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  • ヒストグラムから信頼度が計算できる

    ヒストグラムから信頼度が計算できる

    「ヒストグラムのから信頼度を計算する方法がわからない」、「ヒストグラムにするときの級の間隔をいくらにしたらよいかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ヒストグラムから信頼度が計算できる
    • ①ヒストグラムから信頼度を計算する方法
    • ➁ヒストグラムから信頼度を計算してみる
    • ➂ヒストグラムの区分間隔はいくらが妥当か?
    信頼性工学でヒストグラムを使うのは、初心者向けではありますが、ヒストグラムの級の区分によって故障率がどう変わるかを解説!
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    ①ヒストグラムから信頼度を計算する方法

    計算方法

    計算方法をまとめると、

    1. データを用意する
    2. データを用意した級数で区分してヒストグラムを描
    3. 各区分の故障数から故障率を計算する
    4. 信頼度Rを計算する

    ヒストグラムの級の幅をいくつにするか?

    これが、肝ですが、教科書はこう書いてますね。

    目安はデータ数の平方根

    でも

    数学的な根拠はない

    じゃー、

    どうしたいいの?

    これを後で実験して確認しましょう。

    ➁ヒストグラムから信頼度を計算してみる

    その前に、教科書に従って、データ数の平方根となるようにヒストグラムを描いて、故障率と信頼度を計算しましょう。

    データ100個用意

    以下のような、ある製品の故障時間データ100個を用意しました。データは正規分布に従うように乱数を振って準備しました。正規分布による結果の影響は気にしないとしましょう。

    115.19 79.07 172.12 119.82 129.5 114.05 113.5 73.05 51.17 101.39
    33.07 119.66 144.7 93.9 62.31 61.25 119.63 102.31 104.51 152.79
    103.4 132.79 94.1 51.86 100.62 146.26 120.79 107.48 122.61 103.67
    150.85 113.78 83.81 63.26 123.5 125.27 81.66 86.98 117.38 145.62
    113.44 90.52 146.6 107.4 108.32 77.8 107.83 140.59 99.3 142.66
    88.24 59.17 142.28 105.1 27.22 60.31 97.34 124.12 104.01 118.91
    78.51 70.13 136.85 133.48 122.19 138.75 93.97 109.67 115.8 75.91
    86.19 69.37 48.63 125.02 79.14 125.31 71.63 132.65 140.64 131.25
    41.53 139.33 114.95 105.74 142.26 88.39 101.11 86.09 126.4 114.86
    106.04 110.47 105.43 139.48 64.03 81.67 110.59 85.98 92.3 68.94

    データを用意した級数で区分してヒストグラムを描<

    目安はデータ数100個の平方根なので、10に区分します。
    なお、データにおいて、
    ●最大値max=172.12
    ●最小値min=27.22
    ●範囲R=max-min=144.90
    ●区分R/10=14.49
    ですね。これは簡単に解けるハズ。

    区分にわけた表を作ります。

    区分 区分10 故障数fi 残存数ni 故障確率λi=fi/ni 信頼度R
    1 27.22~41.71 ?? ?? ?? ??
    2 41.71~56.20 ?? ?? ?? ??
    3 56.20~70.69 ?? ?? ?? ??
    4 70.69~85.18 ?? ?? ?? ??
    5 85.18~99.67 ?? ?? ?? ??
    6 99.67~114.16 ?? ?? ?? ??
    7 114.16~128.65 ?? ?? ?? ??
    8 128.65~143.14 ?? ?? ?? ??
    9 143.14~157.63 ?? ?? ?? ??
    10 157.63~172.12 ?? ?? ?? ??

    ここで、上表の
    ●故障数fi →その区分内にいるデータ数
    ●残存数ni→1つ前の区分の残存数
    ●故障確率(故障率)λi=fi/ni
    ●信頼度R=1-fi/n (n=100)
    で計算しましょう。

    結果は、

    区分 区分10 故障数fi 残存数ni 故障確率λi=fi/ni 信頼度R
    1 27.22~41.71 3 100 0.03 0.97
    2 41.71~56.20 3 97 0.031 0.94
    3 56.20~70.69 9 94 0.096 0.85
    4 70.69~85.18 10 85 0.118 0.75
    5 85.18~99.67 13 75 0.173 0.62
    6 99.67~114.16 23 62 0.371 0.39
    7 114.16~128.65 18 39 0.462 0.21
    8 128.65~143.14 14 21 0.667 0.07
    9 143.14~157.63 6 7 0.857 0.01
    10 157.63~172.12 1 1 1 0

    ヒストグラムを描きます。

    信頼性工学

    これで、
    ●ヒストグラム
    ●信頼度
    が計算できましたね。

    ➂ヒストグラムの区分間隔はいくらが妥当か?

    試験対策なら、これで十分ですが、

    目安はデータ数の平方根

    でも

    数学的な根拠はない

    じゃー、

    どうしたいいの?

    なので、区分間隔を3つの場合に振って、調査しましょう。

    区分間隔を3つ振って調査

    区分を10から
    5,10,20の3パターンに振って、
    ●ヒストグラム
    ●故障率
    を求めてみましょう。

    計算結果

    計算方法は上と同じで、それを3回繰返すので、計算結果表は割愛します(が、是非やってみてください。Excel使った方が速く計算できますね)。

    ヒストグラム

    ●区分5の場合

    信頼性工学

    ●区分10の場合(再掲)

    信頼性工学

    ●区分20の場合

    信頼性工学

    3つとも、似たような分布になりましたが、

    ヒストグラムで取る間隔幅によっては、グラフの見え方、形が変わる事があるので要注意です!

    故障率

    区分と故障率の関係をグラフしました。

    故障率

    3本とも、傾向は同じですが、

    区分が少ない方が故障率は高めに出て、区分数を増やすと故障数は低めに出ました。
    故障率がどの程度になるかを吟味しながら、ヒストグラムの区分間隔を調整する必要がありますね。
    ヒストグラムは便利だけど、結果の妥当性は我々が考えて検証しないと、トンチンカンなグラフや故障率・信頼度を計算するリスクがあります。

    試験や教科書には書いていませんが、よく考えてヒストグラムを使う必要がありますね。QCプラネッツ自身はヒストグラムは好きじゃありません。理由は、描いた結果の妥当性に手間がかかるから。

    まとめ

    「ヒストグラムから信頼度が計算できる」を解説しました。

    • ①ヒストグラムから信頼度を計算する方法
    • ➁ヒストグラムから信頼度を計算してみる
    • ➂ヒストグラムの区分間隔はいくらが妥当か?

  • 打切りデータがある場合の信頼度の計算がわかる

    打切りデータがある場合の信頼度の計算がわかる

    「打切りデータがある場合の信頼度の計算がわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    打切りデータがある場合の信頼度の計算がわかる
    • ①カプランマイヤー法で計算する
    • ➁打切り方は4つある
    • ➂信頼度が計算できるプログラムを公開!
    • ➃打切りデータの有無による信頼度の影響
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    ①カプランマイヤー法で計算する

    故障試験は、本来は故障するまで待つべきですが、その時間が数カ月と数年になると、故障試験は現実的ではありません。そこで、どこかで打ち切って推測する必要があります。

    打切りデータが無い場合の信頼度の計算

    最初は、打切りデータが無い場合、どうやって実測から信頼度を計算するか?を考えます。

    下のグラフのように、横軸を時間、縦軸を故障率とすると、階段状に上がっていくのが分かります。

    経験分布関数

    この階段状を表現するのが経験分布関数ですね。

    経験分布関数については関連記事で確認ください。

    信頼性工学に使う経験分布関数がわかる
    経験分布関数は説明できますか?本記事では経験分布関数の基本を解説し、QC(品質管理)の信頼性工学で経験分布関数が必要であることが理解できます。信頼性工学などで何となく公式暗記代入するのではなく、本質を理解しましょう

    打切りデータが有る場合の信頼度の計算

    実際は、有限な時間内で故障試験をするので、打ち切ります。そのときの信頼度を次の式から求めます。

    1. 中途打切りデータも含めた観測データを、\(t_1\) > \(t_2\) > …> \(t_n\)で並べる。
    2. \(i\)番目のデータ\(t_i\) が故障データか、中途打切りデータによって、変数\(δ_i\)を
      \(δ_i\)=1 (故障データの時)
      \(δ_i\)=0 (中途打切りデータの時)
      とする。
    3. 信頼度\(R(t)\)を以下の式とする
      \(R_n(t)\)= \(\displaystyle \prod_{l=1}^i (\frac{n-l}{n-l+1})^{δ_l}\)

    この、\(R_n(t)\)= \(\displaystyle \prod_{l=1}^i (\frac{n-l}{n-l+1})^{δ_l}\)をカプランマイヤー法
    と言って、分数の掛け算で簡単に計算できるので、皆が使う公式となっていますね。

    カプランマイヤー法の導出

    公式は使う前に、導出過程を見て、どういうものなのか? くらいは見ておきましょう。関連記事にありますので、ご確認ください。

    カプランマイヤー法が理解できる(その1)
    信頼性工学で「打切りデータ」を扱う際、カプランマイヤー法を使いますが、カプランマイヤーの式は導出できますか? 本記事では、公式暗記しがちなカプランマイヤーの式を丁寧に導出します。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    カプランマイヤー法が理解できる(その2)
    信頼性工学で「打切りデータ」を扱う際、カプランマイヤー法を使いますが、カプランマイヤーの式は導出できますか? 本記事では、公式暗記しがちなカプランマイヤーの式を丁寧に導出します。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁打切り方は4つある

    教科書的には、次の4つのパターンがあります。

    1. 完全データ
    2. 定時打切データ
    3. 定数打切データ
    4. ランダム打切データ

    打切りデータ

    特徴をまとめると、

    1. 完全データは、打切りしない場合
    2.定時打切データは、ある一定の時間が経過したら打ち切る場合
    3.定数打切データは、ある故障数まで行ったら打ち切る場合
    4.ランダムは時と場合によって打切りを判断する場合

    4つ方法がありますが、実は、

    計算方法は同じ1つの方法でOK
    時間と個数で打ち切るが、信頼度の計算式に直接関与しないので、1つの式で計算できる!

    ならば、プログラム作れば簡単に計算ができる!ので、作ってみました! Excel VBAですが。

    ➂信頼度が計算できるプログラムを公開!

