カテゴリー: 手法

  • 一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    「一様分布、二項分布に属するものを複数同時に起こすと何で正規分布に従う結果になるのかがわからない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    おさえておきたいポイント

    • ①複数個あるサイコロの出る目の確率を求める
    • ➁一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる
    • ➂畳み込み積分で一様分布からの変化を確認
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    一様分布に従うサイコロの目があり、そのサイコロを複数個同時投げてできる出る目の分布は正規分布に近づきます!でも何で?
    一様分布、二項分布から異なる正規分布に近づく様子を実際に見てみましょう。
    百聞は一見に如かずです!

    では、参りましょう!

    ①複数個あるサイコロの出る目の確率を求める

    問題

    【問題】
    どの目も等確率\(\frac{1}{6}\)が出るサイコロを1回、2回、・・・、6回と振る。それぞれの出る目における確率分布関数をグラフにプロットし、サイコロの回数が増えるごとに一様分布から正規分布に変化する様子を確認せよ。

    不思議な問題文で、サイコロ1回振った結果は一様分布なのに、その回数を増やすと正規分布と異なる分布に変化していきます。

    手計算で解いてみると

    1回の場合

    確率を計算すると

    確率
    1 \(\frac{1}{6}\)
    2 \(\frac{1}{6}\)
    3 \(\frac{1}{6}\)
    4 \(\frac{1}{6}\)
    5 \(\frac{1}{6}\)
    6 \(\frac{1}{6}\)

    となり、グラフも確かに一様分布ですね。当たり前ですよね、すべて等確率なので。

    一様分布

    2回の場合

    確率を計算すると

    確率
    2 \(\frac{1}{36}\)
    3 \(\frac{2}{36}\)
    4 \(\frac{3}{36}\)
    5 \(\frac{4}{36}\)
    6 \(\frac{5}{36}\)
    7 \(\frac{6}{36}\)
    8 \(\frac{5}{36}\)
    9 \(\frac{4}{36}\)
    10 \(\frac{3}{36}\)
    11 \(\frac{2}{36}\)
    12 \(\frac{1}{36}\)

    となり、グラフは分布するようになってきましたが、まだ正規分布っぽくはないですね。

    一様分布

    3回以上の場合

    さすがに手計算では大変なので、プログラムを使って計算してきましょう。
    VBAプログラムを紹介して、これを使って計算してみます。

    VBAプログラムイメージ

    VBAプログラムの一例です。これを使ってサイコロ1回から6回までを計算します。7回以上はExcelで計算すると時間がかかるため、6回までとします。

    ➁一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    実際に計算した結果をグラフにまとめると

    正規分布

    グラフからわかるのは、

    1. 回数を増やすと、一様分布から正規分布に変化している
    2. 3回振ると、結果は正規分布と言える
    3. 正規分布の中心は出る目の平均

    となりますね。不思議ですね。

    ➂畳み込み積分で一様分布からの変化を確認

    なぜ、一様分布を重ねると徐々に正規分布へと異なる分布に変わるのか?はある程度数式で読み取れます。が、場合分けがたくさんあるので、手計算ではちょっと大変です。その1例を挙げます。

    1回から2回への変化

    関連記事のように、畳み込み積分を使って計算します。

    畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし)
    畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、さらに一様分布を使った畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。

    畳み込み積分で分布が変わるところを理解する

    例題を挙げると、

    一様分布
    \(f(x) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ x ≤ 6) それ以外0
    \(g(y) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ y ≤ 6) それ以外0
    において、x+y=zにおける確率分布関数h(z)を作れ。

    関連記事でおさえたいポイントは

    積分区間を確認すると、場合分けが乗じる
    場合分けは関連記事から見ると
    ●①は(x,y)=(6,6)より上(つまり12 ≤ z)で、積分領域外なので、h(z)=0
    ●➁は(x,y)=(0,6)以上①以下(つまり6 ≤ z ≤12)なので、図のように、x=z-6~6区間で積分
    ●➂は(x,y)=(0,0)以上①以下(つまり0 ≤ z ≤6)なので、図のように、x=0~z区間で積分
    ●➃は(x,y)=(0,0)以下(つまりz ≤ 0)で、積分領域外なので、h(z)=0

    この結果、一様分布から折れ線のような分布に変化します。

    一様分布
    一様分布

    これを繰り返すと、一様分布から正規分布に近づく説明を数式で表現すればOKです。でも、場合分けが大変すぎるので、やり方だけ理解しておきましょう。

    以上、
    一様分布などを重ねると正規分布に近づく不思議な現象を
    をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①ポアソン分布の式を理解する
    • ➁ポアソンの期待値と分散の導出

  • 【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    「ポアソン分布の期待値と分散が解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①ポアソン分布の式を理解する
    • ➁ポアソンの期待値と分散の導出
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    正規分布、二項分布、ポアソン分布の中で、一番理解しにくいのがポアソン分布です。
    でも式が複雑で
    期待値、分散の導出は難しい!
    何度も見て、解けるようになりましょう!

    一緒に解きながら慣れていきましょう!

    ①ポアソン分布の式を理解する

    ポアソン分布の基本

    ポアソン分布の式の導出、二項分布との関係は関連記事にあります。まず、ここを確認してください。

    【簡単】わかりやすく理解できるポアソン分布
    ポアソン分布の式がわからない・覚えられない、どんな場合に活用するかわからない、と苦手意識はありませんか?本記事では、ポアソン分布の関数の導出、正規分布近似、活用方法をわかりやすく解説します。ポアソン分布が全く理解できない方は必見です。

    ポアソン分布の式に慣れよう!

    \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\)という変な式を実際に変形するなどして、触ってみましょう。習うより慣れよ!です。1つ例題を出します。

    【問1】
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)=1 を示せ。

    解法

    どうでしょうか?一見難しそうですが、 式を難しくしている\(\sum_{x=0}^{∞} \frac{λ^x}{x!}\)が意外な値になります。テイラー展開を思い出すと

    \(e^x\)=1+\(x\)+\(\frac{x^2}{2!}\)+ \(\frac{x^3}{3!}\)+…
    をまとめると、
    \(e^x\)=\(\sum_{x=0}^{∞} \frac{λ^x}{x!}\)

    この式を問題文の式に代入すると
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)
    =\( e^{-λ} \sum_{x=0}^{∞} \frac{λ^x}{x!}\)
    =\( e^{-λ} e^λ \)
    =1

    となりますね。扱いにくい\(\frac{λ^x}{x!}\)が少し身近に感じていただける例題で確認しました。

    ポアソン分布の式は複雑で、変形して使う場合が少ないので理解が難しい式となってしまいますね。

    ➁ポアソンの期待値と分散の導出

    問題

    【問2】
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    (1) 期待値E[X]
    (2) 分散V[X]を求めよ。

    ポアソン分布の期待値E、分散Vも共にλになります。式が複雑なわりに期待値と分散は分布関数の中で最もシンプルになるので、不思議です。

    期待値

    (1)を解きます。

    期待値E[X]≡xf(x)という意識で式を作ります。
    E[X]= \(\sum_{k=0}^{∞}\)\(k\) ×\(\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    と式を書いて、変形していきます。

    E[X]= \(\sum_{k=0}^{∞} k\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    (k=0の場合、\( 0 \frac{λ^0}{0!} e^{-λ}\)=0より、)
    = \(\sum_{k=1}^{∞} k\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    = \( λe^{-λ} \sum_{k=1}^{∞} \frac{λ^{k-1}}{(k-1)!} \)
    (\(\frac{λ^{k-1}}{(k-1)!} e^{-λ}\)をセットで考えると)
    = \( λe^{-λ} e^{-λ}\)

    となります。さっきの例題を活用すれば簡単に計算できますね。

    【問1】(さっきの例題)
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)=1 を示せ。

    分散

    (2)を解きます。ここで、テクニックですが、
    E[X2]ではなく、E[X(X-1)]を求めます。

    期待値E[X(X-1)]≡x(x-1)f(x)という意識で式を作ります。
    E[X(X-1)]= \(\sum_{k=0}^{∞}\)\(k(k-1)\) ×\(\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    と式を書いて、変形していきます。

    E[X(X-1)]= \(\sum_{k=0}^{∞} k(k-1) \frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    (k=0,1の場合、\( k(k-1) \frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)=0より)
    = \(\sum_{k=2}^{∞} k(k-1) \frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    =\( e^{-λ} λ^2 \sum_{k=2}^{∞} \frac{λ^{k-2}}{(k-2)!} \)
    =\( e^{-λ} λ^2 e^λ \)
    (\(\frac{λ^{k-2}}{(k-2)!} e^{-λ}\)をセットで考えると)
    =\(λ^2\)

    ここで、
    V[X]=E[X(X-1)]+E[X]-E[X]2
    =\(λ^2\)+\(λ\)-\(λ^2\)
    =\(λ\)
    となります。さっきの例題を活用すれば簡単に計算できますね。

    【問1】(さっきの例題)
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)=1 を示せ。

    少しずつでいいので、ポアソン分布に慣れましょう。

    ポアソン分布は、二項定理、指数分布から変形して解けるので、他の分布関数と関連づけながら身につけましょう。すべてQCプラネッツの記事で解説しています!
    以上、
    ①ポアソン分布の式に慣れる
    ➁ポアソン分布の構造体を活用して期待値、分散を計算する
    をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①ポアソン分布の式を理解する
    • ➁ポアソンの期待値と分散の導出

  • 【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    「二項分布の期待値と分散が解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①二項分布の式がマスターできる!
    • ➁二項分布の期待値・分散の導出(その1)
    • ➂二項分布の期待値・分散の導出(その2)
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    二項分布、二項定理は
    抜取検査の主役でもあるので、
    しっかりマスターしたい!
    でも式が複雑で
    期待値、分散の導出は難しい!
    何度も見て、解けるようになりましょう!

    二項分布に慣れる良問を持ってきましたので、一緒に解きながら慣れていきましょう!

