カテゴリー:

  • ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる

    「ISO9001 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定って何?」、「何をやればいいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用
    • ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。 この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 4.1に規定する外部及び内部の課題
    b) 4.2に規定する,密接に関連する利害関係者の要求事項
    c) 組織の製品及びサービス 決定した品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用可能ならば,組織は,これらを全て適用しなければならない。
    組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にし,維持しなければならない。適用範囲では,対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し,組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事項全てについて,その正当性を示さなければならない。 適用不可能なことを決定した要求事項が,組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限り,この規格への適合を表明してよい。
    4 組織の状況
    4.1 組織及びその状況の理解
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    の4つの中で最も、4.3が分かりにくい

    4.3は4 組織の状況のまとめとして理解した方がよいです。

    ●4.1 組織及びその状況の理解
    ⇒外部の課題、内部の課題
    ●4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    ⇒利害関係者、ニーズと期待
    ●4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    ⇒4 組織の状況の章まとめ
    ●4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    ⇒品質マネジメントシステム(QMS)
    (4.1,4.2,4.4は個々で理解しやすいテーマ)

    なので、
    ●4.1 組織及びその状況の理解
    ⇒●4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    ⇒●4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    ⇒●4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    の順番で理解したらよいでしょう。

    4 組織の状況は

    4.1で外部の課題と内部の課題を抽出し
    4.2で利害関係者との関係を確認し、
    4.4で自社の品質マネジメントシステム(QMS)を構築して
    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ
    という流れで読むと理解が進みます。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 ISO9001 2015 4.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 JIS Q9001 4.3の補足
    よくわからない

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用

    「4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」 のポイントは、

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるとき、
    a) 外部及び内部の課題
    b) 利害関係者の要求事項(相手)
    c) 組織の製品及びサービス(自分)
    について、品質マネジメントシステムを適用しなければならない

    と簡略すれば、こう読めます。相手と自分について品質マネジメントシステムを適用なので、結局

    ●業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用せよ!
    ●適用できない場合はちゃんと説明してね!

    となります。適用できない場合はあまりないとすると、全範囲に品質マネジメントシステムを適用しないといけません。逃げられません!

    ●業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用して、どこかで手抜きしちゃだめよ!と言う意味ですね。

    では、4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定した後、どのように業務を進めていけばよいか?普段何に意識すればよいか?を解説します。

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるとき、
    a) 外部及び内部の課題
    b) 利害関係者の要求事項(相手)
    c) 組織の製品及びサービス(自分)
    について、全領域に品質マネジメントシステムを適用しなければならない
    ⇒何をすればいいの?どうやって理解したらいいの? を解説します。

    ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する

    ISO9001 2015の理解を助けてくれるのは、意外にも対応したくない監査質疑です。2時間くらいねちねち監査員が、チェックする監査ですから、嫌ですよね。しかも、監査を受けるのは、対象部門の部課長とそれと同等のクラスの管理職が多いでしょう。そうなると、ほとんどの一般職の人は、理解できないとなります。

    品質監査の流れを知ると、4組織の状況が理解でき、何を普段から行動や心がけをすればよいかが理解できます。

    品質監査の流れ

    品質監査の目的

    監査の目的は、単に部門の荒さがしをするのではなく、良い仕事、良い結果につながるには、何を改善したらよいかを見つけるためです。 良い仕事をしてもらい、良い結果・収益につながり、皆が喜んでもらうために監査します。

    監査の目的は次の3つです。

    1. 経営・品質課題を抽出し、抽出した各課題を深堀して質疑する。
    2. 掘り下げた質疑と経営・品質課題とのつながりを大事にする
    3. 品質マネジメントシステムのどこをどう改善すれば、品質・経営が良くなるか

    品質監査の流れ

    最初の、
    「経営・品質課題を抽出し、抽出した各課題を深堀」
    をするために、4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」を監査の最初に確認していきます。

    監査の質疑の流れを見ると、4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」が分かりやすく理解できます。

    1. 経営・品質課題を見るために、自社を取り巻く環境を確認したい
    2. 自社を取り巻く環境(外部・内部環境)から影響を受けた課題を見つけたい
    3. 外部・内部環境を明確にするために、自社と関わる相手(利害関係者)を知りたい
    4. 自社の品質・経営状況を見たいため、自社の品質を作りこむ仕組みを確認したい
    5. 品質マネジメントシステムの中の個々を調べて、品質・経営に影響を与える要因を見つけたい

    この流れで監査していきます。監査の最初の流れを見ると

    4 組織の状況は
    4.1で外部の課題と内部の課題を抽出し
    4.2で利害関係者との関係を確認し、
    4.4で自社の品質マネジメントシステム(QMS)を構築して
    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ

    と同じ流れですね。

    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ
    を単独で読んでも理解しにくいため、
    4 組織の状況
    と監査の流れをつけて、まとめて理解するとよいですね。

    ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」で何をすればよいか?

    特別することはありませんが、「4 組織の状況」全体と合わせて
    自分の環境における課題が何かを説明できるように普段から考えておいてください。

    品質マネジメントシステムの適用範囲の決定について十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用
    • ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する

  • ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる

    ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる

    「ISO9001 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスって何?」、「品質マネジメントシステムって何?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる
    • ③プロセスのあるべき姿
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

    4.4.1 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。 組織は,品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また,次の事項を実施しなければならない。
    a) これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
    b) これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。
    c) これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し,適用する。
    d) これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確実にする。
    e) これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    f) 6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
    g) これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。
    h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。
    4.4.2 組織は,必要な程度まで,次の事項を行わなければならない。
    a) プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。
    b) プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスで、まずおさえてほしい2点があります。

    ●組織は,品質マネジメントシステムを組織全体に適用する。
    ●プロセスに必要なインプットとアウトプットを明確にする。

    品質マネジメントシステム(QMSと略しますが)は、会社・組織全体を覆います。一部の部署、チームだけではありません。子供の「バリア!、うちの職場だけQMSはしない!」とかはダメです。残念ですけど。

    そして、プロセスという概念が、ISO9001では理解しにくいです。
    プロセスアプローチとか言ったりします。プロセスはいろいろな活動を称したものです。
    営業、技術、設計、サービス、製造、検査、工事、会議、資料作成、相談などのすべての活動をまとめてプロセスと呼んでいます。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス ISO9001 2015 4.4
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス JIS Q9001 4.4の補足
    QMSの全体像がイメージできてから
    個々の要求事項を
    埋めていくと理解が深まる。

    ●品質マネジメントシステムはまず、全体像を自分で説明できることが重要です。
    ●品質マネジメントシステム全体像は、他人のものでなくてもいいし、常に最新の考えに更新してもOKです。
    ●常にあるべき姿を考えることが重要です。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる

    「品質マネジメントシステム(QMS)って何ですか?わかりやすく教えてください」と質問されても簡単に説明できますか?

    普通は困るでしょう。自分なりの説明でOKですよ。1つ説明例を紹介します。

    品質マネジメントシステム(QMS)の考え方

    1. 社内に全く無い状態を想像
    2. 社内にある場合を想像
    3. 社内にある場合と無い場合を比較
    4. 品質マネジメントシステム(QMS)が機能するための必要条件を抽出

    この流れで解説します。

    考えるために1つ設定しておきます。

    ●設定条件
    ◎あなたは、あるメーカに所属しています。
    ◎あなたが所属するメーカは営業、設計、製造の3つの部門があります。

    チェック項目を列挙します。

    1. 目標があるか?
    2. 業務のやり方は決まっているか?
    3. 責任と権限は決めているか?
    4. コミュニケーションが社内にあるか?
    5. 担当者のスキル(力量)は管理しているか?
    6. 内省(振り返り)する機会はあるか?
    7. その他

    品質を作りこむために必要なチェック項目を7つ挙げました。別にこれ以外でもOKです。

    品質マネジメントシステム(QMS)が社内に全く無い状態

    品質を意識しない会社・組織とはどんなものかを下図に挙げます。

    品質マネジメントシステム

    図からわかることまとめると、

    ●日々何となく仕事している
    ●やり方がばらばらで無責任
    ●基本、他責

    こんなんで、良い製品やシステムが顧客に提供できるとは思えないですね。うまく行きそうな感じがしませんからね。

    でも多くの会社・組織、とりわけ、できたばかりの職場なら、こういう感じになっている場合がほとんどです。
    ビジネスがうまくいかない。顧客に多大な迷惑をかけて反省しないとヤバい!と思って初めて、品質を大切して、職場に機能させないとダメだとみんな気づき始めるのです。

    最初から、手間やコストをかけて品質マネジメントシステム(QMS)をやる所はありません。最初はみんな我流で仕事するものです。

    品質マネジメントシステム(QMS)が社内にある場合

    品質を意識した会社・組織とはどんなものかを下図に挙げます。

    品質マネジメントシステム

    図からわかることまとめると、

    ●目標をもって、業務できている
    ●やり方はルールで決まっており、責任・権限が明確
    ●内省(PDCA)から自責で仕事できている

    どうでしょう。うまく、良い製品やシステムが顧客に提供できる会社になりそうですよね。

    目標、ルール、責任、力量、コミュニケーション、内省(PDCA)が機能すると、リスクや改善点が常にクリアーされ、良い仕事が良い結果につながりますね!

