富久娘酒造の品質不正を学ぶ
「富久娘酒造からなぜ、品質不正で学ぶケースなのか?」と疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
品質不正問題の演習問題を販売します!
品質不正問題が後を絶ちません。正しく深くその組織の深部までとらえられるための品質不正を解く問題集を作成しました。 |
経営課題として全社的な問題です。
経営×品質の応用問題です。
品質不正をした相手への批判ではなく、表に出ない真因を考え抜く力を身に着けるためにブログ記事として解説していきます。
①品質マインド
●関連記事で解説しています。まず、こちらを読んでください。
【必読】品質不正を考える正しいマインドがわかる【褒めて応援すべし!】 品質不正の報道が出たら、その相手を叩こうとしていませんか?本記事では品質不正に対する正しいマインドを解説します。厳しい競争にさらされつつ、挑戦する社会では、失敗もつきものですよ。失敗をある程度許容して、反省して成功につなげやすいマインドが 必須です。 |
●大事な3つのマインドを再掲します。
- 品質不正を打ち明けた企業・組織を褒めよう!
- 対岸の火事ではない!
- 「失敗は成功のもと」につなげよう!
●悪い膿を出して、再生・復活する企業・組織を応援しましょう。もちろん、不正した相手の誠意が前提です。
➁品質不正の内容・被害
情報元
●報告書と出版本があります。
●報告書
●富久娘酒造の不祥事調査に関する第三者委員会報告書 2014
●出版本
企業不正の研究
品質不正の内容
●簡潔にまとめます。
・不正表示は2013年10月下旬、大阪国税局の指摘で発覚。
・少なくとも4~5年前から不正表示は始まっていた。
●製造現場による改ざん、隠ぺいを原因としていますが、
なぜ、製造現場の検査不正に至ったか?は会社全体で見ていかないと、真因を見逃してしまいます!
決して、現場の人をかばうわけでないし、QCプラネッツも品質の仕事をしているので、逃げ腰ではありません。大事なのは、経営課題から見ていかないと、品質不正の真因にたどり着けません。
被害状況
自己回収したので、被害報告はありませんでした。
➂発覚した経緯
明記した記事はありませんが、社内からの報で公にせざるを得ない状況だったのでしょう。
➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
企業の内外分析から、不正に入る真因を紐解いていきます。
そのために、次の3つの観点で分析しましょう。ここは経営分析、MBAの領域です。品質不正でも活用します!
- 外部環境の観点
- 組織の状況
- 担当レベルの動き
もう一度、不正の内容をみましょう。QCプラネッツの「ツッコミ」を入れると、その真因が見えそうです。
⇒なぜ安い酒を使わないといけなかったのか?
・不正表示は2013年10月下旬、大阪国税局の指摘で発覚。
⇒なぜ社内の人間は不正の対処をしなかったのか?
・少なくとも4~5年前から不正表示は始まっていた。
⇒数年前から会社に何が起きていたか?
ツッコミの記述と、フレームワーク「QCD」のQ,C,Dの観点から想像すると、
と、ピンと来ましたか?
何社も品質不正分析すれば、原因はほぼ同じなので、ピンと来るでしょう。
外部環境の観点
●上の記述から、富久娘酒造は赤字経営が続き、収益優先型で、トップからキツイ圧力を内部組織にかけていたのではないかと推測できます。
無理な、納期・コスト要求は、結局、製造部門にしわ寄せした結果に見えます。
組織の状況
不正原因の技術力不足は説得力が低い
報告書や本では、「技術力不足」を不正の原因にしています。報告書、本では、
発酵を期待時間内に進める技術が不足していたため、不正な方法に走ってしまった。
一見、「なるほど!」となりますが、技術力が不足しても不正回避する方法はあります。
●発酵できるまで時間かけて研究する
●2011年以前の製造方法に戻す
●外に委託して技術力不足をカバーする
などの対処方法があります。
不正せざるを得ない状況が製造現場に襲ったと考える方が
技術力不足より高い説得力が出て来ます。
つまり、技術で解決するために必要なリソースがどうしても手に入らない状況だったから、不正せざるを得なくなってしまった!の方が、説得力が高いです。
●技術をためるには、当然、コストと時間(納期)がかかります。ここがネックだったと考える方が自然ですよね。
つまり、
●発酵できるまで時間かけて研究する時間もカネも無い
●2011年以前の製造方法に戻す。コストカットのために製造方法を変えたのに!