    ①二項分布の式がマスターできる!

    二項定理を理解する

    まず、 \((p+q)^n\)を展開すると、
    \((p+q)^n\)=\(p^n\)+…+\(q^n\)となりますね。

    これをまとめると

    \((p+q)^n\)=\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    となります。これが二項定理ですね。
    特に、\(p+q=1\)の場合、
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=1
    となるし、\(p+q=2\)の場合、
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=\(2^n\)
    となりますね。これも高校数学でよく出題されたはずです。

    今回は、

    特に、\(p+q=1\)の場合、つまり、\(q=1^p\)の場合
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=1
    を使うのが二項分布です!

    二項分布の式の構造を理解する

    \(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    の形が複雑すぎる!

    大丈夫です。構造体として式を理解すればOK。式の構造をいじらずに式変形するのが二項分布の式を扱うポイントです。

    二項定理

    固定と有るところは変えず、それ以外の値を計算する

    二項分布の式の基本形を維持して式変形する

    例を挙げます。

    【例題】
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=1
    とする場合、
    ●\(\sum_{r=0}^{n} r {}_{n-1} C_{r-1} p^r q^{n-r}\)
    はいくらか?

    解いてみましょう。基本を変えないので、
    \(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    の式に持って行きます。

    ところで、
    \( {}_n C_r\)=\(\frac{n!}{r!(n-r)!}\)です。この式も重要です!
    なので、
    ●\({}_{n-1} C_{r-1}\)=\(\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\)と機械的に公式代入すると、
    \(\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\)= \(\frac{r}{n}\)× \(\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
    = \(\frac{r}{n}\)× \( {}_n C_r\)
    となるので、

    問いの式は
    ●\(\sum_{r=0}^{n} r {}_{n-1} C_{r-1} p^r q^{n-r}\)
    =\(\sum_{r=0}^{n} r \frac{1}{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    =\(\frac{1}{n} \)×\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    =\(\frac{1}{n} \)×1
    =\(\frac{1}{n} \)
    と計算できます。

    二項分布の式の基本形を維持して式変形することが大事です。

    では、この式変形を活用して、二項分布の期待値npと分散np(1-p)を2通りの解法で解いてみましょう。

    ➁二項分布の期待値・分散の導出(その1)

    問題

    【問1】
    確率変数Xが二項分布に従い、P(X=\(i\))=\( {}_n C_r p^r q^{n-r}\) (ただし、\(p+q=1\))に従うとき、期待値E(X)=\(np\)、分散V(X)=\(np(1-p)\)を以下のやり方で導出したい。
    (1) \(i {}_n C_i \)=\(n {}_{n-1} C_{i-1} \) (\(i\) ≥1)を示し、E(X)=\(np\)を導出せよ。
    (2) \(i (i-1) {}_n C_i \)=\(n(n-1) {}_{n-2} C_{i-2} \) (\(i\) ≥2)を示し、V(X)=\(npq\)を導出せよ。

    期待値

    (1)を解きます。

    ●\(i {}_n C_i \)=\(i \frac{n!}{i!(n-i)!}\)= \(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!}\)
    = \(n \frac{(n-1)!}{(i-1)!(n-i)!}\)= \(n {}_{n-1} C_{i-1} \)
    となります。

    ●期待値E(X)は
    E(X)= \(\sum_{i=1}^{n} \) \(i\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    (E(X)なので、\(i\)を掛け算する必要がありますね。)

    =\(\sum_{i=1}^{n} \) \(i\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    =\(\sum_{i=1}^{n} n {}_{n-1} C_{i-1} p^i q^{n-i}\)
    =\(np\)\(\sum_{i=1}^{n} {}_{n-1} C_{i-1} p^{n-1} q^{(n-1)-(i-1)}\)

    二項定理から
    \(\sum_{i=1}^{n} {}_{n-1} C_{i-1} p^{n-1} q^{(n-1)-(i-1)}\)=1
    なので、
    =\(np\)

    よって、
    E(X)= \(np\)
    となります。

    二項定理の式変形、少し慣れたでしょうか?

    分散

    (2)を解きます。

    ●\(i(i-1) {}_n C_i \)=\(i(i-1) \frac{n!}{i!(n-i)!}\)= \(n(n-1)\frac{(n-2)!}{(i-2)!(n-i)!}\)
    = \(n(n-1) {}_{n-2} C_{i-2} \)
    となります。

    まず、曲者であるE(X2)を計算します。
    E(X2)= \(\sum_{i=0}^{n} \) \(i^2\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    (E(X2)なので、\(i^2\)を掛け算する必要がありますね。)

    =\(\sum_{i=0}^{n} \) \(i^2\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    で、ここであえて、\(i^2=i(i-1)+i\)と分解します。ここはテクニックです。

    =\(\sum_{i=1}^{n} i(i-1) {}_n C_i p^i q^{n-i}\)+\(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    =\(n(n-1)p^2 \sum_{i=2}^{n} {}_{n-2} C_{i-2} p^{i-2} q^{n-i}\)+\(np \sum_{i=1}^{n} {}_{n-1} C_{i-1} p^{i-1} q^{n-i}\)
    と二項定理の式の構造体を作る事ができます。

    よって、
    E(X2)=\(n(n-1)p^2+np\)
    となります。

    よって、分散V(X)は
    V(X)= E(X2)-E(X) =\(n(n-1)p^2+np-(np)^2\)
    =\(np(1-p)\)

    ➂二項分布の期待値・分散の導出(その2)

    問題

    【問2】
    確率変数Xが二項分布に従い、P(X=\(i\))=\( {}_n C_r p^r q^{n-r}\) (ただし、\(p+q=1\))に従うとき、期待値E(X)=\(np\)、分散V(X)=\(np(1-p)\)を以下のやり方で導出したい。
    \(f(x)=(px+q)^n\)を使って、\(f^{‘}(x)\),\(f^{‘‘}(x)\)を導出して、E(X),V(X)を導出せよ。

    期待値

    (1)を解きます。

    \(f(x)\)= \(\sum_{i=0}^{n} {}_n C_i (px)^i q^{n-i}\)として微分すると、
    \(f^{‘}(x)\)=\(np(px+q)^{n-1}\)=\(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i x^{i-1} q^{n-i}\)
    となるので、
    \(f^{‘}(1)\)= \(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i 1^{i-1} q^{n-i}\)
    =\(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    がまさに、 E(X)であり、
    \(f^{‘}(1)\)=\(np(p×1+q)^{n-1}\)=\(np(p+q)\)=\(np\) (\(p+q=1\)となります。
    あっさり解けましたね。

    分散

    (2)を解きます。

    さらに微分して、
    \(f^{‘‘}(x) \)=\(n(n-1)p^2 (px+q)^{n-2}\)= \(\sum_{i=0}^{n} i(i-1) {}_n C_i p^i x^{i-2} q^{n-i}\)
    \(f^{‘‘}(1) \)=\(n(n-1)p^2\)=\(\sum_{i=0}^{n} i(i-1) {}_n C_i p^i q^{n-i}\)は前問の計算経過からもよく見ると、

    \(f^{‘‘}(1) \)+\(np\)=E(X2)となるので、
    V(X)= E(X2)-E(X) =\(n(n-1)p^2+np-(np)^2\)
    =\(np(1-p)\)

    となります。2通りの解法で解けるので面白いですね!

    以上、
    ①二項定理の式に慣れる
    ➁二項定理の式の構造体を活用して期待値、分散を計算する
    をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①二項分布の式がマスターできる!
    • ➁二項分布の期待値・分散の導出(その1)
    • ➂二項分布の期待値・分散の導出(その2)

  • 【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    「確率変数の期待値と分散がいまいち解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①確率分布関数と確率の違いを理解する
    • ➁確率変数の期待値と分散が解ける演習問題
    • ➂確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1
    • ➃確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2
    • ➄確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3
    • ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    確率分布関数と確率の違いは説明できますか?
    確率計算には数列、積分が有効です。是非、慣れましょう!
    高校数学で解ける演習問題で慣れましょう!

    ①確率分布関数と確率の違いを理解する

    確率分布関数とは

    確率分布関数
    累積分布関数
    確率密度関数
    とかいろいろありますが、
    違いがわかりますか?

    実は、そんなに違いを意識する必要なく、

    ある点の確率をプロットしたのが確率分布関数で
    求めたい区間の確率を数列の和・積分で計算するのが確率

    確率分布関数

    という感覚でOKです。

    確率分布関数
    累積分布関数
    確率密度関数
    とかいろいろありますが、
    違いを理解するよりは
    確率は数列と積分を使いまくる!
    の意識の方が大事です!

