投稿者: QCプラネッツ

  • 調整型抜取検査の検査水準がわかる

    調整型抜取検査の検査水準がわかる

    「調整型抜取検査の検査水準がなぜ7つに分かれるのかがわからない」、「ロットの大きさごとにサンプルサイズが決まっている理由がわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    調整型抜取検査の検査水準の背景が理解できる
    • ①検査水準の根拠がわからないことがわかる
    • ②調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由
    • ③規格に頼らず、自力で抜取検査を設計すべき

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①検査水準の根拠がわからないことがわかる

    調整型抜取検査で、サンプルサイズを決めるために、必須な表が、検査水準表です。

    4つの特別検査水準(S-1,S-2,S-3,S-4)と通常検査水準(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)の7つに区分され、
    ロットサイズごとにサンプルサイズ(文字)が決まっています。

    ロットサイズ 特別検査水準 通常検査水準
    S-1 S-2 S-3 S-4
    2~8 A A A A A A B
    9~15 A A A A A B C
    16~25 A A B B B C D
    26~50 A B B C C D E
    51~90 B B C C C E F
    91~150 B B C D D F G
    151~280 B C D E E G H
    281~500 B C D E F H J
    501~1200 C C E F G J K
    1201~3200 C D E G H K L
    3201~10000 C D F G J L M
    10001~35000 C D F H K M N
    35001~150000 D E G J L N P
    150001~500000 D E G J M P Q
    500001以上 D E H K N Q R

    でも、この表に対して、いろいろ疑問に思いませんか?

    1. なぜ、4つの特別検査水準と3つの通常検査水準があるのか?
    2. 各検査水準の定義があいまい
    3. 「何も制約がなければ、通常検査水準Ⅱを使うこと」ってなぜ?
    4. 水準ごとのサンプルサイズが若干変わる根拠は何?
    5. ロットサイズとサンプルサイズの比は妥当なのか?

    つっこみどころ満載です。学校の試験や資格試験では、素直に表を使って合格しましょう。でも、それじゃ、抜取検査がわかるとは十分言えません。

    JIS・教科書・論文を調査しても、検査水準の各々気になる点がわかる根拠が明記していません。
    では、使い方だけ暗記して使えばよいのか?
    NGです!
    検査は検査の妥当性を証明することが最重要なので、使う値や表は確実に納得して説明できるようにすべきです。

    なぜ、JIS・教科書・論文を調査しても、わからないのかを次に解説します。

    ②調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由

    調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由

    調整型抜取検査の規格は米軍規格を直輸入した版の改良版
    自分たちで考えて標準化する前に、強制的に規格導入となった。
    1950年以前の米軍規格に関する知見が少ない。
    これが、調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由です。

    QCプラネッツは知見が少ないため、抜取検査の理論のすべてを理解はできていません。その代わり、自分で仮説を立てて、論理に矛盾がない説明をしっかりブログで解説しています。

    調整型抜取検査の歴史

    品質管理の歴史と重なりますが、簡単に紹介します。

    抜取検査の歴史

    1. 1945年まで日米が戦争
    2. 終戦後は米国が日本を統治するが、対戦相手だった日本を発展させる気は全くなかった
    3. どころが、1950年に、朝鮮戦争(冷戦)が勃発してしまった。
    4. 戦場に近い供給元が必要になった米国が日本を製造拠点に選択。
    5. ところが、当時の日本は品質管理レベルが低かった。
    6. 品質の悪い供給品では戦争に勝てないため、急遽デミングらを来日させた。
    7. 米国の秘伝のタレである品質管理や標準化・規格を日本企業に従わせた。
    8. 戦敗国は戦勝国に反発するのが常である。他国のテロ活動がその例。
    9. しかし、実際に、失業者が多く、経済がどん底だった日本は、供給品を爆買してくれる米国にうまく対応した。
    10. 明日を生き抜くだけで精一杯な日本と、冷戦に勝ちたい米国の利害関係がうまく一致した。
    11. 多くの品質管理や標準化の概念が日本に伝わり、日本企業の品質レベルが上がった。

    よくある教科書では、
    ●日米友好のために、デミング博士が来日、
    ●日本の品質レベルが向上し、経済発展
    と優しめに書いています。正しいけど、そんな理由で、簡単に変革が起こるかは疑問です。

    もともと対戦国に対して、米国の秘伝のタレである「科学管理」、「品質管理」を教えるはずがありません。でも、「そうは言っていられない緊急事態が起きた」ため、早く日本に品質管理を教えなければならなくなった。とするのが自然です。

    また、日本側も、焦土化された相手の要求に簡単には乗りません。本来は反発活動が増えて荒れるはずです。しかし、経済が冷え切っており、失業者が多い暗い時代に、突如爆買いする相手がいれば、ハングリー精神で、何でも吸収しますよね。生活が楽になるなら、何でも頑張る状況だったのです。

    冷戦が日本の品質管理を高めるきっかけであったはずです。

    その後、日本は戦後復興・経済発展して落ち着いてくると、
    「いろいろ米国から伝わったものって、本当に正しいの? ルールの背景や理由が知りたい」
    と本質的な研究が深まるようになります。

    調整型抜取検査は、
    1940年代に米軍規格としてスタートし、
    1950年にMIL-STD-105Aが日本に直輸入されます。

    その後、しばらく米軍の規格の改定が進み、
    1971年に日本規格であるJISZ9015 1971が制定されます。

    日本人が考えて作った規格ではなく、米国のものを改良した規格であるため、規格の背景や理由を調べてもなかなか知見が得られないのが現状です。
    品質管理は技術に親和性が高いですが、意外と世界史・地政学も関係していきます。なぜなら、ルールづくりをするのが品質管理や標準化です。ルールづくりは国家間の思惑が入ってきます。

    品質管理は世界史・地政学、経済・経営など幅広く俯瞰するとさらに面白さが広がります。

    ③規格に頼らず、自力で抜取検査を設計すべき

    調整型抜取検査に話を戻します。,

    調べてもわからないで終わらせずに、自分で考えて抜取検査を設計しましょう。JIS通り検査するより、検査内容を技術的に説明できることが重要です。

    自分で抜取検査を設計する

    抜取検査の設計ポイント

    1. OC曲線で抜取検査を設計するのが大前提
    2. 検査対象の消費者危険、生産者危険を品質コストや経営の影響から設定する
    3. 消費者危険、生産者危険の2点を通るOC曲線を描く
    4. OC曲線を決定するサンプル数nと合格判定数cを決める

    この基本ができていれば、抜取検査は、検査対象の許容不良率から設計できるので、説明責任が十分果たせます。数値を早く求めるときに、JISの規格表を活用すればよいのです。

    サンプル数はOC曲線を見ながら決める

    消費者危険、生産者危険の2点を通るOC曲線は複数描ける。
    そのうちのサンプル数nが最小のものを選ぶとよい。

    サンプル数nと合格判定数cが異なっていても、OC曲線がぴったりであれば、合否判定基準は同じなので、サンプル数nを小さい方を選んでも、合否結果は同じです。

    検査コストも考慮すれば、サンプル数nは小さくしたいですよね。

    実際に近いOC曲線を描いてみましょう。
    ●n=50,c=2
    ●n=200,c=11
    ●n=2000,c=125

    OC曲線

    不良率の軸を拡大しているので、3本はややずれてはいますが、不良率1%,2%前後は許容範囲とすれば、
    サンプル数をn=2000からn=50と1/40にサンプル数を減らしても
    合否判定結果精度は変わらないといえます。

    このように、OC曲線カーブと不良率を見て、検査コストも考慮しながら、サンプル数を決定してもよいです。

    検査設計が面倒ならJISの検査水準表を見ればOKですが、
    値を決める理由を説明できるなることも重要です。

    まとめ

    調整型抜取検査の検査水準と、自分で抜取検査を設計することの重要さを解説しました。

    • ①検査水準の根拠がわからないことがわかる
    • ②調整型抜取検査の理論がわかりにくい理由
    • ③規格に頼らず、自力で抜取検査を設計すべき

  • なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる

    「1回抜取方式でも難しいのに、2回抜取はもっとわからない!」「2回抜取方式(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の主抜取表の作り方がわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(二回抜取方式)の作り方がわかる
    • ①2回抜取方式のOC曲線がわかる
    • ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

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    ①2回抜取方式のOC曲線がわかる

    2回抜取方式に慣れましょう!

