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擬水準法(余る場合)の分散分析・区間推定が解ける【必見】

実験計画法

「擬水準法って何なの?」、「3水準系に2水準を割当てる(余る場合)擬水準法の分散分析や期待値の導出がわからない、解けない」、「分散分析表から調べたい効果の区間推定の導出方法がわからない」など、擬水準法の分散分析の解法がわからず、期待値の式など暗記で片付けていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

擬水準法の分散分析や期待値の導出ができる

擬水準法の分散分析や期待値の導出

  • ➀余る場合の擬水準法とは何かがわかる
  • ②擬水準法のデータの構造式が書ける
  • ③平方和の分解の式が書ける
  • ④擬水準法の主効果・交互作用・誤差の分散の期待値が導出できる
  • ⑤分散分析ができる

記事の信頼性

記事を書いている私は、実験計画法に磨きをかけていますので、わかりやすく解説します。本記事は、どこに書いていない、私が研究して見つけた本記事限定の内容です。実験計画法の肝なので、必読です!

なお、擬水準法で2水準系に3水準を割当てる(不足する場合)については、関連記事にて、解説しています。

●You tube動画でも解説しています。

➀擬水準法とは何かがわかる

よく使う場面

a水準の実験において、ある因子Aだけa-m((0 a=3なら、mは自然数よりm=1
a=4なら、mは自然数よりm=1,2

a=2なら3水準系の実験で因子Aだけが2水準に割り付ける場合が多いです。

②擬水準法のデータの構造式が書ける

データの構造式

データの構造式から擬水準法を理解する

  1. 水準が余る因子は水準が余らないように因子を一旦置き換える
  2. 一部の項を変形すれば擬水準法になる
直交表を使って平方和を導出して分散分析をします。
擬水準法は一部の効果の水準数が直交表に適合していないため、
一旦因子の水準数を直します。
(もちろん、直交表を使わずに個別の効果の平方和を算出してもOKです。)
実際、擬水準法は直交表を使って分散分析する教科書が多いです。

本サイトも、教科書に準拠して、直交表を使った擬水準法の分散分析を解説します。

のデータの構造式

xijk=μ+αijk
+(αβ)ij+(αγ)ik+(βγ)jk
+eijk
(i=a,j=b,k=c)

擬水準法のデータの構造式

(余る場合)の擬水準法は、因子A(水準数a-m)を一旦因子P(水準数a)に置き換えて、データの構造式を作ります。

αi → pi’
(i=a, i’=a+m)
と一時的に変えて、データの構造式を書きます。

xi’kl=μ+pi’jk
+(pβ) i’j+(pγ) i’k+(βγ)jk
+e i’kl

擬水準法をデータの構造式から分散分析する上の注意点

分散分析は主効果P,C,D,
交互作用P×C,P×D,P×C×D(=(Pについての残差eと交絡)を
調べるので、主効果Aについての結果にならない。
主効果Aについては個別に平方和を求める必要がある。

擬似的に因子Pに直した場合と、元の擬水準法を下表に比較します。
異なる点は色枠しています。

A因子をP因子に変換して直交表L16を扱う 擬水準法(元データ)で直交表L16を扱う
効果 自由度 平方和 効果 自由度 平方和
P a+m-1 SP A a-1 SA
B b-1 SB B b-1 SB
C c-1 SC C c-1 SC
P×B (a+m-1)(b-1) SP×B A×B (a-1)(b-1) SA×B
P×C (a+m-1)(c-1) SP×C A×C (a-1)(c-1) SA×C
B×C (b-1)(c-1) SB×C B×C (b-1)(c-1) SB×C
e(=P×B×C) (a+m-1)(b-1)(c-1) Se e(=A×B×C) (a-1)(b-1)(c-1)+mbc Se
T (a+m)bc-1 ST T (a+m)bc-1 ST

ここで、1点注意があります。

擬水準の残差eの自由度は本来、交互作用A×C×Dと交絡しているため、
φe=(α+m-1)(c-1)(d-1)
ですが、直交表L27を使うため、全体Tの自由度
φT=(a+m)bc-1
に合わせるために、
φe= (a-1)(b-1)(c-1)+mbc
としています。ややこしいですけど。
(a=2,c=2,d=2,m=1)
つまり、直交表から擬水準法を使う場合、残差eの分散の値に注意が必要です。

  1. 残差eの平方和を直交表から求めると、本来の値より高くなる
  2. 残差eの自由度を直交表から求めると、本来の値より高くなる
  3. 残差eの分散を直交表から求めると、「高い目の平方和/高めの自由度」から適正な値に落ち着く?

