パロマの品質不正を学ぶ
「パロマからなぜ、品質不正で学ぶケースなのか?」と疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
どの企業でも起こり得る!
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
経営課題として全社的な問題です。
経営×品質の応用問題です。
品質不正をした相手への批判ではなく、表に出ない真因を考え抜く力を身に着けるためにブログ記事として解説していきます。
①品質マインド
●関連記事で解説しています。まず、こちらを読んでください。
【必読】品質不正を考える正しいマインドがわかる【褒めて応援すべし!】 品質不正の報道が出たら、その相手を叩こうとしていませんか?本記事では品質不正に対する正しいマインドを解説します。厳しい競争にさらされつつ、挑戦する社会では、失敗もつきものですよ。失敗をある程度許容して、反省して成功につなげやすいマインドが 必須です。 |
●大事な3つのマインドを再掲します。
- 品質不正を打ち明けた企業・組織を褒めよう!
- 対岸の火事ではない!
- 「失敗は成功のもと」につなげよう!
●悪い膿を出して、再生・復活する企業・組織を応援しましょう。もちろん、不正した相手の誠意が前提です。
➁品質不正の内容・被害
情報元
15年前の話ですけど、情報がほぼ無いですが、拾える情報から分析しましょう。情報がなくても考え抜くことが大事です。
品質不正の内容
●簡潔にまとめます。
●器具の延命等を目的に安全装置を解除したサービス業者による不正改造し、一酸化炭素中毒事故発生リスク増大
他にも事故につながる情報があるかもしれませんが、ネットで拾える情報はこれくらいです。あとは、湯沸かし器の構造や機械工学的な話が多いです。
そのリスクや危険にしないといけなくなった真因や圧力は何か?
が最も大事です。
品質不正の原因で「技術力不足」、「構造上の欠陥」など、技術的な観点でまとめる報告書が多いです。しかし、技術力な原因は手間をかければ絶対直せるものです。
とさせたものが一番知りたい真因です。
手間をかけると技術的な問題は解決するのに、なぜしかったのか?できなかったのか?できなくした原因は何か? を見抜くのが本質です。
被害状況
瞬間湯沸器で一酸化炭素中毒による死亡事故
1985年1月より20年間で日本で28件(※2007年10月13日時点で、死亡21人・重軽症19人)発生
➂発覚した経緯
死亡事故から原因調査で発覚。
➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
企業の内外分析から、不正に入る真因を紐解いていきます。
そのために、次の3つの観点で分析しましょう。ここは経営分析、MBAの領域です。品質不正でも活用します!
- 外部環境の観点
- 組織の状況
- 担当レベルの動き
フレームワーク「QCD」のQ,C,Dの観点から想像すると、
と、ピンと来ましたか? おそらく来ないので、解説します!
今回のケースは、逆に、担当者の不正行為から組織の課題を見ていきます。外部環境分析しても、課題は見つからないので今回は省略です。
- 担当レベルの動
- 組織の状況
担当レベルの動き
実際の不正行為をまとめます。
さて、ここで疑問に思って欲しいですのが
悪徳な修理業者だ! けしからん!
という思考では、マスコミと同じ思考であり、真因を見抜くことができません。
修理業者も含めて、製造物を取り扱う人は、元来、良い製品にしたい!という高い倫理観があります。
人を困らせるために、メーカーでモノづくりしたり、修理・サービスする人はいませんし、いてもほぼ少数派で、会社がそういう人を解雇しますよ。
疑問に思って欲しいのは
危険な状態に改造するのは、異常ですよ!
これが、品質不正の真因を追究する大事な思考力です。
そうなると、
あるべき正しい方法が取れない原因は担当者よりは、組織・会社の問題や体質に原因があると気づくはずです。
組織の状況
正しい修理方法は当時からわかっていました。
なぜ、予備部品を用意しなかったのか? できなかったのか? そうさせなかったのか?とかいろいろ疑問に思いますよね。
部品の生産が間に合わない、予備部品にコストがかかる!
顧客を思って、十分な予備部品を予め用意したいが、それをさせない上層部
・・・
だんだん、品質不正を犯す組織の典型な型が見えてきました。
ここは推測ですが、
- 上位シェア維持のため売上・利益至上主義ではなかったか?
- アフターサービスの充実より、販売を優先したのではないか?
- 過去の事故を受けて、是正処置など対策がメーカーに取れなかったではないか?
- 事故再発防止を提言する環境がメーカーにはなかったのではないか?
- モノ言う風土が社内になかったのではないか?
- コストがかかる予備部品の優先度をさげたのではないか?
- 収益優先で、ムリな納期必達で予備部品を生産する余裕がなかったのではないか?
と、「QCDバランス」がよくない状態が、長年の事故につながっていたと考えることができます。
➄品質不正に至った真因
QCDバランスはどう崩れたか?
不正が起きた原因は分析できました。QCプラネッツでは、分析結果をさらに、「QCD」を使って整理します。
無理な納期ノルマ、コスト圧力が、安全な修理対応をさせない状況を生み出し、それを改善する提言が言える風土ではなかったのではないかと考えられます。
当時、パロマ工業の株式の過半数は創業家が保有する典型的な非上場・同族経営企業です。経営トップのワンマン体制になる傾向が強く、トップの指示が適切でないと事故や不正につながるリスクが増大します。
パロマから学ぶ教訓
とても大事な教訓です。つまり、
適切な作業ができない状況を生み出す圧力を考えることが真因を見抜く上で重要。
そして、どの企業でも起こりうる事例であるから注意しないといけない
他社でも同じことが十分に起こりうることもわかります。
情報が少ないので、他社事例ほど、「CとDに無茶な圧力がかかっていた」かどうかは断定できませんが、全く圧力がなかったとは言えません。なぜなら、十分な納期への余裕と予備部品にかけるコストが割かれていたら、修理業者も適切な修理方法で対処していたでしょう。
また、その場で直しにくい機器の構造であることもわかっていますが、それも不正させる圧力がなかったら、設計・開発側にフィードバックしてより安全性の高い機器が出荷されていたはずです。
そうならなかったのは、そう判断した経営に課題があるとみるべきです。
⑥その後の結末
2006年7月時点で国内生産を3割減産し、従業員の人員を削減しました。パロマは日本で唯一シェアトップだった給湯器部門でも、競合のリンナイに、その座を明け渡してしまいました。
経営陣の有罪判決も出ています。
●パロマは不正再発防止のために、どんな対応策をとるべきでしょうか?それを次に解説します。
⑦とるべき対応策
●何社も品質不正の分析をすると、取るべき対策は1つに抽象化できます。
組織の経営そのものを是正・修正しないと再発する。
●対応策については、関連記事で詳しく解説しました。批判で終わらず、建設的な改善提案と成功へつなげましょう!
【必読】品質不正からの名誉挽回方法がわかる 品質不正に陥った組織をどうやって立て直すかわかりますか?本記事では、批判で終わる品質不正の記事とは違って、信頼回復・改革に何が組織には必要なのかをわかりやすく解説します。誰かに任せるのではなく、自分事として自らリーダーシップをとって良い組織に生き返らせましょう!社会は温かく見守るべきです。 |
がんばりましょう!
まとめ
「パロマの品質不正を学ぶ」を解説しました。
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
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