月: 2021年12月

  • 【必読】管理図の分散σ(x)とσ(xbar)の違いがわかる(群内変動と群間変動)

    【必読】管理図の分散σ(x)とσ(xbar)の違いがわかる(群内変動と群間変動)

    「\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)の導出がわからない」、「\(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)の導出がわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【必読】管理図の群内変動と群間変動の分散公式がわかる

    本記事の結論

    ●\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)は正しく導出できる。
    ●\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できず、(右辺)の合計を(左辺)と定義しただけ。
    本記事を読んで、実験計画法と平方和の分解に慣れてください。

    本記事のテーマ

    【必読】管理図の群内変動と群間変動の分散公式がわかる
    • ①群内変動、群間変動の分散を計算してみる
    • ②群内変動、群間変動\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)の証明
    • ③群内変動、群間変動\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)を\(σ_\bar{x}^2\)とする。

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    ①群内変動、群間変動の分散を計算してみる

    データを用意

    例題

    下表には、縦列(群内)、横列(群間)としてデータを並べている。
    ①全体の分散\(σ_x^2\)を求めよ。
    ②群内変動の分散\(σ_w^2\)を求めよ。
    ③群間変動の分散\(σ_b^2\)を求めよ。
    ④分散\(σ_\bar{x}^2\)を求めよ。
    群内j/群間i i=1 i=2 i=3 i=4 i=5 i=6
    j=1 18 14 18 12 15 13
    j=2 15 10 14 16 14 12
    j=3 14 19 18 18 13 16
    j=4 13 11 17 10 16 19
    j=5 14 16 11 13 18 14
    平均\(\bar{x_{i・}}\) 14.8 14 15.6 13.8 15.2 14.8
    総平均\(\bar{\bar{x}}\) 14.7

    ●平方和の計算大丈夫でしょうか?
    不安な方は関連記事で確認しましょう。

    では、解いていきます。

    文字の定義

    ●\(x_{ij}\):各値
    ●\(\bar{x_{i・}}\):各群の平均値
    ●\(\bar{\bar{x}}\):全平均

    あとで証明しますが、
    \(x_{ij}\)-\(\bar{\bar{x}}\)=(\(\bar{x_{i・}}\)-\(\bar{\bar{x}}\))+(\(x_{ij}\)-\(\bar{x_{i・}}\))
    として、各々の2乗和を取ると、
    \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\) (\(\bar{x_{i・}}\)-\(\bar{\bar{x}})^2\)+\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)(\(x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    が成り立ちます。

    ●\(x_{ij}\)-\(\bar{\bar{x}}\)
    ●(\(\bar{x_{i・}}\)-\(\bar{\bar{x}}\))
    ●(\(x_{ij}\)-\(\bar{x_{i・}}\))
    についての平方和を算出します。

    それぞれの平方和の計算

    ●①全体の分散\(σ_x^2\)
    平方和S
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\((18-14.7)^2\)+…+\((14-14.7)^2\)
    =204.3
    ★よって、分散\(σ_x^2\)は、
    \(σ_x^2\)=S/30=6.81

    ●②群内変動の分散\(σ_w^2\)
    平方和S
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)(\(x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    =\((18-14.8)^2\)+…+\((14-14.8)^2\)
    =192.4
    ★よって、分散\(σ_w^2\)は、
    \(σ_w^2\)=S/30=6.41

    ●③群間変動の分散\(σ_b^2\)
    平方和S
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\) (\(\bar{x_{i・}}\)-\(\bar{\bar{X}})^2\)
    =\((14.8-14.7)^2\)+…+\((14.8-14.7)^2\)
    =11.9
    ★よって、分散\(σ_b^2\)は、
    \(σ_b^2\)=S/30=0.40

    ここで、確かに、
    \(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    6.81=6.41+0.40
    が成立しています。

    ●④分散\(σ_\bar{x}^2\)
    平方和Sが定義できないですが、公式
    \(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)
    から計算します。

    \(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)
    =6.41/5+0.40=1.68

    \(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)
    は数学的に証明して出た公式ではなく、
    \(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)を\(σ_\bar{x}^2\)と
    としてみたら、\(\bar{x}\)の分散は\(σ_x /n\)的になるとしたようです。

    具体例を計算したので、公式を数学的に証明します。

    ②群内変動、群間変動\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)の証明

    ここで慣れてほしい計算を列挙します。

    1. データの構造式\(x_{ij}\),\(\bar{x_{i・}}\),\(\bar{\bar{x}}\)に慣れること
    2. データの構造式の2乗和をΣを使って展開すること
    3. 実験計画法と平方和の分解に慣れること
    群内と群間の分散の分け方・計算は
    ●サンプリング
    ●管理図
    ●実験計画法
    ●回帰分析
    で必ず出ます。品質管理上級を目指すには必須なスキルです。

    証明の流れ

    1. データの構造式を作る(実験計画法と同じ)
    2. 平方和を分解(全体=部分の合計)の式を作る
    3. 2乗和では「互いの積和=0」を狙う
    4. 平方和/データ数=分散に直す

    データの構造式を作る(実験計画法と同じ)

    すでに書きましたが、データ\(x_{ij}\)は群間方向\(i\)と群内方向\(j\)に分かれます。

    ●\(x_{ij}\):各値
    ●\(\bar{x_{i・}}\):各群の平均値
    ●\(\bar{\bar{x}}\):全平均
    と定義して、データの構造式を作ります。

    ●データの構造式
    \(x_{ij}\)-\(\bar{\bar{x}}\)=(\(\bar{x_{i・}}\)-\(\bar{\bar{x}}\))+(\(x_{ij}\)-\(\bar{x_{i・}}\))

    平方和を分解(全体=部分の合計)の式を作る

    機械的にデータの構造式の両辺に\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}(●-〇)^2\)の形を取ります。

    \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\) (\((\bar{x_{i・}}\)-\(\bar{\bar{x}})\)+\((x_{ij}-\bar{x_{i・}}))^2\)

    (右辺)を展開します。
    (右辺)
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)
    \(((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
    +\(2(\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})(x_{ij}-\bar{x_{i・}})\)
    +\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2)\)

    2乗和では「互いの積和=0」を狙う

    次に、第2項に注目します。

    第2項
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})(x_{ij}-\bar{x_{i・}})\)
    実際にΣの中身を書き出してみましょう。これも慣れてください。

    ●第2項
    =[\((x_{11}-\bar{x_{1・}}\))+…+\((x_{1b}-\bar{x_{1・}}\))]\((\bar{x_{1・}}-\bar{\bar{x}})\)
    +[\((x_{21}-\bar{x_{2・}}\))+…+\((x_{2b}-\bar{x_{2・}}\))]\((\bar{x_{2・}}-\bar{\bar{x}})\)

    +[\((x_{a1}-\bar{x_{a・}}\))+…+\((x_{ab}-\bar{x_{a・}}\))]\((\bar{x_{a・}}-\bar{\bar{x}})\)

    ここで、[]の長~い式をじっくり見ると、すべての\(i\)について
    (\(x_{i1}+ x_{i2}+…+ x_{ib}\))-b(\(\bar{x_{i・}}\))
    となります。この式をよーく見ると、
    (合計)―(個数)×(平均)
    です。これは0になりますね。

    よって(右辺)は、
    (右辺)
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)
    \(((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)+\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2)\)
    となります。

    平方和/データ数=分散に直す

    平方和の式を再掲します。

    \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)+\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)

    両辺をabで割ります

    \(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)+\(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)

    ●(左辺)はまさに、\(σ_x^2\)ですね。つまり、
    \(σ_x^2\)=\(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)

    ●(右辺)の第1項を少し変形します。
    実は、Σの中の変数は\(i\)しかありません。つまり、
    \(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\(\frac{b}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\(\frac{1}{a}\)\(\sum_{i=1}^{a}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)
    と変形できます。これって、
    群間変動の分散\(σ_b^2\)となります。わかりますか?じっくり見ましょう。

    ●(右辺)の第2項を考えます。
    単純に、
    群内変動の分散\(σ_w^2\)
    =\(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    としてもいいのですが、各群\(i\)の群内は変数\(j\)で表現できます。

    ここで変数\(i\)によらず、群内分散は等しいと仮定すると、
    \(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    =\(\frac{a}{ab}\)\(\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    =\(\frac{1}{b}\)\(\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    =\(σ_w^2\)
    と見やすくなります。

    まとめると、
    ●平方和の分解が成り立ち、
    ●個数で割ると、
    \(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    が成り立ちます。
    数学的に証明できたので、納得できますね。

    ③群内変動、群間変動\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)を\(σ_\bar{x}^2\)とする。

    \(σ_\bar{x}^2\)は何者か?わからない

    もともと数学的には、次の等式が成立して、
    \(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{\bar{x}})^2\)
    =\(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((\bar{x_{i・}}-\bar{\bar{x}})^2\)+\(\frac{1}{ab}\)\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)\((x_{ij}-\bar{x_{i・}})^2\)
    から
    \(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    の関係が成り立ちます。

    さて、\(σ_x^2\)ではなく、\(σ_\bar{x}^2\)とした場合、
    データの構造式を立てて、平方和の分解から分散公式の導出がうまくできません。

    平均\(\bar{x}\)の分散を普通に考えると、
    \(\bar{X}\)管理図から、平均\(\bar{x}\)と全体の平均\(\bar{\bar{X}}\)
    の差をイメージする。
    でもこれは、群間分散になる。

    数学を使って、
    \(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)
    を証明しようとしてもうまくいきません。

    数学的には成り立たないので、あえて定義したものととらえる

    \(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)の和を\(σ_\bar{x}^2\)と定義したものと考える方がよいでしょう。

    ●先の例題をみると、
    ●\(σ_w^2\)=6.41
    ●\(σ_b^2\)=0.40
    ●\(σ_x^2\)
    =\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)=6.81
    ●\(σ_\bar{x}^2\)
    =\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)
    =6.41/5+0.40=1.68

    変数xの分散が少ないという意味で、変数\(\bar{x}\)の分散を作っているのです。
    ただし、
    \(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)
    を数学的に証明されていませんので、注意が必要です。
    この式を暗記する意味は無いでしょう。

    まとめると

    ●\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)は数学的に証明できる。正しい。
    〇\(σ_\bar{x}^2\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は数学的に証明されていない、慣習的な式。

    私は、数学的に証明された正しい、
    ●\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)
    を使うべきと考えます。

    公式の丸暗記ではなく、公式を導出してその意味を理解して使いこなしましょう。

    まとめ

    群内変動、群間変動の分散の導出について、解説しました。

    • ①群内変動、群間変動の分散を計算してみる
    • ②群内変動、群間変動\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)の証明
    • ③群内変動、群間変動\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)を\(σ_\bar{x}^2\)とする。