    確率分布関数の和・積分が確率

    確率を求める際、

    離散系の場合、数列を使うので
    ●確率Pr=ΣP
    ●期待値E[X]=ΣxPr, E[X2]=ΣxPr
    ●分散V=E[X2]-E[X] 2
    を活用します。

    数列のΣが出て来ます。

    連続系の場合、積分を使うので
    ●確率Pr=∫f(x)dx
    ●期待値E[X]=∫x f(x)dx, E[X2]= ∫x2 f(x)dx
    ●分散V=E[X2]-E[X] 2
    を活用します。

    積分の∫が出て来ます。

    なので、数列・積分・確率の練習をしましょう。

    ➁確率変数の期待値と分散が解ける演習問題

    4問用意しました。

    演習問題1

    【問1】
    1から10まで1枚ずつ記入した10枚のカードがある。この10枚の中から1枚任意に取り出し、k=1,2,3,4,5に対し、取り出したカードの数が2kなら、kをその値に、2k-1なら2k-1をその値にもつ確率変数Xを考える。このとき、E(X),V(X)を求めよ

    演習問題2

    【問2】
    2個のサイコロを同時に1回振るとき、
    (1) 2つの目の和の期待値と分散を求めよ。
    (2) 2つの目の積の期待値と分散を求めよ。

    演習問題3

    【問3】
    確率密度関数\(f(x)=\frac{1}{36}(-x^2+9)\) (-3 ≤ \(x\) ≤ 3)で定義される確率分布がある。
    (1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)を求めよ。
    (2) この確率分布の期待値と分散値を計算せよ。

    演習問題4

    【問4】
    正n面体(nは自然数)でできたサイコロがある。どの面も出る確率は同一で1/nとする。
    (1) 面i(1≤i≤n)が出る確率を離散型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。
    (2) 面i(1≤i≤n)が出る確率を連続型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。

    どうでしょうか? すべて高校数学で解ける問題で、大学入試で出題されても良い良問ばかりです。この4問を使って、確率を数列と積分で解く習慣をつけましょう。

    ➂確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1

    問題

    【問1】
    1から10まで1枚ずつ記入した10枚のカードがある。この10枚の中から1枚任意に取り出し、k=1,2,3,4,5に対し、取り出したカードの数が2kなら、kをその値に、2k-1なら2k-1をその値にもつ確率変数Xを考える。このとき、E(X),V(X)を求めよ

    回答

    【解】大学入試で出題された問題です。実際に書き出して、期待値と分散を計算します。

    確率変数

    上表をもとに、数列を使って期待値、分散を計算します。

    ●期待値E(X)は
    E(X)=1・\(\frac{2}{10}\)+2・\(\frac{1}{10}\)+3・\(\frac{2}{10}\)+4・\(\frac{1}{10}\)+5・\(\frac{2}{10}\)+7・\(\frac{1}{10}\)+9・\(\frac{1}{10}\)=4

    ●分散V(X)は
    V(X)=\((1-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((2-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((3-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((4-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((5-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((7-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((9-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)=6

    数列を使った1問でした。

    ➃確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2

    問題

    【問2】
    2個のサイコロを同時に1回振るとき、
    (1) 2つの目の和の期待値と分散を求めよ。
    (2) 2つの目の積の期待値と分散を求めよ。

    回答

    サイコロの問題は超有名なので、是非解きましょう。

    1つ目のサイコロの目と2つ目のサイコロの目の出方はそれぞれ独立とします。
    ●E(X)=\(\frac{1}{6}\)(1+2+3+4+5+6)=\(\frac{7}{2}\)
    ●E(X2)=\(\frac{1}{6}(1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2)\)=\(\frac{91}{6}\)
    ●E(X)E(Y)=E(X)E(Y)= \(\frac{49}{4}\)
    を使って問を解きます

    期待値E(X2)の計算も慣れましょう。

    (1)
    ● E(X+Y)=E(X)+E(Y)= \(\frac{7}{2}\)+\(\frac{7}{2}\)=7
    ●E((X+Y)2)=E(X2)+2E(X)E(Y)+E(Y2)
    = \(\frac{91}{6}\)+2・\(\frac{7}{2}\)・\(\frac{7}{2}\)+ \(\frac{91}{6}\)= \(\frac{329}{6}\)
    ●V(X+Y)= E((X+Y) 2)- E(X+Y) 2
    =\(\frac{329}{6}\)-49=\(\frac{35}{6}\)

    (2)
    ● E(XY)=E(X)E(Y)= \(\frac{7}{2}\)・\(\frac{7}{2}\)=\(\frac{49}{4}\)
    ●E((XY)2)=E(X2)・E(Y2)= \(\frac{91}{6}\)・\(\frac{91}{6}\)= \(\frac{8281}{36}\)
    ●V(XY)= E((XY)2)- E(XY) 2=\(\frac{8281}{36}\)-\(\frac{2401}{16}\)=\(\frac{11515}{144}\)

    機械的に計算しながら、公式や数列の計算に慣れていきましょう。

    ➄確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3

    問題

    【問3】
    確率密度関数\(f(x)=\frac{1}{36}(-x^2+9)\) (-3 ≤ \(x\) ≤ 3)で定義される確率分布がある。
    (1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)を求めよ。
    (2) この確率分布の期待値と分散値を計算せよ。

    回答

    【問3】、【問4】は積分の演習問題です。

    高校数学ですね。簡単な式で期待値、分散の積分計算に慣れていきましょう。

    (1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}(-x^2+9)dx \)
    =\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{3}x^3+9x \right]_{-3}^{3}\)=1
    全区間の積分、つまり、全確率は合計1です。そりゃ、そうですよね!

    (2)
    ●E[X]= \( \displaystyle \int_{-3}^{3} xf(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}x(-x^2+9)dx \)
    =\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{4}x^4+\frac{9}{2}x^2 \right]_{-3}^{3}\)=0
    となります。確かにy軸に対象な関数なので、平均は0ですね!確かに!

    ●E[X2]= \( \displaystyle \int_{-3}^{3} x^2f(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}x^2(-x^2+9)dx \)
    =\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{5}x^5+3x^3 \right]_{-3}^{3}\)=\(\frac{9}{5}\)
    より、
    ●V[X]= E[X2]―E[X] 2=\(\frac{9}{5}\)

    積分慣れていきましょう。
    ●E[X]= \( \displaystyle \int_{a}^{b} xf(x)dx \)
    ●E[X2]= \( \displaystyle \int_{a}^{b} x^2 f(x)dx \)
    を定義どおり、積分すれば確率・期待値・分散は計算できます。

    ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4

    問題

    【問4】
    正n面体(nは自然数)でできたサイコロがある。どの面も出る確率は同一で1/nとする。
    (1) 面i(1≤i≤n)が出る確率を離散型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。
    (2) 面i(1≤i≤n)が出る確率を連続型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。

    回答

    (1)は離散系なので数列∑、(2)は連続系なので積分を使います。同じ問題ですが、連続系と離散系で計算結果が若干変わる点が面白いので、解いてみましょう!

    (1)
    ●期待値E=\(\sum_{i=1}^{n} i \frac{1}{n}\)=\(\frac{1}{n} \frac{1}{2}n(n+1)\)=\(\frac{1}{2}(n+1)\)
    ●分散V=\(\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{n}(i-\frac{n+1}{2})^2 \)=\(\frac{1}{12}(n+1)(n-1)\)

    (2)
    ●期待値E=\( \displaystyle \int_{0}^{n} xf(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{0}^{n} x \frac{1}{n})dx \)=\(\frac{n}{2}\)
    ●分散V=E(X2)-E(X) 2=\( \displaystyle \int_{0}^{n} x^2 f(x)dx \)-\((\frac{n}{2})^2\)=\(\frac{n^2}{12}\)

    表にすると、離散系と連続系で結果が若干かわります。

    離散系 連続系
    期待値E \(\frac{1}{2}(n+1)\) \(\frac{1}{2}n\)
    分散V \(\frac{1}{12}(n+1)(n-1)\) \(\frac{n^2}{12}\)

    以上、数列・積分を使って、確率・期待値・分散が計算できることを確認しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①確率分布関数と確率の違いを理解する
    • ➁確率変数の期待値と分散が解ける演習問題
    • ➂確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1
    • ➃確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2
    • ➄確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3
    • ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4

  • 【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)

    「正規分布がいまいちよくわからない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①正規分布の概形を描いてみよう!(高3レベル)
    • ➁正規分布に近いグラフを描いてみよう!(高3レベル)
    • ➂正規分布の積分の近似値を解いてみよう!(高2レベル)
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    正規分布は絶対勉強しないといけないけど、
    式が難しいし、
    正規分布表が何であるのかわからない
    など、最初悩みますよね!
    正規分布に慣れるには、
    高校数学の微分積分を使って
    実際にグラフを描いて、面積を求めてみましょう!
    \(e^{-\frac{x^2}{2}}\)の式に
    圧倒される必要はありません。
    自分の解けるテリトリーに持って行きましょう。

    正規分布に慣れる良問を持ってきましたので、一緒に解きながら慣れていきましょう!

    ①正規分布の概形を描いてみよう!(高3レベル)

    例題

    正規分布の分布関数\(f(x)\)=\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)のグラフを描く。
    (1) 極値と変曲点の座標を求めよ。
    (2) \(y=f(x)\)を描け

     理系の高校数学の定期試験問題レベルです。ここは、しっかり解けるようにしましょう。

    問(1)の回答

    微分します。
    ●\(f’(x)\)=\(-x e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\(f’’(x)\)=\((-1+x^2 e^{-\frac{x^2}{2}}\)

    ここで、極値と変曲点を考えます。
    ●\(f’(x)\)=0のときは、\(x\)=0 で、
    ●\(f’’(x)\)=0のときは、\(x\)=±1 なので、
    増減表ができますね。

    正規分布

    増減表をもとに、概形を描くと下図になります。

    正規分布

    高校数学では、あまり\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)の式が出ませんが、特に気にせず、普通に微分積分すれば解けます!

    ➁正規分布に近いグラフを描いてみよう!(高3レベル)

    正規分布の式になぜ正規分布表があるのか?

    統計学やQCを勉強すると、必ず、正規分布表の読み方などを勉強しますが、
    何で、あんな表があるかわかりますか? この疑問を持つことの方が表の読み方の勉強より大事です!

    正規分布の式
    \(e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    は積分できない(不定積分が作れない)
    正規分布の式
    \(e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    の積分値は近似値で与えているのが現状
    でも、正規分布の式の定積分
    \( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)は計算できる!

    不定積分が計算できないのに、なぜか定積分は計算できる
    変な式です。だから、理解が難しい!

    だったら、簡単な近似式を作ってしまおう!

