|\)=\(exp(-\displaystyle \int_{0}^{t} μ(t)dt)\)
    ここで、\(G(t)\)は確率で1以下だから、絶対値を外すときに注意して、
    \(1-G(t)\)=\(exp(-\displaystyle \int_{0}^{t} μ(t)dt)\)
    よって、
    \(G(t)\)=1-\(exp(-\displaystyle \int_{0}^{t} μ(t)dt)\)
    と解けました。

    MTTRを計算する

    MTTR = \( \displaystyle \int_{0}^{∞} tg(t)dt \)ですね。MTTF,MTBFと同じ考えてで導出できます。

    指数分布の場合で計算する

    ここで、
    \(G(t)\)=1-\(exp(-μt)\)
    \(fg(t)\)=\(μexp(-μt)\)
    とおきます。

    MTTR = \( \displaystyle \int_{0}^{∞} tg(t)dt \)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{∞} μt exp(-μt)dt \)
    =\(μ\left[ -\frac{1}{μ} t exp^{-μt} -\frac{1}{μ^2} e^{-μt} \right]_{0}^{∞}\)
    =\(\frac{1}{μ}\)

    計算できましたね。

    MTTF,MTBFとMTTRは全く別物ですが、
    MTTF,MTBF =\(\frac{1}{λ}\) :λは故障率
    MTTR=\(\frac{1}{μ}\) :μは修理率
    と同じ感じになります。不思議ですけど。
    MTTF,MTBF =\(\frac{1}{λ}\)とMTTR=\(\frac{1}{μ}\)は
    同じ感じなので、混同しないよう要注意です。

    公式暗記不要で、自力で導出できます!

    まとめ

    「MTTF、MTBFとMTTRが導出できる」を解説しました。

    • ①MTTF,MTBFとMTTR
    • ➁MTTF,MTBFの導出ができる
    • ➂MTTRの導出ができる

  • 要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(不完全修理系)

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(不完全修理系)

    「要素の故障が非独立な系の信頼度が計算できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(不完全修理系)
    • ①独立な場合と非独立な場合の違い
    • ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン
    • ➂解法パターン
    • ➃不完全修理系を学ぶ
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    ①独立な場合と非独立な場合の違い

    独立系とは

    中学生でも理解できるほど、簡単なのは、
    要素間の信頼性は独立だからです。

    1. 要素間の故障は独立している
    2. 全体系の信頼度は要素の信頼度の積で計算できる
    3. 簡単に計算できる

    例題

    次の信頼度はどう計算しますか?

    信頼性工学

    単純に、R×R×R×…×R=Rnと掛け算すれば出ますよね。
    この単純さは、各要素が独立して一定の信頼度(故障率)をもっていると仮定しているからです

    非独立系とは

    では、各要素が互いに影響し合うと、全体の信頼度はどうやって計算しますか?

    イメージは、

    故障要素が増すと、故障していない要素にかかる負荷が増加するため、故障率が増大するので、各要素の故障は独立できなくなる

    難しそうですよね。

    1. 要素間の故障は独立できない
    2. 全体系の信頼度は要素間の関係式から求めないと算出できない
    3. 計算が一気に難しくなる

    要素の故障も故障の状態や時間によって、信頼度が変化するので、微分方程式を立てて、全体の信頼度を
    計算する必要があります。

    非独立系は難しいので、本記事で解説します!
    独立系の計算は、お子ちゃまレベル
    非独立系の計算になって、大人とみなす
    そんな感じです。

    ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン

    本記事では、その3の「完全修理系」を解説します。最もシンプルな系です。

    QCプラネッツでは次の3つの非独立系の信頼度を解説します。

    1. 非修理系
    2. 不完全修理系
    3. 完全修理系

    ➂解法パターン

    どのパターンも次の3つの流れで解いていきます。同じ解法なので、安心して理解できます!

    1. シャノン線図を描く
    2. 微分方程式を作る
    3. ラプラス変換して計算

    では、「不完全修理系」を解説します!

    ➃不完全修理系を学ぶ

    例題

    \(n\)要素並列系を考える。各要素は同種とする。系にかかる全負荷は時間的に一定であるが、故障要素が増加するとともに、故障していない要素にかかる負荷は増加し、故障率が増大するとする。また、各要素の故障率を\(λ_i\)、各要素の修復率を\(μ_i\)とする。
    下図のように各状態\(S_i\)を以下のように定義する。
    ●\(S_0\):どの要素も故障していない状態
    ●\(S_1\):1個故障した状態
    ●\(S_2\):2個すべて故障した状態
    (1)各要素の故障率\(P_i(t)\)を求めるための微分方程式を作れ。
    (2)各要素の故障率\(P_n(t)\)を求めよ。

    不完全系は式がややこしいので、状態は0,1,2だけとします。

    信頼性工学

    どうですか? 一気に難しくなりましたね。

    解法

    3つの流れで解きます。

    1. シャノン線図を描く
    2. 微分方程式を作る
    3. ラプラス変換して計算

    1.シャノン線図を描く

    シャノン線図といいますが、別に何でもよく、
    各要素の関係性がわかる図であればOKです。

    上図のとおりですね。

    2. 微分方程式を作る

    ある時刻\(t\)から\(t+dt\)だけ時間が経つと、各要素の故障率\(Pi(t)\)はどう変化するか、図を見ながら関係式を作ります。

    各要素の故障率は、故障と修復の関係を式に書けばOKです。
    ●\(P_0(t+dt)\)=\(P_0(t)\)-(\(λ_1 P_0 dt\)-\(μP_1 dt\))
    ●\(P_1(t+dt)\)=\(P_1(t)\)-(\(λ_2 P_1 dt\))+(\(λ_1 P_0 dt\)-\(μP_1 dt\))
    ●\(P_2(t+dt)\)=\(P_2(t)\) +(\(λ_2 P_1 dt\)

    両辺を\(dt\)で割ると、
    \(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=-\(λ_1 P_0\)+\(μP_1\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(λ_1 P_0\)-(\(λ_2 P_1 \)+\(μP_1 \))
    \(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(λ_2 P_1 \)

    微分方程式になりましたね!

