品質工学,静特性の演習問題が解ける(誤差因子1つの場合)
「品質工学のSN比、感度Sが導出できない」などと困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- ①演習問題
- ➁品質工学の静特性で解く1(目標値を含まない場合)
- ➂品質工学の静特性で解く2(目標値を含む場合)
- ➃実験計画法・一元配置実験で解く
- ➄結果を比較
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品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッド
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①演習問題
演習問題のポイント
ポイントは
- 単純な公式代入練習ではないこと
- データの構造式から分散分析する意識をもつこと
- 実験計画法も使って品質工学と実験計画法を比較しながら理解を深めること
品質工学と他の領域の手法を比較する例はQCプラネッツオリジナルですね。でも比較しながら解くと理解を深めることができます!やってみましょう!
演習問題
(1) 品質工学の静特性で解く場合(目標値を含まない場合)
(2) 品質工学の静特性で解く場合(目標値を含む場合)
(3) 実験計画法・一元配置実験で解く場合
データ
\(y_{ij}\) | 機械1 | \(y_{ij}\) | 機械2 | ||||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 平均 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 平均 | ||
N1 | 41 | 43 | 39 | 44 | 43 | 42 | N1 | 39 | 45 | 41 | 47 | 38 | 42 |
N2 | 49 | 50 | 48 | 52 | 51 | 50 | N2 | 45 | 54 | 55 | 47 | 49 | 50 |
N3 | 54 | 56 | 55 | 53 | 52 | 54 | N3 | 48 | 58 | 51 | 53 | 60 | 54 |
– | 48.67 | – | 48.67 |
解法の流れ
4つ問いがありますが、すべて同じ流れで解いていきます。
- データの構造式を立てる
- データの構造式の各項の値とその2乗を計算
- 2乗和の分解を確かめる
- 分散分析表を作る
では、行きます。
基礎は関連記事で確認
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➁品質工学の静特性で解く1(目標値を含まない場合)
データの構造式を立てる
品質工学の静特性で解く(目標値を含まない場合)場合のデータの構造式は、
ですね。
実験計画法、回帰分析、品質工学は必ずデータの構造式を立てれば、公式暗記不要ですべて解けます!
データの構造式の各項の値とその2乗を計算
計算すると下図になります。実際に解いてみてください。
上図を見ると、機械1,2は誤差因子Nの各水準の平均が等しいので、
オレンジ枠の\(y_{ij}^2\)の和と、\((y_{ij}-\bar{y_i})^2\)の和の値が異なることが分かります。
2乗和の分解を確かめる
2乗和の分解を確かめると、
●機械1: 35936=35526.67+373.33+36
●機械2: 36134=35526.67+373.33+234
なので、分散分析ができます。分散分析はまとめて後で比較します。
➂品質工学の静特性で解く2(目標値を含む場合)
データの構造式を立てる
品質工学の静特性で解く(目標値を含む場合)場合のデータの構造式は、
ですね。
実験計画法、回帰分析、品質工学は必ずデータの構造式を立てれば、公式暗記不要ですべて解けます!
目標値によって、分散分析の結果が変わる
目標値をいくらにするかによって、分散分析の結果が変わってきます。そこで、2例用意してみましょう。
●平均値に近いm=60の場合
●平均値から遠いm=200の場合
数値が変わっても解き方は同じです。
データの構造式の各項の値とその2乗を計算
計算すると下図になります。実際に解いてみてください。
目標値m=60の場合
先の目標値を考えない場合と同程度の値になっているのがわかりますね。
目標値m=200の場合
\((y_{ij}-m)^2\)と\((\bar{y}-m)^2\)の値が 目標値mの値が大きいためにm=60の場合より大きな値になっており、誤差分散との比がかなり開くようになってしまいます。
\((y_{ij}-m)\)=\((\bar{\bar{y}}-m)\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
とすべきですが、目標値と実データに大きな差があると
分散分析の結果の妥当性が下がるので、
\(y_{ij}\)=\(\bar{\bar{y}}\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
として、簡略化しているような背景があると感じます。
2乗和の分解を確かめる
目標値m=60の場合
2乗和の分解を確かめると、
●機械1: 2336=1926.67+373.33+36
●機械2: 2534=1926.67+373.33+234
なので、分散分析ができます。分散分析はまとめて後で比較します。
目標値m=200の場合
2乗和の分解を確かめると、
●機械1: 343936=343526.67+373.33+36
●機械2: 344134=343526.67+373.33+234
なので、分散分析ができます。分散分析はまとめて後で比較します。
➃実験計画法・一元配置実験で解く
データの構造式を立てる
データをよく見ると、Nが1因子である、実験計画法の一元配置実験ですよね。
実験計画法・一元配置実験のデータの構造式は、
ですね。
実験計画法、回帰分析、品質工学は必ずデータの構造式を立てれば、公式暗記不要ですべて解けます!
データの構造式の各項の値とその2乗を計算
計算すると下図になります。実際に解いてみてください。
上図を見ると、機械1,2は因子Nの各水準の平均が等しいので、
オレンジ枠の\((y_{ij}\bar{\bar{y}})^2\)の和と、\((y_{ij}-\bar{y_i})^2\)の和の値が異なることが分かります。
2乗和の分解を確かめる
2乗和の分解を確かめると、
●機械1: 409.33=373.33+36
●機械2: 607.33=373.33+234
なので、分散分析ができます。分散分析はまとめて後で比較します。
⑥結果を比較
4つのケースを分散分析表にまとめると、値が異なることがよくわかります。
– | 機械1 | 機械2 | ||||||
品質工学 | 実験計画法 | 品質工学 | 実験計画法 | |||||
mなし | mなし | |||||||
Sm | 35526.67 | 1926.67 | 343526.67 | 373.33 | 35526.67 | 1926.67 | 343526.67 | 373.33 |
SN | 373.33 | 373.33 | 373.33 | – | 373.33 | 373.33 | 373.33 | – |
Se | 36 | 36 | 36 | 36 | 234 | 234 | 234 | 234 |
S | 35936 | 2336 | 343936 | 409.33 | 36134 | 2534 | 344134 | 607.33 |
SN比 =Sm/Se |
986.85 | 53.52 | 9542.41 | 10.37 | 151.82 | 8.23 | 1468.06 | 1.6 |
SN比=Sm/Seとすると
同じデータでも
仮定したデータの構造式によって
SN比が機械1では、10~9500、機械2では8~1500程度変化することがわかります。
SN比から見て確認することも大事です。
また、機械1と機械2においては機械2の方がデータのばらつきが大きい分、
SN比が機械1と機械2で若干の差が出ていることが分かります。
でも、SN比の値が仮定したデータの構造式によって随分大きく変わる方の影響が大きいので、機械1と機械2の差が見えにくいですね。
静特性の例題を使って、実際に丁寧に計算するといろいろわかりますね。
まとめ
「品質工学,静特性の演習問題が解ける(誤差因子1つの場合)」を解説しました。
- ①演習問題
- ➁品質工学の静特性で解く1(目標値を含まない場合)
- ➂品質工学の静特性で解く2(目標値を含む場合)
- ➃実験計画法・一元配置実験で解く
- ➄結果を比較
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119