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2方分割法の分散分析・区間推定が解ける【必見】

実験計画法

「2方分割法って何なの?」、「2方分割法の分散分析や期待値の導出がわからない、解けない」、「分散分析表から調べたい効果の区間推定の導出方法がわからない」など、2方分割法の分散分析の解法がわからず、期待値の式など暗記で片付けていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

2方分割法の分散分析や期待値の導出ができる

2方分割法の分散分析や期待値の導出

  • ➀2方分割法とは何かがわかる
  • ②2方分割法のデータの構造式が書ける
  • ③2方分割法の平方和の分解の式が書ける
  • ④2方分割法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
  • ⑤2方分割法の分散分析ができる
  • ⑥2方分割法の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
  • ⑦2方分割法の分散分析が導出できる演習問題

記事の信頼性

記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。本記事は、どこに書いていない、私が研究して見つけた本記事限定の内容です。実験計画法の肝なので、必読です!

●You tube動画でも解説しています。ご確認ください。

➀2方分割法とは何かがわかる

実験順序の違いで理解する

2段分割法と2方分割法を比較して、2方分割法を理解しましょう。

イメージ

2方分割法

図から、見た目は違うことがわかります。でも、よくわからないので、
実験順序の違いを比較します。

2方分割法

(ii) 先にAiをランダムに選ぶ。選んだAiの中でBjをランダムに選ぶ
(iii) AiBj単位でランダムに選ぶ

データの構造式から2方分割法を理解する

  1. 完全配置実験のデータの構造式を作る
  2. 一部の項を変形すれば2方分割法になる

②2方分割法のデータの構造式が書ける

データの構造式

まず、完全配置実験のデータの構造式を機械的に書きます。

四元配置実験のデータの構造式

xijkl=μ+αijkl
+(αβ)ij+(αγ)ik+(αδ)il
+(βγ)jk+(βδ)jl+(γδ)kl
+(αβγ)ijk+ (αβδ)ijl+(αγδ)ikl+(βγδ)jkl
+ eijkl

完全配置実験のデータの構造式の各項から、2段分割法、2方分割法へ変形していきます。

完全配置 2段分割 2方分割
1 αi αi 1 αi 1A
2 βj βj 2 βj 1B
3 γk γk 3 γk 3
4 δl δl(反復) 1 δl(反復) 1A
5 (αβ)ij (αβ)ij 2 (αβ)ij 2
6 (αγ)ik (αγ)ik 3 (αγ)ik 3
7 (αδ)il e(1)il 1 e(1A)il 1A
8 (βγ)jk (βγ)jk 3 (βγ)jk 3
9 (βδ)jl e(2)jl 2 e(1B)jl 1B
10 (γδ)kl e(3)ijkl 3 e(3)kl 3
11 (αβγ)ijk (αβγ)ijk 3 (αβγ)ijk 3
12 (αβδ)ijl e(2)ijl 2 e(2)ijl 2
13 (αγδ)ikl e(3)ijkl 3 e(3)ijkl 3
14 (βγδ)jkl e(3)ijkl 3 e(3)ijkl 3
15 eijkl e(3)ijkl 3 e(3)ijkl 3

まず、2段分割法では、δを反復(変量因子)、因子Aを1次単位、因子Bを2次単位として3分割します。上表のように各項が変化します。δを変量因子としたため、δを含む交互作用はすべて残差eにプーリングしています。

次に、2方分割法では2段分割法から因子Aは1A単位、因子Bを1B単位として分け、交互作用A×Bを2段分割法と同じく2次単位、3次単位に含む項は2段分割法と2方分割法ともに同じになります。

2方分割法のデータの構造式を丸暗記せず、元の完全配置実験からどのように式が変化したかを理解することが大切です。

2方分割法のデータの構造式は、下の式になります。

2方分割法のデータの構造式

xijkl=μ+δli+e(1A)il
j+ e(1B)jl
+(αβ)ij+ e(2)ijl
k+(αγ)ik+(βγ)jk
+(αβγ)ijk+ e(3)ijkl

