カテゴリー: 統計学

  • 不完全ベータ関数が計算できる

    不完全ベータ関数が計算できる

    「不完全ベータ関数が計算できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    不完全ベータ関数が計算できる
    • ①不完全ベータ関数とは
    • ➁不完全ベータ関数は手計算できない
    • ➂プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう
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    ①不完全ベータ関数とは

    ベータ関数とは

    詳細は関連記事をご覧ください。

    ベータ関数がよくわかる
    ベータ関数は自力で解けますか?本記事ではベータ関数の導出方法や性質、ガンマ関数との関係をわかりやすく解説します。大学の数学のような難解な説明は一切していません。、大学受験で頻出問題となるベータ関数は受験でも統計学でも重要です。受験生と統計学を学ぶ人は必読です。

    式は

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    =\(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)

    不完全ベータ関数とは

    積分区間が違います。

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    =??

    大した差ではないですが、計算の大変さが全然ちがいます。

    不完全ベータ関数はメジアンランク法に使う

    信頼性工学のメジアンランク法で不完全ベータ関数を使うので、解説します。

    詳細は関連記事をご覧ください。

    ➁不完全ベータ関数は手計算できない

    完全なベータ関数を部分積分する

    まず、部分積分すると、漸化式が作れます。

    \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)を部分積分すると、
    \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{1}^{0}\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    +\(\frac{n-1}{m}\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m}(-1)(1-x)^{n-2} dx\)

    (左辺)= \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{1}^{0}\)は0です。

    (右辺)=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    となり、
    0=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    から漸化式が作れて、
    積分\(I(m.n)\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)が計算できます。

    不完全なベータ関数を部分積分する

    同様に積分区間が[0,z]においても、部分積分すると、漸化式が作れます。

    \(\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)を部分積分すると、
    \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{z}^{0}\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    +\(\frac{n-1}{m}\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m}(-1)(1-x)^{n-2} dx\)

    (左辺)= \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{z}^{0}\)は0にならず、zの変数になります。です。

    (右辺)=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    となり、
    (左辺のzの式)=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    から漸化式が作れますが、

    ここから手計算はキツイ。。。

    なので、

    プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう

    ➂プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう

    二項定理を使って、不完全ベータ関数の計算式を作る

    では、やってみましょう。

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    ここで、\((1-x)^{n-1}\)を二項定理で展開します。大丈夫ですか?

    QCには欠かせない二項定理、統計学、抜取検査、信頼性工学と大活躍です。

    \((1-x)^{n-1}\)=\(\sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r 1^r (-x)^{n-1-r}\)

    これを積分式に代入します。ちょっと難しいけど、頑張りましょう。

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{z} {}_{n-1}C_r x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1} \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r 1^r (-x)^{n-1-r} dx\)
    \(x\)の次数を合計します。

    = \(\displaystyle \int_{0}^{z} \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r (-1)^{n-1-r} x^{n+m-2-r} dx\)

    \(x\)の整式なので、積分すると、
    \(\left[ \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r (-1)^{n-1-r} \frac{1}{n+m-1-r} x^{n+m-1-r} \right]_{z}^{0}\)
    =\( \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r (-1)^{n-1-r} \frac{1}{n+m-1-r} z^{n+m-1-r} \)

    となります。これをプログラムに入れて計算させます。

    プログラム(Excel VBA)を使って不完全ベータ関数を計算しよう

    では、プログラムを公開します。実際、いじってみてください。

    VBAプログラム例

    1. Sub gam()
    2.
    3. gok = 0 ‘B(m,n) 初期化
    4.
    5. Dim nn As Long, mm As Long
    6. nn = Cells(2, 3): mm = Cells(3, 3): zz = Cells(4, 3)
    ‘自然数n,mと、実数(0~1)zをセルに代入
    7.
    8. For i1 = 1 To nn ‘nの値 1~nまで
    9. Cells(i1 + 6, 2) = i1
    10. For j1 = 1 To mm ‘mの値 1~mまで
    11. Cells(6, j1 + 2) = j1
    12. gok = 0 ‘初期化
    13. For k1 = 0 To i1 – 1
    ‘rの値 0~n-1まで(二項定理)
    14.
    15. ‘積分の計算
    16. gok = gok + WorksheetFunction.Combin(i1 – 1, k1) *
    ((-1) ^ (i1 – 1 – k1))
    * (1 / (i1 + j1 – k1 – 1))
    * (zz ^ (i1 + j1 – k1 – 1))
    17. Next k1
    18. Cells(i1 + 6, j1 + 2) = gok ‘結果を出力
    19. Next j1
    20. Next i1
    21.
    22. End Sub

    計算例

    z=1のとき

    z=1のときは、完全なベータ関数ですから

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    =\(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)

    の値と一致します。

    上のプログラムの計算結果は

    不完全ベータ関数

    となり、
    \(B(m,n)\)= \(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)
    と一致します。

    確かに、\(m=4,n=5\)を代入するとB(m,n)は
    \(B(4,5)\)= \(\frac{(4-1)!(5-1)!}{(4+5-1)!}\)
    = \(\frac{3!・4!}{8!}\)
    =\(\frac{1}{280}\)
    =0.003571

    図を見ると確かに、 \(m=4,n=5\)のときは、0.003571となり、計算結果が一致しています。

    z=zのとき

    テキトウな値を入れて、確認しましょう。

    不完全ベータ関数

    z=0.5の場合を計算しましたが、0から1の間の実数を入れれば、上のプログラムで一瞬で計算してくれます。是非活用ください!

    できましたね。

    まとめ

    「不完全ベータ関数が計算できる」を解説しました。

    • ①不完全ベータ関数とは
    • ➁不完全ベータ関数は手計算できない
    • ➂プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう

  • 信頼性工学に使う経験分布関数がわかる

    信頼性工学に使う経験分布関数がわかる

    「経験分布関数って何?、QCではどこで使うの?」と疑問に思っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    信頼性工学に使う経験分布関数がわかる
    • ①経験分布関数とは
    • ➁経験分布関数を描いてみよう
    • ➂経験分布関数の期待値と分散を導出
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    ①経験分布関数とは

    経験分布関数とは

    変数\(X\)=(\(X_1,X_2,…,X_n\))を連続な独立同一分布\(F(x)\)に従うとし、\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)を順序統計量とします。

    簡単にいうと、

    変数\(X\)=(\(X_1,X_2,…,X_n\))は
    \(X_1\) < \(X_2\) <…, <\(X_n\)
    という順番が成り立っている

    このとき、以下の式を経験分布関数と定義します。

    ●経験分布関数
    \(F_n(x)\)=\(\frac{x以下となるX_iの個数}{n}\)
    =0 (\(x\) < \(X_1\))
    =\(\frac{i}{n}\) (\(X_i\) < \(x\) < \(X_{i+1}\),i=1,2,…,n-1)
    =1(\(x\) > \(X_n\)

    グラフ描いてみると、理解しやすい。

    実際に描いてみましょう。百聞は一見に如かず!

    データを用意します。

    x y
    0 0
    1 0.1
    2 0.3
    3 0.3
    4 0.45
    5 0.6
    6 0.6
    7 0.8
    8 0.8
    9 1
    10 1

    グラフに描くと下図になりますね。

    信頼性工学

    こんな感じの関数です。

    信頼性工学で経験分布関数を使う

    この変な関数をどこで使うか?

