日産自動車の品質不正を学ぶ
「日産自動車からなぜ、品質不正で学ぶケースなのか?」と疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
どの企業でも起こり得る!
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
経営課題として全社的な問題です。
経営×品質の応用問題です。
品質不正をした相手への批判ではなく、表に出ない真因を考え抜く力を身に着けるためにブログ記事として解説していきます。
①品質マインド
●関連記事で解説しています。まず、こちらを読んでください。
【必読】品質不正を考える正しいマインドがわかる【褒めて応援すべし!】 品質不正の報道が出たら、その相手を叩こうとしていませんか?本記事では品質不正に対する正しいマインドを解説します。厳しい競争にさらされつつ、挑戦する社会では、失敗もつきものですよ。失敗をある程度許容して、反省して成功につなげやすいマインドが 必須です。 |
●大事な3つのマインドを再掲します。
- 品質不正を打ち明けた企業・組織を褒めよう!
- 対岸の火事ではない!
- 「失敗は成功のもと」につなげよう!
●悪い膿を出して、再生・復活する企業・組織を応援しましょう。もちろん、不正した相手の誠意が前提です。
➁品質不正の内容・被害
情報元
報告書もきちっと残っています。日産自動車は素晴らしい企業です!
●日本国内車両製造工場での完成検査工程における不適切な取り扱いについて
●車両製造工場における不適切な完成検査の実施について(2017/11/17)
●本もあります。
品質不正の内容
●簡潔にまとめます。
② 完成検査員が、補助検査員に対し、完成検査員名義の印鑑を貸与し、貸与を受けた補助検査員が、同印鑑を用いて完成検査票に押印した。
つまり、法令では完成検査員しか検査してはいけないが、その資格を持たない者が検査して出荷した点が不正につながるという問題でした。
被害状況
大きな被害はありません。
➂発覚した経緯
国交省の抜き打ち検査で発覚。
➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
企業の内外分析から、不正に入る真因を紐解いていきます。
そのために、次の3つの観点で分析しましょう。ここは経営分析、MBAの領域です。品質不正でも活用します!
- 外部環境の観点
- 組織の状況
- 担当レベルの動き
もう一度、不正の真因内容をみましょう。適宜ツッコみをいれます。
② 完成検査員が、補助検査員に対し、完成検査員名義の印鑑を貸与し、貸与を受けた補助検査員が、同印鑑を用いて完成検査票に押印した。
⇒なぜ検査員が十分いないのか?間に合っていないのか?
フレームワーク「QCD」のQ,C,Dの観点から想像すると、
と、ピンと来ましたか? おそらく来ないので、解説します!
外部環境の観点
報告書にも書いていましたが、ゴーン氏が来る前の業績不振から話をスタートさせます。
自社の経営問題ではありますが、外資と資本提携と、トップが国外から来るのは当時としては異例なことでした。そのため、大きく外部環境が変化したと言えます。
組織の状況
トップに就任したゴーン氏の改革「リバイバルプラン」を実施し、痛みの大きな改革でしたが、黒字化成功になりました。
・2.1万人削減
・工場5か所閉鎖
・調達先50%削減
・有利子負債1.4兆円⇒0.7兆円に削減
—
●新商品の開発と販売
グローバルでの販売台数を百万台まで増やす
—
明確な数値目標を掲げ、それを短期に達成し続けることで、同社を復活
第3者目線で見ると、「敏腕な経営者のおかげで日産が復活した!すごい!」となりますが、組織の中はどうなったのか?を考えてみましょう。
- 「再建にタブーはない」、「コミットメント」(必達目標)のキツイ圧力
- 敏腕な経営者に反論できない空気・風土
- 容赦ないリストラ、技術者の退職、不十分な技術継承
- 短納期必達な新商品開発・製造
- 徹底的なコストカット
- できなかったら、本当にクビ
どうですか? 「QCDバランスの」、C(コスト)とD(納期)に無茶な圧力をかけて経営再建していく様子が見えます。そういう場合は、品質・安全・環境・法令遵守は手薄になりがちです。
QCDバランスをみれば、「日産自動車も品質不正につながるよね」というのが分かる気がします。
担当レベルの動き
情報をもう少し加えます。
●老朽化した設備を更新せずに国内外の工場同士が生産効率を高める競争をさせられ、現場には重い負担がかかっていました。「優先すべきコンプライアンス(法令順守)をコストと同じレベルでみる傾向があった」と
●低操業の工場では、閉鎖される恐れがあるため、何としても生産にこぎつけようとします。しかし、人材が失われている状況の中で増産するため、担当者の重い負担がかかるようになっていました。
●増産すると当然人材が必要で、特に完成検査員と法令で定められた検査員増加が必要になります。
●しかし、資格を持った完成検査員の育成は2年弱かかり、到底間に合いません。実際、成検査員の資格を取得していなくても、習熟さえしていれば、完成検査に従事させても問題ないという意識が浸透しており、「資格が無くても、実力があるから大丈夫じゃないか?」という意識が浸透したかもしれません。
●だって、
「完成検査員になるのは2年後」
「商品出荷は半年後」
だったらスケジュールがそもそも破綻しています。
●2年も待っていたら、そこの工場は閉鎖される恐怖があるわけです。この状況ならどうしますか?
●上に報告しても、経営再建が必達!と言われるだけ。。。 困った。。。 となりませんか?
➄品質不正に至った真因
QCDバランスはどう崩れたか?
不正が起きた原因は分析できました。QCプラネッツでは、分析結果をさらに、「QCD」を使って整理します。
無理な納期・過大な業務量(D)
が検査部門にかかってしまったため、品質不正(Q)に走らざるを得ない状況になった
日産自動車のケースでも「QCDバランスの崩れ」が品質不正の真因であるとシンプルかつ明快にわかりましたね。
スバルの品質不正の原因と全く同じです。
単なる、悪意の持った検査部門担当が悪いのではなく、厳しい経営の中、何とかやりくいしていたのが無理がたたってきたというのが真因です。
経営戦略を見直さなければ、品質不正は再発する恐れがあります。ここが、「品質不正は経営を考えろ!」という意味です。
⑥その後の結末
一時的に工場の生産・出荷停止処分を受けました。
⑦とるべき対応策
●何社も品質不正の分析をすると、取るべき対策は1つに抽象化できます。
組織の経営そのものを是正・修正しないと再発する。
●対応策については、関連記事で詳しく解説しました。批判で終わらず、建設的な改善提案と成功へつなげましょう!
【必読】品質不正からの名誉挽回方法がわかる 品質不正に陥った組織をどうやって立て直すかわかりますか?本記事では、批判で終わる品質不正の記事とは違って、信頼回復・改革に何が組織には必要なのかをわかりやすく解説します。誰かに任せるのではなく、自分事として自らリーダーシップをとって良い組織に生き返らせましょう!社会は温かく見守るべきです。 |
がんばりましょう!
まとめ
「日産自動車の品質不正を学ぶ」を解説しました。
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
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