各平均値をデータの構造式で作る

母数因子と変量因子の違い

関連記事にて、母数因子と変量因子を解説しました。

母数因子と変量因子

母数因数:α、β、γ、αβ、αγ、βγ、αβγ
変量因子:δ、e(1A)、e(1B),e(2), e(3)

平均値

母数因数の平均は0。
変量因子の平均は0ではない。

平均値を式にする場合、添字のない文字項はすべて0にしますが、変量因子の場合は平均値をいれます。

平均値の式の代表例

データの構造式

2方分割法のデータの構造式

xijkl=μ+δli+e(1A)il
j+ e(1B)jl
+(αβ)ij+ e(2)ijl
k+(αγ)ik+(βγ)jk
+(αβγ)ijk+ e(3)ijkl

\(\bar{x_{i・・・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(α_i\)+\(\bar{e_{(1A)i・}}\)+\(\bar{e_{(2)i・・}}\)+\(\bar{e_{(3)i・・・}}\)
\(\bar{x_{・j・・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(β_j\)+\(\bar{e_{(1B)j・}}\)+\(\bar{e_{(2)・j・}}\)+\(\bar{e_{(3)・j・・}}\)
\(\bar{x_{・・k・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(γ_k\)+\(\bar{e_{(3)・・k・}}\)
\(\bar{x_{・・・l}}\)=μ+\(δ_l\)+\(\bar{e_{(1A)・l}}\)+\(\bar{e_{(1B)・l}}\)+\(\bar{e_{(2)・・l}}\)+\(\bar{e_{(3)・・・l}}\)
\(\bar{x_{ij・・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(α_i\)+\(\bar{e_{(1A)i・}}\)+\(β_j\)+\(\bar{e_{(1B)j・}}\)+\((αβ)_{ij}\)+\(\bar{e_{(2)ij・}}\)+\(\bar{e_{(3)ij・・}}\)
\(\bar{x_{i・k・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(α_i\)+\(\bar{e_{(1A)i・}}\)+\(\bar{e_{(2)i・・}}\)+\(γ_k\)+\((αγ)_{ik}\)+\(\bar{e_{(3)i・k・}}\)
\(\bar{x_{i・・l}}\)=μ+\(δ_l\)+\(α_i\)+\(e_{(1A)il}\)+\(\bar{e_{(1B)・l}}\)+\(\bar{e_{(2)i・l}}\)+\(\bar{e_{(3)i・・l}}\)
\(\bar{x_{・jk・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(β_j\)+\(\bar{e_{(1B)j・}}\)+\(\bar{e_{(2)・j・}}\)+\(γ_k\)+\((βγ)_{jk}\)+\(\bar{e_{(3)・jk・}}\)
\(\bar{x_{・j・l}}\)=μ+\(δ_l\)+\(\bar{e_{(1A)・l}}\)+\(β_j\)+\(e_{(1B)jl}\)+\(\bar{e_{(2)・jl}}\)+\(\bar{e_{(3)・j・l}}\)
\(\bar{x_{・・kl}}\)=μ+\(δ_l\)+\(\bar{e_{(1A)・l}}\)+\(\bar{e_{(1B)・l}}\)+\(\bar{e_{(2)・・l}}\)+\(γ_k\)+\(\bar{e_{(3)・・kl}}\)
\(\bar{x_{ijk・}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(α_i\)+\(\bar{e_{(1A)i・}}\)+\(β_j\)+\(\bar{e_{(1B)j・}}\)+\((αβ)_{ij}\)+\(\bar{e_{(2)ij・}}\)+\(γ_k\)+\((αγ)_{ik}\)+\((βγ)_{jk}\)+\((αβγ)_{ijk}\)+\(\bar{e_{(3)ijk・}}\)
\(\bar{x_{ij・l}}\)=μ+\(δ_l\)+\(α_i\)+\(e_{(1A)il}\)+\(β_j\)+\(e_{(1B)jl}\)+\((αβ)_{ij}\)+\(e_{(2)ijl}\)+\(\bar{e_{(3)ij・l}}\)
\(\bar{x_{i・kl}}\)=μ+\(δ_l\)+\(α_i\)+\(e_{(1A)il}\)+\(\bar{e_{(1B)・l}}\)+\(\bar{e_{(2)i・l}}\)+\(γ_k\)+\((αγ)_{ik}\)+\(\bar{e_{(3)i・kl}}\)
\(\bar{x_{・jkl}}\)=μ+\(δ_l\)+\(\bar{e_{(1A)・l}}\)+\(β_j\)+\(e_{(1B)jl}\)+\(\bar{e_{(2)・jl}}\)+\(γ_k\)+\((βγ)_{jk}\)+\(\bar{e_{(3)・jkl}}\)
\(\bar{\bar{x}}\)=μ+\(\bar{δ}\)+\(\bar{\bar{e}}\)

