三菱自動車の品質不正を学ぶ
「三菱自動車からなぜ、品質不正で学ぶケースなのか?」と疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
どの企業でも起こり得る!
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
経営課題として全社的な問題です。
経営×品質の応用問題です。
品質不正をした相手への批判ではなく、表に出ない真因を考え抜く力を身に着けるためにブログ記事として解説していきます。
①品質マインド
●関連記事で解説しています。まず、こちらを読んでください。
【必読】品質不正を考える正しいマインドがわかる【褒めて応援すべし!】 品質不正の報道が出たら、その相手を叩こうとしていませんか?本記事では品質不正に対する正しいマインドを解説します。厳しい競争にさらされつつ、挑戦する社会では、失敗もつきものですよ。失敗をある程度許容して、反省して成功につなげやすいマインドが 必須です。 |
●大事な3つのマインドを再掲します。
- 品質不正を打ち明けた企業・組織を褒めよう!
- 対岸の火事ではない!
- 「失敗は成功のもと」につなげよう!
●悪い膿を出して、再生・復活する企業・組織を応援しましょう。もちろん、不正した相手の誠意が前提です。
➁品質不正の内容・被害
情報元
●Wikipediaと報告書があります。
●Wikipedia
●三菱リコール隠し
●報告書
●燃費不正問題に関する調査報告書
たくさん報告書がありますが、その1つを挙げます。
品質不正の内容
●簡潔にまとめます。
約69万台にのぼるリコールにつながる重要不具合情報(クレーム)を、運輸省(現・国土交通省)へ報告せず、社内で隠蔽している事実が、同年6月12日に運輸省自動車交通局のユーザー業務室に、三菱自動車社員による匿名の内部告発による通報で発覚。
(ii) 2004年 – 2002年の、ふそうトラックタイヤ脱落事故捜
2000年のリコール隠しを更に上回る74万台ものリコール隠しが発覚
(iii) 2016年 燃費試験の不正問題が日産に指摘され発覚。
これだけ、不正を繰り返す大手企業は「三菱自動車」くらいしかないので、特別事例と思うかもしれませんが、真因を分析すると、どの企業でも同じリスクが起こり得ることがわかります。なので解説します!
被害状況
死亡事故が発生しています。それでも不正を繰り返す企業。。。
➂発覚した経緯
内部通報や、日産からの指摘などいろいろあります。
➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
●ポイントは、
- 品質不正に走った理由
- 品質不正から脱却できず、繰り返す理由
企業の内外分析から、不正に入る真因を紐解いていきます。
そのために、次の3つの観点で分析しましょう。ここは経営分析、MBAの領域です。品質不正でも活用します!
- 外部環境の観点
- 組織の状況
フレームワーク「QCD」のQ,C,Dの観点から想像すると、
と、ピンと来ましたか? おそらく来ないので、解説します!