    なお、初期条件は
    \(P_0(0)\)=1
    \(P_i(0)\)=0 (\(i=1,2\))
    \(P_0(t)\)+ \(P_1(t)\)+…+\(P_2(t)\)=1

    連立微分方程式ができました。

    3. ラプラス変換して計算

    ラプラス変換については関連記事で解説しています。

    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    実際にラプラス変換すると、
    ●\(sP_0-P_0(0)\)=-\(λ_1 P_0 \)+\(μP_1 \)
    ●\(sP_1\)=\(λ_1 P_0 \)-(\(λ_2 P_1 \)+\(μP_1 \))
    ●\(sP_2\)= \(λ_2 P_1 \)

    まとめると、
    ●\(P_0\)=\(\frac{s+λ_2+μ}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_1}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_1 λ_2}{s((s+λ_1)(s+λ_2)+sμ)}\)

    綺麗まとまりましたが、
    ここで1つ困ったことがありまして、

    ここから式が煩雑になります。綺麗に因数分解ができないので。

    \(\frac{1}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)が綺麗に
    \(\frac{1}{(s+a)}- \frac{1}{(s+b)}\)と定数\(a,b\)が整数になりません。

    2次方程式
    \((s+λ_1)(s+λ_2)+sμ\)=0
    の\(s\)の解が\(\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)の√が入ったままで計算しないといけません。

    なので、文字でおいて解を求める事にします。

    文字でおいて解を求める

    まとめると、
    ●\(P_0\)=\(\frac{s+λ_2+μ}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_1}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_1 λ_2}{s((s+λ_1)(s+λ_2)+sμ)}\)
    から、

    ●\(P_0\)=\(\frac{s+λ_2+μ}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    =\(\frac{A}{s+α}\)-\(\frac{B}{s+β}\)
    と、定数\(A,B,α,β\)を置きます。

    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_1}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    =\(\frac{C}{s+α}\)-\(\frac{D}{s+β}\)
    と、定数\(C,D,α,β\)を置きます。

    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_1 λ_2}{s((s+λ_1)(s+λ_2)+sμ)}\)
    の分母は\(s\)の3次式なので、
    =\(\frac{E}{s+γ}\)-\(\frac{F}{s+δ}\)-\(\frac{G}{s+ε}\)
    と、定数\(E,F,G,γ,δ,ε\)を置きます。

    逆ラプラス変換すると

    ●\(P_0\)=\(\frac{s+λ_2+μ}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    =\(\frac{A}{s+α}\)-\(\frac{B}{s+β}\)
    より、
    \(P_0(t)\)=\(A e^{-αt}\)-\(B e^{-βt}\)
    となります。

    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_1}{(s+λ_1)(s+λ_2)+sμ}\)
    =\(\frac{C}{s+α}\)-\(\frac{D}{s+β}\)
    より、
    \(P_1(t)\)=\(C e^{-αt}\)-\(D e^{-βt}\)
    となります。

    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_1 λ_2}{s((s+λ_1)(s+λ_2)+sμ)}\)
    =\(\frac{E}{s+γ}\)-\(\frac{F}{s+δ}\)-\(\frac{G}{s+ε}\)
    より、
    \(P_2(t)\)=\(E e^{-γt}\)-\(F e^{-δt}\)-\(G e^{-εt}\)
    となります。

    不完全修理系の解き方が理解できました。
    けど、計算が煩雑ですね。
    だから、解説する教材が少ないのですが、今回解説しました!

    まとめ

    「要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(不完全修理系)」を解説しました。

    • ①独立な場合と非独立な場合の違い
    • ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン
    • ➂解法パターン
    • ➃不完全修理系を学ぶ

  • 要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(完全修理系)

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(完全修理系)

    「要素の故障が非独立な系の信頼度が計算できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(完全修理系)
    • ①独立な場合と非独立な場合の違い
    • ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン
    • ➂解法パターン
    • ➃完全修理系を学ぶ
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    ①独立な場合と非独立な場合の違い

    独立系とは

    中学生でも理解できるほど、簡単なのは、
    要素間の信頼性は独立だからです。

    1. 要素間の故障は独立している
    2. 全体系の信頼度は要素の信頼度の積で計算できる
    3. 簡単に計算できる

    例題

    次の信頼度はどう計算しますか?

    信頼性工学

    単純に、R×R×R×…×R=Rnと掛け算すれば出ますよね。
    この単純さは、各要素が独立して一定の信頼度(故障率)をもっていると仮定しているからです

    非独立系とは

    では、各要素が互いに影響し合うと、全体の信頼度はどうやって計算しますか?

    イメージは、

    故障要素が増すと、故障していない要素にかかる負荷が増加するため、故障率が増大するので、各要素の故障は独立できなくなる

    難しそうですよね。

    1. 要素間の故障は独立できない
    2. 全体系の信頼度は要素間の関係式から求めないと算出できない
    3. 計算が一気に難しくなる

    要素の故障も故障の状態や時間によって、信頼度が変化するので、微分方程式を立てて、全体の信頼度を
    計算する必要があります。

    非独立系は難しいので、本記事で解説します!
    独立系の計算は、お子ちゃまレベル
    非独立系の計算になって、大人とみなす
    そんな感じです。

    ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン

    本記事では、その3の「完全修理系」を解説します。最もシンプルな系です。

    QCプラネッツでは次の3つの非独立系の信頼度を解説します。

    1. 非修理系
    2. 不完全修理系
    3. 完全修理系

    ➂解法パターン

    どのパターンも次の3つの流れで解いていきます。同じ解法なので、安心して理解できます!

    1. シャノン線図を描く
    2. 微分方程式を作る
    3. ラプラス変換して計算

    では、「完全修理系」を解説します!