    ●不良個数を実測すると、時間と不良個数のデータが取れる。そのデータそのものが経験分布関数である。
    ●信頼性工学は、実データである離散データ(経験分布関数)をモデル化した連続系の指数分布モデルをよく使う。
    ●信頼性工学では、打切りデータを取り扱う必要がある。打切りデータの考え方のベースになるのが経験分布関数

    なので、信頼性工学を究めるには、経験分布関数を理解しておく必要があります。

    ➁経験分布関数を描いてみよう

    基本は簡単

    上のグラフを再掲しますが、

    信頼性工学

    1. x,yのデータを用意する
    2. 連続性はなく、階段みたいな関数

    信頼性工学で経験分布関数を使いたい

    いろんなx,yのパターンがあってもよいですが、信頼性工学で扱いたいので、指数分布関数に近いデータを考えます。

    指数分布関数

    指数分布関数として、以下を用意します。
    \(F(x)\)=1-\(e^{-x}\)

    経験分布関数と指数分布関数を比較しましょう。

    指数分布関数に遠いデータ

    先ほどのデータを指数分布関数\(F(x)\)=1-\(e^{-x}\)と比較します。

    信頼性工学

    経験分布関数には、自由にx,yのデータを入れてよいですが、この場合は、指数分布関数から離れているので、信頼性工学では、指数分布関数としてモデル化することができません。

    指数分布関数に近いデータ

    次に、不良個数が次のようなデータが取れたとしましょう。

    x y
    0 0
    1 0.6
    2 0.9
    3 0.91
    4 0.91
    5 0.95
    6 0.95
    7 0.95
    8 0.99
    9 1
    10 1

    先ほどのデータを指数分布関数\(F(x)\)=1-\(e^{-x}\)と比較します。

    信頼性工学

    この場合は、指数分布関数に近いので、信頼性工学では、指数分布関数としてモデル化できます。

    リアルデータをそのままプロットすると経験分布関数になります。
    これと指数分布関数が近いからOK,遠いからNGではありません。
    データから何を考えるか?が一番大事です。何も考えずに、近似や計算処理しても何も得られません。

    ➂経験分布関数の期待値と分散を導出

    離散系な分布関数ですが、期待値と分散を導出します。

    経験分布関数の確率密度関数\(f(x)\)

    経験分布関数は
    \(F_n(x)\)=\(\frac{i}{n}\) (\(X_i\) < \(x\) < \(X_{i+1}\),i=1,2,…,n-1)
    ですね。

    これを微分すればよいので、確率密度関数\(f(x)\)は、
    \(f(x)\)=\(\frac{1}{n}\)
    です。

    経験分布関数の期待値を導出

    期待値E[X]=\(\sum_{i=1}^{n} x_i f(x)\)より、

    期待値E[X]=\(\sum_{i=1}^{n} x_i f(x)\)
    =\(\sum_{i=1}^{n} x_i \frac{1}{n}\)
    =\(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i \)
    となります。

    具体的には、先ほどの例でいうと、

    信頼性工学

    期待値E[X]= \(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i \)
    =\(\frac{1}{10} \)(0+1+2+3+4+5+6+7+8+9+10)
    =5.5

    経験分布関数の分散を導出

    分散V[X]=\(\sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2 f(x)\)より、

    分散V[X]=\(\sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2 f(x)\)
    =\(\sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2 \frac{1}{n}\)
    =\(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2\)
    となります。

    具体的には、先ほどの例でいうと、

    信頼性工学

    分散V[X]= \(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2\)
    =\(\frac{1}{10} \)(\((0-5.5)^2\)+\((1-5.5)^2\)+…\((10-5.5)^2\))
    =11.28
    となります。

    計算はできますが、「ふーん」とピンと来ませんが、それが経験分布関数です。

    まとめ

    「信頼性工学に使う経験分布関数がわかる」を解説しました。

    • ①経験分布関数とは
    • ➁経験分布関数を描いてみよう
    • ➂経験分布関数の期待値と分散を導出

  • QCに必要なラプラス変換がわかる

    QCに必要なラプラス変換がわかる

    「QCにラプラス変換って必要なの」と疑問に思っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    QCに必要なラプラス変換がわかる
    • ①ラプラス変換とは
    • ➁ラプラス変換をQCで使う場面
    • ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ
    ラプラス変換は便利
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    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①ラプラス変換とは

    ラプラス変換は、3つだけ理解しておけばOKです。

    1. 定義は難しいから無視していい
    2. ラプラス変換はここだけ理解する
    3. 微分1回をs倍に変えられるから計算が楽チン
    学生時代にラプラス変換の便利さにハマり、ラプラス変換ばっかりやっていましたね。フーリエ級数とは苦手だったけど

    定義は難しいから無視していい

    変換する理由は、そのままの計算では難しいから。

    ではどうやって変換するかを見ましょう。見るだけでOKです。

    ラプラス変換

    変換式は難解なので無視していい。
    大事なのは、変換して計算して、計算結果を変換前に戻す!

    ラプラス変換はここだけ理解する

    イメージは、

    微分\(\displaystyle \frac{df}{dx} \)から\(f(x)\)を計算するのが難しい
    だから、簡単に変換できないか? 例えば、微分1回したら s倍するだけみたいな変換なら微分方程式がsの2次、3次方程式だけに変わると計算しやすい!

    つまり、

    微分をs倍に変えるには、\(e^{-st}\)を元の関数と積にすれば、
    \(e^{-st}\)を1回微分すると\(-se^{-st}\)とs倍できる!
    \(e^{-st}\)を元の関数と積にして計算した結果を
    逆に\(e^{+st}\)をかければ、変換前に戻せる!

    これがラプラス変換のイメージです。

    大事なのは、

    微分をs倍に変えるために、\(e^{-st}\)を元の関数と積にするところだけ理解しましょう。

    複雑な∫計算は不要です。変換方法は公式で暗記すれば、積分不要になります。

    微分1回をs倍に変えられるから計算が楽チン

    イメージは、よく物理の運動方程式を使って説明することがあります。

    運動方程式は
    \(m \displaystyle \frac{d^2 x}{dt^2} + k \displaystyle \frac{dx}{dt} +Y=0\)

    これは2次の微分方程式で、解くのが大変です。

    一方、ラプラス変換すると、微分1回はs倍ですら
    \(m s^2+ ks +Y=0\)
    と変換できるので、単純な2次方程式になります。これは解けるハズ!

    sの式が出来たら、tの式に逆変換して戻せばOK! 戻し方は公式があるので暗記すればOK

    ラプラス変換の注意点

    1つだけ知っておきましょう。
    \(\displaystyle \frac{dx}{dt}\)⇒ \(sf-f(0)\)と初期条件\(f(0)\)も入れてください。ここだけ!

