カテゴリー: 管理図

  • 【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる

    本記事のテーマ

    【必読】s管理図の変数c4の導出がわかる
    • ①s管理図の変数c4について
    • ②不偏標準偏差vと母標準偏差σはχ2乗分布でつなぐ
    • ③s管理図の変数c4の導出(χ2乗分布に慣れよう!)
    • ④s管理図の管理限界の期待値E[v]と標準偏差D[v]がわかる

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    ●χ2乗分布の関数に慣れる!
    ●不偏標準偏差vと標準偏差sによって、s管理図の係数の式が若干変わること

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

    ①s管理図の変数c4について

    関連記事

    のように、管理図の管理限界は、
    ●E(a)±kD(a)
    で表現され、aに変数、kに倍数を入れて管理します。

    s管理図の変数aは不変標準偏差vです。不偏標準偏差vの確率密度関数から、期待値E(v),標準偏差D(v)を導出します。

    その時に必要な変数が、c4です。

    s管理図の変数c4

    ●\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}}\frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\) (v:不偏標準偏差の場合)
    ●\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}}\frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\) (s:標準偏差の場合)

    訳が分からない式ですが、導出できます。

    ②不偏標準偏差vと母標準偏差σはχ2乗分布でつなぐ

    関連記事

    のように、s,vとσの関係はχ2乗分布でつなぎます。χ2乗分布に慣れていく重要な式です。

    \(χ^2\)=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)
    =\(\frac{v^2(不偏標準偏差)(n-1)}{σ^2}\)
    から、vとσがつながります。

    なお、標準偏差sの場合は、
    \(χ^2\)=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)
    =\(\frac{s^2(標準偏差)(n)}{σ^2}\)
    から、sとσがつながります。

    χ2乗分布の確率分布関数を出しましょう。これが複雑ですが、そういう式と思ってください。簡単に説明すると、正規分布(\(e^{-x^2}\))の2乗和した関数がχ2乗分布ですね。

    正規分布、χ2乗分布、t分布、F分布の関係も復習しましょう。関連記事で確認ください。

    【簡単】χ2乗分布とt分布とF分布がすぐわかる【初心者向け】
    「本記事では、正規分布、χ2乗分布、t分布とF分布について、わかりやすく理解すべきポイントを解説します。

    χ2乗分布の確率分布関数

    χ2乗分布は2変数用意します。自由度nと変数xですね。

    ●\(χ^2(x)\)=\(\frac{1}{2^{n/2}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}}\)
    Γ(z)=\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} t^{z-1} e^{^t}dt\)

    そういう関数だという理解でOKですし、変数c4の導出には、χ2乗分布の確率分布関数の一部を使って式変形するだけなので、慌てずに読み進めてください。

    難しい式は、
    ①乗っかる
    ②自分で変形できるものをいくつか作る
    ③慣れてきたら、式の意味を考える
    ④自分のものにする

    本記事は、①の「乗っかる」だけで行けます!

    ③s管理図の変数c4の導出(χ2乗分布に慣れよう!)

    s管理図の管理限界の期待値E(s)は、
    E(s)=c4σ
    と書けます。このc4を導出してみましょう。

    導出のポイント

    不偏標準偏差vとσをχ2乗分布でつなぐ

    x=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)
    =\(\frac{v^2(不偏標準偏差)(n-1)}{σ^2}\)
    とすると、
    xは自由度(n-1)のχ2乗分布に従います。

    よって、
    v(不偏標準偏差)=\(\sqrt{\frac{x}{n-1}}σ\)
    と書けます。
    (ちなみに、s(標準偏差)= \(\sqrt{\frac{x}{n}}σ\)
    とも書けます。)

    また、準備として、自由度(n-1)のχ2乗分布の確率分布関数の式を用意します。
    \(χ_{n-1}^2(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}}\)

    期待値E[v]の立式

    期待値E[v]は定義では、
    ●E[v]= \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} vf(v) dv \)
    *f(v)にχ2乗分布を代入
    *積分区間:χ2乗分布は2乗だけに負はないため、[0,∞]で積分です。

    期待値と分散の公式

    E[X]= \(\displaystyle \int v f(v) dv\)
    E[\(X^2\)]=\(\displaystyle \int v^2 f(v) dv\)
    V[X]= E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)
    でしたね。

    よって、E[v]は
    ●E[v]= \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} vf(v) dv\)
    =E[\(\sqrt{\frac{x}{n-1}}σ\)]
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{\frac{x}{n-1}}σ \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\)

