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直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる

ロバストパラメータ設計

「直交表を使ったロバストパラメータ設計ができない」などと困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる

おさえておきたいポイント

  • ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い
  • ➁実験計画法の復習
  • ➂直交表L18を使ったパラメータ設計事例
  • ➃SN比と感度の計算
  • ➄最適条件の選定
品質工学
ロバストパラメータ設計
タグチメソッド
手法に溺れるな!
数式と理論で理解しよう!

品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッド
結局わからない!
⇒QCプラネッツが解決!

①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い

品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドで扱う直交表について疑問に思うことが2つあります。

  1. 「品質工学=混合系直交表」じゃないとダメなのか?
  2. 「品質工学≠実験計画法」は正しいのか?

「品質工学=混合系直交表」は正しいのか?

品質工学、ロバストパラメータ設計、タグチメソッドって、最初から、特殊な直交表L12,L18が出て来ます。その理由は

交互作用を割り付けるのは品質工学的に無意味だから、交互作用が出ない混合系直交表を使いたいから

でも、これが意味わからないんですよ!

でも、主効果、交互作用の有無は
データが決めるはずで、
我々ではないから

データは様々な要因が絡み合って数値化されます。であれば、ナチュラルに主効果、交互作用を含めて検討しても良いと考えます。

「品質工学≠実験計画法」は正しいのか?

同じ直交表を使うのに、

品質工学≠実験計画法で別物扱い

これもピンと来ません。同じで良いではないかと!

品質工学の発展や普及させる中で皆が同じことを言えば正しいという同調圧力を感じます
なので、
実験計画法の延長として品質工学を検討したり
一般の直交表を使ってパラメータ設計してみましょう。

で、おかしい結果になるか確かめてみましょう。

でも、主効果、交互作用の有無や
解析結果は
データが決めるはずで、
我々ではないよ!

品質工学に一般の直交表を使ってみる

QCプラネッツは長年にわたりこの疑問を抱いていましたので、実際に
●L8
●L16
●L9
●L27
と混合系の
●L12
●L18(本記事)
を取り上げてみます。

➁実験計画法の復習

QCプラネッツは
品質工学=実験計画法 という考えなので、
まず実験計画法を復習しましょう。

関連記事で、確認ください。

究める!実験計画法
QCプラネッツが解説する究める実験計画法。多くの教科書がある中、勉強してもどうしても分からない、苦労している難解な箇所をすべて解説します。多元配置実験、乱塊法、分割法、直交表などなど多くの手法を個別に公式暗記せず、データの構造式をみればすべて導出できる新しい実験計画法を解説します。

混合系直交表L18についても、関連記事で解説しています。

混合系直交表L18がわかる
混合系直交表L18が使えますか? 本記事ではロバストパラメータ設計でよく使われれる直交表L18のパターン、データの構造式、平方和の分解、分散分析表、分散の期待値、母平均、有効繰返数、区間推定の一連の解法を解説します。平方和で注意すべき点があるので、必読です!

➂直交表L18を使ったパラメータ設計事例

事例

次の問いを考えます。

【問】
あるデータから最適条件を直交表L18を使って求めたい。
(1) 分散分析表を作れ。
(2) 各因子の、各水準におけるSN比と感度を計算し、要因効果図を作れ。
(3) 最適条件を選び、その条件におけるSN比と感度を計算せよ。

直交表L18

直交表L18

各因子の平方和と分散分析を解析

直交表L18は2と3水準系の混合系なので、各列の平方和を計算する公式があります。関連記事で解説しています。

【本記事限定】直交表の各列の平方和の式は自力で導出できる【必見】
直交表の各列の平方和を導出する方法を知っていますか?公式暗記で済ませていませんか?本記事では、実験計画法の直交表の各列の平方和を導出する方法を詳しく解説します。本記事しか書いていない、直交表の知見を広げたい方は必見です。

関連記事から2水準系の各列の平方和\(S[k]\)は
\(S[k]\)=\(\frac{((T_{[k]1}-T_{[k]2})^2}{2N}\)
(\(N\)=9)
で計算します。

関連記事から3水準系の各列の平方和\(S[k]\)は
\(S[k]\)=\(\frac{((T_{[k]1}-T_{[k]2})^2+(T_{[k]2}-T_{[k]3})^2+(T_{[k]3}-T_{[k]1})^2)}{3N}\)
(\(N\)=6)
で計算します。

これをもとに各列の平方和を計算すると、下表になります。

直交表L18

ここで、注意があります。

18個のデータの平方和は公式から280になるが、
混合系直交表L18の各列の合計からは241と小さくなる

直交表全列の平方和と公式から算出される平方和の値は一致しませんので注意ください。なんでこんな変な直交表を使いたいのか、よくわかりませんが。

●分散分析表

L18 平方和S 自由度φ 平均平方V
A 18 1 18
B 34.33 2 17.17
C 24.33 2 12.17
D 41.33 2 20.67
E 67 2 33.5
F 10.33 2 5.17
G 8.33 2 4.17
e 37.33 2 18.67
合計 241 15

データの構造式

分散分析を扱うための最も重要なデータの構造式を定義します。今回は全列を成分に合わせた効果とするので、

\(x\)=\(μ\)+\(a\)+\(b\)+\(c\)+\(d\)+\(e\)+\(f\)+\(h\)+\(h\)(誤差項)