擬水準法の直交表を使った分散分析の注意点ですね。直交表を無理矢理使っている印象があります。

各平均値をデータの構造式で作る

母数因子と変量因子の違い

関連記事にて、母数因子と変量因子を解説しました。

母数因子と変量因子

母数因数:p、γ、δ、pγ、pδ、γδ
変量因子:e

平均値

母数因数の平均は0。
変量因子の平均は0ではない。

平均値を式にする場合、添字のない文字項はすべて0にしますが、変量因子の場合は平均値をいれます。分割法や乱塊法では変量因子が増えるので要注意ですが、擬水準法ではあまり変量因子は使いません。

平均値の式の代表例

データの構造式

xi’jk=μ+pi’jk
+(pβ) i’j+(pγ) i’k+(βγ)jk
+e i’jk
(i=1,…,a), i’=1,…,a+m)

\(\bar{x_{ i’・・}}\)=μ+\(p_ i’\)+\(\bar{e_{i・・}}\)
\(\bar{x_{・j・}}\)=μ+\(β_j\)+\(\bar{e_{・j・}}\)
\(\bar{x_{・・k}}\)=μ+\(γ_k\)+\(\bar{e_{・・k}}\)
\(\bar{x_{i’j・}}\)=μ+\(p_i’\)+\(β_j\)+\((pβ)_{i’j}\)+\(\bar{e_{i’j・}}\)
\(\bar{x_{i’・k}}\)=μ+\(p_i’\)+\(γ_k\)+\((pγ)_{i’k}\)+\(\bar{e_{i’・k}}\)
\(\bar{x_{・jk}}\)=μ+\(β_j\)+\(γ_k\)+\((βγ)_{jk}\)+\(\bar{e_{・jk}}\)
\(\bar{\bar{x}}\)=μ+\(\bar{\bar{e}}\)

③分割法の平方和の分解の式が書ける

データの構造式を変形

式を書くと見づらいので、表にまとめます。分散分析はデータの構造式が複雑になると表で整理するのがオススメです

SP SB SC SP×B SP×C SB×C Se(=P×B×C)
\(x_{i’jk}\) 1
\(\bar{x_{ i’・・}}\) 1 -1 -1 1
\(\bar{x_{・j・}}\) 1 -1 -1 1
\(\bar{x_{・・k}}\) 1 -1 -1 1
\(\bar{x_{ i’j・}}\) 1 -1
\(\bar{x_{ i’・k}}\) 1 -1
\(\bar{x_{・jk}}\) 1 -1
\(\bar{\bar{x}}\) -1 -1 -1 1 1 1 -1

表から各平方和の導出式が簡単にでますね。SP、SP×B、SB×C、Seを例に挙げます。

\(S_P\)=\(\sum_{i=1’}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)\( (\bar{x_{i’‥}}-\bar{\bar{x}})^2\)

\(S_{P×B}\)=\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{ i’j・}}-\bar{x_{ i’‥}}-\bar{x_{・j・}}+\bar{\bar{x}})^2\)

\(S_{B×C}\)=\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{・jk}}-\bar{x_{・j・}}-\bar{x_{・・k}}+\bar{\bar{x}})^2\)

\( S_e\)= \(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)

\((x_{ i’jk}-\bar{x_{ i’j・}}-\bar{x_{ i’・k}}-\bar{x_{・jk}}\)
\(+\bar{x_{ i’・・}}+\bar{x_{・j・}}+\bar{x_{‥k}}-\bar{\bar{x}})^2\)