    では、何をどううまくすれば、組織の品質マネジメントシステム(QMS)が機能するかを解説します。

    品質マネジメントシステム(QMS)が機能するための必要条件

    品質マネジメントシステム(QMS)を機能させるのは、手間であり、面倒ですが、組織に大きなパワーを与えてくれます。
    ●トップマネジメント(経営者)のコミットメント(品質ちゃんとやるぞ!)
    ●理念と目標(みんなに共通の思いを浸透)
    ●ルール・規定(業務ばらつき、ヌケモレを防止)
    ●責任と権限(誰が何をするか、させるかが明確)
    ●コミュニケーション(報連相、リスクの未然防止)
    ●プロセスのあるべき姿(あとで解説しますね)
    ●PDCAを全体、各部門で回す姿勢(内省して、ちょっとずつ改善)

    この動きが組織に機能していれば、確かに、良いものが作れる組織になりますよね!

    ③プロセスのあるべき姿

    品質マネジメントシステム(QMS)にはプロセス! 
    プロセスが重要なのです。
    プロセスアプローチが大切なのです!
    プロセスのインプット、アウトプットを明確に!

    そうです! プロセスが重要です。
    が、何のことか、さっぱりわかりません。

    1. プロセスって何?
    2. プロセスのインプット、アウトプットがなぜ重要なの?

    を理解していないと、さっぱりわからないはずです。解説します。

    ③プロセスのあるべき姿

    プロセスとは?

    一般的によく「過程」や「工程」として使われる「プロセス」ですが、
    品質マネジメントシステム(QMS)における「プロセス」はちょっとニュアンスが違います。

    プロセスアプローチの言葉も理解できない!
    「過程」や「工程」にアプローチってどういうこと?
    と混乱します。

    品質マネジメントシステム(QMS)における「プロセス」

    インプットするものがあって、それを何かして、アウトプットするもの

    プロセス

    数学でいう、 関数みたいですね。
    それと、入力するものと出力するものがあれば、入力を出力へ何かしら手を加える活動をプロセスと広くとらえています。

    関数でも、工程でも、会議でも、資料作りでも、何でもプロセスと呼んでいます。

    具体例として、数式、活動、工程の例を挙げてみます。すべて間に入るのがプロセスです。

    プロセス

    インプット、プロセス、アウトプットのセットで考える

    品質監査で、常にチェックされるのが、プロセスです。そのプロセスを監査する際に

    1. 何をインプットするか明確か?
    2. 何をアウトプットするか明確か?
    3. どんな活動(プロセス)をしたか明確か?

    の3点セットで確認されます。
    要するに、

    1. 何となく資料作って集まって
    2. 何となく集まった人で協議して
    3. 何となく終わった

    とならないように、意識して活動しているか(プロセスをまわしているか)が問われます。

    ●会議の場合は、

    1. 会議に必要な情報とメンバーが正しくそろっているか?
    2. 会議で必要な議題が網羅的に協議して結論づけたか?
    3. 会議後の議事録、懸案事項の有無と解消方法が明確か?

    を監査されます。5W1Hは常に意識して行動して記録しておきましょう。

    5W1H、プロセスを明確して業務するのは、結構大変ですが、
    明確なプロセス行動は、仕事効率を高める効果と、リスクの事前解消につながり、
    高い結果と評価につながります。
    人間本来は、だらだらのんびり、楽しく過ごしたいですが、品質の作りこみはその逆ですね。ちょっとしんどいけど、頑張った分、いいことがあります!

    ISOの要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの要求事項において、プロセスの部分を再確認しましょう。

    ●ISO9001 要求事項
    a) 必要なインプット,プロセスからのアウトプットを明確にする。

    c) プロセスに必要な判断基準及び方法決定する。
    d) プロセスに必要な資源を明確にする。
    e) プロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    f) リスク及び機会に取り組む。
    g) プロセスを評価し、
    h) プロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

    確かに、先ほど解説した、

    1. 何をインプットするか明確か?
    2. 何をアウトプットするか明確か?
    3. どんな活動(プロセス)をしたか明確か?

    の3点セットを意識すれば、ISO9001 要求事項が満たせますね。
    ISOを満たすためではなく、良い仕事ができるには
    何をすればよいかを意識して取り掛かればOKです。

    品質マネジメントシステムやプロセスについて十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる
    • ③プロセスのあるべき姿

  • ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 がわかる

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 がわかる

    「ISO9001 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ
    • ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?
    • ④品質監査で質疑されること
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    次の事項は,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため,組織は,これらを明確にしなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者
    b) 品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項 組織は,これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し,レビューしなければならない。

    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    「利害関係者」って何?誰?がわかること
    「利害関係者のニーズ及び期待」って何?
    「利害関係者のニーズ及び期待の理解」ってどうやって理解するの?
    自分の言葉で説明できることです。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 ISO9001 2015 4.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 JIS Q9001 4.2 の補足
    具体例もありわかりやすい
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    5.3密接に関連する利害関係者 JIS Q9001 4.2と似たような内容

    JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 を読んでそのまま、当てはめれば基本OKです。

    でも、なぜ、利害関係者のニーズ及び期待の理解が自分の言葉で説明できるようになってほしいです。JIS Q9002を丸暗記するのは大変ですし、応用が利きません。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ

    利害関係者とは?

    利害関係者は、ステークホルダーという言い方もします。経営者ならよく使う言葉です。

    利害関係者(ステークホルダー)はあなたの仕事に直接、間接的に関わる相手すべて

    利害関係者を書き出してみる

    ●あなたの仕事に直接、間接的に関わる相手すべてを書けばOKですが、
    ●直接的に関わる相手
    ●間接的に関わる相手

    がいます。

    直接的な利害関係者

    ●調達元
    ●あなた
    ●あなたがいる自社の部課の人、関係部門
    ●顧客
    ●エンドユーザー
    などですね。

    間接的な利害関係者

    直接会うことはないが、関わる相手や、ルールなどです。

    ●銀行、株主
    ●法的機関
    ●ISOなどの標準規格
    ●近隣住民
    などですね。

    あなたにとっての利害関係者(ステークホルダー)をまとめると下図のようになるでしょう。もちろん、あなたの立場によって、利害関係者は変わってきます。

    利害関係者

    ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?

    相手はわかりましたね。では、相手は何を求めているのか? それを理解するとはどういうことかを考えます。

    利害関係者のニーズ及び期待

    あなたから見て、いろいろな角度をもった利害関係者がいます。
    彼らはあなたに何を求めて、期待しているでしょうか?

    直接的な利害関係者と、間接的な利害関係者に分けて分析します。

    直接的な利害関係者

    ●具体的なアウトプット(製品出荷、工事完了など)ですね。
    相手から求められたことを完遂すればよいのです。直接お金のやり取りある相手なので、成果と報酬から考えたら、すぐわかることです。

    間接的な利害関係者

    特に、求められてはいないが、当然対応するよね!、当然守るよね!という内容が該当します。

    ●法的ルールを遵守
    ●安全、環境を第1に考えた業務
    ●近隣住民に不安を与えない仕事
    などですね。

    間接的な利害関係者だから、関係ない!としても、新聞、テレビ、SNSなどで抗議が出ると、あなたの仕事に悪影響が出ます。

    直接見ていないから、逆に注意して仕事しましょう。

    ニーズ及び期待を理解するにはどうするの?

    あなたの利害関係者のニーズ及び期待は何となく把握しました。しかし、これも明記した文書があって初めて、ニーズ及び期待を理解するとなります。どんな文書や取り決めが必要かを考えましょう。

    また、利害関係者を直接的、間接的に分けて考えます。

    直接的な利害関係者

    ●顧客要求事項文書(Q,C,D)
    ●要求仕様書
    ●契約書
    ●基本設計図
    など、何をいつまでに、どのレベルでアウトプットするかが書かれた仕様書類ですね。

    上流工程の品質の作りこみが最重要。ここで、利害関係者のニーズ及び期待をよく理解する必要があります。よく相手と仕様を作りこむことが、下流工程の出戻りややり直しの低減につながります。

    何事も初めが肝心ですよね!

    間接的な利害関係者

    ●標準規格
    ●法令
    ●認可
    ●免許
    ●当たり前とされる基本行動(近所に迷惑かけない、ごみは所定の場所に捨てるとか)
    など、ルールは暗記ではなく、自分の言葉で説明できることや、高い倫理観が必要です。

    仕様書に書いていないけど、当たり前の品質が要求されます。普段の業務の中で身に着けておく必要があります。
    仕様書に書いていないけど、やるべきことは何かに気が付く嗅覚と経験が求められます。

    普段からの準備がモノを言うわけです。

    ④品質監査で質疑されること

    他の要求事項とまとめて質疑されるが、利害関係者と、ニーズ及び期待、理解すべき内容は必ず質疑で確認される

    「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」単独で質疑されることはあまりありません。
    利害関係者については、4.1 組織及びその状況の理解()のところで、まとめて質疑されます。

    ニーズ及び期待、理解は、業務プロセスにて、具体的な業務内容を監査するときに、利害関係者が求めることやあなたに期待していることを確認します。そのインプット情報をもとに、業務プロセスによって要求されるアウトプットかどうかを審査します。

    品質監査で直接4.2を聞かれないが、他の要求事項と混ぜて質疑されます。意外と簡単ではないため、日ごろから利害関係者があなたに何を求めているかを考えて必要があります。

    利害関係者のニーズ及び期待の理解を十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ
    • ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?

  • ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解 がわかる

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解 がわかる

    「ISO9001 4.1 組織及びその状況の理解って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ
    • ③内部の課題と外部の課題の事例
    • ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.1 組織及びその状況の理解
    4.1 組織及びその状況の理解
    組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。 組織は,これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し,レビューしなければならない。
    注記1 課題には,検討の対象となる,好ましい要因又は状態,及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。
    注記2 外部の状況の理解は,国際,国内,地方又は地域を問わず,法令,技術,競争,市場,文化,社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になり得る。
    注記3 内部の状況の理解は,組織の価値観,文化,知識及びパフォーマンスに関する課題を検討することによって容易になり得る。

    4.1 組織及びその状況の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    外部の課題
    内部の課題
    網羅的に抽出できるかどうか!

    です。後で解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.1 組織及びその状況の理解 ISO9001 2015 4.1
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.1 組織及びその状況の理解 JIS Q9001 4.1 の補足
    わかった感じにはなる。

    JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針 4.1組織及びその状況の理解に書いている内容通り、自分の業務に当てはめると、確かに、外部の課題、内部の課題は書き出せます。

    でも、なぜ、JIS Q9002のとおり外部の課題や内部の課題を書かないといけないのか?を自分で考えるようになると、背景となる理論が必要になります。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。そうなると理論を知る必要があります。ISO,JISに書いている外部の課題や内部の課題の項目はどこから来ているのか?を本記事で解説します。

    実は、ISO,JIS外部の課題や内部の課題はマーケテイング用語から来ています。マーケテイングを勉強する記事になります。

    ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ

    技術屋でも品質屋でもマーケテイングは必須

    4.1 組織及びその状況の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    外部の課題
    内部の課題
    網羅的に抽出できるかどうか!

    実は、外部の課題、内部の課題はマーケテイング用語なので、ISO9001に多くの関わる技術屋にとって、馴染みのない用語です。なので、何を課題としてよいか?が理論として体系化しないままに、ISOやJISに書いている内容をそのまま自分の仕事に当てはめていることがほとんどです。

    品質管理業務をやっていて、品管のプロでも「外部の課題、内部の課題がちゃんとわからず、ISO,JISの書いている通りにやっている」人が多いです。

    外部の課題内部の課題
    理解できるように、マーケテイング分野を解説します。

    MBAです! でも、多くの人が「MBAなんて意味が無い」と言いますが、

    経営の基礎であるMBAを知らないのは、
    言葉を知らないでコミュニケーション取ろうとするのと同じです。
    MBAは知っていて損はありません。

    なぜなら、技術、営業、品質といろいろな部門が会社にはありますが、それは手段にすぎず、これらの目的は経営や収益だからです。経営や収益のために、各部門で果たすべき役割があります。

    技術屋、品質だから経営に関係無いでは済まされません。

    4.1 組織及びその状況の理解の
    言葉を知らないでコミュニケーション取ろうとするのと同じです。
    MBAは知っていて損はありません。

    内部の課題と外部の課題を理解するためのマーケテイングアイテム

    3つ紹介します。

    1. 3C分析
    2. 5F(Five Force)分析
    3. SWOT分析

    他にも分析手法がたくさんありますが、この3つあれば十分です。

    3C分析

    外部の課題を考えるときに活用します。

    ●3つのCはそれぞれ次の通りです。

    1. Customer(顧客のニーズ、市場規模、市場動向)
    2. Competitor(競合他社、競争の厳しさ)
    3. Company(自社の強み、弱み)

    3C分析

    まず、
    ●Customerで、市場規模が拡充か縮小か、市場動向を調べ、顧客のニーズを確認します。
    ●Competitorで、競合他社の強さ、数、競争の厳しさを確認します。
    ●Companyは自社がそこで戦っていける強み、弱みを分析します。

    外部の課題は、外なので、コントールが効かないものです。市場、競合、疫病、景気、法改正などの要因がCustomer、Competitor、Companyに対して、どう影響を与えるかを考えます。

    考えた結果を上の図に当てはめると、綺麗に整理ができます。そこから、自社の戦略が見えてきます。

    5F(Five Force)分析

    外部の課題については3C分析だけでも十分ですが、さらに、新規参入、代替による脅威が気になる場合は5F分析も必要です。

    例えば、IT業界のように新製品や代替品が次々に出て来る業界は5F分析は必須です。

    5F分析

    まず、
    ●中心の「業界の脅威」にあなたの自社がいます。
    ●横のラインを見ます。「売り手の脅威」と「買い手の脅威」を見ます。
    ★売り手は、調達元です。本来は、売り手はあなたとって顧客ですが、強気なところもあります。
    ★買い手はあなたにとっての顧客です。顧客の強弱は容易に想像がつきますね。
    次に、縦のラインを見ます
    ●「新規参入」がたくさんあるかどうかを確認します。参入が多いと競争激化します。
    ●さらに「代替品」の脅威も見ましょう。今まで、自社の製品が売れていたのに、他で代替されると自社の市場自体が無くなるリスクがあります。ガラケーからスマホに代わり、ガラケーが一瞬で廃れたのが良い事例です。

    横、縦のラインを見て、自社が入る業界の競争がどれくらい厳しいかを確認しましょう。

    3C分析と5F分析すると、
    競争のきつさが明確になり、どこから脅威が出るかもわかります。
    その分析結果を外部の課題として抽出すればよいのです。

    次に、内部の課題を確認しましょう。

    SWOT分析

    内部の課題を抽出する分析方法がSWOT分析です。

    SWOT分析

    SWOTとは、
    ●S(Strength):自社の強み(内部の強み)
    ●W(Weakness):自社の弱み(内部の弱み)
    ●O(Opportunity):自社のチャンス・機会(外部からのチャンス)
    ●T(Threat):自社の脅威(外部からの脅威)
    をそれぞれ分析します。

    SとWについては、内部の強み・弱みを分析します。社内のことなので、コントロール可能な領域なので、経営陣に説明して、強み、弱みの課題を解消しましょう。

    ③内部の課題と外部の課題の事例

    マーケテイング分析手法の3C,5F,SWOT分析をさっと解説しました。では、具体例を挙げて練習しましょう。

    各分析において、別々の業界を例に分析例を解説します。なるべく、多業種の例を挙げてみましょう。何でも分析ができるからです。

    あなたの仕事を取り巻く環境において、3C分析、5F分析、SWOT分析をやってみてください。正解不正解はありません、思考訓練です!

    1. 3C分析:品質管理プロ(QCプラネッツ本人)
    2. 5F分析:携帯電話(ガラケー全盛期)
    3. SWOT分析:製造業

    3C分析の事例紹介

    私自身を3C分析します。品質管理のブログを書き始めた経緯に、3C分析をやって、「勝てる!」と確信したからです。

    ●品質管理に関わる人がたくさんいる。
    ●技術を究めたいが、いつ事業撤退になるかわからない不安がある一方、品質管理はどの企業にもある。
    ●ライバルはシニア層が多く、時間が経てば継承されて自分が優位に立てる。
    ●品質は「技術×経験」というが、本当は、「技術×経営」です。経営がわからない技術屋が多く、それが人生経験に代用されているのです。MBAで経営が分かれば若くても品質管理はできます。

    なので、QCプラネッツを作ると決意しました。

    3C分析の図にすると、こんな感じです。

    3C分析

    5F分析

    ちょっと古い内容ですが、ガラケーの全盛期の外部環境について分析します。競争が激化する中、いつのまにかスマホに代わってしまいましたね。

    ●業界の脅威は国内メーカ各社の厳しい競争がありました。どの電機メーカも携帯が出ていました。
    ●売り手の脅威ですが、半導体業界はエンドユーザに届く最終製品より、材料・製造機械の方が収益性は高く、強気です。なので、売り手に圧力をかけて値下げすることは難しかったです。
    ●買い手の脅威は、携帯をエンドユーザに渡す側で、半国営企業ですから、相手も強気ですね。
    5F分析の横のラインはどれも厳しい競争とわかります。

    次に縦のラインをみましょう。
    ●新規参入の脅威ですが、携帯電話は海外勢も強く、参入障壁や制約がなかったため、競争が激化しました。
    ●代替品ですが、ガラケーが厳しい競争の中、スマホや登場し、世界を変えてしまいました。

    厳しい競争に生き抜こうとした携帯メーカの各社はスマホという新しいものによって、撤退していきました。近い業界にいたので、強く印象に残っています。

    5F分析の結果を図にすると次のようになります。

    5F分析

    SWOT分析

    製造業によくある、内部環境の分析をしてみましょう。内部の課題や内部環境だけを分析するフレームワークはないため、内外同時に分析するSWOT分析を使います。

    例えば下図のような分析になります。

    SWOT分析

    SWOTとは、
    ●S(Strength):自社の強み(内部の強み)
    ●W(Weakness):自社の弱み(内部の弱み)
    ●O(Opportunity):自社のチャンス・機会(外部からのチャンス)
    ●T(Threat):自社の脅威(外部からの脅威)
    をそれぞれ分析する中で
    特に、内部環境についての強みと弱みを列挙しましょう。

    内部の課題ですから、
    ●人的リソースに課題はないか?
    ●資源に課題はないか?
    ●今は問題ないが、そのうち問題が顕在化することはないか?
    を技術、営業、企画、管理などの各部門から課題を出してみましょう。

    事例を挙げて分析方法を解説しました。

    分析して終わり!ではなく、
    ●課題・リスクを解決する施策
    ●チャンス・機会をものにする施策
    を考える必要があります。

    課題を洗い出し、それをどうするかを品質監査の始めの方で必ず質疑されます。

    ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?