    次の例題に行きましょう。

    例題

    正規分布の分布関数\(f(x)\)=\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)をテイラー展開して4次の整式からなる近似式を作って、積分を考えたい。
    (1) \(f(x)\)=\(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8}\)と近似できることを示せ。
    (2) 正規分布から\( \displaystyle \int_{0}^{1} \frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)を求め、
    手計算から\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)の結果と比較せよ。

    問(1)の回答

    テイラー展開は教科書どおりで、\(x=0\)のまわりで、テイラー展開すると
    \(f(x)\)=\(f(0)\)+\(\frac{f^{(1)}(0)}{1!} x^1\)+\(\frac{f^{(2)}(0)}{2!} x^2\)+\(\frac{f^{(3)}(0)}{3!} x^3\)+\(\frac{f^{(4)}(0)}{4!} x^4\)+…

    どんどん微分しましょう。この微分は良い練習です。是非計算しましょう!
    ●\( f^{(1)}(x)\)=\(-x e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\( f^{(2)}(x)\)=\((-1+x^2) e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\( f^{(3)}(x)\)=\((-x^3+3x) e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\( f^{(4)}(x)\)=\((x^4-6x^2+3) e^{-\frac{x^2}{2}}\)

    より、\(x=0\)を代入して、\(f(x)\)の近似式を計算すると、
    ●\( f^{(1)}(0)\)=0
    ●\( f^{(2)}(0)\)=-1
    ●\( f^{(3)}(0)\)=0
    ●\( f^{(4)}(0)\)=3
    となるので、

    \(f(x)\)=1-\(\frac{1}{2} x^2\)+\(\frac{1}{8} x^4\)

    近似式の概形と正規分布の概形を描いてみる

    近似式は4次関数で高2レベルですね。Excelでグラフを描いてみましょう。

    正規分布

    確かに、\(x=0\)付近は2つのグラフは重なっていますね。近似値からでも正規分布の定積分は精度よく求められそうですね。

    ➂正規分布の積分の近似値を解いてみよう!(高2レベル)

    問(2)を再掲

    正規分布の分布関数\(f(x)\)=\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)をテイラー展開して4次の整式からなる近似式を作って、積分を考えたい。
    (2) 正規分布から\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)を求め、
    手計算から\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)の結果と比較せよ。

    では、2つの関数の積分を解いてみましょう。

    正規分布表から確認

    正規分布表から値を読みます。正規分布表の読み方は大丈夫でしょうか?一応解説します。

    Kp *=0 *=1 ・・・  *=9
    0.0* 0.5 0.496 ・・・ ・・・
    ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
    1.0* 0.1587 0.1562 ・・・  ・・・
    1.1* 0.1357 ・・・  ・・・  ・・・
    ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

    上表のマーカ部でKp=1.00の値「0.1587」を見ますが、
    これは、\( \displaystyle \int_{1}^{∞}\frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)の値なので、
    0.5-0.1587=0.3413が、求めたい積分値\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)です。

    何を言っているかわからない場合は、正規分布の基礎を復習しましょう。関連記事を紹介します。

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    近似式の定積分

    \( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)を計算します。高2レベルです。

    \( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)
    =\(\frac{1}{\sqrt{2π}} \frac{103}{120}\)=0.3425
    となります。この計算もやってみてください。

    積分値の比較

    ●正規分布の場合は、0.3413
    ●近似式の場合は、0.3425
    とほぼ一致していますね。差は0.4%!

    グラフ見れば、x=0~1の区間は2つのグラフのyの値はほぼ一致していますね。

    正規分布

    以上、
    ①微分を計算してわかる正規分布の概形
    ➁正規分布の概形近似式の作り方
    ➂定積分の値の比較
    を解説しました! 正規分布にだいぶ慣れたはずです!

    まとめ

    「【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①正規分布の概形を描いてみよう!(高3レベル)
    • ➁正規分布に近いグラフを描いてみよう!(高3レベル)
    • ➂正規分布の積分の近似値を解いてみよう!(高2レベル)

  • 2段サンプリングの費用関数で最適配分の式が導出できる

    2段サンプリングの費用関数で最適配分の式が導出できる

    「2段サンプリングの費用関数で最適配分の式の求め方がわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    2段サンプリングの費用関数で最適配分の式が導出できる
    • ①2段サンプリングの費用関数
    • ➁最適配分の式を導出

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    【2段サンプリングの費用関数】
    \(C=c_0+c_1m+c_2m\bar{n}\)
    としたとき、
    【最適配分の式】
    \(\bar{n}^2\)=\(\frac{c_1}{c_2} \frac{σ_w^2}{σ_b^2}\)
    を使って計算しますが、
    どうやって
    \(\bar{n}^2\)=\(\frac{c_1}{c_2} \frac{σ_w^2}{σ_b^2}\)
    が出て来るの?
    を解説します!

    ①2段サンプリングの費用関数

    費用関数をよく次のように定義します。

    【2段サンプリングの費用関数】
    \(C=c_0+c_1m+c_2m\bar{n}\)
    ●\(c_0\):初期コスト
    ●\(c_1\):1次サンプルの費用
    ●\(m\):1次サンプルの大きさ
    ●\(c_2\):2次サンプルの費用
    ●\(\bar{n}\):2次サンプルの大きさ
    と定義します。

    確かに、1次サンプルしてから、2次サンプルしますから、費用は加算されていくイメージですね。

    ➁最適配分の式を導出

    最適配分

    最適配分の式は、

    【最適配分の式】
    \(\bar{n}^2\)=\(\frac{c_1}{c_2} \frac{σ_w^2}{σ_b^2}\)

    最適配分の式を導出

    上の式をよく使いますが、導出します。

    導出過程は、

    1. 費用関数の式を変形する
    2. 2段サンプリングの標本平均の分散\(σ_{\bar{\bar{x}}}^2\)を定義する
    3. 標本平均の分散を\(\bar{n}\)の変数として偏微分=0の条件を作る

    で解いていきます。

    (i)費用関数の式を変形する

    費用関数
    \(C=c_0+c_1m+c_2m\bar{n}\)
    を\(m\)の式に直します。

    \(m\)=\(\frac{C-c_0}{c_1+c_2 \bar{n}}\)=(式1)

    (ii)標本平均の分散

    2段サンプリングの標本平均の分散を有限集団近似せずに次の式のようにおきます。計算がシンプルになるためです。

    \(σ_{\bar{\bar{x}}}^2\)=\(\frac{σ_b^2}{m}\)+\(\frac{σ_w^2}{n}\)
    とします。なお、\(n\)=\(m\bar{n}\)の関係から
    \(σ_{\bar{\bar{x}}}^2\)=\(\frac{σ_b^2}{m}\)+\(\frac{σ_w^2}{ m\bar{n}}\)=(式2)

    (式2)に(式1)を代入します。
    (式2)
    =\(σ_{\bar{\bar{x}}}^2\)=\(\frac{c_1+c_2 \bar{n}}{C-c_0}\)+\(\frac{c_1+c_2 \bar{n}}{ C-c_0} \frac{1}{\bar{n}} σ_w^2\)
    =\((\frac{c_1}{C-c_0}σ_b^2+\frac{c_2}{C-c_0}σ_w^2)\)+\(\frac{c_2 σ_b^2}{C-c_0} \bar{n}\)+\(\frac{c_1 σ_w^2}{C-c_0} \frac{1}{\bar{n}}\)
    =(式3)

    (iii)偏微分=0の条件

    (式3)において、偏微分\(\displaystyle \frac{\partial σ_{\bar{\bar{x}}}^2}{\partial \bar{n}} \)=0を解きます。

    \(\displaystyle \frac{\partial σ_{\bar{\bar{x}}}^2}{\partial \bar{n}} \)=\(\frac{c_2 σ_b^2}{C-c_0}-\frac{c_1 σ_w^2}{C-c_0} \frac{1}{\bar{n}^2}\)=0

    整理すると、
    \(c_2 σ_b^2\)=\(\frac{c_1 σ_w^2}{\bar{n}^2}\)
    となり、
    \(\bar{n}^2\)=\(\frac{c_1}{c_2} \frac{σ_w^2}{σ_b^2}\)
    より、最適配分の条件式が導出できました。

    公式暗記より導出を理解して、自力でできるようにしましょう!

    まとめ

    「2段サンプリングの費用関数で最適配分の式が導出できる」をわかりやすく解説しました。

    • ①2段サンプリングの費用関数
    • ➁最適配分の式を導出

  • 【必読】「標本の分散」と「標本平均の分散」の違いがわかる

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    「サンプリングするとなんで分散VがV/nになるのかがわからない」、と困っていませんか?

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    • ①サンプリングするとなぜV/nなのか?
    • ➁標本の分散と標本平均の分散の違いを理解する
    • ➂標本平均の分散を実際に計算する
    • ➃ばらつきを減らすにはサンプル数を増やせばいいの?

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    統計学、QC検定®を勉強すると必ず出て来るV/n
    nが大きくなると分散0になるけどいいの?
    有限なサンプル数で分散求めると母集団の分散からちょっとはずれるのはわかりけど、何でnで割るの?
    元の母集団と同じデータだから、どうサンプリングしても分散はVのままじゃないの?

    と混乱していませんか?

    QCプラネッツもずっと混乱していましたが、この記事書いてようやく区別できました!
    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    関連記事でも記述しましたが、今回はさらにパワーアップさせます!

    【本記事限定】標本平均の分散の注意点(nで割るな!)
    標本平均の分散や検定統計量では分散をサンプル数で割りますね。でも「サンプル数が大きいと分散が低減される」のは不思議だと思いませんか?本記事では、教科書やwebサイトに載っていない、標本平均の分散の注意点をわかりやすく解説します。公式としてサンプル数で割るべきかどうかを確認したい方は必見です。

    ①サンプリングするとなぜV/nなのか?

    設問文章にある何気ない文字が重要!

    サンプリングや、検定と推定の問題文を上げてみましょう。

    ●サンプリング
    12個のロットをランダムに取り出し、各々から1個の製品をランダムにサンプリングして12個のデータより標本平均を求めて特性の母平均を推定する。このとき、標本平均の推定精度(分散)はいくらか。
    ●検定と推定
    ある部品の特性は、母集団が正規分布に従っている。そのうち10個を抜き出して特性を測定した。次の結果が得られた場合,
    a1,a2,…,a10
    母平均がaといえるかを検定せよ。

    どこがキーポイントかわかりますか?