    ➁ラプラス変換をQCで使う場面

    信頼性工学でラプラス変換を使いたい

    QCでは、数学が必要ですが、あまり手を広げたくないのが本音です。だから本当は、ラプラス変換は使わないで行こうと思っていました。けど、信頼性工学で、ラプラス変換を使うと便利とわかりました。

    信頼性工学では下の図のように、ある時間dtで状態が\(S_0\)、\(S_1\)、\(S_2\)へと状態変化する確率\(P_i(t)\)を式にする場合です。

    ラプラス変換

    関係式を書くと、
    \(P_0 (t+dt)=P_0 (t)-μ_0 dt\)
    \(P_1 (t+dt)=P_1 (t)+μ_0 dt-μ_1 dt\)

    \(P_i (t+dt)=P_i (t)+μ_{i-1} dt-μ_i dt\)

    \(P_n (t+dt)=P_n (t)+μ_{n-1} dt\)

    と、長い連立微分方程式になります。計算を楽するためにラプラス変換を使います。これは信頼性工学の関連記事で詳細に解説していきます。

    ●●でラプラス変換を使いたい

    現状は信頼性工学以外のQCでラプラス変換を使う場面はないですが、見つかり次第、解説します。

    ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ

    2つだけ変換を使う

    変換前 変換後
    \(e^{at}\) \(\frac{1}{s-a}\)
    \(t^n e^{at}\) \(\frac{n!}{(s-a)^{n+1}}\)

    \(\frac{1}{s-a}\)か
    たまに \(\frac{1}{(s-a)^2}\)の2乗分の1の式とかも
    を使います。
    で、\(a\)も結構大事なので正しく計算しましょう。

    例題

    具体的な例題で、理解を深めましょう。

    次の連立微分方程式を求めよ。
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(-μP_0\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μP_0 – μP_1\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(μP_1 – μP_2\)
    初期条件 \(P_0 (0)=1, P_1 (0)=0, P_2 (0)=0\)

    1次の微分方程式ですが、連立になると計算が難しいです。なので、ラプラス変換しましょう。

    (i)\(P_0 (t)\)の解法

    \(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(μP_0\)をラプラス変換すると、
    \(sP_0 – P_0 (0) =-μP_0 \)
    \(sP_0 – 1 =-μP_0 \)
    \(P_0\)を求めると
    \(P_0 = \frac{1}{s+μ}\)

    \(P_0\)を逆変換して戻すと、
    \(P_0 (t) =e^{-μt}\)

    (i)\(P_1 (t)\)の解法

    \(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μP_0 – μP_1\)をラプラス変換すると、
    \(sP_1 – P_1 (0) =μP_0 – μP_1\)
    \((s+μ)P_1– 0 =μ\frac{1}{s+μ} \)
    \(P_1\)を求めると
    \(P_1 = \frac{μ}{(s+μ)^2}\)

    ここで、\(\frac{μ}{(s+μ)^2}\)の2乗が出て来ます。

    \(P_1\)を逆変換して戻すと、
    \(P_1 (t) =μt e^{-μt}\)

    (i)\(P_2 (t)\)の解法

    \(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(μP_1 – μP_2\)をラプラス変換すると、
    \(sP_2 – P_2 (0) =μP_1- μP_2\)
    \((s+μ)P_2– 0 =μ\frac{μ}{(s+μ)^2} \)
    \(P_2\)を求めると
    \(P_2 = \frac{μ^2}{(s+μ)^3}\)

    ここで、\(\frac{μ}{(s+μ)^2}\)の3乗が出て来ます。

    \(P_2\)を逆変換して戻すと、
    \(P_2(t) =μ^2 \frac{t^2}{2} e^{-μt}\)

    簡単に計算できましたね。ラプラス変換知っていると便利ですよ!

    まとめ

    「QCに必要なラプラス変換がわかる」を解説しました。

    • ①ラプラス変換とは
    • ➁ラプラス変換をQCで使う場面
    • ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ

  • ガンマ分布がよくわかる

    ガンマ分布がよくわかる

    「ガンマ分布が難しくて、よくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ガンマ分布がよくわかる
    • ①ガンマ分布の確率密度関数の作り方
    • ➁ガンマ分布の分布関数の求め方
    • ➂ガンマ分布の期待値と分散の導出
    高校数学で十分わかる!
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    ①ガンマ分布の確率密度関数の作り方

    いきなり式を見るな!

    ガンマ分布の確率密度関数\(f(x)\)は
    \(f(t)\)=\(\frac{λ^n t^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λt}\)
    何じゃこりゃ!

    となってしまうので、いきなり見るのは目に危険です。

    指数分布からガンマ分布を導出する!

    指数分布の確率密度関数\(f(t)\)は

    指数分布の確率密度関数\(f(t)\)は
    \(f(t)\)=\(λe^{-λt}\)
    何じゃこりゃ!
    いや!いや!これくらいはイケるでしょう!

    不安でしたら関連記事でさらにわかりやすく解説しています。

    畳み込み積分がよくわかる(指数分布と指数分布)
    畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、さらに指数分布どうしを組み合わせた畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。 畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。

    指数分布の関数と、畳み込み積分が本記事のメインテーマです。

    指数分布からガンマ分布を導出しよう!

    指数分布関数\(f(t)=e^{-λt}\)の\(n\)回の畳み込み積分から
    (\(t=t_1 + t_2 +…+ t_n\)から)
    からガンマ分布を導出すると考えるとわかりやすい。

    なので、指数分布関数からガンマ分布を導出しましょう。

    指数分布とガンマ分布との違いは信頼性工学のところで解説します。

    下の問いで確認しましょう。

    例題

    ある時刻\(t_i\) (\(i=1,…,n\))は指数分布関数\(f(t)=λe^{-λt}\)に従う。
    この場合、時刻\(t=t_1 +t_2+…+t_n\)における確率密度関数は
    \(f_n(t)\)=\(\frac{λ^n t^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λt}\)
    であることを、畳み込み積分と数学的帰納法を使って導出せよ。

    解法

    数学的帰納法で証明していきましょう。
    (i)\(n=1\)のとき、
    \(f_1 (t)\)=\(\frac{λ^1 t^{1-1}}{(1-1)!} e^{-λt}\)
    =\(λ e^{-λt}\)
    より成立。指数分布の確率密度関数そのものですね。

    (ii)\(n=k\)のとき、
    \(f_k (t)\)=\(\frac{λ^k t^{k-1}}{(k-1)!} e^{-λt}\)
    と仮定すると、

    (iii)\(n=k+1\)のとき、
    \(f_{k+1} (t)\)=\( \displaystyle \int_{0}^{t} f_k (τ) f_1 (t-τ) dτ\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{t}\frac{λ^k τ^{k-1}}{(k-1)!} e^{-λt}・λ e^{-λ(t-τ)} dτ\)
    =\( \frac{λ^{k+1}}{(k-1)!} e^{-λt} \displaystyle \int_{0}^{t} τ^{k-1} dτ \)
    =\( \frac{λ^{k+1}}{(k-1)!} e^{-λt} \left[ \frac{τ^k}{k} \right]_0^t \)
    =\(\frac{λ^{k+1} t^k}{k!} e^{-λt}\)
    より\(n=k+1\)のときも成立。

    よって、すべての自然数\(n\)において、
    \(f_n(t)\)=\(\frac{λ^n t^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λt}\)
    が成り立ち、ガンマ分布の確率密度関数である。

    できましたね!

    ➁ガンマ分布の分布関数の求め方

    分布関数は確率密度関数の原始関数

    原始関数を求めましょう。

    \(F(t)\)= \(\displaystyle \int_{0}^{∞} \frac{λ^n t^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λt}dt\)

    積分できんの?
    できます!
    ちょっと大変だけど、
    ガチでできます!やってみます!

    QCプラネッツはガチで突き進みます!

