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【初心者必見!】計量値の検定統計量が導出できる

検定と推定

「計量値の検定統計量の式が多すぎて暗記できない」などと困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【初心者必見!】計量値の検定統計量が導出できる

おさえておきたいポイント

  • ①計量値の検定統計量のベースとなる式
  • ➁母平均差の検定統計量を導出1
  • ➂母平均差の検定統計量を導出2
  • ➃母平均差の検定統計量を導出3
  • ➄母平均差の検定統計量を導出4
  • ⑥母平均差の検定統計量を導出5
検定統計量は自力で導出しよう!
各ケースでの検定統計量の式の違いも確認しよう!
何度も見て、解けるようになりましょう!
検定対象 母分散 統計量分布 検定統計量
母平均μ 既知\(σ^2\) 標準正規分布 \(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{σ^2/n}}\)
未知 t分布 \(t_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{V/n}}\)
母平均
μ1とμ2の差
既知\(σ^2\) 標準正規分布 \(u_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{σ_1^2}{n_1}+\frac{σ_2^2}{n_2}}}\)
未知(\(V_1\)=\(V_2\) t分布 \(t_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{V(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2})}}\)
(\(V\)=\(\frac{S_1+S_2}{n_1+n_2-2}\))
未知(\(V_1\)≠\(V_2\) t分布 \(t_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{V_1}{n_1}+\frac{V_2}{n_2}}}\)
対応のある母平均
μ1とμ2の差
δ=μ1―μ2
既知\(σ^2\) 標準正規分布 \(u_0\)=\(\frac{\bar{d}}{\sqrt{σ_d^2/n}}\)
未知 t分布 \(t_0\)=\(\frac{\bar{d}}{\sqrt{V_d/n}}\)

①計量値の検定統計量のベースとなる式

母平均\(μ\)で母分散が既知(\(σ^2\))の場合

標準正規分布に従うので、検定統計量は

\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{σ^2/n}}\)

となります。この式くらいは暗記してもOKです。

母平均\(μ\)で母分散が未知の場合

t分布に従うので、検定統計量は

\(t_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{V/n}}\)

となります。この式くらいは暗記してもOKです。

母分散の既知、未知の違いで
従う分布関数や、検定統計量の式が若干、形が変わります。

この2つ式をベースに変形していきます。

➁母平均差の検定統計量を導出1

前提条件

前提条件は、

  1. 母平均差
  2. 母分散が既知でそれぞれ\(σ_1^2\),\(σ_2^2\)

検定統計量を導出

検定統計量の出発点は、\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{σ^2/n}}\)
です。

2つの母集団 N1(\(μ_1\),\(σ_1^2\)), N2(\(μ_2\),\(σ_2^2\))からそれぞれn1個、n2個データを取り出し、その標本集団をそれぞれN1’, N2’とします。

平均と分散はN1’ (\(μ_1\),\(σ_1^2/n_1\)), N2’ (\(μ_2\),\(σ_2^2/n_2\))となります。

あるN1’の点\(\bar{X_1}\)と、あるN2’の点\(\bar{X_2}\)との差を検定します。その分布N1’- N2’を考えると、

●平均(期待値)は、\(μ_1\)-\(μ_2\) とそのまま差として、
●分散は、\(σ_1^2/n_1\)+\(σ_2^2/n_2\)と分散の加法性を使います。

よって、検定統計量は
●\(u_0\)=\(\frac{(\bar{x_1}-μ_1)-(\bar{x_2}-μ_2)}{\sqrt{\frac{σ_1^2}{n_1}+\frac{σ_2^2}{n_2}}}\)
=\(\frac{(\bar{x_1}-\bar{x_2})-(μ_1-μ_2)}{\sqrt{\frac{σ_1^2}{n_1}+\frac{σ_2^2}{n_2}}}\)
となります。

ただし! \(μ_1-μ_2\)=0とする例もある

母平均差を検定する思いは、母平均差が無いも考えるので、よく
\(μ_1-μ_2\)=0として、
●\(u_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{σ_1^2}{n_1}+\frac{σ_2^2}{n_2}}}\)
をよく使います。