    品質監査(内部監査や外部審査)でよく質疑される流れを解説します。

    監査する側は、決まった質疑をするのではなく、対象とする部門や組織の経営課題を抽出してからそれを解決するための施策や実績などを深く掘り下げて質疑していきます。

    最初の経営課題を抽出するために4.1の要求事項が質疑されます。

    質疑の流れ

    1. 製品分野、売上、収益について確認
    2. 事業継続に対するリスク・機会を確認
    3. リスク・機会の要因についてさらに質疑

    「事業継続に対するリスク・機会を確認」になったら、事前に「内部の課題」、「外部の課題」を
    3C分析,5F分析,SWOT分析を使って抽出した結果を監査員に回答しましょう。

    リスク・機会を与える要因が、
    ●組織体制
    ●目標の見直し
    ●コミュニケーション
    ●人的資源
    ●その他資源
    ●社内の仕組み
    などであれば、さらに個々のテーマを掘り下げながら、監査が続いていきます。

    しっかり分析して、それを解決する道筋を力強く説明できるように日々考えることが重要です。

    外部の課題と内部の課題を考える方法が十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ
    • ③内部の課題と外部の課題の事例
    • ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?

  • ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    「ISO9001 7.1 資源って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    7.1 資源
    7.1.1 一般 組織は,品質マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 既存の内部資源の実現能力及び制約
    b) 外部提供者から取得する必要があるもの
    7.1.2 人々 組織は,品質マネジメントシステムの効果的な実施,並びにそのプロセスの運用及び管理のために必要な人々を明確にし,提供しなければならない。
    7.1.3 インフラストラクチャ 組織は,プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 インフラストラクチャには,次の事項が含まれ得る。
    a) 建物及び関連するユーティリティ
    b) 設備。これにはハードウェア及びソフトウェアを含む。
    c) 輸送のための資源
    d) 情報通信技術
    7.1.4 プロセスの運用に関する環境 組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
    a) 社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)
    b) 心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア)
    c) 物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)
    これらの要因は,提供する製品及びサービスによって,大いに異なり得る。
    7.1.5 監視及び測定のための資源
    7.1.5.1 一般 要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
    a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
    b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。 組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
    7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
    a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
    b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
    c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。 測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
    7.1.6 組織の知識 組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。 この知識を維持し,必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。 変化するニーズ及び傾向に取り組む場合,組織は,現在の知識を考慮し,必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。
    注記1 組織の知識は,組織に固有な知識であり,それは一般的に経験によって得られる。それは,組織の目標を達成するために使用し,共有する情報である。 注記2 組織の知識は,次の事項に基づいたものであり得る。
    a) 内部の知識源(例えば,知的財産,経験から得た知識,成功プロジェクト及び失敗から学んだ教訓,文書化していない知識及び経験の取得及び共有,プロセス,製品及びサービスにおける改善の結果)
    b) 外部の知識源(例えば,標準,学界,会議,顧客又は外部の提供者からの知識収集)

    長い! 関越トンネルくらい長い! そして、頭の中に入ってこない! ですよね!
    品質管理の勉強が足らないとかではなく、頭に入らない!と思うのが正しいです。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    でも難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●品質管理業務をやってわかるのは、自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、大丈夫!

    ●資源を明快に解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.1 資源 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.1 資源 JIS Q9001 7.1 の補足
    わかった感じにはなる。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9 資源のマネジメント さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    自分の言葉では説明できないはず

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。
    自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、大丈夫!

    ●資源を明快に解説します。

    ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●資源を明快に解説します。

    経営学から入るとわかりやすい

    経営学では、経営の資源をよく

    ヒト・モノ・カネ

    の3つにまとめることがあります。
    品質管理では「カネ」は対象外なので、

    ヒト・モノ

    の2つの資源に着目します。

    資源と言っても、「金銀」、「ダイヤモンド」、「石油」などの鉱山資源ではありません。経営資源のことです。初めて「資源」と聞くと、前者を想像しがちです。

    ヒト

    ヒトの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    一昔前なら、KKD(気合、根性、度胸)で「24時間戦えますか?」というCMがあり、
    それが日本の強さとか言っていましたが、今はそんな環境には人は行きたいと思いません。

    人が自ら成長したい、そうエンパワーメントする環境が必須な時代です。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.6 組織の知識 a) 内部の知識源、b) 外部の知識源
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    に該当する
    ことがわかります。

    モノ

    モノの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。人が働いて、高い業務成果を出すには、何が必要かを考えましょう。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    建屋がないと、仕事になりませんよね。建屋の設備がないと困りますよね。PC,機械、計測器がないと仕事できませんよね。当たり前じゃん!なのですが、その当たり前なモノが十分あるか?十分機能を果たしているか?が重要です。

    照明が暗い、空調がなければ、人への影響が出て、よい仕事ができませんし、熱中症などの事故、感染症の問題など、その職場の問題がいっぱい発生するから、モノの資源をしっかりおさえておくことは重要なのです。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.3 インフラストラクチャ
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    ③7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 機械、測定器の校正管理
    に該当する
    ことがわかります。

    7.1 資源は、当たり前の環境が当たり前あるか?をチェックする要求事項なのです。

    ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

    経営の資源「ヒト・モノ」を良くしていけばいいとすぐわかりますよね。個別にみていきましょう。

    7.1 資源を良くして品質・経営を高めることが重要で、
    資源の現状と、資源を高める活動をしているかを品質監査でもチェックします。

    ヒト

    ヒトは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●人の数:採用強化が必須ですが、会社の評価が高くないと良い人財が来ません。
    ●各人の能力:将来の力量向上につながる業務を、メンターをつけて育成できるチーム体制が必要です。
    ●働きやすさ:時短勤務、フレックス、最新のシステム導入、残業時間低減による生産性向上などの体制構築が必要です。
    ●メンタルヘルス、多様性:労働環境・労働時間の適正化、産業医などのサポート体制が必要です

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    モノ

    モノは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●施設:利便性高い立地。最新の施設など。
    床がすべりやすく、段差があるとか、雨漏りするとかはNG。労働災害につながります。
    ●設備:照明・空調・圧迫感のない職場、風通しの良い職場作り。
    ●機械、計測器:校正管理ができていることや、メンテナンスが適正であること。機械が壊れたまま稼働すると大事故につながります。
    ●情報通信:PCの使いやすさとか、サイバーセキュリティ対策など

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    品質監査で「資源」を監査

    監査員として、「7.1資源」を監査する場合、どんな質問をしたらよいか?考えましょう。いい勉強になります。

    先ほどから
    ●ヒト:人数、力量、働きやすさ、労働衛生
    ●モノ:施設、設備、機械、情報通信
    を資源として考えてきましたので、これらが十分あるか、十分機能しているかを質疑すればよいです

    質疑内容の例

    ★ヒトについて、
    ●組織内の人数は十分か? 人的リソースにおける課題を挙げよ。
    ●力量向上に必要なリソースは何か?いくつか挙げよ。
    ●平均残業時間はどれくらいか? 半減するにはどうすればよいか提示せよ。
    ●職場の人のメンタルケアをカバーしているか?

    ★モノについて、
    ●職場内は働きやすい環境か?職場における不満を挙げよ。
    ●労働生産性を向上させるために、どんな工夫をしているか?
    ●事業の今後の変革に対応して、どんなリソースが必要か?
    ●セキュリティ対策は何をしているか?

    など、質疑すると、
    ●事業の成長に必要なリソースの明確化
    ●現状のリソースの課題とその解決策
    が見えてきます。

    資源は確かに固定費であり削減対象であるが、
    同時に収益の源泉でもある。
    資源戦略をしっかり整えることが事業成長に必須

    資源のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.1 資源をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

  • ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    「ISO9001要求事項やJISハンドブックを読んでもよくわからない」、「ISOコンサルタントに何を聞けばいいのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    7.5 文書化した情報
    7.5.1 一般 組織の品質マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
    a) この規格が要求する文書化した情報
    b) 品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報
    注記 品質マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によって,それぞれの組織で異なる場合がある。
    − 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
    − プロセス及びその相互作用の複雑さ
    − 人々の力量
    7.5.2 作成及び更新
    文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
    a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
    b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
    c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
    7.5.3 文書化した情報の管理
    7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にするために,管理しなければならない。
    a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
    b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。
    7.5.3.2 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければならない。
    a) 配付,アクセス,検索及び利用
    b) 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
    c) 変更の管理(例えば,版の管理)
    d) 保持及び廃棄
    品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は,必要に応じて識別し,管理しなければならない。
    適合の証拠として保持する文書化した情報は,意図しない改変から保護しなければならない。

    注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。
    要求事項を読んで、正直感想は、「長~いし、多いし、何をすればよいかを読むのが面倒」

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    品質管理のプロな私でも、読みたくない量ですね。なので、実務上、文書の管理方法で何をやればOKかをわかりやすく解説します!