  • 【必読】管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する

    【必読】管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する

    「工程改善すると管理図がどう変化するかわからない」、「どんな変数を変化させると管理図が変わるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【必読】管理図でばらつき低減効果が確認できる
    実験計画法を使って分散分析と、成分分解します。
    管理図も変数毎に層別して、成分の変化による管理図の変化を見ていきます。
    実験計画法と管理図を使った応用事例です。良い演習問題です。

    本記事の結論

    ①管理限界外があれば、ばらつき低減する。

    ②ばらつき低減すると工程安定と判断できる。

    ③ばらつき低減によって、管理限界の幅が狭くなる。

    ④また、管理限界外な点が発生する。

    ⑤さらにばらつきを低減、…

    ⑥、と継続的改善すれば、ばらつきのない理想な工程に近づく

    管理図と分散分析からわかる。

    本記事のテーマ

    【必読】管理図でばらつき低減効果が確認できる
    • ①データの成分分解、分散分析と層別した管理図を作成
    • ②成分ごとのばらつき低減と管理図の関係を確認
    • ③ばらつき低減すると管理限界が厳しくなりさらに改善へ

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●You tube動画でも解説しているので、確認ください。

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    ①データの成分分解、分散分析と層別した管理図を作成

    実験計画法(三元配置実験)のデータを用意

    例題

    ある製品の工程では、A工程(2工程)、B機械(3台)、C製造日(10日間)の3つの変数で管理している。この3つの特性から、製品特性Xを測定した結果を下表にまとめた。
    A1 A2 A1 A2
    C1 B1 16 18 C6 B1 16 18
    B2 18 20 B2 18 20
    B3 19 15 B3 19 15
    C2 B1 7 23 C7 B1 7 23
    B2 20 38 B2 20 38
    B3 23 25 B3 23 25
    C3 B1 20 24 C8 B1 20 24
    B2 30 30 B2 30 30
    B3 27 17 B3 27 17
    C4 B1 2 18 C9 B1 2 18
    B2 14 26 B2 14 26
    B3 19 15 B3 19 15
    C5 B1 20 22 C10 B1 20 22
    B2 24 30 B2 24 30
    B3 21 19 B3 21 19

    実験計画法(三元配置実験)のデータの構造式と分散分析を導出

    さて、問題です。

    (1)製品の特性を\(x_{ijk}\)、主効果\(α_i\)(A),\(β_j\)(B),\(γ_k\)(C)、全交互作用効果と残差をつけてデータの構造式を求めよ。
    (2)分散分析せよ。

    実験計画法については、関連記事にまとめています。

    究める!実験計画法
    QCプラネッツが解説する究める実験計画法。多くの教科書がある中、勉強してもどうしても分からない、苦労している難解な箇所をすべて解説します。多元配置実験、乱塊法、分割法、直交表などなど多くの手法を個別に公式暗記せず、データの構造式をみればすべて導出できる新しい実験計画法を解説します。

    データの構造式

    さっと、書けるように実験計画法もマスターしてください。

    \(x_{ijk}\)=μ+\(α_{i}\)+\(β_{j}\)+\(γ_{k}\)+\((αβ)_{ij}\)+\((αγ)_{ik}\)+\((βγ)_{jk}\)+\(x_{ijk}\)+\(ε_{ijk}\)

    3因子のデータの構造式では、平均+主効果+2因子交互作用+残差(3因子交互作用と交絡)となりますね。

    分散分析

    データの構造式から平方和の分解、平方和の計算、分散分析の計算は大丈夫でしょうか?不安でしたら、関連記事で復習しましょう。
    3因子の完全配置実験なので、必ず計算して分散分析してくださいね。いい練習になりますよ。
    S φ V F F0
    A 240 1 240 12.27 4.41
    B 520 2 260 13.3 3.55
    C 696 9 77.33 3.95 2.46
    A×B 520 2 260 13.3 3.55
    A×C 408 9 45.33 2.32 2.46
    B×C 296 18 16.44 0.84 2.22
    e 352 18 19.56 1
    T 3032 59

    分散分析表から、
    主効果A,B,C,交互作用A×Bが有意であるとわかりますね。

    層別した管理図を作成

    では、分散分析したデータを各変数A,B,Cについて層別し、\(\bar{X}\)-R管理図に描いてみましょう。

    Aについて

    管理図

    Bについて

    管理図

    Cについて

    管理図

    A,Bは特徴的なパターンはありませんが、Cはぎざぎざで、管理限界外の点が見られます。

    分散分析の結果が有意な因子を管理図で調べると工程NGな点が見られました。

    ②成分ごとのばらつき低減と管理図の関係を確認

    変数Cについて、工程異常があるので、Cのばらつきを低減することから始めましょう。

    Cのばらつきを低減した場合

    データの構造式を見ましょう。
    \(x_{ijk}\)=μ+\(α_{i}\)+\(β_{j}\)+\(γ_{k}\)+\((αβ)_{ij}\)+\((αγ)_{ik}\)+\((βγ)_{jk}\)+\(ε_{ijk}\)
    Cに関する項は、\(γ_{k}\),\((αγ)_{ik}\),\(ε_{ijk}\)(≡\((αβγ)_{ijk}\))ですね。

    \(γ_{k}\),\((αγ)_{ik}\),\(ε_{ijk}\)(≡\((αβγ)_{ijk}\))の変動を1/4倍にしましょう。つまり、平方和\(S_C\),\(S_{A×C}\),\(S_{B×C}\),\(S_{e}\)を2乗の1/16倍にします。

    分散分析の変化

    変化前 S φ V F F0
    A 240 1 240 12.27 4.41
    B 520 2 260 13.3 3.55
    C 696 9 77.33 3.95 2.46
    A×B 520 2 260 13.3 3.55
    A×C 408 9 45.33 2.32 2.46
    B×C 296 18 16.44 0.84 2.22
    e 352 18 19.56 1
    T 3032 59
    変化後 S φ V F F0
    A 240 1 240 196.36 4.41
    B 520 2 260 212.73 3.55
    C 43.5 9 4.83 3.95 2.46
    A×B 520 2 260 212.73 3.55
    A×C 25.5 9 2.83 2.32 2.46
    B×C 18.5 18 1.03 0.84 2.22
    e 22 18 1.22 1
    T 1389.5 59

    平方和\(S_C\),\(S_{A×C}\),\(S_{B×C}\),\(S_{e}\)が1/16倍になりましたね。

    管理図の変化

    ●Cに関して\(\bar{X}\)-R管理図を描きましょう。確かにばらつきが低減した分、管理限界内に入っていることがわかります。

    ●\(\bar{X}\)管理図の変化(Cについて)

    Xbar管理図

    ●R管理図の変化(Cについて)

    R管理図

    Cについて、ばらつきを1/4に低減すると、\(\bar{X}\)管理図も、R管理図もばらつきが収まり管理限界内に入ることが分かります。

    なお、A,Bについては、それほどの大きな変化はありません。

    さらにA,Bのばらつきも低減した場合

    残りの効果についてもばらつきを1/4倍に低減しましょう。

    分散分析の変化

    変化前 S φ V F F0
    A 240 1 240 12.27 4.41
    B 520 2 260 13.3 3.55
    C 696 9 77.33 3.95 2.46
    A×B 520 2 260 13.3 3.55
    A×C 408 9 45.33 2.32 2.46
    B×C 296 18 16.44 0.84 2.22
    e 352 18 19.56 1
    T 3032 59
    変化後 S φ V F F0
    A 15 1 15 12.27 4.41
    B 32.5 2 16.25 13.3 3.55
    C 43.5 9 4.83 3.95 2.46
    A×B 32.5 2 16.25 13.3 3.55
    A×C 25.5 9 2.83 2.32 2.46
    B×C 18.5 18 1.03 0.84 2.22
    e 22 18 1.22 1
    T 189.5 59

    変化前後で、全高価の平方和が1/16に変化しました。

    では、分散分析したデータを各変数A,B,Cについて層別し、\(\bar{X}\)-R管理図に描いてみましょう。

    Aについて

    ●\(\bar{X}\)管理図

    Xbar管理図

    ●R管理図

    R管理図

    Bについて

    ●\(\bar{X}\)管理図

    Xbar管理図

    ●R管理図

    R管理図

    Cについて

    ●\(\bar{X}\)管理図

    Xbar管理図

    ●R管理図

    R管理図

    ばらつきは大幅に低減されましたが、管理限界の幅も狭まり、工程不良が再度出現しました。これを何度も繰り返すと、ばらつきのない安定した理想とする工程に近づきます。

    演習問題

    上のデータを分散分析、\(\bar{X}\)-R管理図を作成し、ばらつき低減と管理図の変化を確認せよ。

    是非解いてみてください。本記事の結果と一致すればOKです。

    まとめ

    管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する方法を解説しました。

    • ①データの成分分解、分散分析と層別した管理図を作成
    • ②成分ごとのばらつき低減と管理図の関係を確認
    • ③ばらつき低減すると管理限界が厳しくなりさらに改善へ

  • 管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がわかる

    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がわかる

    「計量値管理図の係数の極限値っていくらか知りたい」と思いませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がわかる
    • ①管理図各係数の関係
    • ②c4,d2,d3をプログラムで計算
    • ③管理図係数の極限値

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご覧ください。

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    ①管理図各係数の関係

    詳細は関連記事で解説していますが、一覧表を確認しましょう。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    JISZ9020-2の表2「管理限界線を計算するための係数」から変数一覧を出します。







    \(\bar{X}\)


    A = \(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
    \(A_2\) = \(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
    \(A_3\) = \(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)
    s


    \(B_3\) = \(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_4\) = \(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    \(B_5\) = \(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_6\) = \(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)
    R


    \(D_1\) = \(max(0,d_2-kd_3)\)
    \(D_2\) = \(d_2+kd_3\)
    \(D_3\) = \(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
    \(D_4\) = \(1+\frac{kd_3}{d_2}\)





    s \(c_4\) = \(\frac{Γ(\frac{n}{2})\sqrt{\frac{2}{n-1}}}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    R \(d_2\) = \(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    \(d_3\) = \(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    上の表を、c4,d2,d3の観点でまとめ直しましょう。下表のような関係になるのがわかります。

    係数 なし \(c_4\) \(d_2\) \(d_3\)
    \(\bar{X}\)管理図 A \(A_3\) \(A_2\)
    s管理図 \(B_3\),\(B_4\),
    \(B_5\),\(B_6\)
    R管理図 \(D_1\),\(D_2\),
    \(D_3\),\(D_4\)
    \(D_1\),\(D_2\),
    \(D_3\),\(D_4\)

    ここで、よく見ると、すべての係数は、c4,d2,d3,k=3,nで計算できますことがわかります。

    c4,d2,d3のそれぞれの値をn⇒∞にとばした時の極限値を計算しよう!
    c4,d2,d3がn増加によってどのように値が変化するかを見よう!

