カテゴリー: 基本統計量

  • 【初心者必見!】分散の加法性を使った問題が解ける

    【初心者必見!】分散の加法性を使った問題が解ける

    「二項分布の期待値と分散が解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】分散の加法性を使った問題が解ける

    おさえておきたいポイント

    • ①分散の加法性でおさえるべきポイント
    • ➁分散の加法性の演習問題
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    QC検定®2級、1級で必ず出題される
    分散の加法性の解き方を伝授!
    何度も見て、解けるようになりましょう!
    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ①分散の加法性でおさえるべきポイント

    分散の加法性は展開できること

    まず、

    V(X+Y)=V(X)+2Cov(X,Y)+V(Y)
    は自力で導出できますか?
    QC検定®2級なら、 V(X+Y)=V(X)+V(Y)
    QC検定®1級なら、V(X+Y)=V(X)+2Cov(X,Y)+V(Y)
    と区別して暗記してませんか?
    ちゃんと自力で導出しようぜ!

    簡単なので、導出しましょう。自分で意味を理解することが大事です。

    自力で導出

    \(V(X+Y)\)=\(E((X_i-\bar{X})+(Y_i-\bar{Y}))^2\)は、分散の定義どおりですね。これを展開すると
    \(E((X_i-\bar{X})+(Y_i-\bar{Y}))^2\)=\(E((X_i-\bar{X})^2\)+2\(E((X_i-\bar{X})(Y_i-\bar{Y}))\)+\(E((Y_i-\bar{Y}))^2\)
    =V(X)+2Cov(X,Y)+V(Y)

    ここで、
    ●V(X)= \(E((X_i-\bar{X})^2\)
    ●Cov(X,Y)= \(E((X_i-\bar{X})(Y_i-\bar{Y}))\)
    ●V(Y)= \(E((Y_i-\bar{Y}))^2\)

    ちゃんと練習しておきましょう。

    X,Yが独立なら、Covは無視(QC検定®2級レベル)

    QC検定®2級では、よく、 

    変数X,Yは独立

    と書いていますが、これは、「共分散Covは考えなくていいというサイン」です。

    大事なポイント

    変数XにYを増減する場合の期待値と分散の±の動きに注目です。

    ●期待値E(X±Y)=E(X)±E(Y)
    ●分散V(X±Y)=V(X)+V(Y)

    と、

    分散は変数の増減に関係なく
    ●分散V(X±Y)=V(X)+V(Y)
    と増えます。

    理由はわかりますか? 理由が分かる方が、正しく計算できるより大事です。

    分散は2乗するので
    ±の2乗はすべて+になる!

    ですね。

    公式や問題を丸暗記せず、
    その理由をしっかり理解しましょう!

    自力で導出できれば公式暗記は不要になりますよね!

    X,Yに相関性あれば、Covも使う(QC検定®1級レベル)

    QC検定®1級レベルになると、共分散が出て来ますね。
    V(X+Y)=V(X)+2Cov(X,Y)+V(Y)
    は理解できたとしても、1つ疑問が出ます。

    共分散Cov(X,Y)はどこから値を求めるの?

    ですね。

    これはほとんどの場合、相関係数ρからCovを計算する流れになります。

    \(ρ(X,Y)\)=\(\frac{Cov(X,Y)}{V(X)V(Y)}\)
    から計算します。

    相関係数ρを問題文に与えれば、V(X),V(Y)がわかれば共分散は計算できますね。

    \(ρ(X,Y)\)=\(\frac{Cov(X,Y)}{V(X)V(Y)}\)
    ですが、自力で導出できますか?
    是非やってみてください。

    ➁分散の加法性の演習問題

    問題

    では①で解説したポイントを踏まえて問題を解きましょう。

    【問題】
    部品A(厚みxが母平均20.0mm,母標準偏差0.40mmの正規分布に従う)と部品B(厚みyが母平均30.0mm,母標準偏差0.60mmの正規分布に従う)がある。1個の部品Aを2個の部品Bで挟んで接着して作成させる組合せ部品Cを作る。部品Cは厚みにおいて、下限規格値78.0mm,上限規格値82.0mmの規定がある。
    (1) 部品Cの厚さの母平均と母標準偏差を求めよ。
    (2) 部品Cの厚みの母不適合品率を求めよ。
    (3) 部品Bを2つ選ぶときに、一方の部品Bの厚さが厚いときに、他方の部品Bの厚さは薄いものを選ぶようにする。2つの部品Bのそれぞれの厚みには負の相関(-0.2)があるようにする。
     ①2つの部品Bのそれぞれの厚みの共分散を求めよ。
     ②部品Cの厚みの母平均と母標準偏差を求めよ。

    (1)(2)は共分散Covの無い場合、(3)は共分散Covを考える場合ですね。

    解説

    問(1)
    ●母平均:80.0(=20.0+30.0×2)
    ●母標準偏差:0.934(=√(〖0.4〗^2+〖0.6〗^2+〖0.6〗^2 ))
    これは分散の加法性の基本ですね。

    問(2)
    答え:0.0332
    ●上限:u=(82-80)/0.934=2.14 Kp=2.14の時の確率P=0.0162
    ●下限:u=(80-78)/0.934=2.14 Kp=2.14の時の確率P=0.0162
    より、 0.0162×2=0.0332
    ここまではQC検定®2級レベルですね。

    問3①
    ●Cov(y1,y2)=ρ(y1,y2)×√(V_y1 V_y2 )=-0.2×0.36=-0.072
    公式どおり代入しましょう。

    問3➁
    ●母平均:80.0
    ●母標準偏差:0.858

    V(y1+y2)=V(y1)+V(y2)+2Cov(y1,y2)=0.62+0.62+2・1・1・(-0.072)=0.576
    V(z+y1+y2)=0.16+0.576=0.736 s=√V(z+y1+y2)=0.858
    共分散も考慮した計算結果になっていますね。

    問3➂
    答え:0.0198
    u=(82-80)/0.858=2.33 Kp=2.33の確率P=0.0099 0.0099×2=0.198
    となります。

    いかがでしょうか。分散の加法性の解き方を解説しました! 苦手な所があれば何度も読み返してマスターしましょう!QCの初心者を悩ます内容ですが、この計算をモノにしましょう!

    いろいろな問題が出ますが、エッセンスは本記事の内容です。ここを抑えれば大丈夫!

    まとめ

    「【初心者必見!】分散の加法性を使った問題が解ける」を解説しました。

    • ①分散の加法性でおさえるべきポイント
    • ➁分散の加法性の演習問題

  • 【初心者必見!】正規分布、二項分布、ポアソン分布が比較できる

    【初心者必見!】正規分布、二項分布、ポアソン分布が比較できる

    「正規分布、二項分布、ポアソン分布ってどれくらい違いのかがわからない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】正規分布、二項分布、ポアソン分布が比較できる

    おさえておきたいポイント

    • ①3つの分布の分布関数、期待値、分散
    • ➁正規分布、二項分布、ポアソン分布を比較
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    ●正規分布:\(\frac{1}{\sqrt{2π}σ} e^{-\frac{(x-μ)^2}{2σ^2}}\)
    ●二項分布:\({}_n C_r p^r (1-p)^{n-r}\)
    ●ポアソン分布:\(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\)
    って式が全く別物だけど
    ぴったりそろうんだよね!

