東洋紡の品質不正を学ぶ
「東洋紡からなぜ、品質不正で学ぶケースなのか？」と疑問に思いませんか？
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
どの企業でも起こり得る！
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
経営課題として全社的な問題です。
経営×品質の応用問題です。
品質不正をした相手への批判ではなく、表に出ない真因を考え抜く力を身に着けるためにブログ記事として解説していきます。
①品質マインド
●関連記事で解説しています。まず、こちらを読んでください。
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【必読】品質不正を考える正しいマインドがわかる【褒めて応援すべし！】 品質不正の報道が出たら、その相手を叩こうとしていませんか？本記事では品質不正に対する正しいマインドを解説します。厳しい競争にさらされつつ、挑戦する社会では、失敗もつきものですよ。失敗をある程度許容して、反省して成功につなげやすいマインドが 必須です。 |
●大事な3つのマインドを再掲します。
- 品質不正を打ち明けた企業・組織を褒めよう！
- 対岸の火事ではない！
- 「失敗は成功のもと」につなげよう！
●悪い膿を出して、再生・復活する企業・組織を応援しましょう。もちろん、不正した相手の誠意が前提です。
➁品質不正の内容・被害
情報元
日に日に情報がアップされていますが、以下の情報を挙げます。
●当社 PBT 樹脂「プラナック®」に関する不適切事案の調査結果等に関するご報告（開示事項の経過）
品質不正の内容
●簡潔にまとめます。
(ii)安全認証登録した組成と一部異なる組成の製品を製造・販売。
((i)(ii)：●報告書
(iii) 製品の製造工程を省くなどの不適切な対応が見つかった
（樹脂製品の原料を製造する工程で事前に顧客と取り決めた頻度で温度測定を実施せず、前回測定時の温度をそのまま記録したケース）
●JIJI.com
今後の情報もwatchしていきます。
被害状況
大きな被害は今のところありません。
➂発覚した経緯
2020年8月末に東洋紡の担当部門から経営陣に報告があり発覚しました。
外部の弁護士らによる従業員への聞き取り調査のなかで、新たな不正が明らかになりました。
➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
企業の内外分析から、不正に入る真因を紐解いていきます。
そのために、次の3つの観点で分析しましょう。ここは経営分析、MBAの領域です。品質不正でも活用します！
- 外部環境の観点
- 組織の状況
- 担当レベルの動き
もう一度、不正の真因内容をみましょう。適宜ツッコみをいれます。
⇒なぜ、違う工場で製造しなければならなかったのか？
(ii)安全認証登録した組成と一部異なる組成の製品を製造・販売。
⇒なぜ、違う組成で製造しなければならなかったのか？
(iii) 製品の製造工程を省くなどの不適切な対応が見つかった
（樹脂製品の原料を製造する工程で事前に顧客と取り決めた頻度で温度測定を実施せず、前回測定時の温度をそのまま記録したケース）
⇒なぜ、違う製法で製造しなければならなかったのか？
まだ、“確定”まではいきませんが、他社事例を見てきたQCプラネッツは、
フレームワーク「ＱＣＤ」のＱ，Ｃ，Ｄの観点から想像すると、
と、ピンと来ます。！ あなたは、ピンと来たでしょうか？
ピンとこない場合は、解説しますのでもう少し本記事を読んでください！
報告書に書いている真因
列挙すると、
⇒他部署が関与する体制がない
②監査機能の不備
⇒サンプル作製は、事業部から独立した品質保証部門による監査の対象外
③コンプライアンス意識の低さ
⇒企業による品質偽装が社会問題化した後は、担当事業部内で是正することなく解決しようとしたこと
④内部通報制度の機能不全
⇒コンプライアンス意識の低さとともに、内部通報に対する理解や制度への信頼が乏しい
⑤担当事業部内の環境等
⇒担当事業部は、人事交流の少なさや他部署からの影響・干渉がないことから、閉ざされた組織が構築されてしまっていた。
一見、説得力がありますが、「本当か？」ともう少し踏み込んで分析しましょう。