ここで、因子AとPの違いに注意が必要です。

因子Pの各水準において、主効果、交互作用は同じ個数になるが、
因子Aは各水準において、主効果、交互作用は個数が異なる。

表で説明します。

因子Pの場合

主効果 個数 交互作用 個数
P1 9 P1X1 3
P2 9 P1X2 3
P3 9 P1X3 3
P2X1 3
P2X2 3
P2X3 3
P3X1 3
P3X2 3
P3X3 3

Xは他の因子(B,Cを表す)

どの場合も個数が同じなので、
平方和S=\(\sum_{i’=1}^{a^2}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
とi’,k,lについて独立にΣが取れます。

一方、因子Aの場合

主効果 個数 交互作用 個数
A1 18 A1X1 6
A2 9 A1X2 6
A1X3 6
A2X1 3
A2X2 3
A2X3 3

Xは他の因子(B,Cを表す)

因子Aの水準iによって個数が異なります。そのため、
平方和S=\(\sum_{i=1}^{a }\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
ではなく、
平方和S=\(\sum_{i=1}^{a}N_i\)
と、\(\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)を\(N_i\)
に変える必要があります。
擬水準法は難しいですね。

\(S_A\)=\(\sum_{i=1}^{a}\)\(N_{Ai}(\bar{x_{i‥}}-\bar{\bar{x}})^2\)

\(S_{A×C}\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\)
\(N_{ABij}(\bar{x_{ ij・}}-\bar{x_{ i‥}}-\bar{x_{・j・}}+\bar{\bar{x}})^2\)

\(S_{B×C}\)=\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{・jk}}-\bar{x_{・j・}}-\bar{x_{・・k}}+\bar{\bar{x}})^2\)

\( S_e\)= \(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)

\((x_{ ijk}-\bar{x_{ij・}}-\bar{x_{i・k}}-\bar{x_{・jk}}\)
\(+\bar{x_{i・・}}+\bar{x_{・j・}}+\bar{x_{‥k}}-\bar{\bar{x}})^2\)
+(他の因子からの残差分)

と書けますね。他の平方和も同様にΣΣΣ( )^2で計算できます。

擬水準法の残差の期待値の導出の注意点

(i)機械的に各因子の水準分Σをとる分
+
(ii)他の因子に含まれる残差の合計
の(ii)が追加されます。

(ii)の追加分は
SPとSAの\(σ_e^2\)の差分
SP×BとSA×Bの\(σ_e^2\)の差分
SP×CとSA×Cの\(σ_e^2\)の差分
Se(P)とSe(A)の\(σ_e^2\)の差分
の和です。

水準数は、A→2,B→3,C→3と2×3×3=18個のデータを
直交表L27(27個)に割当てるので、因子の期待値導出で
残差が余分に余ります。それを(ii)として合計します。

④擬水準法の主効果・交互作用・誤差の期待値が導出できる

期待値については、関連記事をご覧下さい。

因子Pの場合

主効果の場合

E[\(S_P\)]=E[\(\sum_{i=1’}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)

\((\bar{x_{i’‥}}-\bar{\bar{x}})^2\)]

=E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((p_i’+\bar{e_{i’・・}}-\bar{\bar{e}})^2\)]

=E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)\(( p_i’)^2\)]
+E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{e_{i’・・}}-\bar{\bar{e}})^2\)]

=\(bc(a+m-1)σ_P^2\) +\((a+m-1)σ_e^2\)

主効果Pの自由度は(a+m-1)より、分散の期待値E[VP]が求まります。

E[\(V_P\)]=\(bcσ_P^2\) +\(σ_e^2\)

なお、分散の期待値を以下とします。

\( σ_P^2\)=E[\(\frac{\sum_{i’=1}^{a+m}p_i’^2}{a+m-1}\)]

\(\frac{σ_e^2}{bc}\)=E[\(\frac{\sum_{i’=1}^{a+m}(\bar{e_{i’・・}}-\bar{\bar{e}})^2}{a+m-1}\)]

交互作用の場合

P×Bの場合

E[\(S_{P×B}\)]=E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{i’j・}}-\bar{x_{i’‥}}-\bar{x_{・j・}}+\bar{\bar{x}})^2\)]