    正規分布、二項分布、ポアソン分布のグラフがぴったりそろえてみましょう。

    ①3つの分布の分布関数、期待値、分散

    さて、正規分布、二項分布、ポアソン分布の
    確率密度関数、期待値、分散は答えられますか?

    導出もよいですが、初心者は暗記から入ってもOKです。

    二項分布、ポアソン分布の期待値と分散は関連記事で丁寧に導出しています。ご覧ください。

    【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)
    二項分布の期待値E=np,分散V=np(1-p)と導出できず、公式暗記で済ませていませんか?本記事では、二項定理の式変形をしっかり演習しつつ、二項分布の期待値、分散を2通りの方法で導出解説します。二項分布は抜取検査でも必須なので、しっかり式変形に慣れましょう。初心者は必読です。

    【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)
    ポアソン分布の式は書けますか? 分布関数の期待値、分散は公式暗記せず自力で導出できますか?本記事では、慣れにくいポアソン分布の式変形をしっかり演習しつつ、ポアソン分布の期待値、分散を導出解説します。 統計学、QC初心者でもしっかり式を書いて練習していただくべき必読な記事です。

    下表に結果をまとめます。さっと書き出せるかを確認してください。

    分布 確率密度関数 期待値E 分散V
    正規分布 \(f(x)\)=\(\frac{1}{\sqrt{2π}σ} ・exp(-\frac{(x-μ)^2}{2σ^2})\) \(μ\) \(σ^2\)
    二項分布 \(f(x)\)=\({}_n C_x p^x・(1-p)^{n-r}\) \(np\) \(np(1-p)\)
    ポアソン分布 \(f(x)\)=\(e^{-λ}・\frac{λ^x}{x!}\) \(λ\) \(λ\)

    ➁正規分布、二項分布、ポアソン分布を比較

    パラメータをそろえる

    ここで、正規分布、二項分布、ポアソン分布の期待値、分散のパラメータをそろえます。つまり、

    分布 期待値E 分散V
    正規分布 \(μ\) \(np\) \(σ^2\) \(np(1-p)\)
    二項分布 \(np\) \(np\) \(np(1-p)\) \(np(1-p)\)
    ポアソン分布 \(λ\) \(np\) \(λ\) \(np\)

    とパラメータをそろえます。

    正規分布、二項分布、ポアソン分布を比較

    ここで、(n,p)=(100,0.2)と(n,p)=(1000,0.02)を代入して、3つの分布関数のグラフを描いて比較しましょう。

    正規分布

    正規分布

    2つの場合とも、ほぼ3つの分布関数が重なりましたね。n=100の方は数が少ないこともあり、ポアソン分布だけ少しずれますが、n=1000まで増やすとほぼぴったりそろいます。

    標本数が大きい場合は
    正規分布で考えればOKといえますね。

    学問的には、正規分布、二項分布、ポアソン分布は別物ですが、
    実務上は同じとして扱ってもよいでしょう。

    まとめ

    「【初心者必見!】正規分布、二項分布、ポアソン分布が比較できる」を解説しました。

    • ①3つの分布の分布関数、期待値、分散
    • ➁正規分布、二項分布、ポアソン分布を比較

  • 一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    「一様分布、二項分布に属するものを複数同時に起こすと何で正規分布に従う結果になるのかがわからない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    おさえておきたいポイント

    • ①複数個あるサイコロの出る目の確率を求める
    • ➁一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる
    • ➂畳み込み積分で一様分布からの変化を確認
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    一様分布に従うサイコロの目があり、そのサイコロを複数個同時投げてできる出る目の分布は正規分布に近づきます!でも何で?
    一様分布、二項分布から異なる正規分布に近づく様子を実際に見てみましょう。
    百聞は一見に如かずです!

    では、参りましょう!

    ①複数個あるサイコロの出る目の確率を求める

    問題

    【問題】
    どの目も等確率\(\frac{1}{6}\)が出るサイコロを1回、2回、・・・、6回と振る。それぞれの出る目における確率分布関数をグラフにプロットし、サイコロの回数が増えるごとに一様分布から正規分布に変化する様子を確認せよ。

    不思議な問題文で、サイコロ1回振った結果は一様分布なのに、その回数を増やすと正規分布と異なる分布に変化していきます。

    手計算で解いてみると

    1回の場合

    確率を計算すると

    確率
    1 \(\frac{1}{6}\)
    2 \(\frac{1}{6}\)
    3 \(\frac{1}{6}\)
    4 \(\frac{1}{6}\)
    5 \(\frac{1}{6}\)
    6 \(\frac{1}{6}\)

    となり、グラフも確かに一様分布ですね。当たり前ですよね、すべて等確率なので。

    一様分布

    2回の場合

    確率を計算すると

    確率
    2 \(\frac{1}{36}\)
    3 \(\frac{2}{36}\)
    4 \(\frac{3}{36}\)
    5 \(\frac{4}{36}\)
    6 \(\frac{5}{36}\)
    7 \(\frac{6}{36}\)
    8 \(\frac{5}{36}\)
    9 \(\frac{4}{36}\)
    10 \(\frac{3}{36}\)
    11 \(\frac{2}{36}\)
    12 \(\frac{1}{36}\)

    となり、グラフは分布するようになってきましたが、まだ正規分布っぽくはないですね。

    一様分布

    3回以上の場合

    さすがに手計算では大変なので、プログラムを使って計算してきましょう。
    VBAプログラムを紹介して、これを使って計算してみます。

    VBAプログラムイメージ

    VBAプログラムの一例です。これを使ってサイコロ1回から6回までを計算します。7回以上はExcelで計算すると時間がかかるため、6回までとします。

    ➁一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

    実際に計算した結果をグラフにまとめると

    正規分布

    グラフからわかるのは、

    1. 回数を増やすと、一様分布から正規分布に変化している
    2. 3回振ると、結果は正規分布と言える
    3. 正規分布の中心は出る目の平均

    となりますね。不思議ですね。

    ➂畳み込み積分で一様分布からの変化を確認

    なぜ、一様分布を重ねると徐々に正規分布へと異なる分布に変わるのか?はある程度数式で読み取れます。が、場合分けがたくさんあるので、手計算ではちょっと大変です。その1例を挙げます。

    1回から2回への変化

    関連記事のように、畳み込み積分を使って計算します。

    畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし)
    畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、さらに一様分布を使った畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。

    畳み込み積分で分布が変わるところを理解する

    例題を挙げると、

    一様分布
    \(f(x) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ x ≤ 6) それ以外0
    \(g(y) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ y ≤ 6) それ以外0
    において、x+y=zにおける確率分布関数h(z)を作れ。

    関連記事でおさえたいポイントは

    積分区間を確認すると、場合分けが乗じる
    場合分けは関連記事から見ると
    ●①は(x,y)=(6,6)より上(つまり12 ≤ z)で、積分領域外なので、h(z)=0
    ●➁は(x,y)=(0,6)以上①以下(つまり6 ≤ z ≤12)なので、図のように、x=z-6~6区間で積分
    ●➂は(x,y)=(0,0)以上①以下(つまり0 ≤ z ≤6)なので、図のように、x=0~z区間で積分
    ●➃は(x,y)=(0,0)以下(つまりz ≤ 0)で、積分領域外なので、h(z)=0

    この結果、一様分布から折れ線のような分布に変化します。

    一様分布
    一様分布

    これを繰り返すと、一様分布から正規分布に近づく説明を数式で表現すればOKです。でも、場合分けが大変すぎるので、やり方だけ理解しておきましょう。

    以上、
    一様分布などを重ねると正規分布に近づく不思議な現象を
    をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①ポアソン分布の式を理解する
    • ➁ポアソンの期待値と分散の導出

  • 【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    「ポアソン分布の期待値と分散が解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①ポアソン分布の式を理解する
    • ➁ポアソンの期待値と分散の導出
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    正規分布、二項分布、ポアソン分布の中で、一番理解しにくいのがポアソン分布です。
    でも式が複雑で
    期待値、分散の導出は難しい!
    何度も見て、解けるようになりましょう!

