02-11 不等式の証明・相加相乗平均がわかる
「不等式の証明・相加相乗平均がよくわからない」、などと困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①おさえるべき重要問題
- ➁解法
- ➂全問題の解説は問題集にあります
数と式は、基礎は簡単
でも、発展は最難な領域
「数Ⅲの微積」という人は単に力がないだけ
数学ができる人は、「数Aの数と式」と答える
逆に「数Aの数と式」は基礎は簡単な分、いくらでも難しくできる!難関大学の論証問題はすべて「数Aの数と式」!
基礎をしっかりおさえつつ
難関問題の入り口まで解説します。
①おさえるべき重要問題
問1
\(a,b,c\)を実数とするとき、次の不等式の成立を示し、等号成立条件を付記せよ。
(1) \(a^2+b^2\) ≥ \(ab\)
(2) \(a^2+b^2+(1-a-b)^2\) ≥ \(\frac{1}{3}\)
(3) \(a^2+b^2+c^2\) ≥ \(bc+ca+ab\)
問2
\(a,b,c\)を正の数とするとき、次の不等式が成立することを証明し、等号が成立する条件を求めよ。
(1) \(a+b+c+\frac{1}{a}+\frac{4}{b}+\frac{9}{c}\) ≥ 12
(2) \((a+b+c)(\frac{1}{a}+\frac{4}{b}+\frac{9}{c})\) ≥ 36
問3
\(a,b\)を正の数とするとき、次の式を相加相乗平均から最小値を8としたが、これは正しいか?
\((2a+b)(\frac{2}{a}+\frac{1}{b})\) ≥ 2\(\sqrt{2ab}\)×2\(\sqrt{\frac{2}{ab}}\)
=2×2×2=8
より、最小値は8である。
➂解法
問1の解法
【重要】証明方法
不等式の証明の基本は、
と 2乗を作ること!
2乗を作って不等式を証明していきます。
(1)の解法
(左辺)-(右辺)= \(a^2+b^2\) – \(ab\)
=\(a^2-ab+b^2\)
=\(\frac{1}{2}(a-b)^2\)+\(\frac{1}{2}a^2\)+\(\frac{1}{2}b^2\)
≥0
より不等式が成立。
等号成立条件は、
\(a=b,a=0,b=0\)つまり、
\(a=b=0\)のとき
(2)の解法
(左辺)-(右辺)= \(a^2+b^2+(1-a-b)^2\) – \(\frac{1}{3}\)
=\(2a^2+2b^2-2a-2b+2ab+\frac{2}{3}\)
ここから2乗を作っていきます。
(左辺)-(右辺)
=\(2(a^2+a(b-1)+\frac{1}{4}(b-1)^2)\)-\(\frac{1}{2}(b-1)^2\)
+\(2b^2-2b+\frac{2}{3}\)
=2\((a+\frac{1}{2}(b-1))^2\)+\(\frac{3}{2}b^2-b+\frac{1}{6}\)
=2\((a+\frac{1}{2}(b-1))^2\)+\(\frac{3}{2}(b-\frac{1}{3})^2\)
≥0
より不等式が成立。
等号成立条件は、
\( a+\frac{1}{2}(b-1)=0, b-\frac{1}{3}=0 \)つまり、
\(a=\frac{1}{3},b=\frac{1}{3}\)のとき
(3)の解法
(左辺)-(右辺)= \(a^2+b^2+c^2\) –(\(bc+ca+ab\))
=\(\frac{1}{2}\)(\(2a^2+2b^2+2c^2\)-(\(2bc+2ca+2ab\)))
=\(\frac{1}{2}\)(\((a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2)\)
≥0
より不等式が成立。
等号成立条件は、
\( a-b=0,b-c=0,c-a=0 \)つまり、
\(a=b=c\)のとき
問2の解法
【重要】証明方法
相加相乗平均を使った証明で一番大事なのは、
オールマイティに何でも使える便利なツールと思うと
痛い目に合う!
