【簡単】実験計画法のフィッシャー3原則がすぐわかる方法
「実験計画法のフィッシャーの3原則の意味がわからない」、「フィッシャーの3原則がなぜ必要なのかがわからない」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
フィッシャーの3原則
- ➀反復:効果と残差を分ける
- ②無作為化:適正な残差平方和を求める
- ③局所管理:適正な効果平方和を求める
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フィッシャーの3原則についての記事に加えて、上の関連記事も一通り読んでおきましょう。理解が一気に深まります。
フィッシャーの3原則は、「その原則が無いと何が困るのか?」を理解すれば
簡単に理解できます。
さっそく見ていきましょう。
➀反復:効果と残差を分ける
例題
実験データは次のようになりました。因子Aの有意性が判断できるでしょうか?
水準データ
A1 | 12 |
A2 | 15 |
A3 | 19 |
評価
分散分析すると、残差eの自由度と平方和がともに0になります。
因子Aの効果と残差eが分離できないことを意味します。
実験からデータの変化は因子Aによるのか、誤差によるのかがわからないのです。
平方和S | 自由度φ | |
A | 24.67 | 2 |
e | 0 | 0 |
T | 24.67 | 24.67 |
実験から因子効果と残差効果を分離させるためには、反復が必要です。
再実験
Bさんに反復して再実験してもらいましょう。
水準 | データ |
A1 | 12, 14, 16 |
A2 | 15, 18, 21 |
A3 | 19, 20, 21 |
分散分析結果を見ると、因子効果と残差効果が分離できているのがわかります。
平方和S | 自由度φ | |
A | 56 | 2 |
e | 28 | 6 |
T | 84 | 8 |
You Tubeにも解説していますので、ご覧ください。
②無作為化:適正な残差平方和を求める
「無作為化」はより「ランダム」と言った方がわかりやすいですね。
無作為化しないとどんな不都合が出るか見てみましょう。
例題
水準 | データ |
A1 | 39, 43, 44 |
A2 | 46, 53, 63 |
A3 | 69, 72, 75 |
一見、問題が無さそうなデータですね。
評価
分散分析すると、F値が23.1と非常に高いことがわかります。特に、残差平方和Se=178は因子Aの平方和SA=1368と比べて非常に小さいです。
つまり、実験データが良くありません。
S | φ | V | F | |
A | 1368 | 2 | 684 | 23.1 |
e | 178 | 6 | 29.67 | – |
T | 1546 | 8 | – | – |
(S:平方和、φ:自由度、V:不偏分散(平均平方)、F:F値)
Bさんに聞くと、次のように話してくれました。
同じ条件で実験を繰り返すと、心理的に似たようなデータ値になって安心したと思われますが、
これでは適正な残差eを取り出せていません。 良い実験データとは言えません。
無作為化しない場合、残差平方和が過小評価され、F値が高くなり、有意と結論づけやすくなります
再実験
Bさんに無作為化して再実験してもらいましょう。
水準 | データ |
A1 | 35, 45, 55 |
A2 | 44, 53, 74 |
A3 | 67, 75, 83 |
Bさんは再実験で誤差が増えても大丈夫か?と心配してました。
分散分析の結果を見てみましょう。
S | φ | V | F | |
A | 1368 | 2 | 684 | 5.11 |
e | 802 | 6 | 133.67 | – |
T | 2170 | 8 | – | – |
(S:平方和、φ:自由度、V:不偏分散(平均平方)、F:F値)
再実験の分散分析の結果、F値が5.11になり、有効な結果であると言えます。
残差平方和Seが適正な値になりました。
You Tubeにも解説していますので、ご覧ください。
③局所管理:適正な効果平方和を求める
局所管理はなじみが無い用語です。簡単に言うと「似たもの同士そろえる」ことです。
似た者同士そろえないとどんな不都合があるか見てみましょう。
例題
受講科目数A | 生徒の偏差値 |
2科目 | 38, 42, 46 |
3科目 | 44, 46, 48 |
4科目 | 69, 72, 75 |
評価
分散分析すると、F値が82.3と非常に高いことがわかります。特に、因子Aの平方和SA=1592は残差平方和Se=58と比べて非常に大きいです。
これもデータが良くないことがわかります。このデータのどこが問題なのかがわかりますか?
S | φ | V | F | |
A | 1592 | 2 | 796 | 82.3 |
e | 58 | 6 | 9.67 | – |
T | 1650 | 8 | – | – |
(S:平方和、φ:自由度、V:不偏分散(平均平方)、F:F値)
問題なのは、4科目受講の生徒の偏差値が高すぎることです。
4科目受講の生徒は、そもそも優秀で、塾の学習効果に関係なく成績が良い可能性があります。
つまり、因子に関係のない別の要因の効果の方が大きいことが問題なのです。
科目数に関係なく、塾通う前の成績が同じくらいの生徒で比較することが重要です。
これが、局所管理のエッセンスです。つまり、「似た者同士」で比較しないと、他の効果によって「有意性がある」と誤判断します。
再実験
学習塾に、似たような学力の生徒で再度比較してもらい、次の結果が出ました。
受講科目数A | 生徒の偏差値 |
2科目 | 38, 42, 46 |
3科目 | 44, 46, 48 |
4科目 | 45, 49, 50 |
分散分析の結果、F検定 F=3.11 < 5.14=F(2,6,0.05)となり、有意性はありませんでした。
つまり、「学習塾の効果は無い」という結果がわかりました。
S | φ | V | F | |
A | 56 | 2 | 28 | 3.11 |
e | 54 | 6 | 9 | – |
T | 110 | 8 | – | – |
(S:平方和、φ:自由度、V:不偏分散(平均平方)、F:F値)
事例からわかるように、「似た者同士」で比較しないと、他の効果によって「有意性がある」と誤判断する可能性があります。
You Tubeでも、解説していますので、ご覧ください。
以上、フィッシャーの3原則について解説しました。
まとめ
フィッシャーの3原則がなぜ必要かを説明しました。
フィッシャーの3原則
- ➀反復:効果と残差を分ける
- ②無作為化:適正な残差平方和を求める
- ③局所管理:適正な効果平方和を求める
初心者の方がつまづきやすいポイントを関連記事にまとめています。
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