    1つの計算方法で信頼度は計算できる

    1つの方法で計算できるので、プログラムでいろいろ計算して理解を深めましょう。

    信頼度が計算できるプログラム

    \(R_n(t)\)= \(\displaystyle \prod_{l=1}^i (\frac{n-l}{n-l+1})^{δ_l}\)
    をそのままプログラムに入れます。入力はn,i,lで、出力はR(t)です。

    カプランマイヤー法

    1. Sub R_t()
    2.Dim num As Long, delta(1 To 100) As Variant
    3.num = Cells(1, 4)
    4.seki = 1
    5.
    6.For i1 = 1 To num ‘打切り有=0,打切り無=1
    7.delta(i1) = Cells(5 + i1, 4)
    8.Next i1
    9.
    10.For i1 = 1 To num ‘信頼度R(t)の計算
    11. For k1 = 1 To i1
    12.seki = seki * ((num – k1) / (num – k1 + 1)) ^ delta(k1)
    13.Next k1
    14.Cells(5 + i1, 5) = seki ‘R(t)の出力
    15.seki = 1
    16.Next i1
    17.
    18.End Sub

    これを使って、打切りデータが有る場合の信頼度を計算してみましょう。

    ➃打切りデータの有無による信頼度の影響

    例題

    次の下図ような、ランダム打切りデータにおける信頼度を計算せよ。

    カプランマイヤー法

    解法

    プログラムでは一瞬で出て、

    t i 打切り 信頼度
    0 ≤ t &lt 5.5 0 1
    5.5 ≤ t < 10.8 1 1 0.8
    10.8 ≤ t < 15.4 2 0 0.8
    15.4 ≤ t < 18.9 3 1 0.533
    18.9 ≤ t < 20.6 4 0 0.533
    20.6 ≤ t 5 1 0

    と出ますが、計算式も書いておきます。

    ●0 ≤ t &lt 5.5:R(t)=1
    ●5.5 ≤ t < 10.8:R(t)=1×\((\frac{4}{5})^1\)=0.8
    ●10.8 ≤ t < 15.4:R(t)=1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)=0.8
    ●15.4 ≤ t < 18.9:R(t)=1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)=0.53
    ●18.9 ≤ t < 20.6:R(t)=1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)×\((\frac{1}{2})^0\)=0.53
    ●20.6 ≤ t:R(t)=1×\((\frac{4}{5})^1\)×\((\frac{3}{4})^0\)×\((\frac{2}{3})^1\)×\((\frac{1}{2})^0\)×\((\frac{0}{1})^1\)=0

    分数の長い掛け算で計算できますね。

    さらに、

    打切り方は4つ方法があるが、
    計算方法は同じ1つの方法でOK
    時間と個数で打ち切るが、信頼度の計算式に直接関与しないので、1つの式で計算できる!

    ➃打切りデータの有無による信頼度の影響

    打切りデータの有無による信頼度の影響

    プログラムを作ると次の疑問が沸いたので、一緒に解いてみましょう。


    打切りデータが多い場合と、少ない場合では信頼度R(t)の変化はどう変わるか?
    打切りデータが多いとR(t)の精度は低下するんだろうか?

    どう思いますか?

    例題を使って確かめる

    次のような例題を使って、この疑問を調べてみましょう。


    サンプルデータn=10がある。以下の4つの場合における信頼度R(t)を計算せよ。表で1は故障データ(打切り無し),0は打ち切りデータ(打切り有り)とする。
    i 打切り(1) 打切り(2) 打切り(3) 打切り(4)
    1 1 1 0 0
    2 1 1 0 0
    3 1 1 0 0
    4 1 1 0 0
    5 1 1 0 0
    6 1 0 1 0
    7 1 1 0 0
    8 1 1 0 0
    9 1 0 1 0
    10 1 1 0 0

    打切り(1)は打ち切り無し場合で、(2)(3)(4)に連れて打ち切りを増やしていきます。

    計算結果

    プログラムから計算させて、グラフにすると下図になります。

    打切りデータ

    結果は以下の通りです。

    i 打切り(1) 打切り(2) 打切り(3) 打切り(4)
    0 1 1 1 1
    1 0.9 0.9 1 1
    2 0.8 0.8 1 1
    3 0.7 0.8 0.875 1
    4 0.6 0.686 0.875 1
    5 0.5 0.571 0.875 1
    6 0.4 0.571 0.7 1
    7 0.3 0.429 0.7 1
    8 0.2 0.286 0.7 1
    9 0.1 0.286 0.35 1
    10 0 0 0.35 1

    グラフからわかることは、

    打切りがあると、信頼度は低下しないが、次故障すると、信頼度は一気に低下する。
    打切りが多くなると信頼度は高く、過大評価される傾向がある。
    打切りデータが有る場合は信頼度は甘めに出ると考えておく必要がある。

    打切りデータを含むと、信頼度の精度は低下することを理解しておきましょう。

    まとめ

    「打切りデータがある場合の信頼度の計算がわかる」を解説しました。

    • ①カプランマイヤー法で計算する
    • ➁打切り方は4つある
    • ➂信頼度が計算できるプログラムを公開!
    • ➃打切りデータの有無による信頼度の影響

  • カプランマイヤー法が理解できる(その2)

    カプランマイヤー法が理解できる(その2)

    「打切りデータがある場合では、何でカプランマイヤー法を使うのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    カプランマイヤー法が理解できる(その2)
    • ①カプランマイヤー法とは(その1で解説)
    • ➁実測データで扱う経験分布関数は「打切りデータ」が扱えない(その1で解説)
    • ➂生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数を作る(その1で解説)
    • ➃「打切りデータ」も考慮できるポイント
    • ➄Nelson-Aalen推定量を一旦作る
    • ⑥カプランマイヤー法が導出できる(その2で解説)
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    QC(品質管理)を勉強して、強く思うのは、

    教科書に正しく書いていても、
    自分で導出できない式は使うな!
    使い方(手段)より、
    意味(目的)を理解せよ!

    信頼性工学で、いまいち理解できない
    「打切りデータ」⇒カプランマイヤー法
    を実際に導出してみましょう。

    2記事に分けてわかりやすく解説!

    ①➁➂については、関連記事で解説済です。ご確認ください。

    カプランマイヤー法が理解できる(その1)
    信頼性工学で「打切りデータ」を扱う際、カプランマイヤー法を使いますが、カプランマイヤーの式は導出できますか? 本記事では、公式暗記しがちなカプランマイヤーの式を丁寧に導出します。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ①➁➂まとめ

    関連記事にも書いていますが、本記事を読む前におさえておくべきポイントは、

    1. ●生存関数\(S(t)\)=\(exp(-Λ(t)\)
    2. ●ハザード関数\(λ(t)\)=\(f(t) \frac{1}{S(t)}\)
    3. ●累積ハザード関数\(Λ(t)\)= \( \displaystyle \int_{0}^{t} λ(s)ds \)

    の3点ですね。導出は関連記事に書いています。関係式は本記事で使います。

    ➃「打切りデータ」も考慮できるポイント

    ハザード関数がポイント!

    ●ハザード関数
    \(λ(t)\)= \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{1}{Δt}\)\((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)

    ここで、2つの独立した確率分布T,Uを用意します。
    ●T:生存時間確率分布(打切りなし)
    ●U:打切り時間確率分布(打切りあり)

    「打切りデータ」も考慮できるポイントを説明します。

    ●\((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)\)は条件付き確率なので、
    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)\)=\(\frac{ Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t) }{ Pr(T \geq t)}\)
    となりますね。

    ●この式の分母分子に確率変数Uについて、\(Pr(U \geq t)\)を掛け算します。
    \(\frac{ Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t) }{ Pr(T \geq t)}\)×\(\frac{ Pr(U \geq t)}{ Pr(U \geq t)}\)

    ●分子は
    \(Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t) \)×\(Pr(U \geq t)\)
    となり、独立した確率の積になるので、
    \(Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t) \)×\(Pr(U \geq t)\)= \(Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t、、U \geq t) \)
    と合成することができます。

    ●分母は
    \(Pr(T \geq t)\)×\(Pr(U \geq t)\)
    となり、独立した確率の積になるので、
    \(Pr(T \geq t)\)×\(Pr(U \geq t)\)= \(Pr(T \geq t、U \geq t)\)

    ●まとめると、
    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)\)=\(\frac{ Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t、U \geq t)) }{ Pr(T \geq t、U \geq t)}\)
    となります。

    ●さらに、よくみると T≡T+UとしてT、Uを合成すると、
    \(\frac{ Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t、U \geq t)) }{ Pr(T \geq t、U \geq t)}\)=
    \(\frac{ Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t) }{ Pr(T \geq t)}\)
    とできるので、元の式に戻ります。

    ハザード関数は、打切りしないTと打切りするUの独立した変数を合成することができる。
    ハザード関数は、打切りする場合も考慮できるということが分かります!

    累積ハザード関数の近似

    ハザード関数\(λ(t)\)は
    \(λ(t)\)= \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{1}{Δt}\)\((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)
    と難しい式ですが、よく見ると
    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)
    =\(\frac{ Pr(t \leq T \leq t+Δt、T \geq t)}{ Pr(T \geq t)}\)=\(\frac{d/n}{y/n}\)
    ・d:単位時間当たりの故障数
    ・y:時刻tでまだ故障していない個数
    ・n:全体の個数
    という条件付き確率で表現できます。

    つまり、
    \(λ(t)\)≡\(\frac{d}{y}\)
    として考えることができるので、この式を使ってみましょう。

    ➄Nelson-Aalen推定量を一旦作る

    Nelson-Aalen推定量とは

    ハザード関数を
    \(λ(t)\)≡\(\frac{d}{y}\)
    として考えることができるので、この式を使って、累積ハザード関数を作ってみます。

    累積ハザード関数はハザード関数の積分ですが、積分の代わりに∑(和)で表現してみます。
    \(Λ(t)\)=\(\sum_{i=1}^{n} \frac{D}{Y}\)

    この形の式をNelson-Aalen推定量と呼びます。カプランマイヤー法の導出に必要なので、一旦式を作ります。

    ●次に、生存関数を作りましょう。
    生存関数\(S(t)\)=\(exp(-Λ(t))\)より、
    \(S(t)\)=\(exp(-\sum_{i=1}^{n} \frac{D}{Y})\)

    指数部分に∑があると、掛け算になるので、
    \(S(t)\)=\(exp(-\sum_{i=1}^{n} \frac{D}{Y})\)
    =\(\displaystyle \prod_{i=1}^n (exp(-\frac{D}{Y})\)
    となり、だんだんカプランマイヤー法の式に近づいてきました。

    ⑥カプランマイヤー法が導出できる

    Nelson-Aalen推定量から生存関数\(S(t)\)は
    \(S(t)\)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (exp(-\frac{D}{Y})\)
    を使っても良いですが、もう少し式が簡単にならないか考えましょう。

    ●ここで、テーラー展開を思い出しましょう。
    \(e^x\)=1+\(x\)+\(\frac{x^2}{2!}\)+…
    ですね。

    \(exp(-\frac{D}{Y})\)をテーラー展開すると、
    \(exp(-\frac{D}{Y})\)=1+\((-1)\frac{D}{Y}\)+\((-1)^2 \frac{(D/Y)^2}{2!}\)+…
    となり、1次式まで取り出すと、
    \(exp(-\frac{D}{Y})\)=1-\(\frac{D}{Y}\)
    となります。

    ●まとめると、
    \(S(t)\)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (exp(-\frac{D}{Y})\)
    = \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{D}{Y})\)
    と変形できます。これがカプランマイヤー法で使う生存関数の式です。ゴール到達できました!。

    信頼度R(t)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{D_i}{Y_i})\)
    ●\(D_i\):故障数
    ●\(R_i\):全体の個数
    の式に一致しましたね!

    導出が難しく、長いですが、何も知らずに公式暗記するよりは、導出過程を読んで理解した方がいいですよね!