    興味本位ですが、係数の特性がわかると管理図も作りやすくなります。

    ②c4,d2,d3をプログラムで計算

    R言語をインストール

    Googleで「R言語 インストール」を検索して、お使いのPCのOSに合う「R」をインストールします。

    活用できるものはどんどん活用しましょう!何でもかんでも自分で作る必要はありません。

    ●関連記事にインストール方法がありますので紹介します。

    ●インストーラーダウンロードも確認ください。

    ●お使いのPCによってLinux,macOS,Windoewsを選択ください。

    ●Windowsの場合は「Subdirectories」のところで「base」を選択してダウンロードします。

    d2,d3計算プログラム

    R言語がPC上で起動できたら、d2,d3計算プログラムを走らせます。

    すでに、プログラムを作っている方がいらっしゃるので、それを使いましょう。個人使用限定でお願いしますね。

    d2,d3,A2,D3,D4の解析プログラムを先ほどインストールした「R」に貼り付けてください。

    R言語

    下図の赤枠から入力してください。

    R言語

    nについては、デフォルト1から50となっていますが、50を好きな数字に変えましょう。ただし、nを増やすと当然計算時間は増えます。2000にすると数分かかり、それ以上だと、もっとかかります。

    ③管理図係数の極限値

    c4,d2,d3の極限値

    c4はエクセルで、
    d2,d3はR言語で解析しました。

    結果は下図のとおりです。

    係数c4d2d3

    \(c_4\)の極限値は1っぽい

    ●c4を構成するΓ関数ですが、nを増やすとΓも大きくなり、Excelで計算するとn=344以上は、「#NUM!」となってしまいました。

    ●\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}}\)\(\frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)ですが、Γ関数の関係式を見ると\(c_4\)は1に収束するようです。

    \(\frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)⇒\(\sqrt{\frac{n}{2}}\)になるようですね。Γ関数を復習しましょう。
    \(c_4\)⇒\(\sqrt{\frac{2}{n-1}}\)×\(\sqrt{\frac{n}{2}}\)=\(\frac{1}{\sqrt{1-\frac{1}{n}}}\)⇒1

    \(d_2\),\(d_3\)は収束しない

    R言語を使ってn=2000くらいまで計算しても、ある値に収束しません。
    \(d_2\),\(d_3\)の極限値は「?」です。

    極限値のまとめ

    係数c4,d2,d3のnによる変化を見て、極限値を算出しました。

    ●C4⇒1
    ●d2⇒?
    ●d3⇒?

    係数値A,B,Dはどうなるのでしょうか?

    A,\(A_2\),\(A_3\)

    ●A=\(\frac{k}{\sqrt{n}}\)⇒0
    ●\(A_2\)=\(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)⇒?
    ●\(A_3\)=\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)⇒0
    \(A_2\)は、Aと\(A_3\)と同様に0に収束するかもしれません。
    Aは\(\bar{X}\)についての値なので、正規分布N(0,1)を考えると0に収束するのかもしれません。

    \(B_3\),\(B_4\),\(B_5\),\(B_6\)

    ●\(B_3\)=\(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)⇒1
    ●\(B_4\)=\(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)⇒1
    ●\(B_5\)=\(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)⇒1
    ●\(B_6\)=\(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)⇒1
    Bは標準偏差sについての値なので、正規分布N(0,1)を考えると1に収束するのかもしれません。

    \(D_1\),\(D_2\),\(D_3\),\(D_4\)

    ●\(D_1\)=\(max(0,d_2-kd_3)\)⇒?
    ●\(D_2\)=\(d_2+kd_3\)⇒?
    ●\(D_3\)=\(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)⇒?
    ●\(D_4\)=\(1+\frac{kd_3}{d_2}\)⇒?
    Dは範囲Rについての値です。範囲Rはサンプル数nが極限値になっても、ある一定の値を持ちます。だから、係数Dはどこに収束するかわかりません。

    まとめ

    計量値管理図の係数の極限値について解説しました。

    • ①管理図係数表一覧
    • ②管理図係数の公式
    • ③管理図係数が負になる場合も計算

  • 管理図係数値でnが6以上でないと使えない係数がある理由がわかる

    管理図係数値でnが6以上でないと使えない係数がある理由がわかる

    「計量値管理図の係数(B3,B5,D1,D3)でn ≥6 でないとダメな理由がわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図係数値でnが6以上でない使えない係数がある理由がわかる

    本記事の結論

    管理図係数値は0以上が必須ですが、負になる場合は「―」とするから。
    管理図係数値を実際に計算して、「―」となる場合の値を求めてみましょう。
    • ①管理図係数表一覧
    • ②管理図係数の公式
    • ③管理図係数が負になる場合も計算

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①管理図係数表一覧

    管理図係数表が使える理由

    ●変数Xは正規分布に従う。
    ●標準偏差sはχ2乗分布、正規分布に従う。
    ●範囲Rは、順序統計量(同時分布)と正規分布に従う。
    と仮定するので、データ特性に関係なく、確率分布関数にデータが従うと考えます。
    よって、管理限界を計算する係数がデータ対象に関係なく使えるとしています。

    なお、係数はサンプル数nに関係する式となっています。

    管理図係数表

    JISZ9020-2(2016) 表2「管理限界線を計算するための係数」に載っている表です。なお、n=100の場合も下表に載せておきます。

    管理限界の係数 中心線の係数
    \(\bar{X}\)管理図 s管理図 R管理図 s R
    n A \(A_2\) \(A_3\) \(B_3\) \(B_4\) \(B_5\) \(B_6\) \(D_1\) \(D_2\) \(D_3\) \(D_4\) \(c_4\) \(d_2\)
    2 2.121 1.88 2.659 3.267 2.606 3.686 3.266 0.798 1.128
    3 1.732 1.023 1.954 2.568 2.276 4.358 2.575 0.886 1.693
    4 1.5 0.729 1.628 2.266 2.088 4.698 2.282 0.921 2.059
    5 1.342 0.577 1.427 2.089 1.964 4.918 2.115 0.94 2.326
    6 1.225 0.483 1.287 0.03 1.97 0.029 1.874 5.078 2.004 0.952 2.534
    7 1.134 0.419 1.182 0.118 1.882 0.113 1.806 0.205 5.204 0.076 1.924 0.959 2.704
    8 1.061 0.373 1.099 0.185 1.815 0.179 1.751 0.388 5.307 0.136 1.864 0.965 2.847
    9 1 0.337 1.032 0.239 1.761 0.232 1.707 0.547 5.393 0.184 1.816 0.969 2.97
    10 0.949 0.308 0.975 0.284 1.716 0.276 1.669 0.686 5.469 0.223 1.777 0.973 3.078
    100 0.3 0.06 0.301 0.787 1.213 0.785 1.21 3.2 6.831 0.638 1.362 0.997 5.015

    ②管理図係数の公式

    各係数の算出公式を参考に載せます。導出は関連記事にありますので、ご覧ください。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    各係数の算出公式一覧を列挙します。k=3(3σ)でJISZ9020-2は計算しています。







    \(\bar{X}\)


    A = \(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
    \(A_2\) = \(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
    \(A_3\) = \(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)
    s


    \(B_3\) = \(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_4\) = \(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    \(B_5\) = \(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_6\) = \(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)
    R


    \(D_1\) = \(max(0,d_2-kd_3)\)
    \(D_2\) = \(d_2+kd_3\)
    \(D_3\) = \(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
    \(D_4\) = \(1+\frac{kd_3}{d_2}\)





    s \(c_4\) = \(\frac{Γ(\frac{n}{2})\sqrt{\frac{2}{n-1}}}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    R \(d_2\) = \(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    \(d_3\) = \(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    係数Aは理解しやすいですが、B,Dは導出が難しい\(c_4\),\(d_2\),\(d_3\)を使って計算します。\(c_4\),\(d_2\),\(d_3\)の導出も関連記事で確認ください。

    ●\(c_4\)の導出

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる
    s管理図の管理限界を求めるc4と管理限界値の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、標準偏差の関係式を使って、意外と簡単に係数c4が導出できます。さらに、標準偏差と不偏標準偏差によって、若干式が異なる点も詳しく解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●\(d_2\),\(d_3\)の導出

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ③管理図係数が負になる場合も計算

    公式どおり、各係数を計算すると次の結果になります。

    管理限界の係数 中心線の係数
    \(\bar{X}\)管理図 s管理図 R管理図 s R
    n A \(A_2\) \(A_3\) \(B_3\) \(B_4\) \(B_5\) \(B_6\) \(D_1\) \(D_2\) \(D_3\) \(D_4\) \(c_4\) \(d_2\)
    2 2.121 1.88 2.659 -1.267 3.267 -1.011 2.606 -1.429 3.686 -1.266 3.266 0.798 1.128
    3 1.732 1.023 1.954 -0.568 2.568 -0.504 2.276 -0.973 4.358 -0.575 2.575 0.886 1.693
    4 1.5 0.729 1.628 -0.266 2.266 -0.245 2.088 -0.581 4.698 -0.282 2.282 0.921 2.059
    5 1.342 0.577 1.427 -0.089 2.089 -0.084 1.964 -0.266 4.918 -0.115 2.115 0.94 2.326
    6 1.225 0.483 1.287 0.03 1.97 0.029 1.874 -0.01 5.078 -0.004 2.004 0.952 2.534
    7 1.134 0.419 1.182 0.118 1.882 0.113 1.806 0.205 5.204 0.076 1.924 0.959 2.704
    8 1.061 0.373 1.099 0.185 1.815 0.179 1.751 0.388 5.307 0.136 1.864 0.965 2.847
    9 1 0.337 1.032 0.239 1.761 0.232 1.707 0.547 5.393 0.184 1.816 0.969 2.97
    10 0.949 0.308 0.975 0.284 1.716 0.276 1.669 0.686 5.469 0.223 1.777 0.973 3.078
    100 0.3 0.06 0.301 0.787 1.213 0.785 1.21 3.2 6.831 0.638 1.362 0.997 5.015
    黄色枠部は計算すると係数が負となりますね。 どこにも書いていませんので、必ず知っておいてください。