    ➃完全修理系を学ぶ

    例題

    \(n\)要素並列系を考える。各要素は同種とする。系にかかる全負荷は時間的に一定であるが、故障要素が増加するとともに、故障していない要素にかかる負荷は増加し、故障率が増大するとする。また、各要素の故障率を\(λ_i\)、各要素の修復率を\(μ_i\)とする。
    下図のように各状態\(S_i\)を以下のように定義する。
    ●\(S_0\):どの要素も故障していない状態
    ●\(S_1\):1個故障した状態
    ●・・・
    ●\(S_n\):n個すべて故障した状態
    (1)各要素の故障率\(P_i(t)\)を求めるための微分方程式を作れ。
    (2)各要素が平衡状態になったときの、各要素の故障率\(P_n(t)\)を求めよ。
    (3) \(λ_i\)と\(μ_i\)はどちらが大きくないといけないか?

    信頼性工学

    どうですか? 一気に難しくなりましたね。

    解法

    3つの流れで解きます。

    1. シャノン線図を描く
    2. 微分方程式を作る
    3. ラプラス変換して計算

    1.シャノン線図を描く

    シャノン線図といいますが、別に何でもよく、
    各要素の関係性がわかる図であればOKです。

    上図のとおりですね。

    2. 微分方程式を作る

    ある時刻\(t\)から\(t+dt\)だけ時間が経つと、各要素の故障率\(Pi(t)\)はどう変化するか、図を見ながら関係式を作ります。

    各要素の故障率は、故障と修復の関係を式に書けばOKです。
    ●\(P_0(t+dt)\)=\(P_0(t)\)-(\(λP_0 dt\)-\(μP_1 dt\))
    ●\(P_1(t+dt)\)=\(P_1(t)\)-(\(λP_1 dt\)-\(μP_2 dt\))+(\(λP_0 dt\)-\(μP_1 dt\))

    ●\(P_i(t+dt)\)=\(P_i(t)\)-(\(λP_i dt\)-\(μP_{i+1} dt\))+(\(λP_{i-1} dt\)-\(μP_i dt\))

    ●\(P_n(t+dt)\)=\(P_n(t)\) +(\(λP_{n-1} dt\)-\(μP_n dt\))

    両辺を\(dt\)で割ると、
    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=-(\(λP_0\)-\(μP_1\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=-(\(λP_1\)-\(μP_2 \))+(\(λP_0 \)-\(μP_1 \))

    \(\displaystyle \frac{dP_i}{dt} \)=-(\(λP_i \)-\(μP_{i+1} \))+(\(λP_{i-1} \)-\(μP_i \))

    \(\displaystyle \frac{dP_n}{dt} \)=(\(λP_{n-1} \)-\(μP_n \))

    微分方程式になりましたね!

    なお、初期条件は
    \(P_0(0)\)=1
    \(P_i(0)\)=0 (\(i=2,…n\))
    \(P_0(t)\)+ \(P_1(t)\)+…+\(P_n(t)\)=1

    連立微分方程式ができました。

    3. ラプラス変換して計算

    ラプラス変換については関連記事で解説しています。

    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    実際にラプラス変換すると、
    ●\(sP_0-P_0(0)\)=-(\(λP_0 \)-\(μP_1 \))
    ●\(sP_1\)=(\(λP_1 \)-\(μP_2 \))+(\(λP_0 \)-\(μP_1 \))

    ●\(sP_i\)=-(\(λP_i \)-\(μP_{i+1} \))+(\(λP_{i-1} \)-\(μP_i \))

    ●\(sP_n\)= (\(λP_{n-1} \)-\(μP_n \))

    ここで1つ困ったことがありまして、

    微分方程式から時刻tの\(P_n(t)\)の式がでないため、平衡状態についてだけ計算します。

    ●\(sP_0-P_0(0)\)=-(\(λP_0 \)-\(μP_1 \))
    ●\(sP_1\)=(\(λP_1 \)-\(μP_2 \))+(\(λP_0 \)-\(μP_1 \))

    ●\(sP_i\)=-(\(λP_i \)-\(μP_{i+1} \))+(\(λP_{i-1} \)-\(μP_i \))

    ●\(sP_n\)= (\(λP_{n-1} \)-\(μP_n \))
    を全部足すと
    \(s(P_1+P_2+…+P_n)\)=\(P_0(0)\)=1
    までは解けますが、そこから先は難しいです。

    シャント線図見ると、確かに左右の矢印が綺麗に対称性をもって入っているので、非平衡より平衡状態を求めた方がよさそうです。

    信頼性工学

    平衡状態って?

    \(\displaystyle \frac{dP_i}{dt} \)=0
    ってことです。

    つまり、
    0=-(\(λP_0\)-\(μP_1\)
    0=-(\(λP_1\)-\(μP_2 \))+(\(λP_0 \)-\(μP_1 \))

    0=-(\(λP_i \)-\(μP_{i+1} \))+(\(λP_{i-1} \)-\(μP_i \))

    0= (\(λP_{n-1} \)-\(μP_n \))

    これを解くと、
    \(P_1\)=\(\frac{λ}{μ}P_0\)
    \(P_2\)=\(\frac{λ}{μ}P_1\)=\((\frac{λ}{μ})^2 P_0\)

    \(P_n\)=\(\frac{λ}{μ}P_{n-1}\)=\((\frac{λ}{μ})^{n-1} P_0\)
    となります。

    まとめると
    \(P_1\)+\(P_2\)+…+\(P_n\)=(\(\frac{λ}{μ}\)+\((\frac{λ}{μ})^2\)+…+\((\frac{λ}{μ})^{n-1} \))P_0=1
    となるので、等比数列の和の公式から

    \(P_0\)=\(\frac{1-\frac{μ}{λ}}{(\frac{λ}{μ})^n -1}\)
    \(P_n\)=\(\frac{1-\frac{μ}{λ}}{(\frac{λ}{μ})^n -1} (\frac{λ}{μ})^{n-1}\)
    となります。

    各要素の故障率\(P_n(t)\)が求まりました。

    ) \(λ_i\)と\(μ_i\)はどちらが大きくないといけないか?