外部環境の観点
最終的な報告書でないと、会社にかかっていた外圧が何であるかは書いていません。
しかし、QCプラネッツではマーケテイング分析があるので、
●3C分析、
●PEST、
●5F分析、
●SWOT分析
を駆使して課題を見つける事ができます。
- 市場動向、競合、競争の厳しさはどうか？
- 規格、法令は厳しいのか？ 経営に影響は出ないか？
- 東洋紡によっての調達元、顧客との力関係はどうか？
- 代替品や新規参入者はあるか？
- ヒトモノカネのリソースは充分か？
おそらく、どれか１つでも厳しい状況にさらされていると品質不正につながるおそれがあります。
まだ、事実は決まっていませんので、想定できる事象を今は考えておくことです。
組織の状況
①事業譲受におけるチェック体制の不備
②監査機能の不備
④内部通報制度の機能不全
が組織の課題に該当します。
- 組織内の流動性がどうか？
- 上層部にモノが言える風土があるか？
- 経営陣の影響力は強すぎないか？
- 極端なコストカットで、必要な設備環境などが整っているか？
- 人材や力量は充分か？
組織の流動性が悪いと品質不正につながります。
よくあるのが、
●上にモノが言いにくい、
●都合の悪いことは言えないとか、
●組織内の異動がすくなく、新陳代謝がない、
●コスト・納期のプレッシャーがひどく提案・改善する余裕すらない
組織ではないかなど、いろいろ推測しましょう。
まだ、事実は決まっていませんので、想定できる事象を今は考えておくことです。
担当レベルの動き
③コンプライアンス意識の低さ
⑤担当事業部内の環境等
が担当個人の課題に該当します。
- 上司にモノが言える風土があるか？
- 極端なコストカットで、必要な設備環境などが整っているか？
- 異動経験が少ないかどうか？
よくあるのが、
●周囲も、上司も過去から同じ（不正）しているんだから、大丈夫というよくわからない安心感とか、
●コスト・納期必達のプレッシャーから、どうすることもなく不正の手段にせざるを得ない状況にいつもある
などがほとんどです。
技術者個人は本来、倫理観もコンプライアンスは高いです。
ごく一部の人はそうではないため、この人たちは個別に不正しますが、個別に処罰すればよいだけです。
組織にいる担当それぞれが不正する環境は、やはりおかしな外圧をかけられているから、そうせざるを得ない状況となっているのです。
まだ、事実は決まっていませんので、想定できる事象を今は考えておくことです。
➄品質不正に至った真因
ＱＣＤバランスはどう崩れたか？
不正が起きた原因は、他社事例と同様に、おそらくＱＣＤバランスの崩れではないかと推測します。QCプラネッツでは、分析結果をさらに、「QCD」を使って整理します。
規格より顧客の受注・納期を優先（Ｄ）
の圧力が、品質不正（Ｑ）に走らざるを得ない状況になった
東洋紡のケースでも「QCDバランスの崩れ」が品質不正の真因であるとシンプルかつ明快にわかりましたね。
単なる、悪意の持った検査部門担当が悪いのではなく、厳しい経営の中、何とかやりくいしていたのに無理がたたってきたというのが真因です。
経営戦略を見直さなければ、品質不正は再発する恐れがあります。ここが、「品質不正は経営を考えろ！」という意味です。
⑥その後の結末
3つの樹脂の計217品目で安全認証を受けていたが、全て取り消されています。
⑦とるべき対応策
まだ、すべての真因がわかるには時間がかかりますが、とるべき対応策は、他社の不正事例と同じではないかと考えています。
●何社も品質不正の分析をすると、取るべき対策は１つに抽象化できます。
組織の経営そのものを是正・修正しないと再発する。
●対応策については、関連記事で詳しく解説しました。批判で終わらず、建設的な改善提案と成功へつなげましょう！
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がんばりましょう！
まとめ
「東洋紡の品質不正を学ぶ」を解説しました。
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
新たな情報が入り次第、追記し、さらに深い分析をしていきます。
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