    JISハンドブックの解説

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_5_文書化した情報 ISO9001 2015 7.5
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_5_文書化した情報 JIS Q9001 7.5の補足
    詳細に書いている。
    「読みたい人は読んでね!」
    くらいでいい

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。

    品質管理のプロな私でも、読みたくない量ですね。なので、実務上、文書の管理方法で何をやればOKかをわかりやすく解説します!

    「文書化した情報」で実務上、おさえるべきポイントは3つあります。これは実務・品質監査(内部監査、認証の外部審査)の経験からわかったことです。共有しますね。

    1. 「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    2. 必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    3. 「文書化した情報」が十分に保護されていること

    それぞれ解説していきます。

    ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない

    「文書化した情報」の「情報」がポイント

    「文書化した情報」の「情報」がポイントで、情報の手段は問われません。

    つまり、

    紙(アナログ)でも、電子(デジタル)でも構わない
    電子サーバのフォルダーにポンとファイル一式そろっていればいい

    ひと昔前の、ISO9001だと、紙をファイリングして、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように求められていました。また、ISO9001 監査のために、普段そうしていないけど、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように、あえて、わざわざ大量コピーしてファイリングして、文書の記録をきちっとやっていることを見せてましたね。

    ISOのための無駄な紙ファイリングは全くしなくよくなりました!

    今は、電子サーバのフォルダーにポンとファイル一式そろえていけばOKです。これは実務上、業務で必ずデータが最新に更新されるので、ISOのための文書を作る必要が一切ありません。

    「文書化された情報」に要求事項が変わり、適合性より有効性を監査するよう、ISO9001 2015版から変わったので、文書の管理が楽になりました。
    ISO監査のためにわざわざ作っていたファイリング作業が無くなることは、監査受ける実担当者によって、ムダな作業が減ります。これは革命的な変化と感じました。

    ISO9001 2008以前の要求事項において、本来は、きちっと文書管理していれば、紙ファイリングでもISOの要求事項を満たすはずとISOは考えていました。しかし、実務者は、いつも完璧な文書管理なんてするわけがないので、ISO監査をクリアするための別のファイリングを作って監査を受けていたのが現状です。

    ちょっと、ぶっちゃけすぎでしょうが、実務側の現状も素直に書いておくべきでしょう。

    では、なぜISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったかを解説します。

    なぜ、ISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったか

    ISO9001 2008版からISO9001 2015版の大きな変更点は次の通りです。これは品質管理業務する中で、肌で感じたことです。

    1. 適合性より有効性をしっかり監査するようになったこと
    2. 品質から経営を意識した品質監査に変化したこと

    「適合性より有効性をしっかり監査」は、ISO9001 2008版からISO9001 2015版へ大きく変更した背景につながります。それは、優良なISO認証企業から相次いで品質不正が発覚したことです。

    ISO品質監査で優良な評価を受けた企業がなぜ、品質不正をしているか?そしてなぜ、監査で不正が見抜けないのか?と思いませんか?

    でも、監査される企業の担当者から見れば、「だって監査用のファイルをわざわざ作って監査うけているんだもん!」と本音が出てしまいますね。

    つまり、

    適合性を厳しく監査しても、実態と合っていないことがISO側もわかったんですね

    よく、ISOのために実態と合わないファイルを作るので、
    ●ISOでなくUSO⇒「嘘」
    ●ISOでなくQSO⇒「○〇」(下品すぎて書けない…)
    と揶揄していました。

    これじゃーISOやっててもムダやし、アカンよね!となり、ISO9001 2015版からは、

    1. 適合性より実態のありのままの有効性をしっかり監査するようになったこと
    2. 品質から経営を意識した品質監査に変化したこと

    と変わっていきました。最近の認証機関の品質監査では、文書のrevision番号や、日付はそれほど注視しなくなりました。むしろ、文書の中身、書かれた内容によるリスク・機会、目標に到達できるかなどの本質的な内容を審査するようになりました。

    形式より中身・本質を監査するようにISO9001 2015から変化したので、「ようやくまともなISO9001になったなあ」と実感しています。

    ●「文書化された情報」は媒体手段を問わない。
    ●実務上、サーバでデータ管理がほとんどで、
    ありのままの文書を監査に出してもOK。
    ●監査のための文書準備は一切不要(これは革命的!)
    ●適合性もある程度見るが、形式より品質・経営につながる
    中身・本質を監査するようにISOも変化している。

    ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態

    素早く文書が出せるのは重要ですよ!

    要求事項に書いていますが、これ結構重要です。

    普段から、必要な文書が、素早く入手できることが業務改善につながりますし、
    品質監査のときに、「●●文書見せてください」と言われて、もたつくと
    「改善してください」と減点対象になります。

    「必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態」
    になるように、紙・電子サーバの整理をしておいてください。

    文書整理って意外と難しい

    文書化された情報で整理をちゃんとやれ!と言う品質管理側の方が、ライン部門より文書がぐちゃぐちゃなことがあります。品管あるあるなんですけど。

    部・課単位で電子サーバや共有フォルダーをみんなで使うと、
    それぞれ価値観が異なるので、フォルダーやファイルの整理方針が立てにくいです。

    つまり、

    実務担当者がいるほど、情報整理が難しい

    なので、理想的な整理は追求しなくてもよいです。ある程度、整理がうまくできていなくてもOKです。人間は意外と臨機応変に対応できるので、頭で記憶しておけば、ここにファイルがあると認識します。

    よく、部内教育資料があったとして、教育資料フォルダーに資料を置きたいけど、教育資料フォルダーが複数あったり、全然名前が異なるフォルダーに置くように指示されたりします。こんなんでも、必要なときに素早く資料が出る状態であれば、「文書管理できている」と評価します。

    ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

    保持と維持の違い

    保持と維持の違いって説明できますか? 結構重要なので解説します。

    次の例題で、「保持」と「維持」どちらを使うか考えてください。

    (i)社内規定を「●●」する
    (ii)試験成績書を「●●」する
    ●●には、「保持」と「維持」どちらが入るか?

    これを間違えると、大変なことになります!

    「どっちでもええやん」と思いますが、品質管理ではダメです!かなり慎重に聞き分けます。

    保持

    保持とは、「編集してはいけないこと」です

    つまり、変えてはいけない文書は保持です。

    ●承認された文書⇒責任者の承認後、内容が変わってはいけません。
    ●試験成績書⇒内容が変わると改ざんになりますね。

    維持

    維持とは、「編集して最新の状態を保つこと」です

    ●社内規定⇒常に最新であるべきです。
    ●工程図⇒⇒常に最新であるべきです。

    よって、上の例題の答えは

    (i)社内規定を「維持」する
    (ii)試験成績書を「保持

    ISO9001 2015の要求事項では、
    ●保持が28か所、
    ●維持が23か所
    出て来ます。

    維持、保持、保持、維持、維持、維持、保持、…となると
    訳が分からなくなりますよね。

    保持とは、「編集してはいけないこと」
    維持とは、「編集して最新の状態を保つこと」

    をしっかりおさえておきましょう。

    【注意】電子管理の情報保持について

    最近、コロナ禍もあり、リモートワークが進んでいます。デジタル化・リモート化自体はとても良い事ですが、電子管理の情報保持について1点注意があります。

    電子管理ツールが未熟で、例えばofficeソフト(Excel,Word,PPT)を
    編集可能のまま保持しようとする場合が多い。

    これでは、承認後のデータが書き換え可能になっています。なので、承認後は書き換え不可になる仕組みが必要です。

    実際は、ここまで品質監査で見られたことはありませんが、電子化しても情報が保持していない場合が多いでしょう。

    しかし、保持できないから電子から紙に戻すことだけは絶対避けてください。時代遅れはビジネスにとってリスクです。

    「文書化した情報」のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.5 文書化した情報をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

  • ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    「ISO9001要求事項やJISハンドブックを読んでもよくわからない」、「ISOコンサルタントに何を聞けばいいのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【実際考えると意外と難しい】
    • ④力量管理の評価の仕方
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    7.2 力量
    組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
    b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
    c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
    d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
    注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●ISO9001 やJISでは力量の要求事項(やらないといけないこと)は詳しく書いていますが、

    1. 力量ってそもそも何?
    2. 力量をなぜ管理しないといけないの?

    を、理解していないか、組織の人によっては力量の定義がばらばらなため、うまく力量管理できていないケースがよくあります。社内で品質内部監査をすると、力量の意味がわかっていない組織長が多いです。

    ●品質管理業務をやってわかるのは、力量の定義を自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、自分で力量管理ができます。

    ●力量の明快な定義を解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.2 力量 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.2 力量 JIS Q9001 7.2の補足
    あまりよくわからない。
    読まなくてもいい
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9.2.4 人々の力量 さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    何をしたらいいかがわからない

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。
    力量の定義を自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、自分で力量管理ができます。

    ●力量の明快な定義を解説します。

    ②力量とは「その場ですぐできる力」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●簡単に力量がわかる解説をします。

    力量とは
    「その場ですぐできる力」
    であり、
    知っている、習った、理解できるは力量ではない

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    力量の例

    ●学校の勉強で例えます。例えば、こんな問題

    ●次の2次方程式を解きなさい。
    \(3x^2 -4x-6=0\)

    ○力量がある⇒上の2次方程式が解ける!
    ×力量が無い⇒教科書見ながらなら解ける!
    ×力量が無い⇒習った!
    ×力量が無い⇒知っている!
    ×力量が無い⇒わからない!

