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  • (カプランマイヤー法)グリーンウッドの公式導出がわかる

    (カプランマイヤー法)グリーンウッドの公式導出がわかる

    「グリーンウッドの公式導出がわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    (カプランマイヤー法)グリーンウッドの公式導出がわかる
    • ①カプランマイヤー法を復習する
    • ➁グリーンウッドの公式とは
    • ➂グリーンウッドの公式導出がわかる
    • ➃デルタ法の力を借りる!
    • ➄(続)グリーンウッドの公式導出がわかる
    グリーンウッドの公式導出は
    相当マニアックですが、折角なので解説します!
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    ①カプランマイヤー法を復習する

    関連記事で復習

    まずは、関連記事を読んでください。この記事をベースに本記事は解説しています。

    カプランマイヤー法が理解できる(その1)
    信頼性工学で「打切りデータ」を扱う際、カプランマイヤー法を使いますが、カプランマイヤーの式は導出できますか? 本記事では、公式暗記しがちなカプランマイヤーの式を丁寧に導出します。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    カプランマイヤー法

    教科書によっては、若干書き方が異なりますが、カプランマイヤー法とは

    信頼度S(t)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{d_i}{n_i})\)
    ●\(d_i\):故障数
    ●\(n_i\):全体の個数

    ポイントは、

    \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{d_i}{n_i})\)
    故障数/全体数 の累積掛け算の形であること!
    シンプルで使いやすい

    ➁グリーンウッドの公式とは

    信頼度S(t)の分散が

    \(V(S(t))\)=\(S(t)^2\)\(\sum_{i}^{} \frac{d_i}{n_i(n_i – d_i)}\)
    で表現できる。

    ➂グリーンウッドの公式導出がわかる

    では、やってみましょう。

    信頼度\(S(t)\)はカプランマイヤー法では生存関数と言いますね。
    S(t)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{d_i}{n_i})\)
    の両辺を対数でとります。

    \(log S(t)\) = \(\sum_{i}^{}log(1-\frac{d_i}{n_i})\)
    となりますね。

    次に両辺について、分散Varをつけてみましょう。
    \(Var(log S)\) = \(\sum_{i}^{}Var(log(1-\frac{d_i}{n_i}))\)

    ここから計算を進めるために、デルタ法を使います。強引な感じがしますが。

    ➃デルタ法の力を借りる!

    デルタ法とは

    確率変数\(X\)の平均と分散が、
    ●E[X]=\(μ_X\)
    ●V[X]=\(σ_X^2\)
    とする正規分布に従うとして、
    \(Y=g(X)\)という変数変換をするときに、\(g(X)\)を\(X\)の周りで1次式までテイラー展開をする方法である。

    デルタ法から導出できるもの

    \(Y=g(X)\)≒\(g(μ_X)\)+\((X-μ_X)g’(μ_X)\)とテイラー展開できます。

    ここに、両辺の分散を取ると
    \(V[Y=g(X)]\)≒\(V[g(μ_X)\)+\((X-μ_X)g’(μ_X)]\)
    =\(V[g(μ_X)]\)+\( g’(μ_X)^2\)\(V[X]\)+\(V[-μ_X g’(μ_X)]\)
    となります。

    ここで、
    ●(第1項)=\(V[g(μ_X)]\)=0 (平均の分散はないので0)
    ●(第2項)=\(g’(μ_X)^2 V[X]\)= \( g’(μ_X)^2 σ_X^2\)
    ●(第3項)= \(V[-μ_X g’(μ_X)]\)=0(平均の分散はないので0))
    より、式の結果は、

    \(V[Y=g(X)]\) ≒\( g’(μ_X)^2\)\(σ_X^2\)
    となり、この式をグリーンウッドの公式に活用します。

    グリーンウッドの公式に活用する

    \(V[Y=g(X)]\) ≒\( g’(μ_X)^2\)\(σ_X^2\)を
    \(g(X)=logX\)とすると、
    \(V[logX]\) ≒\( g’(μ_X)^2\)\(σ_X^2\)
    =\(\frac{1}{(μ_X)^2}\)\(Var(X)\)
    となります。

    \(X=S\)と直すと

    \(V[log S]\) ≒\(1/(S^2)Var[S]\)
    となり、この式をグリーンウッドの公式に活用します。

    ➄(続)グリーンウッドの公式導出がわかる

    式を再掲

    式を再掲します。
    \(Var(log S)\) = \(\sum_{i}^{}Var(log(1-\frac{d_i}{n_i}))\)

    二項分布の分散の力を借りる

    \(Var(log(1-\frac{d_i}{n_i}))\)において、\(p_i=\frac{d_i}{n_i}\)とおくと、
    二項分布の分散から
    \(Var(1-\frac{d_i}{n_i})\)=\(Var(\frac{d_i}{n_i})\)=\(\frac{p_i(1-p_i)}{n_i}\)
    となります。

    よって、
    \(Var(log(1-\frac{d_i}{n_i}))\)=\(\frac{1}{(1-d_i/n_i)^2}\)×\(Var[1-d_i/n_i]\)
    =\(1/(1-p_i)^2\)×\(\frac{p_i(1-p_i)}{n_i}\)
    =\(\frac{d_i}{n_i(n_i-d_i)}\)
    となります。

    式を変形すると

    \(Var(log S)\) = \(\sum_{i}^{}Var(log(1-\frac{d_i}{n_i}))\)
    = \(\sum_{i}^{} \frac{d_i}{n_i(n_i-d_i)}\)
    であり、
    \(V[log S]\) ≒\(1/(S^2) Var[S]\)
    より、

    \( 1/(S^2) Var[S]\)= \(\sum_{i}^{} \frac{d_i}{n_i(n_i-d_i)}\)
    となり、両辺を\(S^2\)をかけると

    \(V(S(t))\)=\(S(t)^2\)\(\sum_{i}^{} \frac{d_i}{n_i(n_i – d_i)}\)
    となります。
    めっちゃ、強引でしたが、導出できました!

    まとめ

    「(カプランマイヤー法)グリーンウッドの公式導出がわかる」を解説しました。

    • ①カプランマイヤー法を復習する
    • ➁グリーンウッドの公式とは
    • ➂グリーンウッドの公式導出がわかる
    • ➃デルタ法の力を借りる!
    • ➄(続)グリーンウッドの公式導出がわかる

  • 直列モデルを使った累積ハザード法がよくわかる

    直列モデルを使った累積ハザード法がよくわかる

    「直列モデルを使った累積ハザード法がわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    直列モデルを使った累積ハザード法がよくわかる
    • ①累積ハザード法の基礎を理解する
    • ➁直列モデルとは
    • ➂直列モデルを使った累積ハザード法の例題
    • ➃直列モデルを使って累積ハザード法を解いてみる
    直列モデルを使った累積ハザード法は
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    ①累積ハザード法の基礎を理解する

    関連記事で復習

    まずは、関連記事を読んでください。この記事をベースに本記事は解説しています。

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!
    累積ハザード法を使って、信頼度が計算できますか? 本記事は、累積ハザード法を使ったワイブル分布のフィッティングをわかりやすく解説します。確率紙を使わずに、簡単なグラフから求めるコツを伝授します! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    復習すべき大事なポイント

    関連記事から、復習すべき大事なポイントは、

    1. 順序統計量に従ってx軸データを大きさ順に並べる
    2. ハザードλと、その和である累積ハザードHを計算
    3. 累積ハザードHから信頼度Rを計算

    の3つですね。さらに、

    1. ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いがわかること
    2. カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いがわかること

    の3者の区別も大事ですね。

    ➁直列モデルとは

    図で理解する

    不良原因が2つあり、それが直列につながったモデルを想定して、それを累積ハザード法で解析する方法です。

    直列モデル

    数式で理解する

    指数分布でもワイブル分布でもよいですが、単体が次のモデルで表現できるとします。

    信頼度Rを
    ●単体A: \(R_A(t)=exp(-H_A(t))\)
    ●単体B: \(R_B(t)=exp(-H_B(t))\)
    と定義する。
    (\(H(t)\)は指数分布、ワイブル分布などが入る

    単体AとBを直列につなぐと、信頼度は

    信頼度\(R_{AB} (t)\)は、
    \(R_{AB}(t)=exp(-H_A(t))×exp(-H_B(t))\)
    \(R_{AB}(t)=exp(-(H_A(t)+H_B(t)))\)
    (\(H_A(t)\)と(\(H_B(t)\)の和で考えればOK!

    なので、累積ハザードHのA,Bの和と、A,Bそれぞれの累積ハザードHを求めてみましょう。

    ➂直列モデルを使った累積ハザード法の例題

    直列モデルでかつ、打切り有る、全盛りパターンを解いてみましょう。

    ある金属材料が破断するが、互いに独立な不良モデルA,Bであることがすでに分かっているとする。そこで、試験材料38個をサンプルし、破断時間を測定した。不良モデルA,B単体および直列モデルA+Bについて、累積ハザード法で解析せよ。

    データ

    サンプル番号
    (A)
    データti
    (D)
    故障モードM 打切り有無
    ○:未故障(打切り有)
    ×故障(打切り無)
    1 18 A ×
    2 70 B ×
    3 6 A ×
    4 35 A ×
    5 19 B ×
    6 95 B ×
    7 67 A ×
    8 37 A ×
    9 38 A ×
    10 14 A ×
    11 2 B ×
    12 40 B ×
    13 88 B ×
    14 41 A ×
    15 76 B ×
    16 4 B
    17 22 A ×
    18 25 A ×
    19 58 B ×
    20 29 A ×
    21 21 B ×
    22 12 B ×
    23 16 A ×
    24 45 A ×
    25 24 B ×
    26 49 A ×
    27 80 B ×
    28 51 A
    29 55 A
    30 27 B
    31 28 B ×
    32 57 A ×
    33 32 B ×
    34 15 B ×
    35 84 A ×
    36 60 A ×
    37 63 A ×
    38 73 A

    解いてみましょう。

    ➃直列モデルを使って累積ハザード法を解いてみる

    順序統計量に従って小さい順に並び替える

    データを並び替えましょう。累積ハザード法の解法の基本ですね。

    サンプル番号
    (A)
    順位i
    (B)
    逆順位K=n-i+1
    (n=20)
    (C)
    データti
    (D)
    故障モードM 打切り有無
    ○:未故障(打切り有)
    ×故障(打切り無)
    11 1 38 2 B ×
    16 2 37 4 B
    3 3 36 6 A ×
    22 4 35 12 B ×
    10 5 34 14 A ×
    34 6 33 15 B ×
    23 7 32 16 A ×
    1 8 31 18 A ×
    5 9 30 19 B ×
    21 10 29 21 B ×
    17 11 28 22 A ×
    25 12 27 24 B ×
    18 13 26 25 A ×
    30 14 25 27 B
    31 15 24 28 B ×
    20 16 23 29 A ×
    33 17 22 32 B ×
    4 18 21 35 A ×
    8 19 20 37 A ×
    9 20 19 38 A ×
    12 21 18 40 B ×
    14 22 17 41 A ×
    24 23 16 45 A ×
    26 24 15 49 A ×
    28 25 14 51 A
    29 26 13 55 A
    32 27 12 57 A ×
    19 28 11 58 B ×
    36 29 10 60 A ×
    37 30 9 63 A ×
    7 31 8 67 A ×
    2 32 7 70 B ×
    38 33 6 73 A
    15 34 5 76 B ×
    27 35 4 80 B ×
    35 36 3 84 A ×
    13 37 2 88 B ×
    6 38 1 95 B ×