外部環境の観点
過去からの不正が多いため、信頼が他社ほどはないでしょう。当然シェア拡大は他社よりは難しいでしょう。
市場の変化の外部環境より、自社の内部環境の方に課題が多いです。
組織の状況
組織の問題を考えると、
- リコール対応の莫大な費用や、リコール対応の業務増加による新車の開発遅延の影響
- 設計、製造、技術で不具合を作った社員の処罰から逃げ
- 不都合なことは上司に報告したくない風土
- 経営難による人員削減による、リソース不足や技術継承の不完全さ
- 経営を立て直すために無理な納期とコストダウンで新車開発を要求
不正による経営再建のために、キツイ圧力が再び社内にかかるから
結局、また不正に走ってしまう。
ここまで来ると、「なるほど!」となりますね。
●「実際に、リコール隠し事件と業績悪化のために,人材が大量に退職したこと及び財務改善と利益確保が最優先課題となり,徹底したコスト削減を実施した」⇒確かに原価は下がりますが、品質・安全は大丈夫か?と心配になります。
「聖域なきコストカット」を掲げて徹底した経費削減策を実施し,2006 年度に当期利益の黒字化を達成した。2008 年度と2009 年度にはリーマンショックに苦しんだが,以後は業績が好転し,2014 年には復配」⇒時間が過ぎれば、経営状況も回復し、品質・安全が担保できる体制になったと期待したいですが、実際はQCDバランスは保つのが大変だったのかもしれません。
2016年に次の品質不正が発覚しました。
「リコール隠し事件の後遺症の人材不足により,人事異動をしようにも,その後任者を確保することが困難になったため,部署間の人事異動が乏しくなり,組織の閉鎖化が一層進展」⇒そうでしょうね。リソース不足になる中で、開発加速指示来たら、不正に走りますよ。
報告書に書いてあった、「不正の悪循環」のメカニズムを挙げます、QCDのC,Dに無理な圧力がかかっているのがわかります。
- 「無理な目標設定」
- 「開発体制の不足と硬直的な開発日程」
- 「研究開発費の不足による技術の劣後」
「開発担当者には競合他社と比べて過大な負担とノルマが課されることになり,自動車開発に必要な時間や工数を十分に確保できていない」
「開発日程が硬直的だった事情、事業再生計画のもと,財務改善と利益確保が至上命題とされていたため,利益計画の変更につながる開発期間の遅延に対しては容認されない雰囲」
品質と安全の精神が全くありません。それくらい経営難で、会社全体が苦しい状況だったのです。これは他社でも同じことが起こりうる話です。
ひどすぎる会社として、潰しても、似た会社が現れるだけです。自分事として真因を考えて対策しないと不正から抜け出せません。
➄品質不正に至った真因
QCDバランスはどう崩れたか?
不正が起きた原因は分析できました。QCプラネッツでは、分析結果をさらに、「QCD」を使って整理します。
つまり、QCDのバランスが何度も崩れるのが、品質不正を繰り返す真因です。
- 無理なC(コスト),D(納期)の圧力で一回Q(品質)が壊れ、品質不正に走る
- 発覚後、リコール対応と、社会からの制約を受けるため、経営難に陥る
- 経営再建のため、リストラと、新車開発加速が必要になるが、
- 無理なC(コスト),D(納期)の圧力が再びかかるので再度Q(品質)が壊れ、品質不正に走る
- また、経営難に陥り、ムリな立て直しのために、QCDのバランスが何度もくずれる
三菱自動車から学ぶ教訓
とても大事な教訓です。つまり、
「三菱自動車だけ特別!」ではありませんよね!
QCDバランスは一回崩れると、元のバランスした状態に戻すのは難しいことが、三菱自動車の事例からよくわかります。
また、他社でも同じことが十分に起こりうることもわかります。
⑥その後の結末
多額の制裁金を支払い、収益悪化につながり、経営再建を繰り返しています。
品質不正を直接犯すのは、現場のエンジニアですが、不正を犯す風土、組織、経営の課題を考えないと、不正の真因を見抜くことができません。
品質不正から、これだけ経営課題を解くヒントが読み取れます!
●三菱自動車は不正再発防止のために、どんな対応策をとるべきでしょうか?それを次に解説します。
⑦とるべき対応策
●何社も品質不正の分析をすると、取るべき対策は1つに抽象化できます。
組織の経営そのものを是正・修正しないと再発する。
●対応策については、関連記事で詳しく解説しました。批判で終わらず、建設的な改善提案と成功へつなげましょう!
【必読】品質不正からの名誉挽回方法がわかる 品質不正に陥った組織をどうやって立て直すかわかりますか?本記事では、批判で終わる品質不正の記事とは違って、信頼回復・改革に何が組織には必要なのかをわかりやすく解説します。誰かに任せるのではなく、自分事として自らリーダーシップをとって良い組織に生き返らせましょう!社会は温かく見守るべきです。 |
がんばりましょう!
まとめ
「三菱自動車の品質不正を学ぶ」を解説しました。
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
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