    慣れないと違和感は感じないのですが。

    ここです!

    ●サンプリング
    12個のロットをランダムに取り出し、各々から1個の製品をランダムにサンプリングして12個のデータより標本平均を求めて特性の母平均を推定する。このとき、標本平均の推定精度(分散)はいくらか。
    ●検定と推定
    ある部品の特性は、母集団が正規分布に従っている。そのうち10個を抜き出して特性を測定した。次の結果が得られた場合,
    a1,a2,…,a10
    平均がaといえるかを検定せよ。
    わかりましたね!
    そうです! 「平均」です。

    なので、もし、

    ●サンプリング
    12個のロットをランダムに取り出し、各々から1個の製品をランダムにサンプリングして12個のデータより標本平均を求めて特性の母平均を推定する。このとき、標本平均の推定精度(分散)はいくらか。
    ●検定と推定
    ある部品の特性は、母集団が正規分布に従っている。そのうち10個を抜き出して特性を測定した。次の結果が得られた場合,
    a1,a2,…,a10
    母平均母集団のデータがaといえるかを検定せよ。

    となっていたら、

    母集団の分散と同じです。
    標本の平均だから分散の式が変わるんです!

    V/nは数学的に正しい

    でも、1つ疑問が有ります。

    標本平均の分散V/nの式って実は正しくない?

    でも、

    数学的に正しいです。

    下の例題で確認しましょう。

    【例題】
    よく、母集団からn個抜き取る場合の、分散をVからV/nにするが、その理由を数式で説明せよ。

    実際に解いてみましょう。
    確率変数\(x_1\),\(x_2\),…, \(x_n\)において、それぞれ独立と仮定すると、
    \(V(\bar{x})\)=\(V(\frac{x_1+x_2+…+x_n}{n})\)
    =\(\frac{1}{n^2}(V(x_1)+V(x_2)+…+V(x_n))\)
    =\(\frac{n}{n^2}(V)\)
    =\(\frac{V}{n}\)
    と、数学的に正しいので、どうしてもこの式を避けることができません!

    1つ値に決まる平均にばらつきがあるのはなぜか?

    サンプリングすると母集団のデータよりばらつき(荒)があるから分散は母集団から変わるのは理解できるが、サンプル数nで割るのは納得できない!
    でも、数式は正しい。
    何か、しっくりこない!
    さまざまなデータ値を総和して個数で割った唯一の値である平均に、ばらつきがあるのはなぜか?もわからないし、この分散がV/nってさらに混乱する!

    ですよね!

    1つ値に決まる平均にばらつきがあるのはなぜか?

    この理由は、

    サンプリングする選び方がたくさんあるから、サンプリングの平均がたくさんできる

    例えば、下図のように、元データがあり、そこから無作為で、サンプリングしたデータの束を、番号1,2,…,nとします。平均は番号分n個あるので、

    標本平均の分散

    \(V(\bar{x})\)は\(\bar{x_1}\),\(\bar{x_2}\),…, \(\bar{x_n}\)のデータのばらつきを見ているわけです。

    まとめると

    ●標本分散は元データ\(x_i\)の集団のばらつきで母集団分散と同じ
    ●標本平均分散は\(V(\bar{x})\)は\(\bar{x_1}\),\(\bar{x_2}\),…, \(\bar{x_n}\)のデータのばらつき
    と、全く別物です。

    「平均」という言葉があるかどうかで判断しましょう。
    折角なので、練習してみましょう。

    ➁標本の分散と標本平均の分散の違いを理解する

    演習1

    問1
    ある部品が1000 個ある。その特性は正規分布N(\(μ,σ^2\))その中から、以下の条件で抜取り、その特性を測定した場合、あるデータ期待値EとVがいくらになるかを2人の部下に聞いた。
    部下A:もともと正規分布N(\(μ,σ^2\))に従うデータなので、どう抜き取っても、E=\(μ\)、V=\(σ^2\)である。
    部下B:教科書の公式からいうと、E=\(μ\)、V=\(\frac{σ^2}{n}\)である。
    どちらの言い分が正しいか? 判断せよ。

    意外と混乱しますよね。分散において、何を指しているかが両部下は違っています。
    ●Aさんは、抜き取ったデータ(標本)そのものの期待値と分散を言っている。
    ●Bさんは、抜き取ったデータ(標本)の平均についての期待値と分散を言っている。

    演習2

    検定と推定の問題もやってみましょう。途中のヒントまで解説しますので、解いてみてください。

    問2
    ある部品の特性は、母集団が正規分布N(100,0.2)に従っている。そのうち10個を抜き出して特性を測定した。次の結果が得られた場合、
    99.9、99.7、100.0、99.9、99.8、99.4、100.0、100.2、99.8、100.1 (平均:99.88)
    (1) 母平均が100.0mmといえるかを検定せよ。
    (2) データ値は100.0mmといえるかを検定せよ。
    ただし、抜き取ったロットの標準偏差はσ=0.2mmと母集団と同じとする。

    実は、
    (1) は教科書でもQC検定®でも必ず載っている問題
    (2) はないので、QCプラネッツが作成

    検定統計量\(z\)=\(\frac{\bar{x}-μ}{σ/\sqrt{n}}\)と暗記しますよね。ここに\(σ/\sqrt{n}\)があります。(1)(2)の違いが理解できるかを確認しましょう。

    (2)はQC検定®でも出題してほしいですね。そしたら面白い!

    ➂標本平均の分散を実際に計算する

    サンプリングがいまいち理解できない理由

    サンプリングがいまいち理解できない、難しいとする理由は

    実データがなく、変な公式しかないので、
    「この式でいいのか? 式の意味がよくわからない」
    まま、代入して終わるので、何を解いているかピントこない。

    なので、実際にデータを用意して、サンプリング後の、「標本平均」の分散を計算してみましょう。

    実際に計算しよう!

    よく、母集団から\(n\)個抜き取る場合の、分散を\(V\)から\(\frac{V}{n}\)にするが、正しいのかどうか、実際にデータを使って確認したい。そのため、母集団100個のデータを用意した。母集団から\(n\)個抜き取る場合の分散は、その\(n\)個ずつ抜き取った\(n\)個のデータの平均値\(\bar{x}\)が100/\(n\)パターンあるので、その\(\bar{x}\)に関する期待値E[\(\bar{x}\)]と分散V[\(\bar{x}\)]を計算すればよい。以下、\(n\)に値を代入して、実際の期待値E[\(\bar{x}\)]と分散V[\(\bar{x}\)]を公式の値と比較せよ。
    (1) n=5の場合(No.1~5,No.6~10,…,No.96~100のデータに区切る)
    (2) n=10の場合(No.1~10,No.11~20,…,No.91~100のデータに区切る)
    (3) n=20の場合(No.1~20,No.21~40,…,No.81~100のデータに区切る)
    (4) n=50の場合(No.1~50,No.51~100のデータに区切る)
    No data No data No data No data No data
    1 11 21 68 41 58 61 75 81 87
    2 2 22 4 42 82 62 45 82 82
    3 35 23 34 43 22 63 18 83 18
    4 34 24 24 44 46 64 26 84 71
    5 52 25 30 45 35 65 88 85 13
    6 54 26 13 46 22 66 51 86 34
    7 25 27 63 47 21 67 68 87 55
    8 57 28 29 48 48 68 32 88 55
    9 84 29 12 49 28 69 69 89 33
    10 95 30 20 50 44 70 31 90 83
    11 51 31 89 51 26 71 48 91 22
    12 49 32 69 52 61 72 50 92 65
    13 9 33 55 53 6 73 25 93 83
    14 85 34 30 54 29 74 50 94 29
    15 24 35 15 55 37 75 57 95 27
    16 19 36 41 56 57 76 81 96 75
    17 64 37 98 57 71 77 86 97 97
    18 83 38 44 58 4 78 64 98 77
    19 78 39 18 59 46 79 43 99 10
    20 65 40 1 60 67 80 23 100 17

    解説

    実際に計算してみましょう。

    結果をまとめると

    n 実際 公式V/n
    1 665.62 665.62
    5 115.98 297.67
    10 50.37 210.49
    20 33.33 148.84
    50 10.76 94.13

    グラフにすると、実際に計算したものと公式では値は異なりますが、傾向は同じことがわかり、サンプル数が増えると、標本平均の分散は小さくなることがわかります。

    また、期待値Eはサンプル数に関係なく同じですね。

    分散

    実際に計算した分散と、公式V/nの値にずれがありますが、公式は理想系なデータである場合、つまり、データが無限になる母集団の場合なので、実際のデータを無限に増やして、サンプル数も無限に増やすと両者は一致します。それを実際に示すのはムリですが、今回データ100個で実演しました。

    ➃ばらつきを減らすにはサンプル数を増やせばいいの?

    ばらつきを小さくしたいからサンプル数を増やすわけではない

    これ、よく勘違いしてしまいますが、

    ばらつきを小さくしたいからサンプル数を増やすわけではない!
    標本平均の分散が小さく見えるだけで、標本そのものの分散は生データのばらつきそのもの

    サンプル数をどの程度取ると、標本分散と標本平均の分散に差が出るかがわかる程度で、
    ばらつきを小さくしたいからサンプル数を増やすわけではない点に注意しましょう。

    「標本の分散」と「標本平均の分散」の違いがわかりましたね!

    まとめ

    「【必読】「標本の分散」と「標本平均の分散」の違いがわかる」をわかりやすく解説しました。

    • ①サンプリングするとなぜV/nなのか?
    • ➁標本の分散と標本平均の分散の違いを理解する
    • ➂標本平均の分散を実際に計算する
    • ➃ばらつきを減らすにはサンプル数を増やせばいいの?