    一緒に解きながら慣れていきましょう!

    ①ポアソン分布の式を理解する

    ポアソン分布の基本

    ポアソン分布の式の導出、二項分布との関係は関連記事にあります。まず、ここを確認してください。

    【簡単】わかりやすく理解できるポアソン分布
    ポアソン分布の式がわからない・覚えられない、どんな場合に活用するかわからない、と苦手意識はありませんか?本記事では、ポアソン分布の関数の導出、正規分布近似、活用方法をわかりやすく解説します。ポアソン分布が全く理解できない方は必見です。

    ポアソン分布の式に慣れよう!

    \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\)という変な式を実際に変形するなどして、触ってみましょう。習うより慣れよ!です。1つ例題を出します。

    【問1】
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)=1 を示せ。

    解法

    どうでしょうか?一見難しそうですが、 式を難しくしている\(\sum_{x=0}^{∞} \frac{λ^x}{x!}\)が意外な値になります。テイラー展開を思い出すと

    \(e^x\)=1+\(x\)+\(\frac{x^2}{2!}\)+ \(\frac{x^3}{3!}\)+…
    をまとめると、
    \(e^x\)=\(\sum_{x=0}^{∞} \frac{λ^x}{x!}\)

    この式を問題文の式に代入すると
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)
    =\( e^{-λ} \sum_{x=0}^{∞} \frac{λ^x}{x!}\)
    =\( e^{-λ} e^λ \)
    =1

    となりますね。扱いにくい\(\frac{λ^x}{x!}\)が少し身近に感じていただける例題で確認しました。

    ポアソン分布の式は複雑で、変形して使う場合が少ないので理解が難しい式となってしまいますね。

    ➁ポアソンの期待値と分散の導出

    問題

    【問2】
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    (1) 期待値E[X]
    (2) 分散V[X]を求めよ。

    ポアソン分布の期待値E、分散Vも共にλになります。式が複雑なわりに期待値と分散は分布関数の中で最もシンプルになるので、不思議です。

    期待値

    (1)を解きます。

    期待値E[X]≡xf(x)という意識で式を作ります。
    E[X]= \(\sum_{k=0}^{∞}\)\(k\) ×\(\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    と式を書いて、変形していきます。

    E[X]= \(\sum_{k=0}^{∞} k\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    (k=0の場合、\( 0 \frac{λ^0}{0!} e^{-λ}\)=0より、)
    = \(\sum_{k=1}^{∞} k\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    = \( λe^{-λ} \sum_{k=1}^{∞} \frac{λ^{k-1}}{(k-1)!} \)
    (\(\frac{λ^{k-1}}{(k-1)!} e^{-λ}\)をセットで考えると)
    = \( λe^{-λ} e^{-λ}\)

    となります。さっきの例題を活用すれば簡単に計算できますね。

    【問1】(さっきの例題)
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)=1 を示せ。

    分散

    (2)を解きます。ここで、テクニックですが、
    E[X2]ではなく、E[X(X-1)]を求めます。

    期待値E[X(X-1)]≡x(x-1)f(x)という意識で式を作ります。
    E[X(X-1)]= \(\sum_{k=0}^{∞}\)\(k(k-1)\) ×\(\frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    と式を書いて、変形していきます。

    E[X(X-1)]= \(\sum_{k=0}^{∞} k(k-1) \frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    (k=0,1の場合、\( k(k-1) \frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)=0より)
    = \(\sum_{k=2}^{∞} k(k-1) \frac{λ^k}{k!} e^{-λ}\)
    =\( e^{-λ} λ^2 \sum_{k=2}^{∞} \frac{λ^{k-2}}{(k-2)!} \)
    =\( e^{-λ} λ^2 e^λ \)
    (\(\frac{λ^{k-2}}{(k-2)!} e^{-λ}\)をセットで考えると)
    =\(λ^2\)

    ここで、
    V[X]=E[X(X-1)]+E[X]-E[X]2
    =\(λ^2\)+\(λ\)-\(λ^2\)
    =\(λ\)
    となります。さっきの例題を活用すれば簡単に計算できますね。

    【問1】(さっきの例題)
    ポアソン分布 \(f(x)\)= \(e^{-λ} \frac{λ^x}{x!}\) (\(x\)は自然数)について、
    \(\sum_{x=0}^{∞} f(x)\)=1 を示せ。

    少しずつでいいので、ポアソン分布に慣れましょう。

    ポアソン分布は、二項定理、指数分布から変形して解けるので、他の分布関数と関連づけながら身につけましょう。すべてQCプラネッツの記事で解説しています!
    以上、
    ①ポアソン分布の式に慣れる
    ➁ポアソン分布の構造体を活用して期待値、分散を計算する
    をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】ポアソン分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①ポアソン分布の式を理解する
    • ➁ポアソンの期待値と分散の導出

  • 【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    「二項分布の期待値と分散が解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①二項分布の式がマスターできる!
    • ➁二項分布の期待値・分散の導出(その1)
    • ➂二項分布の期待値・分散の導出(その2)
    [themoneytizer id=”105233-2″]
    二項分布、二項定理は
    抜取検査の主役でもあるので、
    しっかりマスターしたい!
    でも式が複雑で
    期待値、分散の導出は難しい!
    何度も見て、解けるようになりましょう!

    二項分布に慣れる良問を持ってきましたので、一緒に解きながら慣れていきましょう!

    ①二項分布の式がマスターできる!

    二項定理を理解する

    まず、 \((p+q)^n\)を展開すると、
    \((p+q)^n\)=\(p^n\)+…+\(q^n\)となりますね。

    これをまとめると

    \((p+q)^n\)=\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    となります。これが二項定理ですね。
    特に、\(p+q=1\)の場合、
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=1
    となるし、\(p+q=2\)の場合、
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=\(2^n\)
    となりますね。これも高校数学でよく出題されたはずです。

    今回は、

    特に、\(p+q=1\)の場合、つまり、\(q=1^p\)の場合
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=1
    を使うのが二項分布です!

    二項分布の式の構造を理解する

    \(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    の形が複雑すぎる!

    大丈夫です。構造体として式を理解すればOK。式の構造をいじらずに式変形するのが二項分布の式を扱うポイントです。

    二項定理

    固定と有るところは変えず、それ以外の値を計算する

    二項分布の式の基本形を維持して式変形する

    例を挙げます。

    【例題】
    ●\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)=\((p+q)^n\)=1
    とする場合、
    ●\(\sum_{r=0}^{n} r {}_{n-1} C_{r-1} p^r q^{n-r}\)
    はいくらか?