    ですから、

    品質監査で、力量があるかを監査したければ、
    「その場で、○○の業務をやってください」
    と指示して、その場でちゃんとできるかを診ればよいのです。
    知っている、習った、理解できるは力量ではない

    ●仕事の力量も勉強の例と同じです。
    ●設計の力量がある⇒その場で設計できる、設計図が書ける
    ●加工の力量がある⇒加工場で実際に加工ができる

    その場ですぐできる力が力量です。

    ●次にどんな力量があるのか?どんな力量が求められて、それを管理(力量管理)すべきかを解説します。

    力量管理は、一度は自分で考えて作りましょう。考えて作れば、ISO,JIS見なくても完璧に理解できます!

    ③力量管理項目の考え方【実際考えると意外と難しい】

    自分で力量管理を考えることが重要

    ●次の問いを考えてください。

    あなたの業務、部門、組織で必要な力量はどんなスキルですか?
    (i)どんなスキルが必要か?
    (ii)なぜそのスキルが必要なのか?

    ●品質管理は手段ではなく、目的を考えることが重要です。

    あなたの属する場が目指す目標とそれを達成するために、人々がどうなればよいかを考えれば、何を磨く、習得するべきかがわかるはずです。

    ネットや、コンサルタントが作る力量管理を鵜呑みせず、
    自分で考えた力量管理の方が絶対いい!
    目標を目指す意識が高まるし、愛着ある力量管理表を常にブラッシュアップするから

    力量管理表の作り方

    力量管理項目の考え方は、意外と難しいですが、抽象度、粒度はあなた好みでOKです。部門・祖式がそれで納得するものでOKです。特に、力量管理項目を考える指針や制約を考えなくてよいです。

    そうなると、
    ●抽象度の高い力量管理表
    ●具象度の高い力量管理表
    など、たくさん作ることができます。

    本記事では、両パターンを提示します。

    力量管理項目の例1(抽象度が高い力量管理表)

    ●抽象的に考えるのが好きな人や、抱える部門・組織の規模が数十人と多い場合は、抽象度が高い力量管理表になる傾向が高いでしょう。

    ●例えば、このような管理項目が考えられます。

    ●力量管理表の管理項目
    ①業界の知識、業務の知識・経験
    ②顧客などの対外折衝・交渉力
    ③プレゼンテーション
    ④プロジェクトマネジメント
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界)
     (担当する規模によって力量難易度が変わるのが明確なもの)
     例: 小規模システム導入(入社2,3年目でもできる仕事)
        中規模システム導入(入社5~8年目でないとできない仕事)
        大規模システム導入(熟練かつ資格がないとできない仕事)
    ⑥安全・品質・環境(製造業向け)
    ⑦異文化コミュニケーション(海外、SDGs)
    ⑧ITスキル(コロナ禍のリモートワーク、DX)
    ⑨健康管理(シニア層が多い職場)
    など

    職場でよく見かける項目になったでしょう。
    部門・組織の目標を達成するには、専門性、交渉力、プロジェクトマネジメント、製品・システム担当経験、資格などが必要です。製造業なら、さらに安全・品質・環境マインドも必要ですね。

    最近だと、多様性、コロナ禍によるリモートワーク、建設業に多いシニア層の活躍なども力量管理項目に入れても良さそうですね。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    力量管理項目の例1(具象度が高い力量管理表)

    一方で、小規模な部門・組織や具体的に考える方を好む場合は、具体的な作業を力量管理項目に入れてもOKです。

    例として、私のQCプラネッツに必要な力量管理項目を考えたので、紹介します。

    ●力量管理表の管理項目
    ①WordPressが使いこなせる
    ②ブログの内容・記事の構成ができる
    ③ブログを書くための高い専門性(品質管理、統計など)がある
    ④SNS(Twitter,LINE,note,Youtube,Instagram)ができる
    ⑤商品が作れる
    ⑥SNSを使って集客・商品販売ができる
    ⑦プロジェクトマネジメントができる
    特に今は要らないとする(苦手なので)
    ×対外コミュニケーションがある
    ×顧客対応
    など

    あなたも、目指すことややりたいことを実現するには、どんな力量が必要かを考えて、その力量が十分あるかを確認するとよいでしょう。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    ④力量管理の評価の仕方

    評価方法・基準・レベルは自由に設定してよいです。ただし、社内の品質内部監査やISO9001認証機関による外部審査では力量管理の評価はよく質疑されます。

    例えば、次のような力量管理表を管理していたとします。

    Aさん Bさん Cさん Dさん
    スキル/入社年数 15 10 6 2
    ①業界の知識、業務の知識・経験 S S A C
    ②顧客などの対外折衝・交渉力 S S B C
    ③プレゼンテーション S A A B
    ④プロジェクトマネジメント S A C B
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界) S S A B

    ●評価基準
    S:指導ができる
    A:自分でできる
    B:指導されたらできる
    C:指導が必須

    ●質疑されるポイントをまとめます。

    1. 力量管理項目の妥当性(あなたの部門のリスク・機会・品質目標に沿っているか?)
    2. 評価基準S,A,B,Cの妥当性
    3. 例えば評価Sの人が何ができるか具体的に教えてほしい
    4. 4人のうち、今年度は誰にどんなスキルアップをさせるのか?(教育計画)
    5. オールSのAさんは頭打ちになっているが、次何を目指すのか?
    監査でつっこまれるからではなく、
    部門・組織の目標達成のために上の5つの質疑に対する
    あなたの答えをしっかり持つことが重要です。
    正解・不正解はありません。
    自分の言葉で力量管理項目が説明できることが重要です。

    まとめると、

    ●力量管理項目は目標・目的から考える
    ●力量管理の項目は常に見直す
    ●部下の育成に何が必要かをよく考える
    ●ベテランは次何をするかを考える

    力量と力量管理のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.2 力量をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【実際考えると意外と難しい】
    • ④力量管理の評価の仕方

  • ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    「ISO9001要求事項やJISハンドブックを読んでもよくわからない」、「ISOコンサルタントに何を聞けばいいのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    10.3 継続的改善
    組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性継続的に改善しなければならない。 組織は,継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために,分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●気にすべき内容は、次の2点です。これだけ意識しましょう。

    1. 適切性,妥当性及び有効性
    2. 継続的に改善

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針
    4. JIS Q9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善 継続的改善の手順及び技法の指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    10.3 継続的改善 ISO9001 2015 10.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    10.3 継続的改善 JIS Q9001 10.3の補足
    あまりよくわからない。
    読まなくてもいい
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    11.2改善 さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    何をしたらいいかがわからない
    JIS Q9024 マネジメントシステムの
    パフォーマンス改善
    継続的改善の手順及び技法の指針
    全部 改善方法・効果方法を解説。
    その通りやればよいが、
    自分の言葉では説明できないかも。

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。

    なので、品質管理部門へ問い合わせが、よく来ます。

    「継続的改善って何すればいいの?」
    「こんな感じでにすれば継続的改善したと言えるかな?」
    「内部監査の時に、あまり突っ込まないで!」

    ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●簡単に継続的改善がわかる解説をします。

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    なぜ、ちょっとずつなのか?

    ①ちょっとずつが最重要です。その理由は

    1. 急な改善では、ついていけないし、逆にストレス
    2. ストレスで嫌なことは終わったらしなくなる
    3. その結果、改善前より悪化するオチになる

    いきなり、大きな目標を立てて改善すると、現行とのひずみが生じたり、無理が生じます。そんなしんどい改善はしたくありませんし、改善の監視が終わると、二度とやらない!となり、逆効果すらなります。

    ですからちょっとずつ負荷をかけて、負荷がかかっても問題なければ、もう少し負荷をかけていく感じで行くのが良いです。

    負荷をかけてもしんどくない状態、それが当たり前の状態になれば、過去から改善できた状態ができたことになります。これを長期的に続けるのが、継続的改善のポイントです。

    継続的改善

    ③わかりやすい継続的改善の例

    継続的改善をわかりやすく解説しました。私生活にも継続的改善例があります。

    1. ダイエット1年で15kg減量
    2. TOEICスコア1年で200点スコアアップ
    3. 相手からの自分の評価・信頼

    どれも、すぐに目標達成したものばかりですが、時間をかけた方が、元の状態に戻ることはありませんよね。

    ダイエットの例で解説しましょう。私も1年で15kgを落とした経験があり、それから10年経過しますが、いまだにもとの肥満状態に戻らず体重を維持しています。

    継続的改善 ~ダイエットの例

    よく広告で見かけませんか?

