ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!

信頼性工学_ワイブル確率紙1

本記事のテーマ

ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!
  • ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない
  • ➁確率紙は順序統計量から入るもの
  • ➂確率紙の考え方がわかる
  • ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
  • ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に)
  • ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる!
QC検定®1級によく出るワイブル確率紙ですが、使い方だけ勉強しても本質まで理解できません。

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●商標使用について、
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。
ほとんどの教科書は、
ワイブル分布はしっかり記述するが、
確率紙のエッセンスである順序統計量の内容は
あいまいな記述が多い
今の時代、確率紙は不要です。関数電卓やExcelで対数計算すればいいから
むしろ考え方をしっかり理解してほしい
確率紙の本質を理解して、
順序統計量→確率分布の流れと理解し、
ワイブル分布以外の確率分布も対応できるように
解説します!

①試験出題パターンが解けても本質は理解していない

QC検定®受験対策は重要だけど

ワイブル分布やワイブル確率紙を勉強する人のほとんどが、大学の勉強やQC検定®受験のためでしょう。

テストに出るから、テストの出題パターンに沿って勉強する人がほとんど。

でも、勉強する上で、次の観点で疑問に思って欲しいです。

  1. 今の時代に確率紙は必要か?(不要です!)
  2. 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」って何だ?
  3. ワイブル確率紙を勉強しているが、他の確率分布でも活用できないか?

そりゃ、試験では、

  1. ワイブル確率紙のプロットの仕方
  2. パラメータの値を確率紙から求める方法
  3. B10ライフの求め方

が解ければOKですが、ここは、本質ではありません。試験対策で学んだ後、振り返ると「何でこう解くのか?」がわかっていないことに気が付きます。

➁確率紙は順序統計量から入るもの

確率分布から確率紙を入ってはいけない!

ワイブル分布の式が難しいから、確かに、確率分布から確率紙を入ります。で、さらっと、
「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」は暗記して、受験対策しますよね

ダメです!
ここで、疑問に思って欲しい
何で、データをプロットする重要な所に、確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」のか?
確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」ことが、確率紙の最初のstepです。

では、何で、確率分布と関係のないプロット方法をやってよいか?を解説します。

データを大きさ順に並べて簡単な式で確率を求める所が確率紙の肝

このからくりが、「順序統計量」ですね。

データを大きさ順に並べると、数学的に統計量として扱うことができ、その確率が順序統計量から求めることができる。これは、データがどんな確率分布に属していても1つの数式で表現できる

これが、

確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」ことが、確率紙の最初のstepです。

順序統計量→確率分布の流れで確率紙を理解する

なので、確率紙は、以下の流れで理解しましょう。ワイブル確率紙の具体的な解法はまだ先でよいです。

  1. 順序統計量を理解する
  2. データを大きさ順に並べると順序統計量から確率が計算できる
  3. 確率紙でデータと確率をプロットした後、データに属する確率分布を好きに振り分ける

でも、ほとんどの教科書は逆の手順で説明しますよね。だから、解き方がわかっても、意味がわからない!

  1. データに属する確率分布を説明する
  2. データを大きさ順に並べると確率が計算してもいいとさらっと説明
  3. 確率紙のプロット方法を丁寧に解説

教科書勉強しただけでは、本質までたどり着きません。なので、本記事で解説しています。

順序統計量からメジアンランク法やミーンランク法が出て来る

確率分布に関係のない、 「データを大きさ順に並べて、F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)で確率を求める」ことが、確率紙の最初のstepです。
F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)
はどこから出て来るんや?
とツッコんでください。これが勉強!

QCプラネッツでは、順序統計量からメジアンランク法・ミーンランク法までを網羅して解説しています。関連記事のリンクを上げます。一回は目を通してください。

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「QCを学ぶ」=「順序統計量をマスターする」と言っても過言ではない!
でも順序統計量は難しいからみんな避けてしまう
だから本質が理解しにくくなる!

では、ワイブル確率紙に入る前に、指数分布の確率紙を考えてみましょう。簡単な関数でウォーミングアップして、本題のワイブル確率紙に入りましょう。

➂確率紙の考え方がわかる

ワイブル確率紙だけ勉強するな!

ワイブル確率紙だけ知っているのは、単なる受験対策って感じですよね。自分で考えて使いこなせるようになりましょう。

しつこく書きましたが、

基本は、順序統計量→確率分布の順で確率紙を理解する!

確率紙は今は不要、だけどエッセンスは理解すべき

今の時代、関数電卓もExcelなどの電子ツールがたくさんあります。スマホでも確率紙の計算はできる時代です。

今さら確率紙で何を理解する?
確率紙の使い方より、考え方ですよ!
確率紙の考え方を鍛えましょう

確率紙で考える

ポイントは、

  1. データは順序に並べて、順序統計量からyの確率を求める
  2. 直線型にすると確率分布のパラメータ値が求めやすい

流れを図で説明します。

ワイブル確率紙

ワイブル確率紙

ワイブル確率紙

ワイブル確率紙

指数分布を確率紙にプロットせよ!
って教科書には出てこない「この問い」ができますか?