    まとめ

    「カプランマイヤー法が理解できる(その2)が理解できる」を解説しました。

    • ①カプランマイヤー法とは(その1で解説)
    • ➁実測データで扱う経験分布関数は「打切りデータ」が扱えない(その1で解説)
    • ➂生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数を作る(その1で解説)
    • ➃「打切りデータ」も考慮できるポイント
    • ➄Nelson-Aalen推定量を一旦作る
    • ⑥カプランマイヤー法が導出できる(その2で解説)

  • カプランマイヤー法が理解できる(その1)

    カプランマイヤー法が理解できる(その1)

    「打切りデータがある場合では、何でカプランマイヤー法を使うのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    カプランマイヤー法が理解できる(その1)
    • ①カプランマイヤー法とは
    • ➁実測データで扱う経験分布関数は「打切りデータ」が扱えない
    • ➂生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数を作る
    • ➃「打切りデータ」も考慮できるポイント(その2で解説)
    • ➄Nelson-Aalen推定量を一旦作る(その2で解説)
    • ⑥カプランマイヤー法が導出できる(その2で解説)

    QC(品質管理)を勉強して、強く思うのは、

    教科書に正しく書いていても、
    自分で導出できない式は使うな!
    使い方(手段)より、
    意味(目的)を理解せよ!

    信頼性工学で、いまいち理解できない
    「打切りデータ」⇒カプランマイヤー法
    を実際に導出してみましょう。

    2記事に分けてわかりやすく解説!

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    ①カプランマイヤー法とは

    カプランマイヤー法

    教科書によっては、若干書き方が異なりますが、カプランマイヤー法とは

    信頼度R(t)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{D_i}{Y_i})\)
    ●\(D_i\):故障数
    ●\(R_i\):全体の個数

    ポイントは、

    \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{D_i}{Y_i})\)
    故障数/全体数 の累積掛け算の形であること!
    シンプルで使いやすい

    具体的は
    信頼度R(t)= \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{D_i}{Y_i})\)
    =\(\frac{5}{5}\)×\(\frac{4}{5}\)×\(\frac{2}{3}\)
    と分数の掛け算で信頼度が計算できるので、
    シンプルで使いやすいです。

    \(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-\frac{D_i}{Y_i})\)
    故障数/全体数 の累積掛け算の形であること!
    どうやって、この式ができるかを解説していきます。

    カプランマイヤー法の導出ストーリー

    難しい式は、「導出ストーリ」が必要です。そうじゃないと、
    何を計算して導き出しているかが読者は理解できないから

    ストーリーはこれです!

    1. 実測データを扱う関数は、経験分布関数と別物である
    2. しかし、経験分布関数は「打切りデータ」は扱えない
    3. そこで、「打切りデータ」も扱える「いい感じ」の関数を作る
    4. それが、生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数
    5. 条件付き確率の公式を使って「打切りデータ」も扱えるようにする
    6. 生存関数から一旦「Nelson-Aalen推定量」を作る
    7. Nelson-Aalen推定量の式を変形して、カプランマイヤー法を導出

    と、結構、道のりが長いです。だから、暗記して公式を使えばよいですが、理解せずに式は使ってはいけません!

    では1つずつ解説していきます。

    ➁実測データで扱う経験分布関数は「打切りデータ」が扱えない

    実データは経験分布関数から入る

    故障数を測定するときは、
    ●横軸が時間(t)
    ●縦軸は故障数で、
    縦軸yの値は、階段状のデータになり、連続性がない特徴になります。

    この特徴にぴったり合う関数が、
    「経験分布関数」です。

    経験分布関数とは

    経験分布関数については、関連記事にまとめていますので、ご確認ください。

    信頼性工学に使う経験分布関数がわかる
    経験分布関数は説明できますか?本記事では経験分布関数の基本を解説し、QC(品質管理)の信頼性工学で経験分布関数が必要であることが理解できます。信頼性工学などで何となく公式暗記代入するのではなく、本質を理解しましょう

    経験分布関数の式は、以下です。

    ●経験分布関数
    \(F_n(x)\)=\(\frac{x以下となるX_iの個数}{n}\)
    =0 (\(x\) < \(X_1\))
    =\(\frac{i}{n}\) (\(X_i\) < \(x\) < \(X_{i+1}\),i=1,2,…,n-1)
    =1(\(x\) > \(X_n\)

    グラフを見て、こんな感じと理解しましょう。

    信頼性工学

    経験分布関数は「打切りデータ」は扱えない

    グラフを見てわかるように、時刻tは故障する時間なので、
    故障するまで待つのが前提です。

    別に、経験分布関数を使って「打切りデータ」を含めても良いと思いますが、精度を上げたいために、「打切りデータ」もうまく扱える関数が必要としましょう。

    ➂生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数を作る

    経験分布関数では「打切りデータ」が扱えないので、どこかの頭のいい数学者が
    ●生存関数
    ●ハザード関数
    ●累積ハザード関数
    という聞きなれない関数を持ってきて、うまく式を作ったので、それを解説します。

    生存関数とは

    ある時刻\(t\)まで、「故障しない」確率をして定義します。信頼度\(R(t)\)と同じ意味ですね。
    生存関数を数式で定義します。

    ●生存関数
    \(S(t)\)=Pr(T > \(t\)) =1-Pr(T ≤ \(t\))=1-\(F(t)\)
    \(S(0)\)=1 (\(t\) ≤0)
    \(S(∞)\)=0

    ハザード関数とは

    ハザード関数とは、ある時刻\(t\)瞬間の故障確率と定義します。故障率λと同じ意味ですね。
    ハザード関数を定義します。

    ●ハザード関数
    \(λ(t)\)= \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{1}{Δt}\)\((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)

    ポイントは、時刻\(t\)から時刻\(t+Δt\)の間に発生する故障確率
    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)
    条件付き確率で定義している点がポイントです。

    ここが、「打切りデータ」でも扱ってよいとするトリックになるので、注視ください。

    条件付き確率
    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)
    は、生存関数\(S(t)\)で見ると、
    \((Pr(○|T \geq t)) \) →時刻t以上の場合のうち、
    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|○)) \)→時刻tからt+Δtの間に発生した確率
    と見る事ができるので、

    \((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)
    =\(\frac{S(t)-S(t+Δt)}{S(t)}\)
    と書けます。

    まとめると、
    \(λ(t)\)= \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{1}{Δt}\)\((Pr(t \leq T \leq t+Δt|T \geq t)) \)
    = \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{1}{Δt}\)\(\frac{S(t)-S(t+Δt)}{S(t)} \)
    となり、
    = \( \displaystyle \lim_{Δt \to 0} \frac{ S(t)-S(t+Δt)}{Δt}\)\(\frac{1}{S(t)} \)
    =\(-\frac{dS(t)}{dt} \frac{1}{S(t)}\)
    (=\(-\frac{(S(t))’}{S(t)}\)とも書けますね)
    となります。

    生存関数\(S(t)\)≡信頼度\(R(t)\)なので、
    \(-\frac{dS(t)}{dt} \)=\(-\frac{dR(t)}{dt} \)
    =\(f(t) \) (確率密度関数)
    となるので、

    まとめると、
    \(λ(t)\)= \(-\frac{dS(t)}{dt} \frac{1}{S(t)}\)
    =\(f(t) \frac{1}{S(t)}\)
    となります。

    この関係式もあとで使います。

    累積ハザード関数とは

    単純にハザード関数を時刻tで積分した関数です。

    ●累積ハザード関数
    \(Λ(t)\)= \( \displaystyle \int_{0}^{t} λ(s)ds \)
    (Λはラムダの大文字です)

    先ほど計算した、
    \(λ(s)\)= \(-\frac{(S(t))’}{S(t)}\)
    を代入すると

    \(Λ(t)\)= \( \displaystyle \int_{0}^{t} -\frac{(S(t))’}{S(t)}ds \)
    となり、置換積分によって、
    \(Λ(t)\)=\(-log(S(t)\)
    となり、

    生存関数\(S(t)\)は
    \(S(t)\)=\(exp(-Λ(t))\)
    という関係式が作れます。

    3つの関数を定義して、カプランマイヤー法の下ごしらえが出来ました。ここから調理開始です!

    ➃「打切りデータ」も考慮できるポイント

    ここから先は、次の関連記事で解説します。

    「カプランマイヤー法が理解できる(その2)が理解できる」に向かいましょう。

    まとめ

    「カプランマイヤー法が理解できる(その1)が理解できる」を解説しました。

    • ①カプランマイヤー法とは
    • ➁実測データで扱う経験分布関数は「打切りデータ」が扱えない
    • ➂生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数を作る
    • ➃「打切りデータ」も考慮できるポイント(その2で解説)
    • ➄Nelson-Aalen推定量を一旦作る(その2で解説)
    • ⑥カプランマイヤー法が導出できる(その2で解説)

  • 信頼性工学に使う経験分布関数がわかる

    信頼性工学に使う経験分布関数がわかる

    「経験分布関数って何?、QCではどこで使うの?」と疑問に思っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    信頼性工学に使う経験分布関数がわかる
    • ①経験分布関数とは
    • ➁経験分布関数を描いてみよう
    • ➂経験分布関数の期待値と分散を導出
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    ①経験分布関数とは

    経験分布関数とは

    変数\(X\)=(\(X_1,X_2,…,X_n\))を連続な独立同一分布\(F(x)\)に従うとし、\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)を順序統計量とします。

    簡単にいうと、

    変数\(X\)=(\(X_1,X_2,…,X_n\))は
    \(X_1\) < \(X_2\) <…, <\(X_n\)
    という順番が成り立っている

    このとき、以下の式を経験分布関数と定義します。

    ●経験分布関数
    \(F_n(x)\)=\(\frac{x以下となるX_iの個数}{n}\)
    =0 (\(x\) < \(X_1\))
    =\(\frac{i}{n}\) (\(X_i\) < \(x\) < \(X_{i+1}\),i=1,2,…,n-1)
    =1(\(x\) > \(X_n\)

    グラフ描いてみると、理解しやすい。

    実際に描いてみましょう。百聞は一見に如かず!

    データを用意します。

    x y
    0 0
    1 0.1
    2 0.3
    3 0.3
    4 0.45
    5 0.6
    6 0.6
    7 0.8
    8 0.8
    9 1
    10 1

    グラフに描くと下図になりますね。

    信頼性工学

    こんな感じの関数です。

    信頼性工学で経験分布関数を使う

    この変な関数をどこで使うか?

