丸善石油化学の品質不正を考える
「丸善石油化学からなぜ、品質不正で学ぶケースなのか?」と疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
どの企業でも起こり得る!
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
品質不正のテーマで20社目のブログです。関連記事を見て、上の問いである「圧力」が何かを考えてください。
1.雪印集団食中毒事
2.不二家
3.赤福
4.船場吉兆
5.東洋ゴム
6.日立化成
7.富久娘酒造
8.フォルクスワーゲン
9.三菱自動車
10.パロマ
11.スバル
12.日産自動車
13.東レ
14.三菱マテリアル子会社
15.東洋紡
16.京セラ
17.トーカン(三菱電機子会社)
18.KYB
19.ジャムコ
経営×品質の応用問題です。
品質不正をした相手への批判ではなく、表に出ない真因を考え抜く力を身に着けるためにブログ記事として解説していきます。
①品質マインド
●関連記事で解説しています。まず、こちらを読んでください。
【必読】品質不正を考える正しいマインドがわかる【褒めて応援すべし!】 品質不正の報道が出たら、その相手を叩こうとしていませんか?本記事では品質不正に対する正しいマインドを解説します。厳しい競争にさらされつつ、挑戦する社会では、失敗もつきものですよ。失敗をある程度許容して、反省して成功につなげやすいマインドが 必須です。 |
●大事な3つのマインドを再掲します。
- 品質不正を打ち明けた企業・組織を褒めよう!
- 対岸の火事ではない!
- 「失敗は成功のもと」につなげよう!
●悪い膿を出して、再生・復活する企業・組織を応援しましょう。もちろん、不正した相手の誠意が前提です。
➁品質不正の内容・被害
情報元
報告書があります。
品質不正の内容
●簡潔にまとめます。報告書P15を引用します。
イ 他の機会に行った同一の検査の結果で代用可能だから未実施・間引き
ウ 他の検査用で得られる情報から判断可能だから未実施・間引き
エ 検査方法を変更しても問題がないから方法の変更
オ 周辺的理由による未実施・間引き
被害状況
大きな被害は今のところありません。
➂発覚した経緯
2017/12月に経団連や業界団体の要請を受けて行った社内調査の結果、2018/1/5に発覚。1カ月でわかるって、早くないか?
➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
報告書に書かれた真因
報告書P25を引用すると、もっともらしい理由が7つ書いています。
- 会社全体において、品質管理の重要性と意義についての認識が低い
- 品質管理を全体で総括する部門が明確でない
- 品質管理課に対する設備投資面での優先順位が低い
- 品質管理課の声を拾い上げることができなかった
- 納入仕様書の管理の不徹底
- 各部門との連携不足
- 不正防止に係る内部統制システムの運用上の問題
また、不正した時期も書いているので報告書P15から引用します。
- 1994年までは個人的な不正
- 1994-2002年 バブル経済崩壊に伴う事業環境悪化、プラント建設に伴うコスト増加から人手不足による不適切行為の拡大
- 2002-2012年 アウトソーシング
- 2012年以降 世代交代による技術基盤の弱体化
皆さん、どうですか? 報告書から見て「なるほど!」ですか?
一方、QCプラネッツの感想は
ともう少し真因分析したいところです。たしかに、組織内部の課題は網羅されています。でも、
この圧力をおさえていないと、品質不正は再発します。
企業の内外分析から、不正に入る真因を紐解いていきます。
そのために、次の3つの観点で分析しましょう。ここは経営分析、MBAの領域です。品質不正でも活用します!
- 外部環境の観点
- 組織の状況
- 担当レベルの動き
外部環境の観点
不正は、不正せざるを得ない状況があって、初めて起きてしまいます。その圧力は、
●内部環境では、無茶な目標をたてる経営陣からの圧力
のどちらかです。これが、コストC,納期Dに圧力がかかり、人員不足、技術不足、組織風土の腐敗、コミュニケーションの疎が起こり、それが品質不正につながるのです。19社分析してすべてこのパターンです。
●内部環境では、無茶な目標をたてる経営陣からの圧力
が書いていませんので、類推しましょう。
組織の状況
7つの原因のうち、組織に関する内容がいっぱいあります。
- 品質管理課に対する設備投資面での優先順位が低い
- 品質管理課の声を拾い上げることができなかった
- 納入仕様書の管理の不徹底
- 各部門との連携不足
- 不正防止に係る内部統制システムの運用上の問題
他社事例でよくあるのですが、不正する前は、
●納期が厳しいことによる下流工程である検査部門のしわ寄せを、見て見ぬふりとか
●提言しても何も変わらない諦め感
●圧力から身を守るための意思疎通がおろそかになったり、連携が不足したり。
●顧客からのクレームや問題がないから大丈夫だろうと他責化
他社事例を見ても、よくあるケースですね。
担当レベルの動き
7つの原因のうち、個人に関する内容がいっぱいあります。
- 品質管理課に対する設備投資面での優先順位が低い
- 品質管理課の声を拾い上げることができなかった
- 納入仕様書の管理の不徹底
- 各部門との連携不足
品質管理課に投資されないと、業務改善もないし、標準化どころか属人性があり、異動も少ないと、人間関係も悪化します。他部門からの期待はないが、納期だけキツイと、それに無理に合わせようとするしかないでしょう。
「これじゃだめだ! 会社を変えよう!!」としても
誰も期待していないから、おとなしくしておこうとなってしまいます。
丸善石油化学の品質不正の原因は、明らかな圧力が何かは書いていませんが、おそらく、「QCDバランス」で紐解くことができます! ⑤でまとめます!
➄品質不正に至った真因
QCDバランスはどう崩れたか?
不正が起きた原因は、他社事例と同様に、おそらくQCDバランスの崩れではないかと推測します。QCプラネッツでは、分析結果をさらに、「QCD」を使って整理します。
組織や個人を是正させても、外や上からの過度な圧力がかかると効果がありません。経営者はどんな中計を描いていたか?が最も重要なポイントです。
身の丈以上の成長は、安全・品質・環境・コンプライアンスを軽視し、自滅するパターンです。
⑥その後の結末
基礎化学品のプロピレンやブタジエン、ベンゼン、化成品のメチルエチルケトンなど21品目で、全製品の3割弱に当たる。当該製品を出荷した可能性のある顧客数は121。
⑦とるべき対応策
本当の真因がわかるにはもう少し情報がほしいところですが、とるべき対応策は、他社の不正事例と同じではないかと考えています。
●何社も品質不正の分析をすると、取るべき対策は1つに抽象化できます。
組織の経営そのものを是正・修正しないと再発する。
●対応策については、関連記事で詳しく解説しました。批判で終わらず、建設的な改善提案と成功へつなげましょう!
【必読】品質不正からの名誉挽回方法がわかる 品質不正に陥った組織をどうやって立て直すかわかりますか?本記事では、批判で終わる品質不正の記事とは違って、信頼回復・改革に何が組織には必要なのかをわかりやすく解説します。誰かに任せるのではなく、自分事として自らリーダーシップをとって良い組織に生き返らせましょう!社会は温かく見守るべきです。 |
がんばりましょう!
まとめ
「丸善石油化学の品質不正を学ぶ」を解説しました。
- ①品質マインド
- ➁品質不正の内容・被害
- ➂発覚した経緯
- ➃品質不正分析で見逃がしてはいけない情報
- ➄品質不正に至った真因
- ⑥その後の結末
- ⑦とるべき対応策
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