= E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\(((pβ)_{i’j}+(\bar{e_{i’j・}}-\bar{e_{i’‥}}-\bar{e_{・j・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

= E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)\((( pβ)_{ i’j }^2)\)
+ E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{e_{i’j・}}-\bar{e_{i’‥}}-\bar{e_{・j・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

第1項=\((a+m-1)(b-1)cσ_{P×B}^2\)

第2項=\((a+m-1)(b-1)σ_e^2\)

E[\(S_{P×B}\)]
=\((a+m-1)(b-1)cσ_{P×B}^2\)+\((a+m-1)(b-1)σ_e^2\)

交互作用P×Bの自由度は(a+m-1)(b-1)より、分散の期待値E[VP×B]が求まります。

E[\(V_{P×B}\)]=\(cσ_{P×B}^2\)+\(σ_e^2\)

なお、分散の期待値を以下とします。

\( σ_{P×B}^2\)=E[\(\frac{\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}(pβ)_{i’j}^2}{(a+m-1)(b-1)}\)]

\(σ_e^2\)については解説集にあります。

B×Cの場合

E[\(S_{B×C}\)]=E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{・jk}}-\bar{x_{・j・}}-\bar{x_{・・k}}+\bar{\bar{x}})^2\)]

= E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\(((βγ)_{jk}+(\bar{e_{・jk}}-\bar{e_{・j・}}-\bar{e_{・・k}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

= E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)\(((βγ)_{jk}^2)\)
+ E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{e_{・jk}}-\bar{e_{・j・}}-\bar{e_{・・k}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

第1項=\((a+m)(b-1)(c-1)σ_{B×C}^2\)

第2項=\((b-1)(c-1)σ_e^2\)

E[\(S_{B×C}\)]
=\((a+m)(b-1)(c-1)σ_{B×C}^2\)+\((b-1)(c-1)σ_e^2\)

交互作用B×Cの自由度は(b-1)(c-1)より、分散の期待値E[VB×C]が求まります。

E[\(V_{B×C}\)]=\((a+m)σ_{B×C}^2\)+\(σ_e^2\)

なお、分散の期待値を以下とします。

\( σ_{B×C}^2\)=E[\(\frac{\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}(βγ)_{jk}^2}{(b-1)(c-1)}\)]

\(σ_e^2\)については解説集にあります。

残差の場合

E[\(S_e\)]=E[\(\sum_{i’=1}^{a+m}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{i’jk}}-(\bar{x_{i’j・}}-\bar{x_{・jk}}-\bar{x_{ i’・k}})\)
+\((\bar{x_{i’・・}}-\bar{x_{・j・}}-\bar{x_{・・k}})-\bar{\bar{x}})\)]
(途中経過は解説集にあります)
=(a+m-1)(b-1)(c-1) \(σ_e^2\)

残差eの自由度は(a+m-1)(b-1)(c-1)より、分散の期待値E[Ve]が求まります。

E[\(V_e\)]=\(σ_e^2\)

因子Aの場合

主効果の場合

E[\(S_A\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a }N_{Ai}\)\((\bar{x_{i‥}}-\bar{\bar{x}})^2\)]

=E[\(\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}\)
\((α_i+\bar{e_{i・・}}-\bar{\bar{e}})^2\)]

=E[\(\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}\)\(( α_i)^2\)]
+E[\(\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}\)\((\bar{e_{i・・}}-\bar{\bar{e}})^2\)]

= E[\(\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}(α_i)^2\)]+(a-1)\(σ_e^2\)
として、第1項は\(σ_A^2\)にしません。

主効果Aの自由度は(a -1)より、分散の期待値E[VA]が求まります。

E[\(V_A\)]=\(\frac{E[\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}(α_i)^2]}{a-1}\)

残差eは、
\(σ_e^2\)=E[\(\frac{\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}(α_i)^2}{a-1}\)]

交互作用の場合

A×Bの場合

E[\(S_{A×B}\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{c}N_{ABij}\)
\((\bar{x_{ij・}}-\bar{x_{i‥}}-\bar{x_{・j・}}+\bar{\bar{x}})^2\)]

= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}N_{ABij}\)
\(((αβ)_{ij}+(\bar{e_{ij・}}-\bar{e_{i‥}}-\bar{e_{・j・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}N_{ABij}\)\(((αβ)_{ij}^2)\)
+ E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}N_{ABij}\)
\((\bar{e_{ij・}}-\bar{e_{i‥}}-\bar{e_{・j・}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]
= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}N_{ABij}((αβ)_{ij}^2)\)
+\((a+m-1)(b-1)σ_e^2\)

交互作用A×Bの自由度は(a+m-1)(b-1)より、分散の期待値E[VA×B]が求まります。

E[\(V_{A×B}\)]=\(\frac{E[\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}N_{ABij}((αβ)_{ij}^2)]}{(a-1)(b-1)}\)+ \(σ_e^2\)
として、\(σ_{A×B}^2\)としません。

B×Cの場合

E[\(S_{B×C}\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{・jk}}-\bar{x_{・j・}}-\bar{x_{・・k}}+\bar{\bar{x}})^2\)]

= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\(((βγ)_{jk}+(\bar{e_{・jk}}-\bar{e_{・j・}}-\bar{e_{・・k}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

= E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)\(((βγ)_{ jk }^2)\)
+ E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{e_{・jk}}-\bar{e_{・j・}}-\bar{e_{・・k}}+\bar{\bar{e}}))^2\)]

第1項=\(a(b-1)(c-1)σ_{B×C}^2\)

第2項=\((b-1) (c-1)σ_e^2\)

E[\(S_{B×C}\)]
=\(a(b-1)(c-1)σ_{B×C}^2\)+\((b-1)(c-1)σ_e^2\)

交互作用B×Cの自由度は(b-1)(c-1)より、分散の期待値E[VB×C]が求まります。

E[\(V_{B×C}\)]=\(aσ_{B×C}^2\)+\(σ_e^2\)

なお、分散の期待値を以下とします。

\( σ_{B×C}^2\)=E[\(\frac{\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}(βγ)_{jk}^2}{(b-1)(c-1)}\)]

\(σ_e^2\)については解説集にあります。

残差の場合

E[\(S_e\)]=E[\(\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}\sum_{k=1}^{c}\)
\((\bar{x_{ijk}}-(\bar{x_{ij・}}-\bar{x_{・jk}}-\bar{x_{i・k}})\)
+\((\bar{x_{i・・}}-\bar{x_{・j・}}-\bar{x_{・・k}})-\bar{\bar{x}}\)]
+(ii)他の因子に含まれる残差の合計
=(a-1)(b-1)(c-1) \(σ_e^2\)+(ii)他の因子に含まれる残差の合計

(ii)他の因子に含まれる残差の合計はを求めます。
主効果、交互作用、残差において、因子Pで求めた残差の期待値と
因子Aで求めた残差の期待値を比較して差分をとります。

○はP,Aが入る P側(1) A側(2)
\((a+m-1)σ_e^2\) \((a-1)σ_e^2\)
○×B \((a+m-1)(b-1)σ_e^2\) \((a-1)(b-1)σ_e^2\)
○×C \((a+m-1)(c-1)σ_e^2\) \((a-1)(c-1)σ_e^2\)
e(○) \((a+m-1)(b-1)(c-1)σ_e^2\) \((a-1)(b-1)(c-1)σ_e^2\)

差分の合計は、
\((a+m-1)σ_e^2\)-\((a-1)σ_e^2\)=\(mσ_e^2\)
\((a+m-1)(b-1)σ_e^2\)-\((a-1)(b-1)σ_e^2\)=\(m(b-1)σ_e^2\)
\((a+m-1)(c-1)σ_e^2\)-\((a-1)(c-1)σ_e^2\)=\(m(c-1)σ_e^2\)
\((a+m-1)(b-1)(c-1)σ_e^2\)-\((a-1)(b-1)(c-1)σ_e^2\)=\(m(b-1)(c-1)σ_e^2\)
を合計します。よって、
\(mσ_e^2\)+\(m(b-1)σ_e^2\)
+\(m(c-1)σ_e^2\)+\(m(b-1)(c-1)σ_e^2\)
=\(m(1+b-1+c-1+bc-b-c+1)σ_e^2\)
=\(m(bc)σ_e^2\)
となります。