    ちなみに、標準偏差sについて立式すると n-1⇒nに代わります。

    ●E[s]= \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} sf(s) ds\)
    =E[\(\sqrt{\frac{x}{n}}σ\)]
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{\frac{x}{n}}σ \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\)
    標準偏差sと不偏標準偏差vで区別します。ややこしいですが。

    期待値E[v]の導出

    ●E[v] =\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{\frac{x}{n-1}}σ \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式1)
    の定数項を積分の外に出しましょう。

    (式1)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{x} \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式2)

    次にxをまとめます。

    (式2)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式3)

    ここでよく積分の中を見ると、複雑な式ですが、元のχ2乗分布の式に似ていることがわかります。つまり、すべて計算せずに、χ2乗分布の関数をそのまま使えばよいのです。

    (式3)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ \frac{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式4)

    (式4)のように、分母分子に同じ \(2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})\)を入れます。
    分母にある、\(2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})\)と\(2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})\)を入れ替えます。

    (式4)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ \frac{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})}\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式5)

    (式5)の
    ●\(\frac{2^{\frac{n}{2}}}{2^{\frac{n-1}{2}}}\)=\(\sqrt{2}\)
    ●\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} χ_n^2(x) dx\)
    =1
    となります。よって、

    (式5)= \(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ (式6)

    まとめると、

    E[v] =\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ
    E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    ちなみに、標準偏差sについて解くと、

    E[s] =\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ
    E[s]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    χ2乗分布の式が複雑ですが、ゆっくり導出を読めば、難しくないことがわかりますね。数式の見た目でビビらないことも重要です。

    ④s管理図の管理限界の期待値E[v]と標準偏差D[v]がわかる

    導出のポイント

    E[v] =\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ
    E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    より期待値E[v]がわかりました。D[v]も導出しましょう。

    期待値と分散の公式をもう一度確認しましょう。複雑な式でも公式通り代入しているだけです。

    期待値と分散の公式

    E[X]= \(\displaystyle \int v f(v) dv\)
    E[\(X^2\)]=\(\displaystyle \int s^2 f(s) ds\)
    V[X]= E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)
    でしたね。

    D[v]の式を作ります。

    期待値D[s]の導出

    D[v]は、
    D[s]= E[\(v^2\)]-\(E[v]^2\)
    です。

    期待値E[\(v^2\)]の導出

    さて、E[\(v^2\)]はどうしましょうか?

    vはそもそも不偏標準偏差の期待値は母分散σとみてよいでしょう。
    よって,
    E[\(v^2\)]=\(σ^2\)

    ちなみに、標準偏差sの場合のE[\(s^2\)]は、
    もともと
    \(χ^2\)=\(\frac{S(平方和}{σ^2}\)
    から
    \(χ^2\)=\(\frac{s(標準偏差)^2 n}{σ^2}\)=\(\frac{v(不偏標準偏差)^2 (n-1)}{σ^2}\)
    の関係が成り立つので、
    \(s^2\)=\(\frac{n-1}{n} v^2\)
    となります。

    なお、E[\(v^2\)]=\(σ^2\)より、
    E[\(s^2\)]=\(\frac{n-1}{n} \) E[\(v^2\)]=\(\frac{n-1}{n} σ^2\)
    となります。

    まとめると

    不偏標準偏差vの場合は、
    D[v]= E[\(v^2\)]-\(E[v]^2\)
    =\(σ^2-c_4^2 σ^2\)
    =\((1-c_4 ^2 )σ^2\)
    (\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\))

    標準偏差sの場合は、
    D[v]= E[\(v^2\)]-\(E[v]^2\)
    =\(\frac{n-1}{n}σ^2-c_4^2 σ^2\)
    =\((\frac{n-1}{n}-c_4 ^2 )σ^2\)
    (\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    c4,期待値E、標準偏差Dのまとめ

    s管理図における管理限界の導出を解説しました。

    標準偏差sと不偏標準偏差vによって、式が若干異なります。
    なお、JISZ9020では不偏標準偏差vの場合の値が管理限界の係数表に載っています。

    教科書やwebサイトによっては、標準偏差sと不偏標準偏差vの両方が書いていますので、両方解説しました。

    c4

    ●不偏標準偏差v:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    E

    ●不偏標準偏差v:E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:E[s]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    D

    ●不偏標準偏差v:D[v] =\((1-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:D[s] =\((\frac{n-1}{n}-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    まとめ

    s管理図の管理限界線の係数の導出を解説しました。

    • ①s管理図の変数c4について
    • ②不偏標準偏差vと母標準偏差σはχ2乗分布でつなぐ
    • ③s管理図の変数c4の導出(χ2乗分布に慣れよう!)
    • ④s管理図の管理限界の期待値E[v]と標準偏差D[v]がわかる
  • 【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる

    本記事のテーマ

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    • ①変数の基本は期待値と標準偏差から導出
    • ②\(\bar{X}\)管理図の場合
    • ③s管理図の場合
    • ④R管理図の場合
    「シューハート管理図の係数表にあるA2,D3,d2など変数とは何か?」、「係数表の変数の求め方」をわかりやすく解説します。

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    ●Youtube動画でも解説しています。ご覧ください。

    ①変数の基本は期待値と標準偏差から導出

    変数の一覧

    JISZ9020-2の表2「管理限界線を計算するための係数」から変数一覧を出します。







    \(\bar{X}\)


    A = \(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
    \(A_2\) = \(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
    \(A_3\) = \(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)
    s


    \(B_3\) = \(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_4\) = \(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    \(B_5\) = \(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_6\) = \(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)
    R


    \(D_1\) = \(max(0,d_2-kd_3)\)
    \(D_2\) = \(d_2+kd_3\)
    \(D_3\) = \(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
    \(D_4\) = \(1+\frac{kd_3}{d_2}\)





    s \(c_4\) = \(\frac{Γ(\frac{n}{2})\sqrt{\frac{2}{n-1}}}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    R \(d_2\) = \(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    \(d_3\) = \(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    変数Aは簡単に導出できそうですが、
    変数d2,d3は意味不明な式ですね。

    JIS規格になっても、
    式の意味や導出がわからないまま
    使わないことが大事!

    もし、式や値が間違っていたらどうしますか? JISに文句言っても、あなたの顧客は満足しませんよね。自分が使うものは、対象の良し悪しや意味を理解して使うべきです。

    変数基本形

    変数の種類が多いですが、すべて同じ形で導出します。

    変数=E(a)±kD(a)
    (平均±●σ の形です!)
    で表現できる。
    ●a:変数
    ●E(a):aの期待値(平均値)
    ●D(a):aの標準偏差
    ●k:パラメータ(3σならk=3)

    簡単な式ですね。それともう1つ。

    管理図の対象はX(変位),s(標準偏差),R(範囲)の3つ。
    それぞれの確率密度関数を定義して、期待値Eと標準偏差Dを計算する。
    ●X:正規分布
    ●s:χ2乗分布
    ●R:順序統計量の同時分布

    変位Xの確率密度関数は正規分布なので簡単ですが、
    標準偏差sと範囲Rについては別途関連記事で確率密度関数からの導出を解説します。

    では、個別に解説していきます。

    ②\(\bar{X}\)管理図の場合

    A,\(A_2\),\(A_3\)の3つについてです。







    \(\bar{X}\)


    A = \(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
    \(A_2\) = \(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
    \(A_3\) = \(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)

    変位Xは正規分布で考える

    正規分布を描きます。これから解説する、標準偏差s、範囲Rの確率密度関数と比較してください。

    正規分布

    正規分布における、期待値Eと標準偏差Dは、
    ●E(X)=\(\bar{X}\)
    ●D(X)=σ
    ですね。これは正規分布を勉強すればわかりますので導出は割愛します。

    変数A,\(A_2\),\(A_3\)の導出

    変数A の導出

    E(X)±kD(X)
    =\(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}σ\)
    = \(\bar{X}\)±Aσ

    ●A=\(\frac{k}{\sqrt{n}}\)

    変数,\(A_2\)の導出

    E(X)±kD(X)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}σ\)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}} \frac{R}{d_2} \)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}} R\)
    = \(\bar{X}\)±\(A_2\)σ

    ●\(A_2\)=\(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}} R\)

    変数,\(A_3\)の導出

    E(X)±kD(X)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}σ\)
    =\(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}\frac{s}{c_4}\)
    =\(\bar{X}\)±\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}s\)
    = \(\bar{X}\)±\(A_3 s\)

    ●\(A_3\)=\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}} \)

    ③s管理図の場合

    変数\(B_3\),\(B_4\),\(B_5\),\(B_6\)を導出します。







    s


    \(B_3\) = \(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_4\) = \(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    \(B_5\) = \(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_6\) = \(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)

    標準偏差sはχ2乗分布で考える

    χ2乗分布を描きます。これから解説する、標準偏差s、範囲Rの確率密度関数と比較してください。

    χ2乗分布

    χ2乗分布における、期待値Eと標準偏差Dの導出は関連記事で詳細に解説します。
    本記事は結果だけ使います。
    ●E(s)=\(c_4 σ\)
    ●D(s)=\(\sqrt{1-c_4^2}σ\)
    になります。