    計算してわかったことは、

    \(P_0\)=\(\frac{1-\frac{μ}{λ}}{(\frac{λ}{μ})^n -1}\)
    \(P_n\)=\(\frac{1-\frac{μ}{λ}}{(\frac{λ}{μ})^n -1} (\frac{λ}{μ})^{n-1}\)
    がどちらも正でないといけません。確率だから。

    そのためには、λ > μ でないといけませんね。

    故障率λの方が修復率μより大きくないと計算が合わない。
    でも本当は逆の方が故障しないから良いかも

    信頼性工学

    完全修理系における平衡状態の故障率が計算できました。

    まとめ

    「要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(完全修理系)」を解説しました。

    • ①独立な場合と非独立な場合の違い
    • ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン
    • ➂解法パターン
    • ➃完全修理系を学ぶ

  • 要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)

    「要素の故障が非独立な系の信頼度が計算できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)
    • ①独立な場合と非独立な場合の違い
    • ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン
    • ➂解法パターン
    • ➃非修理系を学ぶ
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    ①独立な場合と非独立な場合の違い

    独立系とは

    中学生でも理解できるほど、簡単なのは、
    要素間の信頼性は独立だからです。

    1. 要素間の故障は独立している
    2. 全体系の信頼度は要素の信頼度の積で計算できる
    3. 簡単に計算できる

    例題

    次の信頼度はどう計算しますか?

    信頼性工学

    単純に、R×R×R×…×R=Rnと掛け算すれば出ますよね。
    この単純さは、各要素が独立して一定の信頼度(故障率)をもっていると仮定しているからです

    非独立系とは

    では、各要素が互いに影響し合うと、全体の信頼度はどうやって計算しますか?

    イメージは、

    故障要素が増すと、故障していない要素にかかる負荷が増加するため、故障率が増大するので、各要素の故障は独立できなくなる

    難しそうですよね。

    1. 要素間の故障は独立できない
    2. 全体系の信頼度は要素間の関係式から求めないと算出できない
    3. 計算が一気に難しくなる

    要素の故障も故障の状態や時間によって、信頼度が変化するので、微分方程式を立てて、全体の信頼度を
    計算する必要があります。

    非独立系は難しいので、本記事で解説します!
    独立系の計算は、お子ちゃまレベル
    非独立系の計算になって、大人とみなす
    そんな感じです。

    ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン

    本記事では、その1の「非修理系」を解説します。最もシンプルな系です。

    QCプラネッツでは次の3つの非独立系の信頼度を解説します。

    1. 非修理系
    2. 不完全修理系
    3. 完全修理系

    ➂解法パターン

    どのパターンも次の3つの流れで解いていきます。同じ解法なので、安心して理解できます!

    1. シャノン線図を描く
    2. 微分方程式を作る
    3. ラプラス変換して計算

    では、「非修理系」を解説します!

    ➃非修理系を学ぶ

    例題

    \(n\)要素並列系を考える。各要素は同種とする。系にかかる全負荷は時間的に一定であるが、故障要素が増加するとともに、故障していない要素にかかる負荷は増加し、故障率が増大するとする。また、各要素の故障率を\(μ_i\)とする。
    下図のように各状態\(S_i\)を以下のように定義する。
    ●\(S_0\):どの要素も故障していない状態
    ●\(S_1\):1個故障した状態
    ●・・・
    ●\(S_n\):n個すべて故障した状態
    (1)各要素の故障率\(P_i(t)\)を求めよ。
    (2)系全体の信頼度\(R_s(t)\)を求めよ。

    信頼性工学

    どうですか? 一気に難しくなりましたね。

    解法

    3つの流れで解きます。

    1. シャノン線図を描く
    2. 微分方程式を作る
    3. ラプラス変換して計算

    1.シャノン線図を描く

    シャノン線図といいますが、別に何でもよく、
    各要素の関係性がわかる図であればOKです。

    上図のとおりですね。

    2. 微分方程式を作る

    ある時刻\(t\)から\(t+dt\)だけ時間が経つと、各要素の故障率\(Pi(t)\)はどう変化するか、図を見ながら関係式を作ります。

    1つ丁寧に考えます。
    \(P_0(t)\)は状態が0の場合の故障率なので、状態が変化すると\(P_0(t)\)は変化します。

    ある時刻\(t\)から\(t+dt\)だけ時間が経つと、
    ●(A)状態0のままの確率⇒\(P_0(t+dt)\)
    ●(B)状態1に移動する確率⇒\(μ_0 P_0(t)dt\)
    の2つがあるので、
    \(P_0(t+dt)\)は次の式で表現できます。

    \(P_0(t+dt)\)= \(P_0(t)\)-\(μ_0 P_0(t)dt\)

    両辺を\(dt\)で割ると、
    \(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=-\(μ_0 P_0(t)\)
    微分方程式になりましたね!

    もう1つ丁寧に考えます。
    \(P_1(t)\)は状態が1の場合の故障率なので、状態が変化すると\(P_1(t)\)は変化します。

    ある時刻\(t\)から\(t+dt\)だけ時間が経つと、
    ●(A)状態1のままの確率⇒\(P_1(t+dt)\)
    ●(B)状態0から移動する確率⇒\(μ_0 P_0(t)dt\)
    ●(C)状態2に移動する確率⇒\(μ_1 P_1(t)dt\)
    の3つがあるので、
    \(P_1(t+dt)\)は次の式で表現できます。

    \(P_1(t+dt)\)= \(P_1(t)\)+\(μ_0 P_0(t)dt\)-\(μ_1 P_1(t)dt\)

    両辺を\(dt\)で割ると、
    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μ_0 P_0(t)\)-\(μ_1P_1(t)\)
    微分方程式になりましたね!