まとめると、
E[\(S_e\)]
=(a -1)(b-1)(c-1) \(σ_e^2\)
+\(mbcσ_e^2\)

残差eの自由度は(a-1)(b-1)(c-1)+mbcより、分散の期待値E[Ve]が求まります。

E[\(V_e\)]=\(σ_e^2\)

計算が長いわりに、答えはあっさりしていますね。

⑤分割法の分散分析ができる

自由度の計算

各主効果・交互作用の自由度の計算は簡単です。関連記事に解説しています。まとめると次の3つです。

  1. データの構造式を書く
  2. 主効果・交互作用の構造式にある添字から自由度を算出
  3. 自由度は表を活用すると簡単に求まる

因子PとAの場合で自由度が変わる効果があることをすでに解説しました。

分散分析の結果

分散分析表を作ります。

A因子をP因子に変換して直交表L27を扱う
効果 自由度 E[V]
P a+m-1 \(bcσ_P^2+σ_e^2\)
B b-1 \((a+m) cσ_B^2+σ_e^2\)
C c-1 \((a+m)bσ_C^2+σ_e^2\)
P×B (a+m-1)(b-1) \(cσ_{P×B}^2+σ_e^2\)
P×C (a+m-1)(c-1) \(bσ_{P×C}^2+σ_e^2\)
B×C (b-1)(c-1) \((a+m)σ_{B×C}^2+σ_e^2\)
e(=P×B×C) (a+m-1)(b-1)(c-1) \(σ_e^2\)
T (a+m)bc-1

因子Aの場合

擬水準法(元データ)で直交表L27を扱う
効果 自由度 E[V]
A a-1 *1
B b-1 \(acσ_B^2+σ_e^2\)
C c-1 \(abσ_C^2+σ_e^2\)
A×B (a-1)(b-1) *2
A×C (a-1)(c-1) *3
B×C (b-1)(c-1) \((a+m)σ_{B×C}^2+σ_e^2\)
e(=A×B×C) (a-1)(b-1)(c-1)+mbc \(σ_e^2\)
T (a+m)bc-1

ここで、
(*1)は、
E[\(V_A\)]=\(\frac{E[\sum_{i=1}^{a}N_{Ai}(α_i)^2]}{a-1}\)
直交表L27で具体的に書くと、
E[\(V_A\)]=\(\frac{18α_1^2+9α_2^2}{1}+σ_e^2\)

(*2)は、
E[\(V_{A×B}\)]=\(\frac{E[\sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b}N_{ABij}((αβ)_{ij}^2)]}{(a-1)(b-1)}\)+ \(σ_e^2\)
具体的に書くと、
=\(\frac{6(αβ)_{11}^2+6(αβ)_{12}^2+6 (αβ)_{13}^2+3(αβ)_{21}^2+3(αβ)_{22}^2+3(αβ)_{23}^2}{2}\)+\(σ_e^2\)

(*3)は、
E[\(V_{A×C}\)]=\(\frac{E[\sum_{i=1}^{a}\sum_{k=1}^{c}N_{ACik}((αγ)_{ik}^2)]}{(a-1)(c-1)}\)+ \(σ_e^2\)
具体的に書くと、
=\(\frac{6(αγ)_{11}^2+6(αγ)_{12}^2+6 (αγ)_{13}^2+3(αγ)_{21}^2+3(αγ)_{22}^2+3(αγ)_{23}^2}{2}\)+\(σ_e^2\)

擬水準法の分散分析と分散の期待値の導出を解説しました。

まとめ

擬水準法の分散分析の導出過程を詳細に解説しました。

  • ➀余る場合の擬水準法とは何かがわかる
  • ②擬水準法のデータの構造式が書ける
  • ③平方和の分解の式が書ける
  • ④擬水準法の主効果・交互作用・誤差の分散の期待値が導出できる
  • ⑤分散分析ができる


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