    部分積分から漸化式で導出

    部分的に、
    \(\displaystyle \int_{0}^{∞} t^{n-1} e^{-λt} dt\)を積分しましょう。
    係数の\(\frac{λ^n}{(n-1)!}\)は最後にかけます。

    \(I_n\)=\(\displaystyle \int_{0}^{∞} t^{n-1} e^{-λt} dt\)と定義します。
    部分積分すると、
    \(\frac{1}{λ} t^{n-1} e^{-λt}\)=\(I_n\)-\(\frac{n-1}{λ}I_{n-1}\)

    ここで、\(\frac{n-1}{λ}I_{n-1}\)を消すために、\(n\)をどんどん下げて1まで持って行きます。

    すると、
    (1)\(\frac{1}{λ} t^{n-1} e^{-λt}\)=\(I_n\)-\(\frac{n-1}{λ}I_{n-1}\)
    (2) \(\frac{n-1}{λ^2} t^{n-2} e^{-λt}\)=\(\frac{n-1}{λ}(I_{n-1}\)-\(\frac{n-2}{λ^2}I_{n-2}\)

    (n-1) \(\frac{(n-1)!}{λ^{n-1}} t e^{-λt}\)=\(\frac{2}{λ^{n-2}} I_2\)-\(\frac{1}{λ^{n-1}}I_{1}\)
    となります。

    (1)+(2)+…(n-1)すると、
    \(I_n\)=\(\sum_{k=0}^{n-1} \frac{n!}{(n-(k+1))!} \frac{1}{λ^{k-1}} t^{n-(k-1)} e^{-λt}\)
    両辺に\(\frac{λ^n}{(n-1)!}\)をかけると、分布関数\(F(t)\)がでます。

    よって、
    \(F(t)\)=\( \frac{λ^n}{(n-1)!}\sum_{k=0}^{n-1} \frac{n!}{(n-(k+1))!} \frac{1}{λ^{k-1}} t^{n-(k-1)} e^{-λt}\)

    結果は出たけど、よくわからない式ですね。。。

    信頼性工学で故障率\(λ(t)\)を求める時に必要なので、計算しました。

    ➂ガンマ分布の期待値と分散の導出

    ガンマ関数は名脇役!

    先に書いて復習しましょう。関連記事でも解説しています。ご確認下さい。

    ガンマ関数がよくわかる(その2_大学数学編)
    ガンマ関数がさらっと解けますか?本記事では、ガンマ関数の性質とベータ関数との関係式を高校数学を駆使してわかりやすく解説しています。ガンマ関数に慣れずに苦戦している人は必読です。

    大事なのは、

    \(Γ(s)= \displaystyle \int_{0}^{∞} x^{s-1}e^{-x} dx\)=\((s-1)!\)
    \( \displaystyle \int_{0}^{∞} x^{s-1}e^{-x} dx\)の形が出たらガンマ関数に持ち込むことが大事!

    期待値E[\(x\)]の計算

    期待値E[\(x\)]は
    期待値E[\(x\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x f(x) dx\)
    です。積分範囲は正になるので、[0,∞]でOKです。

    さて、問題なのが、\(f(x)\)
    \(f(x)\)=\(\frac{λ^n x^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λx}\)
    に\(x\)をかけて積分するのが大変! っていうか積分できるの?

    積分できます!お任せ下さい!

    やってみましょう。

    ●E[\(x\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x \frac{λ^n x^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λx} dx\)
    =(式1)

    係数を∫の前に出して、ガンマ関数に持ち込みます。

    (式1)
    =\( \frac{λ^n}{(n-1)!} \displaystyle \int_{0}^{∞} x^n e^{-λx} dx\)
    =\( \frac{λ^n}{(n-1)!} \frac{Γ(n+1)}{λ^{n+1}}\)
    =\( \frac{λ^n}{(n-1)!} \frac{n!}{λ^{n+1}}\)
    =\(\frac{n}{λ}\)

    ここで、
    \(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^n e^{-λx} dx\)
    において、\(t=λx\)とおいて、
    ●\(dt=λdx\)
    ●\(x^n=(\frac{t}{λ})^n\)
    を使っています。

    できましたね!

    まとめると、ずいぶんすっきりしますが、
    期待値E[\(x\)]=\(\frac{n}{λ}\)

    分散の計算

    分散も計算が大変そうですが、期待値が計算できたら、意外と簡単にできます。

    期待値E[\(x^2\)]の計算

    期待値E[\(x^2\)]は
    \(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    です。

    ●E[\(x\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^2 \frac{λ^n x^{n-1}}{(n-1)!} e^{-λx} dx\)
    =(式1)

    係数を∫の前に出して、ガンマ関数に持ち込みます。

    (式1)
    =\( \frac{λ^n}{(n-1)!} \displaystyle \int_{0}^{∞} x^{n+1} e^{-λx} dx\)
    =\( \frac{λ^n}{(n-1)!} \frac{Γ(n+2)}{λ^{n+2}}\)
    =\( \frac{λ^n}{(n-1)!} \frac{n!}{λ^{n+1}}\)
    =\(\frac{n(n+1)}{λ^2}\)

    ここで、
    \(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^{n+1} e^{-λx} dx\)
    において、\(t=λx\)とおいて、
    ●\(dt=λdx\)
    ●\(x^n=(\frac{t}{λ})^n\)
    を使っています。

    分散V[\(x\)]の計算

    分散V[\(x\)]は
    分散V[\(x\)]= E[\(x^2\)]- E[\(x\)]2
    より、

    V[\(x\)]= E[\(x^2\)]- E[\(x\)]
    =\(\frac{n(n+1)}{λ^2}\)-\((\frac{n}{λ})^2\)
    =\(\frac{n}{λ^2}\)
    となります。

    できましたね!

    以上、まとめると、

    ガンマ分布の期待値と分散は、
    ●期待値E[\(x\)]=\(\frac{n}{λ}\)
    ●分散V[\(x\)]=\(\frac{n}{λ^2}\)
    随分すっきりしますね。
    ガンマ分布の性質は信頼性工学で頻出なので、よく読んで解けるようになりましょう。

    ガンマ分布の導出方法をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「ガンマ分布がわかる」を解説しました。

    • ①ガンマ分布の確率密度関数の作り方
    • ➁ガンマ分布の分布関数の求め方
    • ➂ガンマ分布の期待値と分散の導出

  • 【まとめ】順序統計量がわかる

    【まとめ】順序統計量がわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】順序統計量がわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量を導出する
    • ➂順序統計量の同時確率密度関数が計算できる
    • ➃中央値や幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➄結局、R管理図のd2,d3の導出はわからず
    • ⑥順序統計量の演習問題
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

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    ➁順序統計量を導出する

    順序統計量を理解するには、手を動かして具体的な関数から順序統計量を導出する練習が一番よいです。

    手計算では、一様分布、指数分布で対応できますが、正規分布は関数が複雑で計算できません。正規分布は順序統計量の考え方を変えた新たな表現を提案します。

    関連記事で紹介しています。ご確認ください。

    一様分布の順序統計量

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    指数分布の順序統計量

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    正規分布の順序統計量

    順序統計量(正規分布)がよくわかる
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    ➂順序統計量の同時確率密度関数が計算できる

    同時分布の場合も順序統計量が計算できます。関連記事で確認ください。

    順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散がよくわかる
    順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散が計算できますか?本記事では、一様分布を使って、期待値、分散を丁寧に導出していきます。順序統計量・統計学を学ぶ方は必見です。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    ➃中央値や幅の分布の確率密度関数がわかる

    順序だけではなく、順序に並べた確率変数の幅や範囲Rについて確率密度関数を求めることができます。関連記事で解説していますので、ご確認ください。

    順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる
    順序統計量は説明できますか?本記事では中央値に確率密度関数の導出と例題をわかりやすく解説します。導出過程を丁寧に解説しているので、必読です。

    順序統計量の幅の分布がわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事はR管理図の係数を導出する入口である順序統計量の幅の分布について解説します。順序統計量や統計学をマスターしたい方は必読です。

    ➄結局、R管理図のd2,d3の導出はわからず

    順序統計量を取り上げたきっかけは、R管理図のd2,d3の導出過程を解明することでしたが、すいません、まだ理解できていません。古書の原文をわかりやすく書き直したものを載せておきます。わかり次第お伝えします。

    R管理図の係数d2,d3の導出がわからないまま、d2,d3の値は使いたくないですよね。JISに決まっているから正しい!という概念は正しいのでしょうか?