    ●不良個数を実測すると、時間と不良個数のデータが取れる。そのデータそのものが経験分布関数である。
    ●信頼性工学は、実データである離散データ(経験分布関数)をモデル化した連続系の指数分布モデルをよく使う。
    ●信頼性工学では、打切りデータを取り扱う必要がある。打切りデータの考え方のベースになるのが経験分布関数

    なので、信頼性工学を究めるには、経験分布関数を理解しておく必要があります。

    ➁経験分布関数を描いてみよう

    基本は簡単

    上のグラフを再掲しますが、

    信頼性工学

    1. x,yのデータを用意する
    2. 連続性はなく、階段みたいな関数

    信頼性工学で経験分布関数を使いたい

    いろんなx,yのパターンがあってもよいですが、信頼性工学で扱いたいので、指数分布関数に近いデータを考えます。

    指数分布関数

    指数分布関数として、以下を用意します。
    \(F(x)\)=1-\(e^{-x}\)

    経験分布関数と指数分布関数を比較しましょう。

    指数分布関数に遠いデータ

    先ほどのデータを指数分布関数\(F(x)\)=1-\(e^{-x}\)と比較します。

    信頼性工学

    経験分布関数には、自由にx,yのデータを入れてよいですが、この場合は、指数分布関数から離れているので、信頼性工学では、指数分布関数としてモデル化することができません。

    指数分布関数に近いデータ

    次に、不良個数が次のようなデータが取れたとしましょう。

    x y
    0 0
    1 0.6
    2 0.9
    3 0.91
    4 0.91
    5 0.95
    6 0.95
    7 0.95
    8 0.99
    9 1
    10 1

    先ほどのデータを指数分布関数\(F(x)\)=1-\(e^{-x}\)と比較します。

    信頼性工学

    この場合は、指数分布関数に近いので、信頼性工学では、指数分布関数としてモデル化できます。

    リアルデータをそのままプロットすると経験分布関数になります。
    これと指数分布関数が近いからOK,遠いからNGではありません。
    データから何を考えるか?が一番大事です。何も考えずに、近似や計算処理しても何も得られません。

    ➂経験分布関数の期待値と分散を導出

    離散系な分布関数ですが、期待値と分散を導出します。

    経験分布関数の確率密度関数\(f(x)\)

    経験分布関数は
    \(F_n(x)\)=\(\frac{i}{n}\) (\(X_i\) < \(x\) < \(X_{i+1}\),i=1,2,…,n-1)
    ですね。

    これを微分すればよいので、確率密度関数\(f(x)\)は、
    \(f(x)\)=\(\frac{1}{n}\)
    です。

    経験分布関数の期待値を導出

    期待値E[X]=\(\sum_{i=1}^{n} x_i f(x)\)より、

    期待値E[X]=\(\sum_{i=1}^{n} x_i f(x)\)
    =\(\sum_{i=1}^{n} x_i \frac{1}{n}\)
    =\(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i \)
    となります。

    具体的には、先ほどの例でいうと、

    信頼性工学

    期待値E[X]= \(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i \)
    =\(\frac{1}{10} \)(0+1+2+3+4+5+6+7+8+9+10)
    =5.5

    経験分布関数の分散を導出

    分散V[X]=\(\sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2 f(x)\)より、

    分散V[X]=\(\sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2 f(x)\)
    =\(\sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2 \frac{1}{n}\)
    =\(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2\)
    となります。

    具体的には、先ほどの例でいうと、

    信頼性工学

    分散V[X]= \(\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i -μ)^2\)
    =\(\frac{1}{10} \)(\((0-5.5)^2\)+\((1-5.5)^2\)+…\((10-5.5)^2\))
    =11.28
    となります。

    計算はできますが、「ふーん」とピンと来ませんが、それが経験分布関数です。

    まとめ

    「信頼性工学に使う経験分布関数がわかる」を解説しました。

    • ①経験分布関数とは
    • ➁経験分布関数を描いてみよう
    • ➂経験分布関数の期待値と分散を導出

  • 信頼性工学ができる(離散系と連続系まとめて演習)

    信頼性工学ができる(離散系と連続系まとめて演習)

    「信頼度、MTBF、MTTF、MTTRを問題に合わせて解くと、だんだんわからなくなっていく」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    信頼性工学ができる(離散系と連続系まとめて演習)
    • ①離散系と連続系はまとめて理解する
    • ➁非修理系の離散系と連続系の演習問題
    • ➂修理系の離散系と連続系の演習問題

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    離散系 連続系
    非修理系
    修理系

    「離散系、連続系」と「非修理系、修理系」の4パターンをまず区別してマスターしましょう。整理して理解しましょう。

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    ①離散系と連続系はまとめて理解する

    初心者は離散系の方が理解しやすい

    離散系とは

    ヒストグラムで表現され、個数と度数を掛け算して合計するやり方。
    初心者向け。

    信頼性工学

    よくヒストグラムが出て、個別の度数を長方形の面積で計算すればわかる!
    程度なので、計算も簡単で、理解しやすい!

    信頼性工学は簡単と最初は安心できる!

    連続系は初心者には難しい

    連続系とは

    関数で表現され、積分して計算するやり方。
    高度な数学を使うので難しい。

    信頼性工学

    苦手な積分が出て来るし、関数\(f(x)\)も複雑な式になるから
    計算が難しく、理解できない!

    信頼性工学は最初簡単だけど、すぐ難しくなる!

    信頼性工学は連続系が学びやすい

    関連記事に詳細に解説しています。ご確認ください。

    信頼性工学がよくわかる(離散系と連続系まとめて理解できる)
    信頼性工学でヒストグラムから導出する過程と、積分から導出する過程を別々に理解して頭が混乱していませんか?本記事では、連続系をベースにすれば両者をまとめて整理して理解することができます。信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ポイントは ∑と積分の違いだけ

    離散系と連続系の関係性が見えないから、別々に理解しがち。
    でも、まとめて理解したい!

    やってみましょう。

    信頼性工学

    離散系と連続系は図を見ると考え方は同じで、

    ∑か積分∫かの違いだけです。
    ∑か積分∫かの違いだけで
    ●不良率、信頼度
    ●MTTF,MTBF,MTTR
    と信頼性工学の基本セットがまとめて理解できます。

    式でいうと具体的には、下図のとおりです。

    信頼性工学

    では、演習問題を使って、離散・連続×非修理・修理の4パターンを整理して理解していきましょう。

    ➁非修理系の離散系と連続系の演習問題

    信頼度RとMTTFを計算する演習問題です。ついでなので、B10も解きましょう。

    B10とは不良率が10%になる時間のことです。

    ●離散系の演習問題
    ある電子部品(サンプル数100)の寿命値を下図のようにヒストグラムにまとめた。
    (1) 時間2における信頼度R(2)はいくらか。
    (2) B10はいくらか。
    (3) MTTFはいくらか。
    ●連続系の演習問題
    ある部品の寿命は次式の指数分布
    \(f(t)\)=\(λe^{-λt}\) (\(λ\)=0.01)
    に従っている。
    (1) 時間2における信頼度R(2)はいくらか。
    (2) B10はいくらか。
    (3) MTTFはいくらか。

    の2問を解説します。

    *問い(1)(2)(3)が2問とも同じですよね!
    (1) 時間2における信頼度R(2)はいくらか。
    (2) B10はいくらか。
    (3) MTTFはいくらか。

    離散系の演習問題

    例題

    ある電子部品(サンプル数100)の寿命値を下図のようにヒストグラムにまとめた。
    (1) 時間2における信頼度R(2)はいくらか。
    (2) B10はいくらか。
    (3) MTTFはいくらか。

    信頼性工学

    解法

    (1)は、時刻2以上で壊れていないサンプル数を考えれば信頼度Rが計算できます。
    R(2)=(100-4)/100=96%

    (2)はサンプル数100のうちの10%の10個が壊れる時間なので、
    時刻4~5の間にB10が来ます。よって、
    B10=3+(4-3)×(1/8)=3.125

    信頼性工学

    (3)MTTFはヒストグラムの長方形の面積の合計でしたね。
    ●離散系:MTTF(MTBF)=\(\sum_{i=1}^{n}t_i f_i(×1)\)
    よって、
    MTTF=1×0+2×4+3×5+4×8+5×9+6×13+7×18
    +8×15+9×12+10×5+11×5+12×3+13×2+14×0+15×1=714
    となります。

    同じことを、連続系でも解いてみましょう。

    連続系の演習問題

    例題

    ある部品の寿命は次式の指数分布
    \(f(t)\)=\(λe^{-λt}\) (\(λ\)=0.01)
    に従っている。
    (1) 時間2における信頼度R(2)はいくらか。
    (2) B10はいくらか。
    (3) MTTFはいくらか。

    解法

    (1)は、時刻2以上で壊れていないサンプル数を考えれば信頼度Rが計算できます。
    R(2)= \(\displaystyle \int_{2}^{∞} f(t)dt\)
    = \(\displaystyle \int_{2}^{∞} λe^{-λt} dt\)
    = -\(\left[ e^{-λt}\right]_{2}^{∞}\)
    =\(e^{-2λ}\)=\(e^{-0.02 }\)
    =98%

    (2)はサンプル数100のうちの10%の10個が壊れる時間なので、
    0.1=\(\displaystyle \int_{0}^{B_{10}} f(t)dt\)
    0.1= -\(\left[ e^{-λt} \right]_{0}^{B_{10}}\)
    0.09=\(e^{-0.01B_{10}}\)
    B10=10.54

    (3)MTTFは積分でしたね。
    ●連続系: MTTF= \(\displaystyle \int_{0}^{∞} tf(t)dt \)
    よって、
    MTTF= \(\displaystyle \int_{0}^{∞} tf(t)dt \)
    =\(λ\displaystyle \int_{0}^{∞} t e^{-λt}dt \)
    部分積分すると、
    = \(-λ\left[ \frac{1}{λ}t e^{-λt} + \frac{1}{λ^2} e^{-λt} \right]_{0}^{∞}\)
    =\(\frac{1}{λ}\)=100

    離散系も連続系も問いが同じなので、解き方は同じです。
    でも連続系の積分が、しんどく感じるかもしれませんが、そこは慣れです。

    ➂修理系の離散系と連続系の演習問題

    MTBF,MTTR,アベイラビリティを計算する演習問題です。

    離散系と連続系の違いは下図で確認しましょう。

    信頼性工学

    これから解く、問題は問いが離散系も連続系も同じです。

    ●離散系
    次の表はある工場機械の稼働と故障・修理の時間を表している。なお、
    操業時間=稼働時間+故障・修理時間とみること。
    (1)月あたりのMTBFはいくらか。
    (2)月あたりのMTTRはいくらか。
    (3)月あたりのアベイラビリティAはいくらか。
    ●連続系
    ある工場機械は故障率と修理率が次の指数分布関数に従っているとする。
    故障率: \(f(t)\)=\(λe^{-λt}\) (\(λ\)=0.001(月あたり))
    修理率: \(g(t)\)=\(μe^{-μt}\) (\(μ\)=0.01(月あたり))
    (1)月あたりのMTBFはいくらか。
    (2)月あたりのMTTRはいくらか。
    (3)月あたりのアベイラビリティAはいくらか。

    問は、

    問:
    (1)月あたりのMTBFはいくらか。
    (2)月あたりのMTTRはいくらか。
    (3)月あたりのアベイラビリティAはいくらか。
    と離散系も連続系も同じです。

    離散系の演習問題

    例題

    次の表はある工場機械の稼働と故障・修理の時間を表している。なお、
    操業時間=稼働時間+故障・修理時間とみること。
    (1)月あたりのMTBFはいくらか。
    (2)月あたりのMTTRはいくらか。
    (3)月あたりのアベイラビリティAはいくらか。
    操業時間 故障回数 修理時間/回
    1 744 2 6
    2 672 2 9
    3 744 0 0
    4 720 1 12
    5 600 2 15
    6 720 3 6
    4200 10

    解法

    稼働時間と故障・修理時間を計算して表にするとMTTF,MTTRはすぐ計算できます。

    操業時間 故障回数 修理時間/回 非稼働時間 稼働時間
    1 744 2 6 12 732
    2 672 2 9 18 654
    3 744 0 0 0 744
    4 720 1 12 12 708
    5 600 2 15 30 570
    6 720 3 6 18 702
    4200 10 90 4110
    平均 15 685

    (1) 上の表の平均稼働時間がMTBFです。よって、MTBF=685

    (2) 上の表の平均非稼働時間がMTTRです。よって、MTTR=15

    (3) アベイラビリティAは
    \(A=\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)です。よって、
    \(A=\frac{685}{685+15}\)=97.9%

    と計算できました。

    連続系の演習問題

    例題

    ある工場機械は故障率と修理率が次の指数分布関数に従っているとする。
    故障率: \(f(t)\)=\(λe^{-λt}\) (\(λ\)=0.001(月あたり))
    修理率: \(g(t)\)=\(μe^{-μt}\) (\(μ\)=0.01(月あたり))
    (1)月あたりのMTBFはいくらか。
    (2)月あたりのMTTRはいくらか。
    (3)月あたりのアベイラビリティAはいくらか。

    解法

    指数分布に従うときは、

    実は、
    (1)MTBF=\(\frac{1}{λ}\)
    (2)MTTR=\(\frac{1}{μ}\)
    (3)\(A\)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)=\(\frac{μ}{μ+λ}\)
    と公式当てはめて終わりです。

    導出については、関連記事にまとめていますので、一度は解いてみてください。重要です!