➃SN比と感度の計算

SN比と感度Sの公式

関連記事にも公式導出過程を解説しています。

品質工学のSN比が導出できる
品質工学のSN比の式 η=10log (Sm-Ve)/Veがちゃんと導出できますか? 本記事はSN比を導出します。公式暗記に頼らず、式変形から意味を理解して、式を使うようにしましょう。

●SN比ηは
η=10\(log \frac{μ^2}{σ^2}\)=10\(log \frac{\frac{1}{n}(S_m-V_e)}{V_e}\)

●感度Sは
S=10\(log μ^2\)=10\(log \frac{1}{n}(S_m-V_e)\)

ですが、今回簡略化のため、

●SN比ηは
η=\(\frac{μ^2}{σ^2}\)=\(\frac{\bar{x}^2}{s^2}\) (\(s\)は標準偏差)

●感度Sは
S=\(μ^2\)=\(\bar{x}^2\)
で計算します。

各効果の各水準における平均\(\bar{x}\)と標準偏差\(s\)

各効果の水準1,2、3に属するデータの平均と標準偏差を計算すると下表になります。

No 水準1 水準2 水準3
平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\) 平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\) 平均\(\bar{x}\) 標準偏差\(s\)
A 11 3.61 13 4.44
B 13.5 4.18 10.17 1.94 12.33 5.28
C 10.5 2.95 12.17 4.75 13.33 4.46
D 11.67 3.88 14 3.52 10.33 4.5
E 14.67 3.56 10.17 4.22 11.17 3.49
F 11.17 3.87 11.83 5 13 3.74
G 12 1.9 11.17 3.49 12.83 6.21
e 10 5.66 12.67 2.94 13.33 2.8

例えば、
●因子A(2水準)において、水準ごとの9個のデータの平均と標準偏差を計算します。
●因子A以外の因子(3水準)において、水準ごとの6個のデータの平均と標準偏差を計算します。

直交表L18の各列のSN比と感度

●SN比ηは
η=\(\frac{μ^2}{σ^2}\)=\(\frac{\bar{x}^2}{s^2}\) (\(s\)は標準偏差)

●感度Sは
S=\(μ^2\)=\(\bar{x}^2\)
で計算すると、下表になります。

No 水準1 水準2 水準3
SN比η 感度S SN比η 感度S SN比η 感度S
A 9.28 121 8.57 169
B 10.43 182.25 27.48 103.43 5.45 152.03
C 12.67 110.25 6.56 148.11 8.93 177.69
D 9.05 136.19 15.82 196 5.27 106.71
E 16.98 215.21 5.81 103.43 10.24 124.77
F 8.33 124.77 5.6 139.95 12.08 169
G 39.89 144 10.24 124.77 4.27 164.61
e 3.12 100 18.57 160.53 22.66 177.69

よく 対数を取ってSN比や感度Sの値を計算しますが、別になくてもOKなので、対数にしていません。

要因効果図があると見やすいですが、数表からも確認できるので、割愛します。

➄最適条件の選定

ここで、因子ABCDEFの水準の高い方を選択します。

\(μ(ABCDEF)\)の式を先に作ります。

関連記事で解説しています。

【簡単】データの構造式で実験計画法がわかる(必読)
実験計画法が難しい、多元配置実験、乱塊法、分割法、などたくさんの手法を学ぶのが大変など困っていませんか?本記事では、データの構造式さえ理解すれば実験計画法がすぐマスタできるように、わかりやすく解説します。早く実験計画法をマスターした方は必見です。

\(μ(ABCDEF)\)
=\(μ\)+(\(μ_a-μ\))+(\(μ_b-μ\))+(\(μ_c-μ\))+(\(μ_d-μ\))+(\(μ_e-μ\))+(\(μ_f-μ\))
=\(μ_a\)+\(μ_b\)+\(μ_c\)+\(μ_d\)+\(μ_e\)+\(μ_f\)-5\(μ\)
となります。

SN比η、感度Sは
●\(η_{ABCDEF}\)=\(η_a\)+\(η_b\)+\(η_c\)+\(η_d\)+\(η_e\)+\(η_f\)-5\(\bar{η}\)
●\(S_{ABCDEF}\)=\(S_a\)+\(S_b\)+\(S_c\)+\(S_d\)+\(S_e\)+\(S_f\)-5\(\bar{S}\)

暗記不要で、データの構造式からどんな組み合わせパターンも式が作れます!

●SN比において、
A,B,C,D,E,Fで値のSN比が大きい水準をみると
A1,B2,C1,D2,E1,F3なので、
\(η_{ABCDEF}\)=\(η_a\)+\(η_b\)+\(η_c\)+\(η_d\)+\(η_e\)+\(η_f\)-5\(\bar{η}\)
=9.28+27.48+12.67+15.82+16.98+12.08-5×12.06
=34.03

●感度において、
A,B,C,D,E,Fで値の感度が大きい水準をみると
A2,B1,C3,D2,E1,F3なので、
\(S_{ABCDEF}\)=\(S_a\)+\(S_b\)+\(S_c\)+\(S_d\)+\(S_e\)+\(S_f\)-5\(\bar{S}\)
=169+182.25+177.69+196+215.21+169-5×145.71
=380.59

と計算できました。

直交表L18を使って、SN比、感度の計算を実施しました。

直交表の種類に関係なく1つの解法で解ける事がわかりますね。

まとめ

「直交表L18を使ったパラメータ設計がわかる」を解説しました。

  • ①パラメータ設計にはどの直交表を使っても良い
  • ➁実験計画法の復習
  • ➂直交表L18を使ったパラメータ設計事例
  • ➃SN比と感度の計算
  • ➄最適条件の選定


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