  • 【まとめ】品質工学がわかる

    【まとめ】品質工学がわかる

    「品質工学がよくわからない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】品質工学がわかる

    おさえておきたいポイント

    • ①【重要】品質工学を研究してわかったこと
    • ➁品質工学の関連記事(30記事)を紹介!
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    品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッド
    は昔から何をやる手法かがわからなかった。
    でも、教科書や他サイトを研究してもピンとこなかった
    だからQCプラネッツ独自の解釈を解説!
    実験計画法、品質工学って
    過去の研究実績がすべて正しいとして
    今の教科書に反映するから、
    これから学ぶ人にとって理解しにくい
    だからQCプラネッツ独自で品質工学を哲学しました!

    ①【重要】品質工学を研究してわかったこと

    品質工学を研究して、やっぱりわからないのは、次の3つですね。

    1. なぜ品質工学の教科書がわかりにくいのか?
    2. 品質工学は何をする手法か?が見えない
    3. 今の時代にあう手法なのか?

    1つずつ解説します。

    (i)なぜ品質工学の教科書がわかりにくいのか?

    どの教科書もこの流れで解説するので、読者として思考停止になります。

    1. 品質工学は実験計画法と違う手法だから混合系直交表を使うのが当たり前!
    2. SN比に10logをつけるのが当たり前!
    3. 直交表の各列に割当てるための直交実験をやるのが当たり前!

    と、これらが前提として品質工学はみなさんに押し付けて来ますが、

    1. 実践手法より理論(モデル式)が理解したい
    2. 混合系直交表は直交表の中でも特殊だから使いたくない
    3. 実験計画法と同様にモデル式であるデータの構造式を軸に考えるべきではないのか?
    4. SN比って、知りたい変動と誤差変動の比だからlogは不要
    5. 最適条件が出たからといって、それがなぜ最適条件かを理論的に説明つかない!
    6. 品質工学は何を計算して、何がわかるのか?ピンとこない

    となっていませんか?

    (ii)品質工学は何をする手法か?

    品質工学は何を求めているかを研究してわかりました。

    1. 実験計画法と同様に、データがもつばらつきをデータの構造式を構成する効果で分配しているだけ
    2. 実験計画法は平均からのズレを見て、品質工学は目標値からのズレを見たい点では実験計画法と品質工学は違うといえる
    3. でも、データの構造式から変動の分解をすると、品質工学(静特性)は目標値を無視した式になっているし、動特性は回帰分析にすぎない
    4. 結局、実験計画法と品質工学は同じで、品質工学オリジナリティを出したいために混合系直交表を使っている

    データの構造式において、交互作用を避けたいために混合系直交表を使うと教科書で言いますが、
    データの構造式やモデルはデータが決めることで、データを構成する要因たちは互いになにかしらの交互作用を受けているのは当然です。ただ、交互作用の大小はばらつくでしょうけど。

    (iii)これから学びたい人は何を品質工学で学べばよいか?

    なぜ、品質工学がわかりにくいのか?というといろいろツッコみましたが、昭和の時代背景も大きく影響しています。

    昭和の時代のような昔は、データを取得するが大変で、計算でカバーしようとしていた。そのため、実験計画法や品質工学・タグチメソッドが計算でカバーする手法として活躍した。
    でも、現在、データはとても簡単に作れて、モデル式からシミュレーションして精度を高めてから、部分実験で真偽を確かめるようになっている。
    計算よりデータ取得の方が簡単になっている現代からして、データの手間を計算でカバーする手法がいまいちピンと来ないのではないか?

    と研究して強く感じます。

    なので、

    実験計画法・品質工学・タグチメソッドは何を解いているか?その目的は何か?を理解することは現在も大事!

    なので、QCプラネッツは実験計画法と同様に

    1. モデル式(データの構造式)を最初に立てる
    2. 変動の分解ができるかを確認する
    3. 分散分析・F検定をする
    4. 変動の期待値を計算する
    5. 最適条件をデータの構造式から計算する
    6. SN比にlogはつけない
    7. 解析結果を信じることより、理論を理解する方に重視する

    という考えで、関連記事をまとめました。

    教科書を鵜呑みせず、自分なりの理論を追究した方が、自分のものにしやすいですよね。

    では、30弱ある関連記事を紹介します。

    ➁品質工学の関連記事(30記事)を紹介!

    1つずつ関連記事を紹介します。

    品質工学に頻出する、直交表L12、混合系直交表L18を解説します。でも、どの直交表使うかより、どんなデータの構造式をモデル化すべきかの方が大事です。

    直交表L12がわかる

    直交表L12がわかる
    直交表L12が使えますか? 本記事ではロバストパラメータ設計でよく使われれる直交表L12のパターン、データの構造式、平方和の分解、分散分析表、分散の期待値、母平均、有効繰返数、区間推定の一連の解法を解説します。

    混合系直交表L18がわかる

    混合系直交表L18がわかる
    混合系直交表L18が使えますか? 本記事ではロバストパラメータ設計でよく使われれる直交表L18のパターン、データの構造式、平方和の分解、分散分析表、分散の期待値、母平均、有効繰返数、区間推定の一連の解法を解説します。平方和で注意すべき点があるので、必読です!

    品質工学のSN比が導出できる

    品質工学のSN比が導出できる
    品質工学のSN比の式 η=10log (Sm-Ve)/Veがちゃんと導出できますか? 本記事はSN比を導出します。公式暗記に頼らず、式変形から意味を理解して、式を使うようにしましょう。

    品質工学,静特性の変動とSN比の注意点がわかる

    品質工学,静特性の変動とSN比の注意点がわかる
    品質工学の静特性のデータの構造式に目標値が無い理由が説明できますか? 本記事では、教科書にある簡略化された静特性のデータの構造式の導出を丁寧に解説します。簡略化することで品質工学の目的が見えにくくなる点をわかりやすく解説します。品質工学を学ぶ人は必読です。

    直交表L8を使ったパラメータ設計がわかる

    直交表L8を使ったパラメータ設計がわかる
    直交表L8を使ったパラメータ設計を実際に解きながら解説します。教科書や他のサイトでは出てこない一般の直交表を使った場合のロバストパラメータ設計を解説します。実験計画法と品質工学の両方が学べる大事な記事です。

    直交表L16を使ったパラメータ設計がわかる

    直交表L16を使ったパラメータ設計がわかる
    直交表L16を使ったパラメータ設計を実際に解きながら解説します。教科書や他のサイトでは出てこない一般の直交表を使った場合のロバストパラメータ設計を解説します。実験計画法と品質工学の両方が学べる大事な記事です。

    直交表L27を使ったパラメータ設計がわかる

    直交表L27を使ったパラメータ設計がわかる
    直交表L27を使ったパラメータ設計を実際に解きながら解説します。教科書や他のサイトでは出てこない一般の直交表を使った場合のロバストパラメータ設計を解説します。実験計画法と品質工学の両方が学べる大事な記事です。

    直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる

    直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる
    直交表L18を使ったパラメータ設計を実際に解きながら解説します。混合系直交表を使った場合のロバストパラメータ設計を解説します。実験計画法と品質工学の両方が学べる大事な記事です。

    ★【品質工学】勉強に必須な21項目をまとめました。

    以前、ブログ解説していましたが、1つのPDFにまとめました。勉強に役立ててください

    No テーマ
    1 混合系直交表L18の擬水準法がわかる
    2 混合系直交表L18の多水準法がわかる1
    3 混合系直交表L18の多水準法がわかる2
    4 【初心者必見】品質工学で全変動と平方和の違いがわかる
    5 品質工学,静特性、誤差因子が1つの場合がわかる
    6 品質工学,静特性、誤差因子が2つの場合がわかる
    7 品質工学の動特性は回帰分析と同じ(その1)
    8 品質工学の動特性は回帰分析と同じ(その2)
    9 品質工学、動特性、誤差因子1つの場合がわかる
    10 品質工学、動特性、誤差因子1つで繰返し有りの場合がわかる
    11 品質工学,動特性の理想直線は原点通らなくてOKな理由がわかる
    12 品質工学、動特性、誤差因子2つの場合がわかる
    13 品質工学、動特性、誤差因子1つの変動の分解がわかる
    14 品質工学、動特性、誤差因子1つで繰返しありの分解がわかる
    15 品質工学、動特性、誤差因子2つの分解がわかる
    16 品質工学,静特性の演習問題が解ける(誤差因子1つの場合)
    17 品質工学,静特性の演習問題が解ける(誤差因子2つの場合)
    18 品質工学 動特性(誤差因子なし)の演習問題が解ける
    19 品質工学、ここがわからない!と思ったら読んで!
    20 直交表L12を使ったパラメータ設計がわかる
    21 品質工学、変動の期待値が導出できる

    以上、30の関連記事を紹介します。確認ください。

    まとめ

    「【まとめ】品質工学がわかる」を解説しました。

    • ①【重要】品質工学を研究してわかったこと
    • ➁品質工学の関連記事(30記事)を紹介!

  • 直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる

    直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる

    「直交表を使ったロバストパラメータ設計ができない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる

    おさえておきたいポイント

    • ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い
    • ➁実験計画法の復習
    • ➂直交表L18を使ったパラメータ設計事例
    • ➃SN比と感度の計算
    • ➄最適条件の選定
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    品質工学
    ロバストパラメータ設計
    タグチメソッド
    手法に溺れるな!
    数式と理論で理解しよう!

    品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッド
    結局わからない!
    ⇒QCプラネッツが解決!

    ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い

    品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドで扱う直交表について疑問に思うことが2つあります。

    1. 「品質工学=混合系直交表」じゃないとダメなのか?
    2. 「品質工学≠実験計画法」は正しいのか?

    「品質工学=混合系直交表」は正しいのか?

    品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドって、最初から、特殊な直交表L12,L18が出て来ます。その理由は

    交互作用を割り付けるのは品質工学的に無意味だから、交互作用が出ない混合系直交表を使いたいから

    でも、これが意味わからないんですよ!