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
    MTTF,MTBF,MTTRの違いは説明できますか?公式暗記に頼らず自力で導出できますか?本記事では暗記に頼ることなく導出できるよう丁寧に解説します。信頼性工学は自力で導出すると理解度が一気に増します。必読です!

    なので、連続系×修理系の問いはあまり見かけません。理由は公式代入で即終了でつまらないからでしょうね。

    (1)MTBF=\(\frac{1}{λ}\)より、MTBF=1000

    (2) MTTR=\(\frac{1}{μ}\)より、MTTR=100

    (3) \(A\)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)=\(\frac{μ}{μ+λ}\)
    =\(\frac{0.01}{0.01+0.001}\)=90.9%

    と計算できました。

    離散系 連続系
    非修理系
    修理系

    の4パターンの演習問題をセットで理解できました。

    これで、離散系と連続系が混乱せず整理して理解できました。

    まとめ

    「信頼性工学ができる(離散系と連続系まとめて演習)」を解説しました。

    • ①離散系と連続系はまとめて理解する
    • ➁非修理系の離散系と連続系の演習問題
    • ➂修理系の離散系と連続系の演習問題

  • 信頼性工学がよくわかる(離散系と連続系まとめて理解できる)

    信頼性工学がよくわかる(離散系と連続系まとめて理解できる)

    「信頼性工学って、ヒストグラムや箱描いて不良率計算する簡単なものだけど、応用になるといきなり指数分布の積分とかガンマ関数とか出て来るから、理解が深めにくい」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    信頼性工学がよくわかる(離散系と連続系まとめて理解できる)
    • ①離散系と連続系があるけど、連続系で勉強すべき
    • ➁離散系、連続系の不良率、信頼度をまとめて理解する
    • ➂離散系、連続系のMTTF,MTBF,MTTRをまとめて理解する
    どの教科書やサイトでも、離散系と連続系を別々に説明するし、
    離散系は簡単
    連続系は激ムズ
    だからいまいち信頼性工学が理解しきれない!

    という、悩みがありました。それを本記事で解決できます!

    信頼性工学は離散系も連続系も考え方は同じなので、横に並べて比較しながら理解すればOKです。
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    ①離散系と連続系があるけど、連続系で勉強すべき

    初心者は離散系の方が理解しやすい

    離散系とは

    ヒストグラムで表現され、個数と度数を掛け算して合計するやり方。
    初心者向け。

    信頼性工学

    よくヒストグラムが出て、個別の度数を長方形の面積で計算すればわかる!
    程度なので、計算も簡単で、理解しやすい!

    信頼性工学は簡単と最初は安心できる!

    連続系は初心者には難しい

    連続系とは

    関数で表現され、積分して計算するやり方。
    高度な数学を使うので難しい。

    信頼性工学

    苦手な積分が出て来るし、関数\(f(x)\)も複雑な式になるから
    計算が難しく、理解できない!

    信頼性工学は最初簡単だけど、すぐ難しくなる!

    信頼性工学は連続系が学びやすい

    実は、信頼性工学をマスターするには、

    連続系を主として理解して、その一例を離散系で学ぶ
    スタンスが必要です。

    なぜなら、離散系と連続系にはそれぞれの良し悪しがあります。

    離散系 連続系
    わかりやすさ すぐ理解できる 理解が難しい
    強み 実データ向き 理論向き
    弱み 一般化、抽象化しにくい 一般化、抽象化しやすく
    理論が体系的に学べる
    信頼性工学を
    マスターするには
    後でもいい 先に理解する

    ポイントは ∑と積分の違いだけ

    離散系と連続系の関係性が見えないから、別々に理解しがち。
    でも、まとめて理解したい!

    やってみましょう。

    信頼性工学

    離散系と連続系は図を見ると考え方は同じで、

    ∑か積分∫かの違いだけです。
    ∑か積分∫かの違いだけで
    ●不良率、信頼度
    ●MTTF,MTBF,MTTR
    と信頼性工学の基本セットがまとめて理解できます。

    式でいうと具体的には、下図のとおりです。

    信頼性工学

    では、個々に解説していきます。

    ➁離散系、連続系の不良率、信頼度をまとめて理解する

    離散系、連続系の分布図をまとめて理解する

    図を再掲します。

    信頼性工学

    離散系、連続系の不良率をまとめて理解する

    ●離散系: \(F(n)\)=\(\sum_{i=1}^{n} f_i\)
    ●連続系: \(F(x)\)= \(\displaystyle \int_{0}^{x} f(x)dx \)

    信頼性工学

    図を見て、式は基本同じであることを理解しましょう。

    離散系、連続系の信頼度をまとめて理解する

    信頼度Rは、基本
    R=1-F
    です。

    ●離散系: \(R(n)\)=1-\(F(n)\)
    ●連続系: \(R(x)\)= 1-\(F(x)\)

    ➂離散系、連続系のMTTF,MTBF,MTTRをまとめて理解する

    MTTF,MTBF,MTTRを図でまとめて理解する

    離散系、連続系のMTTF,MTBF,MTTRを図でまとめて理解すると下図になります。

    信頼性工学

    離散系、連続系のMTTF,MTBFをまとめて理解する

    離散系と連続系の式は基本、同じであることを意識して確認しましょう。

    ●離散系:MTTF(MTBF)=\(\sum_{i=1}^{n}t_i f_i(×1)\)
    ●連続系: MTTF(MTBF)= \(\displaystyle \int_{0}^{∞} xf(x)dx \)

    ∑と積分∫
    \(t_i\)と\(x\)
    \( f_i(×1)\)と\(f(x)dx\)
    が対応していますね。

    関連記事にもあるように、よくMTTF,MTBF=\(\frac{1}{λ}\)を使います。導出していますので、確認ください。

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
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    離散系、連続系のMTTRをまとめて理解する

    離散系、連続系のMTTF,MTBF,MTTRの図を再掲します。

    信頼性工学

    ●離散系:MTTR=\(\sum_{i=1}^{n}t_i g_i(×1)\)
    ●連続系: MTTR= \(\displaystyle \int_{0}^{∞} xg(x)dx \)
    (\(g\)は修理に関する関数)

    ∑と積分∫
    \(t_i\)と\(x\)
    \(g_i(×1)\)と\(g(x)dx\)
    が対応していますね。

    関連記事にもあるように、よくMTTR=\(\frac{1}{μ}\)を使います。導出していますので、確認ください。

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
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    これで、離散系と連続系が混乱せず整理して理解できました。

    まとめ

    「信頼性工学がよくわかる(離散系と連続系まとめて理解できる)」を解説しました。

    • ①離散系と連続系があるけど、連続系で勉強すべき
    • ➁離散系、連続系の不良率、信頼度をまとめて理解する
    • ➂離散系、連続系のMTTF,MTBF,MTTRをまとめて理解する

  • 並列系のアベイラビリティがよくわかる(修理系の一部が無い場合)

    並列系のアベイラビリティがよくわかる(修理系の一部が無い場合)

    「並列系のアベイラビリティがよくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    並列系のアベイラビリティがよくわかる(修理系の一部が無い場合)
    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算

    考え方は関連記事と同じですが、計算がもっと大変でした。計算を頑張ったので解説します!ちょっと応用になると計算が大変になるため、解説がない場合が多いです。でも、頑張れば解けるので読んでください。

    並列系のアベイラビリティがよくわかる
    並列系のアベイラビリティは公式暗記ではなく自力で導出できますか?本記事では並列系のモデルから立式してアベイラビリティの時間の関数や極限値、並列系のメリットをアベイラビリティからわかる理由を丁寧に解説しています。信頼性工学を勉強したい方は必読です。

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    ①アベイラビリティとは

    アベイラビリティとは

    信頼度を高めるには、
    「故障しないこと」以外に、
    「修理が短時間で終わること」も重要ですね。

    動作状態(アップタイムU)と休止状態(ダウンタイムD)の比を取ったものが
    「アベイラビリティ」です。

    アベイラビリティA = \(\frac{アップタイムU}{アップタイムU+ダウンタイムD}\)

    信頼性工学

    アベイラビリティは公式暗記で済ませるな!

    結局、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    になりますが、暗記より導出が大事!

    それと、

    アベイラビリティAは時間\(t\)の関数であるが、
    A(t⇒∞)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    ばかり試験や教科書しか出ないので、みんなこれを丸暗記して簡単と思ってしまう!

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。

    アベイラビリティを公式暗記するリスク

    単純な系なら、
    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    でいいのですが、並列系、直列系と応用になると、式が複雑化し、式が理解できなくなります。

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。導出方法がわかれば、どんな系でもアベイラビリティは導出できます。

    アベイラビリティの基本は、関連記事で解説しています。ご確認ください。

    【必読】アベイラビリティがよくわかる
    QCでよく出るアベイラビリティを公式暗記だけで終わっていませんか?本記事では、アベイラビリティの定義や導出を丁寧に解説! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題

    本記事では、次の例題を使って、並列系のアベイラビリティを解説します。

    1. 並列系のアベイラビリティA(t)をきちっと解く
    2. 並列系のアベイラビリティがいくらになるかを解く
    3. 並列系のメリットをアベイラビリティから理解する

    なお、わかりやすくするため、指数分布について解説します。

    並列系のアベイラビリティを考える例題

    下図のような2個の同じ要素からなる並列系において、故障した要素を修理しつつ系を稼働させる場合の信頼度(確率)P(t)とアベイラビリティA(t)を求めたい。
     下図のシャント線図で、各状態を定義する。
    ●\(S_0\):故障しない(故障数0)の場合、またその確率を\(P_0\)とする。
    ●\(S_1\):故障が1個(故障数1)の場合、またその確率を\(P_1\)とする。
    ●\(S_2\):すべて故障する(故障数2)の場合、またその確率を\(P_2\)とする。
    当然、\(P_0+P_1+P_2=1\)である。
    さらに、故障率\(λ_i\)、修理率\(μ_i\)を下図のシャント線図のように定義する。
    (1) 連立微分方程式を作れ
    (2) 定常状態(t⇒∞)における、各状態の確率\(P_i\)とアベイラビリティ\(A\)を計算せよ。
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=P_2(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (4) (3)の結果をt⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。

    信頼性工学

    信頼性工学

    図をよくみると、状態\(S_2\)から状態\(S_1\)へ修理する矢印がありません。矢印が2方向ない場合を今回解説します。

    ちょっと長~~い問題文になったけど、重要なので1つ1つやっていきましょう。

    各問は以下でそれぞれ解説します。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
      ⇒(1)を解説
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
      ⇒(2)を解説
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算
      ⇒(3)(4)を解説

    信頼性工学は以下の3点の流れで解いていきます。QCプラネッツの全記事共通です。

    1. シャント線図、微分方程式の導出
    2. ラプラス変換の基本
    3. MTTF,MTBF,MTTRの導出方法
    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)
    要素が非独立な場合の信頼度は計算できますか?単純に掛け算ではできず、微分方程式から計算する必要があります。本記事では、難解な非独立系の信頼度をわかりやすく解説します。信頼性工学を学びたい方は必読です。

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
    MTTF,MTBF,MTTRの違いは説明できますか?公式暗記に頼らず自力で導出できますか?本記事では暗記に頼ることなく導出できるよう丁寧に解説します。信頼性工学は自力で導出すると理解度が一気に増します。必読です!