③2方分割法の平方和の分解の式が書ける

データの構造式を変形

式を書くと見づらいので、表にまとめます。分散分析はデータの構造式が複雑になると表で整理するのがオススメです

SD SA Se(1A) SB Se(1B) SA×B
\(x_{ijkl}\)
\(\bar{x_{i・・・}}\) 1 -1 -1
\(\bar{x_{・j・・}}\) 1 -1 -1
\(\bar{x_{・・k・}}\)
\(\bar{x_{・・・l}}\) 1 -1 -1
\(\bar{x_{ij・・}}\) 1
\(\bar{x_{i・k・}}\)
\(\bar{x_{i・・l}}\) 1
\(\bar{x_{・jk・}}\)
\(\bar{x_{・j・l}}\) 1
\(\bar{x_{・・kl}}\)
\(\bar{x_{ijk・}}\)
\(\bar{x_{ij・l}}\)
\(\bar{x_{i・kl}}\)
\(\bar{x_{・jkl}}\)
\(\bar{\bar{x}}\) -1 -1 1 -1 1 1

Se(2) SC SA×C SB×C SA×B×C Se(3)
\(x_{ijkl}\) 1
\(\bar{x_{i・・・}}\) 1 -1 1
\(\bar{x_{・j・・}}\) 1 -1 1
\(\bar{x_{・・k・}}\) 1 -1 -1 1
\(\bar{x_{・・・l}}\) 1
\(\bar{x_{ij・・}}\) -1 -1 1
\(\bar{x_{i・k・}}\) 1 -1
\(\bar{x_{i・・l}}\) -1
\(\bar{x_{・jk・}}\) 1 -1
\(\bar{x_{・j・l}}\) -1
\(\bar{x_{・・kl}}\)
\(\bar{x_{ijk・}}\) 1 -1
\(\bar{x_{ij・l}}\) 1 -1
\(\bar{x_{i・kl}}\)
\(\bar{x_{・jkl}}\)
\(\bar{\bar{x}}\) -1 -1 1 1 -1

表から各平方和の導出式が簡単にでますね。SA、SA×C、Se(2)を例に挙げます。

\(S_A\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\( (\bar{x_{i・‥}}-\bar{\bar{x}})^2\)

\(S_{A×C}\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((\bar{x_{i・k・}}-\bar{x_{i‥・}}-\bar{x_{・・k・}}+\bar{\bar{x}})^2\)

\( S_{e(2)}\)= \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)

\((x_{ij・l}-\bar{x_{ij・}}-\bar{x_{i・l}}-\bar{x_{・jl}}\)
\(+\bar{x_{i‥}}+\bar{x_{・j・}}+\bar{x_{‥l}}-\bar{\bar{x}})^2\)

と書けますね。他の平方和も同様にΣΣΣ( )^2で計算できます。

④2方分割法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる

期待値については、関連記事をご覧下さい。

主効果の分散の期待値の導出

E[\(S_A\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((\bar{x_{i…}}-\bar{\bar{x}})^2\)]

=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((α_i+\bar{e_{(1A)i・}}+\bar{e_{(2)i‥}}+\bar{e_{(3)i…}}-\bar{\bar{e}})^2\)]

=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((α_i )^2\)]
+E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((\bar{e_{(1A)i・}}++\bar{e_{(2)i‥}}+\bar{e_{(3)i…}}-\bar{\bar{e}})^2\)]