    各モードについて累積ハザードHを計算する

    単体については、その単体名がある行だけ計算し、直列モデルはまとめて計算します。式は下表のように計算していきます。

    順位i
    (B)
    逆順位
    K=n-i+1
    (n=38)
    (C)
    故障モードM 打切り有無
    ○:打切有
    ×打切無
    不良率hi
    1/(逆順位)
    (E)
    累積
    ハザード値
    Hi(A)
    累積
    ハザード値
    Hi(B)
    累積
    ハザード値
    Hi(A+B)
    1 38 B × 1/38 1/38 1/38
    2 37 B 1/38 1/38+1/37
    3 36 A × 1/36 1/36 1/38+1/37+1/36
    4 35 B × 1/35 1/38+1/35 1/38+…+1/35
    5 34 A 1/36 1/38+…+1/34
    6 33 B × 1/33 1/38+1/35+1/33 1/38+…+1/33
    7 32 A × 1/32 1/36+1/32 1/38+…+1/32
    ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

    計算のポイントは、

    1. 各順位における不良率を計算するが、打切り有だと計算しない
    2. A,B各モード単体に分けて計算する
    3. 直列モードA+Bは全順位について計算する

    実際のデータは下表になります。一度計算すると理解が深まります。

    順位i
    (B)
    逆順位
    K=n-i+1
    (n=38)
    ©
    故障モードM 打切り有無
    ○:打切有
    ×打切無
    不良率hi
    1/(逆順位)
    (E)
    累積
    ハザード値
    Hi(A)
    累積
    ハザード値
    Hi(B)
    累積
    ハザード値
    Hi(A+B)
    1 38 B × 0.026 0.026 0.026
    2 37 B 0.026 0.026
    3 36 A × 0.028 0.028 0.054
    4 35 B × 0.029 0.055 0.083
    5 34 A × 0.029 0.057 0.112
    6 33 B × 0.03 0.085 0.142
    7 32 A × 0.031 0.088 0.174
    8 31 A × 0.032 0.121 0.206
    9 30 B × 0.033 0.119 0.239
    10 29 B × 0.034 0.153 0.274
    11 28 A × 0.036 0.156 0.309
    12 27 B × 0.037 0.19 0.346
    13 26 A × 0.038 0.195 0.385
    14 25 B 0.19 0.385
    15 24 B × 0.042 0.232 0.427
    16 23 A × 0.043 0.238 0.47
    17 22 B × 0.045 0.277 0.516
    18 21 A × 0.048 0.286 0.563
    19 20 A × 0.05 0.336 0.613
    20 19 A × 0.053 0.389 0.666
    21 18 B × 0.056 0.333 0.721
    22 17 A × 0.059 0.447 0.78
    23 16 A × 0.063 0.51 0.843
    24 15 A × 0.067 0.577 0.909
    25 14 A 0.577 0.909
    26 13 A 0.577 0.909
    27 12 A × 0.083 0.66 0.993
    28 11 B × 0.091 0.424 1.084
    29 10 A × 0.1 0.76 1.184
    30 9 A × 0.111 0.871 1.295
    31 8 A × 0.125 0.996 1.42
    32 7 B × 0.143 0.566 1.563
    33 6 A 0.996 1.563
    34 5 B × 0.2 0.766 1.763
    35 4 B × 0.25 1.016 2.013
    36 3 A × 0.333 1.329 2.346
    37 2 B × 0.5 1.516 2.846
    38 1 B × 1 2.516 3.846

    各モードにデータを分けてグラフ化する

    単体Aの場合

    上表でAについての行だけ取り出します。

    A データti
    (D)
    累積ハザード値H(A) log(ti) logH(A)
    1 6 0.028 1.792 -3.584
    2 14 0.057 2.639 -2.862
    3 16 0.088 2.773 -2.426
    4 18 0.121 2.891 -2.115
    5 22 0.156 3.091 -1.855
    6 25 0.195 3.219 -1.636
    7 29 0.238 3.368 -1.434
    8 35 0.286 3.556 -1.252
    9 37 0.336 3.611 -1.091
    10 38 0.389 3.638 -0.945
    11 41 0.447 3.714 -0.804
    12 45 0.51 3.807 -0.674
    13 49 0.577 3.892 -0.551
    14 51 0.577 3.932 -0.551
    15 55 0.577 4.008 -0.551
    16 57 0.66 4.043 -0.416
    17 60 0.76 4.095 -0.275
    18 63 0.871 4.144 -0.138
    19 67 0.996 4.205 -0.004
    20 73 0.996 4.291 -0.004
    21 84 1.329 4.431 0.285

    単体Bの場合

    上表でBについての行だけ取り出します。

    B データti
    (D)
    累積ハザード値H(B) log(ti) logH(B)
    1 2 0.026 0.693 -3.638
    2 4 0.026 1.386 -3.638
    3 12 0.055 2.485 -2.903
    4 15 0.085 2.708 -2.463
    5 19 0.119 2.945 -2.133
    6 21 0.153 3.045 -1.877
    7 24 0.19 3.178 -1.661
    8 27 0.19 3.296 -1.661
    9 28 0.232 3.333 -1.462
    10 32 0.277 3.466 -1.283
    11 40 0.333 3.689 -1.101
    12 58 0.424 4.061 -0.859
    13 70 0.566 4.249 -0.568
    14 76 0.766 4.331 -0.266
    15 80 1.016 4.382 0.016
    16 88 1.516 4.478 0.416
    17 95 2.516 4.554 0.923

    直列モデルA+Bの場合

    A+B データti
    (D)
    累積ハザード値H(A+B) log(ti) logH(A+B)
    1 2 0.026 0.693 -3.638
    2 4 0.026 1.386 -3.638
    3 6 0.054 1.792 -2.917
    4 12 0.083 2.485 -2.493
    5 14 0.112 2.639 -2.189
    6 15 0.142 2.708 -1.949
    7 16 0.174 2.773 -1.751
    8 18 0.206 2.891 -1.581
    9 19 0.239 2.945 -1.431
    10 21 0.274 3.045 -1.296
    11 22 0.309 3.091 -1.173
    12 24 0.346 3.178 -1.06
    13 25 0.385 3.219 -0.955
    14 27 0.385 3.296 -0.955
    15 28 0.427 3.333 -0.852
    16 29 0.47 3.368 -0.755
    17 32 0.516 3.466 -0.663
    18 35 0.563 3.556 -0.574
    19 37 0.613 3.611 -0.489
    20 38 0.666 3.638 -0.407
    21 40 0.721 3.689 -0.327
    22 41 0.78 3.714 -0.248
    23 45 0.843 3.807 -0.171
    24 49 0.909 3.892 -0.095
    25 51 0.909 3.932 -0.095
    26 55 0.909 4.008 -0.095
    27 57 0.993 4.043 -0.007
    28 58 1.084 4.061 0.08
    29 60 1.184 4.095 0.169
    30 63 1.295 4.144 0.258
    31 67 1.42 4.205 0.35
    32 70 1.563 4.249 0.446
    33 73 1.563 4.291 0.446
    34 76 1.763 4.331 0.567
    35 80 2.013 4.382 0.699
    36 84 2.346 4.431 0.853
    37 88 2.846 4.478 1.046
    38 95 3.846 4.554 1.347

    結果をグラフ化

    A,B単体と、直列モデルA+Bを累積ハザード法で計算しました。グラフはこうなります。

    累積ハザード法

    まとめ

    「直列モデルを使った累積ハザード法がよくわかる」を解説しました。

    • ①累積ハザード法の基礎を理解する
    • ➁直列モデルとは
    • ➂直列モデルを使った累積ハザード法の例題
    • ➃直列モデルを使って累積ハザード法を解いてみる

  • カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いがよくわかる

    カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いがよくわかる

    「カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いがよくわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いがよくわかる
    • ①累積ハザード法の基礎を理解する
    • ➁カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いを理解する
    • ➂同じ問題をカプランマイヤー法と累積ハザード法それぞれで解いてみる
    • ➃打切りデータが無い場合
    • ➄打切りデータが有る場合
    累積ハザード法がわかると、
    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いは何か?
    カプランマイヤー法と累積ハザード法の違い何か?
    がわからなくなるので解説します!
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    ①累積ハザード法の基礎を理解する

    まずは、関連記事を読んでください。この記事をベースに本記事は解説しています。

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!
    累積ハザード法を使って、信頼度が計算できますか? 本記事は、累積ハザード法を使ったワイブル分布のフィッティングをわかりやすく解説します。確率紙を使わずに、簡単なグラフから求めるコツを伝授します! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いを理解する

    違いは何か?

    両者とも、計算方法の雰囲気がよく似ています。だから、違いが何かがわかりにくい!

    カプランマイヤー法

    関連記事の例題で解説したように、以下の表を使って、信頼度R(t)を計算します。関連記事はこれです!

    ヒストグラムから信頼度が計算できる
    ヒストグラムを使って、故障率や信頼度の計算ができますか?ヒストグラムの区分をいくらにすべきを自分の言葉で説明できますか?本記事では、信頼性工学の初級であるヒストグラムを使って故障率や信頼度を計算する方法と、その注意点をわかりやすく解説しています。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    i 打切り \(R(t)\)=\(\displaystyle \prod_{l=1}^i (\frac{n-l}{n-l+1})^{δ_i}\)
    0 1
    1 1 1×\((\frac{4}{5})^1\)=0.8
    2 0 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)=0.8
    3 1 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)=0.533
    4 0 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)×\((\frac{1}{2})^0\)=0.533
    5 1 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)×\((\frac{1}{2})^0\)×\((\frac{0}{1})^1\)=0

    累積ハザード法

    上の例題を累積ハザード法を使って信頼度R(t)を計算します。

    i 打切り ハザードλ(t) 累積ハザード法H(t) R(t)=\(exp(-H(t))\)
    0 0 0 1
    1 1 \((\frac{1}{5})\) \((\frac{1}{5})\)=0.2 exp(-0.2)=0.819
    2 0 \((\frac{0}{4})\) (\((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\))
    3 1 \((\frac{1}{3})\) \((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\)+\((\frac{1}{3})\)=0.53 exp(-0.53)=0.589
    4 0 \((\frac{0}{2})\) (\((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\)+\((\frac{1}{3})\)+\((\frac{0}{2})\))
    5 1 \((\frac{1}{1})\) \((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\)+\((\frac{1}{3})\)+\((\frac{0}{2})\)+\((\frac{1}{1})\)=1.53 exp(-1.53)=0.217

    よく見ると、

    i 打切り カプランマイヤー法R(T) 累積ハザード法H(t)
    0 1 0
    1 1 1×\((\frac{4}{5})^1\)=0.8 \((\frac{1}{5})\)=0.2
    2 0 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)=0.8 (\((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\))
    3 1 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)=0.533 \((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\)+\((\frac{1}{3})\)=0.53
    4 0 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)×\((\frac{1}{2})^0\)=0.533 (\((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\)+\((\frac{1}{3})\)+\((\frac{0}{2})\))
    5 1 1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)×\((\frac{1}{2})^0\)×\((\frac{0}{1})^1\)=0 \((\frac{1}{5})\)+\((\frac{0}{4})\)+\((\frac{1}{3})\)+\((\frac{0}{2})\)+\((\frac{1}{1})\)=1.53

    と、解き方がよく似ていますよね!

    違いはわかりますか?

    違いは、あまりありません!
    打切り有無の両ケースを使って、2つの手法の計算結果をこれから比較しますが、
    ほぼ同じ結果になります。
    あえて、違いをいえば、
    ●カプランマイヤー法の解き方は、指数分布を意識している
    ●累積ハザード法はワイブル分布などを意識している
    くらいで、ほぼ同じと見てよいでしょうね。
    実際に例題を使って比較しましょう。
    カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いをまとめた記事はQCプラネッツだけ!

    ➂同じ問題をカプランマイヤー法と累積ハザード法それぞれで解いてみる

    例題

    関連記事にもある、例題を使ってみましょう。同じ問いを使うことで、手法の違いが理解できます!