    連立微分方程式を作る

    シャント線図を見ながら、微分方程式を作ります。

    信頼性工学

    ●微分方程式は下のようになります。
    関連記事では、以下の微分方程式でした。
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)+\(μ_1 P_2(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\)―\(μ_1 P_2(t)\)

    これから、状態\(S_2\)から状態\(S_1\)へ修理する矢印を無くしたのが今回の場合なので、微分方程式は以下に変形します。
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)+\(μ_1 P_2(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\) ―\(μ_1 P_2(t)\)

    ●微分方程式((1)の答え)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\)

    初期条件は決まっている

    ●初期条件
    \(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),\(P_2 (0)=0\)です。

    では、微分方程式をラプラス変換して解いてみましょう。

    ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出

    定常状態とは、t⇒∞で、確率の変化が0の場合です。つまり、(1)の微分方程式でいうと
    \(\displaystyle \frac{dP_i(t)}{dt} \)=0 (\(i\)=0,1,2)です。

    よって計算できます。

    ●微分方程式から
    0=―\(λ_0 P_0\)+\(μ_0 P_1\)
    0=\(λ_0 P_0\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1\)
    0=\(λ_1 P_1\)
    \(P_0+P_1+P_2=1\)

    解くと、
    ●\(P_0\)=0
    ●\(P_1\)=0
    ●\(P_2\)=0
    となりますが、
    ●\(P_0+P_1+P_2=1\)が成立しません。

    どういうこと?
    定常解が存在しないから、定常状態にはならない!ということですね!

    また、アベイラビリティ\(A\)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、すべて故障する\(P_2\)以外の確率がアベイラビリティと定義できす。
    \(P_0+P_1+P_2=1\)から
    \(A=P_0+P_1=1-P_2\)と定義できます。

    よって、

    ですが、定常状態がないため、定常時のアベイラビリティAは0と存在しないみたいです。

    (2)もできました。

    ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算

    問いを再掲

    もう一度、問と微分方程式に戻ります。

    問(再掲)
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=P_2(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    微分方程式(再掲)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\)
    を、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ P_0(t)\)+\(λP_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ P_0(t)\) ―\(2λ P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ P_1(t)\)
    ●初期条件:\(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),\(P_2 (0)=0\)

    ラプラス変換して解析

    ラプラス変換すると微分方程式は、
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\(λ P_0\)+\( λ P_1\)
    ●\(sP_1 \)=\(λ P_0\) ―\(2λP_1\)
    ●\(sP_2 \)=\(λ P_1\)

    3つの両辺を足すと
    \(P_0 +P_1 +P_2 \)=\(\frac{1}{s}\)

    ここから計算が大変。。。でも頑張って解いた結果なので読んで欲しいし、是非解いてみてください。良い計算練習になります!

    ●\(P_1\)=\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ}{s}P_1\)
    と変形して、
    \(P_0 +P_1 +P_2 \)=\(\frac{1}{s}\)
    に代入すると、\(P_0\)が求まります。

    \(P_0\)を計算

    \(P_0\)+\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)+\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{s}\)=\(\frac{1}{s}\)
    \(sλP_0\)+\(s(s+λ)P_0-s\)+\(λ(s+λ)P_0-λ\)=\(λ\)
    まとめると、
    \(((s+λ)^2 + sλ)P_0 = s+2λ\)

    sの2次式になりました。結構計算が大変!

    ラプラス変換を逆に戻すポイントは
    \(\frac{1}{(s+a)(s+b)}\)= \(\frac{A}{s+a}+\frac{B}{s+b}\)
    と分母の積を分解することです。

    よって、
    \(P_0\)=\(\frac{ s+2λ}{(s+λ)^2 + sλ}\)
    =\(\frac{\frac{5-\sqrt{5}}{10}λ}{s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}λ}\)+\(\frac{\frac{5+\sqrt{5}}{10}λ}{s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}λ}\)

    計算がキツイねえ。。。

    \(P_1\)を計算

    頑張って解いていきます。

    \(P_1\)=\( \frac{(s+λ)(s+2λ)}{λ((s+λ)^2 + sλ)}-\frac{1}{λ}\)
    =\(\frac{λ^2}{λ(s^2+3λs+λ^2)}\)
    =\(\frac{λ}{(s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}λ)( s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}λ)}\)
    =\(\frac{1}{\sqrt{5}} \frac{1}{ s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}λ}\)-\(\frac{1}{\sqrt{5}} \frac{1}{ s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}λ}\)

    大変な計算ですね。

    \(P_2\)を計算

    \(P_2\)=\(\frac{λ}{s}P_1\)
    =\(\frac{λ^2}{s(s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}λ)( s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}λ)}\)
    =\(\frac{λ^2}{s}\)+\(\frac{-\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}}}{s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}}λ^2\)-\(\frac{\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}}}{s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}}λ^2\)

    まとめたくないけど、まとめると、

    ●\(P_0\)=\(\frac{\frac{5-\sqrt{5}}{10}λ}{s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}λ}\)+\(\frac{\frac{5+\sqrt{5}}{10}λ}{s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}λ}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{1}{\sqrt{5}} \frac{1}{ s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}λ}\)-\(\frac{1}{\sqrt{5}} \frac{1}{ s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}λ}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ^2}{s}\)+\(\frac{-\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}}}{s+\frac{3+\sqrt{5}}{2}}λ^2\)-\(\frac{\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}}}{s+\frac{3-\sqrt{5}}{2}}λ^2\)

    確率\(R_i(t)\)と\(A(t)\)を解析

    逆ラプラス変換すると

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{5-\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3+\sqrt{5}}{2}}λt\)+\(\frac{5+\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}}λt\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{λ}{\sqrt{5}}(e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}λt }- e^{-\frac{3+sqrt{5}}{2}λt }\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(λ^2\)+\(λ^2 (-\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}})e^{-\frac{3+\sqrt{5}}{2}λt}\)-\(λ^2 (\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}})e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}λt}\)

    ちなみに、\(P_0 (t)\)+ \(P_1 (t)\)+ \(P_2 (t)\)=1となっていませんから、定常状態にはならないんでしょうね。

    アベイラビリティA(t)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、すべて故障する\(P_2\)以外の確率がアベイラビリティと定義できす。
    \(P_0+P_1+P_2=1\)から
    \(A=P_0+P_1=1-P_2\)と定義できます。

    よって、アベイラビリティA(t)は
    \(A(t)\)= \(P_0 (t)\)+ \(P_1 (t)\)
    \(A(t)\)=\(\frac{3-\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3+\sqrt{5}}{2}λt} \)+\(\frac{3+\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}λt} \)

    (3)の答えをまとめると、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{5-\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3+\sqrt{5}}{2}}λt\)+\(\frac{5+\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}}λt\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{λ}{\sqrt{5}}(e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}λt }- e^{-\frac{3+sqrt{5}}{2}λt }\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(λ^2\)+\(λ^2 (-\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}})e^{-\frac{3+\sqrt{5}}{2}λt}\)-
    \(λ^2 (\frac{1}{2}+\frac{3}{2\sqrt{5}})e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}λt}\)
    ◎\(A(t)\)=\(\frac{3-\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3+\sqrt{5}}{2}λt} \)+\(\frac{3+\sqrt{5}}{10}λ e^{-\frac{3-\sqrt{5}}{2}λt} \)

    できましたね。

    ➃並列系のメリットをアベイラビリティから考える

    問を再掲します。計算した確率とアベイラビリティの時刻tにおける極限値を考えます。

    【問を再掲】
    (4) (3)の結果をt⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。

    (4)の解

    t⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算すると、
    ●\(P_0 (t)\)=0
    ●\(P_1 (t)\)=0
    ●\(P_2 (t)\)=\(λ^2\)
    ◎\(A(t)\)=0
    となり、\(P_0+P_1+P_2=1\)となりません。
    定常状態にならないんでしょうね。

    以上、修理系の一部が無い場合は、計算できるけど、その解の状態にはならないことがわかりました。計算が大変でしたけど、解がしっくりこないことがわかりましたね。こういうときもあります! 教科書とかには書いていないケースですが、実際計算するとわかることがたくさんあります。

    まとめ

    「並列系のアベイラビリティがよくわかる(修理系の一部が無い場合)」を解説しました。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算

  • 直列系のアベイラビリティがよくわかる

    直列系のアベイラビリティがよくわかる

    「直列系のアベイラビリティがよくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    直列系のアベイラビリティがよくわかる
    • ①アベイラビリティ
    • ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂定常状態の直列系のアベイラビリティAを導出
    • ➃直列系のアベイラビリティA(t)を計算
    • ➄直列系のメリットをアベイラビリティから考える
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    ①アベイラビリティとは

    アベイラビリティとは

    信頼度を高めるには、
    「故障しないこと」以外に、
    「修理が短時間で終わること」も重要ですね。

    動作状態(アップタイムU)と休止状態(ダウンタイムD)の比を取ったものが
    「アベイラビリティ」です。

    アベイラビリティA = \(\frac{アップタイムU}{アップタイムU+ダウンタイムD}\)

    信頼性工学

    アベイラビリティは公式暗記で済ませるな!

    結局、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    になりますが、暗記より導出が大事!

    それと、

    アベイラビリティAは時間\(t\)の関数であるが、
    A(t⇒∞)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    ばかり試験や教科書しか出ないので、みんなこれを丸暗記して簡単と思ってしまう!

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。

    アベイラビリティを公式暗記するリスク

    単純な系なら、
    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    でいいのですが、直列系、並列系と応用になると、式が複雑化し、式が理解できなくなります。

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。導出方法がわかれば、どんな系でもアベイラビリティは導出できます。

    アベイラビリティの基本は、関連記事で解説しています。ご確認ください。

    【必読】アベイラビリティがよくわかる
    QCでよく出るアベイラビリティを公式暗記だけで終わっていませんか?本記事では、アベイラビリティの定義や導出を丁寧に解説! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題

    本記事では、次の例題を使って、直列系のアベイラビリティを解説します。

    1. 直列系のアベイラビリティA(t)をきちっと解く
    2. 直列系のアベイラビリティがいくらになるかを解く
    3. 直列系のメリットをアベイラビリティから理解する

    なお、わかりやすくするため、指数分布について解説します。

    直列系のアベイラビリティを考える例題

    下図のようなn個の同じ要素からなる直列系において、故障した要素を修理しつつ系を稼働させる場合の信頼度(確率)P(t)とアベイラビリティA(t)を求めたい。
     下図のシャント線図で、各状態を定義する。
    ●\(S_0\):故障しない(故障数0)の場合、またその確率を\(P_0\)とする。
    ●\(S_i\)(\(i=1,…,n\)):要素\(i\)が故障の場合、またその確率を\(P_i\)とする。
    直列系では、ある要素\(i\)が故障の場合、その修理中他の要素は停止させるとする。
    当然、\(P_0+P_1+…+P_n=1\)である。
    さらに、故障率\(λ_i\)、修理率\(μ_i\)を下図のシャント線図のように定義する。
    (1) 連立微分方程式を作れ
    (2) 定常状態(t⇒∞)における、各状態の確率\(P_i\)とアベイラビリティ\(A\)を計算せよ。
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=…=P_i(0)=…=P_n(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (4) 直列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    信頼性工学

    信頼性工学

    ちょっと長~~い問題文になったけど、重要なので1つ1つやっていきましょう。

    各問は以下でそれぞれ解説します。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
      ⇒(1)を解説
    • ➂定常状態の直列系のアベイラビリティAを導出
      ⇒(2)を解説
    • ➃直列系のアベイラビリティA(t)を計算
      ⇒(3)を解説
    • ➄直列系のメリットをアベイラビリティから考える
      ⇒(4)を解説

    信頼性工学は以下の3点の流れで解いていきます。QCプラネッツの全記事共通です。

    1. シャント線図、微分方程式の導出
    2. ラプラス変換の基本
    3. MTTF,MTBF,MTTRの導出方法
    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)
    要素が非独立な場合の信頼度は計算できますか?単純に掛け算ではできず、微分方程式から計算する必要があります。本記事では、難解な非独立系の信頼度をわかりやすく解説します。信頼性工学を学びたい方は必読です。

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
    MTTF,MTBF,MTTRの違いは説明できますか?公式暗記に頼らず自力で導出できますか?本記事では暗記に頼ることなく導出できるよう丁寧に解説します。信頼性工学は自力で導出すると理解度が一気に増します。必読です!