=\(bcd(a-1)σ_A^2\) +\((a-1)(bcσ_{e(1A)}^2+cσ_{e(2)}^2+σ_{e(3)}^2\))

主効果Aの自由度は(a-1)より、分散の期待値E[VA]が求まります。

E[\(V_A\)]=\(bcdσ_A^2\) +\((bcσ_{e(1A)}^2+ cσ_{e(2)}^2+σ_{e(3)}^2\))

なお、分散の期待値を以下とします。

\( σ_A^2\)=E[\(\frac{\sum_{i=1}^{a}α_i^2}{a-1}\)]

\(σ_e^2\)については解説集にあります。

交互作用の分散の期待値の導出

E[\(S_{A×C}\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((\bar{x_{i・k・}}-\bar{x_{i…}}-\bar{x_{‥k・}}+\bar{\bar{x}})^2\)]

=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\(((αγ)_{ik}+(\bar{e_{(3)i・k・}}-\bar{e_{(3)i…}}-\bar{e_{(3)‥k・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\(((αγ)_{ik}^2)\)
+ E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)
\((\bar{e_{(3)i・k・}}-\bar{e_{(3)i…}}-\bar{e_{(3)‥k・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

第1項:
bdE[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{k=1}^{c}\)
\(((αγ)_{ik})^2]\)
=\(bd(a-1)(c-1)σ_{A×C}^2\)

第2項:
=\((a-1)(c-1)σ_{e(3)}^2\)

E[\(S_{A×C}\)]
=\(bd(a-1)(c-1)σ_{A×C}^2\)+\((a-1)(c-1)σ_{e(3)}^2\)

交互作用A×Cの自由度は(a-1)(c-1)より、分散の期待値E[VA×C]が求まります。

E[\(V_{A×C}\)]=\(bdσ_{A×C}^2\)+\(σ_{e(3)}^2\)

なお、分散の期待値を以下とします。

\( σ_{A×C}^2\)=E[\(\frac{\sum_{i=1}^{a}\sum_{k=1}^{c}(αγ)_{ik}^2}{(a-1)(c-1)}\)]

\(σ_{e(3)}^2\)については解説集にあります。

残差の分散の期待値の導出

\( S_{e(2)}\)= \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)

\((\bar{x_{ij・l}}-\bar{x_{ij・・}}-\bar{x_{i・・l}}-\bar{x_{・・jl}}\)
\(+\bar{x_{i・‥}}+\bar{x_{・j・・}}+\bar{x_{・‥l}}-\bar{\bar{x}})^2\)

= \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\sum_{l=1}^{d}\)

\(((e_{(2)ijl}-\bar{e_{(2)ij・}}-\bar{e_{(2)i・l}}-\bar{e_{(2)・jl}}\)
\(+\bar{e_{(2)i‥}}+\bar{e_{(2)・j・}}+\bar{e_{(2)‥l}}-\bar{\bar{e}})\)
\(+(e_{(3)ij・l}-\bar{e_{(3)ij・・}}-\bar{e_{(3)i・・l}}-\bar{e_{(3)・j・l}}\)
\(+\bar{e_{(3)i・‥}}+\bar{e_{(3)・j・・}}+\bar{e_{(3)‥・l}}))^2\)

E[\(S_{e2}\)]=\((a-1)(b-1)(d-1)(σ_{e(3)}^2+cσ_{e(2)})^2\)
(全計算過程は解説集にあります。)

残差e(2)の自由度は(a-1)(b-1)(d-1)より、分散の期待値E[V e(2)]が求まります。自由度の計算結果は次の節で紹介します。

E[\(e_{(2)}\)]=\((σ_{e(3)}^2+cσ_{e(2)})^2\)