    解いてみましょう。基本を変えないので、
    \(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    の式に持って行きます。

    ところで、
    \( {}_n C_r\)=\(\frac{n!}{r!(n-r)!}\)です。この式も重要です!
    なので、
    ●\({}_{n-1} C_{r-1}\)=\(\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\)と機械的に公式代入すると、
    \(\frac{(n-1)!}{(r-1)!(n-r)!}\)= \(\frac{r}{n}\)× \(\frac{n!}{r!(n-r)!}\)
    = \(\frac{r}{n}\)× \( {}_n C_r\)
    となるので、

    問いの式は
    ●\(\sum_{r=0}^{n} r {}_{n-1} C_{r-1} p^r q^{n-r}\)
    =\(\sum_{r=0}^{n} r \frac{1}{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    =\(\frac{1}{n} \)×\(\sum_{r=0}^{n} {}_n C_r p^r q^{n-r}\)
    =\(\frac{1}{n} \)×1
    =\(\frac{1}{n} \)
    と計算できます。

    二項分布の式の基本形を維持して式変形することが大事です。

    では、この式変形を活用して、二項分布の期待値npと分散np(1-p)を2通りの解法で解いてみましょう。

    ➁二項分布の期待値・分散の導出(その1)

    問題

    【問1】
    確率変数Xが二項分布に従い、P(X=\(i\))=\( {}_n C_r p^r q^{n-r}\) (ただし、\(p+q=1\))に従うとき、期待値E(X)=\(np\)、分散V(X)=\(np(1-p)\)を以下のやり方で導出したい。
    (1) \(i {}_n C_i \)=\(n {}_{n-1} C_{i-1} \) (\(i\) ≥1)を示し、E(X)=\(np\)を導出せよ。
    (2) \(i (i-1) {}_n C_i \)=\(n(n-1) {}_{n-2} C_{i-2} \) (\(i\) ≥2)を示し、V(X)=\(npq\)を導出せよ。

    期待値

    (1)を解きます。

    ●\(i {}_n C_i \)=\(i \frac{n!}{i!(n-i)!}\)= \(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!}\)
    = \(n \frac{(n-1)!}{(i-1)!(n-i)!}\)= \(n {}_{n-1} C_{i-1} \)
    となります。

    ●期待値E(X)は
    E(X)= \(\sum_{i=1}^{n} \) \(i\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    (E(X)なので、\(i\)を掛け算する必要がありますね。)

    =\(\sum_{i=1}^{n} \) \(i\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    =\(\sum_{i=1}^{n} n {}_{n-1} C_{i-1} p^i q^{n-i}\)
    =\(np\)\(\sum_{i=1}^{n} {}_{n-1} C_{i-1} p^{n-1} q^{(n-1)-(i-1)}\)

    二項定理から
    \(\sum_{i=1}^{n} {}_{n-1} C_{i-1} p^{n-1} q^{(n-1)-(i-1)}\)=1
    なので、
    =\(np\)

    よって、
    E(X)= \(np\)
    となります。

    二項定理の式変形、少し慣れたでしょうか?

    分散

    (2)を解きます。

    ●\(i(i-1) {}_n C_i \)=\(i(i-1) \frac{n!}{i!(n-i)!}\)= \(n(n-1)\frac{(n-2)!}{(i-2)!(n-i)!}\)
    = \(n(n-1) {}_{n-2} C_{i-2} \)
    となります。

    まず、曲者であるE(X2)を計算します。
    E(X2)= \(\sum_{i=0}^{n} \) \(i^2\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    (E(X2)なので、\(i^2\)を掛け算する必要がありますね。)

    =\(\sum_{i=0}^{n} \) \(i^2\)\({}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    で、ここであえて、\(i^2=i(i-1)+i\)と分解します。ここはテクニックです。

    =\(\sum_{i=1}^{n} i(i-1) {}_n C_i p^i q^{n-i}\)+\(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    =\(n(n-1)p^2 \sum_{i=2}^{n} {}_{n-2} C_{i-2} p^{i-2} q^{n-i}\)+\(np \sum_{i=1}^{n} {}_{n-1} C_{i-1} p^{i-1} q^{n-i}\)
    と二項定理の式の構造体を作る事ができます。

    よって、
    E(X2)=\(n(n-1)p^2+np\)
    となります。

    よって、分散V(X)は
    V(X)= E(X2)-E(X) =\(n(n-1)p^2+np-(np)^2\)
    =\(np(1-p)\)

    ➂二項分布の期待値・分散の導出(その2)

    問題

    【問2】
    確率変数Xが二項分布に従い、P(X=\(i\))=\( {}_n C_r p^r q^{n-r}\) (ただし、\(p+q=1\))に従うとき、期待値E(X)=\(np\)、分散V(X)=\(np(1-p)\)を以下のやり方で導出したい。
    \(f(x)=(px+q)^n\)を使って、\(f^{‘}(x)\),\(f^{‘‘}(x)\)を導出して、E(X),V(X)を導出せよ。

    期待値

    (1)を解きます。

    \(f(x)\)= \(\sum_{i=0}^{n} {}_n C_i (px)^i q^{n-i}\)として微分すると、
    \(f^{‘}(x)\)=\(np(px+q)^{n-1}\)=\(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i x^{i-1} q^{n-i}\)
    となるので、
    \(f^{‘}(1)\)= \(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i 1^{i-1} q^{n-i}\)
    =\(\sum_{i=0}^{n} i {}_n C_i p^i q^{n-i}\)
    がまさに、 E(X)であり、
    \(f^{‘}(1)\)=\(np(p×1+q)^{n-1}\)=\(np(p+q)\)=\(np\) (\(p+q=1\)となります。
    あっさり解けましたね。

    分散

    (2)を解きます。

    さらに微分して、
    \(f^{‘‘}(x) \)=\(n(n-1)p^2 (px+q)^{n-2}\)= \(\sum_{i=0}^{n} i(i-1) {}_n C_i p^i x^{i-2} q^{n-i}\)
    \(f^{‘‘}(1) \)=\(n(n-1)p^2\)=\(\sum_{i=0}^{n} i(i-1) {}_n C_i p^i q^{n-i}\)は前問の計算経過からもよく見ると、

    \(f^{‘‘}(1) \)+\(np\)=E(X2)となるので、
    V(X)= E(X2)-E(X) =\(n(n-1)p^2+np-(np)^2\)
    =\(np(1-p)\)

    となります。2通りの解法で解けるので面白いですね!

    以上、
    ①二項定理の式に慣れる
    ➁二項定理の式の構造体を活用して期待値、分散を計算する
    をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】二項分布の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①二項分布の式がマスターできる!
    • ➁二項分布の期待値・分散の導出(その1)
    • ➂二項分布の期待値・分散の導出(その2)

  • 【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    「確率変数の期待値と分散がいまいち解けない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①確率分布関数と確率の違いを理解する
    • ➁確率変数の期待値と分散が解ける演習問題
    • ➂確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1
    • ➃確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2
    • ➄確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3
    • ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4
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    確率分布関数と確率の違いは説明できますか?
    確率計算には数列、積分が有効です。是非、慣れましょう!
    高校数学で解ける演習問題で慣れましょう!

    ①確率分布関数と確率の違いを理解する

    確率分布関数とは

    確率分布関数
    累積分布関数
    確率密度関数
    とかいろいろありますが、
    違いがわかりますか?