この意味は【3】で確認しましょう。
(1)の解法
(左辺)= \(a+b+c+\frac{1}{a}+\frac{4}{b}+\frac{9}{c}\)
=(\(a+\frac{1}{a}\))+(\(b+\frac{4}{b}\))+(\(c+\frac{9}{c}\))
≥ 2\(\sqrt{a \frac{1}{a}}\)+ 2\(\sqrt{b \frac{4}{b}}\)+ 2\(\sqrt{c \frac{9}{c}}\)
=2+2×2+2×3
=12
より不等式が成立。
等号成立は
\(a=\frac{1}{a}\)かつ\(b=\frac{4}{b}\)かつ\(c=\frac{9}{c}\)のとき、
つまり、
\(a=1,b=2,c=3\)のとき。
(2)の解法
(左辺)= \((a+b+c)(\frac{1}{a}+\frac{4}{b}+\frac{9}{c})\)
=1+\(\frac{4a}{b}\)+\(\frac{9a}{c}\)+\(\frac{b}{a}\)+4+\(\frac{9b}{c}\)+\(\frac{c}{a}\)+\(\frac{4c}{b}\)+9
=14+(\(\frac{4a}{b}\)+\(\frac{b}{a}\))+(\(\frac{9a}{c}\)+\(\frac{c}{a}\))+(\(\frac{9b}{c}\)+\(\frac{4c}{b}\))
≥14+2\(\sqrt{\frac{4a}{b} \frac{b}{a}}\)+2\(\sqrt{\frac{9a}{c} \frac{c}{a}}\)+2\(\sqrt{\frac{9b}{c} \frac{4c}{b}}\)
=14+2×2+2×3+2×6
=36
より不等式が成立。
等号成立は
\(\frac{4a}{b}=\frac{b}{a}\)かつ\(\frac{9a}{c}=\frac{c}{a}\)かつ\(\frac{9b}{c}=\frac{4c}{b}\)のとき、
つまり、
4\(a^2\)=\(b^2\)かつ、9\(a^2\)=\(c^2\)かつ、9\(b^2\)=4\(c^2\)かつ、
つまり
\(a=1,b=2,c=3\)のとき。
問3の解法
相加相乗平均で大事なこと
オールマイティに何でも使える便利なツールと思うと
痛い目に合う!
注意点
ちなみに、問で最小が8になる等号成立条件を調べましょう。ヤバいことが分かります。
相加相乗平均を使った組み合わせは、
●\(2a\)と\(b\)
●\(\frac{2}{a}\)と\(\frac{1}{b}\)
ですから、等号成立条件は、
\(2a\)=\(b\)かつ、\(\frac{2}{a}\)=\(\frac{1}{b}\)ですね。
計算すると、
\(2a\)=\(b\)=\(\frac{1}{2}a\)で
\(2a\)=\(\frac{1}{2}a\)となる\(a\)は0しかありません。
つまり、
おかしな最小値が出ます。
等号成立条件に注意する!
等号成立条件を確認する良い方法は、
式をすべて展開してから
相加相乗の組み合わせを作る!
解法
どんな式でも面倒がらず一旦式を展開します。
\((2a+b)(\frac{2}{a}+\frac{1}{b})\)
=4+\(\frac{2a}{b}\)+\(\frac{2b}{a}\)+1
≥ 5+2×\(\sqrt{\frac{2a}{b} \frac{2b}{a}}\)
=5+2×2=9
最小値は8でなく9ですね。等号成立条件をチェックしましょう。
等号成立は
\(\frac{2a}{b}\)=\(\frac{2b}{a}\)かつ\(a^2=b^2\)のとき、
つまり、
\(a=1,b=1\)のとき。
ちゃんと最小値を満たす\(a,b\)もありますね。
相加相乗平均はよく注意して使いましょう。
③全問題の解説は問題集にあります
「第2章 数と式」で、大学受験も大学以降でも習得すべき、
数と式の重要問題を解説しています。
目次を紹介します。
第2章 数と式
02-01 恒等式
02-02 因数分解
02-03 整式の剰余
02-04 整数の性質
02-05 方程式の整数解
02-06 背理法
02-07 根号を含む計算
02-08 指数と対数
02-09 常用対数
02-10 式の値
02-11 不等式の証明・相加相乗平均
問題集はメルカリでご購入いただけます。
(現在問題集作成中。)
問題集イメージ図(予定)
是非、ブログを参考にいただき、ご購入よろしくお願いいたします。
まとめ
「02-06_背理法がわかる」を解説しました。
- ①背理法は高校数学で最高級の証明方法
- ➁おさえるべき重要問題
- ➂解法
- ➃全問題の解説は問題集にあります
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119