    サンプル番号 1 2 3 4 5
    時間t 800 350 730 1770 390
    サンプル番号 6 7 8 9 10
    時間t 110 100 160 940 320
    サンプル番号 11 12 13 14 15
    時間t 40 190 590 1260 420
    サンプル番号 16 17 18 19 20
    時間t 250 490 1060 290 630

    【問】
    上の表データを
    (1)カプランマイヤー法
    (2)累積ハザード法
    で、それぞれ信頼度Rを計算せよ。

    手法、確率分布によらず、順序統計量に従って、データを小さい順に並べ替える

    下表のようになります。これは、カプランマイヤー法、累積ハザード法両方とも同じです。

    サンプル番号 1 2 3 4 5
    時間t 40 100 110 160 190
    サンプル番号 6 7 8 9 10
    時間t 250 290 320 350 390
    サンプル番号 11 12 13 14 15
    時間t 420 490 590 630 730
    サンプル番号 16 17 18 19 20
    時間t 800 940 1060 1260 1770

    ➃打切りデータが無い場合

    まず、打切りが無い場合を解いてみましょう。

    カプランマイヤー法

    結果を表にまとめると、

    i 打切り カプランマイヤー法R(T)
    0 1 1
    1 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)=0.95
    2 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)×\((\frac{18}{19})^1\)=0.9
    3 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)×\((\frac{18}{19})^1\)×\((\frac{17}{18})^1\)=0.85
    4 1 0.8
    5 1 0.75
    6 1 0.7
    7 1 0.65
    8 1 0.6
    9 1 0.55
    10 1 0.5
    11 1 0.45
    12 1 0.4
    13 1 0.35
    14 1 0.3
    15 1 0.25
    16 1 0.2
    17 1 0.15
    18 1 0.1
    19 1 0.05
    20 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)×\((\frac{18}{19})^1\)×\((\frac{17}{18})^1\)×…×\((\frac{0}{1})^1\)=0

    累積ハザード法

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!
    累積ハザード法を使って、信頼度が計算できますか? 本記事は、累積ハザード法を使ったワイブル分布のフィッティングをわかりやすく解説します。確率紙を使わずに、簡単なグラフから求めるコツを伝授します! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    累積ハザードを計算すると、下表になります。

    i 打切り ハザードλ 累積ハザード
    H(t)=∑λ
    信頼度R(t)=
    \(exp(-H(t)\)
    0 1 0 0 1
    1 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.05 0.05 0.951
    2 1 \((\frac{1}{19})^1\)=0.053 0.103 0.902
    3 1 \((\frac{1}{18})^1\)=0.056 0.158 0.854
    4 1 \((\frac{1}{17})^1\)=0.059 0.217 0.805
    5 1 \((\frac{1}{16})^1\)=0.063 0.28 0.756
    6 1 \((\frac{1}{15})^1\)=0.067 0.346 0.707
    7 1 \((\frac{1}{14})^1\)=0.071 0.418 0.659
    8 1 \((\frac{1}{13})^1\)=0.077 0.495 0.61
    9 1 \((\frac{1}{12})^1\)=0.083 0.578 0.561
    10 1 \((\frac{1}{11})^1\)=0.091 0.669 0.512
    11 1 \((\frac{1}{10})^1\)=0.1 0.769 0.464
    12 1 \((\frac{1}{9})^1\)=0.111 0.88 0.415
    13 1 \((\frac{1}{8})^1\)=0.125 1.005 0.366
    14 1 \((\frac{1}{7})^1\)=0.143 1.148 0.317
    15 1 \((\frac{1}{6})^1\)=0.167 1.314 0.269
    16 1 \((\frac{1}{5})^1\)=0.2 1.514 0.22
    17 1 \((\frac{1}{4})^1\)=0.25 1.764 0.171
    18 1 \((\frac{1}{3})^1\)=0.333 2.098 0.123
    19 1 \((\frac{1}{2})^1\)=0.5 2.598 0.074
    20 1 \((\frac{1}{1})^1\)=1 3.598 0.027

    カプランマイヤー法と累積ハザード法を比較

    結果は、

    i 打切り カプランマイヤー法R(T) 信頼度R(t)=\(exp(-H(t)\)
    0 1 1 1
    1 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)=0.95 0.951
    2 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)×\((\frac{18}{19})^1\)=0.9 0.902
    3 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)×\((\frac{18}{19})^1\)×\((\frac{17}{18})^1\)=0.85 0.854
    4 1 0.8 0.805
    5 1 0.75 0.756
    6 1 0.7 0.707
    7 1 0.65 0.659
    8 1 0.6 0.61
    9 1 0.55 0.561
    10 1 0.5 0.512
    11 1 0.45 0.464
    12 1 0.4 0.415
    13 1 0.35 0.366
    14 1 0.3 0.317
    15 1 0.25 0.269
    16 1 0.2 0.22
    17 1 0.15 0.171
    18 1 0.1 0.123
    19 1 0.05 0.074
    20 1 1×\((\frac{19}{20})^1\)×\((\frac{18}{19})^1\)×\((\frac{17}{18})^1\)×…×\((\frac{0}{1})^1\)=0 0.027

    グラフで比較すると

    カプランマイヤー法と累積ハザード法

    両者とも、結果はほぼ同じとわかりました。

    次に、打ち切りデータが有る場合を調べます。

    ➄打切りデータが有る場合

    まず、打切りが有る場合を解いてみましょう。

    打切りデータ有りの例題

    打切りデータが無い場合のデータからいくつか、打切り有りのデータに変えましょう。

    サンプル番号
    (A)
    順位i
    (B)
    時間ti
    (D)
    打切り有無
    ○:未故障(打切り有)
    ×故障(打切り無)
    11 1 800
    7 2 350 ×
    6 3 730 ×
    8 4 1770
    12 5 390 ×
    16 6 110
    19 7 100 ×
    10 8 160 ×
    2 9 940 ×
    5 10 320 ×
    15 11 40 ×
    17 12 190 ×
    13 13 590 ×
    20 14 1260
    3 15 420 ×
    1 16 250 ×
    9 17 490 ×
    18 18 1060
    14 19 290 ×
    4 20 630

    カプランマイヤー法

    結果を表にまとめると、

    i 打切り カプランマイヤー法R(T)
    1 0 1×\((\frac{19}{20})^0\)=1
    2 1 1×\((\frac{19}{20})^0\)×\((\frac{18}{19})^1\)=0.947
    3 1 0.895
    4 0 0.895
    5 1 0.839
    6 0 0.839
    7 1 0.779
    8 1 0.719
    9 1 0.659
    10 1 0.599
    11 1 0.539
    12 1 0.479
    13 1 0.419
    14 0 0.419
    15 1 0.35
    16 1 0.28
    17 1 0.21
    18 0 0.21
    19 1 0.105
    20 0 1×\((\frac{19}{20})^0\)×\((\frac{18}{19})^1\)×…×\((\frac{1}{2})^0\)=0.105

    累積ハザード法

    累積ハザードを計算すると、下表になります。

    i 打切り ハザードλ(t) 累積ハザードH(t)=∑λ(t) 信頼度R(t)=\(exp(-H(t)\))
    0 1 0 0 1
    1 0 \((\frac{0}{20})^1\)=0 0
    2 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0526 0.053 0.949
    3 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0556 0.108 0.897
    4 0 \((\frac{0}{20})^1\)=0 0.108
    5 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0625 0.171 0.843
    6 0 \((\frac{0}{20})^1\)=0 0.171
    7 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0714 0.242 0.785
    8 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0769 0.319 0.727
    9 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0833 0.402 0.669
    10 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.0909 0.493 0.611
    11 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.1 0.593 0.553
    12 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.111 0.704 0.494
    13 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.125 0.829 0.436
    14 0 \((\frac{0}{20})^1\)=0 0.829
    15 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.167 0.996 0.369
    16 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.2 1.196 0.302
    17 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.25 1.446 0.236
    18 0 \((\frac{0}{20})^1\)=0 1.446
    19 1 \((\frac{1}{20})^1\)=0.5 1.946 0.143
    20 0 \((\frac{0}{20})^1\)=0 1.946

    カプランマイヤー法と累積ハザード法を比較

    結果は、

    時間ti 累積ハザード法 カプランマイヤー法
    40 1
    100 0.949 0.947
    110 0.897 0.895
    160 0.895
    190 0.843 0.839
    250 0.839
    290 0.785 0.779
    320 0.727 0.719
    350 0.669 0.659
    390 0.611 0.599
    420 0.553 0.539
    490 0.494 0.479
    590 0.436 0.419
    630 0.419
    730 0.369 0.35
    800 0.302 0.28
    940 0.236 0.21
    1060 0.21
    1260 0.143 0.105
    1770 0.105

    グラフで比較すると

    カプランマイヤー法と累積ハザード法

    両者とも、結果はほぼ同じとわかりました。

    カプランマイヤー法も累積ハザード法も信頼度R(t)はほぼ同じ結果になることがわかりましたね!

    まとめ

    「カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いがよくわかる」を解説しました。

    • ①累積ハザード法の基礎を理解する
    • ➁カプランマイヤー法と累積ハザード法の違いを理解する
    • ➂同じ問題をカプランマイヤー法と累積ハザード法それぞれで解いてみる
    • ➃打切りデータが無い場合
    • ➄打切りデータが有る場合

  • ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いがよくわかる

    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いがよくわかる

    「ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いがよくわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いがよくわかる
    • ①累積ハザード法の基礎を理解する
    • ➁ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する
    • ➂同じ問題をワイブル確率紙と累積ハザード法それぞれで解いてみる
    • ➃打切りが無い場合は、両者は同等の結果になる
    • ➄打切りが無い場合は、両者の結果に差が出る
    累積ハザード法がわかると、
    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いは何か?
    カプランマイヤー法と累積ハザード法の違い何か?
    がわからなくなるので解説します!
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    ①累積ハザード法の基礎を理解する

    まずは、関連記事を読んでください。この記事をベースに本記事は解説しています。

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!
    累積ハザード法を使って、信頼度が計算できますか? 本記事は、累積ハザード法を使ったワイブル分布のフィッティングをわかりやすく解説します。確率紙を使わずに、簡単なグラフから求めるコツを伝授します! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する

    違いは何か?

    図のように同じような確率紙を使って、パラメータの値を求めます。
    違いはわかりますか?

    累積ハザード法

    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いは打切りデータを考慮できるかどうかの違い

    つまり、

    打切りデータが無い場合は、ほぼ同じ結果になるが、
    打切りデータが有る場合は、
    ワイブル確率紙の方は、打切りしない(故障した)データとして扱い
    累積ハザード法は打切りデータとして扱えるため、
    ワイブル確率紙の方が厳し目の結果になってしまう。

    という違いが出ます。

    実際に例題を使って比較しましょう。
    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いをまとめた記事はQCプラネッツだけ!