確率紙の考え方がわかっていれば、簡単ですよね! 使い方しか覚えていないと応用が利かないはず。

では、実際に、指数分布とワイブル分布の両方を例に、確率紙の使い方を理解しましょう。

➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)

まず、順序統計量

確率分布によらず、データを大きさ順に並べると順序統計量として扱ってOK!

メジアンランク法やミーンランク法で、順序統計量に沿って確率Pを求めます。

ワイブル確率紙

下ごしらえは順序統計量でできる
確率分布は一切関係ない!

指数分布のプロット化

指数分布の式を用意します。
\(R(t)=exp^{-λt}\)

直線型に変換します!

ワイブル確率紙ワイブル確率紙

両辺、logを取ると
\(log R(t)\)=\(-λt\)
マイナスを消します。
\(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \(λt\)

よって、
\(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \(λt\)
で、
\(Y=log{\frac{1}{R(t)}}\),\(t=X\)とおくと、
\(Y=λt\)
という原点を通る直線にプロットすることができます。

【重要】変数の対応を確認!

式がいろいろ出てきたので、変数の対応を図で確認しましょう。

ワイブル確率紙

F(t)はメジアンランク法やミーンランク法から求めて、
R(t)=1-F(t)の関係からR(t)が計算できます。

確率分布の式を直線型に変換したので、それに対応して計算します。

昭和の時代は、計算機が無かったから、ワイブル確率紙が必須だった。
でも、今はExcel、関数電卓、スマホからlogの計算が楽勝にできる!
だから、ワイブル確率紙の使い方より、ワイブル分布の定数の導出方法や理論を理解する方が大事なんです!

例題で確認

データを用意します。

10個のデータを指数分布の確率紙にプロットせよ。
1.1、0.2、2.1、0.5、3.4、2.5、2.8、0.8、0.4、1.6

小さい順に並べて、メジアンランク法から確率を導出

データを並び替えると、
0.2、0.4、0.5、0.8、1.1、1.6、2.1、2.5、2.8、3.4
です。

これをメジアンランク法で確率を計算しましょう。(メジアンランク法でもミーンランク法でもOKですが、)

i データ F
(メジアンランク法)
F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)
1 0.2 0.067
2 0.4 0.163
3 0.5 0.26
4 0.8 0.356
5 1.1 0.452
6 1.6 0.548
7 2.1 0.644
8 2.5 0.74
9 2.8 0.837
10 3.4 0.933

これは図でいうと、

ワイブル確率紙

変数を対応させて直線プロットを描く

変数の関係は、

●変数の関係は、
・\(R(t)=1-F(t)\)
・\(X=t=(data)\)
・\(Y=log(\frac{1}{R(t)})= log(\frac{1}{1-F(t)})\)

計算結果を表にまとめると、

i data F R=1-F X Y
1 0.2 0.067 0.933 0.2 0.07
2 0.4 0.163 0.837 0.4 0.179
3 0.5 0.26 0.74 0.5 0.301
4 0.8 0.356 0.644 0.8 0.44
5 1.1 0.452 0.548 1.1 0.601
6 1.6 0.548 0.452 1.6 0.794
7 2.1 0.644 0.356 2.1 1.034
8 2.5 0.74 0.26 2.5 1.349
9 2.8 0.837 0.163 2.8 1.811
10 3.4 0.933 0.067 3.4 2.699

データをプロットします。指数分布の場合は、原点を通る直線ですね。

ワイブル確率紙

指数分布にあてはめよう

図より、
Y=0.6389xなので、λ=0.6389となります。
よって、指数分布は\(y=exp^{-0.6389t}\)
となります。(マイナスがあるのを注意しましょう。)

理論がわかれば、簡単なグラフから確率分布のパラメータが求めることがわかりましたね!ワイブル分布も同様に解けます!

➄ワイブル分布をワイブル確率紙で考える

まず、順序統計量

確率分布によらず、データを大きさ順に並べると順序統計量として扱ってOK!

メジアンランク法やミーンランク法で、順序統計量に沿って確率Pを求めます。

ワイブル確率紙

下ごしらえは順序統計量でできる
確率分布は一切関係ない!

ワイブル分布のプロット化

ワイブル分布の式を用意します。
\(R(t)\)=\(exp(-(\frac{t}{η})^m )\)

直線型に変換します!

ワイブル確率紙ワイブル確率紙

両辺、logを取ると
\(log R(t)\)=\( -(\frac{t}{η})^m \)
マイナスを消します。
\(log{\frac{1}{R(t)}}\)= \( (\frac{t}{η})^m \)

もう1回対数logをとります。
\(loglog{\frac{1}{R(t)}}\)= \( m(logt -logη)\)

よって、
\(loglog{\frac{1}{R(t)}}\)= \( m(logt -logη)\)
で、
\(Y= loglog{\frac{1}{R(t)}}\),\( logt =X\)、\( n=-mlogη\)とおくと、
\(Y=mX+n\)
という直線にプロットすることができます。

【重要】変数の対応を確認!