    3か月で10kg減量

    結構キツイし、そのストレスでリバウンドする人も多いです。

    ダイエットは大変です。それは、1kg落とすのに9,000kcal(脂肪1g 9kcalで計算)と落とす必要があるからです。

    1ヶ月で1kg落とすだけでも大変!でも「たった1kgかあ」と落胆しますよね。

    でも、-1kg=-9,000kgで 1ヶ月で達成するには1日-300kcalが必須です。これは、1食のうち半分減らし、運動習慣をつけないと継続できません。

    「無理」とするか、「ちょっとおかず減らして、ちょっと運動すればいいんでしょう!」となるかが、
    継続的改善の第一歩ですね。

    ポイントは,

    1. ちょっとしんどいけど、できそうな目標から始める
    2. しんどいけど、1ヶ月は続ける
    3. 徐々に、ダイエットの習慣を身に着ける
    4. しんどくないなら、もう少しダイエット対策を増やす
    5. すぐに結果を求めず、半年、1年くらい続ける

    私は、これで1年で15kg落ちていきました。食事、運動、生活習慣を少しずつ変えていけば、時間はかかりますが、目標達成できます。

    ダイエットの例から継続的改善のエッセンスを確認

    ダイエットの内容は、わかりやすかったでしょう。これをISO9001 継続的改善の内容のエッセンスと合わせてみましょう。

    ダイエット 継続的改善
    ちょっとしんどいけど、
    できそうな目標から始める
    ちょっとしんどいけど、
    できる改善目標からスタートする
    しんどいけど、1ヶ月は続ける ある期間は継続して様子をみる
    徐々に、ダイエットの習慣を
    身に着ける
    改善習慣に慣れるのを確認し、
    元の状態ではダメとわかる
    しんどくないなら、
    もう少しダイエット対策を増やす
    もっと、できそうなら
    さらに改善目標を立てる
    すぐに結果を求めず、
    半年、1年くらい続ける
    数年という長期的視野で
    少しずつ確実に改善していく

    ④業務の継続的改善方法

    ここまで読めば、部門、組織、業務での継続的改善は何をしたらよいかが見えてくるはずです。

    私が、よくライン部門に指示している内容をまとめます。

    1. 目指したい高い目標は何か?
    2. 現状と目標の差(ギャップ)を明確化する
    3. ギャップを埋める期間を数年の視野で見るよう指示する
    4. 今できる改善策を立ててもらう
    5. すぐには結果が出ないことを伝えつつ、良くなった効果を評価する
    6. 改善策が部門に浸透してきたら、次の改善策を指示する
    7. ライン部門と一緒に走る姿勢を品質管理部門が見せる
    8. とにかく、ちょっとずつでいいから続けるようエンパワーメントする

    ポイントは、

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが継続的改善につながるのです。

    仕事でもプライベートでも使える
    継続的改善
    テクニックを是非手に入れてください。
    何でもできるようになりますね!

    人間ってすごい!

    まとめ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

  • 管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    「管理図の良書が無い」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図の良書を紹介するけどQCプラネッツを読む方がベター

    結論

    ●管理図の良書自体少ない。
    ●理論を詳しくまとめたものは古すぎる
    ●QCプラネッツの記事を読んだ方がベター
    理論が詳しい本ほど古いです。
    でも古いため、読んでで「なぜ?」と思う内容も多いです。
    なので、QCプラネッツが今、必要とされる管理図の使い方や理論をまとめました。
    一応、数少ない良書を紹介します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①良書のご紹介と解説

    良書一覧

    【1】管理図法―品質管理教程 (1962年) 【評価:◎】
    【評価理由】管理図の使い方、事例、理論が最も詳しい。1962年、1986年版があるが、理論多めの1962年の方がベター。

    【2】新編統計数値表 河出書房 1952 【評価:〇】
    【評価理由】R管理図のd2,d3の導出過程を最も詳しく書いている。しかし、それでも導出の途中経過がわからない。その他多くの統計の数理が紹介されている。

    【3】1回で合格!QC検定®2級テキスト&問題集【評価:〇】
    【評価理由】使い方は理解できる。入門書としては良い。

    【4】【新レベル表対応版】QC検定®受検テキスト1級 (品質管理検定集中講座[1])【評価:〇】
    【評価理由】群内、群間変動、工程異常ルールなど管理図全体を網羅している。試験対策には必須。でも理論はわからない。QC検定®1級で管理図を使った問題が一番苦労するはず。

    【5】管理図の作り方と活用 (新版QC入門講座) 日本規格協会【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    【6】管理図活用の基本と応用 管理図を見直そう 日本規格協会 1986【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②良書だけでは不十分

    関連記事、でまとめましたが、管理図の理論や本質が教科書では十分わかりません。次の問いは教科書に十分書いていません。

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?

    これらを研究することで、管理図の理論・本質が理解できるようになります。

    すべてQCプラネッツの記事に書いていますので、関連記事にて確認ください。

  • 【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める

    【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める

    「管理図は簡単!公式暗記で管理限界求めるだけ!でも、管理図の理論や本質は全く分からない」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】簡単だけど難しい管理図を究める
    • ①管理図を究めるのは難しい
    • ②管理図を究める道
    • ③管理図を究める関連記事の紹介

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①管理図を究めるのは難しい

    管理図の本質を確認する問い

    管理図の理論は実はとても難しい

    【あなたに問います】管理図について次の問いが答えられますか?

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?
    10. 実験計画法、検定・推定、χ2乗分布などと管理図を組み合わせた応用事例が解けますか?
    11. 「X-Rs管理図」、「\(\bar{x_s}-Rs\)管理図」、「減点数の管理図」、「カイ2乗管理図」などの管理図は知っていますか?

    管理図の本質をまとめるQCプラネッツの熱い思い

    上の問いが答えられないのは、管理図の作り方だけしか勉強していない証拠です。管理図の理論や特性を知らずに、手法だけ解けても、意味はありません。
    QC検定®では、3級、2級は公式代入だけでOK
    1級は群内、群間分散まで出題してくる。
    でも、群内、群間分散の問題が良くないため、正解が導き出せにくいし、解説読んでも理解できない。
    つまり、ほとんどの人が管理図の本質を理解していないまま、管理図を使ったり、試験問題を出したりしているのではないか?古書も含めて日本中にあるすべての管理図に関する書物を読み直して、管理図の本質をまとめる必要がある!

    という思いで、管理図の本質にQCプラネッツが迫ります!

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②管理図を究める道

    本記事を併せて28記事をまとめました。管理図の本質をここまで書いたサイトや教科書は、無いでしょう。なお、管理図の教科書には載っていない内容ばかり解説しています。必読!です。

    管理図の究め方

    次の8つに分類できます。上から読んでいけば本質に迫れるようにまとめています。また、各分類に属す関連記事を紹介します。

    1. 管理図の導入
    2. 管理図係数表を導出
    3. 群内・群間変動を分割
    4. 工程異常判定ルールを考える
    5. 検出力を管理図で考える
    6. 管理図以外の単元と組み合わせた応用事例
    7. 特殊な管理図
    8. 管理図に関する良書

    ③管理図を究める関連記事の紹介

    (1)管理図の導入

    ここでは、3記事を紹介します。

    ●管理図の種類を特定する頻出問題を紹介します。試験対策用です。これだけやれば大丈夫なレベルになります。

    【必読】管理図の種類を特定する36問
    各データをどんな管理図で管理すればよいか?答えられますか? 本記事では36問用意しました。十分な演習問題を解いて力をつけましょう。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「管理図=シューハート管理図」と思い込んでいませんか?管理図は本来自分で考えるものです。試験勉強に染まると、シューハート管理図に突っ込んでいってしまいます。

    【注意】管理図はシューハートの管理図だけではない
    管理図を勉強すると、管理限界、UCL、LCL、管理図の種類、郡内変動と群間変動、σの推定値などを身に着けます。しかし、シューハート管理図ばかり教科書やQC検定®に取り上げられるため、自分で考える管理図を意識しようとしません。シューハート管理図のデメリットをよく知って、自分で管理図を設計できるようになりましょう。

    ●「管理図は使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったときに、読んでください。管理図の使い方の注意点をまとめました。

    管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事
    管理図は使えない、役に立たない、使い道がないと思っていませんか?そう思う原因とその対応策について解説しました。管理図の使い方や実務でうまく活用うるポイントをまとめました。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (2)管理図係数表を導出

    ここでは、7記事を紹介します。そろそろ表や数値を使うだけの勉強は卒業しましょう。数値や式は導出して理解するのが最も重要ですよ。

    ●計量値管理図の係数値の変数の導出をまとめました。変な式が多く、導出が困難な印象を受けますね。

    【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●計数値管理図の係数表一覧を作りました。JISのハンドブックまで戻らなくてもすぐ見えるようにしました。

    【試験対策】シューハート管理図の管理線公式と係数表を確認する
    シューハートの管理図の中心・管理限界公式と、係数表をまとめました。大学の試験やQC検定®対策に活用ください。1つの表で全パターンを見やすくまとめました。

    ●s管理図の係数c4と管理限界の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、正規分布の関係から完璧に導出できます。