⑤2方分割法の分散分析ができる

自由度の計算

各主効果・交互作用の自由度の計算は簡単です。関連記事に解説しています。まとめると次の3つです。

  1. データの構造式を書く
  2. 主効果・交互作用の構造式にある添字から自由度を算出
  3. 自由度は表を活用すると簡単に求まる

自由度をまとめます。

完全 D A AD B BD AB ABD C
2方分割 D A e(1A) B e(1B) AB e(2) C
a 1 -1 -1 1
b 1 -1 -1 1
c 1
d 1 -1 -1 1
ab 1 -1
ac
ad 1 -1
bc
bd 1 -1
cd
abc
abd 1
acd
bcd
abcd
1 -1 -1 1 -1 1 1 -1 -1

完全 AC BC ABC CD ACD BCD ABCD T
2方分割 AC BC ABC e(3) e(3) e(3) e(3) T
a -1 1 1 -1 0
b -1 1 1 -1 0
c -1 -1 1 -1 1 1 -1 0
d -1 1 1 -1 0
ab -1 1 0
ac 1 -1 -1 1 0
ad -1 1 0
bc 1 -1 -1 1 0
bd -1 1 0
cd 1 -1 -1 1 0
abc 1 -1 0
abd -1 0
acd 1 -1 0
bcd 1 -1 0
abcd 1 1
1 1 1 -1 1 -1 -1 1 -1

ここで、残差(3)の自由度を上の表から算出しましょう。
4列(CD,ACD,BCD,ABCD)の自由度の和が残差(3)の自由度になります。
4列の自由度を合計すると、
abcd-abc-abd+ab=ab(cd-c-d+1)
=ab(c-1)(d-1)
と求めることができます。便利な表なので活用ください。

分散分析の結果

分散分析表を作ります。

φ E[V]
D d-1 \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)+\(acσ_{e(1B)}^2\)+\(bcσ_{e(1A)}^2\)+\(abcσ_D^2\)
A a-1 \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)+\(acσ_{e(1B)}^2\)+\(bcσ_{e(1A)}^2\)+\(bcdσ_A^2\)
e(1A) (a-1)(d-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)+\(acσ_{e(1B)}^2\)+\(bcσ_{e(1A)}^2\)
B (b-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)+\(acσ_{e(1B)}^2\)+\(acdσ_B^2\)
e(1B) (b-1)(d-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)+\(acσ_{e(1B)}^2\)
A×B (a-1)(b-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)+\(cdσ_{A×B}^2\)
e2 (a-1)(b-1)(d-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(cσ_{e(2)}^2\)
C (c-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(abdσ_C^2\)
A×C (a-1)(c-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(bdσ_{A×C}^2\)
B×C (b-1)(c-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(adσ_{B×C}^2\)
A×B×C (a-1)(b-1)(c-1) \(σ_{e(3)}^2\)+\(dσ_{A×B×C}^2\)
e(3) ab(d-1)(d-1) \(σ_{e(3)}^2\)
T abcd-1

⑥2方分割法の主効果・交互作用の区間推定が導出できる

母平均の点推定の導出方法

有効繰返し数と区間推定の導出方法

区間推定は、下の式で算出します。

$$ \bar{μ}±t(φ_e,α)\sqrt{\frac{V_e}{n_e}}$$

区間推定のポイント

  1. ルートの中は、誤差eの分散から個数を割ったものが入る
  2. 誤差eの自由度φeである。
  3. Veが複数項である場合、サタースウェイトの式から自由度を導出

サタースウェイトの式については、ここを見てください。

主効果の点推定と区間推定の導出

分散の期待値から分散の推定値を導出

分散分析から、R,e(1)とe(2)の分散の推定値E[V]を導出します。

V
D VD=\(\widehat{σ_{e(3)}^2}\)+\(\widehat{cσ_{e(2)}^2}\)+\(\widehat{acσ_{e(1B)}^2}\)+\(\widehat{bcσ_{e(1A)}^2}\)+\(\widehat{abcσ_D^2}\)
e(1A) Ve(1A)=\(\widehat{σ_{e(3)}^2}\)+\(\widehat{cσ_{e(2)}^2}\)+\(\widehat{acσ_{e(1B)}^2}\)+\(\widehat{bcσ_{e(1A)}^2}\)
e(1B) Ve(1B)=\(\widehat{σ_{e(3)}^2}\)+\(\widehat{cσ_{e(2)}^2}\)+\(\widehat{acσ_{e(1B)}^2}\)
e(2) Ve(2)=\(\widehat{σ_{e(3)}^2}\)+\(\widehat{cσ_{e(2)}^2}\)
e(3) Ve(3)=\(\widehat{σ_{e(3)}^3}\)