    関連記事にあるように、s管理図の管理限界を導出する際、標準偏差sと不偏標準偏差vを使った場合では若干式が異なります。本記事では、JISZ9020の管理限界係数表に準拠して、不偏標準偏差vを使った場合を解説します。

    具体的には、

    c4

    ●不偏標準偏差v:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    E

    ●不偏標準偏差v:E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:E[s]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    D

    ●不偏標準偏差v:D[v] =\((1-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:D[s] =\((\frac{n-1}{n}-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    あまり、この区別が教科書や他のwebサイトでは書いていないため、違いがわかるように解説します。

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる
    s管理図の管理限界を求めるc4と管理限界値の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、標準偏差の関係式を使って、意外と簡単に係数c4が導出できます。

    変数\(B_3\),\(B_4\),\(B_5\),\(B_6\)の導出

    変数\(B_3\),\(B_4\)の導出

    σが既知の場合、変数\(B_3\),\(B_4\)を使います。

    E(s)±kD(s)
    =\(c_4 σ\)±k \(\sqrt{1-c_4^2}σ\)
    =(1±\(\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\))\(c_4\)σ
    (ここで、s=\(c_4\)σ)

    よって
    ●\(B_3\)=\(1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    ●\(B_4\)=\(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)

    なお、\(B_3\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(B_3\)=\(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    ●\(B_4\)=\(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)

    変数\(B_5\),\(B_6\)の導出

    σが未知の場合、変数\(B_5\),\(B_6\)を使いますが、変数\(B_3\),\(B_4\)の導出方法から変わりません。

    E(s)±kD(s)
    =\(c_4 σ\)±k\(\sqrt{1-c_4^2}σ\)
    =\((c_4 \)±k\(\sqrt{1-c_4^2})σ\)
    (ここで、σは未知なので、sとσの関係式はありません。)

    よって
    ●\(B_5\)=\(c_4 \)-k\(\sqrt{1-c_4^2}\)
    ●\(B_6\)=\(c_4 \)+k\(\sqrt{1-c_4^2}\)

    なお、\(B_5\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(B_5\)=\(max(0, c_4 \)-k\(\sqrt{1-c_4^2})\)
    ●\(B_6\)=\(c_4 \)+k\(\sqrt{1-c_4^2}\)

    ④R管理図の場合

    変数\(D_1\),\(D_2\),\(D_3\),\(D_4\)を導出します。

    R


    \(D_1\) = \(max(0,d_2-kd_3)\)
    \(D_2\) = \(d_2+kd_3\)
    \(D_3\) = \(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
    \(D_4\) = \(1+\frac{kd_3}{d_2}\)

    範囲Rは順序統計量の同時分布で考える

    範囲Rは計算しやすいですが、確率密度関数の導出が劇難です。

    1. 範囲R は0以上であること
    2. 変数Xと同じ1次式(標準偏差sは2次式)

    上の2つを満たす確率密度関数の導出が難しくなります。詳細は関連記事をご覧ください。日本で、範囲Rの確率密度関数から\(d_2\),\(d_3\)を端折らず導出できる人はいないかもしれないくらいです。

    範囲Rの確率密度関数イメージを描きます。

    範囲R

    順序統計量の同時分布における、期待値Eと標準偏差Dは、
    ●E(R)=\(d_2\)σ
    ●D(R)=\(d_3\)σ
    とします。

    ただし、
    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)= \(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    ( \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\))
    と超複雑な式です。

    変数\(D_1\),\(D_2\)の導出

    変数\(D_1\),\(D_2\)の導出

    σが既知の場合、変数\(D_1\),\(D_2\)を使います。

    E(R)±kD(R)
    =\(d_2\)σ±k\(d_3\)σ

    よって
    ●\(D_1\)=\(d_2 σ\)-\(k d_3\)σ
    ●\(D_2\)=\(d_2 σ\)+\(k d_3\)σ

    なお、\(D_1\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(D_1\)=\(max(0,d_2-k d_3)\)
    ●\(D_2\)=\(d_2 σ\)+\(k d_3\)

    変数\(D_3\),\(D_4\)の導出

    σが未知の場合、変数\(D_3\),\(D_4\)を使いますが、変数\(D_1\),\(D_2\)の導出方法から変わりません。

    E(R)±kD(R)
    =\(d_2\)σ±k\(d_3\)σ
    =\(d_2\)\((1±\frac{k d_3}{d_2})\)σ

    よって
    ●\(D_3\)=\((1-\frac{k d_3}{d_2})\)
    ●\(D_4\)=\((1+\frac{k d_3}{d_2})\)