    まとめ

    管理図係数値でnが6以上でない使えない係数がある理由を解説しました。

    • ①管理図係数表一覧
    • ②管理図係数の公式
    • ③管理図係数が負になる場合も計算

  • 【必読】計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる

    【必読】計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる

    「群内変動と群間変動の分散の推定がわからない」、「QC検定®1級で頻出な群内変動と群間変動の問題が解けない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる
    • ①R管理図ではσ=R/d2でいい理由
    • ②群内変動と群間変動の分散を推定する公式
    • ③群内変動と群間変動の分散を推定する演習問題1
    • ④群内変動と群間変動の分散を推定する演習問題2

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

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    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ①R管理図ではσ=R/d2でいい理由

    R管理図に準拠した確率密度関数からσが推定できる

    R管理図の確率密度関数や係数\(d_2\),\(d_3\)の導出については、関連記事で詳細に解説しています。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●R管理図は、順序統計量の同時分布を確率密度関数としている
    ●R管理図からE[R]=\(d_2\)σ、D[R]= \(d_3\)σと導出できるため、
    R/\(d_2\)=σと推定してよい

    R管理図のデータは確率密度関数に従うと仮定するため、
    データによらず、σ=R/\(d_2\)と推定してよいのです。
    単なる便利な式ではないことに注意しましょう。

    なお、s管理図の場合は、E[s]=\(c_4\)σですね。
    σ=s/\(c_4\)で推定してよいとなります。

    R管理図の管理範囲内だけ使える

    \(\bar{X}\)-R管理図を使うことが多いですが、R管理図の中だけ
    σ=R/\(d_2\)が使えます。

    全体変動=群内変動+群間変動
    で計算しますが、
    R管理図で見ている群内変動だけです。

    \(σ_T^2\)= \(σ_w^2\)+ \(σ_b^2\)
    \(σ_w\)=R/\(d_2\)

    群間変動、全変動はデータから別途から求めます。QC検定®1級なら、値が与えられています。

    ②群内変動と群間変動の分散を推定する公式

    全体変動で、全体Xと全体平均\(\bar{X}\)の2つがあります。

    全体Xの場合

    全体変動=群内変動+群間変動
    \(σ_T^2\)= \(σ_w^2\)+ \(σ_b^2\)
    \(σ_w\)=R/\(d_2\)

    全体平均\(\bar{X}\)の場合

    全体変動=群内変動+群間変動
    \(σ_\bar{T}^2\)= \(\frac{σ_w^2}{n}\)+ \(σ_b^2\)
    \(σ_w\)=R/\(d_2\)
    n:群内のデータ数

    この区別が混合すると、わけがわからなくなります。
    実際に演習問題で練習しましょう。見て⇒慣れて⇒ものにしましょう!

    ③群内変動と群間変動の分散を推定する演習問題1

    演習問題1

    2台の工作機X,Yで切削加工をしている。この切削した製品の長さ特性を調べるべく、各工作機から4個ずつ計8個のデータを取り、\(\bar{X}\)-R管理図で調査した。これまでの実績は、\(\bar{\bar{X}}\)=26.3,\(\bar{R}\)=4.3、σ=2.2である。
    データを層別して工作機X,Yごとに、n=4の\(\bar{X}\)-R管理図を描いた。その結果次になった。
    ●\(\bar{\bar{X_A}}\)=25.8,\(\bar{R_A}\)=3.0
    ●\(\bar{\bar{X_B}}\)=26.8,\(\bar{R_B}\)=2.4
    (1)工作機内変動\(σ_W^2\)を求めよ。
    (2)工作機間変動\(σ_M^2\)を求めよ。
    (3)ロット間変動\(σ_L^2\)を求めよ。
    X Y
    X1 X2 X3 X4 Y1 Y2 Y3 Y4
    1 24 23 25 26 24 25 23 20
    2 27 22 24 25 26 26 21 24
    3 28 23

    解法

    推定すべき変動の関係式をまず書きます。
    \(σ^2\)=\(σ_W^2\)+\(σ_M^2\)+\(σ_L^2\)

    (1)
    ●R管理図から、工作機内変動\(σ_W^2\)が公式で求められます。
    \(\widehat{σ_w^2}\)=\((\frac{\bar{R}}{d_2 (n=4)})^2\)
    =\((\frac{3.0+2.4}{2×2.059})^2\)=\(1.311^2\)=1.720

    (2)
    ●R管理図から、工作機内変動と工作機間変動の和が公式で求められます。
    \(\widehat{σ_w^2}\)+\(\widehat{σ_M^2}\)=\((\frac{R}{d_2 (n=8)})^2\)
    (右辺)= \((\frac{R}{d_2})^2\)= \((\frac{4.3}{2.847})^2\)=\(1.510^2\)=2.281

    工作機間変動\(σ_M^2\)は、
    \(σ_M^2\)=2.281-1.720=0.5612

    (3)
    ロット間変動は、残りになります。
    \(σ_L ^2\)=\(σ^2\)-\(σ_M^2\)-\(σ_L^2\)
    \(σ_L ^2\)=\(2.2^2\)-1.720-0.5616=2.556

    ●まとめると、
    (1)工作機内変動\(σ_W^2\)=1.720
    (2)工作機間変動\(σ_M^2\)=0.5616
    (3)ロット間変動\(σ_L^2\)=2.556

    慣れるまで、何回も見てポイントを身に着けていきましょう。

    ④群内変動と群間変動の分散を推定する演習問題2

    演習問題1と解き方は同じですが、もう1問見て、ポイントをおさえましょう。

    演習問題2

    ある製品の特性Aについて、分散成分を検討するために、納入品からランダムに10ロットを選び、各ロットからランダムに2個の製品をサンプリングして、各製品を3回測定して特性Aのデータを得た。サンプリングとデータについては下の図表に示す。
    \(\bar{X}\)-R管理図を利用して各種分散成分を推定する。
    ●ロット間変動\(σ_L^2\)
    ●サンプル間変動\(σ_S^2\)
    ●測定誤差分散\(σ_M^2\)
    (1) 測定誤差分散の推定値\(\widehat{σ_M^2}\)を求めよ。
    (2-A) サンプル間変動の推定値\(\widehat{σ_S^2}\)を求めよ。
    (2-B) サンプル間平均変動の推定値\(\widehat{σ_\bar{S}^2}\)を求めよ。
    (3-A) ロット間変動の推定値\(\widehat{σ_L^2}\)を求めよ。
    (3-B) ロット間平均変動の推定値\(\widehat{σ_\bar{L}^2}\)を求めよ。
    (4-A) 全変動\(σ_T^2\)を求めよ。
    (4-B) 全成分の平均変動\(σ_\bar{T}^2\)を求めよ。

    管理図

    ロット サンプル 測定値 \(\bar{x_{ij●}}\) \(R_{ij}\) \(\bar{x_{i●●}}\) \(R_{i}\) \(\bar{\bar{x}}\) R
    M1 M2 M3
    L1 S1 7.6 8.4 7.7 7.9 0.8 7.5 0.8 7.3 5
    S2 6.7 7.2 7.4 7.1 0.7
    L10 S1 8 7.2 7.6 7.6 0.8 7.25 0.7
    S2 7.1 6.4 7.2 6.9 0.8
    合計 145 15 72 8 7.3 5

    変動の計算で、全体の場合と、全体平均の場合があります。この例題として演習問題を解いてみましょう。違いを意識して解きましょう。

    全体Xの場合

    全体変動=群内変動+群間変動
    \(σ_T^2\)= \(σ_w^2\)+ \(σ_b^2\)
    \(σ_w\)=R/\(d_2\)

    全体平均\(\bar{X}\)の場合

    全体変動=群内変動+群間変動
    \(σ_\bar{T}^2\)= \(\frac{σ_w^2}{n}\)+ \(σ_b^2\)
    \(σ_w\)=R/\(d_2\)
    n:群内のデータ数

    ●(1) 測定誤差分散の推定値\(\widehat{σ_M^2}\)は、
    \(\widehat{σ_M^2}\)=\((\frac{R_{ij}}{2×10×d2(n=3)})^2\)
    =\((\frac{15}{20×1.693})^2\)=0.1963

    ●(2-A) サンプル間変動の推定値\(\widehat{σ_S^2}\)は、
    \(\widehat{σ_S^2}\)=\((\frac{R_i}{10×d2(n=2)})^2\)-\(\widehat{σ_M^2}\)
    =\((\frac{8}{10×1.128})^2\)-0.1963=0.3067

    ●(2-B) サンプル間平均変動の推定値\(\widehat{σ_\bar{S}^2}\)は、
    \(\widehat{σ_\bar{S}^2}\)=\((\frac{R_i}{10×d2(n=2)})^2\)-\(\frac{1}{3} \widehat{σ_M^2}\)
    =\((\frac{8}{10×1.128})^2\)-0.1963/3=0.4376

    ●(3-A) ロット間変動の推定値\(\widehat{σ_L^2}\)は、
    \(\widehat{σ_L^2}\)=\((\frac{R}{d2(n=10)})^2\)-\((\widehat{σ_S^2}+\widehat{σ_M^2})\)
    =\((\frac{5}{3.078})^2\)-(0.3067+0.1963)=2.136

    ●(3-B) ロット間平均変動の推定値\(\widehat{σ_\bar{L}^2}\)は、
    \(\widehat{σ_\bar{L}^2}\)=\((\frac{R}{d2(n=10)})^2\)-\(\frac{1}{2}(\widehat{σ_\bar{S}^2}+\frac{1}{3}\widehat{σ_M^2})\)
    =\((\frac{5}{3.078})^2\)-\(\frac{1}{2}(0.4376+\frac{1}{3}\)0.1963)=2.387

    ●(4-A) 全変動\(σ_T^2\)は、
    \(σ_T^2\)=\(σ_M^2\)+\(σ_S^2\)+\(σ_L^2\)
    =0.1963+0.3067+2.136
    =2.639

    ●(4-B) 全成分の平均変動\(σ_\bar{T}^2\)は、
    \(σ_\bar{T}^2\)=\(σ_M^2\)+\(σ_\bar{S}^2\)+\(σ_\bar{L}^2\)
    =0.1963+0.4376+2.387
    =3.021

    公式を活用して、それぞれの変動を導出できました。

    QC検定®1級対策(管理図)

    \(σ_T^2\)=\(σ_M^2\)+\(σ_S^2\)+\(σ_L^2\)
    の3種類の和がよく出題され、
    R/\(d_2\)を使って個々のσを計算します。
    注意なのが、平均の変動か、そうでないかの違いで、公式の使い分けが必要。
    ●\(σ_T^2\)= \(σ_w^2\)+ \(σ_b^2\)
    ●\(σ_\bar{T}^2\)= \(\frac{σ_w^2}{n}\)+ \(σ_b^2\)
    過去30回分の過去問を研究し、マスターすべきポイントを本記事の2つの演習問題に集約しました。是非習得してください。対策本はここまで丁寧に解説していません。

    まとめ

    計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる方法を解説しました。

    • ①R管理図ではσ=R/d2でいい理由
    • ②群内変動と群間変動の分散を推定する公式
    • ③群内変動と群間変動の分散を推定する演習問題1
    • ④群内変動と群間変動の分散を推定する演習問題2

  • 【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる

    「R管理図の変数d2,d3の導出がわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる

    d2,d3の式

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    読んでも理解ができない超難関な式です。でも、これをR管理図の係数表としてよく見かけます。でも、どうやってこの式になったのか?と気になるのは当然!