    ➂同じ問題をワイブル確率紙と累積ハザード法それぞれで解いてみる

    例題

    関連記事にもある、例題を使ってみましょう。

    サンプル番号 1 2 3 4 5
    時間t 800 350 730 1770 390
    サンプル番号 6 7 8 9 10
    時間t 110 100 160 940 320
    サンプル番号 11 12 13 14 15
    時間t 40 190 590 1260 420
    サンプル番号 16 17 18 19 20
    時間t 250 490 1060 290 630

    【問】
    上の表データを
    (1)ワイブル確率紙
    (2)累積ハザード法
    それぞれの手法で、ワイブル分布にフィッティングした場合の定数を求めよ。
    (注)
    (ここで、ワイブル分布\(R(t)\)=\(exp^{-H(t)}\)において、
    \(H(t)\)=\((\frac{t}{η})^m\)から
    \(log(H(t)\)=\(m(log(t)-log(η))\)として
    定数\(m\)、\(η\)を求めること

    手法、確率分布によらず、順序統計量に従って、データを小さい順に並べ替える

    下表のようになります。これは、ワイブル確率紙、累積ハザード法両方とも同じです。

    サンプル番号 1 2 3 4 5
    時間t 40 100 110 160 190
    サンプル番号 6 7 8 9 10
    時間t 250 290 320 350 390
    サンプル番号 11 12 13 14 15
    時間t 420 490 590 630 730
    サンプル番号 16 17 18 19 20
    時間t 800 940 1060 1260 1770

    ➃打切りが無い場合は、両者は同等の結果になる

    まず、打切りが無い場合を解いてみましょう。

    ワイブル確率紙

    確率を順序統計量に従って、メディアンランク法から計算します。これについては、関連記事で確認ください。

    メジアンランク法がよくわかる
    メジアンランク法は説明できますか? 本記事では順序統計量をベースにメジアンランク法をわかりやすく解説し、実際に解析しながら、公式の理解が深める事ができます。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    確率F= \(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)という式をメディアンランク法から使いますが、公式の導出過程を関連記事で確認してください。

    結果を表にまとめると、

    i data F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\) R=1-F X(=log(data)) Y(=ln(ln(1/R))
    1 40 0.034 0.966 3.689 -3.355
    2 100 0.083 0.917 4.606 -2.442
    3 110 0.132 0.868 4.701 -1.952
    4 160 0.181 0.819 5.076 -1.609
    5 190 0.23 0.77 5.248 -1.34
    6 250 0.279 0.721 5.522 -1.116
    7 290 0.328 0.672 5.67 -0.921
    8 320 0.377 0.623 5.769 -0.747
    9 350 0.426 0.574 5.859 -0.587
    10 390 0.475 0.525 5.967 -0.438
    11 420 0.525 0.475 6.041 -0.296
    12 490 0.574 0.426 6.195 -0.16
    13 590 0.623 0.377 6.381 -0.026
    14 630 0.672 0.328 6.446 0.108
    15 730 0.721 0.279 6.594 0.243
    16 800 0.77 0.23 6.685 0.384
    17 940 0.819 0.181 6.847 0.535
    18 1060 0.868 0.132 6.967 0.704
    19 1260 0.917 0.083 7.14 0.91
    20 1770 0.966 0.034 7.48 1.216

    ワイブル確率は、上表のX(=log(data))とY(=ln(ln(1/R))の直線グラフから定数\(m\)、\(η\)を求めます。グラフは下図になります。

    ワイブル確率紙

    結果は、
    \(m\)=直線の傾きより=1.233
    \(η\)=593.02
    (\(η\)は y切片 \(m(log(η))\)=7.8706から算出)
    となります。

    累積ハザード法

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!
    累積ハザード法を使って、信頼度が計算できますか? 本記事は、累積ハザード法を使ったワイブル分布のフィッティングをわかりやすく解説します。確率紙を使わずに、簡単なグラフから求めるコツを伝授します! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    累積ハザードを計算すると、下表になります。

    順位i
    (B)
    逆順位K=n-i+1
    (n=20)
    (C)
    時間ti
    (D)
    打切り有無
    ○⇒0
    ×⇒1
    不良率hi
    1/(逆順位) ×100%
    (E)
    累積ハザード値Hi
    ∑hi
    (F)
    1 20 40 1 1/20 1/20=0.05
    2 19 100 1 1/19 1/20+1/19=0.103
    3 18 110 1 1/18 1/20+1/19+1/18
    =0.158
    4 17 160 1 1/17 0.217
    5 16 190 1 1/16 0.28
    6 15 250 1 1/15 0.346
    7 14 290 1 1/14 0.418
    8 13 320 1 1/13 0.495
    9 12 350 1 1/12 0.578
    10 11 390 1 1/11 0.669
    11 10 420 1 1/10 0.769
    12 9 490 1 1/9 0.88
    13 8 590 1 1/8 1.005
    14 7 630 1 1/7 1.148
    15 6 730 1 1/6 1.314
    16 5 800 1 1/5 1.514
    17 4 940 1 1/4 1.764
    18 3 1060 1 1/3 2.098
    19 2 1260 1 1/2 2.598
    20 1 1770 1 1/1 1/20+1/19+1/18
    +…+1/2+1/1
    =3.598

    累積ハザード法を直線グラフにするために、上の表の色枠をつけた、時間log(ti)
    と、累積ハザード値log(Hi)を使って、下表にまとめます。

    順位i
    (B)
    t H(t) log(t) log(H(t)
    1 800 0.05 3.689 -2.996
    2 350 0.103 4.606 -2.277
    3 730 0.158 4.701 -1.844
    4 1770 0.217 5.076 -1.528
    5 390 0.28 5.248 -1.275
    6 110 0.346 5.522 -1.061
    7 100 0.418 5.67 -0.873
    8 160 0.495 5.769 -0.704
    9 940 0.578 5.859 -0.548
    10 320 0.669 5.967 -0.402
    11 40 0.769 6.041 -0.263
    12 190 0.88 6.195 -0.128
    13 590 1.005 6.381 0.005
    14 1260 1.148 6.446 0.138
    15 420 1.314 6.594 0.273
    16 250 1.514 6.685 0.415
    17 490 1.764 6.847 0.568
    18 1060 2.098 6.967 0.741
    19 290 2.598 7.14 0.955
    20 630 3.598 7.48 1.28

    結果をグラフにまとめると

    累積ハザード法

    結果は、
    \(m\)=直線の傾きより=1.173
    \(η\)=580.24
    (\(η\)は y切片 \(m(log(η)\))=7.4461から算出)
    となります。

    ワイブル確率紙と累積ハザード法を比較

    結果は、

    ワイブル確率紙 累積ハザード法
    \(m\) 1.233 1.173
    \(η\) 593.02 580.24
    ワイブル確率紙でも累積ハザード法でもほぼ同じ結果が出ました!

    グラフでも比較すると、

    累積ハザード法

    打切りデータが無い場合は、ほぼ同じ結果になることがわかりました。

    では、次に、打切りデータが有る場合に、両者の結果に差が出るか確認しましょう。

    ➄打切りが無い場合は、両者の結果に差が出る

    データに打切り有無を追加

    関連記事にもある、例題を使ってみましょう。

    未故障だったデータ、つまり打切りデータある場合は(○)
    故障したデータ、つまり打切りしなかったデータは(×)と表記します。
    サンプル番号 1 2 3 4 5
    時間t 800(○) 350(×) 730(×) 1770(○) 390(×)
    サンプル番号 6 7 8 9 10
    時間t 110(○) 100(×) 160(×) 940(×) 320(×)
    サンプル番号 11 12 13 14 15
    時間t 40(×) 190(×) 590(×) 1260(○) 420(×)
    サンプル番号 16 17 18 19 20
    時間t 250(×) 490(×) 1060(○) 290(×) 630(○)

    【問】
    上の表データを
    (1)ワイブル確率紙
    (2)累積ハザード法
    それぞれの手法で、ワイブル分布にフィッティングした場合の定数を求めよ。
    (注)
    (ここで、ワイブル分布\(R(t)\)=\(exp^{-H(t)}\)において、
    \(H(t)\)=\((\frac{t}{η})^m\)から
    \(log(H(t)\)=\(m(log(t)-log(η))\)として
    定数\(m\)、\(η\)を求めること

    手法、確率分布によらず、順序統計量に従って、データを小さい順に並べ替える

    これは、ワイブル確率紙、累積ハザード法両方とも同じで、打切りデータ有無に関係ありません。同じ表なので、割愛します。

    < h3>ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙においては、打切りデータある場合の対処がないため、打切りデータが無い場合と同じ結果になります。

    結果を表にまとめると、

    ワイブル確率は、上表のX(=log(data))とY(=ln(ln(1/R))の直線グラフから定数\(m\)、\(η\)を求めます。グラフは下図になります。

    ワイブル確率紙

    結果は、
    \(m\)=直線の傾きより=1.233
    \(η\)=593.02
    (\(η\)は y切片 \(m(log(η)\))=7.8706から算出)
    となります。

    累積ハザード法

    累積ハザードを計算すると、下表になります。

    順位i
    (B)
    逆順位K=n-i+1
    (n=20)
    (C)
    時間ti
    (D)
    打切り有無
    ○⇒0
    ×⇒1
    不良率hi
    1/(逆順位) ×100%
    (E)
    累積ハザード値Hi
    ∑hi
    (F)
    1 20 40 0 0/20
    2 19 100 1 1/19 0/20+1/19=0.053
    3 18 110 1 1/18 0/20+1/19+1/18=0.108
    4 17 160 0 0/17 0.108
    5 16 190 1 1/16 0.171
    6 15 250 0 0/15 0.171
    7 14 290 1 1/14 0.242
    8 13 320 1 1/13 0.319
    9 12 350 1 1/12 0.402
    10 11 390 1 1/11 0.493
    11 10 420 1 1/10 0.593
    12 9 490 1 1/9 0.704
    13 8 590 1 1/8 0.829
    14 7 630 0 0/7 0.829
    15 6 730 1 1/6 0.996
    16 5 800 1 1/5 1.196
    17 4 940 1 1/4 1.446
    18 3 1060 0 0/3 1.446
    19 2 1260 1 1/2 1.946
    20 1 1770 0 0/1 0/20+1/19+1/18+…+0/3+1/2+0/1=1.946

    累積ハザード法を直線グラフにするために、上の表の色枠をつけた、時間log(ti)
    と、累積ハザード値log(Hi)を使って、下表にまとめます。

    ちなみに、打切り無しのデータを下表の右側にも参考で載せます。打切り有無でデータが変わっているのが分かりますね。

    log(t) log(H(t) log(H(t)
    (打切り無し)
    3.689 -2.996
    4.606 -2.945 -2.277
    4.701 -2.224 -1.844
    5.076 -2.224 -1.528
    5.248 -1.768 -1.275
    5.522 -1.768 -1.061
    5.67 -1.418 -0.873
    5.769 -1.143 -0.704
    5.859 -0.91 -0.548
    5.967 -0.707 -0.402
    6.041 -0.522 -0.263
    6.195 -0.35 -0.128
    6.381 -0.187 0.005
    6.446 -0.187 0.138
    6.594 -0.004 0.273
    6.685 0.179 0.415
    6.847 0.369 0.568
    6.967 0.369 0.741
    7.14 0.666 0.955
    7.48 0.666 1.28

    結果をグラフにまとめると

    累積ハザード法

    結果は、
    \(m\)=直線の傾きより=0.7965
    \(η\)=924.42
    (\(η\)は y切片 \(m(log(η)\))=5.4401から算出)
    となります。

    ワイブル確率紙と累積ハザード法を比較

    結果は、

    ワイブル確率紙 累積ハザード法
    \(m\) 1.233 0.7965
    \(η\) 593.02 924.42
    ワイブル確率紙でも累積ハザード法で、結果に差が出ました。
    mは累積ハザード法の方が低くでました。
    打切り有(未故障)データがあるので、寿命は長くなるはずだから、妥当な結果ですよね。
    ηは累積ハザード法の方が長くでました。
    打切り有(未故障)データがあるので、寿命は長くなるはずだから、妥当な結果ですよね。

    グラフでも比較すると、

    累積ハザード法

    打切りデータがあると、ワイブル確率紙は寿命が短いという厳しい評価をするために、累積ハザード法を使う必要があることがよくわかりますね。

    まとめ

    「ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いがよくわかる」を解説しました。

    • ①累積ハザード法の基礎を理解する
    • ➁ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する
    • ➂同じ問題をワイブル確率紙と累積ハザード法それぞれで解いてみる
    • ➃打切りが無い場合は、両者は同等の結果になる
    • ➄打切りが無い場合は、両者の結果に差が出る

  • 累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!