    実は、そんなに違いを意識する必要なく、

    ある点の確率をプロットしたのが確率分布関数で
    求めたい区間の確率を数列の和・積分で計算するのが確率

    確率分布関数

    という感覚でOKです。

    確率分布関数
    累積分布関数
    確率密度関数
    とかいろいろありますが、
    違いを理解するよりは
    確率は数列と積分を使いまくる!
    の意識の方が大事です!

    確率分布関数の和・積分が確率

    確率を求める際、

    離散系の場合、数列を使うので
    ●確率Pr=ΣP
    ●期待値E[X]=ΣxPr, E[X2]=ΣxPr
    ●分散V=E[X2]-E[X] 2
    を活用します。

    数列のΣが出て来ます。

    連続系の場合、積分を使うので
    ●確率Pr=∫f(x)dx
    ●期待値E[X]=∫x f(x)dx, E[X2]= ∫x2 f(x)dx
    ●分散V=E[X2]-E[X] 2
    を活用します。

    積分の∫が出て来ます。

    なので、数列・積分・確率の練習をしましょう。

    ➁確率変数の期待値と分散が解ける演習問題

    4問用意しました。

    演習問題1

    【問1】
    1から10まで1枚ずつ記入した10枚のカードがある。この10枚の中から1枚任意に取り出し、k=1,2,3,4,5に対し、取り出したカードの数が2kなら、kをその値に、2k-1なら2k-1をその値にもつ確率変数Xを考える。このとき、E(X),V(X)を求めよ

    演習問題2

    【問2】
    2個のサイコロを同時に1回振るとき、
    (1) 2つの目の和の期待値と分散を求めよ。
    (2) 2つの目の積の期待値と分散を求めよ。

    演習問題3

    【問3】
    確率密度関数\(f(x)=\frac{1}{36}(-x^2+9)\) (-3 ≤ \(x\) ≤ 3)で定義される確率分布がある。
    (1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)を求めよ。
    (2) この確率分布の期待値と分散値を計算せよ。

    演習問題4

    【問4】
    正n面体(nは自然数)でできたサイコロがある。どの面も出る確率は同一で1/nとする。
    (1) 面i(1≤i≤n)が出る確率を離散型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。
    (2) 面i(1≤i≤n)が出る確率を連続型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。

    どうでしょうか? すべて高校数学で解ける問題で、大学入試で出題されても良い良問ばかりです。この4問を使って、確率を数列と積分で解く習慣をつけましょう。

    ➂確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1

    問題

    【問1】
    1から10まで1枚ずつ記入した10枚のカードがある。この10枚の中から1枚任意に取り出し、k=1,2,3,4,5に対し、取り出したカードの数が2kなら、kをその値に、2k-1なら2k-1をその値にもつ確率変数Xを考える。このとき、E(X),V(X)を求めよ

    回答

    【解】大学入試で出題された問題です。実際に書き出して、期待値と分散を計算します。

    確率変数

    上表をもとに、数列を使って期待値、分散を計算します。

    ●期待値E(X)は
    E(X)=1・\(\frac{2}{10}\)+2・\(\frac{1}{10}\)+3・\(\frac{2}{10}\)+4・\(\frac{1}{10}\)+5・\(\frac{2}{10}\)+7・\(\frac{1}{10}\)+9・\(\frac{1}{10}\)=4

    ●分散V(X)は
    V(X)=\((1-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((2-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((3-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((4-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((5-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((7-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((9-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)=6

    数列を使った1問でした。

    ➃確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2

    問題

    【問2】
    2個のサイコロを同時に1回振るとき、
    (1) 2つの目の和の期待値と分散を求めよ。
    (2) 2つの目の積の期待値と分散を求めよ。

    回答

    サイコロの問題は超有名なので、是非解きましょう。

    1つ目のサイコロの目と2つ目のサイコロの目の出方はそれぞれ独立とします。
    ●E(X)=\(\frac{1}{6}\)(1+2+3+4+5+6)=\(\frac{7}{2}\)
    ●E(X2)=\(\frac{1}{6}(1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2)\)=\(\frac{91}{6}\)
    ●E(X)E(Y)=E(X)E(Y)= \(\frac{49}{4}\)
    を使って問を解きます

    期待値E(X2)の計算も慣れましょう。

    (1)
    ● E(X+Y)=E(X)+E(Y)= \(\frac{7}{2}\)+\(\frac{7}{2}\)=7
    ●E((X+Y)2)=E(X2)+2E(X)E(Y)+E(Y2)
    = \(\frac{91}{6}\)+2・\(\frac{7}{2}\)・\(\frac{7}{2}\)+ \(\frac{91}{6}\)= \(\frac{329}{6}\)
    ●V(X+Y)= E((X+Y) 2)- E(X+Y) 2
    =\(\frac{329}{6}\)-49=\(\frac{35}{6}\)

    (2)
    ● E(XY)=E(X)E(Y)= \(\frac{7}{2}\)・\(\frac{7}{2}\)=\(\frac{49}{4}\)
    ●E((XY)2)=E(X2)・E(Y2)= \(\frac{91}{6}\)・\(\frac{91}{6}\)= \(\frac{8281}{36}\)
    ●V(XY)= E((XY)2)- E(XY) 2=\(\frac{8281}{36}\)-\(\frac{2401}{16}\)=\(\frac{11515}{144}\)

    機械的に計算しながら、公式や数列の計算に慣れていきましょう。

    ➄確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3

    問題

    【問3】
    確率密度関数\(f(x)=\frac{1}{36}(-x^2+9)\) (-3 ≤ \(x\) ≤ 3)で定義される確率分布がある。
    (1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)を求めよ。
    (2) この確率分布の期待値と分散値を計算せよ。

    回答

    【問3】、【問4】は積分の演習問題です。

    高校数学ですね。簡単な式で期待値、分散の積分計算に慣れていきましょう。

    (1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}(-x^2+9)dx \)
    =\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{3}x^3+9x \right]_{-3}^{3}\)=1
    全区間の積分、つまり、全確率は合計1です。そりゃ、そうですよね!

    (2)
    ●E[X]= \( \displaystyle \int_{-3}^{3} xf(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}x(-x^2+9)dx \)
    =\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{4}x^4+\frac{9}{2}x^2 \right]_{-3}^{3}\)=0
    となります。確かにy軸に対象な関数なので、平均は0ですね!確かに!

    ●E[X2]= \( \displaystyle \int_{-3}^{3} x^2f(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}x^2(-x^2+9)dx \)
    =\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{5}x^5+3x^3 \right]_{-3}^{3}\)=\(\frac{9}{5}\)
    より、
    ●V[X]= E[X2]―E[X] 2=\(\frac{9}{5}\)

    積分慣れていきましょう。
    ●E[X]= \( \displaystyle \int_{a}^{b} xf(x)dx \)
    ●E[X2]= \( \displaystyle \int_{a}^{b} x^2 f(x)dx \)
    を定義どおり、積分すれば確率・期待値・分散は計算できます。

    ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4

    問題

    【問4】
    正n面体(nは自然数)でできたサイコロがある。どの面も出る確率は同一で1/nとする。
    (1) 面i(1≤i≤n)が出る確率を離散型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。
    (2) 面i(1≤i≤n)が出る確率を連続型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。

    回答

    (1)は離散系なので数列∑、(2)は連続系なので積分を使います。同じ問題ですが、連続系と離散系で計算結果が若干変わる点が面白いので、解いてみましょう!