    注意!

    先に謝っておきます!
    完璧に導出できていませんが、日本中の資料をかき集めて、自分で研究した成果を解説します。d2,d3の導出で新たな知見が出たら、ブログを更新します。
    範囲Rは計算しやすいけど、
    Rのような0以上という特別な性質を表現できる
    確率密度関数が無く、激ムズな式を導出しないといけない。
    範囲Rは使いやすいけど、
    d2,d3の導出がわからないので、
    JISの係数表が絶対正しいと確認できない。
    自分で確認できないものは使いたくない。

    R管理図よりs管理図の方を使った方がよいかもです。
    s管理図については理論式の導出ができるからです。

    本記事のテーマ

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    • ①範囲Rの特性
    • ②順序統計量の同時分布を確率密度関数とする
    • ③d2の導出(わかる範囲で)
    • ④d3の導出(わかる範囲で)
    • ⑤係数\(d_2\),\(d_3\)の参考文献

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    ●Youtube動画にも解説しています。ご確認ください。

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    ①範囲Rの特性

    範囲Rはいい点も、困る点もあります。

    >範囲Rのいい点

    1. 「(最大)と(最小)の差」と計算しやすい
    2. 理解しやすい、使いやすい

    なので、計量値を扱う管理図のほとんどが\(\bar{X}\)-R管理図です。

    >範囲Rの困る点

    1. (最大)―(最小) ≥ 0と範囲Rの分布は0以上と限定
    2. xが正のみな分布を表現する確率密度関数が超複雑になる

    その結果、d2,d3が
    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    とわけのわからない式になってしまいます。

    ②順序統計量の同時分布を確率密度関数とする

    範囲Rに合う確率密度関数を探す

    範囲Rは
    ●0以上の値
    ●大きい値と小さい値の2つの差
    という特性があります。

    これを表現できる確率密度関数が、
    順序統計量の同時分布です。

    1. 順序統計量って何? 難しい?⇒難しいです。
    2. 同時分布って何? 2変数で表現する難解な式です。

    急にレベルが高くなりました。順序統計量、順序統計量の同時分布については関連記事で解説します。まずは、「こういう関数があるんだ!」でかまいません。まずは使ってみることです。

    順序統計量の同時分布

    ●「順序統計量が難しい」
    ●「同時分布はもっと難しい」
    と、2段階で難しい話ですが、式だけ追いましょう。

    順序統計量の同時分布を表現する確率密度関数は次のようになります。
    \(f_{X(k) X(l)} (u,v)\)
    =\(\frac{n!}{(k-1)!(l-k-1)!(n-l)!}\)\(F_{X(u)}^{k-1} f_{X(u)}\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{l-k-1}\)\(f_{X(v)}\)\([1-F_{X(v)}]^{n-l}\)

    範囲Rはx(n)-x(1)の差

    順序統計量とは、個々の変数\(x_{i}\)について、
    \(x_{1}\) ≤ \(x_{2}\) ≤ … ≤ \(x_{n}\)
    の関係が成り立ちます。

    範囲Rは最大と最小の差ですから、

    R= \(x_{n}\) – \(x_{1}\) ≥ 0
    が成り立ちます。
    さらに\(x_{n}\) = \(x_{2}\), \(x_{1}\) = \(x_{1}\)にも注目しましょう。

    範囲Rの確率密度関数

    順序統計量の同時分布を表現する確率密度関数について、k=1,l=nを代入します。

    \(f_{X(1) X(n)} (u,v)\)
    =\(\frac{n!}{(1-1)!(n-1-1)!(n-n)!}\)\(F_{X(u)}^{1-1} f_{X(u)}\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{n-1-1}\)\(f_{X(v)}\)\([1-F_{X(v)}]^{n-n}\)

    =\(\frac{n!}{(n-2)!}\)\(f_{X(u)}\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{n-2}\)\(f_{X(v)}\)
    =\(n(n-1)\)\(f_{X(u)}\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{n-2}\)\(f_{X(v)}\)

    ③d2の導出(わかる範囲で)

    E[R]の立式

    辻褄合わせですが、範囲Rを
    R=\(x_{2}\)-\(x_{1}\) = (u-v)σ
    に変えて積分します。(ちょっと無理があるけど)

    期待値と分散の公式

    E[X]= \(\displaystyle \int R f(R) dR\)
    E[\(X^2\)]=\(\displaystyle \int R^2 f(R) dR\)
    V[X]= E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)
    でしたね。

    よって、Rの期待値E[R]は次の式となります。
    E[R]= \(\displaystyle \int R f(R) dR\)
    =\(\displaystyle \int R \)\(n(n-1)\)\(f_{X(u)}\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{n-2}\)\(f_{X(v)}dR\)
    =σ\(\displaystyle \int \int (u-v) n(n-1)\)\(f_{X(u)}\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{n-2}\)\(f_{X(v)}dudv\)

    ●次に順序統計量について関係式を使います。
    \(\displaystyle \frac{d F_{X(u)}}{dx}\)=\( f_{X(u)}\)
    \(\displaystyle d F_{X(u)}\)=\( f_{X(u)} dx\)
    と変形し、これを使います。

    Rの期待値E[R]は
    E[R]=σ\(n(n-1)\displaystyle \int d F_{X(u)} \int (u-v)\)\([F_{X(v)}-F_{X(u)}]^{n-2}\)\( d F_{X(u)}\)

    積分区間と、u⇒x1,v⇒x2と表記を変えます。
    E[R]=σ\(n(n-1)\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} d F_1 \int_{-\infty}^{x_1} (x_1-x_2)\)\([F_1-F_2]^{n-2} dF_2\)

    この式が、「新編統計数値表 河出書房 1952」P207と同じ式です。ここまでの導出は理解したのですが、ここからがまだわかっていません。

    E[R]の導出

    「新編統計数値表 河出書房 1952」P207によって、係数d2を導出します。

    E[R]=σ\(n(n-1)\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} d F_1 \int_{-\infty}^{x_1} (x_1-x_2)\)\([F_1-F_2]^{n-2} dF_2\)
    を\([F_1-F_2]^{n-2}\)を展開して、部分積分をしたうえで、まとめると次の式になるようです。

    E[R]=σ\(n! \sum_{r=0}^{n-2} \frac{(-1)^r}{(r+1)!(n-r-1)!}\)\( \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}(1-F_1^{n-r-1})F_1^{r+1} dx_1\)
    =σ\( \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}(1-F_1^n-(1-F_1)^n)dx_1\)
    =\(d_2\)σ

    とすると、係数\(d_2\)の式になるようです。実際\(F_1\)を正規分布の確率密度関数\(φ(x)\)に置き換えるとOKです。

    ●係数\(d_2\)は、
    \(d_2\)=\( \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}(1-φ(x)^n-(1-φ(x))^n)dx\)
    となります。

    ただし、完全に導出できたかは、今も研究中です。わかり次第、ブログを更新します。

    ④d3の導出(わかる範囲で)

    E[\(R^2\)]の立式

    期待値と分散の公式

    E[X]= \(\displaystyle \int R f(R) dR\)
    E[\(X^2\)]=\(\displaystyle \int R^2 f(R) dR\)
    V[X]= E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)
    でしたね。

    E[R]=σ\(n(n-1)\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} d F_1 \int_{-\infty}^{x_1} (x_1-x_2)\)\([F_1-F_2]^{n-2} dF_2\)
    でしたね。

    ●E[\(R^2\)]は
    E[\(R^2\)]=\(σ^2 n(n-1)\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} d F_1 \int_{-\infty}^{x_1} (x_1-x_2)^2\)\([F_1-F_2]^{n-2} dF_2\)
    となります。

    この式も、ここからの導出は研究中ですが、「新編統計数値表 河出書房 1952」P207によると、次の結果になるそうです。

    E[\(R^2\)]=\(σ^2\)2\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{x_1} (1-F_1^n-(1-F_2)^n-(F_1-F_2)^n) dx_1 dx_2\)
    Fをφに書き換えると
    E[\(R^2\)]=\(σ^2\)2\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{x_1} (1-φ(x_1)^n-(1-φ(x_2))^n-(φ(x_1)-φ(x_2))^n) dx_1 dx_2\)
    と置きますね。

    分散Vの立式

    分散Vは、
    V[R]= V[R]= E[\(R^2\)]-\(E[R]^2\)
    =\(d_3 σ^2\)

    平方根を取ると、
    ●D[R]=\(\sqrt{d_3}\)σ
    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    と書けます。

    ⑤係数\(d_2\),\(d_3\)の参考文献

    完全に導出できていませんので、参考文献を紹介します。
    係数係数\(d_2\),\(d_3\)が分かったら教えてください。

    引き続き研究して参ります。

    参考文献

    ●「新編統計数値表 河出書房 1952」P207
    最も詳細に書いていますが、計算の途中経過がいまいちよくわかりません。

    ●管理図法―品質管理教程 (1962年)
    1986年改訂版もありますが、数式や理論は1962年の初版の方が詳しく解説している印象があります。

    どちらも古書ですが、現在販売中の教科書には理論はまったく書いていません。
    管理図の使い方だけ学んでも、理論が分からないとプロとは言えませんよね。

    参考サイト

    いくつか紹介しますが、導出過程まで解説したものはありません。


    c4,d2,d3についての解説があるが、導出は無い。


    管理図の係数の式は紹介されているが、導出は無い。


    管理図の係数の式は紹介されているが、導出は無い。


    管理図の係数の式は紹介されているが、導出は無い。

    係数\(d_2\),\(d_3\)の導出を一番詳しく書いているのは、
    「新編統計数値表 河出書房 1952」P207ですが、
    導出の途中経過までは書いていないため、自分で調べる必要があるのが現状です。