    「累積ハザード法がよくわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!
    • ①ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する
    • ➁指数分布を確率紙で考える
    • ➂カプランマイヤー法、ワイブル確率紙、累積ハザード法の違いを理解する(その2へ)
    累積ハザード法も自分でグラフ描いてフィッティングできます
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    ①ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する

    累積ハザード法とは

    「累積ハザード法」単体で説明されることが多いですが、

    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いが最後までわからないはずなので、違いがわかるように最初から書きます。
    累積ハザード法とは、未故障データ(打切りデータ)を打切りデータとして扱ってよい手法

    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する

    ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いは、教科書的には、

    ワイブル確率紙とは、未故障データ(打切りデータ)を故障データとみなして扱う手法(打切りデータそのものは扱えない)
    累積ハザード法とは、未故障データ(打切りデータ)を打切りデータとして扱ってよい手法(打切りデータそのもの扱える)

    QCプラネッツ、個人的には、どちらでも差はないとみています。
    フィッティングして求める手法であり、精度もそれほど高いものでもないからです。
    モデルで故障時間を推定しても、本当にその時間で故障するかなんてわからんし、おまじない程度です。

    大事なのは、違いを理解することです!理解せずにやり方だけ知っているとならないよう注意しましょう。

    ➁累積ハザード法の使い方がわかる

    ハザード関数、累積ハザード関数とは

    信頼度\(R(t)\)を
    ●\(R(t)\)=\(exp(-\displaystyle \int_{0}^{t} λ(t)dt)\)
    ここで、
    ●\(R(t)\)=\(exp(-H(t)\)
    \(H(t)\)=\( \displaystyle \int_{0}^{t} λ(t)dt \)
    とおくと、

    ●\(λ(t)dt \)をハザード関数
    ●\(H(t)\)=\( \displaystyle \int_{0}^{t} λ(t)dt \)を累積ハザード関数
    と定義します。

    累積ハザードでは、実データをもとに、ハザード関数、累積ハザード関数を使います。
    実際は、

    ●\(λ(t)dt \)=\(\frac{(t_i,t_i+Δt)における故障数}{t_iの直前における未故障データ数}\)
    ●\(H(t)\)=\( \sum_{i=1}^{l} \frac{(t_i,t_i+Δt)における故障数}{t_iの直前における未故障データ数}\)
    とて計算します。

    【ここを理解せよ!】ハザード関数、累積ハザード関数を使う理由

    ここで、大事なのは、

    ●\(λ(t)dt \)をハザード関数
    ●\(H(t)\)=\( \displaystyle \int_{0}^{t} λ(t)dt \)を累積ハザード関数
    は、未故障データ(打切りデータ)を打切りデータとして扱ってよい手法(打切りデータそのもの扱える)ことです。
    これがわからないと、何でワイブル確率紙じゃダメなの?と理解できない!
    ここを教科書では説明していない!

    【ここを理解せよ!】ハザード関数、累積ハザード関数を使う理由

    関連記事の「カプランマイヤー法」という全く別の手法の解説にヒントがあります。

    カプランマイヤー法が理解できる(その2)
    信頼性工学で「打切りデータ」を扱う際、カプランマイヤー法を使いますが、カプランマイヤーの式は導出できますか? 本記事では、公式暗記しがちなカプランマイヤーの式を丁寧に導出します。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ハザード関数がポイント!

    ●ハザード関数
    \(λ(t)\)= \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{1}{Δt}\)\((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)

    ここで、2つの独立した確率分布T,Uを用意します。
    ●T:生存時間確率分布(打切りなし)
    ●U:打切り時間確率分布(打切りあり)

    「打切りデータ」も考慮できるポイントは、
    条件付き確率で、打切りなしの確率Tに、打切りなしの確率Uの式を分母分子に掛け算して整理すると、合成することができる!
    つまり、 打切りあり、なしを区別しても合成してハザード関数が扱える性質を活かして、累積ハザード法を使っている点を理解しましょう。

    実例を使って累積ハザード法の使い方をマスターする

    では、データを用意します。

    サンプル番号 1 2 3 4 5
    時間t 800(○) 350(×) 730(×) 1770(○) 390(×)
    サンプル番号 6 7 8 9 10
    時間t 110(○) 100(×) 160(×) 940(×) 320(×)
    サンプル番号 11 12 13 14 15
    時間t 40(×) 190(×) 590(×) 1260(○) 420(×)
    サンプル番号 16 17 18 19 20
    時間t 250(×) 490(×) 1060(○) 290(×) 630(○)

    累積ハザード法を使って、信頼度関数を作ってみましょう。ただし、上の○×は
    ○:故障無しで打切り有データ
    ×:故障有りデータ
    として、打切り有無両方のケースを含むとします。

    累積ハザード法を使って、信頼度関数を作る

    下ごしらえをします。

    1. 不良率λを計算するために、逆順位K=n-i+1を計算
    2. 不良率λは、逆順位Kの逆数
    3. 累積ハザードHiを計算
    サンプル
    番号
    (A)
    順位i
    (B)
    逆順位
    K=n-i+1
    (n=20)
    (C)
    時間ti
    (D)
    打切り
    有無
    ○⇒0
    ×⇒1
    不良率hi
    1/(逆順位) ×100%
    (E)
    累積ハザード値Hi
    ∑hi
    (F)
    11 1 20 40 0 0/20 0/20=0
    7 2 19 100 1 1/19 0/20+1/19=0.053
    6 3 18 110 1 1/18 0/20+1/19+1/18=0.108
    8 4 17 160 0 0/17 =0.108
    12 5 16 190 1 1/16 =0.171
    16 6 15 250 0 0/15 =0.171
    19 7 14 290 1 1/14 =0.242
    10 8 13 320 1 1/13 =0.319
    2 9 12 350 1 1/12 =0.402
    5 10 11 390 1 1/11 =0.493
    15 11 10 420 1 1/10 =0.593
    17 12 9 490 1 1/9 =0.704
    13 13 8 590 1 1/8 =0.829
    20 14 7 630 0 0/7 =0.829
    3 15 6 730 1 1/6 =0.996
    1 16 5 800 1 1/5 =1.196
    9 17 4 940 1 1/4 =1.446
    18 18 3 1060 0 0/3 =1.446
    14 19 2 1260 1 1/2 =1.946
    4 20 1 1770 0 0/1 0/20+1/19+1/18+…+1/2+0/1=1.946

    どの確率分布にフィッティングするか?

    今回は、ワイブル分布にフィッティングさせます!

    ワイブル分布は、
    \(R(t)\)=\(exp^{-H(t)}\)
    \(H(t)\)=\((\frac{t}{η})^m\)
    ですね。

    で、\(H(t)\)と\(t\)の値は、上の表からすでに計算ができています。
    これを直線で定数\(η\)、\(m\)の値を求めるので、
    \(H(t)\)=\((\frac{t}{η})^m\)を直線化します。

    両辺を対数logで取ると、
    \(log(H(t))\)=\(m(logt-logη)\)
    ●\(Y\)=\(log(H(t))\)
    ●\(X\)=\(logt\)
    ●\(n\)=\(-m(logη)\)
    として、直線で定数\(η\)、\(m\)の値を求めましょう。

    グラフに必要な表を作るため、上の表の\(t\),\(H(t)\)に対数logを取った値をいれます。

    順位i
    (B)
    t H(t) log(t) log(H(t)
    1 800 0 3.689
    2 350 0.053 4.606 -2.945
    3 730 0.108 4.701 -2.224
    4 1770 0.108 5.076 -2.224
    5 390 0.171 5.248 -1.768
    6 110 0.171 5.522 -1.768
    7 100 0.242 5.67 -1.418
    8 160 0.319 5.769 -1.143
    9 940 0.402 5.859 -0.91
    10 320 0.493 5.967 -0.707
    11 40 0.593 6.041 -0.522
    12 190 0.704 6.195 -0.35
    13 590 0.829 6.381 -0.187
    14 1260 0.829 6.446 -0.187
    15 420 0.996 6.594 -0.004
    16 250 1.196 6.685 0.179
    17 490 1.446 6.847 0.369
    18 1060 1.446 6.967 0.369
    19 290 1.946 7.14 0.666
    20 630 1.946 7.48 0.666

    ここから、\(X=log(t)\)、\(Y=log(H(t)\)
    として、直線を描きます。

    累積ハザード法

    両辺を対数logで取ると、
    ●\(m\)=0.7965
    ・\(n\)=-5.44=\(-m(logη)\)より
    ●\(η\)=924.4
    となります。

    累積ハザード法も確率紙があるが、手法を理解する方が大事

    ちなみに、累積ハザード法も確率紙があります。

    累積ハザード法

    ただ、

    解き方を理解すれば、確率紙は不要。
    計算機がない時代は重宝されたが、今は自力で解ける!

    ➂カプランマイヤー法、ワイブル確率紙、累積ハザード法の違いを理解する(その2へ)

    慣れると気づくこの疑問

    さて、累積ハザード法を理解すると、絶対気づくこの疑問!

    ワイブル確率紙、累積ハザード法の違いは何?

    累積ハザード法

    図見ると、見た目同じだけど

    さらに、累積ハザード法を理解すると、絶対気づくこの疑問!

    打切り有無ってカプランマイヤー法もあるけど、累積ハザード法の違いは何?

    となるはず。

    次の関連記事で解説!

    では、次に参りましょう。

    まとめ

    「累積ハザード法がよくわかるし、自分で作れる!」を解説しました。

    • ①ワイブル確率紙と累積ハザード法の違いを理解する
    • ➁指数分布を確率紙で考える
    • ➂カプランマイヤー法、ワイブル確率紙、累積ハザード法の違いを理解する

  • ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その2)

    ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その2)

    「ワイブル確率紙がよくわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その2)
    • ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない(その1)
    • ➁確率紙は順序統計量から入るもの(その1)
    • ➂確率紙の考え方がわかる(その1)
    • ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
    • ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に)
    • ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる!

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    ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)
    ワイブル確率紙は使えますか? ワイブル確率紙の目的を理解して、ワイブル確率紙に頼らず自分で解析できますか? 本記事は、ワイブル確率紙を使うために必要なエッセンスをわかりやすく解説します。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)で解説した通り、4つの流れで解けば、確率紙を使わなくても解ける!

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    では、実際に解いてみましょう!
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    ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)

    まず、順序統計量

    確率分布によらず、データを大きさ順に並べると順序統計量として扱ってOK!

    メジアンランク法やミーンランク法で、順序統計量に沿って確率Pを求めます。

    ワイブル確率紙

    下ごしらえは順序統計量でできる
    確率分布は一切関係ない!

    指数分布のプロット化

    指数分布の式を用意します。
    \(R(t)=exp^{-λt}\)

    直線型に変換します!

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    両辺、logを取ると
    \(log R(t)\)=\(-λt\)
    マイナスを消します。
    \(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \(λt\)

    よって、
    \(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \(λt\)
    で、
    \(Y=log{\frac{1}{R(t)}}\),\(t=X\)とおくと、
    \(Y=λt\)
    という原点を通る直線にプロットすることができます。

    【重要】変数の対応を確認!

    式がいろいろ出てきたので、変数の対応を図で確認しましょう。

    ワイブル確率紙

    F(t)はメジアンランク法やミーンランク法から求めて、
    R(t)=1-F(t)の関係からR(t)が計算できます。

    確率分布の式を直線型に変換したので、それに対応して計算します。

    昭和の時代は、計算機が無かったから、ワイブル確率紙が必須だった。
    でも、今はExcel、関数電卓、スマホからlogの計算が楽勝にできる!
    だから、ワイブル確率紙の使い方より、ワイブル分布の定数の導出方法や理論を理解する方が大事なんです!