    なお、\(D_3\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(D_3\)=\(max(0, 1-\frac{k d_3}{d_2})\)
    ●\(D_4\)=\((1+\frac{k d_3}{d_2})\)

    シューハートの管理図の管理限界線の係数の導出を解説しました。基本はE(a)±kD(a)ですべて導出できることがわかりました。

    まとめ

    シューハートの管理図の管理限界線の係数の導出を解説しました。

    • ①変数の基本は期待値と標準偏差から導出
    • ②\(\bar{X}\)管理図の場合
    • ③s管理図の場合
    • ④R管理図の場合
  • 【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する

    【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する

    本記事のテーマ

    シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する
    • ①シューハート管理図の管理線公式
    • ②シューハート管理図の係数表

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    全パターンを表にまとめました。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご覧ください。

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ①シューハート管理図の管理線公式

    管理図の種類、仮定する確率分布、中心、管理限界を一覧にまとめます。

    管理図 CL UCL/LCL





    X-Rs管理図 X:\(\bar{X}\)
    Rs:\(\bar{R}_s\)
    \(\bar{X}\)±2.659\(\bar{R}_s\)
    UCL=3.267\(\bar{R}_s\)
    LCL:×
    \(\bar{X}\)-R管理図 \(\bar{X}\):\(\bar{\bar{X}}\)
    R:\(\bar{R}\)
    \(\bar{\bar{X}}\)±\(A_2 \bar{R}\)
    UCL=\(D_4 \bar{R}\),
    LCL=\(D_3 \bar{R}\)
    Me-R管理図 Me:\(\bar{Me}\)
    R:\(\bar{R}\)
    \(\bar{Me}±A_4 \bar{R}\)
    UCL=\(D_4 \bar{R}\),
    LCL=\(D_3 \bar{R}\)
    \(\bar{X}\)-s管理図 \(\bar{X}\):\(\bar{\bar{X}}\)
    s:\(\bar{s}\)
    \(\bar{\bar{X}}\)±\(A_3 \bar{s}\)
    UCL=\(B_4 \bar{s}\),
    LCL=\(B_3 \bar{s}\)





    np管理図 n\(\bar{p}\)=\(\frac{\sum(np)_i}{k}\) n\(\bar{p}\)±3\(\sqrt{n\bar{p}(1-\bar{p}})\)
    p管理図 \(\bar{p}\)=\(\frac{\sum(np)_i}{\sum n_i}\) \(\bar{p}\)±3\(\sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n_i}}\)



    c管理図 \(\bar{c}\)=\(\frac{\sum c_i}{k}\) \(\bar{c}\)±3\(\sqrt{\bar{c}}\)
    u管理図 \(\bar{u}\)=\(\frac{\sum c_i}{\sum n_i}\) \(\bar{u}\)±3\(\sqrt{\frac{\bar{u}}{n_i}}\)

    苦手な管理図、見たことが無い管理図が無いように注意しましょう。

    ②シューハート管理図の係数表

    まずは、表から値を使いこなす練習をしましょう。
    慣れたら値の導出方法を調べたり、考えたりしてください。

    管理限界の係数 中心線の係数
    \(\bar{X}\)管理図 s管理図 R管理図 s R
    n A \(A_2\) \(A_3\) \(B_3\) \(B_4\) \(B_5\) \(B_6\) \(D_1\) \(D_2\) \(D_3\) \(D_4\) \(c_4\) \(d_2\)
    2 2.121 1.88 2.659 3.267 2.606 3.686 3.267 0.7979 1.128
    3 1.732 1.023 1.954 2.568 2.276 4.358 2.575 0.8862 1.693
    4 1.5 0.729 1.628 2.266 2.088 4.698 2.282 0.9213 2.059
    5 1.342 0.577 1.427 2.089 1.964 4.918 2.114 0.94 2.326
    6 1.225 0.483 1.287 0.03 1.97 0.029 1.874 5.079 2.004 0.9515 2.534
    7 1.134 0.419 1.182 0.118 1.882 0.113 1.806 0.205 5.204 0.076 1.924 0.9594 2.704
    8 1.061 0.373 1.099 0.185 1.815 0.179 1.751 0.388 5.307 0.136 1.864 0.965 2.847

    JISZ9020-2(2016)から抜粋

    管理図を使った解き方は教科書や他のブログ、webサイトに解説があるので、割愛します。

    本記事では、試験前に1枚で全部わかる一覧表を解説しました。

    まとめ

    シューハートの管理図の公式、係数をまとめた表を解説しました。

    • ①シューハート管理図の管理線公式
    • ②シューハート管理図の係数表
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