    この式は\(i=1,…,n-1\)で同様となります。図で言うと端でない真ん中のところです。

    そして、さいごの\(n\)も丁寧に考えます。
    \(P_n(t)\)は状態がnの場合の故障率なので、状態が変化すると\(P_n(t)\)は変化します。

    ある時刻\(t\)から\(t+dt\)だけ時間が経つと、
    ●(A)状態1のままの確率⇒\(P_n(t)\)
    ●(A)状態\(n-1\)から来る確率⇒\(μ_{n-1} P_{n-1}(t)dt\)
    の2つだけです。図では端にあるので、ちょっと式が異なります。
    \(P_n(t+dt)\)は次の式で表現できます。

    \(P_n(t+dt)\)= \(P_n(t)\)- \(μ_{n-1} P_{n-1}(t)dt\)

    両辺を\(dt\)で割ると、
    \(\displaystyle \frac{dP_n}{dt} \)=\(-μ_{n-1}P_{n-1}(t)\)
    微分方程式になりましたね!

    以上まとめると、
    \(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(-μ_0 P_0(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μ_0 P_0(t)\)-\(μ_1 P_1(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_{n-1}}{dt} \)=\(μ_{n-2} P_{n-2}(t)\)-\(μ_{n-1} P_{n-1}(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_n}{dt} \)=\(-μ_{n-1}P_{n-1}(t)\)

    なお、初期条件は
    \(P_0(0)\)=1
    \(P_i(0)\)=0 (\(i=1,…n\))

    連立微分方程式ができました。

    3. ラプラス変換して計算

    ラプラス変換については関連記事で解説しています。

    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    \(P_0(t)\)を計算しましょう。
    \(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(-μ_0 P_0(t)\)をラプラス変換すると
    \(sP_0-P_0(0)\)= \(-μ_0 P_0\)
    \(P_0\)=\(\frac{1}{s+μ}\)
    逆ラプラス変換すると、
    \(P_0(t)\)=\(e^{-μ_0t}\)

    \(P_1(t)\)を計算しましょう。
    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μ_0 P_0(t)\)-\(μ_1 P_1(t)\)をラプラス変換すると
    \(sP_1-P_1(0)\)= \(μ_0 P_0\) -\(μ_1 P_1\)
    \(P_1\)=\(\frac{μ_0 P_0}{s+μ_1}\)
    \(P_1\)=\(μ_0 \frac{1}{s+μ_0}\frac{1}{s+μ_1}\)
    \(P_1\)=\(μ_0 \frac{1}{μ_1-μ_0}(\frac{1}{s+μ_0}-\frac{1}{s+μ_1})\)
    逆ラプラス変換すると、
    \(P_1(t)\)=\( \frac{μ}{μ_1-μ_0}(e^{-μ_0t}-e^{-μ_1t})\)

    と言う感じで解けます。

    i=2以上は複雑なので割愛しますが、同じ解法で解けます。是非やってみてください。

    まとめ

    「要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)」を解説しました。

    • ①独立な場合と非独立な場合の違い
    • ➁非独立な系の信頼性でおさえたい3つのパターン
    • ➂解法パターン
    • ➃非修理系を学ぶ

  • QCに必要なラプラス変換がわかる

    QCに必要なラプラス変換がわかる

    「QCにラプラス変換って必要なの」と疑問に思っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    QCに必要なラプラス変換がわかる
    • ①ラプラス変換とは
    • ➁ラプラス変換をQCで使う場面
    • ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ
    ラプラス変換は便利
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    ①ラプラス変換とは

    ラプラス変換は、3つだけ理解しておけばOKです。

    1. 定義は難しいから無視していい
    2. ラプラス変換はここだけ理解する
    3. 微分1回をs倍に変えられるから計算が楽チン
    学生時代にラプラス変換の便利さにハマり、ラプラス変換ばっかりやっていましたね。フーリエ級数とは苦手だったけど

    定義は難しいから無視していい

    変換する理由は、そのままの計算では難しいから。

    ではどうやって変換するかを見ましょう。見るだけでOKです。

    ラプラス変換

    変換式は難解なので無視していい。
    大事なのは、変換して計算して、計算結果を変換前に戻す!

    ラプラス変換はここだけ理解する

    イメージは、

    微分\(\displaystyle \frac{df}{dx} \)から\(f(x)\)を計算するのが難しい
    だから、簡単に変換できないか? 例えば、微分1回したら s倍するだけみたいな変換なら微分方程式がsの2次、3次方程式だけに変わると計算しやすい!

    つまり、

    微分をs倍に変えるには、\(e^{-st}\)を元の関数と積にすれば、
    \(e^{-st}\)を1回微分すると\(-se^{-st}\)とs倍できる!
    \(e^{-st}\)を元の関数と積にして計算した結果を
    逆に\(e^{+st}\)をかければ、変換前に戻せる!

    これがラプラス変換のイメージです。

    大事なのは、

    微分をs倍に変えるために、\(e^{-st}\)を元の関数と積にするところだけ理解しましょう。

    複雑な∫計算は不要です。変換方法は公式で暗記すれば、積分不要になります。

    微分1回をs倍に変えられるから計算が楽チン

    イメージは、よく物理の運動方程式を使って説明することがあります。

    運動方程式は
    \(m \displaystyle \frac{d^2 x}{dt^2} + k \displaystyle \frac{dx}{dt} +Y=0\)

    これは2次の微分方程式で、解くのが大変です。

    一方、ラプラス変換すると、微分1回はs倍ですら
    \(m s^2+ ks +Y=0\)
    と変換できるので、単純な2次方程式になります。これは解けるハズ!

    sの式が出来たら、tの式に逆変換して戻せばOK! 戻し方は公式があるので暗記すればOK

    ラプラス変換の注意点

    1つだけ知っておきましょう。
    \(\displaystyle \frac{dx}{dt}\)⇒ \(sf-f(0)\)と初期条件\(f(0)\)も入れてください。ここだけ!