    連立微分方程式を作る

    シャント線図を見ながら、微分方程式を作ります。

    信頼性工学

    ●直列系のシャント線図は理解が難しいです。
    直列系なので、どれか1つが故障すると、すべてが動作停止となるため、
    1:動作中
    2:停止中
    の2つしかありません。だから、左が\(S_0\)、右が\(S_i\)となります。
    なお、どの要素で故障するかわからないので、右の状態が\(i=1,2,…,n\)と縦に並列しています。

    ●微分方程式は下のようになります。

    ●微分方程式((1)の答え)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\( (\sum_{i=1}^{n}λ_i) P_0(t)\)+\(\sum_{i=1}^{n} μ_i P_i(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_0(t)\) ―\(μ_1 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_2 P_0(t)\) ―\(μ_2 P_2(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_n(t)}{dt} \)=\(λ_n P_0(t)\) ―\(μ_n P_n(t)\)
    また、当然ですけど、全確率の和は1なので
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    初期条件は決まっている

    ●初期条件
    \(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),…,\(P_n (0)=0\)です。

    では、微分方程式をラプラス変換して解いてみましょう。

    ➂定常状態の直列系のアベイラビリティAを導出

    定常状態とは、t⇒∞で、確率の変化が0の場合です。つまり、(1)の微分方程式でいうと
    \(\displaystyle \frac{dP_i(t)}{dt} \)=0 (\(i\)=0,1,…,n)です。

    よって計算できます。

    ●微分方程式から
    0=―\( (\sum_{i=1}^{n}λ_i) P_0(t)\)+\(\sum_{i=1}^{n} μ_i P_i(t)\)
    0=\(λ_1 P_0(t)\) ―\(μ_1 P_1(t)\)
    0=\(λ_2 P_0(t)\) ―\(μ_2 P_2(t)\)

    0=\(λ_n P_0(t)\) ―\(μ_n P_n(t)\)
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    解くと、
    ●\(P_i\)=\(\frac{λ_i}{μ_i} P_0\) (\(i=1,2,…,n\))
    ●\(P_0+P_1+…+P_2=1\)
    から、

    \(P_0+(\sum_{i=1}^{n})\frac{λ_i}{μ_i})P_0=1\)
    よって、

    \(P_0\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)
    \(P_i\)=\(\frac{\frac{λ_i}{μ_i}}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\) (\(i=1,2,…,n\))
    となります。

    また、アベイラビリティ\(A\)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、
    \(A\)=\(P_0\)と定義できす。

    よって、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(A\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)

    (2)もできました。

    ➃直列系のアベイラビリティA(t)を計算

    問いを再掲

    もう一度、問と微分方程式に戻ります。

    問(再掲)
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=…=P_i(0)=…=P_n(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    ●微分方程式(再掲)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\( (\sum_{i=1}^{n}λ_i) P_0(t)\)+\(\sum_{i=1}^{n} μ_i P_i(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_0(t)\) ―\(μ_1 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_2 P_0(t)\) ―\(μ_2 P_2(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_n(t)}{dt} \)=\(λ_n P_0(t)\) ―\(μ_n P_n(t)\)
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    で、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)としてよいので、微分方程式は
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\( nλ P_0(t)\)+\( μ\sum_{i=1}^{n} P_i(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_2(t)\)

    \(\displaystyle \frac{dP_n(t)}{dt} \)=\(λP_0(t)\) ―\(μP_n(t)\)
    \(P_0 + P_1 +…+P_n =1\)

    ラプラス変換して解析

    ラプラス変換すると微分方程式は、
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\( nλ P_0\)+\( μ\sum_{i=1}^{n} P_i\)
    ●\(sP_1 \)=\(λP_0\) ―\(μP_1\)

    ●\(sP_i \)=\(λP_0\) ―\(μP_i\)

    ●\(sP_2 \)=\(λP_0\) ―\(μP_n\)

    また、\( \sum_{i=1}^{n} P_i\)=\(1-P_0\)を使うと、\(P_0\)が簡単に計算できます。
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\( nλ P_0\)+\( μ\sum_{i=1}^{n} P_i\)
    \(sP_0 -1\)=―\( nλ P_0\)+\( μ(1-P_0)\)
    \(P_0\)=\(\frac{μ+1}{s+nλ+μ}\)

    そして、\(P_i\)は
    ●\(sP_i \)=\(\frac{λ}{s+μ}P_0\)
    =\(\frac{λ(μ+1)}{(s+μ)( s+nλ+μ)}\)

    まとめると、
    ●\(P_0\)=\(\frac{μ+1}{s+nλ+μ}\)
    ●\(sP_i \)=\(\frac{λ(μ+1)}{(s+μ)( s+nλ+μ)}\)

    逆ラプラス変換する

    ラプラス変換を逆に戻すポイントは
    \(\frac{1}{(s+a)(s+b)}\)= \(\frac{A}{s+a}+\frac{B}{s+b}\)
    と分母の積を分解することです。

    よって、
    ●\(sP_i \)=\(\frac{λ(μ+1)}{(s+μ)( s+nλ+μ)}\)
    =\(\frac{μ+1}{n} \frac{1}{s+μ}\)―\(\frac{μ+1}{n} \frac{1}{s+nλ+μ}\)

    確率\(R_i(t)\)と\(A(t)\)を解析

    逆ラプラス変換すると

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)
    ●\(P_i (t)\)=\( \frac{μ+1}{n} e^{-μt}\)―\( \frac{μ+1}{n} e^{-(nλ+μ)t}\)

    計算は正しいですが、\(P_0 (t)\)=1でなく、\(μ+1\)とずれます。これは今後課題解決します!
    とにかく、解き方は並列系と同じ流れで解けることを理解しましょう。

    アベイラビリティA(t)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、
    \(A\)=\(P_0\)と定義できす。

    よって、アベイラビリティA(t)は
    \(A(t)\)= \(P_0 (t)\)=\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)

    (3)の答えをまとめると、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)
    ●\(P_i (t)\)=\( \frac{μ+1}{n} e^{-μt}\)―\( \frac{μ+1}{n} e^{-(nλ+μ)t}\)
    ◎\(A(t)\) =\( (μ+1)e^{-(nλ+μ)t} \)

    できましたね。

    ➃直列系のメリットをアベイラビリティから考える

    問を再掲します。計算した確率とアベイラビリティの時刻tにおける極限値を考えます。

    【問を再掲】
    (4) 直列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    直列系をアベイラビリティから考える

    (2)の解で定常状態のアベイラビリティ\(A\)は

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(A\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)

    見やすくするために、\(λ_i\)=\(λ\)、\(μ_i\)=\(μ\)とおくと、
    ●\(A\)=\(\frac{1}{1+\sum_{i=1}^{n} \frac{λ_i}{μ_i} }\)
    =\(\frac{1}{1+n \frac{λ}{μ} }\)
    となり、

    要素の個数nを増やすと
    アベイラビリティAは低下します。

    直列系ですから、1つでも故障すると全体が動作できません。それだけ、故障リスクが増大するため、アベイラビリティが低下することとつながっていますね。

    直列系のメリットよりかは、デメリットがアベイラビリティからもよく理解できました。

    まとめ

    「直列系のアベイラビリティがよくわかる」を解説しました。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁直列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂直列系のアベイラビリティA(t)を導出
    • ➃直列系のアベイラビリティA(∞)を計算
    • ➄直列系のメリットをアベイラビリティから考える

  • 並列系のアベイラビリティがよくわかる

    並列系のアベイラビリティがよくわかる

    「並列系のアベイラビリティがよくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    並列系のアベイラビリティがよくわかる
    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算
    • ➄並列系のメリットをアベイラビリティから考える
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    ①アベイラビリティとは

    アベイラビリティとは

    信頼度を高めるには、
    「故障しないこと」以外に、
    「修理が短時間で終わること」も重要ですね。

    動作状態(アップタイムU)と休止状態(ダウンタイムD)の比を取ったものが
    「アベイラビリティ」です。

    アベイラビリティA = \(\frac{アップタイムU}{アップタイムU+ダウンタイムD}\)

    信頼性工学

    アベイラビリティは公式暗記で済ませるな!

    結局、

    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    になりますが、暗記より導出が大事!

    それと、

    アベイラビリティAは時間\(t\)の関数であるが、
    A(t⇒∞)=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    ばかり試験や教科書しか出ないので、みんなこれを丸暗記して簡単と思ってしまう!