    OC曲線の式、描き方がわかれば、マスターできます。

    2回抜取方式については、関連記事があります。ご確認ください。



    2回抜取方式のOC曲線の式や描き方がわかり、2回抜取方式の合格判定数まで関連記事で解説しています。本記事は、関連記事を応用して、調整型抜取検査(2回抜取方式)の主抜取表について解説します。

    2回抜取方式の重要な基礎知識を確認

    2回抜取方式の二項分布、ポアソン分布のOC曲線、
    ●調整型抜取検査(1回抜取方式)の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」の違い

    の2つを基本して、本記事を解説します。

    基本をまとめます。詳細は関連記事で解説しています。

    【1】二項分布

    ●OC曲線の式
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ac1} {}_{n1} C_r p^r (1-p)^{n1-r}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( {}_{n1} C_r p^r (1-p)^{n1-r}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} {}_{n2} C_s p^s (1-p)^{n2-s}\)}

    ●OC曲線
    2回抜取方式

    1回抜取方式のOC曲線と似た曲線になります。

    ●関連記事

    も確認ください。

    【2】二項分布

    ●OC曲線の式
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ ac1} exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} exp(-λ_2)\frac{λ_2^r}{r!}\)}
    (ここで、λ=npとします。)

    ●OC曲線
    2回抜取方式

    1回抜取方式のOC曲線と似た曲線になります。

    ●関連記事

    も確認ください。

    ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる

    【3】なみ検査、ゆるい検査、きつい検査

    ●OC曲線の式
    p⇒mpに変えて ゆるさ、きつさを調整(m=\(10^{0.2}\) :標準数)
    ★二項分布、ポアソン分布の p、λに ゆるさ、きつさの調整値mが加わります。

    ●OC曲線の式(二項分布)
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ac1} {}_{n1} C_r pm^r (1-pm)^{n1-r}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( {}_{n1} C_r pm^r (1-pm)^{n1-r}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} {}_{n2} C_s pm^s (1-pm)^{n2-s}\)}
    (調整値mが p⇒pmとして入っているところだけわかればOKです)

    ●OC曲線の式(ポアソン分布)
    L(p)= \(\sum_{r=0}^{ ac1} exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)
    + \(\sum_{r=ac1+1}^{re1-1}\){\( exp(-λ_1)\frac{λ_1^r}{r!}\)

    × \(\sum_{s=0}^{ac2-r} exp(-λ_2)\frac{λ_2^r}{r!}\)}
    (ここで、λ=npmとします。)
    (調整値mが p⇒pmとして入っているところだけわかればOKです)

    かなり、難しい式です。数値はExcelで計算するのが現実的です。

    1回抜取方式の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」では、調整値を使ってそれぞれの検査の合格判定個数Acを導出します。

    ●関連記事

    も確認ください。

    ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

    なみ検査(二回抜取方式)の主抜取表を作る

    自力で、2回抜取検査のOC曲線を描いて、第1種の誤りである確率1-αの不良率p0をAQLとして導出します。

    自分で求めたAQLの値と、JISZ9015-1 付表3-Aの「なみ検査の2回抜取方式(主抜取表)」のAQLの値を比較します。

    AQLを導出

    関連記事

    にプログラムがあります。二項分布を使って計算します。

    y1 y2 y3 y4 y5
    n1 20 20 20 20 20
    ac1 1 2 3 5 7
    re1 3 5 6 9 11
    n2 20 20 20 20 20
    ac2 4 6 9 12 18
    re2 5 7 10 13 19
    P0 (L(p)=1-α) 3.99 8.42 12.99 20.77 32.41
    AQL(JISZ9015) 4 6.5 10 15 25

    黄色が自力で計算した結果で、
    水色がJISの値です。

    やや、自力で計算した結果がJISの値からずれてはいますが、AQLの範囲内に入っているので、OC曲線から合格判定個数を求めてもOKであるとわかります。

    ゆるい検査、きつい検査(二回抜取方式)の主抜取表を作る

    ●OC曲線の式
    p⇒mpに変えて ゆるさ、きつさを調整(m=\(10^{0.2}\) :標準数)します。

    y1 y2 y3 y4 y5
    n1 20 20 20 20 20
    ac1 1 2 3 5 7
    re1 3 5 6 9 11
    n2 20 20 20 20 20
    ac2 4 6 9 12 18
    re2 5 7 10 13 19
    ゆるい検査 P0 (L(p)=1-α) 6.32 13.35 20.58 32.91 51.36
    AQL(JISZ9015) 6.5 10 15 25 40
    なみ検査 P0 (L(p)=1-α) 3.99 8.42 12.99 20.77 32.41
    AQL(JISZ9015) 4 6.5 10 15 25
    きつい検査 P0 (L(p)=1-α) 2.51 5.31 8.19 13.1 20.45
    AQL(JISZ9015) 2.5 4 6.5 10 15

    自力でOC曲線から求めたAQLと、JISの抜取表を比較すると、2点がわかります。

    (i) やや、自力で計算した結果がJISの値からずれてはいますが、AQLの範囲内に入っているので、OC曲線から合格判定個数を求めてもOKである
    (ii)なみ検査、ゆるい検査、きつい検査において、AQLの値がAQLの枠1つずつずれている

    OC曲線か抜取表を作っても、JISの抜取表に大体一致することがわかります。

    JISの抜取表は魔法の表ではなく、自分で作ることができます!

    まとめ

    調整型抜取検査(2回方式)の主抜取表(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の作り方について解説しました。

    • ①2回抜取方式のOC曲線がわかる
    • ②なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

  • なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる

    「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表のAc,Reの値の求め方がわからない」、「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の主抜取表(一回抜取方式)の作り方がわかる
    • ①なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ②ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査を選ぶ時の注意点

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも解説しています。

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    ①なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる

    結論

    JISZ9015-1では、AQL(合格品質水準)とサンプル数nを標準数\(10^{0.2}\)=1.58倍ずつずらしたものと定義。

    1つずつずらしたものと定義しただけです。どんな抜取検査でも、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いはJISの定義と同一にする必要はありません。

    主抜取表で比較

    0.65 1 1.5 2.5 4 6.5 10
    検査 サイズ Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re
    ゆるい 20 1,2 2,3 3,4 4,5 6,7
    なみ 20 1,2 2,3 3,4 5,6
    きつい 20 1,2 2,3 3,4
    ゆるい 32 1,2 2,3 3,4 4,5 6,7 8,9
    なみ 32 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8
    きつい 32 1,2 2,3 3,4 5,6
    ゆるい 50 1,2 2,3 3,4 4,5 6,7 8,9 10,11
    なみ 50 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8 10,11
    きつい 50 1,2 2,3 3,4 5,6 8,9
    ゆるい 80 2,3 3,4 4,5 6,7 8,9 10,11
    なみ 80 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8 10,11 14,15
    きつい 80 1,2 2,3 3,4 5,6 8,9 12,13

    同じ色を見ると、対角線に1つずつずれているのがわかりますね。

    数式で比較

    OC曲線の式で、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いを比較します。
    詳細は関連記事に解説しています。

    検査のきびしさを変えても同じAQLにするために、ゆるい検査ときつい検査では、OC曲線の式を一部補正しています。

    補正変数mは、主抜取表のAQLの1列のずれを考慮して、標準数\(10^{0.2}\)を入れます。
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (なみ検査) (m=1)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (ゆるい検査) (m=\(10^{-0.2}\))
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (きつい検査) (m=\(10^{0.2}\))

    AQL

    AQL

    上の図では、
    ●なみ検査 (n,Ac)=(20,3)
    ●ゆるい検査 (n,Ac)=(13,3)
    ●きつい検査 (n,Ac)=(32,3)
    について、ゆるい検査ときつい検査の曲線を補正し、なみ検査 (n,Ac)=(20,3)のOC曲線に近づけて、AQL=6.5%と求めました。

    なお、サンプル数どおしを比較すると
    32/20=1.6≒\(10^{0.2}\)
    20/13=1.53≒\(10^{0.2}\)
    の関係があります。不思議ですが、そうなるように主抜取表を作ったのでしょう。すごいですね。

    ②ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出

    ゆるい検査、きつい検査のOC曲線を定義

    もう一度書きますが、下の3つの式からOC曲線を描いて、合格判定個数を求めます。
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (なみ検査) (m=1)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (ゆるい検査) (m=\(10^{-0.2}\))
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (きつい検査) (m=\(10^{0.2}\))

    ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数を導出

    OC曲線を描いて合格判定個数を求めます。

    サンプル数n=20を固定し、合格判定個数c=Acを0から20まで変化させます。
    なみ検査、ゆるい検査、きつい検査でそれぞれ
    c=Acを0から20まで変化させた場合のOC曲線を描きます。

    OC曲線

    AQLとAcの関係をまとめてみましょう。

    AQL 0.15 0.25 0.4 0.65 1 1.5 2.5 4 6.5 10 15 25 40 65 100
    ゆるい 0 1 1 1 1 2 2 3 4 6 8 12 16 20 20
    なみ 0 0 1 1 1 1 2 2 3 4 6 8 12 16 19
    きつい 0 0 0 1 1 1 1 2 2 3 4 6 8 12 16

    OC曲線からAcを導出して抜取表を作ると、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査では合格判定個数Acが1つずつずれていることがわかります。

    主抜取表の作り方がわかると、JISが提供する魔法の表ではなく、自力でも作れる身近な表になりますね。
    主抜取表の使い方を勉強して終わるのではなく、
    主抜取表をどのように作るのかを考えることが抜取検査をマスターする上で重要です

    ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査を選ぶ時の注意点

    あなたが抜取検査する対象の、「なみ、ゆるい、きつい」の定義と
    JISが定義する「なみ、ゆるい、きつい」の定義は一致しない
    点に注意が必要

    JISが定義する「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」

    JISには明記していない点が、わかりにくくしていますが、
    JISの定義は、AQLを1つずらしたもので定義しているようです。

    また、AQLは公比が標準数\(10^{0.2}\)=1.58の等比数列として、JISの主抜取表があります。

    あなたが抜取検査する対象の「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」

    一方、あなたが検査する対象では、検査対象によって、「なみ、ゆるい、きつい」の程度が変わるはずです。

    次の3点に注意しましょう。

    1. 「なみ、ゆるい、きつい」の差はJISの定義(標準数\(10^{0.2}\)=1.58)と同じとは限らない
    2. あなたの「なみ検査」はJISの「なみ検査」と同じとは限らない
    3. JIS規格だからそのまま活用しても良いとは限らない
    JIS規格の表だから何でも正しいではなく
    あなたが実施したい抜取検査の合否判定基準や調整したい幅(ゆるさ、きつさ)を自分で考えることが重要です。

    あなたが抜取検査すべき「なみ検査、ゆるい検査、きつい検査」

    まとめると、

    1. あなたの「なみ検査」の合否判定基準を設計する
    2. あなたの抜取検査の調整の幅(ゆるさ、きつさ)を自分で定義して設計する
    3. JIS規格に合う検査条件ならJIS規格を活用する

    あなたの「なみ検査」の合否判定基準を設計する

    検査の合否判定基準を、製品出荷後の品質コストや経営リスクを考慮して、決める必要があります。そこから、消費者危険(p0,1-α)、生産者危険(p1,β)をいくらにすべきか?がわかります。

    消費者危険(p0,1-α)、生産者危険(p1,β)が決まると、そこを通るOC曲線を引くと、サンプル数n,合格判定個数cの候補がいくつか出てきます。(n,c)によって、同じ点を通るOC曲線が複数描けるからです。

    サンプル数n、合格判定個数cを1つに絞ります。

    あなたの抜取検査の調整の幅(ゆるさ、きつさ)を自分で定義して設計する

    調整型抜取検査を実施したいならば、調整の幅をJISの表を見る前に、自分で考える必要があります。

    出荷実績が少なく、初期流動管理が必要なら、最初は、きつい検査とし、半年経過して、品質に問題がなければ、なみ検査とするなど考えます。

    初期流動管理の場合の、製品不良率が、工程管理が成熟した場合の不良率と比較して、どの程度違うのか?を検討します。それをカバーできる、きつい条件を設定して、きつい検査と定義します。

    品質はどの工程でも、「なぜそうしたか?」を自分で説明できる責任があります。自分で考えて設計し、それがOKならそのままでも良く、NGなら改善していけばよいです。そして、自分で改善案を考えることができます。

    JISに頼ると、なぜかもわからず、検査し続けることになってしまいます。

    JIS規格は、調整の幅をAQLの公比(標準数)として、さまざまなサンプル数とAQLにおける合格判定個数を定義しています。ただ、どんな調整型抜取検査にするかは、あなたが考える必要があります。
    抜取検査対象となる製品で、JIS規格に従って検査したら、
    「なぜ、サンプル数n,合格判定個数Acを決めたのか?」と品質監査で聞かれて時に
    「JISどおりにやったから」としか回答できず、監査で不適合と言われる可能性があります。

    JISの調整型抜取検査の主抜取表を使う前に、抜取検査を自分で考える力を身につけましょう。

    まとめ

    調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の作り方について解説しました。

    • ①なみ検査、ゆるい検査、きつい検査の違いがわかる
    • ②ゆるい検査、きつい検査の合格判定個数をOC曲線から導出
    • ③なみ検査、ゆるい検査、きつい検査を選ぶ時の注意点

  • 調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表の作り方がわかる

    調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表の作り方がわかる

    「調整型抜取検査の抜取表のAc,Reの値の求め方がわからない」、「AQLが100以上も抜取表にあるが、意味がわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表の作り方がわかる
    • ①主抜取表はOC曲線から導出できる
    • ②AQL100超過の場合の合格判定個数Acの導出方法がわかる
    • ③なみ検査の主抜取表の作り方がわかる

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも確認ができます。

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    調整型抜取表1回なみ

    ①主抜取表はOC曲線から導出できる

    結論

    抜取検査はOC曲線で考えます。
    主抜取表もOC曲線から導出できます。

    二項分布のOC曲線からn,Ac,AQLを導出

    OC曲線を描きましょう。

    OC曲線

    OC曲線の描き方については、関連記事があります。Excel VBAでOC曲線が作れます。

    サンプル数n,合格判定個数AcとAQL(合格品質水準)を決めます。
    サンプル数nとAQLについて、主抜取表では標準数を使って値をふっています。

    標準数については、関連記事で確認ください。

    サンプル数n,合格判定個数AcとAQL(合格品質水準)を決め方

    ①各サンプル数nにおいて、主抜取表にあるAQL値に近い、合格判定個数Acを決める。
    ②すべてのn,AQLについてOC曲線を描いて、それぞれの合格判定個数Acを決めれば主抜取表が完成する

    AQLについては、関連記事で確認ください。

    ②AQL100超過の場合の合格判定個数Acの導出方法がわかる

    主抜取表で確認

    AQLは%だから100%以下のはず。
    でも、主抜取表は100以上の場合がある。
    どういう意味?

    と不思議ですよね。

    主抜取表は下表のように書いています。色枠部はAQLが100以上の箇所です。

    AQL 0.01 100 150 1000
    文字 サイズ Ac,Re Ac,Re Ac,Re Ac,Re
    A 2 0,1 5,6 7,8 30,31
    B 3 0,1 7,8 10,11 44,45
    0,1
    0,1
    0,1
    P 800 0,1
    Q 1250 0,1

    ポアソン分布でAQLを個数と定義するから、100以上もあるのです。

    と、主抜取表には書いていますが、実際に計算して確認しましょう。

    ポアソン分布で計算

    ポアソン分布を使ってOC曲線の導出方法は、関連記事にあります。

    二項分布、ポアソン分布からOC曲線を求める式を描きます。

    ●二項分布
    L(p)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}\)
    ●ポアソン分布
    L(p)=\(\sum_{r=0}^{c} exp(-np) \frac{(np)^r}{r!}\)

    ●ポアソン分布
    L(p)=\(\sum_{r=0}^{c} exp(-np) \frac{(np)^r}{r!}\)
    で、サンプル数n,合格判定個数cを与えます。

    AQLが100超過する場合ですから、主抜取表を見て、以下の値でOC曲線を描きます。

    n 5 5 5 5 5
    Ac 10 14 21 30 44

    明らかに サンプル数nより、合格判定個数Acが大きいですね。
    すると、OC曲線を描くと、AQLが100以上になることが下図からわかります。

    OC曲線

    ポアソン分布から導出したAQLの値と、主抜取表のAQLの値を比較すると、大体あっていることがわかります。

    (n,Ac) (5,10) (5,14) (5,21) (5,30) (5,44)
    主抜取表 100 150 250 400 650
    自力で計算 123 185 298 449 691

    ③なみ検査の主抜取表の作り方がわかる

    作り方の基本は、関連記事にも解説しています。

    主抜取表の作り方

    どんどんOC曲線を描いて、AQLに該当する合格判定個数Acを求める。不合格判定個数ReはAc+1とすればOKです。

    主抜取表のサイズと合格判定個数を用意してOC曲線を求めて、AQLに該当するAcを算出し、それを主抜取表に埋めていけば完成します。

    実際に、主抜取表にある(n,Ac)をOC曲線で描きます。

    OC曲線

    この各曲線からAQLをそれぞれ求めて、その値と主抜取表にあるAQLを比較して、近ければ、そのときの合格判定個数を主抜取表に代入します。

    実際にn=20の場合で、自力で計算した場合と主抜取表の値を比較します。

    OC曲線

    c AQL(自力) AQL(主抜取表) OC曲線
    0 0.28 0.65 二項分布
    1 1.77 2.5 二項分布
    2 4.19 4 二項分布
    3 7.12 6.5 二項分布
    4 10.38 6.5 二項分布
    5 13.95 10 二項分布
    6 17.71 10 二項分布
    7 21.69 15 二項分布
    8 25.86 15 二項分布
    9 30.18 15 二項分布
    10 34.68 25 二項分布
    11 39.34 25 二項分布
    12 44.19 25 二項分布
    13 49.21 25 二項分布
    14 54.42 40 二項分布
    15 59.89 40 二項分布
    16 65.62 40 二項分布
    17 71.72 40 二項分布
    18 78.37 40 二項分布
    19 86.08 40 二項分布
    20
    21 75 65 ポアソン分布
    22 112 150 ポアソン分布
    23 172 250 ポアソン分布

    全体的は大体合っている結果ですが、大きくずれるところもあります。

    実際に計算すると、主抜取表の特徴やすごさがわかります。

    まとめ

    調整型抜取検査(1回方式)の主抜取表の作り方について解説しました。

    • ①AQL(合格品質水準)はOC曲線でいうp0である
    • ②なみ検査のAQLはOC曲線のp0でよい
    • ③ゆるい検査、きつい検査のAQLはOC曲線のp0に補正した値となる

  • 【簡単】AQL(合格品質水準)がすぐわかる

    【簡単】AQL(合格品質水準)がすぐわかる

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    【簡単】AQL(合格品質水準)がすぐわかる
    • ①AQL(合格品質水準)はOC曲線でいうp0である
    • ②なみ検査のAQLはOC曲線のp0でよい
    • ③ゆるい検査、きつい検査のAQLはOC曲線のp0に補正した値となる
    AQLって何と聞かれたら、「すぐに答えられますか?」
    JISや教科書に明記していないので、答えられないはずです。
    本記事では、明快に答
    自分で抜取検査のえられるよう解説します。

    理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①AQL(合格品質水準)はOC曲線でいうp0である

    結論

    OC曲線

    AQLはOC曲線でいうと、
    ロットの合格率L(p)が1-α(α:第1種の誤り)となるときの
    不良率p0のことである

    自信もって、AQL=p0でOKです。

    その理由を、詳細に解説します!