    ➁ラプラス変換をQCで使う場面

    信頼性工学でラプラス変換を使いたい

    QCでは、数学が必要ですが、あまり手を広げたくないのが本音です。だから本当は、ラプラス変換は使わないで行こうと思っていました。けど、信頼性工学で、ラプラス変換を使うと便利とわかりました。

    信頼性工学では下の図のように、ある時間dtで状態が\(S_0\)、\(S_1\)、\(S_2\)へと状態変化する確率\(P_i(t)\)を式にする場合です。

    ラプラス変換

    関係式を書くと、
    \(P_0 (t+dt)=P_0 (t)-μ_0 dt\)
    \(P_1 (t+dt)=P_1 (t)+μ_0 dt-μ_1 dt\)

    \(P_i (t+dt)=P_i (t)+μ_{i-1} dt-μ_i dt\)

    \(P_n (t+dt)=P_n (t)+μ_{n-1} dt\)

    と、長い連立微分方程式になります。計算を楽するためにラプラス変換を使います。これは信頼性工学の関連記事で詳細に解説していきます。

    ●●でラプラス変換を使いたい

    現状は信頼性工学以外のQCでラプラス変換を使う場面はないですが、見つかり次第、解説します。

    ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ

    2つだけ変換を使う

    変換前 変換後
    \(e^{at}\) \(\frac{1}{s-a}\)
    \(t^n e^{at}\) \(\frac{n!}{(s-a)^{n+1}}\)

    \(\frac{1}{s-a}\)か
    たまに \(\frac{1}{(s-a)^2}\)の2乗分の1の式とかも
    を使います。
    で、\(a\)も結構大事なので正しく計算しましょう。

    例題

    具体的な例題で、理解を深めましょう。

    次の連立微分方程式を求めよ。
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(-μP_0\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μP_0 – μP_1\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(μP_1 – μP_2\)
    初期条件 \(P_0 (0)=1, P_1 (0)=0, P_2 (0)=0\)

    1次の微分方程式ですが、連立になると計算が難しいです。なので、ラプラス変換しましょう。

    (i)\(P_0 (t)\)の解法

    \(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(μP_0\)をラプラス変換すると、
    \(sP_0 – P_0 (0) =-μP_0 \)
    \(sP_0 – 1 =-μP_0 \)
    \(P_0\)を求めると
    \(P_0 = \frac{1}{s+μ}\)

    \(P_0\)を逆変換して戻すと、
    \(P_0 (t) =e^{-μt}\)

    (i)\(P_1 (t)\)の解法

    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μP_0 – μP_1\)をラプラス変換すると、
    \(sP_1 – P_1 (0) =μP_0 – μP_1\)
    \((s+μ)P_1– 0 =μ\frac{1}{s+μ} \)
    \(P_1\)を求めると
    \(P_1 = \frac{μ}{(s+μ)^2}\)

    ここで、\(\frac{μ}{(s+μ)^2}\)の2乗が出て来ます。

    \(P_1\)を逆変換して戻すと、
    \(P_1 (t) =μt e^{-μt}\)

    (i)\(P_2 (t)\)の解法

    \(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(μP_1 – μP_2\)をラプラス変換すると、
    \(sP_2 – P_2 (0) =μP_1- μP_2\)
    \((s+μ)P_2– 0 =μ\frac{μ}{(s+μ)^2} \)
    \(P_2\)を求めると
    \(P_2 = \frac{μ^2}{(s+μ)^3}\)

    ここで、\(\frac{μ}{(s+μ)^2}\)の3乗が出て来ます。

    \(P_2\)を逆変換して戻すと、
    \(P_2(t) =μ^2 \frac{t^2}{2} e^{-μt}\)

    簡単に計算できましたね。ラプラス変換知っていると便利ですよ!

    まとめ

    「QCに必要なラプラス変換がわかる」を解説しました。

    • ①ラプラス変換とは
    • ➁ラプラス変換をQCで使う場面
    • ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ

  • 多数決系の信頼性・故障率がわかる

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    本記事のテーマ

    多数決系の信頼性・故障率がわかる
    • ①多数決系とは
    • ➁多数決系は二項定理が必要
    • ➂信頼度の比較(多数決系VS並列系)
    • ➃多数決系の平均寿命
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    ①多数決系とは

    多数決系とは

    並列系と比較すると理解が速い!

    多数決系とは

    並列系は、n個の構成要素のうち、どれか1個が機能していればOK。
    多数決系は、n個の構成要素のうち、m個以上が機能していればOK。

    多数決系では、例えば、
    ●電圧V0の電源をn個直列につないだ系があり、全体でm V0以上の電圧があればOKとする場合、
    ●5本のボルトによる継手があり、そのうち2本が破断しても必要な強度が確保できる場合
    など、並列系より細かく信頼度を設定したい場合に使うのが多数決系です。

    ➁多数決系は二項定理が必要

    多数決系の信頼度Rの考え方

    多数決系の信頼度Rをどうやって定義するかですが、

    1. 故障確率がある
    2. n個中、mは正常動作
    3. n個中、n個は故障

    となる確率を計算すればよいので、二項定理が必要です。

    つまり、\(n\)個のうち、\(k\)個が故障せず、残りの\(n-k\)個が故障する確率を多数決系全体の信頼度\(R_s\)とすると、

    \(R_s\)=\(\sum_{i=k}^{n} {}_n C_i R_c^i (1-R_c)^{n-i}\)

    二項定理の式はQCで頻出!