    また、シューハートの論文などを読みましたが、計算過程が分からず…でした。

    わかった内容をすべてお伝えし、さらに導出過程の解明に努めていきます。

    まとめ

    R管理図の管理限界線の係数\(d_2\),\(d_3\)の導出を解説しました。

    • ①範囲Rの特性
    • ②順序統計量の同時分布を確率密度関数とする
    • ③d2の導出(わかる範囲で)
    • ④d3の導出(わかる範囲で)
    • ⑤係数\(d_2\),\(d_3\)の参考文献

  • 【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる

    「s管理図の変数c4の導出がわからない」、「χ2乗分布の確率密度関数が変形できない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【必読】s管理図の変数c4の導出がわかる
    • ①s管理図の変数c4について
    • ②不偏標準偏差vと母標準偏差σはχ2乗分布でつなぐ
    • ③s管理図の変数c4の導出(χ2乗分布に慣れよう!)
    • ④s管理図の管理限界の期待値E[v]と標準偏差D[v]がわかる

    本記事でわかること

    ●χ2乗分布の関数に慣れる!
    ●不偏標準偏差vと標準偏差sによって、s管理図の係数の式が若干変わること

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    困ったときは、最新のJIS規格を見ましょう。ちょっと高価ですが。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①s管理図の変数c4について

    関連記事のように、管理図の管理限界は、
    ●E(a)±kD(a)
    で表現され、aに変数、kに倍数を入れて管理します。

    s管理図の変数aは不変標準偏差vです。不偏標準偏差vの確率密度関数から、期待値E(v),標準偏差D(v)を導出します。

    その時に必要な変数が、c4です。

    s管理図の変数c4

    ●\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}}\frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\) (v:不偏標準偏差の場合)
    ●\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}}\frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\) (s:標準偏差の場合)

    訳が分からない式ですが、導出できます。

    ②不偏標準偏差vと母標準偏差σはχ2乗分布でつなぐ

    関連記事のように、s,vとσの関係はχ2乗分布でつなぎます。χ2乗分布に慣れていく重要な式です。

    \(χ^2\)=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)
    =\(\frac{v^2(不偏標準偏差)(n-1)}{σ^2}\)
    から、vとσがつながります。

    なお、標準偏差sの場合は、
    \(χ^2\)=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)
    =\(\frac{s^2(標準偏差)(n)}{σ^2}\)
    から、sとσがつながります。

    χ2乗分布の確率分布関数を出しましょう。これが複雑ですが、そういう式と思ってください。簡単に説明すると、正規分布(\(e^{-x^2}\))の2乗和した関数がχ2乗分布ですね。

    正規分布、χ2乗分布、t分布、F分布の関係も復習しましょう。関連記事で確認ください。

    【簡単】χ2乗分布とt分布とF分布がすぐわかる【初心者向け】
    「χ2乗分布とt分布とF分布がわからない」など、分布の特性を知らずに検定や推定、分散分析をしていませんか?本記事では、正規分布、χ2乗分布、t分布とF分布について、わかりやすく理解すべきポイントを解説します。χ2乗分布とt分布とF分布が理解したい方は必見です。

    χ2乗分布の確率分布関数

    χ2乗分布は2変数用意します。自由度nと変数xですね。

    ●\(χ^2(x)\)=\(\frac{1}{2^{n/2}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}}\)
    Γ(z)=\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} t^{z-1} e^{^t}dt\)

    そういう関数だという理解でOKですし、変数c4の導出には、χ2乗分布の確率分布関数の一部を使って式変形するだけなので、慌てずに読み進めてください。

    難しい式は、
    ①乗っかる
    ②自分で変形できるものをいくつか作る
    ③慣れてきたら、式の意味を考える
    ④自分のものにする

    本記事は、①の「乗っかる」だけで行けます!

    ③s管理図の変数c4の導出(χ2乗分布に慣れよう!)

    s管理図の管理限界の期待値E(s)は、
    E(s)=c4σ
    と書けます。このc4を導出してみましょう。

    導出のポイント

    1. 不偏標準偏差vとσをχ2乗分布でつなぐ

    x=\(\frac{S(平方和)}{σ^2}\)
    =\(\frac{v^2(不偏標準偏差)(n-1)}{σ^2}\)
    とすると、
    xは自由度(n-1)のχ2乗分布に従います。

    よって、
    v(不偏標準偏差)=\(\sqrt{\frac{x}{n-1}}σ\)
    と書けます。
    (ちなみに、s(標準偏差)= \(\sqrt{\frac{x}{n}}σ\)
    とも書けます。)

    また、準備として、自由度(n-1)のχ2乗分布の確率分布関数の式を用意します。
    \(χ_{n-1}^2(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}}\)

    期待値E[v]の立式

    期待値E[v]は定義では、
    ●E[v]= \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} vf(v) dv \)
    *f(v)にχ2乗分布を代入
    *積分区間:χ2乗分布は2乗だけに負はないため、[0,∞]で積分です。

    期待値と分散の公式

    E[X]= \(\displaystyle \int v f(v) dv\)
    E[\(X^2\)]=\(\displaystyle \int v^2 f(v) dv\)
    V[X]= E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)
    でしたね。

    よって、E[v]は
    ●E[v]= \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} vf(v) dv\)
    =E[\(\sqrt{\frac{x}{n-1}}σ\)]
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{\frac{x}{n-1}}σ \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\)

    ちなみに、標準偏差sについて立式すると n-1⇒nに代わります。

    ●E[s]= \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} sf(s) ds\)
    =E[\(\sqrt{\frac{x}{n}}σ\)]
    = \(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{\frac{x}{n}}σ \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\)
    標準偏差sと不偏標準偏差vで区別します。ややこしいですが。

    期待値E[v]の導出

    ●E[v] =\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{\frac{x}{n-1}}σ \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式1)
    の定数項を積分の外に出しましょう。

    (式1)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ\displaystyle \int_{0}^{\infty} \sqrt{x} \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n-1}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式2)

    次にxをまとめます。

    (式2)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式3)

    ここでよく積分の中を見ると、複雑な式ですが、元のχ2乗分布の式に似ていることがわかります。つまり、すべて計算せずに、χ2乗分布の関数をそのまま使えばよいのです。

    (式3)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ \frac{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式4)

    (式4)のように、分母分子に同じ \(2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})\)を入れます。
    分母にある、\(2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})\)と\(2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})\)を入れ替えます。

    (式4)= \(\sqrt{\frac{1}{n-1}}σ \frac{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}{2^{\frac{n-1}{2}}Γ(\frac{n-1}{2})}\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\) (式5)

    (式5)の
    ●\(\frac{2^{\frac{n}{2}}}{2^{\frac{n-1}{2}}}\)=\(\sqrt{2}\)
    ●\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} \frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}} dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{\infty} χ_n^2(x) dx\)
    =1
    となります。よって、

    (式5)= \(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ (式6)

    まとめると、

    E[v] =\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ
    E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    ちなみに、標準偏差sについて解くと、

    E[s] =\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ
    E[s]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    χ2乗分布の式が複雑ですが、ゆっくり導出を読めば、難しくないことがわかりますね。数式の見た目でビビらないことも重要です。

    ④s管理図の管理限界の期待値E[v]と標準偏差D[v]がわかる

    導出のポイント

    E[v] =\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)σ
    E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    より期待値E[v]がわかりました。D[v]も導出しましょう。

    期待値と分散の公式をもう一度確認しましょう。複雑な式でも公式通り代入しているだけです。

    期待値と分散の公式

    E[X]= \(\displaystyle \int v f(v) dv\)
    E[\(X^2\)]=\(\displaystyle \int s^2 f(s) ds\)
    V[X]= E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)
    でしたね。

    D[v]の式を作ります。

    期待値D[s]の導出

    D[v]は、
    D[s]= E[\(v^2\)]-\(E[v]^2\)
    です。

    期待値E[\(v^2\)]の導出

    さて、E[\(v^2\)]はどうしましょうか?

    vはそもそも不偏標準偏差の期待値は母分散σとみてよいでしょう。
    よって,
    E[\(v^2\)]=\(σ^2\)

    ちなみに、標準偏差sの場合のE[\(s^2\)]は、
    もともと
    \(χ^2\)=\(\frac{S(平方和}{σ^2}\)
    から
    \(χ^2\)=\(\frac{s(標準偏差)^2 n}{σ^2}\)=\(\frac{v(不偏標準偏差)^2 (n-1)}{σ^2}\)
    の関係が成り立つので、
    \(s^2\)=\(\frac{n-1}{n} v^2\)
    となります。

    なお、E[\(v^2\)]=\(σ^2\)より、
    E[\(s^2\)]=\(\frac{n-1}{n} \) E[\(v^2\)]=\(\frac{n-1}{n} σ^2\)
    となります。

    まとめると

    不偏標準偏差vの場合は、
    D[v]= E[\(v^2\)]-\(E[v]^2\)
    =\(σ^2-c_4^2 σ^2\)
    =\((1-c_4 ^2 )σ^2\)
    (\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\))

    標準偏差sの場合は、
    D[v]= E[\(v^2\)]-\(E[v]^2\)
    =\(\frac{n-1}{n}σ^2-c_4^2 σ^2\)
    =\((\frac{n-1}{n}-c_4 ^2 )σ^2\)
    (\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    c4,期待値E、標準偏差Dのまとめ

    s管理図における管理限界の導出を解説しました。

    標準偏差sと不偏標準偏差vによって、式が若干異なります。
    なお、JISZ9020では不偏標準偏差vの場合の値が管理限界の係数表に載っています。

    教科書やwebサイトによっては、標準偏差sと不偏標準偏差vの両方が書いていますので、両方解説しました。

    c4

    ●不偏標準偏差v:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    E

    ●不偏標準偏差v:E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:E[s]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    D

    ●不偏標準偏差v:D[v] =\((1-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:D[s] =\((\frac{n-1}{n}-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    まとめ

    s管理図の管理限界線の係数の導出を解説しました。

    • ①s管理図の変数c4について
    • ②不偏標準偏差vと母標準偏差σはχ2乗分布でつなぐ
    • ③s管理図の変数c4の導出(χ2乗分布に慣れよう!)
    • ④s管理図の管理限界の期待値E[v]と標準偏差D[v]がわかる
  • 【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる

    「シューハート管理図の係数表にあるA2,D3,d2など変数って何?」、「係数表の変数はどうやって求めるのかわからない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    • ①変数の基本は期待値と標準偏差から導出
    • ②\(\bar{X}\)管理図の場合
    • ③s管理図の場合
    • ④R管理図の場合

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    困ったときは、最新のJIS規格を見ましょう。ちょっと高価ですが。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご覧ください。

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    ①変数の基本は期待値と標準偏差から導出

    変数の一覧

    JISZ9020-2の表2「管理限界線を計算するための係数」から変数一覧を出します。







    \(\bar{X}\)


    A = \(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
    \(A_2\) = \(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
    \(A_3\) = \(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)
    s


    \(B_3\) = \(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_4\) = \(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    \(B_5\) = \(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_6\) = \(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)
    R


    \(D_1\) = \(max(0,d_2-kd_3)\)
    \(D_2\) = \(d_2+kd_3\)
    \(D_3\) = \(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
    \(D_4\) = \(1+\frac{kd_3}{d_2}\)





    s \(c_4\) = \(\frac{Γ(\frac{n}{2})\sqrt{\frac{2}{n-1}}}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    R \(d_2\) = \(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    \(d_3\) = \(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    変数Aは簡単に導出できそうですが、
    変数d2,d3は意味不明な式ですね。

    JIS規格になっても、
    式の意味や導出がわからないまま
    使わないことが大事!

