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【QC検定®3級】範囲Rは標準偏差sより大きくなる

QC検定®3級

「QC検定®3級でよく出る、範囲と標準偏差はどちらが大きいのかわからない」、と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【QC検定®3級】範囲Rは標準偏差sより大きくなる
「範囲」と「標準偏差」

どちらも、中心・平均からのばらつきを評価する変数だけど、
●「どちらが大きいか?」をはっきりさせます!
「範囲」と「標準偏差」の比較を数式で証明する情報って、意外と無いのでQCプラネッツで解説します。
  • ⓪(QC検定®3級共通)QC勉強方法がわかる
  • ①範囲Rと標準偏差s
  • ②範囲Rは標準偏差sより大きくなる証明
●商標使用について、
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

⓪(QC検定®3級共通)QC勉強方法がわかる

QCプラネッツでは、QC検定®3級受験者、および品質管理初心者の方に、馴染みにくい品質管理用語や概念をわかりやすく解説します。

QC検定®3級共通として、まず、勉強方法を読んでください。

【QC検定®3級】勉強方法がわかる
QC検定®3級受験や品質管理を初めてのあなたへ、勉強方法を解説します。直前の丸暗記の合否だけではなく、品質管理を得意・好きになれる方法をわかりやすく解説します。試験合格、品質管理の理解を深めたい方は必見です。

試験直前の丸暗記ではなく、
考えて活かせる品質管理を伝授します。

①範囲Rと標準偏差s

範囲R

●データ\(x_i\) (\(i=1,…,n\))があるとします。

●範囲Rは
R=\(x_{max} – x_{min}\)
で定義しますね。

もう1つ大事なのは、範囲Rは大から小を引くので、0以上になります。つまり、
R ≥ 0
です。

標準偏差s

●標準偏差は、分散の平方根です。ちょっと式が難しいですが、慣れましょう。
s=\(\sqrt{\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2}{n}}\)

人間は範囲Rを、数学は標準偏差sを好む

●品質管理、管理図などの勉強を始めた人は、範囲Rの方が計算しやすいですよね。でも、範囲Rより標準偏差sの方が数学は好みます。その理由を関連記事に書いています。

関連記事は、単に範囲R,標準偏差sだけでなく、それを活用する管理図の勉強もできますので、是非読んでください。

【QC検定®3級】範囲と標準偏差がわかる
QC検定®3級受験や品質管理が初めてのあなたへ。「範囲」と「標準偏差」の違いが説明できますか?本記事では、「範囲」と「標準偏差」の違いと管理図との関係をわかりやすく解説します。単なる公式暗記、代入で終わらず本質を理解してほしいです。試験合格、品質管理の理解を深めたい方は必見です。

②範囲Rは標準偏差sより大きくなる証明

範囲Rは標準偏差sより大きくなる証明

●範囲R=\(x_{max} – x_{min}\)
●標準偏差s=\(\sqrt{\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2}{n}}\)
と両方とも負にはならない値ですが、どちらが大きいか数学的に確認しましょう。

●まず、\(x_{max}\)と\(x_i\)を比較すると、
\(x_{max}\) ≥ \(x_i\)
ですね。\(x_{max}\)は最大値だからです。

つまり、
(\(x_{max} – x_{min}\)) ≥ (\(x_i-x_{min}\))
ですね。

●次に、\(x_{min}\)と\(\bar{x}\)を比較すると、
\(x_{min}\) ≤ \(\bar{x}\)
ですね。\(x_{min}\)は最小値だからです。
逆に、
-\(x_{min}\) ≥ -\(\bar{x}\)
ですね。両辺にマイナスをかけて不等号を逆にしました。これは中2数学レベル。

つまり、
(\(x_i-x_{min}\)) ≥ (\(x_i-\bar{x}\))
ですね。

●まとめると、
(\(x_{max} – x_{min}\)) ≥ (\(x_i-\bar{x}\))
となります。下ごしらえ完了!

●次に両辺を2乗にして、両辺に\(\sum_{i=1}^{n}\)をつけます。不等号の向きは変わりません。
\(\sum_{i=1}^{n}\) (\(x_{max} – x_{min})^2\) ≥ \(\sum_{i=1}^{n}\) (\(x_i-\bar{x})^2\)

●今度は(左辺)に注目します。
\(x_{max}\)も\(x_{min}\)もiに関係ありませんので、
(左辺)は単純にn倍された結果になります。つまり、
\(\sum_{i=1}^{n}\) (\(x_{max} – x_{min})^2\)=\(n(x_{max} – x_{min})^2\)

この関係を不等式に入れると
\(n(x_{max} – x_{min})^2\) ≥ \(\sum_{i=1}^{n}\) (\(x_i-\bar{x})^2\)
両辺nで割ります。
(\(x_{max} – x_{min})^2\) ≥ \(\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2}{n}\)

さらに(左辺)と(右辺)はそれぞれ0以上の値です。
両辺の平方根をとっても不等号の向きは変わりません。

|\(x_{max} – x_{min})\)| ≥ \(\sqrt{\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2}{n}}\)
(左辺)の絶対値記号ですが、中身は0以上なのでそのまま()に直せます。

よって、
(\(x_{max} – x_{min})\) ≥ \(\sqrt{\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2}{n}}\)
よく見ると
(左辺)=範囲R
(右辺)=標準偏差s
です。

範囲R ≥ 標準偏差s

さらに、等号成立条件は、「=」の場合です。つまり、
\(x_{max}\) =\(x_{min}\)=\(x_i\)=\(\bar{x}\)
です。これは、すべてのiについて
\(x_i\)が同じ値である場合です。

範囲Rは標準偏差sより大きくなる確認

実際に確認してみましょう。

●データ2つ用意します。
・データ1: 10,18,14,17,10,16,12,13,10,17
・データ2: 14,14,14,14,14,14,14,14,14,14

範囲Rと標準偏差sを計算すると、

データ1 データ2
範囲R 8 0
標準偏差s 3.06 0

データ1は 範囲Rの方が標準偏差sより大きくなりましたが、
データ2は両者とも同じになりました。けど0ですけどね。

データの数値は必ずばらつくので、
範囲Rの方が標準偏差sより大きくなります。

数学の式で証明できたのは面白いことですね。

標準偏差sより厳し目に評価して品質管理したい場合は、あえて範囲Rを使うのも手かもしれません。ただし、異常値があると範囲Rの値が引っ張られる点には注意してください。

まとめ

【QC検定®3級】範囲Rは標準偏差sより大きくなる理由をわかりやすく解説しました。

  • ⓪(QC検定®3級共通)QC勉強方法がわかる
  • ①範囲Rと標準偏差s
  • ②範囲Rは標準偏差sより大きくなる証明


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