    【必読】s管理図の変数c4と管理限界の導出がわかる
    s管理図の管理限界を求めるc4と管理限界値の導出を解説します。χ2乗分布、平方和、標準偏差の関係式を使って、意外と簡単に係数c4が導出できます。さらに、標準偏差と不偏標準偏差によって、若干式が異なる点も詳しく解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●R管理図の係数d2,d3の導出を解説します。これは、完璧な導出ができなかったのですが、わかったところまで解説します。こんな難解すぎて正しいかどうかわからない係数は使いたくないですね。また、範囲R自体が「絶対値」という不自然な値だから導出が難しいのです。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「管理図係数値はnが6以上でないと使えない」を暗記ではなく、理由が説明できるようになってください。係数が負だからです。計算して確認したら、説明できるようになるはずです。

    管理図係数値でnが6以上でないと使えない係数がある理由がわかる
    計量値管理図の管理限界を求める係数で「-」となるものがあります。この理由が説明できますか? 本記事では「-」となる理由を解説します。管理図をマスターする上で必読な記事です。

    ●管理図の群内データ数nを∞に持って行ったら管理図はどうなるか?考えてみましょう。nの極限値をみることで、nと係数値の関係が妥当なのか?チェックできるからです。

    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がわかる
    管理図の各係数値の極限値(n⇒∞)がいくらになるかわかりますか? 本記事では、管理図の係数値のnによる変化を理解して、扱う管理図の特性を理解できるように解説しています。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●計量値管理図は2種類、計数値管理図は1種類管理図があります。種類が違い理由は説明できますか?計数値管理図にR管理図やs管理図が必要なケースを考えてみてください。いい勉強になります。

    【本記事限定】計数値データにR管理図やs管理図が必要な場合がある
    管理図では、計量値データは2種類の管理図、計数値データは1種類の管理図と教科書ではよく書いていますが、本当でしょうか?本記事では、計数値データでも2種類の管理図が必要な場合を解説します。教科書丸暗記せず自分で考える習慣が重要です。

    (3)群内・群間変動を分割

    ここでは、2記事を紹介します。

    ●群内変動、群間変動の分割公式を導出します。公式暗記せず、導出が理解を早めます。

    【必読】管理図の分散σ(x)とσ(xbar)の違いがわかる(群内変動と群間変動)
    管理図において、群内変動と群間変動の分散の導出方法がわかりますか? 本記事では、Xbarの分散公式とXの分散公式の違いや、公式の導出方法を平方和、実験計画法を活用して導出します。単なる公式の丸暗記に頼らず自力導出できることが重要です。

    ●QC検定®1級対策用です。1級の群内変動、群間変動の分割問題は良問ではありませんが、試験合格が目的なので、それに対応した演習問題を紹介します。

    【必読】計量値管理図の群内変動と群間変動の分散が推定できる
    R管理図から群内変動と群間変動の分散が推定できますか?本記事では、群内変動と群間変動の分散を導出する方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方、QC検定®1級合格したい方は必見です。

    (4)工程異常判定ルールを考える

    ここでは、2記事を紹介します。連、傾向など8つの異常判定ルールがJISにあります。しかし、なぜ、それらが異常と言えるのか?理由を説明できますか?本来は、工程管理対象の特徴に合わせて異常判定を設定すべきです。

    ●異常ルールはJISに頼る前に、自分で考える必要があります。異常判定条件の考え方をまとめました。

    【重要】管理図の異常判定ルールは自分で設計すべき(JISに頼るな!)
    管理図の異常判定ルールは8種類ありますが、各々のルールである理由を説明できますか?本記事では、JISでも、自力でも異常判定ルールを考えるヒントを解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「工程が管理状態であり、σ=0」とよく教科書に書いています。この状態を管理図で表現するとどうなるか?を解説しました。理想的な管理状態を管理図で見ておくことは重要です。

    管理図で「工程が管理状態である」がわかる
    管理図にて、「工程が管理状態である」とはどんな図になるのか?説明できますか? 本記事では、暗記に頼らず、データの分散から管理状態を想定したデータを考え、そのデータの管理図を作成する流れを解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (5)検出力を管理図で考える

    ここでは、2記事を紹介します。管理限界は基本的には正規分布の±3σの点です。ここから第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を確認することができます。

    ●管理図で第1種の誤りと第2種の誤り、検出力の関係と求め方を解説します。

    【必読】管理図の第1種の誤りと第2種の誤り(検出力)がわかる
    管理図において、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力の関係について説明できますか?本記事では、管理図から、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を求める方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現することができます。抜取検査の主役であるOC曲線が管理図でも出て来ます!

    工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現できる
    管理図の管理限界と工程管理の検出力の関係が説明できますか?本記事では正規分布を活用して、工程管理の変化による検出力の影響を解説します。管理図とOC曲線と正規分布を使った応用事例です。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (6)管理図以外の単元と組み合わせた応用事例

    ここでは、6記事を紹介します。

    ●R管理図で範囲Rの平均差の検定できることを解説します。平均差の検定はt分布を使いますが、正規分布でも検定ができることも解説します。

    R管理図で範囲Rの平均差の検定ができる
    R管理図を用いて、母平均差の検定について解説します。t分布を使った検定方法と、古書にあるF検定を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●u管理図の欠点数の差の検定を解説します。正規分布、管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例を解説します。

    u管理図の欠点数の差の検定ができる
    u管理図を用いて、欠点数の差の検定について解説します。正規分布を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●管理図の平均値Xbarの差の検定を解説します。差の検定はt分布を使いますが、正規分布でも使えることを解説します。

    管理図の平均値Xbarの差の検定ができる
    Xbar管理図を用いて、母平均差の検定について解説します。t分布を使った検定方法と、古書にある正規分布と管理図係数を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●2つのデータを組み合わせた場合の管理図を考えます。分散の加法性と管理限界の関係性を解説します。

    2つのデータを管理図にするときの注意点(分散の加法性と検出力のバランス)
    2つのデータを和、差して合成したデータを管理図に入れるとき、何に注意すればよいか説明できますか? 本記事では、確率分布に従うデータの合成後の管理図の作り方について解説します。管理限界と3σの関係、データ合成後の検出力の影響などがわかります。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●p管理図から不良率の差を検定します。管理図、正規分布、χ2乗分布を組み合わせた応用事例を解説します。

    p管理図の不良率の差の検定ができる
    p管理図を用いて、不良率の差の検定について解説します。正規分布を使った検定方法と、χ2乗分布を使った検定方法を解説します。管理図、検定・推定を組み合わせた応用事例です。管理図も検定・推定もマスターしたい方は必見です。

    ●工程管理を改善すると管理図のグラフは変化します。それ同時に、各因子・効果の変動がどの程度変化するかを実験計画法・分散分析を使って数値化します。管理図と実験計画法を使った応用事例を解説します。

    【必読】管理図と実験計画法を使ってばらつき低減効果を確認する
    データのばらつき低減効果と管理図の変化について解説します。管理図と実験計画法(三元配置実験)を使った応用問題として本記事を読むと理解が深まります。管理図と実験計画法をマスターしたい方は必見です。

    ここまで読めば、かなり管理図の応用力がつきますね。

    (7)特殊な管理図

    ここでは、4記事を紹介します。

    ●X-Rs管理図を解説します。QC検定®1級では、過去に1回だけ出題されるくらいのレアですが、データが1つしかない場合の範囲Rをどう計算するかが注目ポイントです。

    【必読】X-Rs管理図が作れる
    シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべ

    ●移動平均と移動範囲の管理図を解説します。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる
    移動平均と移動範囲の管理図を解説します。特殊な管理図ですが、Xbar-R管理図との違い、xs-Rs管理図の描き方を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●減点数の管理図の作り方を解説します。p管理図やnp管理図のように「不良」、「良」の2択ではなく、3択以上の複数の選択がある場合に活用する管理図です。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    減点数の管理図の作り方がわかる(ポアソン分布、分散の加法性)
    欠点数を管理する場合、複数の区分で評価することが多いです。その場合、ポアソン分布と、分散の加法性を使いながら、管理図を作る方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    ●「χ2乗管理図」って聞いたことがありますか?あるんです!np管理図やp管理図のように、「不良」、「良」の2択ではなく、3つ以上の選択がある場合、まとめて工程管理図を作る場合に考えたのがカイ2乗管理図です。レアな管理図ですが、QCプラネッツはここまで広く深く解説します!

    カイ2乗管理図がわかる
    カイ2乗管理図があるのをご存じですか?pn管理図やp管理図のように、「不良」、「良」の2択ではなく、3つ以上の選択がある場合、まとめて工程管理図を作る場合に考えらたのがカイ2乗管理図です。管理図をマスターしたい方は必見です。

    (8)管理図に関する良書

    良書を紹介します。

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)
    管理図に関する良書を紹介します。ですが、良書が少ない、少なぎる。近年の教科書は管理図の描き方しか解説しておらず、係数の値の導出、群内・群間分散の導出などを詳しく解説した書物がありません。そこで、QCプラネッツでは、管理図の理論や本質をしっかり解説しています。

    以上、(1)~(8)の計27記事を紹介しました。これを全部理解すれば、日本で最も管理図が詳しいレベルにすぐ到達できます。必読です!公式暗記で済ませる管理図からさよならしてください。

    まとめ

    管理図の究め方について解説しました。

    • ①管理図を究めるのは難しい
    • ②管理図を究める道
    • ③管理図を究める関連記事の紹介

error: Content is protected !!