    正しいなら、導出がわかるはずなんですけど。

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    順序統計量が説明できますか? 本記事ではR管理図の係数d2,d3の導出を紹介します。導出の計算過程を古書から紹介します。順序統計量や管理図を学ぶ方は必読です。

    ⑥順序統計量の演習問題

    演習問題を解くことで、順序統計量が身に付きます。4問提示していますので、是非解いてみてください。

    順序統計量の演習問題(その1)
    順序統計量が説明できますか?順序統計量が計算できますか? 本記事では、順序統計量を理解できる良問を演習問題として2回に分けて解説します。解説記事と合わせてご覧ください。統計学を学ぶ方は必見です。

    順序統計量の演習問題(その2)
    順序統計量が説明できますか?順序統計量が計算できますか? 本記事では、順序統計量を理解できる良問を演習問題として2回に分けて解説します。解説記事と合わせてご覧ください。統計学を学ぶ方は必見です。

    これだけ、順序統計量を勉強したら大丈夫!

    まとめ

    「【まとめ】順序統計量がわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量を導出する
    • ➂順序統計量の同時確率密度関数が計算できる
    • ➃中央値や幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➄結局、R管理図のd2,d3の導出はわからず
    • ⑥順序統計量の演習問題

  • 順序統計量の演習問題(その2)

    順序統計量の演習問題(その2)

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の演習問題(その2)
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題(その1で解説)
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題(その1で解説)
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)
    • ➄(iv)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    次の4問が解ければ、順序統計量はOKです。

    ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題(その1で解説)

    ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題(その1で解説)

    (その1)では関連記事で解説していますので、先に確認ください。2問演習問題があります。

    順序統計量の演習問題(その1)
    順序統計量が説明できますか?順序統計量が計算できますか? 本記事では、順序統計量を理解できる良問を演習問題として2回に分けて解説します。解説記事と合わせてご覧ください。統計学を学ぶ方は必見です。

    ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)

    演習問題

    \(n\)個の確率変数\(X_1\)、\(X_2\)、…、\(X_n\)が定数λの指数分布に従い、
    \(X_1\)、\(X_2\)、…、\(X_n\)が順序統計量に従うとする。
    (1) \(X_1\)の確率密度関数を求めよ。
    (2) \(X_n\)の確率密度関数を求めよ。
    (3) \(R=X_n – X_1\)の確率密度関数を求めよ。

    難しそうな問ですが、1つ1つ解いていきましょう。

    解法のポイント

    ポイントは、

    1. 順序統計量の同時確率密度関数
    2. 順序統計量の幅の分布

    を使います。

    関連記事も紹介しますので、不安な場合は関連記事の解説を読んでください。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    順序統計量の幅の分布がわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事はR管理図の係数を導出する入口である順序統計量の幅の分布について解説します。順序統計量や統計学をマスターしたい方は必読です。

    解法

    確率密度関数と分布関数

    それぞれ先に導出しておくと、
    ●\(f(x)\)=\(λe^{-λx}\) (\(x\) > 0)
    ●\(F(x)\)=\(1-e^{-λx}\) (\(x\) > 0)
    ですね。

    (1)の解法

    公式
    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)から

    \(f_{(1)}(x)\)=\(\frac{n!}{(1-1)!1!(n-1)!} F(x)^{1-1}[1-F(x)]^{n-1}f(x)\)
    =\(\frac{n!}{(n-1)!} [1-F(x)]^{n-1}f(x)\)
    =\(n [1-(1-e^{-λx})]^{n-1}・λe^{-λx}\)
    =\(nλe^{-nλx}\)

    (2)の解法

    公式
    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)から

    \(f_{(n)}(x)\)=\(\frac{n!}{(n-1)!1!(n-n)!} F(x)^{n-1}[1-F(x)]^{n-n}f(x)\)
    =\(\frac{n!}{(n-1)!} F(x)^{n-1}f(x)\)
    =\(n ^{n-1}f(x)\)
    =\(n(1-e^{-λx})^{n-1} λe^{-λx}\)
    =\(nλ(1-e^{-λx})^{n-1} e^{-λx}\)

    (3)の解法

    \(R=X_n -X_1\)より幅の分布を考えます。

    \(R\)は、同時確率密度関数を用いて、
    公式
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    を使って

    \(f_R(r)\)= \(f_{(1),(n)}(x_1,x_n)\)
    =\(n(n-1)[(F(x_1 +r)-F(x_1)]^{n-2} f(x_1) f(x_1 +r)\)
    =\(n(n-1)[ (1-e^{-λ(x_1+r)})- (1-e^{-λx_1})]^{n-2} λe^{-λx_1} λe^{-λ(x_1+r)}\)
    =\(n(n-1)λ^2 e^{-λ(2x_1+r)} (e^{-λx_1}-e^{-λ(x_1+r})^{n-2}\)
    =(式1)

    (式1)を\(r\)について積分し、\(x_1\)を\(x\)に書き直します。

    \(R\)の確率密度関数は
    \(f_R(x)\)= \( \displaystyle \int_{0}^{∞} (式1) dr \)
    = \( \displaystyle \int_{0}^{∞} n(n-1)λ^2 e^{-λ(2x_1+r)} (e^{-λx_1}-e^{-λ(x_1+r})^{n-2} dr\)
    =\(n(n-1)λ^2 e^{-nλx} \int_{0}^{∞} e^{-λr}(1-e^{-λr})^{n-2} dr \)
    =(式2)

    ここで、\(e^{-λr}=t\)とおくと、\(dt\)=\(-λt dr\)となり、(式2)に代入します。

    (式2)
    =\(n(n-1)λ^2 e^{-nλx} -\frac{1}{λ} \displaystyle \int_{1}^{0} (1-t)^{n-2} dt \)
    =\(n(n-1)λe^{-nλx} \displaystyle \int_{0}^{1} (1-t)^{n-2} dt \)
    =\(nλe^{-nλx}\)
    となります。

    できましたね!

    ➄(iv)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)

    演習問題

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…\(X_n\)を[0,1]の一様分布に従う順序統計量とする。
    標本範囲\(R\)=\(X_n -X_1\)を考える。
    (1) 標本範囲\(R\)確率密度関数\(f_R (x)\)を求めよ。
    (2) 標本範囲\(R\)の期待値E[R]を計算せよ。
    (3) 標本範囲\(R\)が半分の\(\frac{1}{2}\)より大きくなる確率を求めよ。

    解法のポイント

    ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)と同じなので、関連記事を再度確認ください。

    解法

    (1)の解法

    実は、(1)は関連記事の例題と同じなので、途中経過は関連記事を読んでください。

    順序統計量の幅の分布がわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事はR管理図の係数を導出する入口である順序統計量の幅の分布について解説します。順序統計量や統計学をマスターしたい方は必読です。

    (2)の解法

    期待値E[R]は
    E[R] =\( \displaystyle \int_{0}^{1} r f_R (r) dr \)
    =\( n(n-1) \displaystyle \int_{0}^{1} r^{n-1} (1-r)dr \)
    =\(\frac{n-1}{n+1}\)
    (計算してみてください。)
    となり、1に近い値になります。不思議!