    AQLの定義がJISや教科書に詳細に書いているが、どの値なのかが結局わからない

    1. 工程平均として満足だと考えられる品質の上限(教科書の定義)
    2. 継続して連続のロットが抜取検査に提出されるときに、許容される工程平均の上限の品質水準(JISZ9015-1 3.1.26)

    確かに、AQLの定義が詳細に書いています。けど、

    実際抜取検査するときに、
    ①手持ちのデータや値でいうと、どれがAQLなのかわからない!
    ②仮に工程平均を満足する値があったとして、その値を使ってよい理由がはっきりしない。(JISに書いているからOKとしか説明できない。

    自分の理論でAQLを定義したい!ですよね。

    抜取検査はOC曲線ですべて考えるのだから、
    OC曲線でいうとどの値なのかをはっきりさせたい!
    はずです。

    AQL(合格品質水準)はOC曲線のp0でよい

    結論

    OC曲線

    AQLはOC曲線でいうと、
    ロットの合格率L(p)が1-α(α:第1種の誤り)となるときの
    不良率p0のことである

    自信もって、AQL=p0でOKです。

    実際に計算して、JISの主抜取表と比較してみればわかりますので、計算してみましょう。

    ②なみ検査のAQLはOC曲線のp0でよい

    OC曲線からp0を導出

    なみ検査の1回抜取方式で、実際にOC曲線から、AQLと合格判定個数を求めてみましょう。

    OC曲線から抜取表を作る方法

    ①サンプル数n,合格判定数c、からOC曲線を描いて、
    ロットの合格率L(p)が1-α(α:第1種の誤り =0.05)となるp0を求めます。

    ②次に合格品質水準AQLとp0の大小を下図のように比較します。
    ●p0 ≤ AQL なら、合格判定個数c⇒c+1に増やす。
    ●p0 > AQL なら、合格判定個数cは変えない

    この方法で、各AQLにおける、合格判定数c(これが合格判定個数Acになります)を求め、この結果を抜取表と比較します。

    OC曲線

    OC曲線の描き方については、関連記事があります。Excel VBAでOC曲線が作れます。


    OC曲線から抜取表を作成

    サンプル数n=20において、各AQLとAcの関係について、
    ●自分で作った結果
    ●JISZ9015-1の主抜取表
    を比較します。

    AQL(%) 自分で
    導出
    JISZ
    9015Z-1
    AQL(%) 自分で
    導出
    JISZ
    9015Z-1
    0.01 0 0 1 1 1
    0.015 0 0 1.5 1 1
    0.025 0 0 2.5 2 1
    0.04 0 0 4 2 2
    0.065 0 0 6.5 3 3
    0.1 0 0 10 4 5
    0.15 0 0 15 6 7
    0.25 0 0 25 8 10
    0.4 1 0 40 12 14
    0.65 1 0 65 16 21

    関連記事にも同じ表を載せています。

    自分で求めた値と、JISZ9015-1 なみ検査(1回抜取方式)を比較します。結構、一致しています。

    結論

    AQLはOC曲線でいうと、
    ロットの合格率L(p)が1-α(α:第1種の誤り)となるときの
    不良率p0のことである

    自信もって、AQL=p0でOKです。

    ③ゆるい検査、きつい検査のAQLはOC曲線のp0に補正した値となる

    ゆるい検査、きつい検査も、なみ検査と同じ結論になりますが、1点注意が必要です。

    AQLが1点で決まらない点に注意。
    ただし、補正すればAQLが1点で決まる。

    OC曲線でなみ検査、ゆるい検査、きつい検査を比較

    同じAQL,同じ合格判定個数Acで、なみ検査、ゆるい検査、きつい検査のOC曲線を描いてみます。

    検査 サンプル数n 合格判定個数Ac AQL(%)
    なみ検査 20 3 6.5
    ゆるい検査 13 3 6.5
    きつい検査 32 3 6.5

    同じAQL,同じ合格判定個数Acでは、サンプル数nがなみ検査、ゆるい検査、きつい検査で異なります。

    AQL

    OC曲線を見ると、ロットの合格率L(p)が1-α(α:第1種の誤り)となるときの不良率p0は、1点で集まっていないことがわかります。

    OC曲線では、合格判定数cを固定して、サンプル数nが変わると曲線の形は変わります。OC曲線の基本です。

    ゆるい検査、きつい検査のOC曲線を補正する

    AQLが1点で決まらない点に注意。
    ただし、補正すればAQLが1点で決まる。

    つまり、グラフの左側にあった、きつい検査を右側にずらし、
    グラフの右側にあった、ゆるい検査を左側にずらすと、
    なみ検査の曲線に近づきます。

    補正した3つの曲線が1つに集まったときの、p0をAQLとすればよいのです。下図にイメージ図を描きます。

    AQL

    AQL

    図はわかりやすいのですが、数学的には問題ないのか?が気になりますので、式でも追跡します。

    ロット合格率L(p)の公式を書きます。
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr p^r (1-p)^{n-r}\) (なみ検査)

    JISの主抜取表をよく見ると、ゆるい検査ときつい検査は、なみ検査に比べて、AQLの列が1つずれています。つまり、これを補正式として代入します。

    ロット合格率L(p)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr p^r (1-p)^{n-r}\) (なみ検査)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (ゆるい検査) (0 < m < 1)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (きつい検査) (m > 1)

    補正変数mは、主抜取表のAQLの1列のずれを考慮して、標準数\(10^{0.2}\)を入れてみます。
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (なみ検査) (m=1)
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (ゆるい検査) (m=\(10^{-0.2}\))
    ●\(L(p)\)=\(\sum_{r=0}^{c} {}_nCr (pm)^r (1-pm)^{n-r}\) (きつい検査) (m=\(10^{0.2}\))

    すると、補正した3つの曲線が1つに集まります。

    AQL

    AQL

    結論

    AQLはOC曲線でいうと、
    ロットの合格率L(p)が1-α(α:第1種の誤り)となるときの
    不良率p0のことである

    自信もって、AQL=p0でOKです。

    以上から、自信もって、AQL=p0でOKとして活用ください。

    まとめ

    調整型抜取検査にて、AQL(合格品質水準)の定義について解説しました。

    • ①AQL(合格品質水準)はOC曲線でいうp0である
    • ②なみ検査のAQLはOC曲線のp0でよい
    • ③ゆるい検査、きつい検査のAQLはOC曲線のp0に補正した値となる

  • 調整型抜取検査の本質がわかる

    調整型抜取検査の本質がわかる

    「調整型抜取検査って、何をやっているのかがわからない」、「検査水準、AQL、検査のきびしさを決める基準がわからない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    調整型抜取検査の本質がわかる
    • ①JISや教科書に書いていない、自分で考える抜取検査の項目がある
    • ②JISや教科書に頼る前に、自分で抜取検査が設計できる
    • ③抜取検査は自分で設計してから、JISや教科書を参考にするのが良い
    調整型抜取検査のやり方はJISや抜取検査の教科書に解説してますが、
    その理論や背景は解説していません。
    「なぜ、この検査項目・検査基準で抜取検査したの?」と
    会社で説明が求められると、
    「JISに準拠しました」
    しか答えられないはずです。
    JISに準拠したかどうかではなく、自分でどのように考えて抜取検査を実施したかの説明が求められます。
    しかし、うまく答えられない場合が多いのではないでしょうか?