    もし、式や値が間違っていたらどうしますか? JISに文句言っても、あなたの顧客は満足しませんよね。自分が使うものは、対象の良し悪しや意味を理解して使うべきです。

    変数基本形

    変数の種類が多いですが、すべて同じ形で導出します。

    変数=E(a)±kD(a)
    (平均±●σ の形です!)
    で表現できる。
    ●a:変数
    ●E(a):aの期待値(平均値)
    ●D(a):aの標準偏差
    ●k:パラメータ(3σならk=3)

    簡単な式ですね。それともう1つ。

    管理図の対象はX(変位),s(標準偏差),R(範囲)の3つ。
    それぞれの確率密度関数を定義して、期待値Eと標準偏差Dを計算する。
    ●X:正規分布
    ●s:χ2乗分布
    ●R:順序統計量の同時分布

    変位Xの確率密度関数は正規分布なので簡単ですが、
    標準偏差sと範囲Rについては別途関連記事で確率密度関数からの導出を解説します。

    では、個別に解説していきます。

    ②\(\bar{X}\)管理図の場合

    A,\(A_2\),\(A_3\)の3つについてです。







    \(\bar{X}\)


    A = \(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
    \(A_2\) = \(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
    \(A_3\) = \(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)

    変位Xは正規分布で考える

    正規分布を描きます。これから解説する、標準偏差s、範囲Rの確率密度関数と比較してください。

    正規分布

    正規分布における、期待値Eと標準偏差Dは、
    ●E(X)=\(\bar{X}\)
    ●D(X)=σ
    ですね。これは正規分布を勉強すればわかりますので導出は割愛します。

    変数A,\(A_2\),\(A_3\)の導出

    変数A の導出

    E(X)±kD(X)
    =\(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}σ\)
    = \(\bar{X}\)±Aσ

    ●A=\(\frac{k}{\sqrt{n}}\)

    変数,\(A_2\)の導出

    E(X)±kD(X)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}σ\)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}} \frac{R}{d_2} \)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}} R\)
    = \(\bar{X}\)±\(A_2\)σ

    ●\(A_2\)=\(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}} R\)

    変数,\(A_3\)の導出

    E(X)±kD(X)
    = \(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}σ\)
    =\(\bar{X}\)±\(\frac{k}{\sqrt{n}}\frac{s}{c_4}\)
    =\(\bar{X}\)±\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}s\)
    = \(\bar{X}\)±\(A_3 s\)

    ●\(A_3\)=\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}} \)

    ③s管理図の場合

    変数(B_3),(B_4),(B_5),(B_6)を導出します。







    s


    \(B_3\) = \(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_4\) = \(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    \(B_5\) = \(max(0,c_4-k\sqrt{1-c_4^2})\)
    \(B_6\) = \(c_4+k\sqrt{1-c_4^2}\)

    標準偏差sはχ2乗分布で考える

    χ2乗分布を描きます。これから解説する、標準偏差s、範囲Rの確率密度関数と比較してください。

    χ2乗分布

    χ2乗分布における、期待値Eと標準偏差Dの導出は関連記事で詳細に解説します。
    本記事は結果だけ使います。
    ●E(s)=\(c_4 σ\)
    ●D(s)=\(\sqrt{1-c_4^2}σ\)
    になります。

    関連記事にあるように、s管理図の管理限界を導出する際、標準偏差sと不偏標準偏差vを使った場合では若干式が異なります。本記事では、JISZ9020の管理限界係数表に準拠して、不偏標準偏差vを使った場合を解説します。

    具体的には、

    c4

    ●不偏標準偏差v:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:\(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    E

    ●不偏標準偏差v:E[v]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:E[s]=\(c_4\)σ
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    D

    ●不偏標準偏差v:D[v] =\((1-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n-1}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)
    ●標準偏差s:D[s] =\((\frac{n-1}{n}-c_4 ^2 )σ^2\)
    \(c_4\)=\(\sqrt{\frac{2}{n}} \frac{Γ(\frac{n}{2})}{Γ(\frac{n-1}{2})}\)

    あまり、この区別が教科書や他のwebサイトでは書いていないため、違いがわかるように解説します。

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる
    s管理図の管理限界を求めるc4と管理限界値の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、標準偏差の関係式を使って、意外と簡単に係数c4が導出できます。さらに、標準偏差と不偏標準偏差によって、若干式が異なる点も詳しく解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    変数\(B_3\),\(B_4\),\(B_5\),\(B_6\)の導出

    変数\(B_3\),\(B_4\)の導出

    σが既知の場合、変数\(B_3\),\(B_4\)を使います。

    E(s)±kD(s)
    =\(c_4 σ\)±k \(\sqrt{1-c_4^2}σ\)
    =(1±\(\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\))\(c_4\)σ
    (ここで、s=\(c_4\)σ)

    よって
    ●\(B_3\)=\(1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)
    ●\(B_4\)=\(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)

    なお、\(B_3\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(B_3\)=\(max(0,1-\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2})\)
    ●\(B_4\)=\(1+\frac{k}{c_4}\sqrt{1-c_4^2}\)

    変数\(B_5\),\(B_6\)の導出

    σが未知の場合、変数\(B_5\),\(B_6\)を使いますが、変数\(B_3\),\(B_4\)の導出方法から変わりません。

    E(s)±kD(s)
    =\(c_4 σ\)±k\(\sqrt{1-c_4^2}σ\)
    =\((c_4 \)±k\(\sqrt{1-c_4^2})σ\)
    (ここで、σは未知なので、sとσの関係式はありません。)

    よって
    ●\(B_5\)=\(c_4 \)-k\(\sqrt{1-c_4^2}\)
    ●\(B_6\)=\(c_4 \)+k\(\sqrt{1-c_4^2}\)

    なお、\(B_5\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(B_5\)=\(max(0, c_4 \)-k\(\sqrt{1-c_4^2})\)
    ●\(B_6\)=\(c_4 \)+k\(\sqrt{1-c_4^2}\)

    ④R管理図の場合

    変数\(D_1\),\(D_2\),\(D_3\),\(D_4\)を導出します。

    R


    \(D_1\) = \(max(0,d_2-kd_3)\)
    \(D_2\) = \(d_2+kd_3\)
    \(D_3\) = \(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
    \(D_4\) = \(1+\frac{kd_3}{d_2}\)

    範囲Rは順序統計量の同時分布で考える

    範囲Rは計算しやすいですが、確率密度関数の導出が劇難です。

    1. 範囲R は0以上であること
    2. 変数Xと同じ1次式(標準偏差sは2次式)

    上の2つを満たす確率密度関数の導出が難しくなります。詳細は関連記事をご覧ください。日本で、範囲Rの確率密度関数から\(d_2\),\(d_3\)を端折らず導出できる人はいないかもしれないくらいです。

    範囲Rの確率密度関数イメージを描きます。

    範囲R

    順序統計量の同時分布における、期待値Eと標準偏差Dは、
    ●E(R)=\(d_2\)σ
    ●D(R)=\(d_3\)σ
    とします。

    ただし、
    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)= \(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    ( \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\))
    と超複雑な式です。

    変数\(D_1\),\(D_2\)の導出

    変数\(D_1\),\(D_42\)の導出

    σが既知の場合、変数\(D_1\),\(D_2\)を使います。

    E(R)±kD(R)
    =\(d_2\)σ±k\(d_3\)σ

    よって
    ●\(D_1\)=\(d_2 σ\)-\(k d_3\)σ
    ●\(D_2\)=\(d_2 σ\)+\(k d_3\)σ

    なお、\(D_1\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(D_1\)=\(max(0,d_2-k d_3)\)
    ●\(D_2\)=\(d_2 σ\)+\(k d_3\)

    変数\(D_3\),\(D_4\)の導出

    σが未知の場合、変数\(D_3\),\(D_4\)を使いますが、変数\(D_1\),\(D_2\)の導出方法から変わりません。

    E(R)±kD(R)
    =\(d_2\)σ±k\(d_3\)σ
    =\(d_2\)\((1±\frac{k d_3}{d_2})\)σ

    よって
    ●\(D_3\)=\((1-\frac{k d_3}{d_2})\)
    ●\(D_4\)=\((1+\frac{k d_3}{d_2})\)

    なお、\(D_3\)は0以上としたいので、まとめます。
    ●\(D_3\)=\(max(0, 1-\frac{k d_3}{d_2})\)
    ●\(D_4\)=\((1+\frac{k d_3}{d_2})\)

    シューハートの管理図の管理限界線の係数の導出を解説しました。基本はE(a)±kD(a)ですべて導出できることがわかりました。

    まとめ

    シューハートの管理図の管理限界線の係数の導出を解説しました。

    • ①変数の基本は期待値と標準偏差から導出
    • ②\(\bar{X}\)管理図の場合
    • ③s管理図の場合
    • ④R管理図の場合

  • 【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する

    【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する

    「シューハート管理図の管理線公式をまとめた表が無い?」、「係数表をまとめた表がない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する
    • ①シューハート管理図の管理線公式
    • ②シューハート管理図の係数表

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    シューハートの管理図公式と係数表です。
    QC検定®や大学の試験に活用ください。
    全パターンを表にまとめました。

    困ったときは、最新のJIS規格を見ましょう。ちょっと高価ですが。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご覧ください。

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    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ①シューハート管理図の管理線公式