    でも、主効果、交互作用の有無は
    データが決めるはずで、
    我々ではないから

    データは様々な要因が絡み合って数値化されます。であれば、ナチュラルに主効果、交互作用を含めて検討しても良いと考えます。

    「品質工学≠実験計画法」は正しいのか?

    同じ直交表を使うのに、

    品質工学≠実験計画法で別物扱い

    これもピンと来ません。同じで良いではないかと!

    品質工学の発展や普及させる中で皆が同じことを言えば正しいという同調圧力を感じます
    なので、
    実験計画法の延長として品質工学を検討したり
    一般の直交表を使ってパラメータ設計してみましょう。

    で、おかしい結果になるか確かめてみましょう。

    でも、主効果、交互作用の有無や
    解析結果は
    データが決めるはずで、
    我々ではないよ!

    品質工学に一般の直交表を使ってみる

    QCプラネッツは長年にわたりこの疑問を抱いていましたので、実際に
    ●L8
    ●L16
    ●L9
    ●L27
    と混合系の
    ●L12
    ●L18(本記事)
    を取り上げてみます。

    ➁実験計画法の復習

    QCプラネッツは
    品質工学=実験計画法 という考えなので、
    まず実験計画法を復習しましょう。

    関連記事で、確認ください。

    究める!実験計画法
    QCプラネッツが解説する究める実験計画法。多くの教科書がある中、勉強してもどうしても分からない、苦労している難解な箇所をすべて解説します。多元配置実験、乱塊法、分割法、直交表などなど多くの手法を個別に公式暗記せず、データの構造式をみればすべて導出できる新しい実験計画法を解説します。

    混合系直交表L18についても、関連記事で解説しています。

    混合系直交表L18がわかる
    混合系直交表L18が使えますか? 本記事ではロバストパラメータ設計でよく使われれる直交表L18のパターン、データの構造式、平方和の分解、分散分析表、分散の期待値、母平均、有効繰返数、区間推定の一連の解法を解説します。平方和で注意すべき点があるので、必読です!

    ➂直交表L18を使ったパラメータ設計事例

    事例

    次の問いを考えます。

    【問】
    あるデータから最適条件を直交表L18を使って求めたい。
    (1) 分散分析表を作れ。
    (2) 各因子の、各水準におけるSN比と感度を計算し、要因効果図を作れ。
    (3) 最適条件を選び、その条件におけるSN比と感度を計算せよ。

    直交表L18

    直交表L18

    各因子の平方和と分散分析を解析

    直交表L18は2と3水準系の混合系なので、各列の平方和を計算する公式があります。関連記事で解説しています。

    【本記事限定】直交表の各列の平方和の式は自力で導出できる【必見】
    直交表の各列の平方和を導出する方法を知っていますか?公式暗記で済ませていませんか?本記事では、実験計画法の直交表の各列の平方和を導出する方法を詳しく解説します。本記事しか書いていない、直交表の知見を広げたい方は必見です。

    関連記事から2水準系の各列の平方和\(S[k]\)は
    \(S[k]\)=\(\frac{((T_{[k]1}-T_{[k]2})^2}{2N}\)
    (\(N\)=9)
    で計算します。

    関連記事から3水準系の各列の平方和\(S[k]\)は
    \(S[k]\)=\(\frac{((T_{[k]1}-T_{[k]2})^2+(T_{[k]2}-T_{[k]3})^2+(T_{[k]3}-T_{[k]1})^2)}{3N}\)
    (\(N\)=6)
    で計算します。

    これをもとに各列の平方和を計算すると、下表になります。

    直交表L18

    ここで、注意があります。

    18個のデータの平方和は公式から280になるが、
    混合系直交表L18の各列の合計からは241と小さくなる

    直交表全列の平方和と公式から算出される平方和の値は一致しませんので注意ください。なんでこんな変な直交表を使いたいのか、よくわかりませんが。

    ●分散分析表

    L18 平方和S 自由度φ 平均平方V
    A 18 1 18
    B 34.33 2 17.17
    C 24.33 2 12.17
    D 41.33 2 20.67
    E 67 2 33.5
    F 10.33 2 5.17
    G 8.33 2 4.17
    e 37.33 2 18.67
    合計 241 15

    データの構造式

    分散分析を扱うための最も重要なデータの構造式を定義します。今回は全列を成分に合わせた効果とするので、

    \(x\)=\(μ\)+\(a\)+\(b\)+\(c\)+\(d\)+\(e\)+\(f\)+\(h\)+\(h\)(誤差項)

    ➃SN比と感度の計算

    SN比と感度Sの公式

    関連記事にも公式導出過程を解説しています。

    品質工学のSN比が導出できる
    品質工学のSN比の式 η=10log (Sm-Ve)/Veがちゃんと導出できますか? 本記事はSN比を導出します。公式暗記に頼らず、式変形から意味を理解して、式を使うようにしましょう。

    ●SN比ηは
    η=10\(log \frac{μ^2}{σ^2}\)=10\(log \frac{\frac{1}{n}(S_m-V_e)}{V_e}\)

    ●感度Sは
    S=10\(log μ^2\)=10\(log \frac{1}{n}(S_m-V_e)\)

    ですが、今回簡略化のため、

    ●SN比ηは
    η=\(\frac{μ^2}{σ^2}\)=\(\frac{\bar{x}^2}{s^2}\) (\(s\)は標準偏差)

    ●感度Sは
    S=\(μ^2\)=\(\bar{x}^2\)
    で計算します。

    各効果の各水準における平均\(\bar{x}\)と標準偏差\(s\)

    各効果の水準1,2、3に属するデータの平均と標準偏差を計算すると下表になります。

    No 水準1 水準2 水準3
    平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\) 平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\) 平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\)
    A 11 3.61 13 4.44
    B 13.5 4.18 10.17 1.94 12.33 5.28
    C 10.5 2.95 12.17 4.75 13.33 4.46
    D 11.67 3.88 14 3.52 10.33 4.5
    E 14.67 3.56 10.17 4.22 11.17 3.49
    F 11.17 3.87 11.83 5 13 3.74
    G 12 1.9 11.17 3.49 12.83 6.21
    e 10 5.66 12.67 2.94 13.33 2.8

    例えば、
    ●因子A(2水準)において、水準ごとの9個のデータの平均と標準偏差を計算します。
    ●因子A以外の因子(3水準)において、水準ごとの6個のデータの平均と標準偏差を計算します。

    直交表L18の各列のSN比と感度

    ●SN比ηは
    η=\(\frac{μ^2}{σ^2}\)=\(\frac{\bar{x}^2}{s^2}\) (\(s\)は標準偏差)

    ●感度Sは
    S=\(μ^2\)=\(\bar{x}^2\)
    で計算すると、下表になります。

    No 水準1 水準2 水準3
    SN比η 感度S SN比η 感度S SN比η 感度S
    A 9.28 121 8.57 169
    B 10.43 182.25 27.48 103.43 5.45 152.03
    C 12.67 110.25 6.56 148.11 8.93 177.69
    D 9.05 136.19 15.82 196 5.27 106.71
    E 16.98 215.21 5.81 103.43 10.24 124.77
    F 8.33 124.77 5.6 139.95 12.08 169
    G 39.89 144 10.24 124.77 4.27 164.61
    e 3.12 100 18.57 160.53 22.66 177.69

    よく 対数を取ってSN比や感度Sの値を計算しますが、別になくてもOKなので、対数にしていません。

    要因効果図があると見やすいですが、数表からも確認できるので、割愛します。

    ➄最適条件の選定

    ここで、因子ABCDEFの水準の高い方を選択します。

    \(μ(ABCDEF)\)の式を先に作ります。

    関連記事で解説しています。

    【簡単】データの構造式で実験計画法がわかる(必読)
    実験計画法が難しい、多元配置実験、乱塊法、分割法、などたくさんの手法を学ぶのが大変など困っていませんか?本記事では、データの構造式さえ理解すれば実験計画法がすぐマスタできるように、わかりやすく解説します。早く実験計画法をマスターした方は必見です。

    \(μ(ABCDEF)\)
    =\(μ\)+(\(μ_a-μ\))+(\(μ_b-μ\))+(\(μ_c-μ\))+(\(μ_d-μ\))+(\(μ_e-μ\))+(\(μ_f-μ\))
    =\(μ_a\)+\(μ_b\)+\(μ_c\)+\(μ_d\)+\(μ_e\)+\(μ_f\)-5\(μ\)
    となります。

    SN比η、感度Sは
    ●\(η_{ABCDEF}\)=\(η_a\)+\(η_b\)+\(η_c\)+\(η_d\)+\(η_e\)+\(η_f\)-5\(\bar{η}\)
    ●\(S_{ABCDEF}\)=\(S_a\)+\(S_b\)+\(S_c\)+\(S_d\)+\(S_e\)+\(S_f\)-5\(\bar{S}\)

    暗記不要で、データの構造式からどんな組み合わせパターンも式が作れます!

    ●SN比において、
    A,B,C,D,E,Fで値のSN比が大きい水準をみると
    A1,B2,C1,D2,E1,F3なので、
    \(η_{ABCDEF}\)=\(η_a\)+\(η_b\)+\(η_c\)+\(η_d\)+\(η_e\)+\(η_f\)-5\(\bar{η}\)
    =9.28+27.48+12.67+15.82+16.98+12.08-5×12.06
    =34.03

    ●感度において、
    A,B,C,D,E,Fで値の感度が大きい水準をみると
    A2,B1,C3,D2,E1,F3なので、
    \(S_{ABCDEF}\)=\(S_a\)+\(S_b\)+\(S_c\)+\(S_d\)+\(S_e\)+\(S_f\)-5\(\bar{S}\)
    =169+182.25+177.69+196+215.21+169-5×145.71
    =380.59

    と計算できました。

    直交表L18を使って、SN比、感度の計算を実施しました。

    直交表の種類に関係なく1つの解法で解ける事がわかりますね。

    まとめ

    「直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる」を解説しました。

    • ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い
    • ➁実験計画法の復習
    • ➂直交表L18を使ったパラメータ設計事例
    • ➃SN比と感度の計算
    • ➄最適条件の選定

  • 直交表L27を使ったパラメータ設計がわかる

    直交表L27を使ったパラメータ設計がわかる

    「直交表を使ったロバストパラメータ設計ができない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    直交表L27を使ったパラメータ設計がわかる

    おさえておきたいポイント

    • ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い
    • ➁実験計画法の復習
    • ➂直交表L27を使ったパラメータ設計事例
    • ➃SN比と感度の計算
    • ➄最適条件の選定
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    ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い

    品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドで扱う直交表について疑問に思うことが2つあります。

    1. 「品質工学=混合系直交表」じゃないとダメなのか?
    2. 「品質工学≠実験計画法」は正しいのか?