    この式は、

    1. 組み合わせの確率
    2. 二項定理
    3. 抜取検査(OC曲線)

    に出て来ますね。必ずマスターしましょう。

    ➂信頼度の比較(多数決系VS並列系)

    多数決系の信頼度

    先程の定義式から、具体的に計算してみましょう。

    \(R_s\)=\(\sum_{i=k}^{n} {}_n C_i R_c^i (1-R_c)^{n-i}\)

    \(n=3\),\(k=2\)の場合

    \(R_s\)=\(\sum_{i=k}^{n} {}_n C_i R_c^i (1-R_c)^{n-i}\)
    =\(\sum_{i=2}^{3} {}_3 C_i R_c^i (1-R_c)^{3-i}\)
    =\( {}_3 C_2 R_c^2 (1-R_c)\)+\( {}_3 C_3 R_c^3 \)
    =\(3R_c^2 -2R_c^3\)

    信頼度の比較(多数決系VS並列系)

    多数決系も並列系も、ある意味、冗長系です。
    どっちが良いのか?比較したいですよね!

    ●どっちが信頼度が高いの?
    ●並列系なら要素は2個でいいけど、多数決系は3個以上要素が必要
    ●要素がたくさん必要な多数決系ってメリットあるの?

    具体的に計算して比較しましょう。

    並列系の場合

    \(R_s1\)=1-\((1-R)^2\)より、
    =\(2R-R^2\)

    多数決系\(n=5\)の場合

    \(R_s2\)=\(\sum_{i=k}^{5} {}_5 C_i R_c^i (1-R_c)^{5-i}\)より
    \(i=1\)から5まで順に代入しましょう。

    具体的には、
    \(R_s(0)\)=\((1-R)^5\)
    \(R_s(1)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)
    \(R_s(2)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)
    \(R_s(3)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)+\(10R^3 (1-R)^2\)
    \(R_s(4)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)+\(10R^3 (1-R)^2\)+\(5R^4 (1-R)\)
    \(R_s(5)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)+\(10R^3 (1-R)^2\)+\(5R^4 (1-R)\)+\(R^5\)

    式が長いのでこのままExcelでグラフ化しましょう。

    信頼性工学

    比較すると、

    並列系より信頼度が高い場合もあるが、
    多数決系は並列系より信頼度が低い場合が多い

    だから、

    信頼度だけみると多数決系は不要で並列系で十分では?と思っちゃう。

    なので、多数決系は並列系で表現しにくい場合に使うと考えましょう。

    多数決系では、例えば、
    ●電圧V0の電源をn個直列につないだ系があり、全体でm V0以上の電圧があればOKとする場合、
    ●5本のボルトによる継手があり、そのうち2本が破断しても必要な強度が確保できる場合
    など、並列系より細かく信頼度を設定したい場合に使うのが多数決系です。

    ➃多数決系の平均寿命

    ついでに、平均寿命μも計算しましょう。

    平均寿命の計算例

    \(n=3\),\(k=2\)の場合

    \(R_s\)=\( 3R^2 -2R^3\)
    を使います。

    確率密度関数\(f(t)\)= -\(\displaystyle \frac{dR_s}{dt} \)で、
    \(R(t)\)=\(e^{-λt}\)と指数分布としましょう。

    \(f(t)\)=\(6R^2 f -6Rf\)

    平均寿命μは、
    μ= \(\displaystyle \int_{0}^{∞}t f(t) dt\)より

    μ=\(\displaystyle \int_{0}^{∞} t (6R^2 f- 6Rf) dt\)
    =\(6λ \displaystyle \int_{0}^{∞} t(e^{-2λt}-e^{-3λt})\)
    =\(\frac{5}{6} \frac{1}{λ}\)

    となります。多数決系でも平均寿命は積分で計算できます。

    まとめ

    「多数決系の信頼性・故障率がわかる」を解説しました。

    • ①多数決系とは
    • ➁多数決系は二項定理が必要
    • ➂信頼度の比較(多数決系VS並列系)
    • ➃多数決系の平均寿命

  • 待機系の熱予備系の信頼性・故障率がわかる

    待機系の熱予備系の信頼性・故障率がわかる

    「待機系の信頼度・故障率・MTTFの計算がわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    待機系の熱予備系の信頼性・故障率がわかる
    • ①待機系の種類
    • ➁熱予備系とは
    • ➂熱予備系の平均寿命の計算
    • ➃待機系(冷予備系・温予備系・熱予備系)の平均寿命を比較
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    ①待機系の種類

    待機系ではさらに3つに分類できます。信頼性工学の専門書レベルですが、比較すると理解が深まるので解説します。

    1. 熱予備
    2. 温予備
    3. 冷予備

    3つの違いを表にします。

    種類 内容
    冷予備系 待機中は放置、稼働しない。
    稼働しない分の信頼度は並列系より高くなる。
    温予備系 冷予備系と温予備系の間。
    予備電源だけ入れて待機状態のイメージ。
    熱予備系 並列系と同じで、待機中も稼働し、
    いつでも切り替えられる良さはあるが、
    信頼度は並列系程度に低下する

    名前に、温度が関係する文字があるのは、対応する系の設備や施設と関連があるからです。

    イメージは、

    待機中は放置、稼働しない。
    稼働しない分の信頼度は並列系より高くなる。

    また、信頼度\(R_s(t)\)の式も若干異なります。それぞれ解説記事があります。
    ●冷予備系:\(R_s(t)\)=\(R_1(t)+α\displaystyle \int_{0}^{t} f_1(τ)R_2(t-τ) dτ\)
    ●温予備系:\(R_s(t)\)=\(R_1(t)+α\displaystyle \int_{0}^{t} f_1(τ)R_2(t-τ+\frac{τ}{k}) dτ\)
    ●熱予備系:\(R_s(t)\)=\(R_1(t)+αR_2(t)(1-R_1(t))\)

    ➁温予備系とは

    熱予備系とは

    ●平均寿命は、待機系の方が並列系より長い
    ●冷予備系が待機系より
    ●熱予備系に近いほど並列系の信頼性に近づく(低下する)
    ●平均寿命は、熱予備系<温予備系<冷予備系の順になる
    (本記事で実際に計算します。)