検定統計量は
●\(u_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{σ_1^2}{n_1}+\frac{σ_2^2}{n_2}}}\)
ただし、 \(μ_1-μ_2\)=0として、
●\(u_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{σ_1^2}{n_1}+\frac{σ_2^2}{n_2}}}\)

➂母平均差の検定統計量を導出2

前提条件

前提条件は、

  1. 母平均差
  2. 母分散が未知だが、分散は共通のV

検定統計量を導出

検定統計量の出発点は、\(t_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{V/n}}\)
です。

2つの母集団 N1(\(μ_1\),\(V\)), N2(\(μ_2\),\(V\))からそれぞれn1個、n2個データを取り出し、その標本集団をそれぞれN1’, N2’とします。

平均と分散はN1’ (\(μ_1\),\(V/n_1\)), N2’ (\(μ_2\),\(V/n_2\))となります。

あるN1’の点\(\bar{X_1}\)と、あるN2’の点\(\bar{X_2}\)との差を検定します。その分布N1’- N2’を考えると、

●平均(期待値)は、\(μ_1\)-\(μ_2\) とそのまま差として、
●分散は、\(V/n_1\)+\(V/n_2\)=\(V(1/n_1+1/n_2)\)と分散の加法性を使います。

よって、検定統計量は
●\(t_0\)=\(\frac{(\bar{x_1}-μ_1)-(\bar{x_2}-μ_2)}{\sqrt{V(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2})}}\)
=\(\frac{(\bar{x_1}-\bar{x_2})-(μ_1-μ_2)}{\sqrt{ V(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2})}}\)
となります。

一方、分散\(V\)は、全平方和を全自由度で割ればいいので。
●\(V\)=\(\frac{S_1+S_2}{(n_1-1)+(n_2-1)}\)= \(\frac{S_1+S_2}{n_1+n_2-2}\)
となります。

ただし! \(μ_1-μ_2\)=0とする例もある

母平均差を検定する思いは、母平均差が無いも考えるので、よく
\(μ_1-μ_2\)=0として、
●\(t_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{ V(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2})}}\)
をよく使います。

検定統計量は
●\(t_0\)=\(\frac{(\bar{x_1}-\bar{x_2})-(μ_1-μ_2)}{\sqrt{ V(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2})}}\)
ただし、 \(μ_1-μ_2\)=0として、
●\(t_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{ V(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2})}}\)
(●\(V\)=\(\frac{S_1+S_2}{(n_1-1)+(n_2-1)}\)= \(\frac{S_1+S_2}{n_1+n_2-2}\))

➃母平均差の検定統計量を導出3

前提条件

前提条件は、

  1. 母平均差
  2. 母分散が未知だが、分散\(V_1\)≠\(V_2\)

検定統計量を導出

検定統計量の出発点は、\(t_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{V/n}}\)
です。

2つの母集団 N1(\(μ_1\),\(V_1\)), N2(\(μ_2\),\(V_2\))からそれぞれn1個、n2個データを取り出し、その標本集団をそれぞれN1’, N2’とします。

平均と分散はN1’ (\(μ_1\),\(V_1/n_1\)), N2’ (\(μ_2\),\(V_2/n_2\)となります。

あるN1’の点\(\bar{X_1}\)と、あるN2’の点\(\bar{X_2}\)との差を検定します。その分布N1’- N2’を考えると、

●平均(期待値)は、\(μ_1\)-\(μ_2\) とそのまま差として、
●分散は、\(V_1/n_1\)+\(V_2/n_2\)と分散の加法性を使います。

よって、検定統計量は
●\(t_0\)=\(\frac{(\bar{x_1}-μ_1)-(\bar{x_2}-μ_2)}{\sqrt{\frac{V_1}{n_1}+\frac{V_2}{n_2}}}\)
=\(\frac{(\bar{x_1}-\bar{x_2})-(μ_1-μ_2)}{\sqrt{\frac{V_1}{n_1}+\frac{V_2}{n_2}}}\)
となります。