    管理図の種類、仮定する確率分布、中心、管理限界を一覧にまとめます。

    管理図 CL UCL/LCL





    X-Rs管理図 X:\(\bar{X}\)
    Rs:\(\bar{R}_s\)
    \(\bar{X}\)±2.659\(\bar{R}_s\)
    UCL=3.267\(\bar{R}_s\)
    LCL:×
    \(\bar{X}\)-R管理図 \(\bar{X}\):\(\bar{\bar{X}}\)
    R:\(\bar{R}\)
    \(\bar{\bar{X}}\)±\(A_2 \bar{R}\)
    UCL=\(D_4 \bar{R}\),
    LCL=\(D_3 \bar{R}\)
    Me-R管理図 Me:\(\bar{Me}\)
    R:\(\bar{R}\)
    \(\bar{Me}±A_4 \bar{R}\)
    UCL=\(D_4 \bar{R}\),
    LCL=\(D_3 \bar{R}\)
    \(\bar{X}\)-s管理図 \(\bar{X}\):\(\bar{\bar{X}}\)
    s:\(\bar{s}\)
    \(\bar{\bar{X}}\)±\(A_3 \bar{s}\)
    UCL=\(B_4 \bar{s}\),
    LCL=\(B_3 \bar{s}\)





    np管理図 n\(\bar{p}\)=\(\frac{\sum(np)_i}{k}\) n\(\bar{p}\)±3\(\sqrt{n\bar{p}(1-\bar{p}})\)
    p管理図 \(\bar{p}\)=\(\frac{\sum(np)_i}{\sum n_i}\) \(\bar{p}\)±3\(\sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n_i}}\)



    c管理図 \(\bar{c}\)=\(\frac{\sum c_i}{k}\) \(\bar{c}\)±3\(\sqrt{\bar{c}}\)
    u管理図 \(\bar{u}\)=\(\frac{\sum c_i}{\sum n_i}\) \(\bar{u}\)±3\(\sqrt{\frac{\bar{u}}{n_i}}\)

    苦手な管理図、見たことが無い管理図が無いように注意しましょう。

    ②シューハート管理図の係数表

    まずは、表から値を使いこなす練習をしましょう。
    慣れたら値の導出方法を調べたり、考えたりしてください。

    管理限界の係数 中心線の係数
    \(\bar{X}\)管理図 s管理図 R管理図 s R
    n A \(A_2\) \(A_3\) \(B_3\) \(B_4\) \(B_5\) \(B_6\) \(D_1\) \(D_2\) \(D_3\) \(D_4\) \(c_4\) \(d_2\)
    2 2.121 1.88 2.659 3.267 2.606 3.686 3.267 0.7979 1.128
    3 1.732 1.023 1.954 2.568 2.276 4.358 2.575 0.8862 1.693
    4 1.5 0.729 1.628 2.266 2.088 4.698 2.282 0.9213 2.059
    5 1.342 0.577 1.427 2.089 1.964 4.918 2.114 0.94 2.326
    6 1.225 0.483 1.287 0.03 1.97 0.029 1.874 5.079 2.004 0.9515 2.534
    7 1.134 0.419 1.182 0.118 1.882 0.113 1.806 0.205 5.204 0.076 1.924 0.9594 2.704
    8 1.061 0.373 1.099 0.185 1.815 0.179 1.751 0.388 5.307 0.136 1.864 0.965 2.847

    JISZ9020-2(2016)から抜粋

    管理図を使った解き方は教科書や他のブログ、webサイトに解説があるので、割愛します。

    本記事では、試験前に1枚で全部わかる一覧表を解説しました。

    まとめ

    シューハートの管理図の公式、係数をまとめた表を解説しました。

    • ①シューハート管理図の管理線公式
    • ②シューハート管理図の係数表

  • 【注意】管理図はシューハートの管理図だけではない

    【注意】管理図はシューハートの管理図だけではない

    「管理図はシューハート管理図だけやればいいのか?」、「解き方はわかるが、理論がいまいちピンとこない」など困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【注意】「管理図=シューハートの管理図」という認識が強すぎる
    • ①管理図を勉強した人のありがちな考え方
    • ②管理図の最新JIS規格は3部しかない
    • ③一般指針とシューハートの管理図の違い
    • ④管理図は自分で考えて設計すべき

    記事の信頼性

    記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

    シューハートの管理図は教科書や試験に出しやすいからみんな解ける。
    でも、その理論を説明できる人はほぼいない。
    理論をわからずに機械的に工程管理するのは良くありません。

    困ったときは、最新のJIS規格を見ましょう。ちょっと高価ですが。

    ●Youtube動画でも解説しています。

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    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ①管理図を勉強した人のありがちな考え方

    ”シューハート管理図”脳を一旦リセットすべきです。

    管理図でよく勉強する内容(試験で頻出)は、
    (i) シューハートの管理図の種類を覚え、LCL,UCLの導出式を暗記
    (ii) 計数値管理図の管理限界は、管理図係数表から導出
    (iii) 郡内変動、群間変動の分散の式を暗記し、σの推定値をR/d2で導出

    この3つがあれば、QC検定®は全級合格できます。

    しかし、次の4つの疑問が残りました。

    1. データの特性によらず、管理図係数表の値で管理限界が決まるのは正しいの?
    2. 管理図係数表の値はだれがどうやって数学的に正しく導出したのか?
    3. 全データを管理しているはずなのに、σの推定値を導出する意味はあるのか?
    4. 郡内変動、群間変動の分散の式は正しいのか?

    QC検定®1級は一発合格しましたが、管理図の問題は壊滅状態でしたし、今も理解できない解法があります。

    ”シューハート管理図”脳を一旦リセットすべきです。

    QC検定®のための管理図ではなく、自分で考えて工程管理できる管理図を設計してほしいです。

    ②管理図の最新JIS規格は3部しかない

    最新のJIS規格(JISZ9020 (2016))では、
    「シューハートの管理図」色が濃かった過去の規格と比べて、
    薄くなりました。
    QC検定®の出題は、「古いJIS規格」色のままな気がする。
    でも、そうしないと作問できないから?

    管理図の最新JIS規格

    1. 管理図-一般指針 JISZ9020-1(2016)
    2. 管理図-シューハート管理図 JISZ9020-2(2016)
    3. 管理図-累積和管理図 JISZ9020-48(2018)

    ここで、「累積和管理図 JISZ9020-48(2018)」は使う場面がほぼないので割愛します。

    最新のJISでは
    ①一般指針
    ②シューハートの管理図
    の2つだけ。

    過去には、シューハート管理図 JIS9021 1998がありましたが、廃止され、シューハート管理図 JISZ9020-2(2016)に統合されました。最新版をみると、過去の規格よりシューハート管理図の内容が薄まったように感じます。

    それでも、「シューハートの管理図」の存在感は強いです。しかし、
    その前に「一般指針」を理解し、
    「シューハートの管理図」は「一般指針」の一部でしかない

    と理解しましょう。

    最新のJISでは
    ①管理図は自分でまず考えて設計すべき(一般指針)
    ②管理図の1例にシューハートの管理図がある
    と意識しましょう。

    ③一般指針とシューハートの管理図の違い

    自分で管理図を考えた場合と、シューハートの管理図を適用した場合では、同じ考え方になるところと、考えが異なるところがあります。

    シューハートの管理図で「?」な部分は、自分で理論を作って、対象となる工程管理の妥当性を担保してほしいからです。

    シューハート管理図の疑問点

    1. データの特性によらず、管理図係数表の値で管理限界が決まるのは正しいの?
    2. 管理図係数表の値はだれがどうやって数学的に正しく導出したのか?
    3. 全データを管理しているはずなのに、σの推定値を導出する意味はあるのか?
    4. 郡内変動、群間変動の分散の式は正しいのか?

    一般指針とシューハートの管理図が同じである場合

    <項目> <内容>
    管理図の目的 中心線と管理限界線2本を作って、
    工程の合否を判定
    異常判定誤りリスク 第1種の誤り、第2種の誤り
    検査対象の変数 計量値(正規分布)、
    計数値(二項分布、ポアソン分布)

    管理図で調べたいこと、工程の合否など基本的な考え方は同じです。
    だから、最初からシューハート管理図に入る傾向が強いと考えます。

    一般指針とシューハートの管理図が異なる場合

    <項目> <一般的な管理図> <シューハート管理図>
    管理限界線
    の位置
    検査対象ごとに異なる 中心線から両側に3σ
    計量値:平均±kσ、
    計数値:平均±kσ
    計量値:平均±管理図係数×R(or s)、
    計数値:平均±kσ
    管理図係数表を使って
    管理限界線を求める
    管理図の種類 検査対象の変数に
    合わせて自分で決める
    計量値(Xbar-R)、
    計数値(pn,p)など
    種類が決まっている。
    異常判定ルール 製品・サービスの
    要求事項を満たすか否か
    異常判定ルールが
    決まっている
    特徴 検査対象に合わせて
    工程合否基準を設計する
    検査対象に関係なく
    同一のルールで合否基準
    が決まっている
    メリット 理論を詰めて管理できる 機械的に処理できる
    デメリット 設計が面倒 与えられた式、係数値の
    導出過程が難解すぎる。
    QC検定® 出題されない 出題範囲
    実務 説明責任が果たせる管理図を使うべき そのまま使ってよいかは
    関係者と協議が必要

    管理図を自分で考えて作ると、シューハート管理図との違いがはっきりわかるようになります。

    ”シューハート管理図”脳を一旦リセットすべきです。

    ④管理図は自分で考えて設計すべき

    管理図は手段です。調べたい目的は工程管理の異常を調べることですね。

    管理図を使うときに考えること

    対象となる工程管理の合否を調べるために必要な事項を挙げます。

    • ①検査対象
    • ②サンプル数の規模
    • ③調べたい特性の値(計数値、計量値)
    • ④工程の合否判定基準(何σなのか?)
    • ⑤工程が異常だったら何をすべきか?

    以上の項目をまず考えるはずです。
    シューハートの管理図はまだ、出てきませんね。

    シューハートの管理図は、見せ方の1つの手段として活用するべきです。

    最初から、「pn管理図使おう」などしないことです。

    管理図は手段。
    目的は工程管理の評価と
    異常対策です。

    異常時の対策と改善が実務では最も重要になります。改善提案を考えるときは、自分で考えて作った管理図の方が考えやすいし、協議しやすいはずです。

    昔はPCが無かったから
    データを取るのも大変だったから
    速く結果が出るシューハート管理図は必須でした。

    でも、今はExcelあれば十分ですね。
    むしろ、理論や理由、工程異常のリスクと改善化が重要ではないでしょうか?

    計算する手法より、頭で考えることがQCでは求められます。

    まとめ

    以上、管理図の作る際に、自分で考えて管理図を作ることの重要性を解説しました。

    • ①管理図を勉強した人のありがちな考え方
    • ②管理図の最新JIS規格は3部しかない
    • ③一般指針とシューハートの管理図の違い
    • ④管理図は自分で考えて設計すべき

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