    自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。

    ●You tube動画でも解説しています。ご覧ください。

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    ①JISや教科書に書いていない、自分で考える抜取検査の項目がある

    JISや教科書で教えてくれること

    調整型抜取検査に限らず、抜取検査は以下の流れで設計するようにと、JISや教科書には書いています。

    1. 品質判定基準を決める
    2. AQL(合格品質水準)を決める
    3. 検査水準を決める
    4. 抜取検査方式を決める
    5. 検査のきびしさを決める

    抜取検査の教科書には上の手順で解説しています。

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    教科書には、下のように解説しています。

    1.品質判定基準を決める

    良品、不良品に区別する規準を決めます。

    2. AQL(合格品質水準)を決める

    AQLを設定する際、抜取検査表にあるAQLの値から適当なAQLを選定します。

    3.検査水準を決める

    一般に検査水準Ⅰ、Ⅱ、Ⅲから選ぶ。特に、指定のないときは、検査水準Ⅱを用います。ただし、特別な水準を使う場合は、特別検査水準S-1、S-2、S-3、S-4を用います。

    4.抜取検査方式を決める

    抜取回数を決めます。1回、2回、多回、逐次などから抜取方式を決めます。

    5.検査のきびしさを決める

    なみ検査、きつい検査、ゆるい検査のうち、どれを適用するかを決めます。基本は、なみ検査から始めます。

    自分で考えて決めないといけないこと

    JISや教科書どおり、上の6項目を決めれたら、
    確かに調整型抜取検査が実施できそうです。

    でも、簡単に自分で決められますか?「なぜ、そう決めた?」と言われたら自信もって説明できますか?おそらく「JIS,教科書に準拠しました」と回答しても、相手は納得しないでしょう。

    相手は、あなたがJISや教科書どおり設定したかを聞いているのではなく、抜取検査項目を設定した技術的かつ論理的な理由を求めているからです。
    1. 品質判定基準を決める
      自社の製品検査では、どうやって決めるの?
    2. AQL(合格品質水準)を決める
      自社の製品検査では、どうやって決めるの?
    3. 検査水準を決める
      自社の製品検査では、どうやって決めるの?
    4. 抜取検査方式を決める
      自社の製品検査では、どうやって決めるの?
    5. 検査のきびしさを決める
      自社の製品検査では、どうやって決めるの?
    6. サンプル、ロットを決める
      自社の製品検査では、どうやって決めるの?
    JISや教科書は抜取検査の方針を解説しているだけで、個々の検査内容はあなたが考えて設計する必要があります。

    JISや教科書には書いていない所を自分で考えて設計するのが一番難しい

    ●JISや教科書は抜取検査の方針を解説しているだけ
    ●検査したい対象を、どう検査するかはあなたが考える必要があります
    JISや教科書には書いていない所を自分で考えて設計するのが一番難しい

    つまり、

    1. 品質判定基準をどう決めるか?
    2. AQL(合格品質水準)をいくらにするか?
    3. 検査水準を何にするか?
    4. 抜取検査方式を何にするか?
    5. 検査のきびしさをどれにするのか?

    を、考えて設計するのが、一番難しいし、本当はここが、一番知りたい!はずです。

    本記事では、一番知りたいところを解説します!

    ②JISや教科書に頼る前に、自分で抜取検査が設計できる

    抜取検査の設計する重要なポイント

    JISや抜取検査の教科書は一旦、離しましょう。
    一旦は自分で考えてみましょう。

    自分で抜取検査を設計する

    自分で、抜取検査を設計しましょう。どんな項目を考えますか?

    ゼロベースで抜取検査を考えると、検査基準と検査方法の2つだけでよいはずです。

    1. 品質判定基準(合否規準)をどう決めるか?
    2. 抜取検査する場合、満たすべき検査条件は何か?

    品質判定基準(合否規準)をどう決めるか?

    検査の合否判定を決めますが、本来、不良品が皆無なら、すべての検査は合格します
    しかし、実際には不良品がある確率で含まれます。

    なので、次の2条件を考えます。
    (i) 検査前の製品・システムの不良率を把握する。
    (ii) 検査後(出荷後)の製品・システムの不良率をいくらにするかを設定する。

    (i)は社内で過去の履歴から不良率は大体わかります。
    (ii)は、出荷後の事故対処の費用と不良率低減のためのコストとの兼ね合いで決めます。よく品質コストと言われるものです。社内会議にて、関係者と協議して決めます。

    品質コストは、
    品質コスト=失敗コスト(事故対処費用)+予防コスト(検査)
    と表現されます。

    品質コストはある不良率pを変数とし、
    失敗コストは不良率の増加とともに増加
    予防コストは、不良率の増加とともに減少
    します。

    品質コストは、下のグラフのように極小値に設定するのが理想です。

    品質コスト

    抜取検査する場合、満たすべき検査条件は何か?

    検査を決める最初の問いは、
    全数検査か、抜取検査か、無試験か?
    ですね。

    検査が必須だが、全部はできないなら、抜取検査を選択します。

    抜取検査は、部分検査でOKとメリットはあるが、
    検査のヌケモレはある確率で発生するデメリットもある。

    検査のヌケモレによる、検査後・出荷後の事故対応を考慮して、検査後・出荷後の事故発生や不良発生確率を見積もる必要があります。

    これが、
    ●第1種の誤り(生産者危険)α
    ●第2種の誤り(消費者危険)β
    が重要なパラメータとなり、
    合否判定をわかりやすくするOC曲線が必須となります。

    抜取検査はOC曲線をベースに考える背景が理解できますね。

    OC曲線

    OC曲線で、合否判定基準を決めると、
    OC曲線に沿う、サンプル数n,合格判定数c,許容不良率AQLが決まってくる。

    ここまで考えると、必要な変数の値が欲しくなります。自分で計算してもよいですが、JISや教科書に値があるので参照すればよいのです。

    ③抜取検査は自分で設計してから、JISや教科書を参考にするのが良い

    1. 品質判定基準をどう決めるか?⇒検査前後の不良率を品質コストや経営の影響を考慮して決めればよい。
    2. AQL(合格品質水準)をいくらにするか?
    3. 検査水準を何にするか?
    4. 抜取検査方式を何にするか?
    5. 検査のきびしさをどれにするのか?⇒2.~5.は、合否基準とするOC曲線に近い条件とすればよい。
    OC曲線で、合否判定基準を決めると、
    OC曲線に沿う、検査水準、検査方式、検査のきびしさも決まります。
    OC曲線で、合否判定基準は自分で設計したから、相手にも不良率や品質コスト、経営の影響の観点から論理的に説明ができます。
    一方、JISや教科書にある検査水準、検査方式、検査のきびしさは、自分で合否判定基準としたOC曲線であれば何でもよく、それほど重要ではありません。
    ただし、学校の試験や資格試験などでは、
    調整型抜取検査の検査水準、検査方式、検査のきびしさが読み取れるかについての問題が、頻出問題なので、使い方ばかり勉強しがちになります。
    ちゃんと考えて抜取検査を設計しましょう。
    モノづくりの日本では、品質の高さが日本の強みですが、
    その品質を保持するための検査の理論がちゃんと書いた書物がほとんどありません。
    JISの使い方より、抜取検査の理論や本質を考えることが重要です。

    まとめ

    調整型抜取検査にて、自分で考えるべき重要なポイントを解説しました。

    • ①JISや教科書に書いていない、自分で考える抜取検査の項目がある
    • ②JISや教科書に頼る前に、自分で抜取検査が設計できる
    • ③抜取検査は自分で設計してから、JISや教科書を参考にするのが良い

  • 調整型抜取検査のなみ検査の主抜取表がわかる

    調整型抜取検査のなみ検査の主抜取表がわかる

    「主抜取表の値はどうやって決まっているの?」、「サンプルサイズ、AQLの値はどうやって決まっているの?」、「抜取表の見方はわかるけど、値の決まり方は知らない」など困っていませんか? 

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    調整型抜取検査のなみ検査の主抜取表がわかる
    • ①サンプルサイズ、AQLの決め方がわかる
    • ②合格判定数Ac、不合格判定数Reの決め方がわかる
    • ③合格判定数Ac、不合格判定数Reの工夫しているところがわかる

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、QC検定1級合格しましたが、与えられた条件にあわせるだけの抜取検査ではなく、自分で考えて設計できる検査ができるよう、さらにパワーアップしています。

    主抜取表の値の作り方は、どこにも書いていません。QCプラネッツで研究してわかったことをお伝えします。

    ●You tube動画も確認ください。

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    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    調整型抜取表1回なみ

    ①サンプルサイズ、AQLの決め方がわかる

    サンプルサイズ

    主抜取表を見ると、サンプル文字とサンプルサイズをまとめた表があります。

    文字 サイズ 文字 サイズ
    A 2 K 125
    B 3 L 200
    C 5 M 315
    D 8 N 500
    E 13 P 800
    F 20 Q 1250
    G 32 R 2000
    H 50
    J 80

    (合格品質限界)AQL

    主抜取表を見ると、AQLの値は下表のようになっています。

    0.01 0.1 1 10 100
    0.015 0.15 1.5 15 150
    0.025 0.25 2.5 25 250
    0.04 0.4 4 40 400
    0.065 0.65 6.5 65 650

    サンプルサイズとAQLの決め方

    標準数で決めています。
    ですが、標準数でなければならない義務はなく、
    使いやすい主抜取表になるように、好きな値を決めてよいです。

    この場合の標準数は10の0.2乗である1.58としています。
    \(10^{0.2×0}\)=1
    \(10^{0.2×1}\)=1.5
    \(10^{0.2×2}\)=2.5
    \(10^{0.2×3}\)=4
    \(10^{0.2×4}\)=6.5
    \(10^{0.2×5}\)=10
    と見ると、確かにサンプルサイズ、AQLの値に一致しますね。