●外に委託して技術力不足をカバーする時間もカネも無い
つまり、コストCと納期Dの圧力が製造現場に襲ってきたため、品質Qが不正したと考えると納得できますね。
上の事実から組織がどんな状況だったかは、以下が類推できます。
- 経営陣の強い支配,Noと言わせない風土
- 厳しい圧力が無関心、組織機能の独立分離化
- 忌憚なく発言できない風土が、不正行為の発生および判断対処の遅れの原因
- 誰もいないし、時間もカネもないから、やるしかない!という思考停止状態
- 顧客にバレないから、大丈夫だろう!
●報告書には、しっかり真因が記述されています。引用すると
マネージャーと現場担当者間コミュニケーション不足が不正の原因となった。
担当レベルの動き
報告書では、
- 人件費削減による人手不足を背景に不適切行為
- 人員不足により製造技術や検査に十分な時間がないから捏造・改ざん
- 技術・人、リードタイム・コストが足りない
組織の独立性やコミュニケーションの疎な状態から、現場の状況が上に上がってきません。
少人数で多品種を一気に生産するとなれば、安易な手段でさっさと製造してしまおうとなりますよね。
不正に走らざるを得ない状況や圧力がかかっていることの方が問題
➄品質不正に至った真因
QCDバランスはどう崩れたか?
不正が起きた原因は分析できました。QCプラネッツでは、分析結果をさらに、「QCD」を使って整理します。
この悪意的な圧がかかるのは、採算重視、コストカット、ムリな納期要求(早く作って販売しないといけない商品があった)が背景になると考えられます。
C「コスト、収益」か
D「納期、時間、手間」か
のバランスが崩れている場合がほとんど。
富久娘酒造の場合はどうでしょうか?
富久娘酒造は赤字経営が続き、コストダウン、収益最優先だった。
無理な、納期、コスト要求が、品質をおろそかにせざるを得ない状況を生み出したのではないか?
C「コスト、収益」の観点
Cにおいては、「コストダウン、人員削減、技術力不足」となってしまいました。
D「納期、時間、手間」の観点
同時に、少ない人数で足りない技術の中、ムリな納期厳守が来て、周囲や上と相談できない状況となれば、不正に走らざるを得ない状況となりました。
ここのQCD分析は、不正に走った他社のケースと同じ内容です。全く同じ原因とわかりますね。
⑥その後の結末
該当する49銘柄、約25万本の自主回収を開始した。
富久娘酒造から学べる教訓
富久娘酒造の批判ではなく、富久娘酒造から学べる教訓を理解して活かしましょう。
●ただし、不正に走った真因分析は明確でとてもよい。
●でも、経営・組織の膿が出し切れていない感が残るので「結局変わらないまま、再発の懸念が残ってしまう」
不正再発はQCプラネッツの余計な杞憂で済めばよいですが、今後も気になります。
品質不正から、これだけ経営課題を解くヒントが読み取れます!
●次に、品質不正が発生したら、どんな対応策をとるべきでしょうか?それを次に解説します。
⑦とるべき対応策
●何社も品質不正の分析をすると、取るべき対策は1つに抽象化できます。
組織の経営そのものを是正・修正しないと再発する。
●対応策については、関連記事で詳しく解説しました。批判で終わらず、建設的な改善提案と成功へつなげましょう!
【必読】品質不正からの名誉挽回方法がわかる 品質不正に陥った組織をどうやって立て直すかわかりますか?本記事では、批判で終わる品質不正の記事とは違って、信頼回復・改革に何が組織には必要なのかをわかりやすく解説します。誰かに任せるのではなく、自分事として自らリーダーシップをとって良い組織に生き返らせましょう!社会は温かく見守るべきです。 |
がんばりましょう!
まとめ
「富久娘酒造の品質不正を学ぶ」を解説しました。
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
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