    比較として冷予備系についての記事をリンクします。ご確認ください。

    待機系の冷予備系の信頼性・故障率がわかる
    待機系の冷予備系信頼度、故障率、平均寿命は計算できますか。本記事では、わかりやすく解説しています。基本的な内容ですが、信頼度、確率密度関数、MTTFの導出式を理解して、待機系、多数決系の応用パターンも理解していきましょう。

    比較として温予備系についての記事をリンクします。ご確認ください。

    待機系の温予備系の信頼性・故障率がわかる
    待機系の温予備系信頼度、故障率、平均寿命は計算できますか。本記事では、わかりやすく解説しています。基本的な内容ですが、信頼度、確率密度関数、MTTFの導出式を理解して、待機系、多数決系の応用パターンも理解していきましょう。

    熱予備系の信頼度\(R_s(t)\)

    信頼度\(R_s(t)\)は、
    ●熱予備系:\(R_s(t)\)=\(R_1(t)+αR_2(t)(1-R_1(t))\)
    (0 ≤ \(α\) ≤ 1)
    ですが、式の意味を解説すると、

    熱予備系は、予備系も通常稼働しているので、信頼度の式は、待機系より並列系に近い

    信頼度\(R_s(t)\)、確率密度関数\(f_s(t)\)は並列系の記事ですでに解説済です。式の違いは、
    ●並列系     :\(R_s(t)\)=\(R_1(t)+R_2(t)(1-R_1(t))\)
    ●待機系・熱予備系:\(R_s(t)\)=\(R_1(t)+αR_2(t)(1-R_1(t))\)
    \(α\)の有無の違いだけです。

    並列系の記事を参考に、信頼度\(R_s(t)\)、確率密度関数\(f_s(t)\)を計算します。

    並列系の信頼性・故障率がよくわかる
    並列系の信頼度、故障率、平均寿命は計算できますか。本記事では、わかりやすく解説しています。基本的な内容ですが、信頼度、確率密度関数、MTTFの導出式を理解して、待機系、多数決系の応用パターンも理解していきましょう。

    ➂熱予備系の平均寿命の計算

    平均寿命μの導出

    μ= \(\displaystyle \int_{0}^{∞}t f_s(t) dt\)
    で計算できますが、並列系の平均寿命の式を一部変えるだけで求められます。

    平均寿命μは、
    ●並列系     :\(μ\)=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}-\frac{1}{λ_1 +λ_2}\)
    ●待機系・熱予備系:\(μ\)=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{α}{λ_2}-\frac{α}{λ_1 +λ_2}\)
    \(α\)の有無の違いだけです。

    ➃待機系(冷予備系・温予備系・熱予備系)の平均寿命を比較

    平均寿命を列挙

    待機系の3つの状態「冷予備系」、「温予備系」、「熱予備系」の平均寿命が計算できたので、比較してみましょう。

    比較しやすくするために、\(λ\)=\(λ_1\)=\(λ_2\)とします。

    1. 冷予備系:\(μ\)=\(\frac{1}{λ_1}\)+\(\frac{1}{λ_2}\)=\(\frac{2}{λ}\)
    2. 温予備系:\(μ\)=\(\frac{1}{λ}(1+\frac{k}{1+k})\)
    3. 熱予備系:\(μ\)=\(\frac{1+α}{λ}-\frac{2α}{λ}\)

    (0 ≤ \(α\) ≤ 1)
    (1 ≤ \(k\) )

    また、比較対象として、待機系以外の、単体1個、並列系の平均寿命も計算しましょう。

    1. 単体:\(μ\)=\(\frac{1}{λ}\)
    2. 並列系:\(μ\)=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}-\frac{1}{λ_1 +λ_2}\)=\(\frac{3}{2λ}\)

    温予備系・熱予備系の平均寿命を比較

    1. 温予備系:\(μ\)=\(\frac{1}{λ}(1+\frac{k}{1+k})\)
    2. 熱予備系:\(μ\)=\(\frac{1+α}{λ}-\frac{2α}{λ}\)

    (0 ≤ \(α\) ≤ 1)
    (1 ≤ \(k\) )

    を比較します。

    温予備系の場合

    \(μ\)=\(\frac{1}{λ}(1+\frac{k}{1+k})\)
    =\(\frac{1}{λ}(1+\frac{1}{1+1/k})\)
    と変形します。

    1 ≤ \(k\)から
    \(\frac{1}{1+1/k}\) > \(\frac{1}{1+1/1}\)=\(\frac{1}{2}\)より、
    \(μ\)=\(\frac{1}{λ}(1+\frac{1}{1+1/k})\)> \(\frac{3}{2λ}\)
    となります。

    熱予備系の場合

    \(μ\)=\(\frac{1+α}{λ}-\frac{2α}{λ}\)
    =\(\frac{1}{λ}(1+\frac{α}{2})\)

    ここで、0 ≤ \(α\) ≤ 1より、
    \(\frac{1}{λ}(1+\frac{α}{2})\) < \(\frac{1}{λ}(1+\frac{1}{2})\) =\(\frac{3}{2λ}\)
    となります。

    まとめると、確かに、
    熱予備系=\(\frac{1}{λ}(1+\frac{α}{2})\) < \(\frac{3}{2λ}\) < 温予備系=\(\frac{1}{λ}(1+\frac{1}{1+1/k})\)
    となるので、
    熱予備系より温予備系の方が平均寿命は長いとわかります

    平均寿命を比較

    比較すると下図のようになります。下図で各系の違いを理解しましょう。

    信頼性工学

    まとめ

    「待機系の熱予備系の信頼性・故障率がわかる」を解説しました。

    • ①待機系の種類
    • ➁熱予備系とは
    • ➂熱予備系の平均寿命の計算
    • ➃待機系(冷予備系・温予備系・熱予備系)の平均寿命を比較

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