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。

    アベイラビリティを公式暗記するリスク

    単純な系なら、
    A=\(\frac{MTBF}{MTBF+MTTR}\)
    でいいのですが、並列系、直列系と応用になると、式が複雑化し、式が理解できなくなります。

    ちゃんとモデル式を立ててからアベイラビリティA(t)を導出しましょう。導出方法がわかれば、どんな系でもアベイラビリティは導出できます。

    アベイラビリティの基本は、関連記事で解説しています。ご確認ください。

    【必読】アベイラビリティがよくわかる
    QCでよく出るアベイラビリティを公式暗記だけで終わっていませんか?本記事では、アベイラビリティの定義や導出を丁寧に解説! 信頼性工学を学ぶ人は必読です。

    ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題

    本記事では、次の例題を使って、並列系のアベイラビリティを解説します。

    1. 並列系のアベイラビリティA(t)をきちっと解く
    2. 並列系のアベイラビリティがいくらになるかを解く
    3. 並列系のメリットをアベイラビリティから理解する

    なお、わかりやすくするため、指数分布について解説します。

    並列系のアベイラビリティを考える例題

    下図のような2個の同じ要素からなる並列系において、故障した要素を修理しつつ系を稼働させる場合の信頼度(確率)P(t)とアベイラビリティA(t)を求めたい。
     下図のシャント線図で、各状態を定義する。
    ●\(S_0\):故障しない(故障数0)の場合、またその確率を\(P_0\)とする。
    ●\(S_1\):故障が1個(故障数1)の場合、またその確率を\(P_1\)とする。
    ●\(S_2\):すべて故障する(故障数2)の場合、またその確率を\(P_2\)とする。
    当然、\(P_0+P_1+P_2=1\)である。
    さらに、故障率\(λ_i\)、修理率\(μ_i\)を下図のシャント線図のように定義する。
    (1) 連立微分方程式を作れ
    (2) 定常状態(t⇒∞)における、各状態の確率\(P_i\)とアベイラビリティ\(A\)を計算せよ。
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=P_2(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (4) (3)の結果をt⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (5) 並列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    信頼性工学

    信頼性工学

    ちょっと長~~い問題文になったけど、重要なので1つ1つやっていきましょう。

    各問は以下でそれぞれ解説します。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
      ⇒(1)を解説
    • ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出
      ⇒(2)を解説
    • ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算
      ⇒(3)を解説
    • ➄並列系のメリットをアベイラビリティから考える
      ⇒(4)(5)を解説

    信頼性工学は以下の3点の流れで解いていきます。QCプラネッツの全記事共通です。

    1. シャント線図、微分方程式の導出
    2. ラプラス変換の基本
    3. MTTF,MTBF,MTTRの導出方法
    QCに必要なラプラス変換がわかる
    QCに必要なラプラス変換を解説します。信頼性工学で微分方程式が連発するので、ラプラス変換で処理すると楽チンです。QCに必要なところだけ解説します

    要素の故障が非独立な系の信頼性がわかる(非修理系)
    要素が非独立な場合の信頼度は計算できますか?単純に掛け算ではできず、微分方程式から計算する必要があります。本記事では、難解な非独立系の信頼度をわかりやすく解説します。信頼性工学を学びたい方は必読です。

    【必読】MTTF,MTBFとMTTRが導出できる
    MTTF,MTBF,MTTRの違いは説明できますか?公式暗記に頼らず自力で導出できますか?本記事では暗記に頼ることなく導出できるよう丁寧に解説します。信頼性工学は自力で導出すると理解度が一気に増します。必読です!

    連立微分方程式を作る

    シャント線図を見ながら、微分方程式を作ります。

    信頼性工学

    ●微分方程式は下のようになります。

    ●微分方程式((1)の答え)
    \(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)+\(μ_1 P_2(t)\)
    \(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\) ―\(μ_1 P_2(t)\)

    初期条件は決まっている

    ●初期条件
    \(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),\(P_2 (0)=0\)です。

    では、微分方程式をラプラス変換して解いてみましょう。

    ➂定常状態の並列系のアベイラビリティAを導出

    定常状態とは、t⇒∞で、確率の変化が0の場合です。つまり、(1)の微分方程式でいうと
    \(\displaystyle \frac{dP_i(t)}{dt} \)=0 (\(i\)=0,1,2)です。

    よって計算できます。

    ●微分方程式から
    0=―\(λ_0 P_0\)+\(μ_0 P_1\)
    0=\(λ_0 P_0\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1\)+\(μ_1 P_2\)
    0=\(λ_1 P_1\) ―\(μ_1 P_2\)
    \(P_0+P_1+P_2=1\)

    解くと、
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_0}{μ_0} P_0\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_1}{μ_1} P_1\)
    ●\(P_0+P_1+P_2=1\)
    から、

    また、アベイラビリティ\(A\)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、すべて故障する\(P_2\)以外の確率がアベイラビリティと定義できす。
    \(P_0+P_1+P_2=1\)から
    \(A=P_0+P_1=1-P_2\)と定義できます。

    よって、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(P_0\)=\(\frac{μ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_0 λ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(A\)=\(\frac{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1 }{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)

    (2)もできました。

    ➃並列系のアベイラビリティA(t)を計算

    問いを再掲

    もう一度、問と微分方程式に戻ります。

    問(再掲)
    (3) 初期条件を\(P_0(0)=1\),\(P_1(0)=P_2(0)=0\)とし、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)として、各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    微分方程式(再掲)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ_0 P_0(t)\)+\(μ_0 P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ_0 P_0(t)\) ―\((λ_1+ μ_0)P_1(t)\)+\(μ_1 P_2(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ_1 P_1(t)\) ―\(μ_1 P_2(t)\)
    ●初期条件:\(P_0 (0)=1\),\(P_1 (0)=0\),\(P_2 (0)=0\)

    で、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)としてよいので、微分方程式は
    ●\(\displaystyle \frac{dP_0(t)}{dt} \)=―\(λ P_0(t)\)+\( λ P_1(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_1(t)}{dt} \)=\(λ P_0(t)\) ―\((2λ)P_1(t)\)+\( λ P_2(t)\)
    ●\(\displaystyle \frac{dP_2(t)}{dt} \)=\(λ P_1(t)\) ―\(λ P_2(t)\)

    ラプラス変換して解析

    ラプラス変換すると微分方程式は、
    ●\(sP_0 -P_0(=1) \)=―\(λ P_0\)+\( λ P_1\)
    ●\(sP_1 \)=\(λ P_0\) ―\(2λP_1\)+\( λ P_2\)
    ●\(sP_2 \)=\(λ P_1\) ―\(λ P_2\)

    3つの両辺を足すと
    \(P_0 +P_1 +P_2 \)=\(\frac{1}{s}\)

    ここから計算が大変。。。でも頑張って解いた結果なので読んで欲しいし、是非解いてみてください。良い計算練習になります!

    ●\(P_1\)=\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ}{s+λ}P_1\)
    と変形して、
    \(P_0 +P_1 +P_2 \)=\(\frac{1}{s}\)
    に代入すると、\(P_0\)が求まります。

    \(P_0\)を計算

    \(P_0\)+\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)+\(\frac{λ}{s+λ} \frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)=\(\frac{1}{s}\)
    よって、
    \(P_0\)=\(\frac{1}{s+3λ}(1+\frac{λ}{s+λ}+\frac{λ}{s})\)

    ラプラス変換を逆に戻すポイントは
    \(\frac{1}{(s+a)(s+b)}\)= \(\frac{A}{s+a}+\frac{B}{s+b}\)
    と分母の積を分解することです。

    よって、
    \(P_0\)=\(\frac{1}{s+3λ}(1+\frac{λ}{s+λ}+\frac{λ}{s})\)
    \(P_0\)=\(\frac{1}{6} \frac{1}{ s+3λ}\)+\(\frac{1}{2} \frac{1}{ s+λ}\)+\(\frac{1}{3} \frac{1}{ s }\)

    \(P_1\)を計算

    \(P_1\)=\(\frac{(s+λ)P_0 -1}{λ}\)
    =\(\frac{(s+λ)P_0}{λ} -\frac{1}{λ}\)
    =\(\frac{(s+λ)}{λ}\)(\(\frac{1}{6} \frac{1}{s+3λ}\)+\(\frac{1}{2} \frac{1}{ s+λ}\)+\(\frac{1}{3} \frac{1}{ s }))\) -\(\frac{1}{λ}\)
    よって、
    \(P_1\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{3(s+3λ)}\)

    \(P_2\)を計算

    \(P_2\)=\(\frac{λ}{s+λ}P_1\)
    =\(\frac{λ}{s+λ}\)(\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{3(s+3λ)}\))
    \(P_2\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{2} \frac{1}{s+λ}\)+\(\frac{1}{6} \frac{1}{s+3λ}\)

    まとめると、

    ●\(P_0\)=\(\frac{1}{6} \frac{1}{ s+3λ}\)+\(\frac{1}{2} \frac{1}{ s+λ}\)+\(\frac{1}{3} \frac{1}{ s }\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{3(s+3λ)}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{1}{3s}\)-\(\frac{1}{2} \frac{1}{s+λ}\)+\(\frac{1}{6} \frac{1}{s+3λ}\)

    確率\(R_i(t)\)と\(A(t)\)を解析

    逆ラプラス変換すると

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{3} e^{-3λt}\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)

    ちなみに、\(P_0 (t)\)+ \(P_1 (t)\)+ \(P_2 (t)\)=1となっていますね。

    アベイラビリティA(t)は

    動作できる状態の確率をアベイラビリティとすると、すべて故障する\(P_2\)以外の確率がアベイラビリティと定義できす。
    \(P_0+P_1+P_2=1\)から
    \(A=P_0+P_1=1-P_2\)と定義できます。

    よって、アベイラビリティA(t)は
    \(A(t)\)= \(P_0 (t)\)+ \(P_1 (t)\)
    \(A(t)\)=\(\frac{2}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)-\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)

    (3)の答えをまとめると、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{3} e^{-3λt}\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)
    ◎\(A(t)\)=\(\frac{2}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)-\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)

    できましたね。

    グラフに描くとこんな感じになります。

    信頼性工学

    確率は1/3で、アベイラビリティは2/3に収束しているのがよくわかりますね。

    ➃並列系のメリットをアベイラビリティから考える

    問を再掲します。計算した確率とアベイラビリティの時刻tにおける極限値を考えます。

    【問を再掲】
    (4) (3)の結果をt⇒∞にしたときの各状態の確率\(P_i(t)\)とアベイラビリティ\(A(t)\)を計算せよ。
    (5) 並列系にするメリットは何か?アベイラビリティの値から考えよ。

    (4)は(2)の結果に一致する!

    問(3)の極限値を計算すると、グラフからも明らかのように、

    各確率\(P_i (t)\)は
    ●\(P_0 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_1 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{3} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_2 (t)\)=\(\frac{1}{3}\)-\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)+\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{1}{3}\)
    ◎\(A(t)\)=\(\frac{2}{3}\)+\(\frac{1}{2} e^{-λt}\)-\(\frac{1}{6} e^{-3λt}\)⇒\(\frac{2}{3}\)

    にそれぞれ、収束します。

    ちなみに、定常状態で計算した確率とアベイラビリティを再掲すると、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(P_0\)=\(\frac{μ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{λ_0 μ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{λ_0 λ_1}{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)
    ●\(A\)=\(\frac{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1 }{μ_0 μ_1+λ_0 μ_1+λ_0 λ_1}\)

    で、\(λ_i\)=\(μ_i\)=\(λ\)と代入すると、

    定常状態の各確率とアベイラビリティ((2)の答えは
    ●\(P_0\)=\(\frac{λ^2}{λ^2+λ^2+λ^2}\)=\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_1\)=\(\frac{1}{3}\)
    ●\(P_2\)=\(\frac{1}{3}\)
    ●\(A\)=\(\frac{2}{3}\)

    となり、

    \(P_i (t)\),\(A(t)\)から極限値を求めた結果と、定常状態から求めた結果が一致しました!計算よく頑張った!

    (5)の並列系のメリットとは?

    アベイラビリティは\(\frac{2}{3}\)に収束しました。

    もし、並列系でなく、故障率λ=修理率μなら、アベイラビリティはいくらになりますか? 
    単純に\(\frac{1}{2}\)ですよね。

    並列系にするとアベイラビリティは向上する。今回の例では、1/2から2/3に向上するのがわかる

    これ、結構大事な考察結果です。並列系するメリットがアベイラビリティからもわかるわけです。

    並列系のアベイラビリティはこれだけやれば十分!

    まとめ

    「並列系のアベイラビリティがよくわかる」を解説しました。

    • ①アベイラビリティ
    • ➁並列系のアベイラビリティA(t)を導出する例題
    • ➂並列系のアベイラビリティA(t)を導出
    • ➃並列系のアベイラビリティA(∞)を計算
    • ➄並列系のメリットをアベイラビリティから考える

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