    (1)
    ●期待値E=\(\sum_{i=1}^{n} i \frac{1}{n}\)=\(\frac{1}{n} \frac{1}{2}n(n+1)\)=\(\frac{1}{2}(n+1)\)
    ●分散V=\(\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{n}(i-\frac{n+1}{2})^2 \)=\(\frac{1}{12}(n+1)(n-1)\)

    (2)
    ●期待値E=\( \displaystyle \int_{0}^{n} xf(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{0}^{n} x \frac{1}{n})dx \)=\(\frac{n}{2}\)
    ●分散V=E(X2)-E(X) 2=\( \displaystyle \int_{0}^{n} x^2 f(x)dx \)-\((\frac{n}{2})^2\)=\(\frac{n^2}{12}\)

    表にすると、離散系と連続系で結果が若干かわります。

    離散系 連続系
    期待値E \(\frac{1}{2}(n+1)\) \(\frac{1}{2}n\)
    分散V \(\frac{1}{12}(n+1)(n-1)\) \(\frac{n^2}{12}\)

    以上、数列・積分を使って、確率・期待値・分散が計算できることを確認しました。

    まとめ

    「【初心者必見!】確率変数の期待値と分散が解ける(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①確率分布関数と確率の違いを理解する
    • ➁確率変数の期待値と分散が解ける演習問題
    • ➂確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1
    • ➃確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2
    • ➄確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3
    • ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4

  • 【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)

    【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)

    「正規分布がいまいちよくわからない」などと困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)

    おさえておきたいポイント

    • ①正規分布の概形を描いてみよう!(高3レベル)
    • ➁正規分布に近いグラフを描いてみよう!(高3レベル)
    • ➂正規分布の積分の近似値を解いてみよう!(高2レベル)
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    正規分布は絶対勉強しないといけないけど、
    式が難しいし、
    正規分布表が何であるのかわからない
    など、最初悩みますよね!
    正規分布に慣れるには、
    高校数学の微分積分を使って
    実際にグラフを描いて、面積を求めてみましょう!
    \(e^{-\frac{x^2}{2}}\)の式に
    圧倒される必要はありません。
    自分の解けるテリトリーに持って行きましょう。

    正規分布に慣れる良問を持ってきましたので、一緒に解きながら慣れていきましょう!

    ①正規分布の概形を描いてみよう!(高3レベル)

    例題

    正規分布の分布関数\(f(x)\)=\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)のグラフを描く。
    (1) 極値と変曲点の座標を求めよ。
    (2) \(y=f(x)\)を描け

     理系の高校数学の定期試験問題レベルです。ここは、しっかり解けるようにしましょう。

    問(1)の回答

    微分します。
    ●\(f’(x)\)=\(-x e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\(f’’(x)\)=\((-1+x^2 e^{-\frac{x^2}{2}}\)

    ここで、極値と変曲点を考えます。
    ●\(f’(x)\)=0のときは、\(x\)=0 で、
    ●\(f’’(x)\)=0のときは、\(x\)=±1 なので、
    増減表ができますね。

    正規分布

    増減表をもとに、概形を描くと下図になります。

    正規分布

    高校数学では、あまり\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)の式が出ませんが、特に気にせず、普通に微分積分すれば解けます!

    ➁正規分布に近いグラフを描いてみよう!(高3レベル)

    正規分布の式になぜ正規分布表があるのか?

    統計学やQCを勉強すると、必ず、正規分布表の読み方などを勉強しますが、
    何で、あんな表があるかわかりますか? この疑問を持つことの方が表の読み方の勉強より大事です!

    正規分布の式
    \(e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    は積分できない(不定積分が作れない)
    正規分布の式
    \(e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    の積分値は近似値で与えているのが現状
    でも、正規分布の式の定積分
    \( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)は計算できる!

    不定積分が計算できないのに、なぜか定積分は計算できる
    変な式です。だから、理解が難しい!

    だったら、簡単な近似式を作ってしまおう!

    次の例題に行きましょう。

    例題

    正規分布の分布関数\(f(x)\)=\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)をテイラー展開して4次の整式からなる近似式を作って、積分を考えたい。
    (1) \(f(x)\)=\(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8}\)と近似できることを示せ。
    (2) 正規分布から\( \displaystyle \int_{0}^{1} \frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)を求め、
    手計算から\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)の結果と比較せよ。

    問(1)の回答

    テイラー展開は教科書どおりで、\(x=0\)のまわりで、テイラー展開すると
    \(f(x)\)=\(f(0)\)+\(\frac{f^{(1)}(0)}{1!} x^1\)+\(\frac{f^{(2)}(0)}{2!} x^2\)+\(\frac{f^{(3)}(0)}{3!} x^3\)+\(\frac{f^{(4)}(0)}{4!} x^4\)+…

    どんどん微分しましょう。この微分は良い練習です。是非計算しましょう!
    ●\( f^{(1)}(x)\)=\(-x e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\( f^{(2)}(x)\)=\((-1+x^2) e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\( f^{(3)}(x)\)=\((-x^3+3x) e^{-\frac{x^2}{2}}\)
    ●\( f^{(4)}(x)\)=\((x^4-6x^2+3) e^{-\frac{x^2}{2}}\)

    より、\(x=0\)を代入して、\(f(x)\)の近似式を計算すると、
    ●\( f^{(1)}(0)\)=0
    ●\( f^{(2)}(0)\)=-1
    ●\( f^{(3)}(0)\)=0
    ●\( f^{(4)}(0)\)=3
    となるので、

    \(f(x)\)=1-\(\frac{1}{2} x^2\)+\(\frac{1}{8} x^4\)

    近似式の概形と正規分布の概形を描いてみる

    近似式は4次関数で高2レベルですね。Excelでグラフを描いてみましょう。

    正規分布

    確かに、\(x=0\)付近は2つのグラフは重なっていますね。近似値からでも正規分布の定積分は精度よく求められそうですね。

    ➂正規分布の積分の近似値を解いてみよう!(高2レベル)

    問(2)を再掲

    正規分布の分布関数\(f(x)\)=\(e^{-\frac{x^2}{2}}\)をテイラー展開して4次の整式からなる近似式を作って、積分を考えたい。
    (2) 正規分布から\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)を求め、
    手計算から\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)の結果と比較せよ。

    では、2つの関数の積分を解いてみましょう。

    正規分布表から確認

    正規分布表から値を読みます。正規分布表の読み方は大丈夫でしょうか?一応解説します。

    Kp *=0 *=1 ・・・  *=9
    0.0* 0.5 0.496 ・・・ ・・・
    ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
    1.0* 0.1587 0.1562 ・・・  ・・・
    1.1* 0.1357 ・・・  ・・・  ・・・
    ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

    上表のマーカ部でKp=1.00の値「0.1587」を見ますが、
    これは、\( \displaystyle \int_{1}^{∞}\frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)の値なので、
    0.5-0.1587=0.3413が、求めたい積分値\( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}} e^{-\frac{x^2}{2}}dx \)です。

    何を言っているかわからない場合は、正規分布の基礎を復習しましょう。関連記事を紹介します。

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    近似式の定積分

    \( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)を計算します。高2レベルです。

    \( \displaystyle \int_{0}^{1}\frac{1}{\sqrt{2π}}(1-\frac{x^2}{2}+\frac{x^4}{8})dx \)
    =\(\frac{1}{\sqrt{2π}} \frac{103}{120}\)=0.3425
    となります。この計算もやってみてください。

    積分値の比較

    ●正規分布の場合は、0.3413
    ●近似式の場合は、0.3425
    とほぼ一致していますね。差は0.4%!