ただし! \(μ_1-μ_2\)=0とする例もある

母平均差を検定する思いは、母平均差が無いも考えるので、よく
\(μ_1-μ_2\)=0として、
●\(t_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{V_1}{n_1}+\frac{V_2}{n_2}}}\)
をよく使います。

検定統計量は
●\(t_0\)=\(\frac{(\bar{x_1}-\bar{x_2})-(μ_1-μ_2)} {\sqrt{\frac{V_1}{n_1}+\frac{V_2}{n_2}}}\)
ただし、 \(μ_1-μ_2\)=0として、
●\(t_0\)=\(\frac{\bar{x_1}-\bar{x_2}}{\sqrt{\frac{V_1}{n_1}+\frac{V_2}{n_2}}}\)

➄母平均差の検定統計量を導出4

「対応のある」とは何か?

「対応のあるとない」の違いは何でしょうか?
下図にイメージを示します。

対応のある
●対応のない場合は、全く別の分布を2つ用意した場合
●対応のある場合は、異なる2つの分布とはいえ、個々のデータは関係性を持つ場合
と分けた方が考えやすいですね。

対応のある場合は、まとめて1つの分布として計算してもよいとして扱います。

対応のある場合の扱い方

2つの母集団 N1, N2からそれぞれn個データを取り出し、それぞれ対応する組み合わせデータ値の差分をとった集団N1’を作ります。

前提条件

前提条件は、

  1. 母平均差\(δ\)
  2. 母分散が既知で\(σ_d^2\)

検定統計量を導出

検定統計量の出発点は、\(u_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{σ^2/n}}\)
です。

差をdとしているので、
平均は\(\bar{d}\)
分散はN1’ のデータから別途求めます。今回は\(σ_d^2\)となります。

よって、検定統計量は
●\(u_d\)=\(\frac{(\bar{d}-d_0)}{\sqrt{σ_d^2/n}}\)
となります。

ただし! \( d_0\)=0とする例もある

母平均差を検定する思いは、母平均差が無いも考えるので、よく
\( d_0\)=0として、
●\(u_d\)=\(\frac{\bar{d}}{\sqrt{σ_d^2/n}}\)
をよく使います。

検定統計量は
●\(u_d\)=\(\frac{(\bar{d}-d_0)}{\sqrt{σ_d^2/n}}\)
ただし、 \( d_0\)=0として、
●\(u_d\)=\(\frac{\bar{d}}{\sqrt{σ_d^2/n}}\)

⑥母平均差の検定統計量を導出5

前提条件

前提条件は、

  1. 母平均差\(δ\)
  2. 母分散が未知で\(V_d\)

検定統計量を導出

検定統計量の出発点は、\(t_0\)=\(\frac{\bar{x}-μ_0}{\sqrt{V/n}}\)
です。

差をdとしているので、
平均は\(\bar{d}\)
分散はN1’ のデータから別途求めます。今回は\(V_d\)となります。

よって、検定統計量は
●\(t_d\)=\(\frac{\bar{d}-d_0}{\sqrt{V_d/n}}\)
となります。

ただし! \( d_0\)=0とする例もある

母平均差を検定する思いは、母平均差が無いも考えるので、よく
\( d_0\)=0として、
●\(t_d\)=\(\frac{\bar{d}}{\sqrt{V_d/n}}\)
をよく使います。

検定統計量は
●\(t_d\)=\(\frac{\bar{d}-d_0}{\sqrt{V_d/n}}\)
ただし、 \( d_0\)=0として、
●\(t_d\)=\(\frac{\bar{d}}{\sqrt{V_d/n}}\)

以上、よく使う検定統計量を導出しました。ちゃんと導出できるので、公式暗記に頼らず自力で導出できるようにしましょう。

まとめ

「【初心者必見!】計量値の検定統計量が導出できる」を解説しました。

  • ①計量値の検定統計量のベースとなる式
  • ➁母平均差の検定統計量を導出1
  • ➂母平均差の検定統計量を導出2
  • ➃母平均差の検定統計量を導出3
  • ➄母平均差の検定統計量を導出4
  • ⑥母平均差の検定統計量を導出5


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