    例題で確認

    データを用意します。

    10個のデータを指数分布の確率紙にプロットせよ。
    1.1、0.2、2.1、0.5、3.4、2.5、2.8、0.8、0.4、1.6

    小さい順に並べて、メジアンランク法から確率を導出

    データを並び替えると、
    0.2、0.4、0.5、0.8、1.1、1.6、2.1、2.5、2.8、3.4
    です。

    これをメジアンランク法で確率を計算しましょう。(メジアンランク法でもミーンランク法でもOKですが、)

    i データ F
    (メジアンランク法)
    F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)
    1 0.2 0.067
    2 0.4 0.163
    3 0.5 0.26
    4 0.8 0.356
    5 1.1 0.452
    6 1.6 0.548
    7 2.1 0.644
    8 2.5 0.74
    9 2.8 0.837
    10 3.4 0.933

    これは図でいうと、

    ワイブル確率紙

    変数を対応させて直線プロットを描く

    変数の関係は、

    ●変数の関係は、
    ・\(R(t)=1-F(t)\)
    ・\(X=t=(data)\)
    ・\(Y=log(\frac{1}{R(t)})= log(\frac{1}{1-F(t)})\)

    計算結果を表にまとめると、

    i data F R=1-F X Y
    1 0.2 0.067 0.933 0.2 0.07
    2 0.4 0.163 0.837 0.4 0.179
    3 0.5 0.26 0.74 0.5 0.301
    4 0.8 0.356 0.644 0.8 0.44
    5 1.1 0.452 0.548 1.1 0.601
    6 1.6 0.548 0.452 1.6 0.794
    7 2.1 0.644 0.356 2.1 1.034
    8 2.5 0.74 0.26 2.5 1.349
    9 2.8 0.837 0.163 2.8 1.811
    10 3.4 0.933 0.067 3.4 2.699

    データをプロットします。指数分布の場合は、原点を通る直線ですね。

    ワイブル確率紙

    指数分布にあてはめよう

    図より、
    Y=0.6389xなので、λ=0.6389となります。
    よって、指数分布は\(y=exp^{-0.6389t}\)
    となります。(マイナスがあるのを注意しましょう。)

    理論がわかれば、簡単なグラフから確率分布のパラメータが求めることがわかりましたね!ワイブル分布も同様に解けます!

    ➄ワイブル分布をワイブル確率紙で考える

    まず、順序統計量

    確率分布によらず、データを大きさ順に並べると順序統計量として扱ってOK!

    メジアンランク法やミーンランク法で、順序統計量に沿って確率Pを求めます。

    ワイブル確率紙

    下ごしらえは順序統計量でできる
    確率分布は一切関係ない!

    ワイブル分布のプロット化

    ワイブル分布の式を用意します。
    \(R(t)\)=\(exp(-(\frac{t}{η})^m )\)

    直線型に変換します!

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    両辺、logを取ると
    \(log R(t)\)=\( -(\frac{t}{η})^m \)
    マイナスを消します。
    \(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \( (\frac{t}{η})^m \)

    もう1回対数logをとります。
    \(loglog{\frac{1}{R(t)}}\)= \( m(logt -logη)\)

    よって、
    \(loglog{\frac{1}{R(t)}}\)= \( m(logt -logη)\)<
    で、
    \(Y= loglog{\frac{1}{R(t)}}\),\( logt =X\)、\( n=-mlogη\)とおくと、
    \(Y=mX+n\)
    という直線にプロットすることができます。

    【重要】変数の対応を確認!

    式がいろいろ出てきたので、変数の対応を図で確認しましょう。

    ワイブル確率紙

    F(t)はメジアンランク法やミーンランク法から求めて、
    R(t)=1-F(t)の関係からR(t)が計算できます。

    確率分布の式を直線型に変換したので、それに対応して計算します。

    昭和の時代は、計算機が無かったから、ワイブル確率紙が必須だった。
    でも、今はExcel、関数電卓、スマホからlogの計算が楽勝にできる!
    だから、ワイブル確率紙の使い方より、ワイブル分布の定数の導出方法や理論を理解する方が大事なんです!

    例題で確認

    データを用意します。

    10個のデータを指数分布の確率紙にプロットせよ。
    1.1、0.2、2.1、0.5、3.4、2.5、2.8、0.8、0.4、1.6

    小さい順に並べて、メジアンランク法から確率を導出

    データを並び替えると、
    0.2、0.4、0.5、0.8、1.1、1.6、2.1、2.5、2.8、3.4
    です。

    これをメジアンランク法で確率を計算しましょう。(メジアンランク法でもミーンランク法でもOKですが、)

    i データ F
    (メジアンランク法)
    F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)
    1 0.2 0.067
    2 0.4 0.163
    3 0.5 0.26
    4 0.8 0.356
    5 1.1 0.452
    6 1.6 0.548
    7 2.1 0.644
    8 2.5 0.74
    9 2.8 0.837
    10 3.4 0.933
    ●この表は、指数分布の例と同じです。
    不信頼度はメジアンランク法かミーンランク法で求めるので、
    確率分布によらず、同じ結果であることが大事です。

    変数を対応させて直線プロットを描く

    変数の関係は、

    ●変数の関係は、
    ・\(R(t)=1-F(t)\)
    ・\(X=log t=log(data)\)
    ・\(Y=log(log(\frac{1}{R(t)}))= log(log(\frac{1}{1-F(t)}))\)
    ・\(m\)は直線の傾き
    ・\(n=mlogη\)から\(η\)を算出

    ちょっと、換算式が複雑ですが、ここが大事で、ワイブル確率紙が何をやっている紙なのかを理解するポイントです。理解するポイントがわかれば、別に、ワイブル確率紙を使わなくても、簡単なグラフで直線にできます!

    計算結果を表にまとめると、

    i data F R=1-F X(=log(data)) Y(=ln(ln(1/R))
    1 0.2 0.067 0.933 -1.61 -2.664
    2 0.4 0.163 0.837 -0.916 -1.723
    3 0.5 0.26 0.74 -0.693 -1.202
    4 0.8 0.356 0.644 -0.223 -0.822
    5 1.1 0.452 0.548 0.095 -0.509
    6 1.6 0.548 0.452 0.47 -0.23
    7 2.1 0.644 0.356 0.742 0.033
    8 2.5 0.74 0.26 0.916 0.299
    9 2.8 0.837 0.163 1.03 0.594
    10 3.4 0.933 0.067 1.224 0.993

    データをプロットします。ワイブル分布の場合は、y=mx+nの直線ですね。

    ワイブル確率紙

    指数分布にあてはめよう

    図より、
    Y=1.1695x-0.6441なので、
    ・\(m\)=1.1695
    ・\(n=mlogη\)=0.6441 より、\(η\)=1.734

    ワイブル分布は
    \(R(t)=exp(-(\frac{t}{1.734})^1.1695)\)

    理論がわかれば、簡単なグラフから確率分布のパラメータが求めることがわかりましたね!ワイブル分布も同様に解けます!

    ワイブル確率紙を使った結果と比較

    ワイブル確率紙を使った結果を、簡単なグラフにすると、下図のようになり、

    ワイブル確率紙

    上の計算結果と比較すると、
    ・\(m\)=1.2(1.1695と近い結果)
    ・\(η\)=1.5(1.734と近い結果)
    両者とも、ほぼ同じ値が算出できたことがわかります!

    途中の計算が嫌なら、ワイブル確率紙を使えばいいけど、
    理論を理解して自分で計算できるなら、慣れるまで時間がかかるワイブル確率紙を使わなくてもいい
    ワイブル確率紙も自力でも使えるようになれば完璧ですね!

    まとめ

    「ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その2)」を解説しました。

    • ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない(その1)
    • ➁確率紙は順序統計量から入るもの(その1)
    • ➂確率紙の考え方がわかる(その1)
    • ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
    • ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に)
    • ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる!

  • ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)

    ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)

    「ワイブル確率紙がよくわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)
    • ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない
    • ➁確率紙は順序統計量から入るもの
    • ➂確率紙の考え方がわかる
    • ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)(その2)
    • ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に) (その2)
    • ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる! (その2)
    QC検定®1級によく出るワイブル確率紙ですが、使い方だけ勉強しても本質まで理解できません。

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    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。
    ほとんどの教科書は、
    ワイブル分布はしっかり記述するが、
    確率紙のエッセンスである順序統計量の内容は
    あいまいな記述が多い
    今の時代、確率紙は不要です。関数電卓やExcelで対数計算すればいいから
    むしろ考え方をしっかり理解してほしい
    確率紙の本質を理解して、
    順序統計量→確率分布の流れと理解し、
    ワイブル分布以外の確率分布も対応できるように
    解説します!
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    ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない<

    QC検定®受験対策は重要だけど

    ワイブル分布やワイブル確率紙を勉強する人のほとんどが、大学の勉強やQC検定®受験のためでしょう。

    テストに出るから、テストの出題パターンに沿って勉強する人がほとんど。

    でも、勉強する上で、次の観点で疑問に思って欲しいです。

    1. 今の時代に確率紙は必要か? (不要です!)
    2. 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」って何だ?
    3. ワイブル確率紙を勉強しているが、他の確率分布でも活用できないか?

    そりゃ、試験では、

    1. ワイブル確率紙のプロットの仕方
    2. パラメータの値を確率紙から求める方法
    3. B10ライフの求め方

    が解ければOKですが、ここは、本質ではありません。試験対策で学んだ後、振り返ると「何でこう解くのか?」がわかっていないことに気が付きます。

    ➁確率紙は順序統計量から入るもの

    確率分布から確率紙を入ってはいけない!

    ワイブル分布の式が難しいから、確かに、確率分布から確率紙を入ります。で、さらっと、
    「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」は暗記して、受験対策しますよね

    ダメです!
    ここで、疑問に思って欲しい
    何で、データをプロットする重要な所に、確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」のか?
    確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」ことが、確率紙の最初のstepです。

    では、何で、確率分布と関係のないプロット方法をやってよいか?を解説します。

    データを大きさ順に並べて簡単な式で確率を求める所が確率紙の肝

    このからくりが、「順序統計量」ですね。

    データを大きさ順に並べると、数学的に統計量として扱うことができ、その確率が順序統計量から求めることができる。これは、データがどんな確率分布に属していても1つの数式で表現できる

    これが、

    確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」ことが、確率紙の最初のstepです。

    順序統計量→確率分布の流れで確率紙を理解する

    なので、確率紙は、以下の流れで理解しましょう。ワイブル確率紙の具体的な解法はまだ先でよいです。

    1. 順序統計量を理解する
    2. データを大きさ順に並べると順序統計量から確率が計算できる
    3. 確率紙でデータと確率をプロットした後、データに属する確率分布を好きに振り分ける

    でも、ほとんどの教科書は逆の手順で説明しますよね。だから、解き方がわかっても、意味がわからない!

    1. データに属する確率分布を説明する
    2. データを大きさ順に並べると確率が計算してもいいとさらっと説明
    3. 確率紙のプロット方法を丁寧に解説

    教科書勉強しただけでは、本質までたどり着きません。なので、本記事で解説しています。

    順序統計量からメジアンランク法やミーンランク法が出て来る

    確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」ことが、確率紙の最初のstepです。
    F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)
    はどこから出て来るんや?
    とツッコんでください。これが勉強!

    QCプラネッツでは、順序統計量からメジアンランク法・ミーンランク法までを網羅して解説しています。関連記事のリンクを上げます。一回は目を通してください。

    勉強してほしい関連記事














    「QCを学ぶ」=「順序統計量をマスターする」と言っても過言ではない!
    でも順序統計量は難しいからみんな避けてしまう
    だから本質が理解しにくくなる!

    では、ワイブル確率紙に入る前に、指数分布の確率紙を考えてみましょう。簡単な関数でウォーミングアップして、本題のワイブル確率紙に入りましょう。

    ➂確率紙の考え方がわかる

    ワイブル確率紙だけ勉強するな!

    ワイブル確率紙だけ知っているのは、単なる受験対策って感じですよね。自分で考えて使いこなせるようになりましょう。

    しつこく書きましたが、

    基本は、順序統計量→確率分布の順で確率紙を理解する!

    確率紙は今は不要、だけどエッセンスは理解すべき

    今の時代、関数電卓もExcelなどの電子ツールがたくさんあります。スマホでも確率紙の計算はできる時代です。

    今さら確率紙で何を理解する?
    確率紙の使い方より、考え方ですよ!
    確率紙の考え方を鍛えましょう

    確率紙で考える

    ポイントは、

    1. データは順序に並べて、順序統計量からyの確率を求める
    2. 直線型にすると確率分布のパラメータ値が求めやすい

    流れを図で説明します。

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    ワイブル確率紙

    指数分布を確率紙にプロットせよ!
    って教科書には出てこない「この問い」ができますか?