    グラフ見れば、x=0~1の区間は2つのグラフのyの値はほぼ一致していますね。

    正規分布

    以上、
    ①微分を計算してわかる正規分布の概形
    ➁正規分布の概形近似式の作り方
    ➂定積分の値の比較
    を解説しました! 正規分布にだいぶ慣れたはずです!

    まとめ

    「【初心者必見!】正規分布の概形、近似式、定積分が解ける!(高校数学で解ける!)」を解説しました。

    • ①正規分布の概形を描いてみよう!(高3レベル)
    • ➁正規分布に近いグラフを描いてみよう!(高3レベル)
    • ➂正規分布の積分の近似値を解いてみよう!(高2レベル)

  • 【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    「F分布を使った検定方法がよくわからない」、「F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係がよくわからない」、「F分布表の注意点がわからない」など、実際に分散比の検定や分散分析を計算するときにいろいろ困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    F分布でよく出る3つのパターン

    • ➀F分布の導出がわかる
    • ②F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係
    • ③F分布表の注意点
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    さっそく見ていきましょう。

    ➀F分布の導出がわかる

    F分布の導出の導出のポイント

    【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    詳細は、をご覧下さい。まとめると次の3点ですね。

    (A) F分布は2つのχ2乗分布の比。
    (B)F分布のχ2乗分布の比なので。確率密度関数はx≧0のみ。

    ②F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係

    Xが自由度tのt分布に従うなら、\(X^2\)は自由度(1,n)のF分布に従う

    F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布と4つの分布関数の関係を使って確かめてみましょう。

    ● Z: 正規分布に従う
    ●X: 自由度nのt分布に従う
    ●\(Y^2\)/n: 自由度nのχ2乗分布に従う
    と定義します。

    t分布は
    t分布 = 正規分布 / \( \sqrt{χ2乗分布}\)
    ですね。X,Y,Z,nを代入します。
    \( X=\frac{Z}{1}\)/\({\sqrt{\frac{Y^2}{n}}}\)

    両辺を2乗します。
    \( X^2 = \frac{Z^2}{1}\)/\(\frac{Y^2}{n}\)

     右辺は\(\frac{Z^2}{1}\)と\(\frac{Y^2}{n}\)の比、つまり
    自由度1のχ2乗分布\(Z^2\)と、
    自由度nのχ2乗分布\(Y^2\)の比ですから、
    これが自由度(1,n)のF分布に従うことを意味しています。

    \(X^2\)は自由度(1,n)のF分布に従います。

    まとめると、
    t分布 = 正規分布 / \(\sqrt{χ2乗分布}\)
    を2乗すると
    (1,n)F分布 =(自由度1のχ2乗分布)/(自由度nのχ2乗分布)
    となることが言えます。

    ③F分布表の注意点

    自由度(m,n)はどちらを先頭にするか?

    自由度の順番

    比較する対象を前に、比較される対象が後ろにします。
    順番が逆になるとF値は逆数になります。

    例題を見ましょう。

    A,Bにおいて
    (1)Aの分散について調べたいとき: F(\(φ_A,φ_B,α\))とします。
    (1) Bの分散について調べたいとき: F(\(φ_B,φ_A,α\))とします。
    F(\(φ_A,φ_B,α\))=\(\frac{1}{F(φ_A,φ_B,α)}\)

    自由度の順番が変わるとF値が逆数になる理由

    (1,n)F分布 =(自由度1のχ2乗分布)/(自由度nのχ2乗分布)
    を拡張します。つまり、
    \( X^2 = \frac{Z^2}{1}\)/\(\frac{Y^2}{n}\)

    \( X^2(m,n)= \frac{Z^2}{m}\)/\(\frac{Y^2}{n}\)
    とします。両辺を逆数にします。
    \( X’^2(n,m)= \frac{1}{ X^2(m,n)}\)=\(\frac{Y^2}{n}\)/\(\frac{Z^2}{m}\)
    より、自由度が入れ替わるとF値が逆数に変わりますね。

    分散分析して、F値が予定より乖離がある場合は、自由度が入れ替わっている可能性があることがわかります。

    直交表を使った実験計画法での注意点

    F分布において、自由度1の場合、F値が大きすぎる。
    分散分析結果で自由度1のF値をそのまま使って良いかよく考える必要がある。

    F表を見ましょう。自由度がφ1、φ2ともに1の色枠部を見てください。
    色のない値に比べて、色がついた値は高いですよね。
    特にφ2の自由度1の場合は3桁です。

    F表(α=0.05)
    φ2/φ1 1 2 3 4 5 ・・・
    1 161 200 216 225 230 ・・・
    2 18.5 19 19.2 19.2 19.3 ・・・
    3 10.1 9.55 9.28 9.12 9.01 ・・・
    4 7.71 6.94 6.59 6.39 6.26 ・・・
    5 6.61 5.79 5.41 5.19 5.05 ・・・
    ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

    直交表の多因子実験で残差の自由度が1の場合は、F値が3桁になるので、ほぼすべての実験が有意でない結果となってしまいます。実際は、F値が高すぎないように、残差の自由度は2または3以上にしています。これも注意点として知っておいてください。

    まとめ

    F分布について実務や試験に活かせるようにわかりやすく解説しました。かなりイメージがついて、検定・推定、分散分析の解法に自信がついたでしょう。

    • ➀F分布の導出がわかる
    • ②F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係
    • ③F分布表の注意点

  • 【簡単】t分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    【簡単】t分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    「t分布を使った検定方法がわからない」、「正規分布とt分布の違いがよくわからない」、「片側検定、両側検定のときのt分布表の見方がわからない」など、実際に計算するときにいろいろ困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【簡単】t分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    t分布でよく出る3つのパターン

    • ➀t分布の導出がわかる
    • ②t分布表の使い方
    • ③t分布と正規分布の違い

    さっそく見ていきましょう。

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    ➀t分布の導出がわかる

    t分布の導出の導出のポイント

    【簡単】t分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    詳細は、をご覧下さい。まとめると次の3点ですね。

    (A) t分布は理想的な正規分布に対する現実版。
    (B)正規分布関数×割合/全体からt分布を算出。割合/全体の比にχ2乗分布を活用。
    (C)t分布は分散ではなく、自由度から確率を算出。

    ②t分布表の使い方

    t分布の分布関数をざっくり理解する方がわかりやすい

    t分布表に載っているグラフの関数

    \( f(x)= \frac{Γ(\frac{φ+1}{2})}{\sqrt{φπ}Γ(\frac{φ}{2})}(1+\frac{t^2}{φ})^{-\frac{φ+1}{2}}\)

    よくわからない関数ですが、自由度φとtを代入してf(x)を計算します。手計算は大変なので、エクセルを使って計算します。

    t分布関数をざっくり書くと、
    f(x)= B(φ) \(\frac{1}{(1+t^2)^{C(φ)}}\)
    です。
    関数 \(\frac{1}{1+t^2}\)に自由度φからなる関数B(φ)、C(φ)がくっついてきます。
    関数 \(\frac{1}{1+t^2}\)の区間[-∞,∞]の∫は∞に発散しますが、関数B(φ)、C(φ)がくっついているおかげで有限値になるというイメージです。