    ただし、別に、値は何でもOKです。
    1⇒2⇒4⇒8⇒16⇒32⇒…とか
    1⇒2⇒5⇒10⇒20⇒50⇒100⇒…とか
    でもOKです。

    ISOやJISの規格はみんなが使いやすいようにするために標準数を使っています。
    あなたが、使いやすい抜取表を作ってもOKです。

    標準数については、関連記事で解説しています。ご確認ください。

    【重要】抜取検査に欠かせない標準数がわかる
    規準型抜取検査や調整型抜取検査の抜取表の範囲や区分はどのように決めているかご存じですか?本記事は、抜取表の範囲や区分や、抜取表を自分で作る方法を解説します。抜取表の作り方が知りたい方は必見です。

    合格判定数Ac、不合格判定数Reの決め方がわかる

    合格判定数Ac、不合格判定数ReはOC曲線から求める

    抜取検査はすべてOC曲線から始まります。

    図で確認しましょう。計数抜取検査で不良率について考えます。二項分布のOC曲線を下図に出します。

    OC曲線

    OC曲線の(n,c)と第1種の誤りαになる不良率p0が重要です。
    ●n=サンプルサイズ
    ●c=合格判定数Ac
    ●不合格判定数Re=Ac+1
    ●p0=AQL(合格品質限界)

    となります。

    サンプルサイズn,合格判定数c,合格品質限界AQLを求めるために、たくさんOC曲線を描けば、主抜取表が作れます。

    抜取表は実際作ってみた方が、理解は深まりますね。

    OC曲線から実際に合格判定数Ac、不合格判定数Reを求める

    1回抜取方式で、実際にOC曲線を描きながら、主抜取表を作ってみます。

    OC曲線の描き方については、関連記事があります。Excel VBAでOC曲線が作れます。


    OC曲線からAQLを導出

    n=20、c=0,1,2,…,19の場合のOC曲線を描きます。

    OC曲線

    OC曲線の左側がc=0で右側に行くにつ入れてcが増えますね。

    次に、第1種の誤りαである、合格率が1-α=95%の不良率pを求めます。

    c P0
    (AQL)
    c P0
    (AQL)
    c P0
    (AQL)
    c P0
    (AQL)
    0 0.26 5 13.96 10 34.69 15 59.9
    1 1.81 6 17.73 11 39.36 16 65.63
    2 4.22 7 21.71 12 44.2 17 71.74
    3 7.14 8 25.86 13 49.22 18 78.39
    4 10.41 9 30.2 14 54.44 19 86.09

    次に、AQLを満たすcを見ます。すると、AQLから合格判定数Acがわかります。

    AQL(%) 自分で
    導出
    JISZ
    9015Z-1
    AQL(%) 自分で
    導出
    JISZ
    9015Z-1
    0.01 0 0 1 1 1
    0.015 0 0 1.5 1 1
    0.025 0 0 2.5 2 1
    0.04 0 0 4 2 2
    0.065 0 0 6.5 3 3
    0.1 0 0 10 4 5
    0.15 0 0 15 6 7
    0.25 0 0 25 8 10
    0.4 1 0 40 12 14
    0.65 1 0 65 16 21

    自分で求めた値と、JISZ9015-1 なみ検査(1回抜取方式)を比較します。結構、一致しています。
    主抜取表の作り方が理解できましたね。

    ③合格判定数Ac、不合格判定数Reの工夫しているところがわかる

    主抜取表を対角線上で見ると、合格判定数Ac、不合格判定数Reがそろっています。

    使いやすさのためにうまく作られています。
    また、対角線上に同じ合格判定数Ac、不合格判定数Reとなるように、サンプルサイズ、AQLの幅を標準数を使っているのがわかります。

    主抜取表の一部を見てみましょう。

    文字 サイズ AQL(Ac,Re)
    1 1.5 2.5 4 6.5
    D 8 1,2
    E 13 1,2 2,3
    F 20 1,2 2,3 3,4
    G 32 1,2 2,3 3,4 5,6
    H 50 1,2 2,3 3,4 5,6 7,8

    確かに、合格判定数Ac、不合格判定数Re数が対角線上では同じであることがわかります。

    数学的な理論では説明できず、何度も試行錯誤の結果、見やすい主抜取表ができたと考えられます。 主抜取表は努力の結晶です。

    まとめ

    調整型抜取検査のなみ検査の主抜取表について解説しました。

    • ①サンプルサイズ、AQLの決め方がわかる
    • ②合格判定数Ac、不合格判定数Reの決め方がわかる
    • ③合格判定数Ac、不合格判定数Reの工夫しているところがわかる

  • 【まとめ】逐次抜取検査がわかる

    【まとめ】逐次抜取検査がわかる

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    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】逐次抜取検査がわかる
    • ①逐次抜取検査がわかる
    • ②逐次抜取検査は合格判定線が必須
    • ③逐次抜取検査できる種類と関連記事のご紹介
    • ④逐次抜取検査の注意点がわかる

    計数値逐次抜取検査、計量値の抜取検査の基礎についての関連記事を紹介します。併せて読んでください。








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    ①逐次抜取検査がわかる

    逐次(その都度)、一定の個数をサンプリングして検査しながら、その都度合否を判定する検査方法。検査回数は不定である。

    ある合格基準があり、合格基準を満たせば、検査は合格として終了。
    不合格基準を満たせば、検査は不合格として終了。
    どちらでも無く決着がつかなければ、検査を続行するものです。

    ②逐次抜取検査は合格判定線が必須

    検査結果の良し悪しを見ながら、検査続行か、終了かが見やすく判断できるものがあると便利ですよね。それが合格判定線です。

    合格判定線、不合格判定線を下図に描きます。

    合格判定線
     

    青線は、不良個数が検査で増加しても、合格判定領域に入ったため、合格と判断できます。一方、赤線は、不合格領域に入ったため、不合格と判断できます。

    合格、不合格の領域線が直線であるため、検査続行、検査終了の判断がしやすいですね。

    逐次抜取検査の合格判定線の特徴について関連記事で詳細に解説しています。

    計数逐次抜取検査の特徴がわかる
    計数逐次抜取検査(JISZ9009)にて、合格判定線の傾きと切片の導出と、変数(第1種の誤りα、第2種の誤りβ、不良率p0,p1)による合格判定線の変化を解説します。計数逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    では、判定線をどのように作るのかを、解説します。

    ③逐次抜取検査できる種類と関連記事のご紹介

    合格判定線ができるもの

    1. 計数抜取検査(二項分布)
    2. 計数抜取検査(ポアソン分布)
    3. 計量抜取検査(標準偏差σ既知)
    4. 計量抜取検査(標準偏差σ未知)

    の4種類です。

    それぞれ詳細に解説した関連記事を紹介します。

    (i)計数抜取検査(二項分布)

    OC曲線から逐次抜取検査を導出します。
    OC曲線に親しみのある計数値の二項分布から学びましょう。

    計数逐次抜取検査(JISZ9009)の二項分布の理論を詳細に解説した関連記事です。

    計数逐次抜取検査(JISZ9009)の理論がわかる(二項分布)
    計数逐次抜取検査(JISZ9009)の理論を解説します。OC曲線から逐次検査続行か、終了かを判断する判定式を詳細に解説します。また、平均検査個数の式も紹介します。逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    (ii) 計数抜取検査(ポアソン分布)

    OC曲線から逐次抜取検査を導出します。
    OC曲線にあまり出ない、苦手意識のあるポアソン分布も学びましょう。

    計数逐次抜取検査(JISZ9009)のポアソン分布の理論を詳細に解説した関連記事です。

    計数逐次抜取検査(JISZ9009)の理論がわかる(ポアソン分布)
    計数逐次抜取検査(JISZ9009)のポアソン分布に従う場合の理論を解説します。OC曲線から逐次検査続行か、終了かを判断する判定式を詳細に解説します。逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    計量抜取検査(標準偏差σ既知)

    (iii) 計量抜取検査(標準偏差σ既知)

    計量値抜取検査も逐次抜取検査ができます。
    確率密度関数を使って合格判定線を作ります。

    計量逐次抜取検査(JISZ9010)では、標準偏差σが既知の場合と未知の場合において、それぞれ合格判定線が作れます。

    標準偏差σが既知の場合の関連記事を紹介します。なお、理論だけではわかりにくいので、実際の数値を入れた例題も解説しています。

    ●理論がわかる関連記事

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ既知)の場合がわかる
    計量値逐次抜取検査(JISZ9010)の理論がわかる(標準偏差σが既知)場合の理論を解説します。確率密度関数を定義して、合格判定条件式を作り、逐次抜取検査における合格判定線の導出が理解できます。計量値の逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ●例題がわかる関連記事

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ既知)の事例演習
    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ既知)の事例演習を解説します。合格判定線の作り方を実際の演習問題を解きながら解説します。逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    (iv) 計量抜取検査(標準偏差σ未知)

    標準偏差σが未知の場合の関連記事を紹介します。なお、理論だけではわかりにくいので、実際の数値を入れた例題も解説しています。

    ●理論がわかる関連記事

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の場合がわかる
    計量値逐次抜取検査(JISZ9010)の理論がわかる(標準偏差σが未知)場合の理論を解説します。確率密度関数を定義して、合格判定条件式を作り、逐次抜取検査における合格判定線の導出が理解できます。計量値の逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ●例題がわかる関連記事