    確率紙の考え方がわかっていれば、簡単ですよね! 使い方しか覚えていないと応用が利かないはず。

    では、実際に、指数分布とワイブル分布の両方を例に、確率紙の使い方を理解しましょう。
    (その2)に参りましょう。

    まとめ

    「ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!(その1)」を解説しました。

    • ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない
    • ➁確率紙は順序統計量から入るもの
    • ➂確率紙の考え方がわかる
    • ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)(その2)
    • ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に) (その2)
    • ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる! (その2)

  • ミーンランク法がよくわかる

    ミーンランク法がよくわかる

    「ミーンランク法がよくわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ミーンランク法がよくわかる
    • ①確率Fは順序統計量から求める
    • ➁ミーンランク法がわかる
    • ➂ミーンランク法を解く
    • ➃メジアンランク法とミーンランク法はどっちを使えばいいの?
    確率紙を学ぶには、順序統計量を理解しておく必要があります。
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    ①確率Fは順序統計量から求める

    何で、小さい順にデータを並べるの?

    正規確率紙やワイブル確率紙を使う場合、データを大きさ順に並び替えますよね!

    何で、データを大きさ順に並び替える必要があるか説明できますか?

    順序統計量の性質を活用するため

    答えは

    データを大きさ順に並び替える理由は、順序統計量の性質を活用するため

    ところが、

    教科書などは、確率分布がメインで、
    「確率紙はデータを大きさ順に並び替えます(順序統計量という)」
    くらいの一言で、
    「\(F=\frac{i-0.3}{n+0.4}\)を使う」
    といきなり式が出て来ますよね!
    何じゃこりゃ!
    順序統計量って何?
    でも試験には出題されないから、無視してワイブル確率紙を勉強しよう!となりがち

    ちゃんと勉強すると、順序統計量の壁にぶちあたります。

    順序統計量を復習しながら確率紙を理解しましょう。

    順序統計量の復習

    順序統計量を使って、確率を算出する式を使います。この解説は関連記事にありますので、ご確認ください。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    式を理解する重要なポイント

    データ\(t_1\),\(t_2\),…\(t_i\),…\(t_n\)は大きさ順に並んでいるとします。
    (ここで、何で? とツッコんでください! 順序統計量だな!と読みましょう!)

    \(t_1\) < \(t_2\) < \(t_i\) < … < \(t_n\)
    の各母集団が下図のように分布しているとして、

    メジアンランク法

    \(F_i\)が\(F\)~\(F+dF\)の間を取る確率を\(g(F)dF\)とすると、

    \(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)

    式が難解なので、イメージを解説すると、

    順序統計量

    の左、真ん中、右の確率を掛け算した式となります。詳細は関連記事に書いています。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    \(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    の式が、メジアンランク法やミーンランク法の出発点です!
    順序統計量はムズイからパスしたい!
    試験やテストなら無視でもいいけど、
    実務で活用するなら順序統計量の学びは必須です。
    QC(品質管理)の数理は結構、順序統計量が出て来ます。

    ➁ミーンランク法がわかる

    ミーンランク法とは

    「ミーン」とは、平均値なので、平均値について計算します。

    \(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} F^{i}(1-F)^{n-i}dF\)の積分値が対象とする確率(P=0.5など)を満たすための、変数\(F,n,i\)を求めること
    積分区間を、0から1とする方法が「ミーンランク法」で
    なお、0からメジアンとする方法が「メジアンランク法」です。

    【重要】ミーンランク法の注意点

    メジアンランク法と比較すると2点注意が必要です。

    メジアンランク法は関連記事で解説しています。まず確認しましょう。

    メジアンランク法がよくわかる
    メジアンランク法は説明できますか? 本記事では順序統計量をベースにメジアンランク法をわかりやすく解説し、実際に解析しながら、公式の理解が深める事ができます。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    一様分布のメジアンランク法がよくわかる
    メジアンランク法で求める確率は計算できますか?本記事では、一様分布と順序統計量を使って、自力でメジアンランク法の確率を計算します。メジアンランク法の理解を高めたい方は必読です。

    ●メジアンランク法
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    ●ミーンランク法
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{1} Fg(F)dF\)

    違いがわかりますか?

    メジアンランク法とミーンランク法の違い

    1. 積分区間が違う(0-1か、0-x(xは1以下)
    2. 積分式の\(F\)を1つ多いのがミーンランク法

    積分区間が異なるから、メジアンランク法とミーンランク法の2つがあるので、理解しやすいのですが、

    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{1} Fg(F)dF\)
    と\(g(F)\)、\(Fg(F)\)の違いがある。
    何で?

    この理由を解説します。

    ミーンランク法はメジアンランク法よりFが1つ多くして積分する理由

    理由は2つあります。

    1. 平均値(期待値)はE[X]= \(\displaystyle x f(x)dx\)で\(f(x)\)に\(x\)をかけるから
    2. メジアンランク法と同じ\(\displaystyle \int_{0}^{1} g(F)dF\)として計算すると1になって、関数として使えないから

    平均値(期待値)はE[X]= \(\displaystyle x f(x)dx\)で\(f(x)\)に\(x\)をかけるからという理由が、一番強い理由と考えています。

    ➂ミーンランク法を解く

    手計算できる!

    メジアンランク法は手計算がしんどい
    ミーンランク法は手計算できる!

    メジアンランク法のようにプログラムは不要です。

    ミーンランク法を解く!

    ●ミーンランク法
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{1} Fg(F)dF\)

    ここで超重要なことを伝えます。

    \(g(F)\)によらず計算結果は1つ
    つまり、確率分布に関係なく、確率は1つに決まる!
    確率分布に関係なく、確率は1つに決まる手法から、データと確率の関係を作り、
    支配させたい確率分布にモデル化するのが
    確率紙を使う本質!

    ここで、「なるほど!」と来ない人は、ワイブル確率紙などの確率紙を使う意味を理解していないということ!

    本質を理解していないと、それはわかっていないのと同じ!

    では、解きます。必要な数学は、ベータ関数です。

    ベータ関数の関連記事で、復習しましょう。

    ベータ関数がよくわかる
    ベータ関数は自力で解けますか?本記事ではベータ関数の導出方法や性質、ガンマ関数との関係をわかりやすく解説します。大学の数学のような難解な説明は一切していません。、大学受験で頻出問題となるベータ関数は受験でも統計学でも重要です。受験生と統計学を学ぶ人は必読です。

    ミーンランク法を解く!

    P= \(\displaystyle \int_{0}^{1} Fg(F)dF\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{1} \frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} F・F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    = \(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} \displaystyle \int_{0}^{1} F^{i}(1-F)^{n-i}dF\)

    ここで、

    ●ベータ関数
    \(B(p,q)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx\)
    =\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)


    \( \displaystyle \int_{0}^{1} F^{i}(1-F)^{n-i}dF\)
    をにらめっこすると
    \(p=i+1\)、\(q=n+1-i\)
    を代入すればOKとわかりますね。

    よって、
    P= \(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} \frac{(i)!(n-i)!}{(n+1)!} \)
    =\(\frac{i}{n+1}\)
    となります。

    確率分布に関係なく、確率は
    P=\(\frac{i}{n+1}\)
    をミーンランク法から解いてOKとわかりますね。

    メジアンランク法と同じ式でミーンランク法解くと積分値が1になる

    先の、

    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{1} Fg(F)dF\)
    と\(g(F)\)、\(Fg(F)\)の違いがある。

    と、ありましたね。

    積分する関数をメジアンランク法と同じするとどうなるか?計算しましょう。

    解く!

    P= \(\displaystyle \int_{0}^{1} g(F)dF\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{1} \frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    = \(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} \displaystyle \int_{0}^{1} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)

    ここで、

    ●ベータ関数
    \(B(p,q)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx\)
    =\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)


    \( \displaystyle \int_{0}^{1} F^{i}(1-F)^{n-i}dF\)
    をにらめっこすると
    \(p=i\)、\(q=n-i\)
    を代入すればOKとわかりますね。

    よって、
    P= \(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} \frac{(i-1)!(n-i)!}{(n)!} \)
    =1
    となります。

    積分した結果が、数字になると、使い道ないですね。。。
    だから、ミーンランク法はP= \(\displaystyle \int_{0}^{1} Fg(F)dF\)なのでしょう。

    余談したが、比較すると理解が深まりますね!

    ➃メジアンランク法とミーンランク法はどっちを使えばいいの?

    ●メジアンランク法:P=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)

    ●ミーンランク法:P=\(\frac{i}{n+1}\)

    とよく似た式ですね。

    結論は、

    1. 個数iが少ないときは、両者の値に差が出る。実測値に近い方をとる
    2. 変数n,iを大きくすると両者の値に差はない。どちらでもOK

    となりますね。

    手法、公式を使った後は、その結果が妥当かどうかは必ず確認しましょう。

    まとめ

    「ミーンランク法がよくわかる」を解説しました。

    • ①確率Fは順序統計量から求める
    • ➁ミーンランク法がわかる
    • ➂ミーンランク法を解く
    • ➃メジアンランク法とミーンランク法はどっちを使えばいいの?

  • 一様分布のメジアンランク法がよくわかる

    一様分布のメジアンランク法がよくわかる

    「メジアンランク法が解析したいけど、計算ができない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    一様分布のメジアンランク法がよくわかる
    • ①確率Fは順序統計量から求める
    • ➁メジアンランク法を実際に解いてみる
    • ➂一様分布でメジアンランク法を実際に解いてみる
    • ➃プログラムを使って一様分布のメジアンランクを計算
    確率紙を学ぶには、順序統計量を理解しておく必要があります。

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    ①確率Fは順序統計量から求める

    何で、小さい順にデータを並べるの?

    正規確率紙やワイブル確率紙を使う場合、データを大きさ順に並び替えますよね!

    何で、データを大きさ順に並び替える必要があるか説明できますか?

    順序統計量の性質を活用するため

    答えは

    データを大きさ順に並び替える理由は、順序統計量の性質を活用するため

    ところが、

    教科書などは、確率分布がメインで、
    「確率紙はデータを大きさ順に並び替えます(順序統計量という)」
    くらいの一言で、
    「\(F=\frac{i-0.3}{n+0.4}\)を使う」
    といきなり式が出て来ますよね!
    何じゃこりゃ!
    順序統計量って何?
    でも試験には出題されないから、無視してワイブル確率紙を勉強しよう!となりがち

    ちゃんと勉強すると、順序統計量の壁にぶちあたります。

    順序統計量を復習しながら確率紙を理解しましょう。

    順序統計量の復習

    順序統計量を使って、確率を算出する式を使います。この解説は関連記事にありますので、ご確認ください。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    式を理解する重要なポイント

    データ\(t_1\),\(t_2\),…\(t_i\),…\(t_n\)は大きさ順に並んでいるとします。
    (ここで、何で? とツッコんでください! 順序統計量だな!と読みましょう!)

    \(t_1\) < \(t_2\) < \(t_i\) < … < \(t_n\)
    の各母集団が下図のように分布しているとして、

    メジアンランク法

    \(F_i\)が\(F\)~\(F+dF\)の間を取る確率を\(g(F)dF\)とすると、

    \(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)

    式が難解なので、イメージを解説すると、

    順序統計量

    の左、真ん中、右の確率を掛け算した式となります。詳細は関連記事に書いています。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    \(g(F)dF\)=\(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    の式が、メジアンランク法やミーンランク法の出発点です!
    順序統計量はムズイからパスしたい!
    試験やテストなら無視でもいいけど、
    実務で活用するなら順序統計量の学びは必須です。
    QC(品質管理)の数理は結構、順序統計量が出て来ます。

    ➁メジアンランク法を実際に解いてみる

    メジアンランク法とは

    関連記事にまとめていますので、ご確認ください。

    メジアンランク法がよくわかる
    メジアンランク法は説明できますか? 本記事では順序統計量をベースにメジアンランク法をわかりやすく解説し、実際に解析しながら、公式の理解が深める事ができます。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    メジアンランク法のポイント

    1. 順序統計量がベースであること
    2. 確率P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
      = \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    3. 上の式は解析的に解けないので、
      \(F=\frac{i-0.3}{n+0.4}\)を使う

    でも、

    公式の鵜呑み、暗記はNG!
    自分で導出できない公式は使うな!