    また、t分布の関数形は、
    関数 \(\frac{1}{1+t^2}\)
    なので、y軸に対称になります。
    よって、正規分布と似たグラフになるのが特徴です。

    t分布

    エクセルを使う場合は、
    tと自由度φを用意して、t分布関数を
    「= T.DIST (C6,D3,false)」
    として代入します。C6はtのセル、D3は自由度φのセルです。

    χ2乗分布表の見方

    t分布関数の特徴

    (A)y軸に対称である。
    (B) t分布関数(確率密度関数)は、区間[-∞.∞]で積分すると1。
    (C)正規分布表と同様に確率P/2からt値を読み取る場合は、確率P/2は区間[t,∞]とする。確率PではなくP/2と運用しているので注意。

    片側検定、両側検定の場合のt分布表の見方を図で確認しましょう。

    t分布でよく試験で間違えるところなので、注意しましょう。

    片側検定の場合

    確率P/2=0.05つまり、P=0.1(有意水準)に相当するtを読み取ります。

    t分布

    Φ=10,P=0.1のときは、t分布表からt=1.812とわかります。

    両側検定の場合

    確率 P/2=0.05/2つまり、P=0.05 (有意水準)に相当するtを読み取ります。

    t分布

    Φ=10,P=0.05のときは、t分布表からt=2.228とわかります。

    ③t分布と正規分布の違い

    t分布と正規分布の違い

    数学的には違う分布関数。
    でも、値はほぼ同じなので実務上は同じと考えてもよい

    試験、資格ではt分布と正規分布は別物として勉強しましょう。
    これはt分布、正規分布をそれぞれ理解しているかを確認するためです。
    一方、実務上は下図のようにデータ数n=10個程度で、
    t分布と正規分布N(0,\(1^2\))は同じグラフですね。

    10個以下のデータ数なら、分析としては不十分なので、
    もっと多くのデータ数を用いて分析しますよね。
    つまり、最初から正規分布と過程しても実務上問題がないと言えます。

    t分布の関数の形が少ない自由度で、
    正規分布に重なるようになっているのが現状
    です。
    私が思うあるべきt分布とは、データ数が100個くらいでも正規分布とずれているが、データ数が10000個以上になってようやく正規分布に接近してくるイメージです。

    t分布

    まとめ

    t分布について実務や試験に活かせるようにわかりやすく解説しました。かなりイメージがついて、検定・推定、分散分析の解法に自信がついたでしょう。

    • ➀t分布の導出がわかる
    • ②t分布表の使い方
    • ③t分布と正規分布の違い

  • 【簡単】χ2乗分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    【簡単】χ2乗分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    「\(χ^2\)乗分布を使った検定方法がわからない」、「標準偏差、平方和と\(χ^2\)乗分布関数の関係がわからない」、「片側検定、両側検定のときの\(χ^2\)乗分布表の見方がわからない」など、実際に計算するときにいろいろ困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【簡単】\(χ^2\)乗分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    \(χ^2\)乗分布でよく出る3つのパターン

    • ➀\(χ^2\)乗分布の導出がわかる
    • ②よく使う\(χ^2\)乗分布関数と標準偏差sの関係
    • ③\(χ^2\)乗分布表の使い方

    さっそく見ていきましょう。

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    ➀\(χ^2\)乗分布の導出がわかる

    \(χ^2\)乗分布の導出のポイント

    【簡単】\(χ^2\)乗分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

    詳細は、をご覧下さい。まとめると次の3点ですね。

    (A) \(χ^2\)乗分布は分散の検定のために正規分布から作られた関数
    (B)難しい式の導出より、(\(χ^2\)乗分布関数)=Σ(正規分布関数)^2で理解
    (C)\( χ^2=\sum_{i} (\frac{x_i-\bar{x}}{σ})^2\)=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)

    ②よく使う\(χ^2\)乗分布関数と標準偏差sの関係

    よく見かけるので、解説します。

    \(χ^2\)乗分布と平方和S(大文字)との関係

    \( χ^2=\frac{S}{σ^2}\)

    \(χ^2\)乗分布と標準偏差s(小文字)との関係

    \( χ^2=\frac{s^2}{σ^2}(n-1)\)

    これは簡単に導出できます。
    (i)平方和Sと分散(不偏分散)Vの関係は
    \( V=\frac{S}{n-1}\)
    ですね。
    (ii)分散Vと標準偏差sの関係は
    \( V=s^2\)
    ですね。よって、
    \(S=V(n-1)=s^2(n-1)\)
    になります。

    まとめると、
    \(χ^2=\frac{S}{σ^2}\)
    \(χ^2=\frac{ s^2(n-1)}{σ^2}\)
    \(χ^2=\frac{s^2}{σ^2}(n-1)\)
    \(χ^2=(\frac{s}{σ})^2(n-1)\)

    標準偏差sと母分散σの比とデータ数nから\(χ^2\)を算出する場合
    \(χ^2\)と標準偏差sから母分散\(σ^2\)を推定することがよくあります。

    ③\(χ^2\)乗分布表の使い方

    片側検定、両側検定において、\(χ^2\)乗分布表の見方を確認しましょう。

    いろいろな自由度のχ2乗分布

    \(χ^2\)乗分布表に載っているグラフの関数

    \( f(x)= \frac{1}{2^{\frac{k}{2}}}\)\(Γ(\frac{k}{2}) \)\(x^{\frac{k}{2}-1}\)\(e^{\frac{x}{2}} \)

    よくわからない関数ですが、自由度kとx(χ2)を代入してf(x)を計算します。手計算は大変なので、エクセルを使って計算します。

    χ2乗分布

    エクセルを使う場合は、
    xと自由度φを用意して、\(χ^2\)乗分布関数を
    「=CHISQ.DIST(C6,D3,false)」
    として代入します。C6はxのセル、D3は自由度φのセルです。

    χ2乗分布表の見方

    \(χ^2\)乗分布関数の特徴

    (A)χ2乗なので、\(χ^2\)乗分布関数にx<0の範囲は無い。
    (B) \(χ^2\)乗分布関数(確率密度関数)は、区間[0.∞]で積分すると1。
    (C)正規分布表と同様に確率Pから\(χ^2\)値を読み取る場合は、確率Pは区間[\(χ^2\),∞]とする。

    片側検定、両側検定の場合の\(χ^2\)乗分布表の見方を図で確認しましょう。

    片側検定の場合

    確率P=0.05(有意水準)に相当する\(χ^2\)を読み取ります。

    χ2乗分布

    自由度φ=8の場合P=0.05に相当する\(χ^2\)は15.51になります。

    両側検定の場合

    母分散の推定区間を求めるために、両側検定をよく使います。

    両側検定の場合は、有意水準が0.05のとき、P=0.025とP=0.975に相当する\(χ^2\)を読み取ります。

    χ2乗分布

    χ2乗分布

    ここで注意なのは、P=0.025の\(χ^2\)値方がP=0.975の\(χ^2\)値より大きいことです。

    まとめ

    \(χ^2\)乗分布について、実務や試験に活かせるようにわかりやすく解説しました。かなりイメージがついて、検定・推定、分散分析の解法に自信がついたでしょう。

    • ➀\(χ^2\)乗分布の導出がわかる
    • ②よく使う\(χ^2\)乗分布関数と標準偏差sの関係
    • ③\(χ^2\)乗分布表の使い方

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