    (3)の解法

    確率は確率密度関数\(f_R (x)\)を積分した結果になります。

    Pr(R ≥ 1/2) = \( \displaystyle \int_{1/2}^{1} f_R (r) dr \)
    =\( n(n-1) \displaystyle \int_{1/2}^{1}r^{n-2}(1-r) dr \)
    =1-\((\frac{1}{2})^n (n+1)\)
    となります。

    順序統計量の演習問題(その1)と(その2)の4問を解説しました。これくらい演習しておけば、順序統計量は大丈夫でしょう。重要な問題なので、是非読んでください。

    まとめ

    「順序統計量の演習問題(その2)」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題(その1で解説)
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題(その1で解説)
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)
    • ➄(iv)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)

  • 順序統計量の演習問題(その1)

    順序統計量の演習問題(その1)

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の演習問題(その1)
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)(その2で解説)
    • ➄(iV)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ) (その2で解説)
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    次の4問が解ければ、順序統計量はOKです。

    ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題

    演習問題

    3つの確率変数\(Y_1\)、\(Y_2\)、\(Y_3\)について、
    \(Y_1\) < \(Y_2\) < \(Y_3\)
    が成り立ち、互いに独立で、一様分布[0,1]に従うとする。この場合、
    \(Z\)=\(Y3\)-\(Y1\)
    の確率密度関数を求めよ。

    難しそうな問ですが、1つ1つ解いていきましょう。

    解法のポイント

    ポイントは、2つあり、

    1. 確率変数の変換(2変数)
    2. 順序統計量の同時確率密度関数

    を使います。

    関連記事も紹介しますので、不安な場合は関連記事の解説を読んでください。

    【まとめ】2変数の確率変数の変換がよくわかる
    2変数の確率変数の変換が計算できますか?本記事では,理解が難しい公式をそのまま使わずに,高校数学で十分解ける解法を解説します。今回は変換したいパターンをすべてを解説!教科書よりわかりやすく、 ほぼ高校数学でイケる方法で解説! t分布、F分布の確率密度関数を導出したい方は必読な記事です。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    解法

    一様分布から\(Y_i\)の確率密度関数\(f_i(y)\)と分布関数\(F_i(y)\)は
    ●\(f_i(y)\)=1 (0 < \(y\) < 1)
    ●\(F_i(y)\)=\(y\) (0 < \(y\) < 1)
    です。

    次に\(y_1\)と\(y_3\)の同時確率密度関数は公式
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    から
    \(f_{(1),(3)}(y_{(1)},y_{(3)})\)=\(C_{1,3}F(y_1)^{1-1}\)\((F(y_3)-F(y_1))^{3-1-1}\)\((1-F(x_3))^{3-3}f(x_1)f(x_3)\)
    \(f_{(1),(3)}(y_{(1)},y_{(3)})\)=6\((F(y_3)-F(y_1))\)
    =\(6(y_3-y_1)\)

    そして、\(z=y_3-y_1\)より、2変数の変換をします。
    ●\(z=y_3-y_1\)
    ●\(w\)=\(y1\)
    とおいて、変換すると、
    \(f_{z,w}(z,w)\)= \(f(y_1(z,w),y_3(z,w))|detJ|\)で
    =\(6(y_3-y_1)・1\)
    =\(6z\) (ただし、0 < \(z\) < \(w\) < 1)

    ここでヤコビアン行列から
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial y_1}{ \partial z} & \frac{\partial y_3}{\partial w} \\
    \frac{\partial y_1}{\partial z} & \frac{\partial y_3}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    ヤコビアン行列を実際に代入すると
    J=\(\begin{pmatrix}
    -1 & 1 \\
    1 & 0
    \end{pmatrix}\)
    から行列式は-1で、その絶対値は1です。

    最後に、\(z\)の周辺確率密度関数を計算します。

    \(f_{z,w}(z,w)\)=\(6z\) (ただし、0 < \(z\) < \(w\) < 1)
    は変数\(z,w\)の式なので、無関係な\(w\)について積分します。

    積分区間は、\(z\) < \(w\) < 1に注意します。

    \(f(z)\)=\( \displaystyle \int_{z}^{1} 6z dz\)
    =\(6z(1-z)\)
    (答え)

    できましたね!

    ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題

    演習問題

    3つの確率変数\(x_1\)、\(x_2\)、\(x_3\)について、
    \(x_1\) < \(x_2\) < \(x_3\)
    が成り立ち、互いに独立で、以下の確率密度関数\(f_i(x)\)
    ●\(f_i(x)=2x\) (0 < \(x\) < 1)
    に従う。
    (1) \(x_1\)、\(x_2\)、\(x_3\)それぞれの確率密度関数を導出せよ。
    (2) \(x_1\)、\(x_2\)、\(x_3\)それぞれの期待値E[\(x_i\)]を計算し、
    E[\(x_1\)] < E[\(x_2\)] < E[\(x_3\)]を確認せよ。

    解法のポイント

    1変数の順序統計量の確率密度関数と期待値の計算ですね。関連記事でも解説しています。

    順序統計量の考え方がよくわかる
    順序統計量を説明できますか? 本記事では難解な順序統計量をわかりやすく解説します。整式を使い、期待値が順序に従い増加することを視覚的に理解できます。順序統計量を理解したい方は必見です。

    解法

    まず、分布関数\(F_i(x)\)は確率密度関数\(f_i(x)\)を積分して、
    ●\(f_i(x)=2x\) (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F_i(x)=x^2\) (0 < \(x\) < 1)
    ですね。

    確率密度関数\(f_i(x)\)を計算

    確率密度関数\(f_i(x)\)を計算します。
    \(f_i(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)
    より、

    ●\(i\)=1のとき、
    \(f_1(x)\)=\(\frac{3!}{(1-1)!1!(3-1)!} F_1(x)^{1-1}[1-F_1(x)]^{3-1}f_1(x)\)
    =\(\frac{3!}{2!} [1-F_1(x)]^2 f_1(x)\)
    =\(3(1-x^2)^2 ・2x\)
    =\(6x(1-x^2)^2\)

    ●\(i\)=2のとき、
    \(f_2(x)\)=\(\frac{3!}{(2-1)!1!(3-2)!} F_2(x)^{2-1}[1-F_2(x)]^{3-2}f_2(x)\)
    =\(3! F_2(x) [1-F_2(x)] f_2(x)\)
    =\(6 x^2 (1-x^2) ・2x\)
    =\(12x^3 (1-x^2)\)

    ●\(i\)=3のとき、
    \(f_3(x)\)=\(\frac{3!}{(3-1)!1!(3-3)!} F_3(x)^{3-1}[1-F_3(x)]^{3-3}f_3(x)\)
    =\(\frac{3!}{2!} F_3(x)^2 f_3(x)\)
    =\(3(x^2)^2 ・2x\)
    =\(6x^5\)

    3つの関数をまとめると
    ●\(f_1(x)\)= \(6x(1-x^2)^2\)
    ●\(f_2(x)\)= \(12x^3 (1-x^2)\)
    ●\(f_3(x)\)= \(6x^5\)

    図で描くと、E[\(x_1\)] < E[\(x_2\)] < E[\(x_3\)]に見えますよね。

    順序統計量

    期待値E[\(x_i\)]を計算

    E[\(x_1\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_1(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} 6x^2(1-x^2)^2 dx\)
    =\(\frac{16}{35}\)

    E[\(x_2\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_2(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} 12x^4 (1-x^2) dx\)
    =\(\frac{24}{35}\)

    E[\(x_3\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_3(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} 6x^6 dx\)
    =\(\frac{30}{35}\)

    \(\frac{16}{35}\) < \(\frac{24}{35}\) < \(\frac{30}{35}\) より
    E[\(x_1\)] < E[\(x_2\)] < E[\(x_3\)]が確認できた。

    ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)

    ➄(iV)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)

    順序統計量の演習問題(その2)で解説しますね。範囲R(\(x_n – x_1\)の確率密度関数を解く重要な問題なので、是非読んでください。

    まとめ

    「順序統計量の演習問題(その1)」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)(その2で解説)
    • ➄(iV)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ) (その2で解説)

  • 順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁R管理図の変数d2,d3
    • ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁R管理図の変数d2,d3

    詳しくは、すでに関連記事で書いています。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    R管理図の変数d2,d3

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    読んでも理解ができない超難関な式です。でも、これをR管理図の係数表として有名です。どうやってこの式になったのか?と気になるのは当然!