    ひょっとしたら、公式が間違っているかもしれませんよね!

    一様分布を使って解析するぞ!

    という気合で、一様分布に限定ですが、
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    を解いてみます。

    ➂一様分布でメジアンランク法を実際に解いてみる

    順序統計量の期待値の計算を応用する

    実は、よくみると、
    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)
    は順序統計量の期待値の式と同じです。

    順序統計量は一様分布と指数分布の期待値は手計算でできますが、他の分布関数はキツかったです。

    順序統計量の期待値の計算は関連記事にあります。QCプラネッツここまで攻めます!

    ●一様分布

    順序統計量の考え方がよくわかる
    順序統計量を説明できますか? 本記事では難解な順序統計量をわかりやすく解説します。整式を使い、期待値が順序に従い増加することを視覚的に理解できます。順序統計量を理解したい方は必見です。

    ●指数分布

    順序統計量(指数関数)がよくわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事は指数分布の場合における順序統計量の期待値と分散を丁寧に導出します。順序統計量や統計学を学ぶ人は必読です。

    一様分布でメジアンランク法を実際に解いてみる

    では、一様分布の式をFに代入しましょう。

    不完全ベータ関数の壁にぶちあたる!

    不完全ベータ関数の積分は手計算が激ムズ

    関連記事にあるように、プログラムを使う方がベターです。

    不完全ベータ関数が計算できる
    不完全ベータ関数を解説します。積分区間[0,z]では積分を手計算するのは大変なので、簡単に計算できるプログラムを紹介します。ベータ関数の違いと不完全ベータ関数の計算をわかりやすく解説! 信頼性工学のメジアンランク法にも活かせる大事な記事です!

    ➃プログラムを使って一様分布のメジアンランクを計算

    二項定理を使って、プログラムの式を作る!

    上の不完全ベータ関数の関連記事に詳細解説していますので、ここではエッセンスだけ解説します。

    手を動かして導出過程を確認すると理解度は一気に上がります。

    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}} g(F)dF\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}(1-F)^{n-i}dF\)

    二項定理から
    \((1-F)^{n-i}\)=\(\sum_{r=0}^{n-i} {}_{n-i}C_r 1^r (-x)^{n-i-r}\)

    これを積分式に代入します。ちょっと難しいけど、頑張りましょう。

    P= \(\displaystyle \int_{0}^{\tilde{F}}\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F^{i-1}\sum_{r=0}^{n-i} {}_{n-i}C_r 1^r (-x)^{n-i-r}dF\)

    計算すると、(ここは自力で確認してみてください。)

    P=\(\sum_{r=0}^{n-i} n× {}_{n-1} C_{i-1} × {}_{n-i} C_{r} (-1)^{n-i-r} \frac{1}{n-r}{\tilde{F}}^{n-r} \)

    プログラムの紹介


    P=\(\sum_{r=0}^{n-i} n× {}_{n-1} C_{i-1} × {}_{n-i} C_{r} (-1)^{n-i-r} \frac{1}{n-r}{\tilde{F}}^{n-r} \)
    をプログラム化します。
    関連記事と同様にExcel VBAで書きます。

    1. Sub gam()
    2. gok = 0
    3.
    4. For i1 = 1 To 10 ‘n
    5. Cells(i1 + 3, 2) = i1
    6. For j1 = 1 To i1 ‘i
    7. Cells(3, j1 + 2) = j1
    8. gok = 0 ‘初期化
    9. For k1 = 0 To i1 – j1 ‘r
    10. gok = gok + i1 * WorksheetFunction.Combin(i1 – 1, j1 – 1)
    * WorksheetFunction.Combin(i1 – j1, k1)
    * ((-1) ^ (i1 – j1 – k1))
    / (i1 – k1) * (Cells(1, 2) ^ (i1 – k1))
    11. Next k1
    12. Cells(i1 + 3, j1 + 2) = gok
    13. Next j1
    14. Next i1
    15. End Sub

    解析結果

    計算結果は下図のようになります。なお、不完全ベータ関数において、\({\tilde{F}}\)=0.5としています。

    n/i 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
    1 1/2
    2 3/4 1/4
    3 7/8 4/8 1/8
    4 15/16 11/16 5/16 1/16
    5 31/32 26/32 16/32 6/32 1/32
    6 63/64 57/64 42/64 22/64 7/64 1/64
    7 127/128 120/128 99/128 64/128 29/128 8/128 1/128
    8 255/256 247/256 219/256 163/256 93/256 37/256 9/256 1/256
    9 511/512 502/512 466/512 382/512 256/512 130/512 46/512 10/512 1/512
    10 1023/1024 1013/1024 968/1024 848/1024 638/1024 386/1024 176/1024 56/1024 11/1024 1/1024

    よく見ると、

    ●\(i=1\)のとき、F=\(1-(\frac{1}{2})^n\)
    ●\(i=n\)のとき、F=\( (\frac{1}{2})^n\)
    黄色、緑色枠からわかります。

    でも、

    メジアンランク法では、
    ●i=1のとき、\(\tilde{F}^{n}\)=1-\((\frac{1}{2})^{1/n}\)
    ●i=nのとき、\(\tilde{F}\)=\((\frac{1}{2})^{1/n}\)
    と比較すると、乗数がビミョウに合っていませんね。
    自分で計算すると、一致する・しないの知見が得られますし、
    自力で計算すると、メジアンランク法の理解が一気に高まります。

    一様分布の場合は、自力で計算できますが、他の分布の場合は複雑なので、教科書などが提示している式を活用してもよいです。でも、完全に正しいと鵜呑みしないよう注意してください。

    まとめ

    「一様分布のメジアンランク法がよくわかる」を解説しました。

    • ①確率Fは順序統計量から求める
    • ➁メジアンランク法を実際に解いてみる
    • ➂プログラムを使って一様分布のメジアンランクを計算

  • 不完全ベータ関数が計算できる

    不完全ベータ関数が計算できる

    「不完全ベータ関数が計算できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    不完全ベータ関数が計算できる
    • ①不完全ベータ関数とは
    • ➁不完全ベータ関数は手計算できない
    • ➂プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう
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    ①不完全ベータ関数とは

    ベータ関数とは

    詳細は関連記事をご覧ください。

    ベータ関数がよくわかる
    ベータ関数は自力で解けますか?本記事ではベータ関数の導出方法や性質、ガンマ関数との関係をわかりやすく解説します。大学の数学のような難解な説明は一切していません。、大学受験で頻出問題となるベータ関数は受験でも統計学でも重要です。受験生と統計学を学ぶ人は必読です。

    式は

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    =\(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)

    不完全ベータ関数とは

    積分区間が違います。

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    =??

    大した差ではないですが、計算の大変さが全然ちがいます。

    不完全ベータ関数はメジアンランク法に使う

    信頼性工学のメジアンランク法で不完全ベータ関数を使うので、解説します。

    詳細は関連記事をご覧ください。

    ➁不完全ベータ関数は手計算できない

    完全なベータ関数を部分積分する

    まず、部分積分すると、漸化式が作れます。

    \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)を部分積分すると、
    \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{1}^{0}\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    +\(\frac{n-1}{m}\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m}(-1)(1-x)^{n-2} dx\)

    (左辺)= \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{1}^{0}\)は0です。

    (右辺)=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    となり、
    0=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    から漸化式が作れて、
    積分\(I(m.n)\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)が計算できます。

    不完全なベータ関数を部分積分する

    同様に積分区間が[0,z]においても、部分積分すると、漸化式が作れます。

    \(\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)を部分積分すると、
    \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{z}^{0}\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    +\(\frac{n-1}{m}\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m}(-1)(1-x)^{n-2} dx\)

    (左辺)= \(\left[ \frac{1}{m}x^{m} (1-x)^{n-1} \right]_{z}^{0}\)は0にならず、zの変数になります。です。

    (右辺)=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    となり、
    (左辺のzの式)=\(I(m.n)\)-\(\frac{n-1}{m}I(m+1,n-1)\)
    から漸化式が作れますが、

    ここから手計算はキツイ。。。

    なので、

    プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう

    ➂プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう

    二項定理を使って、不完全ベータ関数の計算式を作る

    では、やってみましょう。

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    ここで、\((1-x)^{n-1}\)を二項定理で展開します。大丈夫ですか?

    QCには欠かせない二項定理、統計学、抜取検査、信頼性工学と大活躍です。

    \((1-x)^{n-1}\)=\(\sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r 1^r (-x)^{n-1-r}\)

    これを積分式に代入します。ちょっと難しいけど、頑張りましょう。

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{z} {}_{n-1}C_r x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{z} x^{m-1} \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r 1^r (-x)^{n-1-r} dx\)
    \(x\)の次数を合計します。

    = \(\displaystyle \int_{0}^{z} \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r (-1)^{n-1-r} x^{n+m-2-r} dx\)

    \(x\)の整式なので、積分すると、
    \(\left[ \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r (-1)^{n-1-r} \frac{1}{n+m-1-r} x^{n+m-1-r} \right]_{z}^{0}\)
    =\( \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1}C_r (-1)^{n-1-r} \frac{1}{n+m-1-r} z^{n+m-1-r} \)

    となります。これをプログラムに入れて計算させます。

    プログラム(Excel VBA)を使って不完全ベータ関数を計算しよう

    では、プログラムを公開します。実際、いじってみてください。

    VBAプログラム例

    1. Sub gam()
    2.
    3. gok = 0 ‘B(m,n) 初期化
    4.
    5. Dim nn As Long, mm As Long
    6. nn = Cells(2, 3): mm = Cells(3, 3): zz = Cells(4, 3)
    ‘自然数n,mと、実数(0~1)zをセルに代入
    7.
    8. For i1 = 1 To nn ‘nの値 1~nまで
    9. Cells(i1 + 6, 2) = i1
    10. For j1 = 1 To mm ‘mの値 1~mまで
    11. Cells(6, j1 + 2) = j1
    12. gok = 0 ‘初期化
    13. For k1 = 0 To i1 – 1
    ‘rの値 0~n-1まで(二項定理)
    14.
    15. ‘積分の計算
    16. gok = gok + WorksheetFunction.Combin(i1 – 1, k1) *
    ((-1) ^ (i1 – 1 – k1))
    * (1 / (i1 + j1 – k1 – 1))
    * (zz ^ (i1 + j1 – k1 – 1))
    17. Next k1
    18. Cells(i1 + 6, j1 + 2) = gok ‘結果を出力
    19. Next j1
    20. Next i1
    21.
    22. End Sub

    計算例

    z=1のとき

    z=1のときは、完全なベータ関数ですから

    \(B(m,n)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{m-1}(1-x)^{n-1} dx\)
    =\(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)

    の値と一致します。

    上のプログラムの計算結果は

    不完全ベータ関数

    となり、
    \(B(m,n)\)= \(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)
    と一致します。

    確かに、\(m=4,n=5\)を代入するとB(m,n)は
    \(B(4,5)\)= \(\frac{(4-1)!(5-1)!}{(4+5-1)!}\)
    = \(\frac{3!・4!}{8!}\)
    =\(\frac{1}{280}\)
    =0.003571

    図を見ると確かに、 \(m=4,n=5\)のときは、0.003571となり、計算結果が一致しています。

    z=zのとき

    テキトウな値を入れて、確認しましょう。

    不完全ベータ関数

    z=0.5の場合を計算しましたが、0から1の間の実数を入れれば、上のプログラムで一瞬で計算してくれます。是非活用ください!

    できましたね。

    まとめ

    「不完全ベータ関数が計算できる」を解説しました。

    • ①不完全ベータ関数とは
    • ➁不完全ベータ関数は手計算できない
    • ➂プログラムを使って不完全ベータ関数を計算しよう

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