    「品質工学=混合系直交表」は正しいのか?

    品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドって、最初から、特殊な直交表L12,L18が出て来ます。その理由は

    交互作用を割り付けるのは品質工学的に無意味だから、交互作用が出ない混合系直交表を使いたいから

    でも、これが意味わからないんですよ!

    でも、主効果、交互作用の有無は
    データが決めるはずで、
    我々ではないから

    データは様々な要因が絡み合って数値化されます。であれば、ナチュラルに主効果、交互作用を含めて検討しても良いと考えます。

    「品質工学≠実験計画法」は正しいのか?

    同じ直交表を使うのに、

    品質工学≠実験計画法で別物扱い

    これもピンと来ません。同じで良いではないかと!

    品質工学の発展や普及させる中で皆が同じことを言えば正しいという同調圧力を感じます
    なので、
    実験計画法の延長として品質工学を検討したり
    一般の直交表を使ってパラメータ設計してみましょう。

    で、おかしい結果になるか確かめてみましょう。

    でも、主効果、交互作用の有無や
    解析結果は
    データが決めるはずで、
    我々ではないよ!

    品質工学に一般の直交表を使ってみる

    QCプラネッツは長年にわたりこの疑問を抱いていましたので、実際に
    ●L8
    ●L16
    ●L27(本記事)
    と混合系の
    ●L12
    ●L18
    を取り上げてみます。

    ➁実験計画法の復習

    QCプラネッツは
    品質工学=実験計画法 という考えなので、
    まず実験計画法を復習しましょう。

    関連記事で、確認ください。

    究める!実験計画法
    QCプラネッツが解説する究める実験計画法。多くの教科書がある中、勉強してもどうしても分からない、苦労している難解な箇所をすべて解説します。多元配置実験、乱塊法、分割法、直交表などなど多くの手法を個別に公式暗記せず、データの構造式をみればすべて導出できる新しい実験計画法を解説します。

    ➂直交表L27を使ったパラメータ設計事例

    事例

    次の問いを考えます。

    【問】
    あるデータから最適条件を直交表L27を使って求めたい。
    (1) 分散分析表を作れ。
    (2) 各因子の、各水準におけるSN比と感度を計算し、要因効果図を作れ。
    (3) 最適条件を選び、その条件におけるSN比と感度を計算せよ。

    直交表L27

    直交表L27

    各因子の平方和と分散分析を解析

    直交表L27は3水準系なので、各列の平方和を計算する公式があります。関連記事で解説しています。

    【本記事限定】直交表の各列の平方和の式は自力で導出できる【必見】
    直交表の各列の平方和を導出する方法を知っていますか?公式暗記で済ませていませんか?本記事では、実験計画法の直交表の各列の平方和を導出する方法を詳しく解説します。本記事しか書いていない、直交表の知見を広げたい方は必見です。

    関連記事から3水準系の各列の平方和\(S[k]\)は
    \(S[k]\)=\(\frac{((T_{[k]1}-T_{[k]2})^2+(T_{[k]2}-T_{[k]3})^2+(T_{[k]3}-T_{[k]1})^2)}{3N}\)
    で計算します。

    これをもとに各列の平方和を計算すると、下表になります。

    直交表L27

    ●分散分析表

    L27 平方和S 自由度φ 平均平方V
    A 800 2 400
    B 1134 2 567
    C 98 2 49
    AB 108 4 27
    AC 14 4 3.5
    BC 504 4 126
    e 72 8 9
    2730 26

    データの構造式

    分散分析を扱うための最も重要なデータの構造式を定義します。今回は全列を成分に合わせた効果とするので、

    \(x_{ijk}\)=\(μ\)+\(a_i\)+\(b_j\)+\(c_k\)+
    +\(ab_{ij}\)+\(ac_{ik}\)+\(bc_{jk}\)+\(e_{ijk}\)
    (\(i,j,k=1,2,3\))

    ➃SN比と感度の計算

    SN比と感度Sの公式

    関連記事にも公式導出過程を解説しています。

    品質工学のSN比が導出できる
    品質工学のSN比の式 η=10log (Sm-Ve)/Veがちゃんと導出できますか? 本記事はSN比を導出します。公式暗記に頼らず、式変形から意味を理解して、式を使うようにしましょう。

    ●SN比ηは
    η=10\(log \frac{μ^2}{σ^2}\)=10\(log \frac{\frac{1}{n}(S_m-V_e)}{V_e}\)

    ●感度Sは
    S=10\(log μ^2\)=10\(log \frac{1}{n}(S_m-V_e)\)

    ですが、今回簡略化のため、

    ●SN比ηは
    η=\(\frac{μ^2}{σ^2}\)=\(\frac{\bar{x}^2}{s^2}\) (\(s\)は標準偏差)

    ●感度Sは
    S=\(μ^2\)=\(\bar{x}^2\)
    で計算します。

    各効果の各水準における平均\(\bar{x}\)と標準偏差\(s\)

    各効果の水準1,2、3に属するデータの平均と標準偏差を計算すると下表になります。

    No 水準1 水準2 水準3
    平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\) 平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\) 平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\)
    A 15 10.44 22.5 5.55 30 10.07
    B 12.38 8.35 25.88 6.93 29.25 9.04
    C 19.88 6.89 22.5 13.47 25.13 10
    AB 21.38 13.44 23.06 13.3 23.06 10.91
    AC 21.94 12.87 22.31 13.04 23.25 11.94
    BC 27 8.36 19.13 11.66 21.38 9.37
    e 22.78 11.75 22.22 12.72 22.5 12.82

    例えば、
    ●因子Aにおいて、水準ごとの9個のデータの平均と標準偏差を計算します。
    ●交互作用ABは、2列あるので、水準ごとの18個のデータの平均と標準偏差を計算します。
    ●残差eは、4列あるので、水準ごとの36個のデータの平均と標準偏差を計算します。

    直交表L27の各列のSN比と感度

    ●SN比ηは
    η=\(\frac{μ^2}{σ^2}\)=\(\frac{\bar{x}^2}{s^2}\) (\(s\)は標準偏差)

    ●感度Sは
    S=\(μ^2\)=\(\bar{x}^2\)
    で計算すると、下表になります。

    No 水準1 水準2 水準3
    SN比η 感度S SN比η 感度S SN比η 感度S
    A 2.06 225 16.44 506.25 8.88 900
    B 2.2 153.26 13.95 669.77 10.47 855.56
    C 8.33 395.21 2.79 506.25 6.32 631.52
    AB 2.53 457.1 3.01 531.76 4.47 531.76
    AC 2.91 481.36 2.93 497.74 3.79 540.56
    BC 10.43 729 2.69 365.96 5.21 457.1
    e 3.76 518.93 3.05 493.73 3.08 506.25

    よく 対数を取ってSN比や感度Sの値を計算しますが、別になくてもOKなので、対数にしていません。

    要因効果図があると見やすいですが、数表からも確認できるので、割愛します。

    ➄最適条件の選定

    ここで、因子A,Cの水準の高い方を選択します。

    \(μ(A_i C_k)\)の式を先に作ります。

    関連記事で解説しています。

    【簡単】データの構造式で実験計画法がわかる(必読)
    実験計画法が難しい、多元配置実験、乱塊法、分割法、などたくさんの手法を学ぶのが大変など困っていませんか?本記事では、データの構造式さえ理解すれば実験計画法がすぐマスタできるように、わかりやすく解説します。早く実験計画法をマスターした方は必見です。

    \(μ(A_i C_k)\)
    =\(μ\)+\(a_i\)+\(c_k\)+\(ac_{ik}\)
    =\(\bar{\bar{x}}\)+(\(\bar{x_{i・・}}-\bar{\bar{x}}\))+(\(\bar{x_{・・k}}-\bar{\bar{x}}\))
    +\((\bar{x_{i・k}}-\bar{x_{i・・}}-\bar{x_{・・k・}}+\bar{\bar{x}})\)
    =\((\bar{x_{i・k}}-\bar{\bar{x}}\))
    =(\(\widehat{μ+a_i+c_k}\))-\(μ\)
    とすっきりした式になります。

    暗記不要で、データの構造式からどんな組み合わせパターンも式が作れます!

    ●SN比において、
    A,B,Cで値のSN比が大きい水準をみると
    AC_3なので、
    \(μ(AC_3)\)= (\(\widehat{μ+ac_3}\))-\(μ\)
    =3.79-5.68=-1.89

    ●感度において、
    ACで値の感度が大きい水準をみると
    AC_3なので、
    \(μ(AC_3)\)= (\(\widehat{μ+ac_3}\))-\(μ\)
    =540.56-521.62=18.94

    と計算できました。

    直交表L27を使って、SN比、感度の計算を実施しました。

    直交表の種類に関係なく1つの解法で解ける事がわかりますね。

    まとめ

    「直交表L27を使ったパラメータ設計がわかる」を解説しました。

    • ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い
    • ➁実験計画法の復習
    • ➂直交表L27を使ったパラメータ設計事例
    • ➃SN比と感度の計算
    • ➄最適条件の選定

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