    注意!

    先に謝っておきます!
    完璧に導出できていませんが、日本中の資料をかき集めて、自分で研究した成果を解説します。d2,d3の導出で新たな知見が出たら、ブログを更新します。
    R管理図の関連記事を書いて9カ月経過し、統計学を猛勉強して、順序統計量を解説できるレベルまで高めましたが、やっぱりR管理図の係数d2,d3は導出できない。読んでもわからない

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)
    は順序統計量を勉強すれば、同時分布の幅の分布から導出するのがわかりますが、その先の導出がやっぱりわからないです。

    ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    要約は関連記事で

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    本記事は、図書の原文を残しておきます

    導出が書いている唯一の図書が、です。大きな図書館でないと借りれません。

    1952年から70年経過しており、著作権の影響がないことと、
    この本の内容以外、R管理図の変数d2,d3の導出が書いていないため、原文を書き残して、導出過程をみなさんと協議したいと思います。

    「新編統計数値表 河出書房」P206-208の原文です。古い漢字や誤植や解釈が難しいと思われるところはQCプラネッツの方で修正しています。

    「新編統計数値表 河出書房」

    36.範囲の分布

    連続型分布で無作為標本\(x_1\),\(x_2\),…, \(x_n\)を大きさの順に並べたものを
    \(x_1\) < \(x_2\) < … < \(x_n\)
    とする。\(x_r\)を\(r\)番目の順序統計量という。

    元の分布関数を\(F(x)\)、確率密度関数を\(f(x)\)とすれば、\(x_r\)の分布は、
    \(Φ(x_r)dx_r\)=\([F(x_r)]^{r-1} [1-F(x_r)]^{n-r} f(x_r)dx_r /B(r,n-r+1)\)

    \(F_1=F(x_r)\), \(F_2=F(x_{n-l+1})\)の同時分布は
    \(F_1^{r-1} (F_2 – F_1)^{n-r-l}(1-F_2)^{l-1} dF_1 dF_2 \)
    に比例する。

    つぎに、
    \(R=x_n – x_1\)と定義すると、\(R\)は範囲という。\(R\)の標本分布において、\(x_2-x_1=w\)と置くと、\(R\)の確率密度関数\(f_W (w)\)は

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} f(x_1)f(x_1+w) dx_1 dx_2\)

    ここで、\(dF_i\)=\(df_i dx_i\)とすると、

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} dF_1 dF_2\)
    となる。

    期待値E[\(w\)]は、
    E[\(w\)]=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} (x_2 -x_1) dF_1 dF_2\)
    となる。

    \((F_2-F_1)^{n-2}\)を展開して、部分積分からまとめると、
    E[\(w\)]=\(n! \sum_{r=0}^{n-2} \frac{(-1)^r}{(r+1)!(n-r-1)!} \displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F_2^{n-r-1})F_2^{r+1} dx_2\)
    =\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F_2^n-(1-F_2)^n)dx_2\)

    同様にしてE[\(w^2\)]は
    E[\(w^2\)]=\(2 \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2}(1-F_2^n-(1-F_1)^n-(F_2-F_1)^n)dx_1 dx_2 \)

    従って\(w\)の母分散は
    \(σ_w^2\)= E[\(w^2\)]- E[\(w\)]2
    で与えられる。

    範囲の分布は、元の分布の母平均の値によらないから、
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} xdF\)=0
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^2dF\)=\(σ^2\)=1
    と置いても、一般性は失わない。\(σ^2\)が存在するなら、
    \( \displaystyle \lim_{x \to -\infty} xF= 0\)
    \( \displaystyle \lim_{x \to +\infty} x(1-F)= 0\)
    より、

    部分積分から、
    E[\(w\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F^n-(1-F)^n)dx\)
    =-\(\displaystyle \int_{0}^{1} xd[1-F^n-(1-F)^n]\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} x[(1-F)^n-F^n]dF\)

    シュワルツの不等式より、
    \(E[w]^2\) ≤ \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^2dF \displaystyle \int_{0}^{1} [(1-F)^n-F^2]^2 dF\)
    =\(\frac{2n^2}{2n-1}(1-\frac{1}{_{2n-2}C_{n-1}})=K\)
    とすると、\(K\)は、
    E[\(w\)]=E[\(\frac{R}{σ}\)]=\(d_2\)
    を与える。

    E[w]の導出までは理解できますが、そのあとの計算がさっぱりわからないですね。式が正しく導出できるかが分からないです。

    導出が分かり次第報告します!

    このテーマはわかるまで研究したいと考えております。

    まとめ

    「順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁R管理図の変数d2,d3
    • ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

  • 順序統計量の幅の分布がわかる

    順序統計量の幅の分布がわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の幅の分布がわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➂順序統計量の幅の分布の例題
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁順序統計量の幅の分布の確率密度関数がわかる

    R管理図の係数導出に必須

    順序統計量をブログに投稿している最大の理由が、「R管理図の係数導出」です。順序統計量からR管理図の係数を求めますが、その導出過程が難しいから解明したい!です。

    同時確率密度関数からスタート

    基本は同時確率密度関数からスタートします。基本的な内容は関連記事で解説していますのでご確認ください。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    この記事では、同時確率密度関数の式からスタートします。

    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)

    順序統計量の幅の分布の確率密度関数

    同時確率分布の確率密度関数において、
    \(W\)=\(X_{(n)}\)- \(X_{(1)}\)
    と定義して、幅\(W\)の分布を考えます。

    まず、
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    へ、\(i\)=1、\(j\)=\(n\)を代入します。

    \(f_{(1),(n)}(x_{(1)},x_{(n)})\)=\(C_{1,n}\)\((F(x_n)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_n)\)
    まとめると、\(x_n=x_1 +w\)に注意して
    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\((F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)
    =(式1)
    となります。この式を使います。

    順序統計量の幅の分布の確率密度関数を積分

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\((F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)はまだ、変数\(x_1\)がいて、変数\(w\)だけの式ではないので、変数\(x_1\)で積分します。

    \(W\)についての確率密度関数は
    \(f_W (w)\)= \(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)dx_1\)
    =(式2)
    となります。

    さらに(式2)を積分すると、変数\(W\)についての確率も導出できます。
    Pr(\(W\))=\(n\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-1}\)\(f(x_1)\)dx_1\)
    =(式3)
    となります。