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の事例演習
    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の事例演習を解説します。合格判定線の作り方を実際の演習問題を解きながら解説します。逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ④逐次抜取検査の注意点がわかる

    合格判定線は検査終了・続行を決めるにわかりやすいのがメリットです。
    しかし、合格判定線の精度は良くない点に注意が必要です。

    なぜ、合格判定線の精度が良くないのかを解説した関連記事をご覧ください。

    逐次抜取検査の合格判定線を作るときの注意点
    逐次抜取検査の合格判定線を作るときの注意点を解説します。理論をしっかりしていますが、やや強引な導出があるため、精度は良くありません。理論と実状をよく理解するために必読です。本記事が理解できれば逐次抜取検査はほぼすべて理解できているといって過言ではありません。

    以上、逐次抜取検査の方法、種類、検査の注意点について詳細に解説しました。教科書にはあまり書いていない内容です。10本の関連記事を読めば、ほぼ逐次抜取検査の内容はマスターできます。

    まとめ

    逐次抜取検査について解説しました。

    • ①逐次抜取検査がわかる
    • ②逐次抜取検査は合格判定線が必須
    • ③逐次抜取検査できる種類と関連記事のご紹介
    • ④逐次抜取検査の注意点がわかる

    逐次抜取検査の関連記事

    計数値逐次抜取検査、計量値の抜取検査の基礎についての関連記事を紹介します。併せて読んでください。








  • 逐次抜取検査の合格判定線を作るときの注意点

    逐次抜取検査の合格判定線を作るときの注意点

    「逐次抜取検査で注意すべき点があるのか、わからない」、など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    逐次抜取検査の注意点がわかる

    結論

    合格判定線の導出モデルの精度が良くない点に注意が必要!

    以上です!

    としたいですが、詳細に解説します。

    • ①合格判定線の導出モデルの精度が良くない点に注意
    • ②計数逐次抜取検査(二項分布)の場合
    • ③計数逐次抜取検査(ポアソン分布)の場合
    • ④計量逐次抜取検査(σ既知&σ未知)の場合

    逐次抜取検査の関連記事

    計数値逐次抜取検査、計量値の抜取検査の基礎についての関連記事を紹介します。併せて読んでください。




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    ②計数逐次抜取検査(二項分布)の場合

    合格判定線の導出過程

    計数値の抜取検査はすべて、OC曲線から考えます。

    OC曲線を描きます

    OC曲線

    赤枠はロットの不合格領域で、青枠がロットの合格領域です。

    生産者危険を示す不良率p0、消費者危険を示す不良率p1とロット不良率について図から読むと
    q0n=1-α、1-q0n
    q1n=β、1- q1n=1-β
    となります。

    q0nとq1nの式を作ります。
    \(q_{0n}\)=\({}_nC_d p_0^d(1-p_0)^{n-d}\)
    \(q_{1n}\)=\({}_nC_d p_1^d(1-p_1)^{n-d}\)
    注意として、不良品数dに限定します。通常はロットの合格率はΣの和となりますが、今回はΣを入れません(強引な感じがしますけど)

    下の関連記事に、導出の詳細な過程を解説しています。

    次に、問題点を指摘します。

    合格判定線の導出過程の問題点

    \(q_{0n}\),\(q_{1n}\)は本来、
    \(q_{0n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} {}_nC_r p_0^r(1-p_0)^{n-r}\)
    \(q_{1n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} {}_nC_r p_1^r(1-p_1)^{n-r}\)
    とすべきだが、
    \(q_{0n}\)=\({}_nC_d p_0^d(1-p_0)^{n-d}\)
    \(q_{1n}\)=\({}_nC_d p_1^d(1-p_1)^{n-d}\)
    と簡略化して点が問題。

    なぜ、簡略化するかというと、

    比 \(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)を計算しやすくするために、
    \(q_{0n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} {}_nC_r p_0^r(1-p_0)^{n-r}\)
    \(q_{1n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} {}_nC_r p_1^r(1-p_1)^{n-r}\)
    ではなく、
    \(q_{0n}\)=\({}_nC_d p_0^d(1-p_0)^{n-d}\)
    \(q_{1n}\)=\({}_nC_d p_1^d(1-p_1)^{n-d}\)
    としている。

    確かに、
    比\(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)=\(\frac{\sum_{r=1}^{d} {}_nC_r p_1^r(1-p_1)^{n-r}}{\sum_{r=1}^{d} {}_nC_r p_0^r(1-p_0)^{n-r}}\)
    とすると、これ以上、式の導出が難しいです。

    一方、
    比\(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)=\(\frac{ {}_nC_d p_1^d(1-p_1)^{n-d}}{ {}_nC_d p_0^d(1-p_0)^{n-d}}\)
    とすると、式の導出がしやすいです。

    ただし、Σを無視して比\(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)を計算しているため、比の値の精度は低下したものを使って、合格判定線を導出している点に注意が必要です。

    ③計数逐次抜取検査(ポアソン分布)の場合

    二項分布の場合と同様の結果ですが、式が異なるため詳細に解説します。

    合格判定線の導出過程

    q0nとq1nの式を作ります。
    \(q_{0n}\)=\(e^{-np_0}\frac{(np_0)^d}{d!}\)
    \(q_{1n}\)=\(e^{-np_1}\frac{(np_1)^d}{d!}\)
    です。

    注意として、不良品数dに限定します。通常はロットの合格率はΣの和となりますが、今回はΣを入れません(強引な感じがしますけど)

    下の関連記事に、導出の詳細な過程を解説しています。

    次に、問題点を指摘します。

    合格判定線の導出過程の問題点

    \(q_{0n}\),\(q_{1n}\)は本来、
    \(q_{0n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} e^{-np_0}\frac{(np_0)^r}{r!}\)
    \(q_{1n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} e^{-np_1}\frac{(np_1)^r}{r!}\)
    とすべきだが、
    \(q_{0n}\)=\(e^{-np_0}\frac{(np_0)^d}{d!}\)
    \(q_{1n}\)=\(e^{-np_1}\frac{(np_1)^d}{d!}\)
    と簡略化して点が問題。

    なぜ、簡略化するかというと、

    比 \(\frac{q_{1n}}{}q_{0n}\)を計算しやすくするために、
    \(q_{0n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} e^{-np_0}\frac{(np_0)^r}{r!}\)
    \(q_{1n}\)=\(\sum_{r=1}^{d} e^{-np_1}\frac{(np_1)^r}{r!}\)
    ではなく、
    \(q_{0n}\)=\(e^{-np_0}\frac{(np_0)^d}{d!}\)
    \(q_{1n}\)=\(e^{-np_1}\frac{(np_1)^d}{d!}\)
    としている。

    確かに、
    比\(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)=\(\frac{\sum_{r=1}^{d} e^{-np_1}\frac{(np_1)^r}{r!}}{ \sum_{r=1}^{d} e^{-np_0}\frac{(np_0)^r}{r!}}\)
    とすると、これ以上、式の導出が難しいです。

    一方、
    比\(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)=\(\frac{ e^{-np_0}\frac{(np_1)^d}{d!}}{ e^{-np_1}\frac{(np_0)^d}{d!}}\)
    とすると、式の導出がしやすいです。

    ただし、Σを無視して比\(\frac{q_{1n}}{q_{0n}}\)を計算しているため、比の値の精度は低下したものを使って、合格判定線を導出している点に注意が必要です。

    ④計量逐次抜取検査(σ既知&σ未知)の場合

    計量値の場合の問題点を提示します。

    σ既知、σ未知の両方に共通しています。

    合格判定線の導出過程

    確率変数xは、母平均μ、母標準偏差σとする正規分布に従っており、その確率密度関数を定義します。

    \(f(x)\)=\(\frac{1}{σ\sqrt{2π}} exp(-\frac{1}{2}(\frac{x-μ}{σ})^2)\)

    次に、ロットから大きさn個を抜き取ったときの確率密度関数を定義します。

    ●母平均μが未知で、母標準偏差σが既知の場合

    ●母平均値が\(μ_0\)の場合、
    \(p_{0n}\)=\(f(x_1)f(x_2)…f(x_n)\)
    =\((\frac{1}{σ\sqrt{2π}})^n exp(-\frac{1}{2σ^2} \sum_{i=1}^{n}(x_i-μ_0)^2)\)

    ●母平均値が\(μ_1\)の場合
    \(p_{1n}\)=\(f(x_1)f(x_2)…f(x_n)\)
    =\((\frac{1}{σ\sqrt{2π}})^n exp(-\frac{1}{2σ^2} \sum_{i=1}^{n}(x_i-μ_1)^2)\)

    ●母平均μが既知で、母標準偏差σが未知の場合

    ●母標準偏差が\(σ_0\)の場合
    \(p_{0n}\)=\(f(x_1)f(x_2)…f(x_n)\)
    =\((\frac{1}{σ_0 \sqrt{2π}})^n exp(-\frac{1}{2σ_0^2} \sum_{i=1}^{n}(x_i-μ)^2)\)