式がいろいろ出てきたので、変数の対応を図で確認しましょう。

ワイブル確率紙

F(t)はメジアンランク法やミーンランク法から求めて、
R(t)=1-F(t)の関係からR(t)が計算できます。

確率分布の式を直線型に変換したので、それに対応して計算します。

昭和の時代は、計算機が無かったから、ワイブル確率紙が必須だった。
でも、今はExcel、関数電卓、スマホからlogの計算が楽勝にできる!
だから、ワイブル確率紙の使い方より、ワイブル分布の定数の導出方法や理論を理解する方が大事なんです!

例題で確認

データを用意します。

10個のデータを指数分布の確率紙にプロットせよ。
1.1、0.2、2.1、0.5、3.4、2.5、2.8、0.8、0.4、1.6

小さい順に並べて、メジアンランク法から確率を導出

データを並び替えると、
0.2、0.4、0.5、0.8、1.1、1.6、2.1、2.5、2.8、3.4
です。

これをメジアンランク法で確率を計算しましょう。(メジアンランク法でもミーンランク法でもOKですが、)

i データ F
(メジアンランク法)
F=\(\frac{i-0.3}{n+0.4}\)
1 0.2 0.067
2 0.4 0.163
3 0.5 0.26
4 0.8 0.356
5 1.1 0.452
6 1.6 0.548
7 2.1 0.644
8 2.5 0.74
9 2.8 0.837
10 3.4 0.933
●この表は、指数分布の例と同じです。
不信頼度はメジアンランク法かミーンランク法で求めるので、
確率分布によらず、同じ結果であることが大事です。

変数を対応させて直線プロットを描く

変数の関係は、

●変数の関係は、
・\(R(t)=1-F(t)\)
・\(X=log t=log(data)\)
・\(Y=log(log(\frac{1}{R(t)}))= log(log(\frac{1}{1-F(t)}))\)
・\(m\)は直線の傾き
・\(n=mlogη\)から\(η\)を算出

ちょっと、換算式が複雑ですが、ここが大事で、ワイブル確率紙が何をやっている紙なのかを理解するポイントです。理解するポイントがわかれば、別に、ワイブル確率紙を使わなくても、簡単なグラフで直線にできます!

計算結果を表にまとめると、

i data F R=1-F X(=log(data)) Y(=ln(ln(1/R))
1 0.2 0.067 0.933 -1.61 -2.664
2 0.4 0.163 0.837 -0.916 -1.723
3 0.5 0.26 0.74 -0.693 -1.202
4 0.8 0.356 0.644 -0.223 -0.822
5 1.1 0.452 0.548 0.095 -0.509
6 1.6 0.548 0.452 0.47 -0.23
7 2.1 0.644 0.356 0.742 0.033
8 2.5 0.74 0.26 0.916 0.299
9 2.8 0.837 0.163 1.03 0.594
10 3.4 0.933 0.067 1.224 0.993

データをプロットします。ワイブル分布の場合は、y=mx+nの直線ですね。

ワイブル確率紙

指数分布にあてはめよう

図より、
Y=1.1695x-0.6441なので、
・\(m\)=1.1695
・\(n=mlogη\)=0.6441 より、\(η\)=1.734

ワイブル分布は
\(R(t)=exp(-(\frac{t}{1.734})^1.1695)\)

理論がわかれば、簡単なグラフから確率分布のパラメータが求めることがわかりましたね!ワイブル分布も同様に解けます!

ワイブル確率紙を使った結果と比較

ワイブル確率紙を使った結果を、簡単なグラフにすると、下図のようになり、

ワイブル確率紙

上の計算結果と比較すると、
・\(m\)=1.2(1.1695と近い結果)
・\(η\)=1.5(1.734と近い結果)
両者とも、ほぼ同じ値が算出できたことがわかります!

途中の計算が嫌なら、ワイブル確率紙を使えばいいけど、
理論を理解して自分で計算できるなら、慣れるまで時間がかかるワイブル確率紙を使わなくてもいい
ワイブル確率紙も自力でも使えるようになれば完璧ですね!

まとめ

「ワイブル確率紙がよくわかるし、自分で作れる!」を解説しました。

  • ①試験出題パターンが解けても本質は理解していない
  • ➁確率紙は順序統計量から入るもの
  • ➂確率紙の考え方がわかる
  • ➃確率紙は自分で作れる(指数分布を例に)
  • ➄確率紙は自分で作れる(ワイブル分布を例に)
  • ⑥自分で作った確率紙とワイブル確率紙でも同じ結果が得られる!

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