    (式2)⇒(式3)においては、
    \( f(x_1 +w)\)= \(\displaystyle \frac{d(F(x_1+w)-F(x_1))}{dx} \)として、
    \((n-1) (F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2} f(x_1 +w)\)を
    \((n-1) (F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\displaystyle \frac{d(F(x_1+w)-F(x_1))}{dx}\)として、
    \((F(x_1+w)-F(x_1))\)を\((n-2)\)乗から\((n-1)\)乗に1つ指数を上げる計算をしています。

    後で使う式なのでまとめると、

    ●(式1):順序統計量の幅の分布の確率密度関数
    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\((F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)
    ●(式2):順序統計量の幅の分布の確率密度関数
    \(f_W (w)\)= \(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)dx_1\)
    ●(式3):順序統計量の幅の分布の確率
    Pr(\(W\))=\(n\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-1}\)\(f(x_1)\)dx_1\)

    ➂順序統計量の幅の分布の例題

    実際に例題を見ながら計算してみましょう。

    順序統計量の幅の分布の例題

    確率変数\(X\)の確率密度関数\(f(x)\)および分布関数\(F(x)\)は
    ●\(f(x)=1\) (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F(x)=x\) (0 < \(x\) < 1)
    である一様分布に従うとする。この時の、
    (i)\(W\)=\(X_{(n)}\)- \(X_{(1)}\)と定義する変数\(W\)の確率密度関数\(f_W (w)\)を求めよ。
    (ii) \(W\)=\(X_{(j)}\)- \(X_{(i)}\)と定義する変数\(W\)同時確率密度関数\(f_W(i,j) (w) \)
    をそれぞれ求めよ。

    公式から実際に解いて、イメージをつけましょう。

    (i)確率密度関数\(f_W (w)\)の解法

    (式2)に\(F(x)\)=\(x\),\(f(x)\)=1を代入します。

    (式2)
    =\(f_W (w)\)= \(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)dx_1\)
    =\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{0}^{1-w}((x_1+w)-x_1)^{n-2} dx_1\)
    =\(n(n-1)w^{n-2} (1-w)\) (0 < w < 1)

    \(w\)の式ですが、\(x_1\)で積分する点に注意しましょう。
    また、\(x_n=x_1+w\) < 1より \(x_1\) < 1-\(w\)で積分します。

    (ii)同時確率密度関数\(f_W(i,j) (w) \)の解法

    同時確率密度関数は
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    より、\(f(x)=1\)、\(F(x)=x\)を代入すると、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    \(x_j=x_i+w\)と置くと、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_i +w)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_i +w))^{n-j}f(x_i)f(x_i +w)\)

    さらに、\(F(x)=x\),\(f(x)=1\)を代入すると、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j}x_i^{i-1}\)\((w)^{j-i-1}\)\((1- x_i -w))^{n-j}\)

    この式を\(dx_i\)で積分すると、
    \(x_n=x_1+w\) < 1より \(x_1\) < 1-\(w\)で積分する点に注意して、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j} \displaystyle \int_{0}^{1-w} x_i^{i-1}\)\((w)^{j-i-1}\)\((1- x_i -w))^{n-j} dx_i\)
    =\(C_{i,j} w^{j-i-1} (1-w)^{n-j+i}\)
    となります。

    幅の分布で具体的な関数になっても、いまいちピンと来ませんが、計算はできますね。

    まとめ

    「順序統計量の幅の分布がわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➂順序統計量の幅の分布の例題

  • 順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる

    順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の中央値の確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量の中央値の確率密度関数の例題
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁順序統計量の中央値の確率密度関数の導出

    順序統計量の確率密度関数の復習

    今回は同時分布は対象外です。

    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-i} f(x)\)
    を復習しよう!

    関連記事で解説していますので、ご確認ください。

    順序統計量の中央値の導出

    確率変数\(X_1,X_2,…,X_n\)の中央値は、\(n\)が奇数のときと、偶数のときで表示が若干変わります。

    (i)奇数のとき:\(\frac{n+1}{2}\)
    (ii)偶数のとき:\(\frac{\frac{n}{2}+(\frac{n}{2}+1)}{2}\)

    例として、\(n\)=7のときは、中央は4です。 \(\frac{7+1}{2}\)=4で計算できます。
    \(n\)=8のときは、中央は4と5の真ん中です。\(\frac{\frac{8}{2}+\frac{8}{2}+1}{2}\)=\(\frac{4+5}{2}\)=4.5で計算できますね。

    これを順序統計量の確率密度関数に代入すればOKです。

    順序統計量の中央値の確率密度関数の導出

    \(n\)が奇数の場合

    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-i} f(x)\)に代入します。

    \(f_M (x)\)=\(\frac{n!}{( \frac{n+1}{2}-1)!1!(n-\frac{n+1}{2})!}\)\(F(x)^{ \frac{n+1}{2}-1}(1-F(x))^{n-\frac{n+1}{2}} f(x)\)
    =\(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)
    となります。

    つまり、
    \(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)

    \(n\)が偶数の場合

    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-i} f(x)\)に代入します。

    ここで、式の見た目をよくするために1つトリックを仕込みます。(良くないと思うが)

    \((i-1)\)の\(i\)に \(i=\frac{n}{2}\)を
    \((n-i)\)の\(i\)に \(i=\frac{n}{2}+1\)を
    代入して、共に
    \(\frac{n}{2}-1\)とさせます。

    また、(f(x))の部分を(f(x_1)), (f(x_2))に分けます。

    \(f_M (x)\)=\(\frac{n!}{( \frac{n}{2}-1)!1!( \frac{n}{2}-1)!}\)\(F(x_1)^{ \frac{n}{2}-1}(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)
    =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!}^2\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)
    となります。

    つまり、
    \(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!}^2\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)

    まとめると、

    (i)奇数のとき:\(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)
    (ii)偶数のとき:\(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!}^2\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)

    ➂順序統計量の中央値の確率密度関数の例題

    一様分布を使って、具体的な中央値の確率密度関数の式を作ってみましょう。

    【問】
    確率変数\(X\)の確率密度関数\(f(x)\)および分布関数\(F(x)\)は
    ●\(f(x)\)=1 (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F(x)\)=\(x\) (0 < \(x\) < 1)
    である一様分布に従うとする。
    (1) 中央値の確率密度関数を導出せよ。
    (2) 期待値と分散を求めよ。(\(n\)が奇数の場合のみでよい)

    解説します。

    (1)順序統計量の中央値の確率密度関数の導出

    先の、

    (i)奇数のとき:\(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})!^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)
    (ii)偶数のとき:\(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!^2}\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)

    に\(f(x)=1\),\(F(x)=x\)を代入します。

    \(n\)が奇数の場合

    \(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2}!)^2}\)\((x(1-x)^{\frac{n-1}{2}} \)
    (0 < \(x\) < 1)

    \(n\)が偶数の場合

    \(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!)^2}\)\((x_1(1-x_2)^{ \frac{n}{2}-1} \)
    (0 < \(x\) < 1)

    (2)期待値と分散の導出

    期待値と分散の導出は、関連記事で解説しています。

    期待値と分散は

    ●期待値E=\(\frac{i}{n+1}\)
    ●分散V=\(\frac{i(n-i+1}{(n+1)^2 (n+2)}\)

    この式に\(i=\frac{n+1}{2}\)を代入して、

    ●期待値E=\(\frac{i}{n+1}\)=\(\frac{\frac{n+1}{2}}{n+1}\)=\(\frac{1}{2}\)
    ●分散V=\(\frac{i(n-i+1)}{(n+1)^2 (n+2)}\)
    =\(\frac{1}{4(n+2)}\)

    まとめ

    「順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の中央値の確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量の中央値の確率密度関数の例題

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