上の表から、分散の推定値を求めます。
\(\widehat{σ_{e(D)}^2=\frac{1}{abc}(V_D-V_{e(1A)})\)
\(\widehat{σ_{e(1A)}^2}=\frac{1}{bc}(V_{e(1A)}-V_{e(1B)})\)
\(\widehat{σ_{e(1B)}^2}=\frac{1}{ac}(V_{e(1B)}-V_{e(2)})\)
\(\widehat{σ_{e(2)}^2}=\frac{1}{c}(V_{e(2)}-V_{e(3)})\)
\(\widehat{σ_{e(3)}^2}\)=Ve(3)

主効果の点推定と区間推定

点推定: \(\widehat{μ}(A_i)=\bar{x_{i・‥}}\)=\(\widehat{μ+α_i}\)
=\(μ+\bar{δ}+α_i +\bar{e_{(1A)i・}}+\bar{e_{(2)i‥}}+\bar{e_{(3)i…}}\)

分散:\(\widehat{Var}(\widehat{μ}(α_i))\)
=V[μ+\(\bar{δ}+α_i +\bar{e_{(1A)i・}}+\bar{e_{(2)i‥}}+\bar{e_{(3)i…}}\)]
=V[\(\bar{δ}+\bar{e_{(1A)i・}}+\bar{e_{(2)i‥}}+\bar{e_{(3)i…}}\)]
=V[\(\bar{δ}\)]+V[\(\bar{e_{(1A)i・}}\)]+V[\(\bar{e_{(2)i‥}}\)]+V[\(\bar{e_{(3)i…}}\)]

Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。

交互作用の区間推定

点推定: \(\widehat{μ}(A_i C_k)\)=\(\bar{x_{i・k・}}\)
=\(μ+\bar{δ}+α_i+\bar{e_{(1A)i・}}\)
+\(\bar{e_{(2)i‥}}+γ_k+(αγ)_{ik}+\bar{e_{(3)i・k・}}\)

分散:\(\widehat{Var}(\widehat{μ}(A_i C_k))\)
=V[μ+\(\bar{δ}+α_i+\bar{e_{(1A)i・}}+\bar{e_{(2)i‥}}\)
+\(γ_k+(αγ)_{ik}+\bar{e_{(3)i・k・}}\)]
=V[\(\bar{δ}\)]+V[\(\bar{e_{(1A)i・}}\)]
+V[\(\bar{e_{(2)i‥}}\)]+V[\(\bar{e_{(3)i・k・}}\)]

Veが求まったので、自由度φと、点推定μを代入すれば推定区間が求まります。

一連の導出過程を解説しました。

⑦2方分割法の分散分析が導出できる演習問題

本記事で扱ったデータの構造式において、以下の演習問題を解いてみましょう。詳細は解説集にあります。

【問】3因子+反復因子を含む2方分割法について、次のデータの構造式を考える。
xijkl=μ+δli+e(1A)il
j+ e(1B)jl
+(αβ)ij+ e(2)ijl
k+(αγ)ik+(βγ)jk
+(αβγ)ijk+ e(3)ijkl
因子A,B,C,Dの自由度はそれぞれa,b,c,dとする。
(1)主効果、反復、交互作用および残差の自由度と分散の期待値を導出せよ。
(2) 主効果、交互作用の点推定と区間推定を計算せよ。
(詳細は解説集にあります。)

まとめ

2方分割法の分散分析の導出過程を詳細に解説しました。

  • ➀2方分割法とは何かがわかる
  • ②2方分割法のデータの構造式が書ける
  • ③2方分割法の平方和の分解の式が書ける
  • ④2方分割法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる
  • ⑤2方分割法の分散分析ができる
  • ⑥2方分割法の主効果・交互作用の区間推定が導出できる
  • ⑦2方分割法の分散分析が導出できる演習問題


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