    ●母標準偏差が\(σ_1\)の場合
    \(p_{1n}\)=\(f(x_1)f(x_2)…f(x_n)\)
    =\((\frac{1}{σ_1\sqrt{2π}})^n exp(-\frac{1}{2σ_1^2} \sum_{i=1}^{n}(x_i-μ)^2)\)

    確率密度関数の積を定義して、計算するところが、無理矢理な感じがしますが、合格判定線を導出に必要なためです。

    下の関連記事に、導出の詳細な過程を解説しています。

    次に、問題点を指摘します。

    合格判定線の導出過程の問題点

    \(p_{0n}\),\(p_{1n}\)は本来、
    OC曲線を与える関数式から作る
    とすべきだが、
    確率密度関数の積の式を作って、合格判定線を作る
    点が問題。
    計量抜取検査のOC曲線の関数を導出ができないため、
    代わりに合格判定線を作れる関数を持ってくる必要があった。
    結果的に確率密度関数の積
    \(p_{0n}\)=\(f(x_1)f(x_2)…f(x_n)\)
    =\((\frac{1}{σ_0 \sqrt{2π}})^n exp(-\frac{1}{2σ_0^2} \sum_{i=1}^{n}(x_i-μ)^2)\)
    を使うことになっている。

    合格判定線を導出する過程で、精度が保証していない点に注意が必要です。

    【まとめると】
    合格判定線の精度は怪しいです。
    けど、わかりやすくて使いやすいです。
    合格判定線を引いて、実際に検査をしながら、
    判定線の傾きと切片を調整していくのが実情なのでしょう。

    理論を理解することは大切です。
    実際の精度は検査結果や実績を見ながら調整しましょう。

    まとめ

    逐次抜取検査で注意すべき点について解説しました。

    • ①合格判定線の導出モデルの精度が良くない点に注意
    • ②計数逐次抜取検査(二項分布)の場合
    • ③計数逐次抜取検査(ポアソン分布)の場合
    • ④計量逐次抜取検査(σ既知&σ未知)の場合

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    計量値逐次抜取検査(JISZ9010)の理論がわかる(標準偏差σが未知)場合の理論を解説します。確率密度関数を定義して、合格判定条件式を作り、逐次抜取検査における合格判定線の導出が理解できます。計量値の逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    計量値逐次抜取検査(JISZ9010)の理論がわかる(標準偏差σが未知)

    • ①逐次抜取検査は合格判定線で判断
    • ②上限の標準偏差が与えられている場合
    • ③下限の標準偏差が与えられている場合

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    【1】計数逐次抜取検査がわかる関連記事

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    ①逐次抜取検査は合格判定線で判断

    逐次抜取検査は計数値・計量値に関係なく、合格判定線で検査を評価します。
    逐次抜取検査の合格判定線・不合格判定線を作る
    ● X ≥ sn + h1 :不合格(検査終了)
    ● X ≤ sn-h0 :合格(検査終了)
    ● sn-h0 < X < sn+h1 :検査続行
    Xとsの一次式を作られる直線で、検査結果を分けると
    わかりやすい。

    上の3つの不等式を作ることが本記事の目標となります。

    上限の標準偏差が与えられている場合の合格判定線の導出方法

    \(σ_0\) < \(σ_1\)の場合です。
    つまり、
    m=\(\frac{1}{2}(\frac{1}{σ_0^2}-\frac{1}{σ_1^2})\) > 0の場合です。

    まとめ

    入力変数一覧

    a =\(log \frac{1-β}{α}\) X =\(\sum_{i=1}^{n} (x_i-μ)^2 \)
    b =\(log \frac{1-α}{β}\) h0 =\(\frac{2b}{m}\)
    -b =\(log \frac{β}{1-α}\) h1 =\(\frac{2a}{m}\)
    t =\(log\frac{σ_1}{σ_0}\) s =\(\frac{2t}{m}\)
    m =\(\frac{1}{σ_0^2}-\frac{1}{σ_1^2}\)

    合格判定式

    ● \(X\) ≥ sn+\(h_1\):不合格
    ● \(X\) ≤ sn-\(h_0\):合格
    ● sn-\(h_0\) < \(X\) < sn+\(h_1\) :検査続行

    下限の標準偏差が与えられている場合の合格判定線の導出方法

    \(σ_0\) > \(σ_1\)の場合です。
    つまり、
    m=\(\frac{1}{2}(\frac{1}{σ_0^2}-\frac{1}{σ_1^2})\) > 0の場合です。

    まとめ

    入力変数一覧

    a =\(log \frac{1-β}{α}\) X =\(\sum_{i=1}^{n} (x_i-μ)^2 \)
    b =\(log \frac{1-α}{β}\) h0 =\(\frac{2b}{m’}\)
    -b =\(log \frac{β}{1-α}\) h1 =\(\frac{2a}{m’}\)
    t =\(log\frac{σ_1}{σ_0}\) s =\(\frac{2t}{m’}\)
    m =\(\frac{1}{σ_0^2}-\frac{1}{σ_1^2}\) m’ =\(\frac{1}{σ_1^2}-\frac{1}{σ_0^2}\)

    合格判定式

    ● \(X\) ≥ sn+\(h_1\):不合格
    ● \(X\) ≤ sn-\(h_0\):合格
    ● sn-\(h_0\) < \(X\) < sn+\(h_1\) :検査続行

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の理論と合格判定線の導出については、関連記事にて解説しています。ご確認ください。

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の場合がわかる
    計量値逐次抜取検査(JISZ9010)の理論がわかる(標準偏差σが未知)場合の理論を解説します。確率密度関数を定義して、合格判定条件式を作り、逐次抜取検査における合格判定線の導出が理解できます。計量値の逐次抜取検査をマスターしたい方は必見です。

    ②上限の標準偏差が与えられている場合

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の事例演習

    問:あるお菓子カンパニーでは、スナック菓子の重量について逐次抜取検査を実施している。平均重さμ=120gに対し、重さの標準偏差が2g程度しているが、実際はわからない。ただし、重さのばらつきを標準偏差5g以下になるように、抜取方式を設定したい。第1種の誤りα=0.01,第2種の誤りβ=0.1とする。抜取検査の合格判定線を作成せよ。

    値を代入するだけですが、まとめます。
    ●α=0.01
    ●β=0.1
    ●a=\(log \frac{1-β}{α}\)=4.50
    ●b=\(log \frac{1-α}{β}\)=2.29
    ●σ0=2
    ●σ1=5
    ●μ=120
    ●t=\(log\frac{σ_1}{σ_0}\)=0.91
    ●m=\(\frac{1}{σ_0^2}-\frac{1}{σ_1^2}\)=0.21
    ●h0=\(\frac{2b}{m}\)=21.836
    ●h1=\(\frac{2a}{m}\)=42.860
    ●s=\(\frac{2t}{m}\)=8.72

    合格判定式
    ★ X- 8.72n ≤ -21.836:合格
    ★ X – 8.72n ≥ 42.860:不合格
    ★ -21.836 < X- 8.72n < 42.860:検査続行

    合格判定式をグラフに描くと下図のようになります。

    逐次抜取検査

    ③下限の標準偏差が与えられている場合

    JISZ9010計量値逐次抜取検査(σ未知)の事例演習

    問:あるお菓子カンパニーでは、スナック菓子の重量について逐次抜取検査を実施している。平均重さμ=120gに対し、重さの標準偏差が4g程度しているが、実際はわからない。ただし、重さのばらつきを標準偏差2g以上になるように、抜取方式を設定したい。第1種の誤りα=0.01,第2種の誤りβ=0.1とする。抜取検査の合格判定線を作成せよ。

    値を代入するだけですが、まとめます。
    ●α=0.01
    ●β=0.1
    ●a=\(log \frac{1-β}{α}\)=4.50
    ●b=\(log \frac{1-α}{β}\)=2.29
    ●σ0=2
    ●σ1=5
    ●μ=120
    ●t=\(log\frac{σ_1}{σ_0}\)=-0.61
    ●m=\(\frac{1}{σ_0^2}-\frac{1}{σ_1^2}\)=0.188
    ●h0=\(\frac{2b}{m}\)=24.456
    ●h1=\(\frac{2a}{m}\)=48.003
    ●s=\(\frac{2t}{m}\)=-7.39

    合格判定式
    ★ X+7.39n ≤ -24.456:合格
    ★ X +7.39n ≥ 48.003:不合格
    ★ -24.456 < X+7.39n < 48.003:検査続行

    合格判定式をグラフに描くと下図のようになります。

    逐次抜取検査

    なんと! 合格判定線が右下の直線になるため、X<0の領域はすべて不合格となります。これは、t=\(log\frac{σ_1}{σ_0}\)=-0.61が負になるのが原因です。逐次抜取検査としては成立しません。不思議な結果が出ました。

    まとめ

    計量値逐次抜取検査(JISZ9010)の理論がわかる(標準偏差σが未知)について、合格判定線の導出方法について実際の値を使って詳細に解説しました。

    • ①逐次抜取検査は合格判定線で判断
    • ②上限の標準偏差が与えられている場合
    • ③下限の標準偏差が与えられている場合

    逐次抜取検査の関連記事

    計数値逐次抜取検査、計量値の抜取検査の基礎についての関連記事を紹介します。併せて読んでください。

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